JP6652944B2 - 食品検査装置及び食品検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品の食品検査装置及び食品検査方法に関する。
食品については、その食品に含まれる水の状態、塩分の濃度、又は脂質の割合が、加工又は調理された食品の仕上がり状態に影響し得る。特に、冷凍食品の場合、食品に含まれる水の状態(氷であるか水であるか)、塩分の濃度、又は脂質の割合は、加工又は調理された食品の仕上がり状態(最終製品の状態)のみならず、その食品の品質にも影響し得る。また、その食品に含まれ得る水分の含有量、塩分濃度、又は脂質の割合などの様々な指標も、加工又は調理された食品の仕上がり状態、及びその食品の品質に関わってくる。そのため、生産者、物流に携わる者、及び需要者(消費者)にとって、食品の品質に影響を及ぼすそのような指標は、特に「食の安心・安全」が注目されている昨今の事情を踏まえれば、極めて重大な関心事であるといえる。
例えば、冷凍食品の場合、その食品に含まれる氷及び/又は水の状況によっては、想定している温度・品質が達成できない場合がある。具体的には、本来なら全解凍後に加熱すべき食品を、半解凍状態の段階で加熱してしまうことによって、十分にその食品を加熱することができないことがある。また、逆に、本来なら半解凍状態にした後に低温加工すべき食品を、全解凍してしまうことによって、その食品を一定時間、十分に低温に保つことができず、その食品の品質を保持することが困難な場合もある。また、冷凍食品か否かを問わず、塩分の濃度又は脂質の割合によっては、想定している品質が達成できない場合がある。
これまでに、食品の電気伝導率、又は静電容量に着目し、食品の温度及び冷凍・解凍状態、あるいは食品の品質劣化状態を調べる装置又は方法が幾つか開示されている(特許文献1〜4、及び非特許文献1)。
一例として、食品に含まれる水の状態は、その食品の温度によって変動するため、その温度及び/又は温度変化を監視することは、従来採用されてきた食品の品質管理のための主要な方法である。代表的には、その食品の温度及び/又は温度変化の監視として、温度計を用いた直接的な監視方法、又はサーモグラフィーを用いた非破壊的な監視方法、あるいは、場合によっては人間の触感という曖昧な指標も採用されている。
国際公開第WO00/14522号 特開2005−337986号公報 特開平8−75806号公報 特開平4−73582号公報
成宮、他1名、「非接触式静電容量センサーによる食品の品質評価」、日本冷凍空調学会論文集、1999、Vol.16、No.1、p23−25
しかしながら、温度計を用いた直接的な監視方法では、被測定対象である食品内に温度計を挿入して使用することになる。その結果、その食品を商品として販売することができなくなるため、該食品は廃棄処分にせざるを得ない。また、サーモグラフィーを用いた場合は、食品の表面(表層)を測定することができたとしても、その内部まで測定することが困難である。加えて、人間の触感という曖昧な指標は、属人的な指標であるため、汎用性及び永続性に欠ける。
また、仮に食品の温度及び/又は温度変化を監視することができたとしても、食品に含まれる水の状態を正しく把握していることにはならない。特に、冷凍食品を例に挙げれば、冷凍状態から解凍状態に至る過程、あるいはその逆の、解凍状態から冷凍状態に至る過程における食品内の水の状態は、通常、その食品の温度という指標には現れない場合が多い。というのも、解凍の際は水と氷が同時に存在する融点で温度が一定になってしまい、温度を測定しても水の状態を測定できない。また、冷凍の際は、水は一旦融点以下に過冷却された後に冷凍が行われるので、解凍と同様に、温度を測定しても水の状態を測定できない。従って、温度という指標によって食品に含まれる水の状態を把握することは非常に困難である。
例えば、冷凍食品を内部まで均一に加熱加工する場合、予め十分解凍しておくことが望ましい。また、食品の低温加工において、適切な硬さとなる半解凍状態が望ましい場合がある。従って、温度という指標を用いることなく、水の冷凍状態又は解凍状態を評価することは、食品の検査において重要な技術的課題の一つと言える。
一方、温度以外の指標に基づいて食品の品質を管理する幾つかの先行技術が開示されているが、上述の各特許文献、又は非特許文献を採用したとしても、食品に含まれる水の状態を確度高く把握する装置又は方法は、未だ実現されていない。
また、食品に含まれる塩分の濃度、又は脂質の割合を、非接触で確度高く測定する手段の開発も、未だ道半ばといえる。
本発明は、食品に関して、水分の状態、塩分濃度、又は脂質の割合に例示される食品の状態を、高い確度で、かつ非破壊に測定又は検査することができる検査装置及び検査方法の実現に大きく貢献するものである。
本発明者らは、誘電率と電気伝導率を含む複素誘電率が異なる、食品に含まれる水と氷との関係、塩分濃度、又は脂質の割合について着目し、上述の検査装置及び検査方法の実現に向けて鋭意研究及び分析に取り組んだ。例えば、水と氷では、誘電率は約20倍異なり、電気伝導率は約100倍異なる。これらの物理量を一時に測定できれば、食品に含まれる水の状態、塩分濃度、又は脂質の割合を多角的に評価することが可能になる。
ところで、一般に、電気伝導率(もしくは電気抵抗率)の測定では、測定対象物(本発明においては食品)に対して複数の金属電極を接触させた状態で、一定電圧を印加して電流を測定する、あるいは、一定電流を印加して電極間の電圧差を測定することによって電気伝導率(もしくは電気抵抗率)が導出される。しかしながら、食品を測定対象物とする場合、金属電極と該食品との接触抵抗が大きいため、該食品のみに起因した電気伝導率(もしくは電気抵抗率)を測定することが難しい。さらに、電極を非接触にした場合、食品の表面近くの電気伝導率(もしくは電気抵抗率)しか測定できない。
そこで、本発明者らは、そのような食品特有の課題を克服した上で、誘電率と電気伝導率の両者に基づく指標を一時に測定することが、食品に含まれる水及び/又は氷の状況、塩分濃度、又は脂質の割合についてのより正確な把握につながると考え、さらに研究を進めた。その結果、本発明者らは、誘電率と電気伝導率の両者の成分を含む複素誘電率に着目することにより、食品の状態を、多面的に、より確度高く検査することが可能となるとの知見を得た。本発明は、上述の各視点に基づいて創出された。
上述の知見の代表的な一例を、以下の式を用いて詳しく説明する。
一般に、インダクタンス(L)、電気容量(C)及び抵抗(R)によって構成される共振回路における共振スペクトルの中心周波数(fr)およびバンド幅(Δfr)は、該共振回路が並列RLC共振回路の場合、次式(1)および(2)によって表される。
ここで、本願における被測定対象である、食品を誘電体と見立てて一対の電極間に配置したとき、その一対の電極はコンデンサーと見なせる。このコンデンサーに並列にインダクタンス(L)をつなげた共振LC回路を考える。このとき、該電極間に配置される該食品は、電気的エネルギーの蓄積のみならず、そのエネルギーの損失をも同時に生じさせる。そこで、該食品の誘電率は、式(3)に示すように、虚数単位jを用いて複素誘電率εで表される。
上式のうち、第一項の実数部分はエネルギーの蓄積に寄与し、第二項の虚数部分はエネルギー損失に寄与する。複素誘電率を考慮すると、コンデンサーの電気容量(C)は、以下の式(4)として表される。
また、その場合、アドミッタンスYはそれぞれ、以下の式(5)として表される。
ここで、式(5)の右辺における第一項は、該食品の抵抗成分(R)に相当し、エネルギー損失(伝導損失)に寄与する成分である。第二項は、該食品における電気容量(C’)に相当し、エネルギー蓄積に寄与する成分である。また、ωは角振動数である。従って、食品が配置された一対の電極は、コンデンサーと抵抗が並列につながれた回路とみなすことができる。その結果、共振LC回路は、共振LC’R回路として捉えることができる。
