(実施形態1)
以下では、実施形態1の非接触給電装置100について、図1〜図3を参照しながら説明する。なお、以下では、説明の便宜上、非接触給電装置100を備えた非接触給電システム300を説明した後に、非接触給電装置100を詳細に説明する。
非接触給電システム300は、非接触給電装置100と、非接触受電装置200とを備えている。
非接触給電装置100は、例えば、車両900(図2参照)を駐車させることが可能なスペース(駐車スペース)の地面800に設置される。車両900は、例えば、電気自動車である。地面800は、例えば、コンクリートである。なお、車両900は、電気自動車に限らず、例えば、ハイブリッド電気自動車等であってもよい。また、地面800は、コンクリートに限らず、例えば、アスファルト、土等であってもよい。
非接触給電装置100は、地面800に設置されるように構成されているが、この構成に限らない。非接触給電装置100は、例えば、地面800に形成された穴(埋込穴)に埋め込み配置されるように構成されていてもよい。
非接触受電装置200は、非接触給電装置100から非接触で給電されるように構成されている。非接触受電装置200は、例えば、車両900の底部に取り付けられる。
非接触受電装置200は、例えば、図1に示すように、受電部20と、整流部21と、平滑部22と、一対の出力端子2A,2Bとを備えている。
受電部20は、非接触給電装置100から非接触で供給された電力を受電するように構成されている。受電部20は、例えば、受電コイル23と、2つのコンデンサ24,25とを備えている。
受電コイル23は、例えば、スパイラルコイルである。スパイラルコイルとは、平面視において導線が渦巻き状に巻かれたコイル(平面コイル)を意味する。
整流部21は、受電部20で受電された電力を整流するように構成されている。整流部21は、例えば、ダイオードブリッジである。
整流部21の一対の入力端のうち第1入力端は、コンデンサ24を介して、受電コイル23の第1端と電気的に接続されている。整流部21の一対の入力端のうち第2入力端は、コンデンサ25を介して、受電コイル23の第2端と電気的に接続されている。整流部21の一対の出力端は、平滑部22と電気的に接続されている。
平滑部22は、例えば、コンデンサ(例えば、電解コンデンサ)である。平滑部22の高電位側の接続端は、整流部21の一対の出力端のうち第1出力端と電気的に接続されている。平滑部22の低電位側の接続端は、整流部21の一対の出力端のうち第2出力端と電気的に接続されている。
一対の出力端子2A,2B間には、例えば、車両900の負荷90が電気的に接続される。負荷90は、例えば、バッテリ91(図2参照)と、充電装置92(図2参照)とを備える。充電装置92は、バッテリ91を充電するように構成されている。
なお、受電部20は、コンデンサ25を備えているが、コンデンサ25を備えていなくてもよい。整流部21は、ダイオードブリッジであるが、これに限らない。非接触受電装置200は、平滑部22を備えているが、平滑部22を備えていなくてもよい。
非接触給電装置100は、例えば、一対の入力端子1A,1Bと、インバータ部10と、制御部11と、給電部12と、筐体30(図2,3参照)とを備えている。
一対の入力端子1A,1B間には、例えば、直流電源部400が電気的に接続される。直流電源部400は、直流電圧を出力するように構成されている。直流電源部400は、例えば、PFC(Power Factor Correction)回路である。なお、非接触給電装置100は、直流電源部400を構成要素として含まないが、直流電源部400を構成要素として含んでもよい。また、直流電源部400は、PFC回路に限らず、例えば、AC/DCコンバータ等であってもよい。
インバータ部10は、直流電圧を交流電圧に変換するように構成されている。インバータ部10は、例えば、フルブリッジ回路である。インバータ部10は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4を備えている。非接触給電装置100では、例えば、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とが第1スイッチング素子に相当し、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とが第2スイッチング素子に相当する。
スイッチング素子Q1は、第1端子と、第2端子と、制御端子とを備えている。スイッチング素子Q1は、例えば、ノーマリオフ型のnチャネルMOSFETである。この場合、スイッチング素子Q1では、第1端子がドレイン端子であり、第2端子がソース端子であり、制御端子がゲート端子である。なお、図1中のスイッチング素子Q1における図記号のダイオードは、内蔵ダイオード(ボディーダイオード)を表している。
3つのスイッチング素子Q2〜Q4の各々は、図1に示すように、スイッチング素子Q1と符号が異なる点を除いて、スイッチング素子Q1と同じ構成である。ゆえに、3つのスイッチング素子Q2〜Q4の各々に関する詳細な説明は省略する。
スイッチング素子Q1のドレイン端子は、入力端子1Aと電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のゲート端子は、制御部11と電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のソース端子は、給電部12と電気的に接続されている。また、スイッチング素子Q1のソース端子は、スイッチング素子Q2のドレイン端子と電気的に接続されている。スイッチング素子Q2のゲート端子は、制御部11と電気的に接続されている。スイッチング素子Q2のソース端子は、入力端子1Bと電気的に接続されている。また、スイッチング素子Q2のソース端子は、非接触給電装置100のグランドと電気的に接続されている。
スイッチング素子Q3およびスイッチング素子Q4の電気的な接続は、図1に示すように、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の電気的な接続と同じである。ゆえに、スイッチング素子Q3およびスイッチング素子Q4の各々に関する詳細な説明は省略する。
制御部11は、インバータ部10を制御するように構成されている。制御部11は、例えば、マイクロコンピュータである。上記マイクロコンピュータは、プログラムが記憶されたメモリを備えている。このプログラムには、例えば、非接触給電装置100を動作させる動作モード等が記述されている。
制御部11は、例えば、制御回路3と、停止部4とを備えている。非接触給電装置100では、制御回路3と停止部4とが一体に構成されている。制御回路3は、例えば、上記マイクロコンピュータに設けられたCPUにより構成されている。停止部4は、例えば、上記マイクロコンピュータに設けられた周辺回路により構成されている。
なお、制御部11は、上記マイクロコンピュータに限らず、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等であってもよい。また、制御部11は、上記マイクロコンピュータに限らず、例えば、制御用ICであってもよい。
制御回路3は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4を制御するように構成されている。言い換えれば、制御回路3は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれに制御信号を出力するように構成されている。4つの制御信号の各々は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。
制御回路3は、2つのスイッチング素子Q1,Q4と、2つのスイッチング素子Q2,Q3とが交互にオン状態となるように、4つのスイッチング素子Q1〜Q4を制御するように構成されている。具体的には、制御回路3は、2つのスイッチング素子Q1,Q4に制御信号(第1制御信号S1)を出力する。また、制御回路3は、2つのスイッチング素子Q2,Q3に制御信号(第2制御信号S2)を出力する。これにより、非接触給電装置100では、インバータ部10が、直流電源部400からの直流電圧を、矩形波状の交流電圧に変換することが可能となる。
停止部4は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させることが可能に構成されている。停止部4は、4つスイッチング素子Q1〜Q4それぞれのゲート端子と電気的に接続されている。また、停止部4は、制御回路3と電気的に接続されている。なお、停止部4の詳細については、後述する。
