JP6649037B2 - 検体情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

検体情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、脈動性信号を正規化する検体情報処理装置、脈動性信号を正規化する情報処理方法、脈動性信号を正規化する情報処理プログラム、及び同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
光電式または圧電式の脈波計を利用した、検体からの脈波の検出が行われている。中でも、比較的太い血管が中に通っている腕や、毛細血管が網のように張り巡らされた指先などに対して、マイクロホンにより脈波を検出する試みがなされている。また、検体の耳内にセンサを配置して、外耳道に存在する血管から脈波を検出する試みがなされている。
特許文献1(特開2010−115431)では、空洞を有する筐体が装着部材により皮膚表面に装着され、装着面の一部にある開口部が皮膚により密閉され、体内音による皮膚表面の振動が直接空洞内の空気に伝わり、これをマイクロホンにより取得できる体内音取得装置について開示されている。
特許文献2(特開2010−22572)では、外耳道挿入部が外耳道に挿入された際に外耳道を閉じて鼓膜との間に閉空間を形成し、その閉空間を介して生体振動である音を検出する生体情報検出装置が開示されている。またローパスフィルタにより生体情報を多く含んでいる低周波数帯域の信号成分だけを抽出することが開示されている。
特開2010−115431 特開2010−22572
上記特許文献1、2のように、検体の血管の脈動性信号に起因する圧力情報を受けて、検体における脈動性信号を検出し、この検出された検体情報の信号処理を行う試みがなされている。このような検出方法の場合、検出される信号の強度が低いために、外部からの音の影響を受けやすいことが課題としてあった。
さらに、脈動性信号を検出したとしても、検体が発声している際には、脈波の観察が困難となる。図16は検体の外耳道から検出した脈動性信号の波形を示すものであるが、3秒から12秒付近までは、検体が平常な状態であるときには脈波の波形が得られる。一方、13秒付近から43秒付近までは、アイウエヲとの発声により、外耳道から検出される脈波の波形に外乱が加わることによって、脈波の波形が変動している。また、図17も検体の外耳道から検出した脈動性信号の波形を示すものであるが、0秒から17秒付近までアウアウアウアウとの発生により、脈波の波形に外乱が表れることによって、外乱により脈波の波形が隠れている。これらの波形の変化は、検体が発声した際に外耳道の筋肉が動くことで、心拍に起因する血管の脈動に伴う皮膚の振動よりも大きな圧力変動が起きることによると考えられる。また、検体が運動をしていたり、または検出器の信号線からノイズがのったりすること等によっても、脈動性信号に突発性でバースト的な外乱が加わる。このような外乱によって脈動性信号が変動した場合には、脈波の観察が困難となる。
この他にも、脈動性信号の変動分としては、いわゆる不整脈を含む生体そのものの不規則性に起因して、周期性の脈波のパターンが乱れることが挙げられる。また、脈拍数自体の変化も脈動性信号の変動分として挙げられる。
上述した要因によって脈動性信号が変動した場合、脈拍数の異なる状況における波形どうしの間では、それぞれの時間軸が変化しているため、これらを同等に取り扱って信号処理を行うことができない。
本発明は、このような課題に鑑みて創案されたものであり、脈動性信号に変動が生じた場合に信号の取扱性を向上させた装置を提供することを目的とする。
(1)ここで開示する検体情報処理装置は、検体における血管の脈波情報に基づく脈動性信号を検出する検体情報検出ユニットと、該脈動性信号を正規化する信号処理部とを備える。
(2)該信号処理部は、該脈動性信号が入力されるPLL回路を備え、該PLL回路は、該脈動性信号と帰還信号との位相を比較して、位相差に対応する位相差信号を出力する位相比較器と、該位相差信号が入力されて、所定のカットオフ周波数より大きい周波数成分を除去した電圧制御信号を出力するローパスフィルタと、該電圧制御信号の電圧に対応する発振周波数を有するクロック信号を出力する電圧制御発振器と、該クロック信号が入力されて、所定の分周比で該クロック信号を分周した分周信号を出力する分周器とを有し、上記の分周信号が該帰還信号として該位相比較器に入力され、該脈動性信号と該帰還信号との位相が同期するように該電圧制御発振器の発振周波数が制御され、該クロック信号により該脈動性信号を正規化することが好ましい。
(3)該信号処理部は、該脈動性信号の信号強度をデジタルデータとして取得するAD変換器と、該AD変換器で得られた該データを蓄積するメモリとを有する信号記録部と、該分周器から該分周信号が入力されて、該分周信号をカウントして脈波の順番を示す波形番号を出力するカウンタと、上記のメモリに記録した信号強度を読み出してフィルタ処理するフィードバックコムフィルタとを備え、該AD変換器は、該電圧制御発振器から該クロック信号が入力されたタイミングで該信号強度を取得して該メモリに出力し、該メモリは、該カウンタから入力される該波形番号を受けて、該脈動性信号を該波形番号と上記のクロック信号の入力されたタイミングに応じたクロック番号とに対応付けた信号強度として記録し、該フィードバックコムフィルタは、該電圧制御発振器から該クロック信号が入力されて、該脈動性信号の一周期あたりの総クロック数の整数倍の周波数成分を通過させることが好ましい。
(4)該信号処理部は、上記のメモリに記録した複数の波形番号の信号強度を読み出して、同じクロック番号の信号強度を加算して波形番号ごとに平均値を出力する平均化処理部を備えることが好ましい。
(5)該信号処理部は、上記のPLL回路に入力される脈動性信号と該帰還信号との位相が同期しているかを判定して、該PLL回路がロックしているか否かを検出するロック検出部を備えることが好ましい。
(6)該信号処理部は、該分周信号が入力されて、該分周信号の単位時間当たりのパルスをカウントする信号計数部を備えることが好ましい。
(7)該脈動性信号に関連する情報を提示する表示器をさらに備え、該ロック検出部が、ロックしているか否かを該表示器に表示し、該信号計数部が、単位時間当たりの該分周信号のカウント値を該表示器に表示することが好ましい。
(8)該信号処理部は、上記の平均化処理部により処理された信号が入力されて、該クロック番号と該信号強度の平均値との関係を表す波形を生成して、波形番号ごとに複数の脈波を平均化した一周期の波形を該表示器に表示する波形表示部を備えることが好ましい。
(9)該信号処理部は、上記のメモリに記録した信号強度を読み出して数値微分する微分処理部を備えることが好ましい。
(10)該信号処理部は、上記のメモリに記録した信号強度を読み出して数値積分する積分処理部を備えることが好ましい。
(11)ここで開示する情報処理方法は、検体における血管の脈波情報に基づいて検出された脈動性信号を取得して、該脈動性信号を正規化する。
(12)ここで開示する情報処理プログラムは、コンピュータに、検体における血管の脈波情報に基づいて検出された脈動性信号を取得して、該脈動性信号を正規化する処理を実行させる。
(13)ここで開示するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上述の情報処理プログラムを記録する。
本発明によれば、脈動性信号を正規化することより、脈拍数の異なる波形の間であっても、時間軸によらずに信号を取り扱うことが可能となる。
第一実施形態に係るPLL回路及び情報処理装置の構成の例を示すブロック図である。 平常時の場合の波形を示す図であり、(a)は二値化処理部に入力される脈動性信号の波形を示し、(b)は二値化処理部で二値化された波形を示し、(c)はVCOから出力されるクロック信号の波形を示す。 平常時または歩行時の場合の波形を示す図であり、(a)は、二値化処理部に入力される脈動性信号の波形を示し、(b)は、二値化処理部で二値化された脈動性信号の波形を示し、(c)は、VCOから出力されるクロック信号の波形を示す。 平常時または歩行時の場合の長期間の脈動性信号の波形を示す図であり、(a)の上段は二値化処理部に入力される脈動性信号の波形を示し、(b)の上段はLPFから出力される電圧制御信号の波形を示し、(c)の上段はVCOから出力されるクロック信号の波形を示し、(a)、(b)、及び(c)の下段は、VCOから出力されるクロック信号の波形を示す。 脈波の波形のパターンのパルスとしての分類を説明するための模式的な図であり、(a)は全く時間変動が無い場合のパターンを示し、(b)は時間的にわずかな時間揺らぎがある場合のパターンを示し、(c)はグループ単位の周期があるパターンを示し、(d)は完全にランダムに近い場合のパターンを示し、(e)は不整脈がある場合の一例のパターンを示し、(f)は不整脈がある場合の別の例のパターンを示す。 第二実施形態に係るPLL回路及び情報処理装置の構成の例を示すブロック図である。 メモリ及びメモリバンクの構成を説明するための模式的な図である。 脈波の波形とクロック番号及び波形番号との関係を説明するための模式的な図である。 フィードバックコムフィルタの周波数特性を説明するためのブロック図である。 フィードバックコムフィルタの周波数特性を説明するためのグラフである。 平常時の場合の容積脈波の周波数スペクトルの一例を示す図である。 脈波に変動がある場合の第二実施形態に係る表示器の表示の例を説明するための図である。 脈拍数が増えた場合の第二実施形態に係る表示器の表示の例を説明するための図である。 脈波に変動がある場合の脈波と脈拍数の表示の例を示す図である。 脈拍数が増えた場合の脈波と脈拍数の表示の例を示す図である。 平常な状態とアイウエオとの発声をした場合の外耳道から検出される脈動性信号の波形を示した図である。 平常な状態とアウアウアウアウとの発声をした場合の外耳道から検出される脈動性信号の波形を示した図である。 第二実施形態に係る検体情報処理装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。 第三実施形態に係る検体情報処理装置の構成の例を示すブロック図である。 第三実施形態に係る検体情報処理装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。 第四実施形態に係る検体情報処理装置の構成の例を示すブロック図である。 第四実施形態に係る検体情報処理装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