上記を踏まえると、一般的な共振回路に対する式(2)における抵抗Rは、式(5)の右辺に現われる食品の抵抗Rに対応する。印加電圧一定の場合、該抵抗の値が減少すると伝導損失が増加し、式(2)よりバンド幅(Δfr)が増加する。
一般的な共振回路に対する式(2)における電気容量Cは、式(5)の右辺に現われる食品の電気容量C’に対応する。従って、電気容量C’が増加すると、式(1)により、共振スペクトルにおける中心周波数(fr)が減少するとともに、バンド幅(Δfr)も減少する。
従って、共振回路の共振スペクトルにおける中心周波数とバンド幅との両方を測定することにより、抵抗Rと電気容量C’が導出され、さらに式(5)から複素誘電率における実部と虚部を求めることが可能になる。
例えば、水と氷の状態について当て嵌めてみると、該中心周波数が1MHzの場合、水と氷の状態を比べたときに、水の状態の複素誘電率の実部ε’の方が、氷のそれよりも大きい。そのため、水の状態のC’が大きくなる。その結果、水の状態の方が氷の状態に比べて、中心周波数(fr)とバンド幅(Δfr)とが小さくなる。一方、水の状態のε’’の方が、氷のそれよりも小さい。そのため、水の状態の抵抗Rが大きくなり、バンド幅(Δfr)が小さくなる。
また、食品中の水の含有量により、食品全体における複素誘電率は変化する。さらに、食品に含まれる塩分の濃度、又は脂質の割合(代表的には、水と油の比率)によって、食品の複素誘電率が変わり得ることが、後述するように確認されている。従って、本発明は、水の状態のみならず、食品の品質に関わる検査又は評価も可能である。
上述の原理、又は後述する想定される修正点を考慮した理論に基づいて、本発明の食品検査装置及び食品検査方法は、食品の状態の検査を、非破壊、かつ高い確度で実現することができる。
上述の技術的効果を奏させるための本発明の1つの食品検査装置は、一対の電極とコイルとを含む共振部と、その共振部に対して第1交流信号を発生する発信部と、食品を該電極間に配置したときの、前述の共振部に反射する交流信号、その共振部を透過する交流信号、その共振部を流れる電流からなる交流信号、及びその共振部に発生する電圧からなる交流信号の群から選択される少なくとも1種の第2交流信号を受信する受信部と、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド幅、及びその第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度の群から選択される少なくとも1つを測定する測定部と、を備える。
この食品検査装置によれば、中心周波数を含む第1交流信号を上述の共振部に与えると、食品を共振部における一対の電極間に配置したときの上述に示す第2交流信号を受信部が受信する。加えて、この食品検査装置の測定部が、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド幅、及びその第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度の群から選択される少なくとも1つを測定することにより、該食品の誘電率の変化、及び/又は電気伝導率(又は抵抗率)を取得することが可能となる。その結果、水分の状態、食品に含まれる塩分の濃度、又は脂質の割合(代表的には、水と油の比率)に代表される食品の状態を、高い確度で、かつ非破壊に測定又は検査することができる。
なお、上述の測定部が、少なくとも、前記第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及びバンド幅を測定することは、該食品の誘電率の変化、及び電気伝導率(又は抵抗率)を取得することが可能となるため、好適な一態様である。
また、本発明の1つの食品検査方法は、一対の電極とコイルとを含む共振部の、該電極間に食品を配置する配置工程と、その共振部に対して第1交流信号を発生する発信工程と、その食品を該電極間に配置したときの、前述の共振部に反射する交流信号、その共振部を透過する交流信号、その共振部を流れる電流からなる交流信号、及びその共振部に発生する電圧からなる交流信号の群から選択される少なくとも1種の第2交流信号を受信する受信工程と、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド幅、及びその第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度の群から選択される少なくとも1つを測定する測定工程と、を含む。
この食品検査方法によれば、中心周波数を含む第1交流信号を上述の共振部に与えると、食品を共振部における一対の電極間に配置したときの上述に示す第2交流信号を受信することになる。さらに、この食品検査方法によれば、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド幅、及びその第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度の群から選択される少なくとも1つを測定する測定工程により、該食品の誘電率の変化、及び/又は電気伝導率(又は抵抗率)を取得することが可能となる。その結果、水分の状態、食品に含まれる塩分の濃度、又は脂質の割合(代表的には、水と油の比率)に代表される食品の状態を、高い確度で、かつ非破壊に測定又は検査することができる。
なお、上述の測定工程において、少なくとも、前記第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及びバンド幅を測定することは、該食品の誘電率の変化、及び電気伝導率(又は抵抗率)を取得することが可能となるため、好適な一態様である。
また、本願においては、「信号強度」とは、後述する実施形態における「規格化された強度」、「規格化されていない強度」、及び「反射強度」を含む概念である。
本発明の1つの食品検査装置及び本発明の1つの食品検査方法によれば、該食品の誘電率の変化、及び電気伝導率(又は抵抗率)を取得することが可能となる。その結果、水分の状態、食品に含まれる塩分の濃度、又は脂質の割合(代表的には、水と油の比率)に代表される食品の状態を、高い確度で、かつ非破壊に測定又は検査することができる。
第1の実施形態の食品検査装置の構成図である。 第1の実施形態における、共振スペクトルを示すグラフである。 図2Aにおいて共振スペクトルの縦軸が規格化されていないグラフである。 第1の実施形態の食品検査装置を用いた、周波数1.93MHzにおける、サケを冷凍状態から解凍状態へと時間的に変化させたときの(規格化されていない)強度の変化を調べたグラフである。 第1の実施形態における、中心周波数と温度の経過時間依存性を示すグラフである。 第1の実施形態における、バンド幅と温度の経過時間依存性を示すグラフである。 第1の実施形態の食品検査装置の共振部の等価回路である。 第1の実施形態の食品検査装置についての、食品の状態変化による共振部の等価回路の違いを説明する図である。 第2の実施形態の食品検査装置の構成図である。 第2の実施形態における、水の状態の変化のみに着目した共振スペクトルを示すグラフである。 水と脂質(油)が混在する場合の脂質の割合を変化させたときの共振スペクトルを示すグラフである。 水と脂質(油)が混在する場合の、混合比率による共振周波数(MHz)の変化を示すグラフである。 水と脂質(油)が混在する場合の、脂質の割合を変化させたときのバンド幅(kHz)の変化を示すグラフである。 第1又は第2の実施形態の変形例における、電極の構成を示す側面図である。 第1又は第2の実施形態の変形例における、食品の表面に存在する水滴を除去する除去手段の変形例を示す側面図である。 その他の実施形態における、食品検査装置の構成図である。 その他の実施形態における、食品検査装置の構成図である。 その他の実施形態における、食品検査装置の構成図である。 その他の実施形態における、食品検査装置の構成図である。