給電部12は、インバータ部10により変換された交流電圧が印加されるように構成されている。また、給電部12は、給電対象(非接触受電装置200)に非接触で給電するように構成されている。給電部12は、例えば、給電コイル13と、2つのコンデンサ14,15とを備えている。
給電コイル13は、例えば、スパイラルコイルである。給電コイル13は、例えば、平面視において給電コイル13の外周が長方形状になるように形成されている(図3参照)。
給電コイル13の第1端は、コンデンサ14を介して、スイッチング素子Q1のソース端子と電気的に接続されている。給電コイル13の第2端は、コンデンサ15を介して、スイッチング素子Q3のソース端子と電気的に接続されている。
なお、給電コイル13は、平面視において給電コイル13の外周が長方形状になるように形成されているが、これに限らない。給電コイル13は、例えば、平面視において給電コイル13の外周が正方形状になるように形成されていてもよい。また、給電コイル13は、例えば、平面視において給電コイル13の外周が楕円形状になるように形成されていてもよい。さらに、給電コイル13は、例えば、平面視において給電コイル13の外周が円形状になるように形成されていてもよい。
コンデンサ14およびコンデンサ15の各々は、給電コイル13と共に共振回路を形成するように構成されている。具体的に説明すると、コンデンサ14およびコンデンサ15それぞれの静電容量は、コンデンサ14およびコンデンサ15の各々が給電コイル13と共に上記共振回路を形成するように、設定されている。なお、給電部12は、コンデンサ15を備えているが、コンデンサ15を備えていなくてもよい。
非接触給電装置100では、インバータ部10、制御部11および給電部12が、例えば、複数の電子部品が実装された基板(実装基板)で構成されている。
筐体30は、実装基板を収納する。言い換えれば、筐体30は、インバータ部10、制御部11および給電部12を収納する。筐体30は、ベース31(図3参照)と、カバー32(図3参照)とを備えている。
ベース31は、実装基板が取り付けられる。ベース31は、板状(例えば、矩形板状)に形成されている。また、ベース31は、熱伝導性を有する材料により形成されている。熱伝導性を有する材料は、例えば、金属等である。金属は、例えば、アルミニウム等である。
実装基板は、絶縁部材を介して、ベース31に取り付けられている。上記絶縁部材は、電気絶縁性および熱伝導性を有する材料により形成されている。上記絶縁部材は、例えば、放熱シートである。なお、上記絶縁部材は、放熱シートに限らず、例えば、放熱グリス等であってもよい。
カバー32は、実装基板を覆う。また、カバー32は、ベース31に取り付けられる。
カバー32は、非金属材料により形成されている。非金属材料は、例えば、合成樹脂等である。合成樹脂は、例えば、繊維強化プラスチック等である。なお、非金属材料は、合成樹脂に限らない。非金属材料は、給電コイル13で発生する磁界を通す材料であればよい。
インバータ部10では、2つのスイッチング素子Q1,Q4と2つのスイッチング素子Q2,Q3とが交互にオン状態となるとき、直流電源部400からの直流電圧を交流電圧に変換する。これにより、非接触給電装置100では、インバータ部10により変換された交流電圧を給電コイル13に印加することが可能となる。このとき、給電コイル13に印加された電圧は、2つのコンデンサ14,15と給電コイル13との上記共振回路によって共振される。
また、非接触給電装置100では、給電コイル13に交流電圧が印加されると、給電コイル13で発生する磁界による電磁誘導によって、給電コイル13から非接触受電装置200(詳細には、受電部20)に非接触で給電することが可能となる。
次に、非接触給電装置100とは異なる比較例の非接触給電装置について説明する。
比較例の非接触給電装置の基本構成は、非接触給電装置100と同じである。また、比較例の非接触給電装置は、非接触給電装置100における制御部11の停止部4を備えていない点が、非接触給電装置100と相違する。なお、比較例の非接触給電装置では、非接触給電装置100と同様の構成要素に同一の符号を付して説明および図示を適宜省略する。
比較例の非接触給電装置では、図4に示すようなタイミングチャートが得られる。なお、図4中のt1は、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した時点を表している。図4中のVg1は、第1スイッチング素子(スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q4)のゲート電圧を表している。図4中のVg2は、第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2およびスイッチング素子Q3)のゲート電圧を表している。図4中のVds1は、第1スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧を表している。図4中のVds2は、第2スイッチング素子のドレイン−ソース間電圧を表している。図4中のId1は、第1スイッチング素子のドレイン電流を表している。図4中のId2は、第2スイッチング素子のドレイン電流を表している。
比較例の非接触給電装置では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した後、休止期間Tdに、スイッチング素子Q2に印加された電圧(スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間電圧)の電圧値が変化しない。具体的に説明すると、比較例の非接触給電装置では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した後、休止期間Tdに、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が減少しない。休止期間Tdは、2つのスイッチング素子Q1,Q4がオン状態からオフ状態になった時点から、2つのスイッチング素子Q2,Q3がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間である。なお、スイッチング素子Q3に印加された電圧(スイッチング素子Q3のドレイン−ソース間電圧)の電圧値は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値と同じように変化をする。
また、比較例の非接触給電装置では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した後、休止期間Tdに、スイッチング素子Q1に印加された電圧(スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧)の電圧値が変化しない。具体的に説明すると、比較例の非接触給電装置では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した後、休止期間Tdに、スイッチング素子Q1に印加された電圧の電圧値が増加しない。なお、スイッチング素子Q4に印加された電圧(スイッチング素子Q4のドレイン−ソース間電圧)の電圧値は、スイッチング素子Q1に印加された電圧の電圧値と同じように変化をする。
ところで、非接触給電装置100における制御部11の停止部4は、休止期間Tdに、後述の第1条件であるか否かを判定するように構成されている。また、停止部4は、休止期間Tdに第1条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を各別に停止させることが可能に構成されている。制御回路3は、停止部4により休止期間Tdに第1条件であると判定されたとき、第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止するように構成されている。言い換えれば、制御部11は、休止期間Tdに第1条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させるように構成されている。
第1条件は、例えば、スイッチング素子Q2に印加された電圧(スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間電圧)の電圧値が第1閾値Vt1(図5参照)まで変化しない状態である。例えば、第1条件は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで減少しない状態である。言い換えれば、第1条件は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1よりも大きいときである。第1閾値Vt1は、例えば、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値の変化を検出するための値である。