ここで開示する検体情報処理装置6,7,8は、図6,図19,図21に示すように、検体情報検出ユニット101と、情報処理装置2,3,4とを備える。検体情報検出ユニット101は、検体における血管の脈波情報に基づく脈動性信号を検出する。情報処理装置2,3,4は、脈動性信号を正規化する信号処理部15,16,17を備える。信号処理部15,16,17は、PLL回路12(図6参照)、または脈拍周波数検出部301,302、及びクロックジェネレータ303(図19,図21参照)を備えている。初めに、入力される脈動性信号にロックするPLL回路11を備える、第一実施形態に係る情報処理装置1及び検体情報処理装置5について説明する。次に、PLL回路12によって脈動性信号の正規化を行う、第二実施形態に係る情報処理装置2及び検体情報処理装置6について説明する。さらに、脈拍周波数検出部301,302、及びクロックジェネレータ303によって脈動性信号の正規化を行う、第三実施形態に係る情報処理装置3及び検体情報処理装置7、並びに第四実施形態に係る情報処理装置4及び検体情報処理装置8について説明する。
[1.第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係るPLL(フェーズロックドループ)回路11、PLL回路11を備える情報処理装置1、及び検体情報処理装置5について、図1を参照して説明する。以下、第一実施形態の説明においては、第一実施形態を、単に本実施形態とも呼ぶ。
[1−1.PLL回路の構成]
本実施形態に係るPLL回路11は、図1に示すように、位相比較器21、LPF(ローパスフィルタ)22、及びVCO(電圧制御発振器)23aを備えて構成されている。
<位相比較器>
位相比較器21は、入力される脈動性信号と帰還信号との位相を比較して、その位相差に対応する幅のパルス信号を、位相差信号としてLPF22に出力する。本実施形態に係る位相比較器21は、XOR(エクスクルーシブオア)回路により構成されている。また、位相比較器21は、脈動性信号及び帰還信号をロック検出部41に出力する。
<LPF>
LPF22は、位相差信号が入力されて、所定のカットオフ周波数より大きい周波数成分を除去した電圧制御信号として、VCO23aに出力する。これにより、脈動性信号と帰還信号との位相差に対応した電圧が生成されて電圧制御発振器に入力される。LPF22は、カットオフ周波数を有する一次以上のローパスフィルタであるため、PLL回路11は2次系以上の高次のループとなる。以下、入力する脈波の位相の突然のシフトに対して一定時間内の位相差ゼロでロックすることを特徴とする2次系のPLLを前提として説明する。
<VCO>
VCO23aは、入力された電圧制御信号の電圧に対応する発振周波数を有するクロック信号を出力する。本実施形態に係るPLL回路11では、クロック信号が、上述の帰還信号として位相比較器21に入力される。本実施形態では、VCO23aの発振周波数は、脈波の周波数と同程度の1Hzを中心として変動するよう設計されている。また、VCO23aは、クロック信号を信号計数部42に出力する。
<PLL回路>
PLL回路11は上記の通り構成されており、PLL回路11に入力される脈動性信号と、帰還信号としてのクロック信号との位相が同期するようにVCO23aの発振周波数が制御される。これにより、PLL回路11は、入力された脈動性信号にロック(同期)する。本実施形態に係るPLL回路11は、自然周波数ωnが0.5、ダンピングファクターζが0.8、引き込み時間が10秒で5%誤差である、2次系のPLLとなっている。すなわち、PLL回路11は、脈動性信号へのロック用のPLL回路である。
PLL回路11に入力される脈動性信号は、信号自体の周波数変化に加えて、突発性でバースト的な外乱や、不正脈の発生による脈波のパターンの乱れ等が加わり変動が生じる場合がある。これらの脈動性信号の変動の要因を前提とし、これらの要因の特性をとらえて、PLLの次数やループゲインのタイプを合わせるように設計することが好ましい。
PLLの設計には同じ2次系でも、そのフィルタの形状により、ループゲインのタイプをタイプ1〜タイプ3の3種類に分けて考えることができる。それぞれについてループゲインG1〜G3は、下記の式(1)〜式(3)の計算式により求めることができる。
タイプ1:
1=k/s(s+a) (1)
タイプ2:
2=k(s+a)/s2 (2)
タイプ3:
3=k(s+a)(s+b)/s3 (3)
なお、上記の式(1)〜式(3)において、kは、フィルタのゲイン(利得)を表す定数である。aは、フィルタの特性を示すポールまたは零点を表す定数である。bは同じくフィルタの特性を示すゼロ点またはポールを表す定数である。sは、極座標での角周波数を表す複素数であって、フィルタの特性を記述するために用いるものである。
上述した脈動性信号の変動の要因の性質に応じて、PLL回路11に入力される脈動性信号の変動に追従するように、いずれかのタイプを選ぶ必要がある。脈波の位相の変化とPLLのループゲインのタイプには以下の(ア)〜(ウ)の関係があり、これらはタイプの選択の指標となる。
(ア)脈波の位相のステップ変化には、タイプ1〜タイプ3の全てのタイプが設計上の時間で追従する。
(イ)脈波の位相の速度変化については、タイプ2及びタイプ3が設計上の時間で追従する。
(ウ)脈波の位相の加速度的変化については、タイプ3のみが設計上の時間で追従する。
なお、PLLのループゲインGは、PLL回路の自然周波数ωnとダンピングファクターζより、下記の式(4)の計算式により求めることができる。
G=2×ζ×ωn (4)
式(4)より、本実施形態のPLL回路11は、ループゲインG=0.8と算出される。
また、本実施形態のPLL回路11は、いったんロックした後に、ロック状態を維持できる範囲を広く取るため、2次系のPLLとしている。位相のステップ変化だけを考えて、上記のタイプ2のPLLを用いている。
[1−2.情報処理装置の構成]
本実施形態に係る情報処理装置1の構成について図1を参照して説明する。情報処理装置1は、検出された信号を処理するためのモバイル端末機としての携帯情報端末(スマートフォン)である。情報処理装置1としてのスマートフォンは、図示しない入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等のメモリ)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ、及び無線送信部等を含んで構成される。
情報処理装置1は、ゲイン切り替え部51、周波数特性補償部61、周波数補正処理部71、二値化処理部31、PLL回路11、ロック検出部41、及び信号計数部42を備えている。情報処理装置1の上記構成部分をあわせて信号処理部14という。さらに、情報処理装置1は、表示器81を備える。検体情報検出ユニット101によって検出された脈動性信号が情報処理装置1に出力されて、ゲイン切り替え部51、周波数特性補償部61、周波数補正処理部71、及び二値化処理部31を通じて、PLL回路11に入力される。まず、検体情報検出ユニット101について説明して、次に情報処理装置1について説明する。
<検体情報検出ユニット>
検体情報検出ユニット101は、検体における血管の脈波情報に基づく脈動性信号を検出できるセンサを有する測定装置である。本実施形態の検体情報検出ユニット101は、ヘッドホンのダイナミック型のドライバユニットをセンサとして用いており、検体の外耳道を閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞となるよう検体の外耳に装着して、外耳道から脈動性信号を検出する。検体情報検出ユニット101及びセンサ並びに測定部位はこれに限定されず、例えば、発光部として発光ダイオードを用い、受光部としてフォトダイオードやフォトトランジスタを用いて、腕や指先において透過光または反射光から脈動性信号を検出する、光電式の測定器を利用することができる。または、腕の動脈上に圧電素子を押し付けて脈動性信号を検出する、圧電式の測定器を利用することができる。または、血管の脈動に伴う皮膚または鼓膜部分の振動によって生じる空気の振動を検出できるマイクロホンを用いて、マイクロホンと振動源とを閉じた状態にして脈動性信号を検出する測定器を利用してもよい。なお、上述した「血管の脈波情報」とは、血管を伝わる脈波情報のことであって、検体の心臓の拍動に伴って生じる血管内を伝わってくる振動を示す情報(信号)である。検体情報検出ユニット101は、検出した脈動性信号を情報処理装置1へ出力する。
<ゲイン切り替え部>
情報処理装置1に入力された脈動性信号は、ゲイン切り替え部51に入力される。
ゲイン切り替え部51は、入力された信号のゲインを調節して信号の増幅または減衰を行い、信号のレベルを調整する電気回路である。中でも、ゲイン切り替え部51は、検体情報検出ユニット101により検出された信号の飽和を検出し、飽和が検出された際に信号のレベルを減少させる処理を施す。ゲイン切り替え部51は、処理した信号を周波数特性補償部61に出力する。
<周波数特性補償部>
周波数特性補償部61は、入力された信号に位相補償を行い、周波数特性を補正する電気回路である。検体情報検出ユニット101により検出されて情報処理装置1に入力される脈動性信号には、センサの特性、信号の検出状況、及び検体情報検出ユニット101または情報処理装置1が備えるデジタルシグナルプロセッサ(DSP)による処理等に起因して信号特性に影響受けている場合がある。周波数特性補償部61は、少なくとも血管の脈波情報が検出される周波数帯域の位相補償を行い、脈動性信号が示す周波数応答を補償して、本来の脈波波形を示す脈動性信号を得る波形等化処理を行う。周波数特性補償部61による位相補償によって、脈動性容積信号、脈動性速度信号、または脈動性加速度信号を得る。周波数特性補償部61は、処理した信号を周波数補正処理部71に出力する。
一般に、脈波の周波数は通常時の0.8Hz付近から、激しい運動をした時の3Hz程度まで変化することがある。脈動性信号の周波数成分がこのような下限または上限の周波数であるときに、周波数特性補償部61は、位相補償を行う補償回路のカットオフ周波数との関係で、波形等化処理が正しく動作しない場合がある。しかし、周波数特性補償部61から出力される信号は、波形をモニタするためのものではなくPLL回路11に供給されてクロック信号を発生させることが主務であるので、これらの上限、下限の周波数を考慮した設計を行っておけば使用できる。
<周波数補正処理部>
周波数補正処理部71は、入力された信号に対して、脈動性信号の有する周波数で少なくとも増幅動作、積分動作および微分動作のうちの1つの動作を行なうことにより、脈動性容積信号、脈動性速度信号、および脈動性加速度信号のうちの1つの信号を取り出す電気回路である。周波数補正処理部71により脈動性容積信号、脈動性速度信号、及び脈動性加速度信号のうちの一つの信号を取り出す処理を、周波数補正処理ともいう。なお、脈動性容積信号、脈動性速度信号、および脈動性加速度信号が示す波形は、それぞれ容積脈波、速度脈波、加速度脈波ともいう。本実施形態に係る周波数補正処理部71は、速度脈波の信号を二値化処理部31に出力する。
周波数補正処理部71は、周波数特性補償部61と同様に、脈動性信号の周波数成分が下限の0.8Hzまたは上限の3Hz程度の周波数であるときに、積分動作または微分動作を行う補償回路のカットオフ周波数との関係で、周波数補正処理が正しく動作しない場合がある。しかし、周波数補正処理部71から出力される信号についても、PLL回路11に供給されてクロック信号を発生させることが主務であるので、これらの上限、下限の周波数を考慮した設計を行っておけば使用できる。
