JP4168549B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスモータをインバータ回路によって駆動制御するモータ制御装置に関し、特にインバータ回路を構成するスイッチング素子の故障を検出するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電力用のスイッチング素子をブリッジ接続したインバータ回路によってブラシレスモータの駆動制御を行うと共に、PWM(パルス幅変調)信号によって、そのモータの回転数(回転速度)を制御するように構成されたモータ制御装置が知られている。
【0003】
以下、この種の一般的なモータ制御装置の構成について、図4及び図5を用いて説明する。尚、図4及び図5は、モータ1がU相,V相,W相の3相の巻線(ステータコイル)L1〜L3を有するものであると共に、その巻線L1〜L3がデルタ形に結線されている場合を例示している。
【0004】
図4に示すように、この種のモータ制御装置は、モータ1が有する3相の各巻線端子Ju,Jv,Jw毎に、直流電源2の高電位側と該当する巻線端子との間に接続された正側スイッチング素子3p,4p,5pと、直流電源2の低電位側と該当する巻線端子との間に接続された負側スイッチング素子3n,4n,5nとを、夫々有した3相ブリッジ回路であるスイッチング回路6を備えている。尚、この例において、各スイッチング素子3p,3n,4p,4n,5p,5nとしては、NチャネルMOSFETが用いられている。また、スイッチング素子3p,3nはU相の巻線端子Juに対応して設けられ、スイッチング素子4p,4nはV相の巻線端子Jvに対応して設けられ、スイッチング素子5p,5nはW相の巻線端子Jwに対応して設けられている。
【0005】
そして、モータ制御装置は、スイッチング回路6を構成する上記各スイッチング素子3p,3n,4p,4n,5p,5nを所定の順序で順次オンさせるための各駆動信号Up,Un,Vp,Vn,Wp,Wnを、モータ1のロータ回転位置信号(図示省略)に基づき生成して出力する転流制御回路7も備えており、その転流制御回路7と上記スイッチング回路6とによりインバータ回路8が構成されている。
【0006】
また更に、モータ制御装置は、モータ1の回転数を制御するためのPWM信号を生成して出力するPWM信号発生回路9と、転流制御回路7からスイッチング回路6の各負側スイッチング素子3n,4n,5nに対応して出力される駆動信号Un,Vn,Wnの各々とPWM信号発生回路9から出力されるPWM信号とを入力としたアンドゲート13,14,15とを備えている。
【0007】
そして、このモータ制御装置では、転流制御回路7からスイッチング回路6の各正側スイッチング素子3p,4p,5pに対応して出力される駆動信号Up,Vp,Wpの各々が、該当する正側スイッチング素子3p,4p,5pのゲートに印加され、また、上記各アンドゲート13,14,15の出力が、該当する負側スイッチング素子3n,4n,5nのゲートに印加されるようになっている。
【0008】
このため、正側スイッチング素子3p,4p,5pの各々は、転流制御回路7からの自己に対応した駆動信号Up,Vp,Wpがハイレベルの時にオンし、負側スイッチング素子3n,4n,5nの各々は、PWM信号発生回路9からのPWM信号と転流制御回路7からの自己に対応した駆動信号Un,Vn,Wnとの論理積信号がハイレベルの時(即ち、駆動信号Un,Vn,WnとPWM信号との両方がハイレベルの時)にオンすることとなる(図5参照)。
【0009】
そして更に、このモータ制御装置では、転流制御回路7が、図5に示すタイミングで、各駆動信号Up,Un,Vp,Vn,Wp,Wnのレベルを順次ハイレベルとロウレベルとに切り換えることにより、モータ1を回転させる。尚、図5において、負側スイッチング素子3n,4n,5nに対応する各駆動信号Un,Vn,Wnについては、図の下側がハイレベルであることを示している。また、このことは、後述する図2においても同様である。
【0010】
つまり、例えばU相の巻線端子Juに対応して設けられた正側スイッチング素子3p及び負側スイッチング素子3nに着目すると、その各スイッチング素子3p,3nは、120度(電気角であり、以下同様)分の期間ずつ且つ60度分の期間を空けて交互にオンされることとなる。そして、V相の巻線端子Jvに対応して設けられた正側スイッチング素子4p及び負側スイッチング素子4nの駆動パターンと、W相の巻線端子Jwに対応して設けられた正側スイッチング素子5p及び負側スイッチング素子5nの駆動パターンは、夫々、上記U相のスイッチング素子3p,3nの駆動パターンに対して120度ずつ位相がずれたものとなる。このため、1つの相の巻線端子に着目すると、その巻線端子に対応して設けられた正側スイッチング素子と負側スイッチング素子とが共にオフである期間(上記60度分の期間)には、他の相の巻線端子に対応して設けられた正側スイッチング素子がオンされていると共に、その相以外の別の巻線端子に対応して設けられた負側スイッチング素子がPWM信号に従いオンされていることとなる。
【0011】
尚、図4及び図5は、負側スイッチング素子3n,4n,5nが、駆動信号Un,Vn,Wnのハイレベル期間中にPWM信号によってPWM制御される場合の構成例であるが、正側スイッチング素子3p,4p,5pの方、或いは、正側スイッチング素子3p,4p,5pと負側スイッチング素子3n,4n,5nとの両方がPWM制御される構成もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、この種のモータ制御装置において、インバータ回路8のスイッチング素子の1つがショートモードで故障すると、その故障したスイッチング素子と対に設けられたスイッチング素子がオンされた時に、その2つのスイッチング素子に大きな貫通電流が流れることとなる。例えば、図4の装置において、U相の負側スイッチング素子3nがショート故障すると、U相の正側スイッチング素子3pがオンされた時に、その両スイッチング素子3p,3n間に大電流が流れることとなる。
【0013】
そこで、従来のモータ制御装置では、こうしたスイッチング素子のショート故障を検出するために、図4に示す如く、負側スイッチング素子3n,4n,5nのソースと直流電源2のマイナス端子との間に、電流検出用のシャント抵抗16を設け、転流制御回路7が、上記シャント抵抗16の両端電位差が所定値以上になったことを検出すると、何れかのスイッチング素子がショート故障したと判断して、全スイッチング素子3p,3n〜5p,5nを強制的にオフさせるようにしていた(例えば、特開平6−209581号公報や特開平7−274580号公報)。
【0014】
しかしながら、このような検出方法では、ショート故障したスイッチング素子とは反対側のスイッチング素子がオンされて、その両スイッチング素子の間に貫通電流が流れてしまってからでしか故障の発生を検知することができず、その貫通電流によって本来正常であったスイッチング素子までも故障させてしてしまう可能性が高くなる。つまり、1つのスイッチング素子のショート故障が、それと対に設けられたスイッチング素子の故障を招いてしまい、装置の修理が大がかりなものとなってしまう。また、上記検出方法では、正常時においてもシャント抵抗16に電流が流れるため、そのシャント抵抗16でエネルギーロスが発生してしまう。
【0015】
一方、例えば特開平2−266891号公報には、モータを駆動している状態で、該モータの巻線端子の電圧が周期的に変化しない場合に、異常が発生していると判断して、全スイッチング素子の駆動を停止することが提案されている。しかし、このようにしても、貫通電流が流れてしまってからでしか故障の発生を検知することができず、前述したように故障を更に拡大させてしまう。
【0016】
また、例えば上記特開平7−274580号公報には、転流タイミング(即ち、各スイッチング素子3p,3n〜5p,5nへの駆動信号Up,Un〜Wp,Wnの切り替わりタイミング)の直後毎に、各巻線端子Ju,Jv,Jwの電圧Vu,Vv,Vwと基準電圧とを夫々大小比較して、その各比較結果が今回変化させた駆動信号Up,Un〜Wp,Wnの状態に合ったものでない場合に、異常が発生していると判断して、全スイッチング素子3p,3n〜5p,5nの駆動を停止するように構成することが記載されている。
【0017】