停止部4は、例えば、図1に示すように、第1停止回路5と、第2停止回路6とを備えている。
第1停止回路5は、検出部7と、設定部8と、コンパレータ9と、スイッチング素子Q5とを備えている。
検出部7は、例えば、スイッチング素子Q2に印加された電圧を検出するように構成されている。検出部7は、例えば、2つの抵抗R1,R2を備えている。抵抗R1の第1端は、スイッチング素子Q2のドレイン端子と電気的に接続されている。抵抗R1の第2端は、抵抗R2の第1端と電気的に接続されている。抵抗R2の第1端は、コンパレータ9の非反転入力端子と電気的に接続されている。抵抗R2の第2端は、非接触給電装置100のグランドと電気的に接続されている。
設定部8は、第1閾値Vt1を設定するように構成されている。設定部8は、コンパレータ9の反転入力端子と電気的に接続されている。
コンパレータ9の出力端子は、スイッチング素子Q5と電気的に接続されている。また、コンパレータ9の出力端子は、制御回路3と電気的に接続されている。
スイッチング素子Q5は、第1端子と、第2端子と、制御端子とを備えている。スイッチング素子Q5は、例えば、ノーマリオン型のnチャネルMOSFETである。この場合、スイッチング素子Q5では、第1端子がドレイン端子であり、第2端子がソース端子であり、制御端子がゲート端子である。なお、図1中のスイッチング素子Q5における図記号のダイオードは、内蔵ダイオードを表している。
スイッチング素子Q5のドレイン端子は、スイッチング素子Q2のゲート端子と電気的に接続されている。また、スイッチング素子Q5のドレイン端子は、スイッチング素子Q3のゲート端子と電気的に接続されている。スイッチング素子Q5のソース端子は、非接触給電装置100のグランドと電気的に接続されている。スイッチング素子Q5のゲート端子は、コンパレータ9の出力端子と電気的に接続されている。
第2停止回路6は、図1に示すように、第1停止回路5と符号が異なる点を除いて、第1停止回路5と同様の構成である。ゆえに、第2停止回路6に関する詳細な説明は適宜省略する。
検出部17は、例えば、スイッチング素子Q4に印加された電圧(スイッチング素子Q4のドレイン−ソース間電圧)を検出するように構成されている。抵抗R3の第1端は、スイッチング素子Q4のドレイン端子と電気的に接続されている。
スイッチング素子Q6は、例えば、ノーマリオフ型のnチャネルMOSFETである。この場合、スイッチング素子Q6では、第1端子がドレイン端子であり、第2端子がソース端子であり、制御端子がゲート端子である。なお、図1中のスイッチング素子Q6における図記号のダイオードは、内蔵ダイオードを表している。
スイッチング素子Q6のドレイン端子は、スイッチング素子Q1のゲート端子と電気的に接続されている。また、スイッチング素子Q6のドレイン端子は、スイッチング素子Q4のゲート端子と電気的に接続されている。
非接触給電装置100では、第1停止回路5が、休止期間Tdに第1条件であるか否かを判定するように構成されている。また、第1停止回路5は、休止期間Tdに第1条件である場合、2つのスイッチング素子Q2,Q3のスイッチング動作を停止させるように構成されている。制御回路3は、第1停止回路5により休止期間Tdに第1条件であると判定されたとき、第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止するように構成されている。
以下、非接触給電装置100における制御部11の動作について、図5に基づいて説明する。なお、図5中のt2は、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した時点を表している。図5中のVg1,Vg2,Vds1,Vds2,Id1,Id2は、図4中のVg1,Vg2,Vds1,Vds2,Id1,Id2と同じである。図5中のV1は、コンパレータ19の出力電圧を表している。図5中のV2は、コンパレータ9の出力電圧を表している。
第1停止回路5は、休止期間Tdに第1条件であるか否かを判定する。要するに、第1停止回路5は、休止期間Tdに、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1よりも大きいか否かを判定する。また、第1停止回路5は、休止期間Tdに第1条件である場合(図5中のt3〜t4の期間)、2つのスイッチング素子Q2,Q3のスイッチング動作を停止させる。
具体的に説明すると、コンパレータ9は、休止期間Tdに、検出部7により検出されたスイッチング素子Q2のドレイン−ソース間電圧が、設定部8により設定された第1閾値Vt1よりも大きいか否かを判定する。コンパレータ9は、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間電圧が第1閾値Vt1よりも大きい場合、スイッチング素子Q5をオン状態にして、2つのスイッチング素子Q2,Q3のスイッチング動作を停止させる。
制御回路3は、第1停止回路5により休止期間Tdに第1条件であると判定されたとき、第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止する(図5中のt5の時点)。
非接触給電装置100では、休止期間Tdに第1条件である場合、制御部11が4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させる。これにより、非接触給電装置100では、4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれのゲート電圧(ゲート−ソース間電圧)をローレベルに固定することが可能となる。よって、非接触給電装置100では、例えば、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによりインバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。その結果、非接触給電装置100では、特許文献1に記載された電力伝送システムにおける車両充電設備(従来例の非接触給電装置)に比べて、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の損失(スイッチング損失)が増加するのを抑制することが可能となる。すなわち、非接触給電装置100では、従来例の非接触給電装置に比べて、インバータ部10の損失が増加するのを抑制することが可能となる。
第1条件は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態であるが、これに限らない。第1条件は、例えば、スイッチング素子Q3に印加された電圧(スイッチング素子Q3のドレイン−ソース間電圧)の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態であってもよい。
また、第1条件は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態であるが、これに限らず、例えば、スイッチング素子Q4に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態であってもよい。この場合、第1条件は、スイッチング素子Q4に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで増加しない状態である。具体的に説明すると、第1条件は、例えば、スイッチング素子Q4に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1よりも小さいときである。また、この場合、第2停止回路6が、休止期間Tdに第1条件であるか否かを判定する。また、第2停止回路6は、休止期間Tdに第1条件である場合、2つのスイッチング素子Q1,Q4のスイッチング動作を停止させる。制御回路3は、第2停止回路6により休止期間Tdに第1条件であると判定されたとき、第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止する。なお、第1条件は、スイッチング素子Q4に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態に限らない。第1条件は、スイッチング素子Q1に印加された電圧(スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧)の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態であってもよい。