<二値化処理部>
二値化処理部31は、入力された脈動性信号をオンとオフの二値の信号に変換処理する電気回路である。二値化処理部31では、入力される脈波信号の立ち上がりまたは立下りを基準にオンの区間のデューティ比が概50%になるようなパルスに整形される。さらに、このオンの区間以降から次の立ち上がりまでをオフとするように変換する。本実施形態に係る二値化処理部31では、位相比較器21がXOR回路であるため、上述した方法で二値化をしているが、二値化の処理は、変換された脈動性信号が位相比較器21で検出できるように処理するものであれば限定されない。二値化処理部31は、処理した信号をPLL回路11に出力する。
なお、入力する脈波信号の周波数が変化した場合にはデューティ比50%の確保はできなくなる場合があるが、これはロック位相の変動をもたらすことにつながる。この場合には、位相比較器21としてエッジトリガ型や鋸歯状波を用いる位相比較器を用い、DCゲインを無限大に設計しておけば、このようなロック位相の変動を無視できるような設計のPLLとすることができる。
<ロック検出部>
ロック検出部41は、PLL回路11に入力される脈動性信号と帰還信号との位相が同期しているかを判定して、PLL回路11が脈動性信号にロックしているか否かを検出する電気回路である。本実施形態では、ロック検出部41は、位相比較器21から脈動性信号と帰還信号が入力されて、両信号の位相比較を行う。位相比較器21の特性がXORの論理を用いていることから、脈動性信号と帰還信号との位相が90度ずれている場合に、両信号の位相が同期していると判定する。具体的には、脈動性信号の入力をI、帰還信号をRとすると、ロックしている時には、Iが0(オフ)となりRが1(オン)となる、Iが1となりRも1となる、Iが1となりRが0となる、Iが0となりRも0となる、との関係を繰り返す。ロック検出部41は、このような関係を検出して、位相が同期しているかを判定する。
ロック検出部41は、脈動性信号と帰還信号との位相が同期していると判定することで、PLL回路11のロックを検出した場合には、表示器81にロック検出信号を出力する。一方、ロック検出部41は、位相が同期していないと判定することで、PLL回路11のロックを検出しない場合には、表示器81にアンロック検出信号を出力する。
なお、後述の図12,図13のようにロック状態をモニタする際には、PLLのループゲインからなるフライホイール時間を考慮してロックしているか否かを確認することが好ましい。ロックをしている状態において、ロック外れの信号がフライホイール時間内で検出された場合には、このロック外れの信号は無視されて、PLL回路11がロックしたままであると判断する。一方、ロック外れの状態がそのフライホイール時間より長く続いている場合に初めて、PLL回路11のロックが外れていると判断するようにして行う。同様に図5(c)、図5(d)のように初めからPLLが入力する脈波にロックしない場合にも、この一定時間のロック状態の確認を行うことが好ましい。
<信号計数部>
信号計数部42は、VCO23aからクロック信号が入力されて、このクロック信号の単位時間当たりのパルスをカウントする。信号計数部42は、入力されたクロック信号のパルスの数を、内部の高い周波数のクロックで計数するマイクロコンピュータによって実現される。本実施形態では、信号計数部42は、1分当たりのクロック信号のパルスの数をカウントする。信号計数部42は、信号のカウント値を表示器81に出力する。
<表示器>
表示器81は、脈動性信号に関連する情報を提示する表示装置である。表示器81は、ロック検出部41からロック検出信号またはアンロック検出信号が入力されて、PLL回路11がロックしているか否かを表示する。また、表示器81は、信号計数部42からカウント値が入力されて、単位時間当たりのクロック信号のカウント値を表示する。本実施形態では、情報処理装置1(スマートフォン)に備えられるディスプレイの表示画面が、表示器81として機能する。ロック検出信号が入力された場合には、表示器81はPLL回路11がロックしていることを表す緑色のアイコンを点灯する。また、アンロック検出信号が入力された場合には、表示器81はPLL回路11がロックしていないことを表す赤色のアイコンを点灯する。さらに、表示器81は、クロック信号のカウント値の数値を表示画面に表示する。
<検体情報処理装置>
検体情報処理装置5は、上述の通り構成されており、検体情報検出ユニット101によって検出されて、情報処理装置1に入力された脈動性信号を、ゲイン切り替え部51、周波数特性補償部61、周波数補正処理部71、及び二値化処理部31を通じて、PLL回路11に入力する。PLL回路11は、VCO23aからクロック信号を出力する。情報処理装置1は、ロック検出部41及び信号計数部42からの出力を、表示器81に表示にする。
[1−3.PLL回路の動作]
PLL回路11による、入力される脈動性信号へのロック動作の一例を説明する。
二値化処理部31は、情報処理装置1に入力された脈動性信号を二値化して、PLL回路11に入力する(ステップS11)。
位相比較器21は、二値化された脈動性信号と帰還信号との位相を比較して、位相差に対応する位相差信号を出力する(ステップS12)。
LPF22は、位相差信号から所定のカットオフ周波数より大きい周波数成分を除去した電圧制御信号を出力する(ステップS13)。
VCO23aは、電圧制御信号の電圧に対応する発振周波数を有するクロック信号を出力する(ステップS14)。このとき、ステップS14では、脈動性信号と帰還信号との位相が同期するようにVCO23aの発振周波数を制御する。VCO23aは、クロック信号を帰還信号として位相比較器21に入力するとともに、信号計数部42に出力する。
[1−4.PLL回路及び情報処理装置の作用]
<PLL回路と外乱について>
PLL回路11の外乱に対する作用を、図2〜図4を参照して、PLL回路11に入力される波形とPLL回路11による処理を受けた波形の例を示して説明する。
図2(a)〜図2(c)は、検体が平常な状態で脈動性信号を検出して、これをPLL回路11に入力した場合の波形を表すものである。図2では、横軸は時間(秒)を示しており、縦軸は信号の強度(V)を示している(以下の脈波の波形を示す図形でも同様。)。
図2(a)に示すように、平常な状態では脈波がほぼ一定の強度で一様な間隔で検出されている。これを受けて、図2(b)に示すように、脈動性信号が二値化された波形も一定の間隔となっている。また、図2(c)に示すように、VCO23aから出力されるクロック信号の波形も一定の間隔となっている。このように、変動が無い場合には図2(c)に示すように、PLL回路11が脈動性信号にロックして、脈波の波形に同期したクロック信号が得られる。
次に、図3(a)〜図3(c)は、0秒〜2秒の間は検体が平常な状態、2秒〜7秒の間は検体が歩いた状態、7秒〜10秒の間は検体が平常な状態での脈動性信号を検出した場合の波形を表すものである。図3(a)に示すように、2〜7秒の間は、歩行の影響を受けて脈波に外乱が加わって、ピークの強度及びピークの間隔が乱れた状態で検出されている。このような状態では、図3(a)の波形ではノイズのために本来の脈波を観察することは困難である。また、図3(b)に示すように、脈動性信号が二値化された波形も、2〜7秒の間では、二値化された波形のオン状態が長くまたは短くなり、波形の間隔が狭まっている。このように、二値化した信号の波形でも、外乱の影響から脈波本来の波形が隠れてしまっており、本来の脈波を観察することは困難である。一方、図3(c)に示すように、VCO23aから出力されるクロック信号の波形は、外乱があったとしても大きな変化が現れずにほぼ一定の間隔となっている。これは、PLLによるフライホイール効果によって一定の慣性が働くことにより、PLL回路11に入力された信号が変動した場合であっても、VCO23aから出力されるクロック信号は大きく動かないことによる。
さらに、図4(a)〜図4(c)は、13秒〜17秒、25秒〜28秒、35秒〜41秒、及び1分30秒〜33秒の間は検体が歩いた状態、それ以外は検体が平常な状態での脈動性信号を検出した場合の波形を表したものである。図4(a)の上段に示すように、検体の運動に応じて脈波に外乱が加わっている。また、図4(b)の上段に示すように、図3(b)の場合と同様にして、二値化された信号も外乱の影響を受けて波形が変化している。また、図4(c)の上段に示すように、位相比較器21から出力される位相差信号が変化するため、脈動性信号が外乱を受けている領域では、LPF22から出力される電圧制御信号についても、波形の間隔が広がりまたは狭まるような変化を示している。一方、図4(a)〜図4(c)の下段に示すように、VCO23aから出力されるクロック信号の波形は、図3(c)と同様に、入力された信号に外乱があったとしても大きな変化が現れずにほぼ一定の間隔となって表れる。
上述したように、本実施形態に係るPLL回路11は、自然周波数ωnが0.5の二次系のPLLである。これにより、図3(a)〜図3(c)及び図4(a)〜図4(c)に示すように、検出される脈動性信号に外乱が生じて、PLL回路11に入力される信号が変動した場合であっても、フライホイール効果によってVCO23aから出力されるクロック信号が急変せずに、安定した本来の脈波の間隔を示す波形を出力することができる。
<PLL回路と脈拍数の変化について>
検体が運動状態や興奮状態にある等して脈拍数が変化した場合には、PLL回路11に入力される脈動性信号の変動が続くことになる。この場合には、PLL回路11は、入力される信号の変動に応じて電圧制御信号が変化し、これに伴いクロック信号が追従するように構成されているため、次第にクロック信号が心臓の拍動と同期することになる。
<PLL回路と脈波のパターンの乱れについて>
PLL回路11の作用を、図5を参照してさらに説明する。図5(a)〜(f)では、心拍が表す複数の脈波のパターン1〜6におけるパルスの位置を示すとともに、一定の間隔でパルスが発生した場合のパルスの位置を縦の破線で示している。なお、これらのパターンは、Ken Grauer著、Daniel Cavallaro著、高尾信広訳、「不整脈判読トレーニング」、医学書院、2001年、第33頁〜第34頁より引用している。
図5(a)は、パターン1を示す。パターン1は、全く時間変動が無い場合の心拍のパルスであって、規則正しく一定の間隔でパルスが生じている。通常であれば交感神経と副交感神経のせめぎあいが脈波信号の揺らぎをもたらすため、パターン1は臨終が近い人に見られるパターンである。通常は、健常人ではこのようなパターンは見られない。
図5(b)は、パターン2を示す。パターン2は、時間的にわずかな時間揺らぎがある心拍のパルスであって、おおむね一定の間隔でパルスが生じている。パターン2は、健常者のほとんどにおいて見られるパターンである。