しかしながら、この方法では、異常の有無を判定してから(つまり、前回の転流タイミングから)次の転流タイミングまでの間に、何れかのスイッチング素子がショート故障した場合には、やはり、その故障したスイッチング素子と対に設けられたスイッチング素子がオンされて、本来正常であったスイッチング素子の故障を招いてしまう虞がある。例えば、図5において、駆動信号Unがハイレベルからロウレベルへ変化したタイミングから駆動信号Upがロウレベルからハイレベルへ変化するまでの間に、U相の負側スイッチング素子3nがショート故障した場合には、その故障を検出することなく次の転流タイミングでU相の正側スイッチング素子3pがオンされてしまい、その結果、スイッチング素子3pまでも故障してしまうこととなる。
【0018】
また更に、上記特開平7−274580号公報に記載の方法は、各駆動信号Up,Un〜Wp,Wnがある状態の時には、各スイッチング素子3p,3n〜5p,5nがその駆動信号Up,Un〜Wp,Wnに応じて駆動されているため、各巻線端子Ju,Jv,Jwの電圧Vu,Vv,Vwは駆動信号Up,Un〜Wp,Wnの状態に応じたレベルになっているはずである、といった観点でなされているが、前述したように、この種のモータ制御装置では、正側スイッチング素子3p〜5pと負側スイッチング素子3n〜5nとの一方又は両方がPWM制御されるため、駆動信号Up,Un〜Wp,Wnの状態と、スイッチング素子3p,3n〜5p,5nのオン/オフ状態とが常に一致する訳ではない。このため、上記特開平7−274580号公報に記載の方法では、常に正確な異常検出結果を得ることができず、やはり、前述の貫通電流を未然に且つ確実に防止することができない。
【0019】
本発明は、以上のような問題に鑑みなされたものであり、モータをインバータ回路によって駆動制御するモータ制御装置において、インバータ回路を構成するスイッチング素子のショート故障をいち早く確実に検出して、その故障したスイッチング素子と対に設けられたスイッチング素子がオンされてしまうことによる貫通電流の発生を未然に且つ確実に防止することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のモータ制御装置は、モータが有する複数相の各巻線端子毎に、直流電源の高電位側と前記巻線端子との間に接続された正側スイッチング素子と、前記直流電源の低電位側と前記巻線端子との間に接続された負側スイッチング素子とを、夫々有したスイッチング回路と、該スイッチング回路を構成する前記各スイッチング素子を順次オンさせるための各駆動信号を生成して出力する転流制御回路とからなるインバータ回路と、前記モータの回転数を制御するためのPWM信号を生成して出力するPWM信号発生回路とを備えている。そして、このモータ制御装置では、前記各正側スイッチング素子と前記各負側スイッチング素子との一方又は両方が、前記駆動信号と前記PWM信号とに基づいてオンされる。
【0021】
ここで特に、請求項1に記載のモータ制御装置は、モータの各巻線端子のうちの特定の巻線端子に対して、負側スイッチング素子異常検出手段と正側スイッチング素子駆動禁止手段とを備えている。
そして、負側スイッチング素子異常検出手段は、前記PWM信号がスイッチング素子をオンさせる方のアクティブレベルである期間中に前記特定の巻線端子の電圧が所定の基準電圧よりも低いか否かを、該PWM信号の各周期毎に逐次判定する。そして更に、正側スイッチング素子駆動禁止手段は、上記負側スイッチング素子異常検出手段によって前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも低いと判定されている場合に、当該特定の巻線端子に対して設けられている正側スイッチング素子がオンされるのを禁止する。
【0022】
つまり、この種のモータ制御装置では、前述したように、モータの1つの巻線端子に着目すると、その特定の巻線端子に対応して設けられた正側スイッチング素子と負側スイッチング素子とが両方共にオフされている期間(以下、オフ期間という)があり、そのオフ期間は、他の相の巻線端子に対応して設けられた正側スイッチング素子がオンされる期間、及び、その相以外の別の巻線端子に対応して設けられた負側スイッチング素子がオンされる期間と重なっている。よって、このオフ期間において、PWM信号発生回路からのPWM信号がアクティブレベルである時には、上記特定の巻線端子の電圧が、直流電源の高電位側と低電位側との間の所定電圧(例えば図4の構成では、直流電源2の出力電圧のほぼ1/2の電圧)となる。
【0023】
また、このオフ期間において、上記特定の巻線端子に対応して設けられた負側スイッチング素子がショート故障していると、上記特定の巻線端子の電圧は正常時よりも全体的に低くなる。よって、PWM信号がアクティブレベルである期間中に上記特定の巻線端子の電圧が上記所定電圧よりも低いか否かを、逐次判定するように構成すれば、その特定の巻線端子に対応して設けられている一対のスイッチング素子(正側スイッチング素子及び負側スイッチング素子)のうちで、正側スイッチング素子の方がオンされる期間の到来時までに、負側スイッチング素子の方がショート故障していれば、その異常を確実に検出することができる。
【0024】
そこで、請求項1に記載のモータ制御装置では、PWM信号がアクティブレベルである期間中に特定の巻線端子の電圧が基準電圧よりも低いか否かを、該PWM信号の各周期毎に逐次判定し、その判定により、特定の巻線端子の電圧が上記基準電圧よりも低いと判定されている場合には、その特定の巻線端子に対して設けられている正側スイッチング素子がオンされるのを禁止するようにしている。
【0025】
このため、請求項1に記載のモータ制御装置では、特定の巻線端子に対応して設けられている一対のスイッチング素子のうちで、正側スイッチング素子の方がオンされる期間の到来時までに、負側スイッチング素子の方がショート故障している場合には、その異常が確実に検出されて、正側スイッチング素子は、オンされる期間が到来してもオフされたままとなる。
【0026】
よって、この請求項1のモータ制御装置によれば、モータの巻線端子のうちの特定の巻線端子に対応して設けられている負側スイッチング素子がショート故障していることをいち早く確実に検出して、その故障した負側スイッチング素子と対に設けられた正側スイッチング素子がオンされてしまうことによる貫通電流の発生を未然に且つ確実に防止することができ、延いては、故障の拡大を確実に防止することができるようになる。
【0027】
そして、負側スイッチング素子異常検出手段と正側スイッチング素子駆動禁止手段とを、モータの巻線端子の各々に対して設けるようにすれば、何れの負側スイッチング素子がショート故障しても、それと対の正側スイッチング素子がオンされることを未然に防止して、故障の拡大を確実に防止することができる。
【0028】
次に、請求項2に記載のモータ制御装置では、その前提の構成は請求項1に記載のモータ制御装置と同様であるが、請求項1のモータ制御装置と比較すると、前述した負側スイッチング素子異常検出手段及び正側スイッチング素子駆動禁止手段に代えて、正側スイッチング素子異常検出手段と負側スイッチング素子駆動禁止手段とを、モータの各巻線端子のうちの特定の巻線端子に対して設けるようにしている。
【0029】
そして、正側スイッチング素子異常検出手段は、前記PWM信号がスイッチング素子をオンさせる方のアクティブレベルである期間中に前記特定の巻線端子の電圧が所定の基準電圧よりも高いか否かを、該PWM信号の各周期毎に逐次判定する。そして更に、負側スイッチング素子駆動禁止手段は、上記正側スイッチング素子異常検出手段によって前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも高いと判定されている場合に、当該特定の巻線端子に対して設けられている負側スイッチング素子がオンされるのを禁止する。
【0030】
つまり、この種のモータ制御装置では、前述したように、モータの1つの巻線端子に着目すると、その特定の巻線端子に対応して設けられた正側スイッチング素子と負側スイッチング素子とが両方共にオフされているオフ期間があり、そのオフ期間において、PWM信号発生回路からのPWM信号がアクティブレベルである時には、上記特定の巻線端子の電圧が、直流電源の高電位側と低電位側との間の所定電圧となる。
【0031】