また、第1条件は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態と、スイッチング素子Q4に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態との一方の状態に限らない。第1条件は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態とスイッチング素子Q4に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態との両方の状態であってもよい。これにより、制御部11では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行するのを、より精度良く検出することが可能となる。よって、非接触給電装置100では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを、より抑制することが可能となる。その結果、非接触給電装置100では、従来例の非接触給電装置に比べて、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の損失(スイッチング損失)が増加するのを、より抑制することが可能となる。すなわち、非接触給電装置100では、従来例の非接触給電装置に比べて、インバータ部10の損失が増加するのを、より抑制することが可能となる。
休止期間Tdは、2つのスイッチング素子Q1,Q4がオン状態からオフ状態になった時点から、2つのスイッチング素子Q2,Q3がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間であるが、これに限らない。休止期間Tdは、2つのスイッチング素子Q2,Q3がオン状態からオフ状態になった時点から、2つのスイッチング素子Q1,Q4がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間であってもよい。2つのスイッチング素子Q1,Q4が第1スイッチング素子に相当し、2つのスイッチング素子Q2,Q3が第2スイッチング素子に相当する場合、休止期間Td(第1休止期間)は、2つのスイッチング素子Q1,Q4がオン状態からオフ状態になった時点から、2つのスイッチング素子Q2,Q3がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間である。また、2つのスイッチング素子Q2,Q3とが第1スイッチング素子に相当し、2つのスイッチング素子Q1,Q4が第2スイッチング素子に相当する場合、休止期間Td(第2休止期間)は、2つのスイッチング素子Q2,Q3がオン状態からオフ状態になった時点から、2つのスイッチング素子Q1,Q4がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間である。
なお、制御部11は、第1休止期間と第2休止期間との一方の休止期間に、第1条件あるいは第2条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させる構成に限らない。制御部11は、第1休止期間と第2休止期間との両方の休止期間に、第1条件あるいは第2条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させる構成であってもよい。
非接触給電装置100では、制御回路3が第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止すると(図5中のt5の時点)、スイッチング素子Q2およびスイッチング素子Q3それぞれに印加された電圧が自由振動する。そして、非接触給電装置100では、スイッチング素子Q2およびスイッチング素子Q3それぞれに印加された電圧が、スイッチング素子Q2およびスイッチング素子Q3それぞれに印加された電圧の最大値Vmaxの1/2に収束する。なお、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q4それぞれに印加された電圧も、制御回路3が第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止すると、自由振動する。また、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q4それぞれに印加された電圧も、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q4それぞれに印加された電圧の最大値Vmaxの1/2に収束する。
第1閾値Vt1は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれに印加された電圧の最大値Vmaxの1/2未満に設定されていることが好ましい。これにより、非接触給電装置100では、制御回路3が第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止させた後、停止部4により4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれに印加された電圧をローレベルに維持することが可能となる。その結果、非接触給電装置100では、仮に、制御回路3が第1制御信号S1および第2制御信号S2を、再び出力することがあったとしても、4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれに印加された電圧をローレベルに固定することが可能となる。よって、非接触給電装置100では、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを、より抑制することが可能となる。
非接触給電装置100では、起動時、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の各々がオフ状態であるため、スイッチング素子Q2およびスイッチング素子Q4それぞれに印加された電圧(ドレイン−ソース間電圧)が高くなる。これにより、非接触給電装置100では、起動時に、スイッチング素子Q6がオン状態となる。その結果、非接触給電装置100では、制御回路3からの第1制御信号S1が、2つのスイッチング素子Q1,Q4それぞれのゲート端子に入力されない場合がある。なお、起動時とは、非接触給電装置100の動作が開始するときを意味する。
そこで、制御回路3は、非接触給電装置100の起動時に、コンパレータ19の出力電圧を強制的にローレベルにする。これにより、非接触給電装置100では、起動時に、制御回路3からの第1制御信号S1を、2つのスイッチング素子Q1,Q4それぞれのゲート端子に入力させることが可能となる。
また、制御回路3は、非接触給電装置100の起動時に、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作がソフトスタートするように、第1制御信号S1および第2制御信号S2それぞれのデューティ比を小さくすることが好ましい。この場合も、制御回路3は、非接触給電装置100の起動時に、コンパレータ19の出力電圧を強制的にローレベルにすることが好ましい。これにより、非接触給電装置100では、起動時、給電部12に突入電流が流れるのを抑制することが可能となる。