図5(c)は、パターン3を示す。パターン3はグループ単位の周期があるパターンであって、3つごとまたは4つごとのパルスからなるグループが示すパルスの発生パターンを、グループ単位で規則正しく繰りかえして生じている。しかしながら、パターン3では、全体として見た場合には不規則なパルスとなっている。また、パターン3では、脈波の振幅成分のレベル変動をグループごとに繰り返す場合がある。パターン3は、実際はパターン2に混在して生じることが多い。
図5(d)は、パターン4を示す。パターン4は完全にランダムに近い場合のパターンを示し、パルスの間の間隔が通常の半分程度に短くなったり、または一周期分程度に長くなったりと規則性が見られない。
なお、臨床的には、ほとんどの心拍リズムは上記のパターン1〜4のどれかに当てはまるとされている。
図5(e)は、パターン5を示す。これはパターン2に不整脈Aがある場合のパターンを示すものである。パターン5では、4つ目のパルスで不整脈が発生して、4つ目のパルスが通常の間隔よりも先んじて生じている。5つ目のパルスからは、パターン2と同様にしておおむね一定の間隔でパルスが生じている。パターン5は、premature beat(期外収縮)が出現する、心房(PAC)、房室結節(PJC)、心室(PVC)の3箇所に起因すると考えられる。
図5(f)は、パターン6を示す。これはパターン2に不整脈Bがある場合のパターンを示すものである。パターン6では、4つ目のパルスで不整脈が発生して、4つ目のパルスの位相がシフトし、通常よりも約0.7拍分送れて、3つ目のパルスまでとは異なった位相でパルスが生じている。さらに5つ目のパルスからは、4つ目のパルスと同様に不整脈前の位相からシフトしたままで、おおむね一定の間隔でパルスが生じている。これはescape beat(補充収縮)といい、極端な徐脈になることを防いでいる。パターン6のように、不整脈の後で脈が復活する際には、不整脈が起こる前の脈波の位相に対してどのような位相からスタートするかは予測することができない。このとき、位相のステップ上の変化が生じているといえる。
パターン1またはパターン2を示す脈動性信号がPLL回路11に入力された場合には、おおむね一定の間隔でパルスが生じている信号が入力されるため、PLL回路11は入力された脈動性信号にロックすることができる。この場合には、ロック検出部41はPLL回路11がロックしていることを検出して、表示器81はPLL回路11がロックしていることを表す緑色のアイコンを点灯する。また、信号計数部42は入力される脈動性信号と同期したクロック信号のパルスをカウントして、表示器81はカウント値を検体の脈拍数として表示する。
パターン5またはパターン6を示す脈動性信号がPLL回路11に入力された場合には、不整脈が発生するまでは上記のパターン1またはパターン2と同様にPLL回路11及び情報処理装置1が動作する。不整脈が発生した際には入力される脈動性信号と帰還信号との位相が同期しなくなるためにそのパルスについてロックが外れたことが検出される。この状態がPLLの設定時間以上続いた場合にはロック検出部41はPLL回路11がロックしていないことを検出したとして、表示器81はPLL回路11がロックしていないことを表す赤色のアイコンを点灯する。不整脈が発生した後には、再びおおむね一定の間隔でパルスが生じている脈動性信号が入力されるため、入力してくる脈動性信号に対して帰還信号が追従することで、PLL回路11は脈動性信号に再度ロックする。この場合も信号計数部42はクロック信号のパルスをカウントして、表示器81がカウント値を脈拍数として表示する。このとき、フライホイール効果によってクロック信号が急変しないため、不整脈が発生したタイミングでも、不整脈が無い場合と同程度の脈拍数が表示される。
パターン3またはパターン4を示す脈動性信号がPLL回路11に入力された場合には、PLL回路11は入力された脈動性信号にロックすることができない。この場合、ロック検出部41はPLL回路11が一定時間以上ロックしていないことを検出して、表示器81はPLL回路11がロックしていないことを表す赤色のアイコンを点灯する。また、信号計数部42はクロック信号のパルスをカウントして、表示器81がカウント値を脈拍数として表示する。
上述したように、PLL回路11は、脈波が概周期性と考えられるものであれば、入力された脈動性信号にロックすることができる。これにより、PLL回路11及び情報処理装置1は、不整脈が発生して脈波のパターンに乱れが生じた場合であっても、時間の経過に伴い、再び脈動性信号にロックして、脈拍数を表示することができる。また、ランダムな脈波のパターンであり、PLL回路11がロックできない場合であっても、情報処理装置1は、フライホイール効果を担うPLL回路11がロックしないことを表示したうえで、クロック信号のカウント値を表示することができる。
[1−5.PLL回路及び情報処理装置の効果]
第一実施形態に係るPLL回路11は、LPF22が一次であることにより2次系のPLLであって、入力される脈動性信号と帰還信号としてのクロック信号との位相が同期するように、VCO23aから出力されるクロック信号の発振周波数が制御される。これにより、PLL回路11は、入力された脈動性信号にロックして、心臓の拍動に同期したクロック信号を出力することができる。さらに、PLLがフライホイール効果をもたらすことによって、入力される脈動性信号に、突発性でバースト的な外乱や、不整脈による周期性の脈波のパターンの乱れによって変動が生じた場合であっても、出力されるクロック信号には直ちに大きな変動は生じず、本来の脈波と同様の間隔を示す信号を出力することができる。また、運動しているような状態であって、脈拍数自体が漸次変化する場合には、次第にクロック信号が心臓の拍動と同期する。このように、PLL回路11は、変動に対するロバスト性を有する。すなわち、PLL回路11によれば、脈波を変動によらず安定して観察することが可能である。
また、第一実施形態に係る情報処理装置1は、ロック検出部41を備えることで、PLL回路11がロックしているか否かを検出することができる。これにより、情報処理装置1は、PLL回路11から出力されるクロック信号がロック状態のものであって、脈動性信号の変動により乱されていない状態の拍動を表していることを判別することができる。また、ランダム性の信号が入力した際には、PLL回路11がロックしていないことを判別することができる。
また、情報処理装置1は、信号計数部42を備えることで、クロック信号の単位時間当たりのパルスをカウントすることができる。これにより、情報処理装置1は、脈動性信号に変動が生じたとしても、クロック信号を利用して心臓の拍動と同期した脈拍数を測定することができる。
また、情報処理装置1は、表示器81を備えることで、PLL回路11がロックしているか否かを表示し、単位時間当たりのクロック信号のカウント値を表示することができる。これにより、情報処理装置1は、PLL回路11の同期状態を表示するとともに、脈拍数を表示することができる。したがって、情報処理装置1によれば、検体は表示結果を確認して、実時間で運動の強度などを自分で調整することができる。さらに、入力する脈動性信号のうち、ランダム性の信号が入力した際には、PLL回路11がロックしないことを表示したうえで、脈拍数を表示することができる。
[2.第二実施形態]
本発明の第二実施形態に係るPLL回路12、PLL回路12を備える情報処理装置2、及び検体情報処理装置6について、図6を参照して説明する。以下、第二実施形態の説明においては、第二実施形態を、本実施形態とも呼ぶ。本実施形態に係るPLL回路12及び情報処理装置2は、一部の構成を除いて上述の第一実施形態に係るPLL回路11及び情報処理装置1と同様に構成されており、PLL回路11及び情報処理装置1と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
[2−1.PLL回路の構成]
本実施形態に係るPLL回路12は、図6に示すように、位相比較器21、LPF22、VCO23b、及び分周器24を備えて構成されている。
位相比較器21及びLPF22は、第一実施形態に係るPLL回路11と同様に構成されている。
<VCO>
VCO23bは、入力された電圧制御信号の電圧に対応する発振周波数を有するクロック信号を出力する。本実施形態に係るPLL回路12では、クロック信号が分周器24に入力される。本実施形態では、VCO23bの発振周波数は、128Hzを中心として変動するよう設計されている。
<分周器>
分周器24は、所定の分周比Nでクロック信号の周波数を分周して、分周した周波数を分周信号として出力する。分周信号は、帰還信号として位相比較器21に入力される。本実施形態に係る分周器24は、分周比Nを128としている。
<PLL回路>
PLL回路12は上記の通り構成されており、脈動性信号と、帰還信号としての分周信号との位相が同期するようにVCO23bの発振周波数が制御される。これにより、PLL回路12は、入力された脈動性信号にロックする。PLL回路12が脈動性信号にロックした場合、VCO23bは、1つの脈波の波形に128個のクロック数のクロック信号を発生させるようになっている。これにより、PLL回路12は、脈動性信号をクロック信号により正規化する。すなわち、PLL回路12は、脈動性信号の正規化用のPLL回路である。
[2−2.情報処理装置の構成]
本実施形態に係る情報処理装置2の構成について、図6を参照して説明する。情報処理装置2は、情報処理装置1と同様に、ゲイン切り替え部51、周波数特性補償部61、周波数補正処理部71、二値化処理部31、PLL回路12、ロック検出部41、及び信号計数部42を備え、さらに、カウンタ25、AD変換器32、第一メモリ33、フィードバックコムフィルタ34、第二メモリ35、平均化処理部36、微分処理部37、積分処理部38、及び波形表示部43を備えている。情報処理装置2の上記構成部分をあわせて信号処理部15という。さらに、情報処理装置2は、表示器81を備える。
ゲイン切り替え部51、周波数特性補償部61、周波数補正処理部71、二値化処理部31、及びロック検出部41は、第一実施形態に係る情報処理装置1と同様に構成されている。情報処理装置2では、ゲイン切り替え部51から出力された脈動性信号が、周波数特性補償部61とAD変換器32とに出力される。AD変換器32と第一メモリ33とをあわせて信号記録部13ともいう。なお、本実施形態に係る情報処理装置2では、周波数特性補償部61及びAD変換器32に、速度脈波が入力される場合について説明する。
<信号計数部>
信号計数部42は、VCO23aからの信号入力に変えて、分周器24から分周信号が入力されて、この分周信号の単位時間当たりのパルスをカウントして、単位時間当たりの分周信号のカウント値を表示器81に表示する他は、第一実施形態の場合と同様に構成されている。
<カウンタ>
カウンタ25は、分周器24から分周信号が入力されてこれをカウントし、分周信号の番号によって脈波の順番を示す波形番号を出力する。波形番号は0、1、2・・・と、0から順に1ずつ増加する整数値によってカウントされる。カウンタ25は、第一メモリ33及び第二メモリ35の記憶容量に応じて波形番号を適宜リセットして再度0からカウントする。PLL回路12にカウンタ25を加えたものを、クロックアドレス発生部ともいう。