本発明の実施形態として、食品検査装置及び食品検査方法を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。さらに、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
本実施形態の食品検査装置100について説明する。図1は、本実施形態の食品の食品検査装置100の構成図である。なお、本実施形態においては、食品検査装置100及び食品検査装置100を用いた食品の検査方法の態様及び効果を、被測定対象である食品(例えば、水産食品、より具体的な例で言えば、魚)10を用いて説明する。
本実施形態の食品検査装置100は、図1に示すように、一対の電極7とコイル6とを含む共振部40と、ネットワークアナライザ5と、ネットワークアナライザ5によって受信された交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅を測定する測定部8と、を備える。なお、以下、食品10を「検査又は測定する」ことを、総称して「検査する」と表現し、食品10の「測定又は検査」を、総称して「検査」と表現する場合がある。
本実施形態のネットワークアナライザ5についてより具体的に説明すると、ネットワークアナライザ5は、共振部40に対して中心周波数を含む第1交流信号を発生する発信部5aと、食品10を電極7間に配置したときの、共振部40に反射する交流信号、共振部40を透過する交流信号、共振部40を流れる電流からなる交流信号、及び共振部40に発生する電圧からなる交流信号の群から選択される少なくとも1種の第2交流信号を受信する受信部5bとを有している。
ここで、本実施形態においては、発信機能及び受信機能を備えたネットワークアナライザ5を採用しているが、本実施形態はそのような態様に限定されない。例えば、発信部5aと受信部5bとが異なる構成機器として設けられている場合であっても、本実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。後述する共振スペクトルを取得することができる限り、その他の公知の発信機器(例えば、ファンクション・ジェネレータ)又は受信機器(オシロスコープ、ロックインアンプ、スペクトラム・アナライザ)も、採用し得る他の一態様である。
次に、本実施形態の共振部40についてより具体的に説明すると、共振部40は、上述のとおり、少なくとも一対の電極7とコイル6とを含む。本実施形態においては、共振部40は、市販のフェライトコアを有するコイル(Bourm社製、型番RLB0912−101KL,100μH)6と、一対の電極7を含むコンデンサーとを直列につなぐことによって形成される直列共振回路である。なお、食品検査装置100の検査時においては、食品10が一対の電極7間に配置された状態となるため、その状態をコンデンサーと捉えることになる。
また、本実施形態においては、一対の電極7間に、絶縁層又は絶縁体(本実施形態においては、アクリル板)9を設けている。この絶縁体9上に、被測定対象10である魚(例えば、サケ)が配置されている。従って、本実施形態においては、一対の電極7間に、アクリル板と被測定対象である食品10(例えば、サケ)とが配置される。なお、被測定対象の食品10がサケの場合、共振部(特に、電極7)の外部に水(水滴を含む)が流れ出さないように、サケを薄手の袋内に収容しておくことも好適な一例である。また、本実施形態においては、食品10を介さないで対向する部分の電極7間の距離が、食品10を介して対向する部分の電極7間の距離よりも短くなるように、電極7の一部が屈曲することによって、電極の側面7sが形成されている。
なお、食品検査装置100は、必ずしも絶縁層又は絶縁体(以下、総称して、「絶縁体」という)9を備えることを要しない。但し、例えば、本実施形態の検査中に、食品10に付着することによって存在する水(水滴を含む)、食品10が含む水分がその外周又は表面上に現れることによって存在する水(水滴を含む)、及び/又は食品10の外周又は表面上に初めから存在する水(水滴を含む)が、電極7に直接接触する、又は電極7と食品10の間に介在することを確度高く防止するために絶縁体9を備えることは、検査精度の向上の観点から好適な一態様である。その外周に水が存在し得る食品10の例は、外気に触れることによって水分が周囲又は表面上に現れることになる食品10、あるいは、該検査の前に水に接触した(又は水中に存在した)食品を、その水を除去することなく、又は不十分な水の除去しか行わない食品である。
また、本実施形態の食品検査装置100においては、ネットワークアナライザ5と、食品10の温度を備える熱電対11の情報を取得する公知の温度測定器12(本実施形態では、KEYENCE社製、型式NR−1000)とに接続されているコンピュータ8を備えている。本実施形態のコンピュータ8は、食品10の状態を検査するための各工程(以下、「検査工程」ともいう)を制御する。また、コンピュータ8は、ネットワークアナライザ5又は温度測定器12から得られる情報(例えば、温度、共振スペクトル特性、該共振スペクトル特性の中心周波数(fr)、及び共振スペクトル特性のバンド幅(Δfr))を保存する、該情報を表示する、及び/又は該情報を分析するためにも用いられ得る。
なお、本実施形態のコンピュータ8は、例えば、上述の食品10の状態を検査するための検査プログラムにより、上述の処理を監視し、又は統合的に制御することができる。例えば、本実施形態では、該検査プログラムがコンピュータ8内のハードディスクドライブ、又はコンピュータ8に設けられた光ディスクドライブ等に挿入される光ディスク等の公知の記録媒体に保存されているが、該検査プログラムの保存先はこれに限定されない。また、該検査プログラムは、例えば、ローカルエリアネットワークやインターネット回線等の公知の技術を介して上述の処理を監視し、又は制御することもできる。
上述の構成を備える食品検査装置100を用いれば、共振部40の中心周波数とバンド幅を測定することによって、一対の電極7間に配置された食品10の状態(例えば、冷凍/解凍の状態)を調べることが可能となる。
より詳細には、まず、本実施形態の食品検査方法においては、一対の電極7とコイル6とを含む共振部40の、電極7間に食品10を配置する配置工程が行われる。食品10が配置された後、食品検査装置100は、発信部5aを用いて、共振部40に対して中心周波数を含む第1交流信号を発生する発信工程が行われる。
受信部5bが、食品10の状態を反映した第2交流信号を受信する。具体的には、食品10を電極7間に配置したときの、共振部40に反射する交流信号、共振部40を透過する交流信号、共振部40を流れる電流からなる交流信号、及び共振部40に発生する電圧からなる交流信号の群から選択される少なくとも1種の第2交流信号を受信する受信工程が行われる。その後、測定部8において、受信された第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅を測定する測定工程が行われる。
なお、共振部40の中心周波数の範囲は、特に限定されない。但し、後述する理由により、共振部40の中心周波数の範囲は、10kHz以上100MHz未満であることが好ましい。
該周波数が100MHz以上であると装置の浮遊容量が問題となり、適切な共振回路の作製が困難になる。また、検査装置のコストが上昇するという問題がある。さらに共振部40の中心周波数として、1kHz又は10MHzを採用すると、氷と水の電気伝導率がほぼ等しくなるという問題が生じる。従って、共振部40の中心周波数の範囲として、10kHz以上100MHz未満が採用されることは好適な一態様である。
また、第2交流信号は、共振部40に反射する交流信号、共振部40を透過する交流信号、共振部40を流れる電流からなる交流信号、及び共振部40に発生する電圧からなる交流信号の群から選択される少なくとも1種である。また、本実施形態の食品検査装置100の測定部としての役割も果たし得るネットワークアナライザ5は、前述の第2交流信号に基づく共振スペクトル特性を取得し、該共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅を測定する。