以上説明した非接触給電装置100は、第1スイッチング素子(スイッチング素子Q1,Q4)および第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2,Q3)を有して直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部10を備えている。また、非接触給電装置100は、インバータ部10を制御する制御部11と、上記交流電圧が印加され非接触で給電する給電部12とを備えている。制御部11は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが交互にオン状態となるように、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を制御する。制御部11は、休止期間Tdに第1条件である場合、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のスイッチング動作を停止させる。休止期間Tdは、第1スイッチング素子がオン状態からオフ状態になった時点から第2スイッチング素子がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間である。第1条件は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との少なくとも一方に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態である。これにより、非接触給電装置100では、例えば給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによりインバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。その結果、非接触給電装置100では、従来例の非接触給電装置に比べて、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の損失(スイッチング損失)が増加するのを抑制することが可能となる。すなわち、非接触給電装置100では、従来例の非接触給電装置に比べて、インバータ部10の損失が増加するのを抑制することが可能となる。
制御部11は、第1スイッチング素子(スイッチング素子Q1,Q4)と第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2,Q3)とが交互にオン状態となるように第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を制御する制御回路3を備えていることが好ましい。また、制御部11は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のスイッチング動作を停止させることが可能な停止部4を備えていることが好ましい。停止部4は、休止期間Tdに第1条件である場合、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のスイッチング動作を停止させることが好ましい。この非接触給電装置100でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
第1条件は、第1スイッチング素子(スイッチング素子Q1,Q4)に印加された電圧である第1電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで増加しない状態であることが好ましい。この非接触給電装置100でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
上記第1電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで増加しない状態は、上記第1電圧の電圧値が第1閾値Vt1よりも小さいときであることが好ましい。この非接触給電装置100でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
第1条件は、第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2,Q3)に印加された電圧である第2電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで減少しない状態であることが好ましい。この非接触給電装置100でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
上記第2電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで減少しない状態は、上記第2電圧の電圧値が第1閾値Vt1よりも大きいときであることが好ましい。この非接触給電装置100でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
以上説明した非接触給電システム300は、非接触給電装置100と、非接触給電装置100から非接触で給電される非接触受電装置200とを備えている。これにより、非接触給電システム300では、インバータ部10の損失が増加するのを抑制可能な非接触給電装置100を備えた非接触給電システム300を提供することができる。
なお、インバータ部10は、フルブリッジ回路に限らず、例えば、2つのスイッチング素子を備えたハーフブリッジ回路であってもよい。この場合、2つのスイッチング素子のうち一方のスイッチング素子が第1スイッチング素子に相当し、残りのスイッチング素子が第2スイッチング素子に相当する。
また、給電コイル13および受電コイル23の各々は、スパイラルコイルであるが、これに限らず、例えば、ソレノイドコイル等であってもよい。ソレノイドコイルとは、鉄心(コア)に対して導線が螺旋状に巻き付けられたコイルを意味する。
(実施形態2)
以下では、実施形態2の非接触給電装置110について、図6に基づいて説明する。非接触給電装置110の基本構成は、実施形態1の非接触給電装置100と同じである。また、非接触給電装置110は、図6に示すように、非接触給電装置100における制御部11とは異なる構成の制御部41を備えている点等が、非接触給電装置100と相違する。なお、実施形態2の非接触給電装置110では、非接触給電装置100と同様の構成要素に同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、非接触給電装置110は、例えば、実施形態1の非接触給電システム300に適用されてもよい。
制御部41は、制御回路3と、停止部42とを備えている。非接触給電装置110では、制御回路3と停止部42とが一体に構成されている。
ところで、上記比較例の非接触給電装置では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した後(図4中のt1以降)、休止期間Tdに、例えば、スイッチング素子Q2に流れる電流(スイッチング素子Q2のドレイン電流)の電流値が変化しない。具合的に説明すると、比較例の非接触給電装置では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した後、休止期間Tdに、スイッチング素子Q2に流れる電流の向きが逆向きにならない。なお、スイッチング素子Q3に流れる電流(スイッチング素子Q3のドレイン電流)の電流値は、図4に示すように、スイッチング素子Q2に流れる電流の電流値と同じように変化をする。
非接触給電装置110における制御部41の停止部42は、休止期間Tdに、後述の第2条件であるか否かを判定するように構成されている。また、停止部42は、休止期間Tdに第2条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させることが可能に構成されている。制御回路3は、停止部42により休止期間Tdに第2条件であると判定されたとき、第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止するように構成されている。言い換えれば、制御部41は、休止期間Tdに第2条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させるように構成されている。
第2条件は、例えば、スイッチング素子Q2に流れる電流(スイッチング素子Q2のドレイン電流)の電流値が第2閾値Vt2(図5参照)まで変化しない状態である。具体的に説明すると、第2条件は、例えば、スイッチング素子Q2に流れる電流の向きが逆向きにならない状態である。より詳細に説明すると、第2条件は、例えば、スイッチング素子Q2に流れる電流の電流値が第2閾値Vt2よりも大きいときである。第2閾値Vt2は、例えば、スイッチング素子Q2に流れる電流の電流値の変化を検出するための値である。
停止部42は、例えば、図6に示すように、第3停止回路43と、第4停止回路44とを備えている。
第3停止回路43の基本構成は、非接触給電装置100における第1停止回路5と同じである。ゆえに、第3停止回路43では、第1停止回路5と同様の構成要素に同一の符号を付して説明を適宜省略する。
第3停止回路43は、検出部45と、設定部46と、コンパレータ9と、スイッチング素子Q5とを備えている。