<AD変換器>
AD変換器32は、アナログデータである脈動性信号が入力されて、脈動性信号の信号強度の値をデジタルデータに変換して取得する。AD変換器32は、VCO23bからクロック信号が入力されて、クロック信号が入力されたタイミングで信号強度を取得する。AD変換器32は取得した信号強度のデジタルデータを第一メモリ33に出力する。
<第一メモリ>
第一メモリ33は、AD変換器32で得られた信号強度のデジタルデータが入力されて、このデータを記録する。第一メモリ33を、単にメモリともいう。第一メモリ33は、記憶領域を複数のバンクに分割してなるメモリバンクである。本実施形態に係る第一メモリ33は、64個のバンクを有している。第一メモリ33は、バンクに順次データが書き込まれ、容量の制限に応じて古いメモリが消去されるリングバッファである。第一メモリ33は、信号強度のデータを、クロック信号の入力されたタイミングに応じたクロック番号ごとに記録する。また、第一メモリ33は、信号強度のデータを、カウンタ25から入力される波形番号を受けて、波形番号毎に分けられたそれぞれのバンクに記録する。すなわち、第一メモリ33は、脈動性信号を脈波の一周期毎に、波形番号とクロック番号に対応付けた信号強度として記録する
図7,図8を参照して、第一メモリ33の構成とクロック番号及び波形番号との関係について説明する。図7では第一メモリ33が有する64個のバンクのうち、波形番号0、1、2、9、10に対応するバンクを例示して説明する。
図7に示すように、第一メモリ33は、各々の波形番号0、1、2、・・・9、10に対応した複数のバンク211,212,213,214,215を有している。各バンクにはクロック番号0〜127に対応した信号強度のデータが記録される。このように、第一メモリ33では、取得された信号強度のデータが、どの波形番号のどのクロック番号というように、脈波の波形の一周期のどこの箇所を指すのかが指定された形でデータが格納されている。
図8に示すように、VCO23bによって、脈波において一つの波形の立ち上がりから次の波形の立ち上がりまでを一周期として、一波形を0〜127までの計128のクロックにより脈波の1周期を等分割する。クロック数を定めた波形番号が0となる波形から順に、一つの波形ごとにクロック番号を0、1、2・・・125、126、127と順に振る。このとき、脈波の波形の立ち上がりのクロック番号を0としてこのタイミングで信号の強度a1がサンプリングされる。サンプリングされた波形番号0の波形のクロック番号0の信号強度は、図7に示すように、第一メモリ33のメモリバンク211の先頭に記録される。次に、クロック番号1のタイミングで信号の強度a2がサンプリングされて、メモリバンク211のクロック番号0の信号の次に記録される。このようにして、クロック番号127のタイミングでの信号の強度a128までサンプリングされて、メモリバンク211にクロック番号0から順に127まで記録される。続いて、同様にして、波形番号1の波形のクロック番号0のタイミングで信号の強度b1から順にサンプリングされて、メモリバンク212に保存される。
第一メモリ33から、一つの波形番号においてクロック番号の順に信号強度を読み出し、クロック番号127まで読み出したら次の波形番号のクロック番号0から順に信号強度を読み出すことで、脈動性信号の信号強度を本来の時系列の順序で読み出すことができる。このとき、脈動性信号は、128のクロック数のクロック信号により正規化された信号として得られる。
<フィードバックコムフィルタ>
フィードバックコムフィルタ34は、第一メモリ33に記録した信号強度を読み出して、特定の周波数成分を通過させるフィルタ処理を行うデジタルシグナルプロセッサ(DSP)で構成される。フィードバックコムフィルタ34は、フィルタ処理を施した信号を第二メモリ35に出力する。フィードバックコムフィルタ34は、DSPと第一メモリ33及び第二メモリ35の間の操作により実行される。
図9のブロック図に示すように、フィードバックコムフィルタ34は、所定の遅延時間Kにより信号を遅延させるディレイ201と、掛け算器202と、加算器203とを有する、フィードバック型のコムフィルタである。フィードバックコムフィルタ34に入力された信号は、一部がディレイ201によって遅延されて、遅延した信号が掛け算器202によって増幅されて、さらに加算器203に入力され、入力された信号にフィードバックされる。ディレイ201の遅延時間Kと、掛け算器202のフィードバックゲインαによって、フィードバックコムフィルタ34の周波数特性が決定される。
図10のグラフにフィードバックコムフィルタ34の周波数特性を示す。図10では、横軸は周波数を示し、縦軸がゲインを示す。図10に示すように、フィードバックコムフィルタ34は、入力された信号に対して、遅延時間Kの逆数1/Kとなる所定の周波数の整数倍の周波数成分を、櫛歯状に通過させるフィルタとして機能する。また、フィードバックゲインαが0.5、0.75、0.9と増加するに従い、急峻な特性を示すフィルタが得られる。フィードバックコムフィルタ34は、VCO23bからクロック信号が入力されて、脈動性信号の一周期(一波形)あたりの総クロック数をカウントする。フィードバックコムフィルタ34は、この総クロック数を遅延時間Kの逆数1/Kとして、総クロック数の整数倍の周波数成分を通過させる。PLL回路12が脈動性信号にロックして、1周期あたりの総クロック数が128となった場合には、フィードバックコムフィルタ34は、128、256、384、512・・・の周波数成分を通過させる。フィードバックコムフィルタ34の急峻性は約20dBである。
フィードバックコムフィルタ34によるフィルタ処理を行うに際して、まず、第一メモリ33から、波形番号0においてクロック番号0から127まで順に信号強度を読み出し、続いて波形番号1においてクロック番号0から127までに信号強度を読み出す。同様にして、順次波形番号2以降の信号強度を読み出す。このようにして、脈動性信号を本来の時系列の順序で、クロック信号により正規化された信号強度の離散データとして得ることができる。この離散データをフィードバックコムフィルタ34によりフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の信号を第二メモリ35に出力する。
<第二メモリ>
第二メモリ35は、フィードバックコムフィルタ34でフィルタ処理された信号の信号強度が入力されて、この信号強度のデータを記録する。第二メモリ35は、図7を参照して説明した第一メモリ33と同様に構成されており、フィルタ処理された信号の信号強度を、波形番号とクロック番号に対応付けて格納している。
<平均化処理部>
平均化処理部36は、第二メモリ35に記録した連続する複数の波形番号の信号強度のデータを読み出し、加算して、加算したデータの数で除算することで、波形番号ごとに各クロック番号の信号強度の平均値を出力する平均化処理をするものである。平均化処理部36は、平均化処理の結果を波形表示部43に出力する。本実施形態では、連続する10個の信号強度の値の平均を取る。具体的には、第二メモリ35の所望の波形番号から10個の連続した波形番号において、各々のバンクから同じタイミングのクロック信号、すなわち同じクロック番号の信号強度を読み出し、これを加算して10個の波形分のデータの平均値を出力する。次に、クロック番号を一つ後ろにずらし、同様にして順に平均値を算出していく。一つの波形番号の最後のクロック番号まで処理し終えたら、次の10個の連続した波形番号の最初のクロック番号から順に平均値の算出を行う。このようにして、波形番号ごとの各クロック番号に対応して、10個の信号強度の値の平均を得る。ここで、ある波形番号における信号強度の平均値とは、連続する複数の波形番号に対応する平均値を算出した場合において、最後の波形番号に対応する平均値をいうものとする。
図7を参照して、平均化処理部36による平均化処理について説明する。初めに波形番号0〜9において、クロック番号0のa1〜j1の10個のデータを読み出して平均値を出力する。次に、クロック番号を一つずらして、波形番号0〜9のクロック番号1のa2〜j2の10個のデータの平均値を出力する。このようにして、波形番号0〜9のクロック番号127までのa128〜j128の10個のデータの平均値を出力する。このときの平均値は、それぞれ波形番号9における平均値となる。その後、波形番号を一つずらして、波形番号1〜10において、クロック番号0のb1〜k1までの10個のデータを読み出して平均値を出力する。このときの平均値は、それぞれ波形番号10における平均値となる。以降、同様にして順に平均値を出力する。
<微分処理部>
微分処理部37は、第一メモリ33に記録した信号強度のデータを読み出して、数値微分をするものである。微分処理部37は、数値微分の結果を波形表示部43に出力する。数値微分は、128のクロックでサンプリングされた離散型データの傾きを出すだけであるので、公知の算出方法を適宜利用できる。一例として、最も単純な方法として前方差分をとるのであれば、注目する点とその後の点のサンプル値をf(xi),f(xi+1)とすると、下記の
(f(xi+1)−f(xi))/Δx
の公式に乗っ取り、この例であれば1/128をΔxとして、隣接するサンプル値間での演算を行えばよい。
<積分処理部>
積分処理部38は、第一メモリ33に記録した信号強度のデータを読み出して、数値積分をするものである。積分処理部38は、数値積分の結果を波形表示部43に出力する。数値積分は、128のクロックでサンプリングされた離散型データの傾き面積を出すだけであるので、台形則、シンプソン則等の公知の算出方法を適宜利用できる。シンプソン則に従えば、1/128の刻みでこれをΔxとすれば注目する点の前後の点のサンプル値をf(xi-1),f(xi),f(xi+1)とすると、下記の
Δx{f(xi-1)+4f(xi)+f(xi+1)}/3
の計算式で求めることができる。
<波形表示部>
波形表示部43は、第二メモリ35に記録した信号強度を読み出して、クロック番号と信号強度との関係を表す波形のデータを生成して、表示器81に出力する。もしくは、波形表示部43は、平均化処理部36、微分処理部37、または積分処理部38で処理された結果が入力されて、クロック番号と信号強度との関係を表す波形のデータを生成して、表示器81に出力する。波形表示部43はいずれの場合でも同様に処理を行うことができるが、本実施形態では、平均化処理部36で平均化処理された結果が波形表示部43に入力される場合について説明する。
波形表示部43は、平均化処理部36から、所望の波形番号における、クロック番号0から順にクロック番号127までのそれぞれの信号強度の平均値が入力されることで、各クロック番号の10個の波形分の信号強度の平均値を、本来の時系列の順序で取得する。さらに、波形表示部43は、一脈波において時間軸を刻んだ計128のクロック番号を横軸にとり、入力された信号強度の平均値を縦軸にとることで、10個分の脈波を平均化した一周期分の波形を二次元に表示するデータを生成する。このようにして、波形表示部43は、所望の波形番号における、クロック番号と信号強度の平均値との関係を表す波形のデータを生成する。さらに波形表示部43は、次の波形番号における信号強度の平均値が入力されて、同様に波形のデータを生成し、順次出力を行う。