そして、このオフ期間において、上記特定の巻線端子に対応して設けられた正側スイッチング素子がショート故障していると、上記特定の巻線端子の電圧は正常時よりも全体的に高くなるため、PWM信号がアクティブレベルである期間中に上記特定の巻線端子の電圧が上記所定電圧よりも高いか否かを、逐次判定するように構成すれば、その特定の巻線端子に対応して設けられている一対のスイッチング素子のうちで、負側スイッチング素子の方がオンされる期間の到来時までに、正側スイッチング素子の方がショート故障していれば、その異常を確実に検出することができる。
【0032】
そこで、請求項2に記載のモータ制御装置では、PWM信号がアクティブレベルである期間中に特定の巻線端子の電圧が基準電圧よりも高いか否かを、該PWM信号の各周期毎に逐次判定し、その判定により、特定の巻線端子の電圧が上記基準電圧よりも高いと判定されている場合には、その特定の巻線端子に対して設けられている負側スイッチング素子がオンされるのを禁止するようにしている。
【0033】
このため、請求項2に記載のモータ制御装置では、特定の巻線端子に対応して設けられている一対のスイッチング素子のうちで、負側スイッチング素子の方がオンされる期間の到来時までに、正側スイッチング素子の方がショート故障している場合には、その異常が確実に検出されて、負側スイッチング素子は、オンされる期間が到来してもオフされたままとなる。
【0034】
よって、この請求項2のモータ制御装置によれば、モータの巻線端子のうちの特定の巻線端子に対応して設けられている正側スイッチング素子がショート故障していることをいち早く確実に検出して、その故障した正側スイッチング素子と対に設けられた負側スイッチング素子がオンされてしまうことによる貫通電流の発生を未然に且つ確実に防止することができ、延いては、故障の拡大を確実に防止することができるようになる。
【0035】
そして、正側スイッチング素子異常検出手段と負側スイッチング素子駆動禁止手段とを、モータの巻線端子の各々に対して設けるようにすれば、何れの正側スイッチング素子がショート故障しても、それと対の負側スイッチング素子がオンされることを未然に防止して、故障の拡大を確実に防止することができる。
【0036】
ところで、前述の請求項1に記載のモータ制御装置において、負側スイッチング素子異常検出手段と正側スイッチング素子駆動禁止手段は、請求項3に記載の如く構成することができる。
即ち、まず、負側スイッチング素子異常検出手段は、前記特定の巻線端子の電圧と前記基準電圧とを入力として、前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも低い時に、ハイレベルとロウレベルとのうちで予め定められた方のレベルの信号を出力する比較器と、ゲート端子に前記PWM信号が入力されると共に、データ端子に前記比較器の出力信号が入力され、前記PWM信号がアクティブレベルである時には、前記比較器の出力信号をそのまま出力端子から出力し、前記PWM信号がスイッチング素子をオフさせる方のパッシブレベルである時には、前記PWM信号がアクティブレベルからパッシブレベルへ変化した時点の前記比較器の出力信号をラッチして出力端子から出力するラッチ回路と、から構成することができる。
【0037】
そして、負側スイッチング素子異常検出手段を上記比較器及びラッチ回路によって構成した場合、PWM信号がアクティブレベルである期間中に特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも低いと、ラッチ回路の出力端子からは前記定められた方のレベルの信号が出力されることとなるため、正側スイッチング素子駆動禁止手段は、前記ラッチ回路の出力端子から前記定められた方のレベルの信号が出力されている時に、前記特定の巻線端子に対して設けられている正側スイッチング素子がオンされるのを禁止するように構成すれば良い。
【0038】
そして、このような請求項3に記載の構成によれば、非常に簡単な回路構成で、請求項1に記載のモータ制御装置による効果を得ることができる。
一方、前述の請求項2に記載のモータ制御装置において、正側スイッチング素子異常検出手段と負側スイッチング素子駆動禁止手段は、請求項4に記載の如く構成することができる。
【0039】
即ち、まず、正側スイッチング素子異常検出手段は、前記特定の巻線端子の電圧と前記基準電圧とを入力として、前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも高い時に、ハイレベルとロウレベルとのうちで予め定められた方のレベルの信号を出力する比較器と、ゲート端子に前記PWM信号が入力されると共に、データ端子に前記比較器の出力信号が入力され、前記PWM信号がアクティブレベルである時には、前記比較器の出力信号をそのまま出力端子から出力し、前記PWM信号がスイッチング素子をオフさせる方のパッシブレベルである時には、前記PWM信号がアクティブレベルからパッシブレベルへ変化した時点の前記比較器の出力信号をラッチして出力端子から出力するラッチ回路と、から構成することができる。
【0040】
そして、正側スイッチング素子異常検出手段を上記比較器及びラッチ回路によって構成した場合、PWM信号がアクティブレベルである期間中に特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも高いと、ラッチ回路の出力端子からは前記定められた方のレベルの信号が出力されることとなるため、負側スイッチング素子駆動禁止手段は、前記ラッチ回路の出力端子から前記定められた方のレベルの信号が出力されている時に、前記特定の巻線端子に対して設けられている負側スイッチング素子がオンされるのを禁止するように構成すれば良い。
【0041】
そして、このような請求項4に記載の構成によれば、非常に簡単な回路構成で、請求項2に記載のモータ制御装置による効果を得ることができる。
次に、請求項5に記載のモータ制御装置では、請求項1又は請求項3に記載のモータ制御装置において、前記特定の巻線端子に対し、請求項2又は請求項4に記載の正側スイッチング素子異常検出手段及び負側スイッチング素子駆動禁止手段を設けるようにしている。
【0042】
このため、請求項5に記載のモータ制御装置によれば、請求項1,3のモータ制御装置による効果と、請求項2,4のモータ制御装置による効果との、両方の効果を得ることができる。つまり、特定の巻線端子に対応して設けられている負側スイッチング素子と正側スイッチング素子との何れがショート故障しても、その故障したスイッチング素子と反対側のスイッチング素子がオンされてしまうことによる貫通電流の発生を未然に且つ確実に防止して、故障の拡大を確実に防ぐことができるようになる。
【0043】
次に、請求項6に記載のモータ制御装置では、請求項5に記載のモータ制御装置において、前記負側スイッチング素子異常検出手段、前記正側スイッチング素子駆動禁止手段、前記正側スイッチング素子異常検出手段、及び前記負側スイッチング素子駆動禁止手段を、モータの各巻線端子毎に夫々設けるようにしている。
【0044】
このため、請求項6に記載のモータ制御装置によれば、スイッチング回路を構成する何れのスイッチング素子がショート故障しても、それと対のスイッチング素子がオンされることを未然に防止して、故障の拡大を確実に防止することができる。
【0045】
次に、請求項7に記載のモータ制御装置では、その前提の構成は請求項1,2に記載のモータ制御装置と同様であるが、異常検出手段が、モータの各巻線端子のうちの特定の巻線端子の電圧を、前記PWM信号がスイッチング素子をオンさせる方のアクティブレベルである期間毎に監視すると共に、前記特定の巻線端子に対して設けられている正側及び負側スイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対応する駆動信号がアクティブレベルになった時点で得ている前記監視結果に基づいて、他方のスイッチング素子の異常を検出する。
【0046】
このモータ制御装置によれば、特定の巻線端子に対して設けられている一対のスイッチング素子(正側スイッチング素子及び負側スイッチング素子)のうち、一方のスイッチング素子をオンさせようとする時に、他方のスイッチング素子がショート故障していることを確実に検出することができる。そして、異常検出手段によって異常が検出されると、少なくとも上記一方のスイッチング素子(オンさせようとしているスイッチング素子)がオンされるのを禁止する手段を設ければ、前述の貫通電流による故障の拡大を確実に防止することができるようになる。尚、異常検出手段によって異常が検出された場合に、全てのスイッチング素子のオンを禁止するようにしても良い。