検出部45は、例えば、スイッチング素子Q2に流れる電流を検出するように構成されている。検出部45は、例えば、抵抗R5を備えている。抵抗R5の第1端は、スイッチング素子Q2のソース端子と電気的に接続されている。また、抵抗R5の第1端は、コンパレータ9の非反転入力端子と電気的に接続されている。抵抗R5の第2端は、非接触給電装置110のグランドと電気的に接続されている。
設定部46は、閾値Vt2を設定するように構成されている。設定部46は、コンパレータ9の反転入力端子と電気的に接続されている。
第4停止回路44は、図6に示すように、第3停止回路43と符号が異なる点を除いて、第3停止回路43と同じ構成である。ゆえに、第4停止回路44に関する詳細な説明は適宜省略する。
検出部47は、例えば、スイッチング素子Q4に流れる電流(スイッチング素子Q4のドレイン電流)を検出するように構成されている。抵抗R6の第1端は、スイッチング素子Q4のソース端子と電気的に接続されている。なお、検出部47は、スイッチング素子Q4に流れる電流を検出するように構成されているが、スイッチング素子Q1に流れる電流(スイッチング素子Q1のドレイン電流)を検出するように構成されていてもよい。
非接触給電装置110では、第3停止回路43が、休止期間Tdに第2条件であるか否かを判定するように構成されている。また、第3停止回路43は、休止期間Tdに第2条件である場合、2つのスイッチング素子Q2,Q3のスイッチング動作を停止させるように構成されている。制御回路3は、第3停止回路43により休止期間Tdに第2条件であると判定されたとき、第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止するように構成されている。なお、非接触給電装置110における制御部41の動作は、非接触給電装置100における制御部11と同様である。ゆえに、制御部41の動作に関する詳細な説明は省略する。
非接触給電装置110では、制御部41が、休止期間Tdに第2条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させる。これにより、非接触給電装置110では、4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれのゲート電圧(ゲート−ソース間電圧)をローレベルに固定することが可能となる。よって、非接触給電装置110では、例えば、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによりインバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。その結果、非接触給電装置110でも、従来例の非接触給電装置に比べて、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の損失(スイッチング損失)が増加するのを抑制することが可能となる。すなわち、非接触給電装置110でも、従来例の非接触給電装置に比べて、インバータ部10の損失が増加するのを抑制することが可能となる。
第2条件は、スイッチング素子Q2に流れる電流の電流値が第2閾値Vt2まで変化しない状態であるが、これに限らない。第2条件は、例えば、スイッチング素子Q3に流れる電流(スイッチング素子Q3のドレイン電流)の電流値が第2閾値Vt2まで変化しない状態であってもよい。この場合、検出部45は、スイッチング素子Q3に流れる電流を検出するように構成される。
休止期間Tdは、2つのスイッチング素子Q1,Q4がオン状態からオフ状態になった時点から、2つのスイッチング素子Q2,Q3がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間であるが、これに限らない。休止期間Tdは、2つのスイッチング素子Q2,Q3がオン状態からオフ状態になった時点から、2つのスイッチング素子Q1,Q4がオフ状態からオン状態へ変化し始める時点までの間であってもよい。この場合、第2条件は、スイッチング素子Q1あるいはスイッチング素子Q4に流れる電流の電流値が第2閾値Vt2まで変化しない状態である。また、この場合、第4停止回路44が、休止期間Tdに第2条件であるか否かを判定する。また、第4停止回路44は、休止期間Tdに第2条件である場合、2つのスイッチング素子Q1,Q4のスイッチング動作を停止させる。制御回路3は、第4停止回路44により休止期間Tdに第2条件であると判定されたとき、第1制御信号S1および第2制御信号S2の出力を停止する。
以上説明した非接触給電装置110は、インバータ部10と、インバータ部10を制御する制御部41と、給電部12とを備えている。制御部41は、第1スイッチング素子(スイッチング素子Q1,Q4)と第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2,Q3)とが交互にオン状態となるように第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を制御する。制御部41は、休止期間Tdに第2条件である場合、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のスイッチング動作を停止させる。第2条件は、第2スイッチング素子に流れる電流の電流値が第2閾値Vt2まで変化しない状態である。これにより、非接触給電装置110では、例えば給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによりインバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。その結果、非接触給電装置110では、従来例の非接触給電装置に比べて、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の損失(スイッチング損失)が増加するのを抑制することが可能となる。すなわち、非接触給電装置110では、従来例の非接触給電装置に比べて、インバータ部10の損失が増加するのを抑制することが可能となる。
制御部41は、制御回路3と、第1スイッチング素子(スイッチング素子Q1,Q4)および第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2,Q3)のスイッチング動作を停止させることが可能な停止部42とを備えていることが好ましい。停止部42は、休止期間Tdに第2条件である場合、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のスイッチング動作を停止させることが好ましい。この非接触給電装置110でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
第2条件は、第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2,Q3)に流れる電流の向きが逆向きにならない状態であることが好ましい。この非接触給電装置110でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
第2スイッチング素子(スイッチング素子Q2,Q3)に流れる電流の向きが逆向きにならない状態は、第2スイッチング素子に流れる電流の電流値が第2閾値Vt2よりも大きいときであることが好ましい。この非接触給電装置110でも、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによって、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。
非接触給電装置110は、実施形態1の非接触給電装置100における停止部4の構成を更に備えていてもよい。これにより、制御部41では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行するのを、より精度良く検出することが可能となる。よって、非接触給電装置110では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを、より抑制することが可能となる。その結果、非接触給電装置110では、従来例の非接触給電装置に比べて、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の損失(スイッチング損失)が増加するのを、より抑制することが可能となる。すなわち、非接触給電装置110では、従来例の非接触給電装置に比べて、インバータ部10の損失が増加するのを、より抑制することが可能となる。
(実施形態3)