<食品検査装置100による検査結果>
上述の構成を備える食品検査装置100によって検査した結果の一例について、以下に図2A乃至図4を示しつつ、説明する。この例においては、食品検査装置100の測定部は、食品10の時間変化に伴う食品10の水分の状態変化に基づいた共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅を測定する。ここで、参照のため食品10の内部に熱電対を挿入して温度を測定している。
図2Aは、本実施形態における、冷凍状態のサケと全解凍状態のサケの共振スペクトルであり、明記されている数値はバンド幅を表している。また、図2Aにおいては、図を見やすくするために、食品10の解凍の前後における共振スペクトルの縦軸を規格化している。一方、図2Bは、図2Aにおいて共振スペクトルの縦軸が規格化されていないグラフである。図2A及び図2Bにおいては、縦軸においては、共振の強さの度合いを反射強度(単位は、arbitrary unit,略して「a.u.」)として表している。また、図2Cは、食品検査装置100を用いた、周波数1.93MHzにおける、サケを冷凍状態から解凍状態へと時間的に変化させたときの(規格化されていない)強度の変化を調べたグラフである。
また、図3は、本実施形態における、中心周波数(図3の実線)と温度(図3の点線)の経過時間依存性を示すグラフである。加えて、図4は、本実施形態における、バンド幅(図4の実線)と温度(図4の点線)の経過時間依存性を示すグラフである。なお、図3及び図4においては、縦軸は、共振の強さの度合い(以下、便宜上、「共振強度」ともいう)である。また、本願の各グラフにおいては、「共振強度」は、「強度」と表記され得る。
また、この例における食品10は、検査開始前の段階では、冷凍された魚(具体的には、冷凍されたサケ)である。この例においては、検査中、時間の経過に伴って観察される食品10の外周又は表面上に存在する水を除去する工程(除去工程)は、行われていない。
図3及び図4に示すように、食品10の温度については、当初は温度上昇が、見られるが、約100分〜約280分が経過する間は、あまり変動していない。これは、その時間帯において、食品10に与えられる外気からの熱が、食品10の解凍に伴って潜熱として消費されているためと考えられる。
一方、大変興味深いことに、温度変化があまり見られない時間帯(約100分〜約280分)において、中心周波数に顕著な変化が確認されるとともに、バンド幅(kHz)にも顕著な変化が確認された。なお、この例におけるバンド幅は、共振回路に対する反射波のスペクトルをパワー表示したときの半値全幅である。
上述を踏まえ、本発明者らは、中心周波数及び/又はバンド幅は、いずれも、温度変化があまり見られない時間帯(約100分〜約280分)において、変動の状況を確認しやすい指標であるとの知見を得た。従って、食品10の状態(この例においては、氷の解凍状況)を、中心周波数及び/又はバンド幅に基づいて検査し得ることが明らかとなった。
ここで、食品を電極7間に配置した共振部40は、図5Aに示す等価回路を用いて表すことができる。なお、空気層の電気容量(Ca)とは、上面の電極7と被測定対象である食品10との間に生じる電気容量である。また、絶縁層の電気容量(Ci)とは、底面の電極7と被測定対象である食品10との間(つまり、本実施形態では絶縁体9)に生じる電気容量のことである。いずれも、食品の解凍/冷凍の状況に依存しない成分である。従って、この共振回路の共振スペクトルにおける中心周波数とバンド幅との少なくとも一方(より好ましくは、それらの両方)を測定することにより、被測定対象である食品10の抵抗Rと電気容量C、つまり複素誘電率における実部と虚部を求めることが可能になる。このことから、中心周波数及び/又はバンド幅を調べることにより、食品に含まれる水の状態(例えば、氷の解凍状況)、塩分濃度、又は脂質の割合を評価出来、解凍/冷凍の状況を把握することが可能となる。
より分かり易くするために、食品の状態変化によって共振部の等価回路が実質的に異なる状態となる様子を、図5B(a)〜(c)を用いて説明する。但し、図5B(a)〜(c)は、抵抗Rと電気容量Cのインピーダンスのバランスが大きく変わる場合を説明するために便宜的に採用した等価回路図であるため、特に「冷凍・解凍状態」を説明するためのものではない。
図5B(a)に示す等価回路は、図5Aの内容と同じである。この等価回路のように、被測定対象である食品10の抵抗R、及び電気容量Cのいずれにも電流が流れる状態であるということは、抵抗R又は電気容量Cのいずれかのインピーダンスが極端に大きくない(又は小さくない)状態を示している。一方、被測定対象である食品10の抵抗Rが、食品10の電気容量Cのインピーダンスに対して極端に大きい場合は、図5B(b)に示す等価回路になる。他方、被測定対象である食品10の抵抗Rが、食品10の電気容量Cのインピーダンスに対して極端に小さい場合は、図5B(c)に示す等価回路になる。
すなわち、被測定対象である食品10の抵抗R及び電気容量Cについての、いわば、食品10の状態に応じた電気的エネルギーの蓄積とそのエネルギーの損失との関係性の変化(電気的エネルギーの蓄積とそのエネルギーの損失との生じ方の違い)に着目することによって、食品10の状態を非破壊にて検査することを、本実施形態では実現している。
上述のとおり、本実施形態の食品検査装置100及び食品検査方法を用いることにより、食品10の状態を非破壊にて検査することが可能となるため、「食の安心・安全」に大きく貢献する。
また、この例においては、被測定対象である食品10の冷凍状態から解凍状態への変化の過程において中心周波数及び/又はバンド幅が調べられることにより、温度の変化によっては見極めにくかった水産食品(例えば、魚)の好ましい切断のタイミングをより確度高く把握することが可能となる。その結果、特に水産加工製品の製造における、一次加工として水産食品(例えば、魚)を切断する際の歩留まりを高めることにつながる。
また、この例においては、冷凍状態から解凍状態への変化の過程が調べられたが、その逆、すなわち、解凍状態から冷凍状態への変化の過程についても食品検査装置100によって中心周波数及び/又はバンド幅を調べることにより、食品10を検査することが可能である。
なお、例えば、被測定対象である食品10の内部に空洞がある場合、本実施形態の食品検査装置100及び食品検査方法を用いれば、静電容量値の変化を検出することができる。その結果、食品10の内部の欠損の有無を識別し得る。これは、食品10の品質管理の容易化又は確かさに貢献し得る。また、食品10の内部に異物が混入された場合であっても、静電容量値の変化を検出することができる。これは、食品10の品質管理の容易化又は確かさに加えて、衛生管理の容易化又は確かさにも貢献し得る。
また、本実施形態によれば、水や氷と誘電率や抵抗率が大きく異なる物質を含む場合、水及び/又は氷と、その異なる物質との割合を検査又は評価することにも適用することができる。
<第2の実施形態>
以下に、図6に示す本実施形態の食品検査装置200、及び食品検査装置200を用いた検査方法について説明する。
本実施形態においては、まず、発信部5aによってパルスを発生させ、共振部に入射する。次に、オシロスコープ14を用いて共振器で発生している電圧の実時間波形を測定する。そして、フーリエ変換処理によって演算する演算手段により、その実時間波形にフーリエ変換処理を施して、共振スペクトルを得る。なお、本実施形態におけるコイル6、電極7、及び絶縁体9は、第1の実施形態の食品検査装置100のそれらと同じである。また、発信部5aによって共振部に入射したパルスの周波数は5kHzであり、パルス幅は200nsec(ナノ秒)である。なお、演算手段は公知の演算手段を採用し得る。
<食品検査装置200による検査結果(1)>