【0047】
また、この請求項7のモータ制御装置において、請求項8に記載の如く、異常検出手段を、モータの各巻線端子毎に夫々設けるようにすれば、各巻線端子に対して設けられた各組のスイッチング素子について、上記効果が得られる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態のモータ制御装置について、図面を用いて説明する。
まず図1は、第1実施形態のモータ制御装置の構成を表す回路図である。尚、図1において、前述した図4と同じ構成要素については同一の符号を付しているため、説明は省略する。
【0049】
図1に示すように、第1実施形態のモータ制御装置は、前述した図4のモータ制御装置と比較して、シャント抵抗16が設けられておらず、その代わりに以下の構成を有している。
まず、本第1実施形態のモータ制御装置は、反転入力端子(−端子)にモータ1のU相の巻線端子Juの電圧Vuが入力されると共に、非反転入力端子(+端子)に基準電圧発生回路18からの基準電圧Vrefが入力され、更に、出力端子が抵抗19によって電源電圧VDにプルアップされた比較器20と、ゲート端子GにPWM信号発生回路9からのPWM信号が入力されると共に、データ端子Dに比較器20の出力信号が入力され、PWM信号がアクティブレベルとしてのハイレベルである時には、比較器20の出力信号をそのまま出力端子Qから出力し、PWM信号がパッシブレベルとしてのロウレベルである時には、PWM信号がハイレベルからロウレベルへ変化した時点の比較器20の出力信号をラッチして出力端子Qから出力する2つのラッチ回路21p,21nとを備えている。
【0050】
尚、ラッチ回路21p,21nは、出力端子Qから出力している信号のレベルと反対のレベルの信号を、反転出力端子QBから出力する。
また、基準電圧発生回路18は、図2における「U相巻線端子の電圧Vu」の段の点線で示すように、転流制御回路7からU相の正側スイッチング素子3pに対応して出力される駆動信号Upがハイレベルに切り替わった時から、同じく転流制御回路7からU相の負側スイッチング素子3nに対応して出力される駆動信号Unがハイレベルに切り替わる時までの期間は、直流電源2の出力電圧の1/2の電圧よりも若干高い電圧(本実施形態では、直流電源2の出力電圧の3/4の電圧)を、基準電圧Vrefとして出力し、上記駆動信号Unがハイレベルに切り替わった時から、上記駆動信号Upがハイレベルに切り替わる時までの期間は、直流電源2の出力電圧の1/2の電圧よりも若干低い電圧(本実施形態では、直流電源2の出力電圧の1/4の電圧)を、基準電圧Vrefとして出力する。
【0051】
そして更に、本実施形態のモータ制御装置は、転流制御回路7からの駆動信号Upとラッチ回路21pの反転出力端子QBの信号との論理積信号を、U相の正側スイッチング素子3pのゲートに出力するアンドゲート22pと、アンドゲート13の出力信号(即ち、転流制御回路7からの駆動信号UnとPWM信号発生回路9からのPWM信号との論理積信号)とラッチ回路21nの出力端子Qの信号との論理積信号を、U相の負側スイッチング素子3nのゲートに出力するアンドゲート22nとを備えている。
【0052】
また、図1では、U相の巻線端子Juに対して設けられた回路のみを示しているが、本実施形態のモータ制御装置は、他のV相とW相の各巻線端子Jv,Jwに対しても、上記と同様の回路(基準電圧発生回路18、抵抗19、比較器20、ラッチ回路21p,21n、及びアンドゲート22p,22n)を夫々有している。
【0053】
つまり、V相の巻線端子Jvに対して設けられた基準電圧発生回路18、抵抗19、比較器20、ラッチ回路21p,21n、及びアンドゲート22p,22nからなる部分においては、比較器20の反転入力端子に、V相の巻線端子Jvの電圧Vvが入力されている。
【0054】
そして、基準電圧発生回路18は、転流制御回路7からV相の正側スイッチング素子4pに対応して出力される駆動信号Vpがハイレベルに切り替わった時から、同じく転流制御回路7からV相の負側スイッチング素子4nに対応して出力される駆動信号Vnがハイレベルに切り替わる時までの期間は、直流電源2の出力電圧の1/2の電圧よりも若干高い電圧(本実施形態では、直流電源2の出力電圧の3/4の電圧)を、基準電圧Vrefとして出力し、上記駆動信号Vnがハイレベルに切り替わった時から、上記駆動信号Vpがハイレベルに切り替わる時までの期間は、直流電源2の出力電圧の1/2の電圧よりも若干低い電圧(本実施形態では、直流電源2の出力電圧の1/4の電圧)を、基準電圧Vrefとして出力する。
【0055】
そして更に、アンドゲート22pは、転流制御回路7からの駆動信号Vpとラッチ回路21pの反転出力端子QBの信号との論理積信号を、V相の正側スイッチング素子4pのゲートに出力し、アンドゲート22nは、アンドゲート14の出力信号(即ち、転流制御回路7からの駆動信号VnとPWM信号との論理積信号)とラッチ回路21nの出力端子Qの信号との論理積信号を、V相の負側スイッチング素子4nのゲートに出力する。
【0056】
同様に、W相の巻線端子Jwに対して設けられた基準電圧発生回路18、抵抗19、比較器20、ラッチ回路21p,21n、及びアンドゲート22p,22nからなる部分においては、比較器20の反転入力端子に、W相の巻線端子Jwの電圧Vwが入力されている。
【0057】
そして、基準電圧発生回路18は、転流制御回路7からW相の正側スイッチング素子5pに対応して出力される駆動信号Wpがハイレベルに切り替わった時から、同じく転流制御回路7からW相の負側スイッチング素子5nに対応して出力される駆動信号Wnがハイレベルに切り替わる時までの期間は、直流電源2の出力電圧の1/2の電圧よりも若干高い電圧(本実施形態では、直流電源2の出力電圧の3/4の電圧)を、基準電圧Vrefとして出力し、上記駆動信号Wnがハイレベルに切り替わった時から、上記駆動信号Wpがハイレベルに切り替わる時までの期間は、直流電源2の出力電圧の1/2の電圧よりも若干低い電圧(本実施形態では、直流電源2の出力電圧の1/4の電圧)を、基準電圧Vrefとして出力する。
【0058】
そして更に、アンドゲート22pは、転流制御回路7からの駆動信号Wpとラッチ回路21pの反転出力端子QBの信号との論理積信号を、W相の正側スイッチング素子5pのゲートに出力し、アンドゲート22nは、アンドゲート15の出力信号(即ち、転流制御回路7からの駆動信号WnとPWM信号との論理積信号)とラッチ回路21nの出力端子Qの信号との論理積信号を、W相の負側スイッチング素子5nのゲートに出力する。
【0059】
次に、上記のように構成された本第1実施形態のモータ制御装置の作用を、U相の巻線端子Juに対して設けられた回路部分を例に挙げて説明する。
まず、比較器20は、U相の巻線端子Juの電圧Vuと基準電圧発生回路18からの基準電圧Vrefとを大小比較して、U相の巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも低い時にハイレベルの信号を出力する。
【0060】
そして、ラッチ回路21pは、PWM信号がハイレベルの時に、比較器20の出力信号を出力端子Qからそのまま出力し、PWM信号がロウレベルの時には、そのPWM信号がハイレベルからロウレベルへ変化した時点の比較器20の出力信号をラッチして出力端子Qから出力する。また、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからアンドゲート22pへは、常に出力端子Qの信号とは反対のレベルの信号が出力される。
【0061】
ここで、ラッチ回路21pの出力端子Qからロウレベルの信号が出力されている時(即ち、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからハイレベルの信号が出力されている時)には、アンドゲート22pからU相の正側スイッチング素子3pのゲートへ、転流制御回路7からの駆動信号Upが印加される。これに対して、ラッチ回路21pの出力端子Qからハイレベルの信号が出力されている時(即ち、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからロウレベルの信号が出力されている時)には、アンドゲート22pの出力がロウレベルに保持されるため、U相の正側スイッチング素子3pのゲートは、転流制御回路7からの駆動信号Upに拘わらず、強制的にロウレベルとなり、正側スイッチング素子3pのオンが禁止される。