以下では、実施形態3の非接触給電装置120について、図7に基づいて説明する。非接触給電装置120の基本構成は、実施形態1の非接触給電装置100と同じである。また、非接触給電装置120は、図7に示すように、非接触給電装置100における制御部11とは異なる構成の制御部51を備えている点等が、非接触給電装置100と相違する。なお、実施形態3の非接触給電装置120では、非接触給電装置100と同様の構成要素に同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、非接触給電装置120は、例えば、実施形態1の非接触給電システム300に適用されてもよい。
制御部51は、制御回路52と、停止部53とを備えている。非接触給電装置120では、制御回路52と停止部53とが別体に構成されている。
制御回路52は、例えば、上記マイクロコンピュータである。制御回路52の基本構成は、非接触給電装置100における制御回路3と同じである。なお、制御回路52は、上記マイクロコンピュータに限らず、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等であってもよい。また、制御回路52は、上記マイクロコンピュータに限らず、例えば、制御用ICであってもよい。
停止部53は、休止期間Tdに第1条件であるか否かを判定するように構成されている。また、停止部53は、休止期間Tdに第1条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させるように構成されている。
停止部53は、例えば、第5停止回路54と、第6停止回路68とを備えている。なお、第5停止回路54の構成は、非接触給電装置100における第1停止回路5と同様の構成であるため、同様の構成要素に同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、第6停止回路68の構成は、非接触給電装置100における第2停止回路6と同様の構成であるため、同様の構成要素に同一の符号を付して説明を適宜省略する。
第5停止回路54は、検出部7と、設定部8と、比較部55と、3つの論理回路56〜58とを備えている。
比較部55は、コンパレータ59と、2つの抵抗R7,R8と、スイッチング素子Q7とを備えている。スイッチング素子Q7は、第1端子と、第2端子と、制御端子とを備えている。スイッチング素子Q7は、例えば、バイポーラトランジスタである。この場合、スイッチング素子Q7では、第1端子がコレクタ端子であり、第2端子がエミッタ端子であり、制御端子がベース端子である。
コンパレータ59の反転入力端子は、検出部7における抵抗R2の第1端と電気的に接続されている。コンパレータ59の非反転入力端子は、設定部8と電気的に接続されている。コンパレータ59の出力端子は、抵抗R7を介して、スイッチング素子Q7のベース端子と電気的に接続されている。
スイッチング素子Q7のコレクタ端子は、抵抗R8によりプルアップされている。また、スイッチング素子Q7のコレクタ端子は、3つの論理回路56〜58と電気的に接続されている。スイッチング素子Q7のエミッタ端子は、非接触給電装置120のグランドと電気的に接続されている。
論理回路56は、2つのOR回路60,61と、NOT回路62とを備えている。
OR回路60の第1入力端子は、制御回路52と電気的に接続されている。OR回路60の第2入力端子は、スイッチング素子Q7のコレクタ端子と電気的に接続されている。OR回路60の出力端子は、OR回路61の第1入力端子と電気的に接続されている。
OR回路61の第2入力端子は、論理回路58と電気的に接続されている。また、OR回路61の第2入力端子は、後述の論理回路72と電気的に接続されている。OR回路61の出力端子は、NOT回路62の入力端子と電気的に接続されている。NOT回路62の出力端子は、スイッチング素子Q2のゲート端子と電気的に接続されている。
論理回路57は、図7に示すように、論理回路56と符号が異なる点を除いて、論理回路56と同じ構成である。ゆえに、論理回路57に関する詳細な説明は適宜省略する。
NOT回路65の出力端子は、スイッチング素子Q3のゲート端子と電気的に接続されている。
論理回路58は、フリップフロップ66と、ラッチ回路67とを備えている。
フリップフロップ66は、例えば、Dフリップフロップである。フリップフロップ66の第1入力端子(クロック入力端子)は、制御回路52と電気的に接続されている。フリップフロップ66の第2入力端子(データ入力端子)は、スイッチング素子Q7のコレクタ端子と電気的に接続されている。フリップフロップ66の出力端子は、ラッチ回路67のセット端子と電気的に接続されている。
ラッチ回路67のリセット端子は、非接触給電装置120のグラントと電気的に接続されている。ラッチ回路67の出力端子は、論理回路56におけるOR回路61の第2入力端子と電気的に接続されている。また、ラッチ回路67の出力端子は、後述の論理回路70におけるOR回路75の第2入力端子と電気的に接続されている。さらに、ラッチ回路67の出力端子は、論理回路57におけるOR回路64の第2入力端子と電気的に接続されている。また、ラッチ回路67の出力端子は、後述の論理回路71におけるOR回路78の第2入力端子と電気的に接続されている。
第6停止回路68は、検出部17と、設定部18と、比較部69と、3つの論理回路70〜72とを備えている。
比較部69は、図7に示すように、比較部55と符号が異なる点を除いて、比較部55と同じ構成である。ゆえに、比較部69に関する詳細な説明は省略する。
2つの論理回路70,71の各々は、図7に示すように、論理回路56と符号が異なる点を除いて、論理回路56と同じ構成である。ゆえに、2つの論理回路70,71の各々に関する詳細な説明は適宜省略する。
論理回路70におけるOR回路74の第2入力端子は、スイッチング素子Q8のコレクタ端子と電気的に接続されている。論路回路70におけるNOT回路76の出力端子は、スイッチング素子Q1のゲート端子と電気的に接続されている。
論理回路71におけるOR回路77の第2入力端子は、スイッチング素子Q8のコレクタ端子と電気的に接続されている。論理回路71におけるNOT回路79の出力端子は、スイッチング素子Q4のゲート端子と電気的に接続されている。
論理回路72は、図7に示すように、論理回路58と符号が異なる点を除いて、論理回路58と同じ構成である。ゆえに、論理回路72に関する詳細な説明は適宜省略する。
論理回路72におけるフリップフロップ80の第2入力端子(データ入力端子)は、スイッチング素子Q8のコレクタ端子と電気的に接続されている。
非接触給電装置120では、第5停止回路54が、休止期間Tdに第1条件であるか否かを判定するように構成されている。また、第5停止回路54は、休止期間Tdに第1条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させるように構成されている。
以下、非接触給電装置120における制御部51の停止部53の動作について、図8に基づいて説明する。なお、図8中のt6は、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行した時点を表している。図8中のVg1,Vg2,Vds1,Vds2は、図4中のVg1,Vg2,Vds1,Vds2と同じである。図8中のVs1は、第1制御信号S1の信号レベルを表している。図8中のVs2は、第2制御信号S2の信号レベルを表している。図8中のV3は、比較部69の出力電圧を表している。図8中のV4は、比較部55の出力電圧を表している。図8中のV5は、フリップフロップ66の出力電圧を表している。図8中のV6は、フリップフロップ80の出力電圧を表している。図8中のV7は、ラッチ回路67の出力電圧を表している。図8中のV8は、ラッチ回路81の出力電圧を表している。
第5停止回路54は、休止期間Tdに第1条件であるか否かを判定する。具体的に説明すると、第5停止回路54は、休止期間Tdに、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1よりも大きいか否かを判定する。
第5停止回路54は、休止期間Tdに第1条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させる。