図7Aは、本実施形態の検査結果である、水の状態の変化のみに着目した共振スペクトルを示すグラフである。解凍前後の中心周波数及び/又はバンド幅の振る舞いが第1の実施形態と同様の結果が得られている。この第2の実施例では、1発のパルスで共振スペクトルを取得できるため、高速に測定が可能である。また、比較的安価な装置で測定可能となる。
<食品検査装置200による検査結果(2)>
また、本発明者らは、水と脂質(油)が混在する場合の脂質の割合を変化させたときの共振スペクトル及びバンド幅の変化について調査したところ、以下の興味深い結果が得られた。なお、図7B〜図7Dの測定試料は、いずれも、各調査のために作製されたPET(polyethylene terephthalate)製の容器中の混合液体(以下、本実施形態において「混合液」という)であって、実際の食品10内の混合液の比率を変化させたものではない。従って、該PET製の容器が、図6における一対の電極7間に設けられた絶縁体9としての役割を果たしている。加えて、発信部5aによって共振部に入射したパルスの周波数は910Hzであり、パルス幅は200nsecである。
具体的には、比重の異なる水と脂質(油)を混合することから、共通の容器中における測定対象の混合液の体積が同じになるように、水と脂質(油)の混合比率を変えた測定試料をそれぞれ作製した。なお、水と油を混合するために、乳化剤及び消泡剤を利用したが、いずれも重量比率で1%未満であるため、誘電率に与える影響は極めて小さい。また、乳化剤及び消泡剤はいずれも電離し難いため、電導度又は抵抗に与える影響も小さい。従って、中心周波数又はバンド幅には実質的に影響しない。なお、この混合液において採用された脂質(油)は、キャノーラ油である。
図7Bは、水と脂質(油)が混在する場合の脂質の割合を変化させたときの共振スペクトルを示すグラフである。また、図7Cは、水と脂質(油)が混在する場合の、混合比率による共振周波数(MHz)の変化を示すグラフである。さらに、図7Dは、水と脂質(油)が混在する場合の、脂質の割合を変化させたときのバンド幅(kHz)の変化を示すグラフである。
図7B及び図7Cに示すように、脂質(油)の比率が増加すると、中心周波数は増加することが確認された。これは、脂質(油)の誘電率が、水の誘電率に比較して、より多く減少するためと考えられる。一方、興味深いことに、図7Dに示すように、脂質(油)の比率が80%に至るまでは脂質(油)の比率が増加するとバンド幅が増加するが、脂質(油)の比率が100%になるとバンド幅の値が大きく低下した。従って、水と脂質(油)との混合比率が異なることによって、中心周波数及び/又はバンド幅が変動することが明らかとなったため、食品10中における水と脂質(油)との混合比率の変化を、本実施形態の食品検査装置100及び食品検査方法を用いることにより、非破壊にて検査することが可能となることが分かった。
また、本発明者らは、水中の塩分濃度を変化させたときの共振スペクトル及びバンド幅の変化について調査したところ、水中の塩分濃度が異なることによって、中心周波数及び/又はバンド幅が変動することが明らかとなった。従って、食品10中における塩分濃度の変化を、本実施形態の食品検査装置100及び食品検査方法を用いることにより、非破壊にて検査することが可能となることが分かった。なお、「塩分濃度」とは、塩化ナトリウムの濃度を意味する。
<第1又は第2の実施形態の変形例(1)>
ところで、上述の各実施形態においては、発信部5aが中心周波数を含む第1交流信号を発生させているが、上述の各実施形態はそのような態様に限定されない。例えば、発信部5aが、中心周波数を含まない第1交流信号を発生させることも、採用し得る他の一態様である。加えて、上述の各実施形態においては、測定部8が受信された第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅を測定しているが、上述の各実施形態はそのような態様に限定されない。例えば、測定部8が、第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅を測定せずに、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を測定することも、採用し得る他の一態様である。以下に、中心周波数を含まない第1交流信号の発生と、第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度の測定による、食品検査装置及び食品検査方法について説明する。
図2Bは、上述のとおり、第1の実施形態の食品検査装置100を用いた、冷凍状態のサケと全解凍状態のサケの共振スペクトルであり、該共振スペクトルの縦軸が規格化されていないグラフである。
ここで、図2Bにおける、周波数1.93MHzにおける冷凍状態のサケと全解凍状態のサケとの違いによる強度(縦軸)の差に着目すると、解凍の前後、すなわち、冷凍状態(実線)と解凍状態(点線)との差(図2BのP)が明確に現れていることがわかる。
従って、中心周波数を含まない第1交流信号を発生させるとともに、第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数(例えば、図2Bにおける周波数1.93MHz)の信号強度を測定することによって、食品10中における冷凍状態(実線)と解凍状態(点線)との差を、非破壊にて検査することが可能となることが分かる。
また、図2Cは、既に述べたとおり、第1の実施形態の食品検査装置100を用いた、周波数1.93MHzにおける、サケを冷凍状態から解凍状態へと時間的に変化させた(つまり、サケの温度が時間的に変化する)ときの(規格化されていない)強度の変化を調べたグラフである。
図2Cに示すように、強度の変化の幅が0.043から0.415へと、9倍以上の変化となり、また、温度がほぼ一定である100分〜200分の間においても、強度が0.415から0.372への変化が確認されたことから、温度の変化では確認しづらかった冷凍から解凍までの状態変化を、第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を以って評価し得ることが確認された。
なお、本願発明者らの分析によれば、例えば、図2A又は図2Bにおける、強度を周波数で微分した数値、あるいは、その微分した数値を利用して導出した中心周波数(例えば、微分値が0(ゼロ)となる周波数を中心周波数と認定する等)及び/又はバンド幅(例えば、微分値の絶対値が最大となる周波数幅等)を基準とすることにより、より顕著に冷凍から解凍までの状態変化を評価することが可能であるとの知見がある。
なお、発明者らの別の分析によれば、水と脂質(油)との混合比率の変化についても、第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を測定することによって、非破壊にて検査することが可能となることの知見を得ている。
加えて、中心周波数を含む第1交流信号を発生させた上で、第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅を測定せずに、その第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を測定することも、採用し得る他の一態様である。
<第1又は第2の実施形態の変形例(2)>
ところで、例えば、魚を代表とする水産物のように、複雑な形状を有する食品10を測定対象物とする場合は、食品10内部の平均的な電気伝導率又は電気抵抗を測定することは極めて困難である。また、複雑な形状を有するために、確度のより高い測定を実現するためには、電極7の形状の工夫が施されることが好ましい。図8(a)〜(c)は、そのような複雑な形状を持つ食品10に対応した電極7の形状の例を示している。