【0062】
このため、本第1実施形態のモータ制御装置では、U相の巻線端子Juに対して設けられた比較器20及びラッチ回路21pにより、PWM信号がハイレベルである期間中にU相の巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも低いか否かが、PWM信号の各周期毎に逐次判定されることとなる。そして、巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも低いと判定されている場合(つまり、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからロウレベルの信号が出力されている時)には、U相の巻線端子Juに対して設けられたアンドゲート22pにより、U相の正側スイッチング素子3pのオンが禁止されることとなる。
【0063】
尚、本第1実施形態では、比較器20とラッチ回路21pが負側スイッチング素子異常検出手段に相当し、アンドゲート22pが正側スイッチング素子駆動禁止手段に相当している。そして、比較器20から出力されるハイレベルの信号とロウレベルの信号とのうちで、ハイレベルの信号が、請求項3における「予め定められた方のレベルの信号」に相当している。
【0064】
一方、比較器20は、U相の巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧発生回路18からの基準電圧Vrefよりも高い時にロウレベルの信号を出力する。
そして、ラッチ回路21nは、ラッチ回路21pと同様に、PWM信号がハイレベルの時に、比較器20の出力信号を出力端子Qからそのまま出力し、PWM信号がロウレベルの時には、そのPWM信号がハイレベルからロウレベルへ変化した時点の比較器20の出力信号をラッチして出力端子Qから出力する。
【0065】
ここで、ラッチ回路21nの出力端子Qからハイレベルの信号が出力されている時には、アンドゲート22nからU相の負側スイッチング素子3nのゲートへ、駆動信号UnとPWM信号との論理積信号(アンドゲート13の出力)が印加される。これに対して、ラッチ回路21nの出力端子Qからロウレベルの信号が出力されている時には、アンドゲート22nの出力がロウレベルに保持されるため、U相の負側スイッチング素子3nのゲートは、転流制御回路7からの駆動信号Unに拘わらず、強制的にロウレベルとなり、負側スイッチング素子3nのオンが禁止される。
【0066】
このため、本第1実施形態のモータ制御装置では、U相の巻線端子Juに対して設けられた比較器20及びラッチ回路21nにより、PWM信号がハイレベルである期間中にU相の巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも高いか否かが、PWM信号の各周期毎に逐次判定されることとなる。そして、巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも高いと判定されている場合(つまり、ラッチ回路21nの出力端子Qからロウレベルの信号が出力されている時)には、U相の巻線端子Juに対して設けられたアンドゲート22nにより、U相の負側スイッチング素子3nのオンが禁止されることとなる。
【0067】
尚、本第1実施形態では、比較器20とラッチ回路21nが正側スイッチング素子異常検出手段に相当し、アンドゲート22nが負側スイッチング素子駆動禁止手段に相当している。そして、比較器20から出力されるハイレベルの信号とロウレベルの信号とのうちで、ロウレベルの信号が、請求項4における「予め定められた方のレベルの信号」に相当している。
【0068】
このような本第1実施形態のモータ制御装置において、例えば、図2の時刻t1よりも左側に示すように、スイッチング回路6の全スイッチング素子3p〜5nが正常な場合には、U相の正側スイッチング素子3pと負側スイッチング素子3nとが両方共にオフされているオフ期間(転流制御回路7からの駆動信号Up,Unが両方共にロウレベルである期間)K1,K2について見ると、正側スイッチング素子3pがオンされる期間の直前のオフ期間K1においては、W相の正側スイッチング素子5pが駆動信号Wpに従いオンされると共に、V相の負側スイッチング素子4nが駆動信号VnとPWM信号との論理積信号に従いオンされ、また、負側スイッチング素子3nがオンされる期間の直前のオフ期間K2においては、V相の正側スイッチング素子4pが駆動信号Vpに従いオンされると共に、W相の負側スイッチング素子5nが駆動信号WnとPWM信号との論理積信号に従いオンされている。
【0069】
このため、正常時の上記オフ期間K1において、PWM信号がハイレベルの時には、U相の巻線端子Juの電圧Vuが、直流電源2の出力電圧のほぼ1/2の電圧(その時の基準電圧Vrefよりも高い電圧)となり、比較器20からロウレベルの信号が出力されるため、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからはハイレベルの信号が出力される。よって、転流制御回路7からの駆動信号Upがハイレベルになると、U相の正側スイッチング素子3pがアンドゲート22pを介してオンされることとなる。尚、正常時の上記オフ期間K1及び正側スイッチング素子3pのオン期間(駆動信号Upがハイレベルの期間)において、ラッチ回路21nの出力端子Qからはロウレベルの信号が出力されることとなるが、元々、U相の負側スイッチング素子3nをオンさせる期間ではないため、スイッチング回路6の正常動作に影響は無い。
【0070】
また、正常時の上記オフ期間K2において、PWM信号がハイレベルの時には、U相の巻線端子Juの電圧Vuが、直流電源2の出力電圧のほぼ1/2の電圧(その時の基準電圧Vrefよりも低い電圧)となり、比較器20からハイレベルの信号が出力されるため、ラッチ回路21nの出力端子Qからハイレベルの信号が出力される。よって、転流制御回路7からの駆動信号Unがハイレベルになると、U相の負側スイッチング素子3nがアンドゲート22nを介してPWM信号に従いオンされることとなる。尚、正常時の上記オフ期間K2及び負側スイッチング素子3nのオン期間(駆動信号Unがハイレベルの期間)において、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからはロウレベルの信号が出力されることとなるが、元々、U相の正側スイッチング素子3pをオンさせる期間ではないため、スイッチング回路6の正常動作に影響は無い。
【0071】
これに対して、例えば、図2の時刻t1にて、U相の負側スイッチング素子3nがショート故障したとすると、U相の巻線端子Juの電圧Vuは正常時よりも全体的に低くなる。そして、正側スイッチング素子3pがオンされる期間の直前のオフ期間K3において、U相の巻線端子Juの電圧Vuは、PWM信号がハイレベルの時に基準電圧発生回路18からの基準電圧Vrefよりも低くなり、比較器20からハイレベルの信号が出力されるため、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからロウレベルの信号が出力されるようになる。尚、図2の時刻t1よりも右側は、負側スイッチング素子3nが完全なショートではなく、レアショートのモードで故障している場合(即ち、負側スイッチング素子3nはそれなりに動作するが、電圧Vuは低くなる状態)を例示している。
【0072】
すると、図2における「スイッチング素子3pのゲート」の段に示すように、U相の正側スイッチング素子3pのゲートは、転流制御回路7からの駆動信号Upがハイレベルになっても、アンドゲート22pによってロウレベルに保持され、その正側スイッチング素子3pのオンが禁止されることとなる。尚、このようにスイッチング素子のオンが禁止されることで、モータの回転は徐々に停止し、やがては、転流制御回路7から駆動信号が出力されなくなる。
【0073】
また、図2では、負側スイッチング素子3nが、そのオン期間中にショート故障した場合を例示しているが、上述した正側スイッチング素子3pのオン禁止は、正側スイッチング素子3pの駆動信号Upがロウレベルからハイレベルへ変化する直前に負側スイッチング素子3nがショート故障した場合でも、同様に行われることとなる。