非接触給電装置120では、休止期間Tdに第1条件である場合、停止部53が4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させる。これにより、非接触給電装置120では、4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれのゲート電圧(ゲート−ソース間電圧)をローレベルに固定することが可能となる。よって、非接触給電装置120では、例えば、給電コイル13と受電コイル23との相対的な位置ずれによりインバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、4つのスイッチング素子Q1〜Q4がハードスイッチングするのを抑制可能となる。その結果、非接触給電装置120では、従来例の非接触給電装置に比べて、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の損失(スイッチング損失)が増加するのを抑制することが可能となる。すなわち、非接触給電装置120では、従来例の非接触給電装置に比べて、インバータ部10の損失が増加するのを抑制することが可能となる。
なお、第1条件は、スイッチング素子Q2に印加された電圧の電圧値が第1閾値Vt1まで変化しない状態であるが、これに限らない。
停止部53は、休止期間Tdに第1条件であるか否かを判定するように構成されているが、この構成に限らない。停止部53は、休止期間Tdに第2条件であるか否かを判定するように構成されていてもよい。この場合、停止部53は、休止期間Tdに第2条件である場合、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させる。
非接触給電装置120では、起動時、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の各々がオフ状態であるため、スイッチング素子Q2およびスイッチング素子Q4それぞれに印加された電圧(ドレイン−ソース間電圧)が高くなる。これにより、非接触給電装置120では、起動時に、スイッチング素子Q7およびスイッチング素子Q8の各々がオフ状態となるので、スイッチング素子Q7およびスイッチング素子Q8それぞれのコレクタ−エミッタ間電圧がハイレベルとなる。言い換えれば、非接触給電装置120では、起動時に、4つのOR回路60,63,74,77それぞれの第2入力端子がハイレベルとなる。その結果、非接触給電装置120では、制御回路52からの第1制御信号S1および第2制御信号S2が、対応する4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれのゲート端子に入力されない場合がある。
そこで、制御回路52は、スイッチング素子Q7およびスイッチング素子Q8それぞれのコレクタ端子と電気的に接続されている。また、制御回路52は、非接触給電装置120の起動時に、スイッチング素子Q7およびスイッチング素子Q8それぞれのコレクタ−エミッタ間電圧を強制的にローレベルにする。これにより、非接触給電装置120では、起動時に、制御回路52からの第1制御信号S1および第2制御信号S2を、対応する4つのスイッチング素子Q1〜Q4それぞれのゲート端子に入力させることが可能となる。
また、制御回路52は、非接触給電装置120の起動時に、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作がソフトスタートするように、第1制御信号S1および第2制御信号S2それぞれのデューティ比を小さくすることが好ましい。この場合も、制御回路52は、非接触給電装置120の起動時に、スイッチング素子Q7およびスイッチング素子Q8それぞれのコレクタ−エミッタ間電圧を強制的にローレベルにすることが好ましい。これにより、非接触給電装置120では、起動時、給電部12に突入電流が流れるのを抑制することが可能となる。
以上説明した非接触給電装置120では、制御回路52と停止部53とが、別体に構成されている。これにより、非接触給電装置120では、停止部53が、制御回路52を介さずに、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を、直接、停止させることが可能となる。よって、非接触給電装置120では、インバータ部10が遅相モードから進相モードに移行したとき、非接触給電装置100および非接触給電装置110よりも早く、4つのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作を停止させることが可能となる。
実施形態1〜3における給電コイル13および受電コイル23は、スパイラルコイルである。そのため、実施形態1〜3の非接触給電装置100,110,120では、給電コイル13としてソレノイドコイルを用いた場合に比べて、不要輻射ノイズが生じにくい、という利点がある。また、実施形態1〜3の非接触給電装置100,110,120では、不要輻射ノイズが低減される結果、インバータ部10において使用可能な動作周波数の範囲が拡大される、という利点もある。以下、この点について詳述する。
非接触給電システム300の共振特性は、給電コイル13と受電コイル23との結合係数に応じて変化し、ある条件下では、図9に示すように出力に2つの極大値が生じる、いわゆる双峰特性を示す。この共振特性(双峰特性)においては、図9に示すように、第1周波数fr1と第3周波数fr3とのそれぞれで出力が極大となる2つの“山”が生じる。これら2つの“山”の間には、第2周波数fr2で出力が極小となる“谷”が生じる。ここで、第1周波数fr1と第2周波数fr2と第3周波数fr3とは、fr1<fr2<fr3の関係にある。以下では、第2周波数fr2を基準に、第2周波数fr2より低い周波数領域を「低周波領域」といい、第2周波数fr2より高い周波数領域を「高周波領域」という。
このような共振特性にあっては、低周波領域の“山”(第1周波数fr1で極大となる山)と、高周波領域の“山”(第3周波数fr3で極大となる山)とのそれぞれに、インバータ部10が遅相モードで動作する領域(以下、「遅相領域」という)が生じる。そのため、インバータ部10は、動作周波数f1が2つの“山”のいずれにある場合でも、遅相モードで動作可能である。
ここで、インバータ部10の動作周波数f1が低周波領域の“山”にある場合と、高周波領域の“山”にある場合とを比較すると、低周波領域の“山”にある場合の方が、不要輻射ノイズは小さくなる。つまり、高周波領域の“山”においては、給電コイル13に流れる電流と、受電コイル23に流れる電流とが同位相になる。これに対して、低周波領域の“山”においては、給電コイル13に流れる電流と、受電コイル23に流れる電流とが逆位相になる。そのため、低周波領域の“山”においては、給電コイル13で生じる不要輻射ノイズと、受電コイル23で生じる不要輻射ノイズとが、互いに相殺されることになり、非接触給電システム300全体でみれば不要輻射ノイズは低減される。
したがって、実施形態1〜3の非接触給電装置100,110,120では、給電コイル13としてソレノイドコイルを用いた場合でも、インバータ部10の動作周波数f1が低周波領域の“山”の遅相領域(fr1〜fr2)にあれば、インバータ部10が遅相モードで動作し、かつ不要輻射ノイズも低減される。しかし、実施形態1〜3の非接触給電装置100,110,120において、給電コイル13としてソレノイドコイルを用いた場合、低周波領域の“山”の遅相領域は、給電コイル13と受電コイル23との結合係数に応じて変化するため、このような不確定な遅相領域にインバータ部10の動作周波数f1を収める制御が必要になる。
これに対して、実施形態1〜3の非接触給電装置100,110,120では、給電コイル13としてスパイラルコイルを用いているので、たとえインバータ部10の動作周波数f1が高周波領域の“山”の遅相領域(fr3より高周波側)にあっても、給電コイル13としてソレノイドコイルを用いた場合に比べて、不要輻射ノイズが大幅に低減される。つまり、実施形態1〜3の非接触給電装置100,110,120では、給電コイル13としてスパイラルコイルが用いられることで、インバータ部10の動作周波数f1が低周波領域の“山”の遅相領域に制限されず、インバータ部10において使用可能な動作周波数f1の範囲が拡大されることになる。なお、高周波領域の“山”の遅相領域も不確定な領域ではあるが、インバータ部10の動作周波数f1を十分に高い周波数から低周波側にスイープさせれば動作周波数f1は高周波領域の“山”の遅相領域を通るので、複雑な制御は不要である。
上記実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、上記実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。