図8に示す例に限らないが、例えば図8に示すように、食品10を介さないで対向する部分の電極7間の距離(例えば、図8(a)の「d1」)が、食品10を介して対向する部分の電極7間の距離(図8(a)の「D」)よりも短くなるように、電極7の一部が湾曲又は屈曲する、あるいは、電極7の一部が曲面を有することは、前記電極によって形成される電場の漏出を防止又は抑制すること、あるいは、周囲の影響を受けにくくすることを実現し得る。従って、そのような構成を採用することは、好適な一態様である。上述のとおり、一対の電極7によって形成される電場の漏出を防止又は抑制するシールド手段を、第1又は第2の実施形態において説明した食品検査装置100,200がさらに備えることは、確度のより高い測定を実現する観点から好ましい。
従って、図8に示すような一対の側面(図1における、7s)のみについて食品10を覆うのではなく、該一対の側面(7s)と同様に、他の一対の側面も加えて食品10を覆うことがより好ましいこと、あるいは、周囲の影響を受けにくくすることを実現し得る。また、シールド手段の他の例は、電極を金属の箱(または金属の網)の内部に設置することである。また、例えば、図8(a)に比べて、図8(b)又は図8(c)は、被測定対象である食品10の外形にほぼ沿った曲面を備えているため、検査中の食品10の位置を確度高く安定させることが可能となる。検査中における食品10の位置の安定性を高めること、換言すれば、食品10の検査中の動きないし移動を抑えることは、より精度の高い検査に貢献する。
<第1又は第2の実施形態の変形例(3)>
第1又は第2の実施形態において説明した食品検査装置100,200において、被測定対象である食品10と一対の電極7とが相対的に移動し得る移動機構を採用することも、採用し得る好適な一態様である。例えば、一対の電極7間に、ベルトコンベアを用いて被測定対象である食品10を送り込む構成を採用すれば、数多くの食品を連続的に検査し得るため、非常に効率的な検査を実現し得る。
<第1又は第2の実施形態の変形例(4)>
また、外周又は表面上に水が存在する食品10、あるいは、含有する水分が時間の経過とともに外周又は表面上に現れるような食品10を被測定対象とする場合、確度高くその水を除去した後、あるいは測定中にその水を除去する状況下において、食品10の検査を行うことが好ましい。第1又は第2の実施形態において説明した食品検査装置100,200が、食品10に損傷を可能な限り与えることなく、食品10の外周又は表面上に存在する水(水滴を含む)を除去するための手段の例として、以下の(A)〜(C)に示す構成が採用され得る。
(A)食品10を垂下させるための公知の部材(例えば、吊り下げるためのフック、又は垂下させるように挟持する部材)を採用することにより、重力を利用して、食品10の外周又は表面上の水を垂れ落とす構成
(B)図1に示す一対の電極7(少なくとも、食品10が配置又は載置されている配置部(食品配置部)又は載置部の例としての絶縁体9側の電極7)を傾けることによって、重力を利用して、食品10の外周又は表面上の水を流し落とす構成
(C)一対の電極7間に配置される前、又は配置された後に、ほぼ均一なシート状の空気を食品10に向けて強く送り込むことにより、外周又は表面上に存在する水を吹き飛ばす構成(代表的には、エアナイフ装置)
なお、図9(a)〜(c)は、それぞれ、上述の(A)〜(C)に示す手段(食品10の表面に存在する水滴を除去する除去手段)及び構成の一例を示している。図9(a)〜(c)の例においては、第1の実施形態の変形例(3)において説明した、食品10と一対の電極7とが相対的に移動し得る移動機構を用いた例が示されている。各図中のXは、移動方向(食品10の進行方向)が示されている。
例えば、図9(a)においては、フック21を移動させるためのレール22から、食品10を吊り下げるためのフック21が垂れ下がっている。このフック21によって吊り下げられた食品10の外周又は表面上の水を、重力を利用して垂れ落とす構成が示されている。また、図9(b)においては、水平面から角度θ(例えば、約15°)傾いたベルトコンベア25を利用して、重力を利用して、食品10の外周又は表面上の水を流し落とす(除去する)構成が示されている。加えて、図9(c)においては、ベルトコンベアを用いて、ほぼ水平面に沿って移動する食品10に対して、空気(1)及び/又は空気(2)として示されたシート状の空気が、食品10に向けて強く送り込まれることより、外周又は表面上に存在する水を吹き飛ばす構成が示されている。なお、図9(a)においては、食品10が配置される配置部(食品配置部)は、一対の電極7間に位置させるためのレール22が該当する。また、図9(b)及び図9(c)においては、食品10が配置又は載置される配置部(食品配置部)又は載置部は、ベルトコンベア25である。なお、図9(b)及び図9(c)において、配置部又は載置部はベルトコンベア25のみに限定されない。例えば、食品10がトレイ等の上に載せられている場合は、ベルトコンベア25上のトレイ等が配置部又は載置部となる。
なお、上述の(A)〜(C)に示す手段及び構成は、図9(a)〜(c)に示された手段及び構成に限定されない。当業者であれば、上述の(A)〜(C)に示す手段及び構成を知ることにより、その他の公知の手段を適用することができる。
上述の(A)〜(C)の例に示す手段及び構成を採用する除去工程を行うことにより、食品10の外周又は表面上の水を確度高く除去し得るため、食品10の状態を検査する際の検査精度を格段に高めることが可能となる。
<その他の実施形態(1)>
ところで、第1又は第2の実施形態において説明した食品検査装置100,200と同様の効果を奏し得る構成として、図10乃至図13に、それぞれ第1又は第2の実施形態の変形例(実施形態)を示す。
図10は、本実施形態における、1つの食品検査装置300の構成図である。この構成においては、交流信号源である発信部5aによって共振部40に第1交流信号を与え、オシロスコープ及び電圧計14並びにコンピュータ8が担う測定部によって共振部40に印加された電圧を測定する。共振時においては、共振部40のインピーダンス(電気抵抗)が小さくなり、共振部40に印加される電圧が減少するため、共振部40の特性を測定することが可能になる。なお、測定可能な周波数帯域は測定機器の性能によるが、市販のオシロスコープを採用した場合、その周波帯は、数GHz以下である。
<その他の実施形態(2)>
図11は、本実施形態における1つの食品検査装置310の構成図である。この構成においては、交流信号源である発信部5aによって共振部40に第1交流信号を与え、ロックインアンプ16及びコンピュータ8が担う測定部を用いて共振部40に印加された電圧を測定する。共振時においては、共振部40のインピーダンス(電気抵抗)が小さくなるため、共振部40に印加される電圧が減少し、共振部40の特性を測定することが可能になる。なお、測定可能な周波数帯域は測定機器の性能によるが、市販のロックインアンプを採用した場合、その周波帯は一般的に1MHz以下である。
<その他の実施形態(3)>
図12は、本実施形態における1つの食品検査装置400の構成図である。この構成においては、交流信号源である発信部5aによって共振部40に第1交流信号を与え、共振部40のコイル6に流れた電流によって発生した磁場を別のコイル6xと相互インダクタンスにより結合させる。これによって、コイル6xに電圧が生じ、その電圧を、オシロスコープ及び電圧計14並びにコンピュータ8が担う測定部を用いて測定する。なお、図12に示す例においては、電極7(9)とコイル6とが並列回路を構成しているが、本実施形態はそのような回路構成に限定されない。例えば、電極7(9)とコイル6とが直列回路を構成することも採用し得る他の一態様である。
<その他の実施形態(4)>
図13は、本実施形態における1つの食品検査装置410の構成図である。この構成においては、交流信号源である発信部5aによって共振部40に第1交流信号を与え、共振部40のコイル6に流れた電流によって発生した磁場を別のコイル6xと相互インダクタンスにより結合させる。これによって、コイル6xに電圧が生じ、その電圧を、ロックインアンプ16及びコンピュータ8が担う測定部を用いて測定する。