【0074】
つまり、正側スイッチング素子3pのオン期間の到来時までに、負側スイッチング素子3nの方がショート故障している場合には、その異常が確実に検出されて、正側スイッチング素子3pはオン期間が到来してもオフされたままとなる。よって、本第1実施形態のモータ制御装置によれば、ショート故障した負側スイッチング素子3nと対の正側スイッチング素子3pがオンされてしまうことによる貫通電流の発生を未然に且つ確実に防止して、正常な正側スイッチング素子3pまでも故障させてしまうことを確実に防ぐことができる。そして、このことは、V相及びW相の各スイッチング素子4p,4n,5p,5nについても全く同様である。
【0075】
一方、図2には示していないが、本第1実施形態のモータ制御装置において、U相の正側スイッチング素子3pがショート故障したとすると、U相の巻線端子Juの電圧Vuは正常時よりも全体的に高くなる。そして、負側スイッチング素子3nがオンされる期間の直前のオフ期間において、U相の巻線端子Juの電圧Vuは、PWM信号がハイレベルの時に基準電圧発生回路18からの基準電圧Vrefよりも高くなり、比較器20からロウレベルの信号が出力されるため、ラッチ回路21nの出力端子Qからロウレベルの信号が出力されるようになる。
【0076】
すると、U相の負側スイッチング素子3nのゲートは、転流制御回路7からの駆動信号Unがハイレベルになっても、アンドゲート22nによってロウレベルに保持され、その負側スイッチング素子3nのオンが禁止されることとなる。そして、このような負側スイッチング素子3nのオン禁止は、負側スイッチング素子3nの駆動信号Unがロウレベルからハイレベルへ変化する直前に正側スイッチング素子3pがショート故障した場合でも行われることとなる。
【0077】
よって、本第1実施形態のモータ制御装置によれば、ショート故障した正側スイッチング素子3pと対の負側スイッチング素子3nがオンされてしまうことによる貫通電流の発生を未然に且つ確実に防止して、正常な負側スイッチング素子3nまでも故障させてしまうことを確実に防ぐことができる。そして、このことは、V相及びW相の各スイッチング素子4p,4n,5p,5nについても全く同様である。
【0078】
以上のように本第1実施形態のモータ制御装置によれば、スイッチング回路6を構成する何れのスイッチング素子がショート故障しても、その故障をいち早く確実に検出して、それと対に設けられたスイッチング素子がオンされてしまうことを未然に防止することができ、故障の拡大を確実に防ぐことができる。
【0079】
尚、上記第1実施形態では、1つの比較器20を2つのラッチ回路21p,21nで共用すると共に、比較器20に入力する基準電圧Vrefを基準電圧発生回路18によって切り換えるようにしたが、各ラッチ回路21p,21n毎に比較器を設け、その各比較器に個別の基準電圧を夫々入力するように構成しても良い。そして、この場合には、基準電圧発生回路18を省略することができる。
【0080】
また、上記第1実施形態において、アンドゲート13〜15を設けることに代えて、アンドゲート22nを3入力アンドゲートとし、その3入力アンドゲートの入力端子に、PWM信号発生回路9からのPWM信号と転流制御回路7からの駆動信号とを入力するように構成しても良い。
【0081】
また更に、図1の回路では、各巻線端子Ju,Jv,Jw毎に2つのラッチ回路21p,21nを設けているが、例えば一方のラッチ回路21nを削除して、他方のラッチ回路21pの出力端子Qの信号を、アンドゲート22nに入力するように構成しても構わない。つまり、2つのラッチ回路21p,21nは、1つのラッチ回路に置き換えることができる。
【0082】
次に、図3は、第2実施形態のモータ制御装置の構成を表す回路図である。尚、図3において、前述した図1及び図4と同じ構成要素については同一の符号を付しているため、説明は省略する。
図3に示すように、本第2実施形態のモータ制御装置は、図1に示した第1実施形態のモータ制御装置と比較して、下記の(1)及び(2)の点が異なっている。
【0083】
(1)第1実施形態の変形例として前述したように、ラッチ回路21nが削除されていると共に、ラッチ回路21pの出力端子Qの信号が、アンドゲート22nに入力されている。尚、ラッチ回路21pの反転出力端子QBの信号は、第1実施形態と同様に、アンドゲート22pに入力されている。
【0084】
(2)転流制御回路7からの駆動信号Upとラッチ回路21pの出力端子Qの信号との論理積信号を出力するアンドゲート23pと、転流制御回路7からの駆動信号Unとラッチ回路21pの反転出力端子QBの信号との論理積信号を出力するアンドゲート23nと、アンドゲート23pの出力信号とアンドゲート23nの出力信号との論理和信号を出力するオアゲート24と、オアゲート24からハイレベル信号が出力されると、そのハイレベル信号をラッチして、異常検出信号として出力する異常検出信号出力回路25と、が追加されている。
【0085】
そして、本第2実施形態において、転流制御回路7は、異常検出信号出力回路25からハイレベルの異常検出信号が出力されると、全ての駆動信号Up〜Wnをロウレベルにする。
尚、図3では、前述した図1と同様に、U相の巻線端子Ju及び駆動信号Up,Unに対して設けられた回路のみを示しているが、本第2実施形態のモータ制御装置は、V相の巻線端子Jv及び駆動信号Vp,VnとW相の巻線端子Jw及び駆動信号Wp,Wnとに対しても、上記と同様のアンドゲート23p,23n及びオアゲート24を夫々備えている。そして、異常検出信号出力回路25は、何れかのオアゲート24からハイレベル信号が出力されると、ハイレベルの異常検出信号を出力する。すると、転流制御回路7から出力される全ての駆動信号Up〜Wnがロウレベルに保持されて、3相全てのスイッチング素子3p〜5nのオンが禁止されることとなる。
【0086】
このような本第2実施形態のモータ制御装置において、比較器20とラッチ回路21pの動作は、第1実施形態の場合と同じである。
例えば、U相の巻線端子Juに対して設けられた比較器20及びラッチ回路21pにより、PWM信号がアクティブレベルとしてのハイレベルである期間毎に、U相の巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも低いか否かが判定されて、電圧Vuが基準電圧Vrefよりも低いと判定されている場合には、ラッチ回路21pの出力端子Qからハイレベル信号が出力される。また、U相の巻線端子Juに対して設けられた比較器20及びラッチ回路21pにより、PWM信号がアクティブレベルとしてのハイレベルである期間毎に、U相の巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも高いか否かが判定されて、電圧Vuが基準電圧Vrefよりも高いと判定されている場合には、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからハイレベル信号が出力される。
【0087】
そして特に、本第2実施形態のモータ制御装置において、転流制御回路7からの駆動信号Upがロウレベルからハイレベルに変化した時点で、ラッチ回路21pの出力端子Qからハイレベル信号が出力されていたならば(即ち、U相巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも低いと判定されていたならば)、アンドゲート23pからオアゲート24を介して、異常検出信号出力回路25へハイレベル信号が出力される。すると、その時点から、全駆動信号Up〜Wnがロウレベルに保持されて、全スイッチング素子3p〜5nのオンが禁止されることとなる。
【0088】
よって、例えば、図2に示したオフ期間K2の開始時からオフ期間K3の終了時までの期間中(即ち、U相の正側スイッチング素子3pが前回にオンされてから次にオンされるまでの期間中)に、U相の負側スイッチング素子3nがショート故障したとすると、オフ期間K3が終了して正側スイッチング素子3pに対応する駆動信号Upがハイレベルに変化する時点では、ラッチ回路21pの出力端子Qからハイレベル信号が出力されていることとなり、その時点で、上記負側スイッチング素子3nのショート故障が検出されて、アンドゲート23pからハイレベル信号が出力される。そして、以後、全スイッチング素子3p〜5nのオンが禁止されることとなる。
【0089】