<表示器>
表示器81は、波形表示部43から波形のデータが入力されて、脈動性信号を、波形番号ごとに脈波の一周期の波形として表示する他は、実施形態1の場合と同様に構成されている。なお、第二実施形態に係る表示器81では、信号計数部42からカウント値が入力されることで、単位時間当たりの分周信号のカウント値を表示する。表示器81は、第二メモリ35、平均化処理部36、微分処理部37、または積分処理部38からの信号を、波形表示部43を介して表示する。表示器81は、表示画面の波形の表示領域に、横軸に128のクロック番号をとり、縦軸に信号強度とった、脈波の一周期の波形の画像を表示する。表示器81は、波形番号の順番に順次波形のデータが入力されることで、脈波の波形を本来の時系列の順序で表示する。本実施形態では、表示器81は、波形表示部43からクロック番号と信号強度の平均値との関係を表す波形のデータが入力されて、波形番号ごとに10個分の脈波を平均化した一周期毎の波形を表示する。
<検体情報処理装置>
検体情報処理装置6は、上述の通り構成されており、検体情報検出ユニット101によって検出されて、情報処理装置2に入力された脈動性信号を、ゲイン切り替え部51を通じて、周波数特性補償部61とAD変換器32に入力する。周波数特性補償部61で処理された脈動性信号は、周波数補正処理部71及び二値化処理部31を通じて、PLL回路12に入力される。PLL回路12は、VCO23bからクロック信号をAD変換器32とフィードバックコムフィルタ34に出力する。また、分周器24から分周信号をカウンタ25に出力する。AD変換器32に入力された脈動性信号は、第一メモリ33に信号強度として記録され、フィードバックコムフィルタ34にフィルタ処理された信号が第二メモリ35に記録される。第二メモリ35に記録された信号は、平均化処理部36、微分処理部37、または積分処理部38が読み出して、それぞれ処理を行って処理結果を出力する。情報処理装置2は、ロック検出部41、信号計数部42、及び波形表示部43からの出力を、表示器81に表示にする。
[2−3.PLL回路と情報処理装置の動作]
図18に示すフローチャートを参照しながら、PLL回路12による脈動性信号の正規化の動作と、情報処理装置2による正規化された脈動性信号の平均化処理と出力の動作との一例を説明する。
検体情報処理装置6は、検体情報検出ユニット101によって脈動性信号を検出し、脈動性信号を情報処理装置2に入力することで、脈動性信号を取得する(ステップS20)。
二値化処理部31は、情報処理装置2に入力された脈動性信号を二値化して、PLL回路12に入力する(ステップS21)。
位相比較器21は、二値化された脈動性信号と帰還信号との位相を比較して、位相差に対応する位相差信号を出力する(ステップS22)。
LPF22は、位相差信号から所定のカットオフ周波数より大きい周波数成分を除去した電圧制御信号を出力する(ステップS23)。
VCO23bは、電圧制御信号の電圧に対応する発振周波数を有するクロック信号を出力する(ステップS24)。このとき、ステップS24では、脈動性信号と帰還信号との位相が同期するようにVCO23bの発振周波数を制御する。VCO23bは、クロック信号を、分周器24とAD変換器32とフィードバックコムフィルタ34に出力する。
分周器24は、所定の分周比でクロック信号の周波数を分周して、分周信号を出力する(ステップS25)。分周器24は、分周信号を帰還信号として位相比較器21に入力するとともに、カウンタ25と信号計数部42に出力する。
カウンタ25は、分周信号をカウントして、波形番号を出力する(ステップS26)。
AD変換器32は、クロック信号を受けたタイミングで脈動性信号の信号強度をデジタルデータとして取得して、第一メモリ33に出力する(ステップS27)。
第一メモリ33は、各クロック番号の信号強度を波形番号毎のバンクに記録する(ステップS28)。
フィードバックコムフィルタ34は、総クロック数の整数倍の周波数成分を通過させるフィルタ処理を施す(ステップS29)。
第二メモリ35は、フィルタ処理された信号を記録する(ステップS30)
平均化処理部36は、第二メモリ35に記録された信号強度のデータを読み出し、平均値を算出して、波形表示部43に出力する(ステップS31)。
波形表示部43は、クロック番号と信号強度の平均値との関係を表す波形のデータを生成して、表示器81に出力する(ステップS32)。
表示器81は、波形番号ごとに複数の脈波を平均化した一周期の波形を表示する(ステップS33)
[2−4.PLL回路及び情報処理装置の作用]
<PLL回路について>
PLL回路12は、PLL回路11と同様に、PLL回路12に入力される信号が変動した場合であっても、フライホイール効果によってVCO23bから出力されるクロック信号が急変せずに、安定した本来の脈波を示す波形を出力することができる。PLL回路12の作用を、図2〜図4を参照して説明すると、PLL回路12では、VCO23bが128Hzを中心として変動する発振周波数を有するクロック信号を出力して、分周器24がこのクロック信号を分周比128で分周して分周信号として出力する。PLL回路12では、分周信号が、図2(c),図3(c),図4(a)〜図4(c)の下段に示す波形のように、入力された信号に外乱があったとしても大きな変化が現れずにほぼ一定の間隔となって出力される。
また、PLL回路12は、脈拍数が変化して入力される脈動性信号の変動が続く場合には、変動に応じて電圧制御信号が変化し、これに伴いこれに伴いクロック信号及び分周信号が追従するように構成されているため、次第に分周信号が心臓の拍動と同期することになる。
また、PLL回路12及び情報処理装置2は、PLL回路11及び情報処理装置1と同様に、不整脈が発生して脈波のパターンに乱れが生じた場合であっても、脈動性信号にロックして、脈拍数を表示することができる。
さらに、脈動性信号をロックした際には、VCO23bは脈波の一周期に128個のクロック数のクロック信号を発生させる。
<正規化について>
図11は、検体が平常時の場合の脈波の周波数スペクトルを、横軸を周波数、縦軸を信号の強度で示したものである。図11に示すように、通常、1Hz,2Hz,3Hz・・・のようにして、脈波は基本周波数Tがおよそ1Hzであってその逆数1/Tとなる1Hz付近に信号を有しており、その整数倍となる2/T、3/T、4/T、・・・の周波数にも信号を有する。
情報処理装置2では、PLL回路12によって入力される脈動性信号にロックすることで、一脈波、すなわち脈波の一周期の間に128個のクロック数のクロック信号が存在するように、クロック信号により脈動性信号を正規化する。このとき、脈波の信号が表れる1/Tの周波数を、128のクロック信号により変換して定義することができる。言い換えれば、正規化によって、128のクロック信号ごとに一つの脈波の波形が存在して、脈動性信号がクロック軸で定義されている状態となっている。そもそも、脈波は静止時、活動時、または激しい運動時などの場合に応じて必要な酸素量を供給するために、その数を変動させるものであり、時間軸でこれらを扱うには困難であった。情報処理装置2では、脈動性信号の正規化を行うことにより、脈波の取扱性を向上させたものである。
<フィードバックコムフィルタについて>
脈動性信号が正規化された状態にあることで、フィードバックコムフィルタ34により、128、256、384・・・のように、1周期あたりの総クロック数の整数倍の周波数成分を通過させることによって、脈波に由来する成分を通過させることができる。またこのとき、フィードバックコムフィルタ34に入力された信号から、外乱に由来する成分を除くことができる。
従来、脈動性信号は時間軸がゆれることがあるために、変動する基本周波数成分にあわせて図10に示すようなシャープな周波数特性を有するフィードバックコムフィルタをかけることは困難であった。情報処理装置2では、PLL回路12により脈動性信号にロックして、クロック信号により脈動性信号を正規化することで、脈動性信号がクロック軸で定義されている。ここで、図11を参照して説明したように、脈波の波形をフーリエ変換した周波数スペクトルは、約1Hzの基本波を中心にその2倍、3倍、4倍・・・の高調波から成り立っている。さらに、検体の運動状態等に応じて、この基本波及び高調波の周波数が変化する。なお、図11は実際の人の脈波の計測例であるため、さらに低域に向かってノイズが加わっている。このような脈波を示す脈動性信号についても、クロック軸は脈拍数が変化しても一定であるから、PLL回路12がロックしている限り、時間軸が変動したとしてもフィードバックコムフィルタ34を適用することができる。情報処理装置2は、この図11の櫛歯状のすべての高調波を図10のような急峻な通過特性を持つフィードバックコムフィルタ34を通過させるとともに、本来の脈動性信号のエネルギーが存在しない周波数成分を抑圧する。
<平均化処理について>
従来は、例えば運動をしていて脈拍数が変動している場合には、一つの波形の時間軸上の長さが変るために、そのまま複数の波形の平均をとることはできなかった。一方で、本実施形態に係る情報処理装置2では、脈動性信号が正規化された状態にあることで、平均化処理部36によって同じクロック番号の信号強度の平均値をとることによって、連続する複数の脈動性信号を平均化した波形を出力することができる。
<微分処理について>
従来の特定のカットオフ周波数を有する周波数特性の微分回路または微分回路を通すことによる処理では、脈動性信号の基本周波数との関係で、微分又は積分の動作を行うことができない場合があった。例えば、カットオフ周波数が2Hzの場合、脈動性信号の基本周波数が1Hz(60回/分)であれば、微分又は積分動作を行うことができる。一方で、例えばレーシングカーに搭乗するなどして基本周波数が3Hzとなった場合には、(不完全)微分回路のカットオフ周波数は変えられないことからすると、この場合にはカットオフ周波数以上の帯域に脈動性信号の成分が存在するために微分も積分も動作しない。このように、従来の時間軸で、同じ時定数で微分又は積分を行う場合には、基本周波数がカットオフ周波数に対して大きく変動した場合に、微分又は積分の処理ができない場合があった。一方で、本実施形態に係る情報処理装置2によれば、PLL回路12が脈動性信号にロックすることにより、常に一つの脈波の周期に一定数のクロック数があることで、カットオフ周波数と脈波の基本周波数の関係を保ったまま、安定な微分または積分の結果を得ることができる。
<情報処理装置の動作と表示について>