なお、図13に示す例においては、電極7(9)とコイル6とが並列回路を構成しているが、本実施形態はそのような回路構成に限定されない。例えば、電極7(9)とコイル6とが直列回路を構成することも採用し得る他の一態様である。
<その他の実施形態(5)>
ところで、例えば、上述の図10及び図12においては、交流信号源から第1交流信号としてパルス等の広帯域の周波数成分を含む交流信号を用いることができる。また、第2交流信号を、例えば、オシロスコープを用いて受信し、フーリエ変換処理によって演算する演算手段によりフーリエ変換処理を用いて各周波数別に強度を分解することにより、共振スペクトルを得ることができる。さらに、その共振スペクトルを解析することによって、共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅、あるいは第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を測定することができる。
<その他の実施形態(6)>
また、上述のいずれの実施形態の食品検査装置においても、予め測定された共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はそのバンド幅を記録する記録部をさらに備えることは、採用し得る他の一態様である。具体的には、該食品検査装置が、予め参照用として、様々な大きさや重さの食品の試料(例えば、魚)の、共振スペクトル特性における中心周波数及び/又はバンド幅を測定し、その測定結果を登録した記録部又はデータベースを備えることは好適な一態様である。そのような記録部又はデータベースを備えることにより、様々な大きさや重さの試料に関する結果を既知の情報としておくことができる。加えて、新たに測定する、未知の試料を測定したときに、該記録部又は該データベースに登録されたデータ(測定結果のサンプル)のうち、同程度の大きさ・重さの測定結果と比較することによって、その新たな測定対象である未知の試料(食品)の検査を容易にすることができる。なお、上述の記録部又は上述のデータベースは、例えば、公知の通信ネットワークを介して該食品検査装置に接続することも、採用し得る一態様である。
従って、一つの態様においては、上述の各実施形態の食品検査装置が記録部又はデータベースをさらに備え、その測定部が、以下の(x1)〜(x3)のいずれかを比較及び判定する。
(x1)該記録部又は該データベースに記録された該中心周波数(つまり、該記録部又は該データベースに登録された参照用の中心周波数)と、新たに受信部が受信した第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数
(x2)該記録部又は該データベースに記録された該バンド幅(つまり、該記録部又は該データベースに登録された参照用のバンド幅)と、新たに受信部が受信した第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド幅
(x3)該記録部又は該データベースに記録された該中心周波数及び該バンド幅と新たに受信部が受信した第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及びバンド幅
また、他の一態様においては、上述の記録部又はデータベースの代わりに、上述の各実施形態の食品検査装置が少なくとも複数の共振部を備え、その測定部が、以下の(y1)〜(y3)のいずれかの比較判定工程を行うことも採用し得る。
(y1)1つの共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数と、他の共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数との比較判定工程
(y2)1つの共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド幅と、他の共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド幅との比較判定工程
(y3)1つの共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及びバンド幅と、他の共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の中心周波数及びバンド幅との比較判定工程
なお、上述の各例においては、上述の1つの共振部と他の共振部との共振条件を互いに異ならせるために、測定対象となる食品を配置するための一対の電極及び/又はコイルの条件を変更することができる。
また、例えば、食品の冷凍と解凍の過程においては、共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はバンド幅が時間変化し得る。従って、一度、測定対象の食品を測定し、ある程度時間の間隔を空けた後に、再度、該中心周波数及び/又は該バンド幅を測定し、それらの値を比較することも、採用し得る一態様である。このような方法によって測定することにより、より確度高く、冷凍又は解凍の進捗状況を知ることが出来る。なお、この解凍の際、食品が例えば魚であれば、その魚を水に漬けたり、風を当てたりすることによって解凍を促進させることは、より短い時間で複数回の測定を実現し得る。
一方、上述と同様に、予め測定された共振スペクトル特性の中心周波数及び/又はそのバンド幅を記録する記録部又はデータベースの代わりに、予め測定された共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を記録する記録部又はデータベースを備えることも、採用し得る他の一態様である。
従って、一つの態様においては、上述の各実施形態の食品検査装置が記録部又はデータベースをさらに備え、その測定部が、該記録部又は該データベースに記録された、第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度(つまり、該記録部又は該データベースに登録された参照用の信号強度)と、新たに受信部が受信した第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度とを比較及び判定する。
また、他の一態様においては、上述のデータベースの代わりに、上述の各実施形態の食品検査装置が少なくとも複数の共振部を備え、その測定部が、1つの共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度と、他の共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度とを比較及び判定する比較判定工程を行うことも、採用し得る。なお、この例においては、前述の1つの共振部と他の共振部との共振条件を互いに異ならせるために、測定対象となる食品を配置するための一対の電極及び/又はコイルの条件を変更することができる。
<その他の実施形態(7)>
一方、上述のいずれの実施形態の食品検査装置においても、予め測定された共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を記録する記録部をさらに備えることは、採用し得る他の一態様である。具体的には、該食品検査装置が、予め参照用として、様々な大きさや重さの食品の試料(例えば、魚)の、共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度を測定し、その測定結果を登録した記録部又はデータベースを備えることは好適な一態様である。そのような記録部又はデータベースを備えることにより、様々な大きさや重さの試料に関する結果を既知の情報としておくことができる。加えて、新たに測定する、未知の試料を測定したときに、該記録部又は該データベースに登録されたデータ(測定結果のサンプル)のうち、同程度の大きさ・重さの測定結果と比較することによって、その新たな測定対象である未知の試料(食品)の検査を容易にすることができる。なお、上述の記録部又は上述のデータベースは、例えば、公知の通信ネットワークを介して該食品検査装置に接続することも、採用し得る一態様である。