同様に、転流制御回路7からの駆動信号Unがロウレベルからハイレベルに変化した時点で、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからハイレベル信号が出力されていたならば(即ち、U相巻線端子Juの電圧Vuが基準電圧Vrefよりも高いと判定されていたならば)、アンドゲート23nからオアゲート24を介して、異常検出信号出力回路25へハイレベル信号が出力される。すると、その時点から、全駆動信号Up〜Wnがロウレベルに保持されて、全スイッチング素子3p〜5nのオンが禁止されることとなる。
【0090】
よって、例えば、図2に示したオフ期間K1の開始時からオフ期間K2の終了時までの期間中(即ち、U相の負側スイッチング素子3nが前回にオンされてから次にオンされるまでの期間中)に、U相の正側スイッチング素子3pがショート故障したとすると、オフ期間K2が終了して負側スイッチング素子3nに対応する駆動信号Unがハイレベルに変化した時点では、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからハイレベル信号が出力されていることとなり、その時点で、上記正側スイッチング素子3pのショート故障が検出されて、アンドゲート23nからハイレベル信号が出力される。そして、以後、全スイッチング素子3p〜5nのオンが禁止されることとなる。
【0091】
つまり、本第2実施形態では、比較器20,ラッチ回路21p,及びアンドゲート23pからなる異常検出手段により、特定の巻線端子の電圧をPWM信号がアクティブレベルである期間毎に監視すると共に、その特定の巻線端子に対して設けられている正側及び負側スイッチング素子のうち、正側スイッチング素子に対応する駆動信号がアクティブレベルになった時点で得ている上記監視結果(ラッチ回路21pの出力端子Qの論理レベル)に基づいて、負側スイッチング素子の異常を検出するようにしている。
【0092】
また、比較器20,ラッチ回路21p,及びアンドゲート23nからなる異常検出手段により、特定の巻線端子の電圧をPWM信号がアクティブレベルである期間毎に監視すると共に、その特定の巻線端子に対して設けられている正側及び負側スイッチング素子のうち、負側スイッチング素子に対応する駆動信号がアクティブレベルになった時点で得ている上記監視結果(ラッチ回路21pの反転出力端子QBの論理レベル)に基づいて、正側スイッチング素子の異常を検出するようにしている。
【0093】
そして、異常を検出した場合には、全てのスイッチング素子3p〜5nのオンを禁止するようにしている。
このため、本第2実施形態のモータ制御装置によっても、第1実施形態のモータ制御装置と同様に、スイッチング回路6を構成するスイッチング素子のショート故障をいち早く確実に検出して、それと対に設けられたスイッチング素子がオンされてしまうことを未然に防止することができ、故障の拡大を確実に防ぐことができる。
【0094】
また、本第2実施形態のモータ制御装置によれば、スイッチング素子のオープン故障も検出することができる。
例えば、U相の正側スイッチング素子3pがオープン故障したとすると、そのスイッチング素子3pに対応する駆動信号Upがハイレベルになっても、U相巻線端子Juの電圧VuはPWM信号がハイレベルの時に基準電圧Vrefよりも高くならず(基準電圧Vrefよりも低くなり)、ラッチ回路21pの出力端子Qからハイレベル信号が出力されるため、アンドゲート23pからハイレベル信号が出力されて、全スイッチング素子3p〜5nのオンが禁止されることとなる。
【0095】
逆に、U相の負側スイッチング素子3nがオープン故障したとすると、そのスイッチング素子3nに対応する駆動信号Unがハイレベルになっても、U相巻線端子Juの電圧VuはPWM信号がハイレベルの時に基準電圧Vrefよりも低くならず(基準電圧Vrefよりも高くなり)、ラッチ回路21pの反転出力端子QBからハイレベル信号が出力されるため、アンドゲート23nからハイレベル信号が出力されて、全スイッチング素子3p〜5nのオンが禁止されることとなる。
【0096】
ところで、上記第2実施形態では、異常検出信号出力回路25から異常検出信号が出力されると、転流制御回路7が、全ての駆動信号Up〜Wnをロウレベルにするようにしたが、スイッチング素子3p〜5nのオンを禁止する手段としては、例えば、異常検出信号出力回路25から異常検出信号が出力されるとスイッチング素子3p〜5nのゲートを転流制御回路7からの駆動信号Up〜Wnに拘わらずロウレベルに保持させる、といった論理回路を用いることもできる。そして、この場合、異常検出信号出力回路25を、異常検出信号としてロウレベル信号を出力するように構成すれば、上記論理回路としては、アンドゲートを用いることができる。
【0097】
また、異常検出信号出力回路25から異常検出信号が出力された場合に、異常を報知するためのランプを点灯させたり、外部の装置へ異常を報知するための信号を出力したりするようにしても良い。そして、このように構成すれば、メンテナンス性が向上する。
【0098】
一方、上記第2実施形態では、第1実施形態と同じアンドゲート22p,22nも設けていたが、図3において、そのアンドゲート22p,22nを削除すると共に、転流制御回路7からの駆動信号Upを正側スイッチング素子3pのゲートにそのまま印加し、アンドゲート13の出力を負側スイッチング素子3nのゲートに印加するようにしても良い。
【0099】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、 上記各実施形態のモータ制御装置は、負側スイッチング素子3n,4n,5nのオン/オフを、転流制御回路7からの駆動信号とPWM信号とのアンドゲートによる論理積信号で行うものであったが、これに限らず、他の方法、例えばコンパレータを用いて行うものであっても良い。但し、前述した実施形態においては、駆動信号とPWM信号との論理積信号でスイッチング素子をオン/オフさせる構成を採る方が、回路構成の簡素化等の観点から見て好ましい。
【0100】
また、上記各実施形態のモータ制御装置は、負側スイッチング素子3n,4n,5nがPWM信号によってPWM制御されるものであったが、本発明は、正側スイッチング素子3p,4p,5pの方、或いは、正側スイッチング素子3p,4p,5pと負側スイッチング素子3n,4n,5nとの両方がPWM制御される装置についても、全く同様に適用することができる。
【0101】
一方、上記各実施形態のモータ制御装置は、以下のように変形しても良い。
まず、PWM信号発生回路9は、一般なものであり、所定周波数(例えば20KHz)の三角波を発生する三角波発生部と、その三角波と大小比較されるしきい値を、モータ1の回転数を示す回転数指令信号に応じて設定するしきい値設定部とを備えている。そして、PWM信号発生回路9は、上記三角波発生部から出力される三角波のレベルが、しきい値設定部によって設定されたしきい値よりも大きい時にハイレベルを出力し、そうでない時にロウレベルを出力することにより、上記回転数指令信号に応じたデューティ比のPWM信号を発生させる。
【0102】
そこで、前述した各実施形態のモータ制御装置において、ラッチ回路21p,21nに代えて、上記三角波発生部からの三角波が最大レベル側のピーク値になる毎に、比較器20の出力信号をラッチして、そのラッチした信号と該信号の反転信号(反対レベルの信号)とを出力する信号処理回路を設けるようにしても良い。そして、このように構成すれば、PWM信号がハイレベルである期間の中心タイミングで、比較器20の出力信号がラッチされ、そのラッチされた結果がアンドゲート22p,22n,23p,23nへ出力されることとなり、このようにしても、前述した各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
また更に、上記信号処理回路を、所定回数(例えば4回程度)だけ連続して同じレベルをラッチした場合に出力信号を変化させるように構成すれば、ノイズに対するフィルタ効果が得られ、有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のモータ制御装置の構成を表す回路図である。
【図2】 第1実施形態のモータ制御装置の作用を説明するタイムチャートである。
【図3】 第2実施形態のモータ制御装置の構成を表す回路図である。
【図4】 従来の一般的なモータ制御装置の構成を表す回路図である。