従来、検体から検出した脈波と脈拍数を表示する場合には、図14、図15のような表示が行われていた。なお、これらの図は、脈動性信号に外乱や不整脈等の変動がある場合の表示の例を示すものである。図14に示すように、速度脈波を示す波形は、本来の速度脈波に外乱に由来する成分が加わった状態で表示されていた。また、脈拍数を示す78の表示は、変動によって脈動性信号が乱れていることから、本来の脈拍数を示すものかは明らかではなかった。さらに、図15は、図14の状態から脈拍数が増えた場合の表示の例を示すものである。このとき、表示領域内の一定時間に表示されるパルス数が増加することによって、速度脈波を示す波形が時間軸で圧縮されており、観察を行うことが困難であった。また、脈拍数を示す150の表示は、図14と同様に、本来の脈拍数を示すものかは明らかではなかった。
一方で、本実施形態に係る情報処理装置2の表示器81は、速度脈波とロック状態と脈拍数を図12、図13のようにして表示する。図12は、従来では図14のように表示されていた脈動性信号を、情報処理装置2に入力した場合の表示を示すものである。情報処理装置2では128のクロック数のクロック信号により脈動性信号を正規化したことで、図12に示すように、表示器81は速度脈波を示す波形を、128のクロック番号からなるクロック軸で定義されている一定の領域に一脈波の表示をする。また、情報処理装置2はフィードバックコムフィルタ34によって波形の乱れを除くとともに、フライホイール効果により脈動性信号に加わった変動を抑えた状態で波形を表示する。また、表示器81は、PLL回路12がロックしていることを示す緑色(G)のアイコンを点灯し、ロックしていないことを示す赤色(R)のアイコンを消灯して、ロック状態を表示する。また、表示器81が脈拍数を示す75の表示は、PLL回路12のロックによりほぼ正しい値を表すと推測される。
図13は、図12の状態から脈拍数が増えた場合の表示の例、すなわち、従来では図15のように表示されていたものを示すものである。情報処理装置2ではクロック信号により脈動性信号を正規化したことで、図13に示すように、表示器81は、図12の場合と同様に、脈拍数が増えた場合であっても速度脈波を示す波形を一定の領域に一脈波の表示をする。また、図12の場合と同様に、情報処理装置2は波形の乱れを除くとともに、脈動性信号に加わった変動を抑えた状態で波形を表示する。また、表示器81は、図12の場合と同様にロック状態を表示する。また、表示器81が脈拍数を示す130の表示も、図12の場合と同様に、ほぼ正しい値を表すと推測される。
[2−5.PLL回路、情報処理装置、及び検体情報処理装置の効果]
第二実施形態に係るPLL回路12は、第一実施形態に係るPLL回路11と同様に、入力された脈動性信号にロックして、心臓の拍動に同期した分周信号を出力することができる。さらに、PLL回路12は、変動に対するロバスト性を有し、脈波を変動によらず安定して観察することが可能である。
また、PLL回路12によれば、クロック信号により脈動性信号を正規化することができる。すなわち、脈動性信号をロックした際に、脈波の一波形毎に同数のクロック数を割り当てて、時間軸によらずに信号を取り扱うことが可能となる。これにより、脈拍数の異なる波形の間であっても、同じクロック信号のタイミングで信号の強度を比較することが可能となる。
さらに、第二実施形態に係る情報処理装置2は、AD変換器32、第一メモリ33、及びカウンタ25を備えることで、脈動性信号を波形番号とクロック番号に対応付けた信号強度のデータとして記録することで、クロック信号で正規化された脈波を128のクロック数からなる一定の空間に定義することができる。
さらに、情報処理装置2は、脈動性信号が所定の数のクロック信号により正規化されていることで、フィードバックコムフィルタ34を利用して、脈動性信号に由来する信号を通過させて、検体の体動や発声等に起因する外乱を効果的に除くことができる。これにより、情報処理装置2は、検出信号のS/N比(信号とノイズの比)を向上させることができる。
また、情報処理装置2は、信号強度のデータを平均化処理部36により平均化する。平均化された脈波波形は大きく変化せずに、変動に対して徐々に変化する応答を示すことから、情報処理装置2によればさらに安定した脈波の表示を示す脈動性信号を得ることができる。このため、平均化により、入力される脈動性信号の一脈波に不整脈のケースのようなドロップアウトが生じたタイミングでも、通常時と同様の脈波の波形を得ることができる。また、検体が運動を行っている場合等により、入力される脈動性信号に突発的な外乱が生じる状況においても安定した脈波の波形を得ることができる。
また、情報処理装置2は、ロック検出部41を備えることで、PLL回路12がロックしているか否かを検出することができる。これにより、情報処理装置2は、PLL回路12から出力されるクロック信号がロック状態のものであって、脈動性信号の変動により乱されていない状態の拍動を表していることを判別することができる。
また、情報処理装置2は、信号計数部42を備えることで、分周信号の単位時間当たりのパルスをカウントすることができる。これにより、情報処理装置2は、脈動性信号に変動が生じたとしても、分周信号を利用して心臓の拍動と同期した脈拍数を測定することができる。
また、情報処理装置2は、表示器81を備えることで、PLL回路12がロックしているか否かを表示し、単位時間当たりの分周信号のカウント値を表示することができる。これにより、情報処理装置2は、PLL回路12の同期状態を表示するとともに、脈拍数を表示することができる。したがって、情報処理装置2によれば、検体は表示結果を確認して、実時間で運動の強度などを自分で調整することができる。
また、情報処理装置2は、波形表示部43を備えることで、クロック信号により正規化されるとともに、平均化処理部36により平均化された、一周期の波形を表示器81に表示することができる。これにより、体動などによる本来の脈波と無関係な波形は、波形のわずかな状態変化として表示される。また、例えば検体によってまたは運動状態によって、脈拍数が少ない場合と多い場合とがあるが、このような脈波のパルス幅(時間の長さ)が異なる場合であっても、正規化された一定の平面内に一波形を表示することができる。したがって、情報処理装置2によれば、検体は、脈動性信号に変動が加わった場合であっても、本来の脈波と同様の波形を示す、常に一周期分が表示される波形を観察することができる。また、検体は、ロック状態及び脈拍数とともに一元的に表示された脈波の波形を確認して、実時間で運動の強度などを自分で調整することができる。
また、情報処理装置2は、微分処理部37を備えることで、脈動性信号を時間軸ではなく、クロック軸で定義されている波形を数値微分で微分を行うことができ、脈動性信号の基本周波数に影響を受けずに微分の動作が可能となる。これにより、情報処理装置2は、容積脈波、速度脈波、加速度脈波の変換を正しく行うことができる。
また、情報処理装置2は、積分処理部38を備えることで、脈動性信号を時間軸ではなく、クロック軸で定義されている波形を数値積分で積分を行うことができ、脈動性信号の基本周波数に影響を受けずに積分の動作が可能となる。これにより、情報処理装置2は、容積脈波、速度脈波、加速度脈波の変換を正しく行うことができる。
[3.第三実施形態]
本発明の第三実施形態に係る脈拍周波数検出部301、及びクロックジェネレータ303を備える情報処理装置3、並びに検体情報処理装置7について、図19を参照して説明する。以下、第三実施形態の説明においては、第三実施形態を、本実施形態とも呼ぶ。なお、後述する情報処理装置4が備える脈拍周波数検出部302と区別するため、第三実施形態に係る脈拍周波数検出部301を、第一脈拍周波数検出部301とも称する。また、第四実施形態に係る脈拍周波数検出部302を、第二脈拍周波数検出部302とも称する。本実施形態に係る情報処理装置3は、一部の構成を除いて上述の第二実施形態に係る情報処理装置2と同様に構成されており、情報処理装置2と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
[3−1.情報処理装置の構成]
情報処理装置3の信号処理部16は、図19に示すように、情報処理装置2が備える二値化処理部31、位相比較器21、LPF22、VCO23b、及びロック検出部41に替えて、AD変換器305、第一脈拍周波数検出部301、クロックジェネレータ303を備えている。第一脈拍周波数検出部301は、LPF311、微分処理部312、タイミング検出部313、間隔取得部314、周波数算出部315、及び移動平均処理部316を有している。
<AD変換器>
AD変換器305は、周波数補正処理部71から入力された脈動性信号の信号強度の値をデジタルデータに変換して、第一脈拍周波数検出部301のLPF311に出力する。
<LPF>
LPF311は、LPF311に入力される脈動性信号に対して、LPF処理を施す。LPF311では、血管の脈波情報の基本波が含まれる周波数帯域の基本周波数成分を通過させて、基本周波数の高調波が含まれる周波数帯域の高調波数成分を減衰させる処理を行う。LPF311により、脈波情報の基本周波数部分からなる脈動性信号が得られる。また、LPF311により、脈動性信号に含まれる脈波情報以外に由来するノイズ成分が軽減される。
LPF311によるローパスフィルタのカットオフ周波数は、上記作用を発揮するように適宜設定できるが、カットオフ周波数の下限は、通常1.5Hz以上、好ましくは2Hz以上、より好ましくは2.5Hz以上である。また、カットオフ周波数の上限は、通常5Hz以下、好ましくは4Hz以下、より好ましくは3.5Hz以下である。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、上記の下限よりも大きいことで、例えば検体が運動して脈拍数が増加した場合でも、基本周波数成分を通過させることができる。また、ローパスフィルタのカットオフ周波数は、上記の上限よりも小さいことで、高調波数成分を減衰させるとともに、ノイズ成分を軽減することができる。本実施形態では、LPF311によるローパスフィルタのカットオフ周波数は、3Hzである。
<微分処理部>
微分処理部312は、LPF311によってローパスフィルタ処理した脈動性信号に対して、数値微分を施す。微分処理部312により、脈動性信号の強度の経時的な変化において、その時間変化に伴う数値変化の傾きが得られる。
<タイミング検出部>
タイミング検出部313は、微分処理部312によって得られた信号が0となるタイミングを検出する。タイミング検出部313により、脈動性信号の強度の時間変化におけるピーク位置のタイミングが得られる。タイミング検出部313は、脈動性信号の経時変化にあわせて、信号が0となるタイミングを順次検出する。
<間隔取得部>
間隔取得部314は、タイミング検出部313で検出されたタイミングのうち、隣接するタイミングの間の時間間隔を取得する。間隔取得部314により、隣接するタイミングの間隔が、脈動性信号の隣接するピークに挟まれた脈波の1周期分の長さとして得られる。
<周波数算出部>
周波数算出部315は、間隔取得部314で取得されたタイミングの間隔、すなわち脈波の1周期分の長さの逆数をとって、脈拍周波数を算出する。周波数算出部315は、脈動性信号の経時変化に合わせて、脈拍周波数を順次検出する。