従って、一つの態様においては、上述の各実施形態の食品検査装置が記録部又はデータベースをさらに備え、その測定部が、その記録部に記録された該信号強度(つまり、該記録部又は該データベースに登録された参照用の信号強度)と、新たに受信部が受信した第2交流信号に基づく共振スペクトル特性におけるある特定の周波数の信号強度とを比較及び判定する。
また、他の一態様においては、上述のデータベースの代わりに、上述の各実施形態の食品検査装置が少なくとも複数の共振部を備え、その測定部が、1つの共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の信号強度と、他の共振部を用いたときの第2交流信号に基づく共振スペクトル特性の信号強度とを比較及び判定する比較判定工程を行うことも、採用し得る。なお、この例においては、前述の1つの共振部と他の共振部との共振条件を互いに異ならせるために、測定対象となる食品を配置するための一対の電極及び/又はコイルの条件を変更することができる。
また、例えば、食品の冷凍と解凍の過程においては、共振スペクトル特性の信号強度が時間変化し得る。従って、一度、測定対象の食品を測定し、ある程度時間の間隔を空けた後に、再度、該信号強度を測定し、それらの値を比較することも、採用し得る一態様である。このような方法によって測定することにより、より確度高く、冷凍又は解凍の進捗状況を知ることが出来る。なお、この解凍の際、食品が例えば魚であれば、その魚を水に漬けたり、風を当てたりすることによって解凍を促進させることは、より短い時間で複数回の測定を実現し得る。
以上述べたとおり、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明の1つの食品検査装置及び1つの食品検査方法は、現在及び将来の、食品を取扱う各産業、又は食品の検査を行う各産業において極めて有用である。
5 ネットワークアナライザー
5a 発信部
5b 受信部
6 コイル
7,7a,7b 電極
7s 電極の側面
8 コンピュータ
9 絶縁層又は絶縁体(アクリル板)
10 食品
11 熱電対
12 温度測定器
14 オシロスコープ及び電圧計
16 ロックインアンプ
21 レール
22 フック
25 ベルトコンベア
40 共振部
100,200,300,310,400,410 食品検査装置

Claims (13)

  1. 一対の電極とコイルとを含む共振部と、
    前記共振部に対して第1交流信号を発生する発信部と、
    食品を該電極間に配置したときの、前記共振部に反射する交流信号、前記共振部を透過する交流信号、前記共振部を流れる電流からなる交流信号、及び前記共振部に発生する電圧からなる交流信号の群から選択される少なくとも1種の第2交流信号を受信する受信部と、
    次の(1)又は(2)を測定する測定部と、を備える、食品検査装置。
    (1)前記第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド
    (2)前記共振スペクトル特性の中心周波数及び前記バンド
  2. 前記測定部が、前記食品の脂質の割合、前記食品の塩分の濃度、又は前記食品の時間変化に伴う水分の状態変化に基づいた次の(1)若しくは(2)を測定する、請求項1に記載の食品検査装置。
    (1)前記バンド
    (2)前記中心周波数及び前記バンド
  3. 前記第1交流信号は、広帯域の交流信号であり、
    次の(1)又は(2)を、フーリエ変換処理によって演算する演算手段を、さらに備える、請求項1又は請求項2に記載の食品検査装置。
    (1)前記バンド
    (2)前記中心周波数及び前記バンド
  4. 予め測定された前記バンド幅、又は、前記中心周波数及び前記バンド幅を記録する記録部をさらに備え、
    前記測定部は、次の(1)又は(2)を比較及び判定する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の食品検査装置。
    (1)前記記録部に記録された該バンド幅と新たに前記受信部が受信した前記第2交流信号に基づく前記共振スペクトル特性の前記バンド
    (2)前記記録部に記録された該中心周波数及び該バンド幅と新たに前記受信部が受信した前記第2交流信号に基づく前記共振スペクトル特性の前記中心周波数及び前記バンド
  5. 前記電極間に配置される前記食品の表面に存在する水を除去する除去手段を、さらに備える、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の食品検査装置。
  6. 前記共振部は、前記電極間に絶縁体を備え、
    前記受信部は、前記絶縁体と前記食品とを該電極間に配置したときの、前記第2交流信号を受信する、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の食品検査装置。
  7. 前記電極によって形成される電場の漏出を防止又は抑制するシールド手段を、さらに備える、
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の食品検査装置。
  8. 前記食品を介さないで対向する部分の前記電極間の距離が、前記食品を介して対向する部分の前記電極間の距離よりも短くなるように、該電極の一部が湾曲又は屈曲する、あるいは、該電極の一部が曲面を有する、
    請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の食品検査装置。
  9. 前記食品を配置するための配置部と、
    前記配置部が前記電極間に配置されるとともに、前記配置部と前記電極とを相対的に移動させる移動機構をさらに備える、
    請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の食品検査装置。
  10. 一対の電極とコイルとを含む共振部の、該電極間に食品を配置する配置工程と、
    前記共振部に対して第1交流信号を発生する発信工程と、
    前記食品を該電極間に配置したときの、前記共振部に反射する交流信号、前記共振部を透過する交流信号、前記共振部を流れる電流からなる交流信号、及び前記共振部に発生する電圧からなる交流信号の群から選択される少なくとも1種の第2交流信号を受信する受信工程と、
    次の(1)又は(2)を測定する測定工程と、を含む、食品検査方法。
    (1)前記第2交流信号に基づく共振スペクトル特性のバンド
    (2)前記共振スペクトル特性の中心周波数及び前記バンド
  11. 前記測定工程において、前記食品の脂質の割合、前記食品の塩分の濃度、又は前記食品の時間変化に伴う水分の状態変化に基づいた次の(1)若しくは(2)を測定する、請求項10に記載の食品検査方法。
    (1)前記バンド
    (2)前記中心周波数及び前記バンド
  12. 次の(1)又は(2)を比較及び判定する比較判定工程と、をさらに含む、請求項10又は請求項11に記載の食品検査方法。
    (1)測定された1つの前記バンド幅と測定された他の前記バンド
    (2)測定された1つの前記中心周波数及び前記バンド幅と測定された他の前記中心周波数及び前記バンド
  13. 前記電極間に配置される前記食品の表面に存在する水を除去する除去工程を、前記受信工程の前に行う、
    請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の食品検査方法。
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