【図5】 インバータ回路におけるスイッチング素子の駆動パターンを説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
1…モータ Ju,Jv,Jw…巻線端子 2…直流電源
3p,4p,5P…正側スイッチング素子
3n,4n,5n…負側スイッチング素子 6…スイッチング回路
7…転流制御回路 8…インバータ回路 9…PWM信号発生回路
13〜15,22p,22n,23p,23n…アンドゲート
18…基準電圧発生回路 20…比較器 21p,21n…ラッチ回路
24…オアゲート 25…異常検出信号出力回路

Claims (8)

  1. モータが有する複数相の各巻線端子毎に、直流電源の高電位側と前記巻線端子との間に接続された正側スイッチング素子と、前記直流電源の低電位側と前記巻線端子との間に接続された負側スイッチング素子とを、夫々有したスイッチング回路と、該スイッチング回路を構成する前記各スイッチング素子を順次オンさせるための各駆動信号を生成して出力する転流制御回路とからなるインバータ回路と、
    前記モータの回転数を制御するためのPWM信号を生成して出力するPWM信号発生回路とを備え、
    前記各正側スイッチング素子と前記各負側スイッチング素子との一方又は両方が、前記駆動信号と前記PWM信号とに基づいてオンされるように構成されたモータ制御装置において、
    前記PWM信号が前記スイッチング素子をオンさせる方のアクティブレベルである期間中に前記各巻線端子のうちの特定の巻線端子の電圧が所定の基準電圧よりも低いか否かを、該PWM信号の各周期毎に逐次判定する負側スイッチング素子異常検出手段と、
    該負側スイッチング素子異常検出手段によって前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも低いと判定されている場合に、当該特定の巻線端子に対して設けられている前記正側スイッチング素子がオンされるのを禁止する正側スイッチング素子駆動禁止手段と、
    を備えていることを特徴とするモータ制御装置。
  2. モータが有する複数相の各巻線端子毎に、直流電源の高電位側と前記巻線端子との間に接続された正側スイッチング素子と、前記直流電源の低電位側と前記巻線端子との間に接続された負側スイッチング素子とを、夫々有したスイッチング回路と、該スイッチング回路を構成する前記各スイッチング素子を順次オンさせるための各駆動信号を生成して出力する転流制御回路とからなるインバータ回路と、
    前記モータの回転数を制御するためのPWM信号を生成して出力するPWM信号発生回路とを備え、
    前記各正側スイッチング素子と前記各負側スイッチング素子との一方又は両方が、前記駆動信号と前記PWM信号とに基づいてオンされるように構成されたモータ制御装置において、
    前記PWM信号が前記スイッチング素子をオンさせる方のアクティブレベルである期間中に前記各巻線端子のうちの特定の巻線端子の電圧が所定の基準電圧よりも高いか否かを、該PWM信号の各周期毎に逐次判定する正側スイッチング素子異常検出手段と、
    該正側スイッチング素子異常検出手段によって前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも高いと判定されている場合に、当該特定の巻線端子に対して設けられている前記負側スイッチング素子がオンされるのを禁止する負側スイッチング素子駆動禁止手段と、
    を備えていることを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記負側スイッチング素子異常検出手段は、
    前記特定の巻線端子の電圧と前記基準電圧とを入力として、前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも低い時に、ハイレベルとロウレベルとのうちで予め定められた方のレベルの信号を出力する比較器と、
    ゲート端子に前記PWM信号が入力されると共に、データ端子に前記比較器の出力信号が入力され、前記PWM信号が前記アクティブレベルである時には、前記比較器の出力信号をそのまま出力端子から出力し、前記PWM信号が前記スイッチング素子をオフさせる方のパッシブレベルである時には、前記PWM信号が前記アクティブレベルから前記パッシブレベルへ変化した時点の前記比較器の出力信号をラッチして出力端子から出力するラッチ回路とからなり、
    前記正側スイッチング素子駆動禁止手段は、前記ラッチ回路の出力端子から前記定められた方のレベルの信号が出力されている時に、前記特定の巻線端子に対して設けられている前記正側スイッチング素子がオンされるのを禁止するように構成されていること、
    を特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記正側スイッチング素子異常検出手段は、
    前記特定の巻線端子の電圧と前記基準電圧とを入力として、前記特定の巻線端子の電圧が前記基準電圧よりも高い時に、ハイレベルとロウレベルとのうちで予め定められた方のレベルの信号を出力する比較器と、
    ゲート端子に前記PWM信号が入力されると共に、データ端子に前記比較器の出力信号が入力され、前記PWM信号が前記アクティブレベルである時には、前記比較器の出力信号をそのまま出力端子から出力し、前記PWM信号が前記スイッチング素子をオフさせる方のパッシブレベルである時には、前記PWM信号が前記アクティブレベルから前記パッシブレベルへ変化した時点の前記比較器の出力信号をラッチして出力端子から出力するラッチ回路とからなり、
    前記負側スイッチング素子駆動禁止手段は、前記ラッチ回路の出力端子から前記定められた方のレベルの信号が出力されている時に、前記特定の巻線端子に対して設けられている前記負側スイッチング素子がオンされるのを禁止するように構成されていること、
    を特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項1又は請求項3に記載のモータ制御装置において、
    前記特定の巻線端子に対して、請求項2又は請求項4に記載の正側スイッチング素子異常検出手段及び負側スイッチング素子駆動禁止手段が設けられていること、
    を特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項5に記載のモータ制御装置において、
    前記負側スイッチング素子異常検出手段、前記正側スイッチング素子駆動禁止手段、前記正側スイッチング素子異常検出手段、及び前記負側スイッチング素子駆動禁止手段を、前記モータの各巻線端子毎に夫々備えていること、
    を特徴とするモータ制御装置。
  7. モータが有する複数相の各巻線端子毎に、直流電源の高電位側と前記巻線端子との間に接続された正側スイッチング素子と、前記直流電源の低電位側と前記巻線端子との間に接続された負側スイッチング素子とを、夫々有したスイッチング回路と、該スイッチング回路を構成する前記各スイッチング素子を順次オンさせるための各駆動信号を生成して出力する転流制御回路とからなるインバータ回路と、
    前記モータの回転数を制御するためのPWM信号を生成して出力するPWM信号発生回路とを備え、
    前記各正側スイッチング素子と前記各負側スイッチング素子との一方又は両方が、前記駆動信号と前記PWM信号とに基づいてオンされるように構成されたモータ制御装置において、
    前記各巻線端子のうちの特定の巻線端子の電圧を、前記PWM信号が前記スイッチング素子をオンさせる方のアクティブレベルである期間毎に監視すると共に、前記特定の巻線端子に対して設けられている正側及び負側スイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対応する前記駆動信号がアクティブレベルになった時点で得ている前記監視結果に基づいて、他方のスイッチング素子の異常を検出する異常検出手段を備えていること、
    を特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項7に記載のモータ制御装置において、
    前記異常検出手段を、前記モータの各巻線端子毎に夫々備えていること、
    を特徴とするモータ制御装置。
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