<移動平均処理部>
移動平均処理部316は、周波数算出部315で算出された複数の脈拍周波数に対して、移動平均処理を行う。本実施形態では、直近の連続する10個の脈拍周波数の値に対して平均を取る。移動平均処理部316により、連続する複数の脈拍周波数の間で生じている変化をなだらかにした周波数が得られる。
<第一脈拍周波数検出部>
第一脈拍周波数検出部301は、上述した各機能部を備えるDSPとして構成される。第一脈拍周波数検出部301は、入力された脈動性信号の平均化された脈拍周波数を、クロックジェネレータ303に出力する。
<クロックジェネレータ>
クロックジェネレータ303は、移動平均処理部316による移動平均処理によって得られた周波数の信号が入力されて、この信号に同期した周波数のクロック信号を発振する。本実施形態に係るクロックジェネレータ303は、第一脈拍周波数検出部301から入力された脈拍周波数の値を128倍した周波数のクロック信号を発振する。これにより、クロックジェネレータ303は、1つの脈波の波形に128個のクロック数のクロック信号を発生させる。情報処理装置3は、このクロック信号により脈動性信号を正規化する。
<分周器>
分周器304は、所定の分周比Nでクロックジェネレータ303から発振されたクロック信号の周波数を分周して、分周した周波数を分周信号として出力する。本実施形態に係る分周器304は、第二実施形態に係る分周器24と同様に、分周比Nを128としている。
<検体情報処理装置>
検体情報処理装置7は、上述の通り構成されており、検体情報検出ユニット101によって検出されて、情報処理装置3に入力された脈動性信号を、ゲイン切り替え部51を通じて、周波数特性補償部61とAD変換器32に入力する。周波数特性補償部61で処理された脈動性信号は、周波数補正処理部71及びAD変換器305を通じて、第一脈拍周波数検出部301に入力される。第一脈拍周波数検出部301は、移動平均処理部316により移動平均処理された脈拍周波数を、クロックジェネレータ303に出力する。クロックジェネレータ303は、クロック信号を、AD変換器32とフィードバックコムフィルタ34と分周器304に出力する。分周器304は、分周信号を、カウンタ25と信号係数部42に出力する。
[3−2.第一脈拍周波数検出部と情報処理装置の動作]
図20に示すフローチャートを参照しながら、第一脈拍周波数検出部301による脈拍周波数の検出の動作と、情報処理装置3による正規化処理の動作との一例を説明する。
検体情報処理装置7は、検体情報検出ユニット101によって脈動性信号を検出し、脈動性信号を情報処理装置3に入力する。AD変換器305は、信号処理部16に入力された脈動性信号をデジタルデータに変換を行い、第一脈波周波数検出部301に出力する。このようにして、検体情報処理装置7は、正規化処理を行うための脈動性信号を取得する(ステップS40)。
LPF311は、情報処理装置3に入力された脈動性信号に対して、ローパスフィルタ処理を行い、脈波情報の基本周波数部分からなる信号を出力する(ステップS41)。
微分処理部312は、ローパスフィルタ処理した信号を微分して脈動性信号の変化の傾きを得る(ステップS42)。
タイミング検出部313は、微分した信号の値が0となるタイミングを検出する(ステップS43)。
間隔取得部314は、検出された複数のタイミングのうち隣接するタイミングの間隔を取得する(ステップS44)。
周波数算出部315は、取得されたタイミングの間隔から、脈拍周波数を算出する(ステップS45)。
移動平均処理部316は、脈拍周波数に対して、移動平均処理を行う(ステップS46)。
クロックジェネレータ303は、移動平均処理した周波数の信号が入力されて、この周波数のクロック信号を発振する(ステップS47)。クロックジェネレータ303は、クロック信号を、分周器304とAD変換器32とフィードバックコムフィルタ34に出力する。
分周器304は、所定の分周比でクロック信号の周波数を分周して、分周信号を出力する(ステップS48)。分周器304は、分周信号を、カウンタ25と信号計数部42に出力する。
上述したステップS41〜ステップS46により、情報処理装置3が取得した脈動性信号の脈拍周波数が出力される。さらに、ステップS47によって、脈波の周波数に同期したクロック信号が出力される。
以降の情報処理装置3による、分周信号、及びクロック信号を用いた処理は、情報処理装置2のステップS26〜ステップS33による処理と同様に行うことができる。
[3−3.情報処理装置、及び検体情報処理装置の作用および効果]
第三実施形態に係る情報処理装置3及び検体情報処理装置7によれば、前記第二実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
本実施形態に係る情報処理装置3は、第一脈拍周波数検出部301を備えることで、入力された脈動性信号の脈拍周波数を検出する。このとき、脈拍周波数は移動平均処理を受けていることから、入力される脈動性信号に変動が生じる状況においても、安定した脈波の周波数を得ることができる。さらに、情報処理装置3は、クロックジェネレータ303を備えることで、脈拍周波数に応じたクロック信号が出力される。これにより、心臓の拍動に同期したクロック信号を出力することができる。さらに、クロック信号によって脈動性信号を正規化することで、脈波の一波形毎に同数のクロック数を割り当てて、時間軸によらずに信号を取り扱うことが可能となる。
[4.第四実施形態]
本発明の第四実施形態に係る脈拍周波数検出部302、及びクロックジェネレータ303を備える情報処理装置4、並びに検体情報処理装置8について、図21を参照して説明する。以下、第四実施形態の説明においては、第四実施形態を、本実施形態とも呼ぶ。本実施形態に係る情報処理装置4は、一部の構成を除いて上述の第二実施形態に係る情報処理装置2と同様に構成されており、情報処理装置2と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
[4−1.情報処理装置の構成]
情報処理装置4の信号処理部17は、図21に示すように、情報処理装置2が備える二値化処理部31、位相比較器21、LPF22、VCO23b、及びロック検出部41に替えて、AD変換器305、第二脈拍周波数検出部302、クロックジェネレータ303を備えている。第二脈拍周波数検出部302は、LPF321、周波数解析部322、ピーク検出部323、周波数取得部324、及び移動平均処理部325を有している。
<AD変換器>
AD変換器305は、周波数補正処理部71から入力された脈動性信号の信号強度の値をデジタルデータに変換して、第二脈拍周波数検出部302のLPF321に出力する。
<LPF>
LPF321は、第三実施形態に係るLPF321と同様に、入力される脈動性信号に対してLPF処理を施し、脈波情報の基本周波数部分からなる信号を得る。
<周波数解析部>
周波数解析部322は、LPF321によってローパスフィルタ処理した脈動性信号に対して、周波数解析を施す。周波数解析部322により、脈動性信号は、周波数領域の脈波のスペクトルに変換される。周波数解析としては、例えば、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ解析)、MEM(Maximum Entropy Method;最大エントロピー法)、もしくは自己相関解析、中でもAR(Auto-regressive;自己回帰法)を用いることができる。または、広義にはWavelet法を用いることができる。周波数解析は、所定の長さの時間の脈動性信号に対して、所定の間隔分の時間をずらして行う。
周波数解析部322による周波数解析を行う長さ及び間隔は適宜設定できるが、周波数解析の長さは、サンプリング数の確保と信号処理の負荷との関係から、通常8秒以上30秒以下、好ましくは12秒以上24秒以下、より好ましくは14秒以上18秒以下である。また、周波数解析の間隔は、第二脈拍周波数検出部302によって脈拍周波数が得られる間隔に対応し、脈拍周波数の変動に追従する観点から、通常3秒以下、好ましくは2秒以下、より好ましくは1秒以下である。本実施形態では、16秒の長さの脈動性信号に対して周波数解析を行い、次に1秒の間隔を空けた後の16秒の長さの周波数解析を行う。以降、同様にして1秒の間隔ずつ時間をずらして周波数解析を行う。周波数解析部322により、16秒の長さの脈波信号の1秒おきのパワースペクトル(脈波スペクトル)が得られる。
<ピーク検出部>
ピーク検出部323は、周波数解析部322で得られた脈波スペクトルから、スペクトル強度が最大のピークを検出する。上述したLPF321により、脈動性信号は脈波情報の基本周波数部分からなる信号となっているため、ピーク検出部323によって検出されるピークの周波数は、脈動性信号の脈拍周波数を表すことになる。ピーク検出部323は、周波数解析部322によって得られる1秒間隔の脈波スペクトルそれぞれについて、最大のピークを順次検出する。
<周波数取得部>
周波数取得部324は、ピーク検出部323で検出された最大ピーク位置の周波数を読み込むことで、脈拍周波数を取得する。周波数取得部324による脈拍周波数の取得も、1秒間隔の脈波スペクトルから検出されたそれぞれのピークについて行われる。
<移動平均処理部>
移動平均処理部325は、周波数取得部324で取得された複数の脈拍周波数に対して、移動平均処理を行う。本実施形態では、直近の連続する10個の脈拍周波数の値に対して平均を取る。移動平均処理部325により、連続する複数の脈拍周波数の変化をなだらかにした周波数が、1秒間隔で得られる。
<第二脈拍周波数検出部>
第二脈拍周波数検出部302は、上述した各機能部を備えるDSPとして構成される。第二脈拍周波数検出部302は、入力された脈動性信号の平均化された脈拍周波数を、クロックジェネレータ303に出力する。
<クロックジェネレータ>
クロックジェネレータ303は、移動平均処理部325による移動平均処理によって得られた周波数の信号が入力されて、第三実施形態に係るクロックジェネレータ303と同様に、この信号に同期した周波数のクロック信号を発振する。情報処理装置4は、このクロック信号により脈動性信号を正規化する。
<検体情報処理装置>
検体情報処理装置8は、上述の通り構成されており、検体情報検出ユニット101によって検出されて、情報処理装置4に入力された脈動性信号を、ゲイン切り替え部51を通じて、周波数特性補償部61とAD変換器32に入力する。周波数特性補償部61で処理された脈動性信号は、周波数補正処理部71及びAD変換器305を通じて、第二脈拍周波数検出部302に入力される。第二脈拍周波数検出部302は、移動平均処理部325により移動平均処理された脈拍周波数を、クロックジェネレータ303に出力する。クロックジェネレータ303は、クロック信号を、AD変換器32とフィードバックコムフィルタ34と分周器304に出力する。分周器304は、分周信号を、カウンタ25と信号係数部42に出力する。
[4−2.第二脈拍周波数検出部と情報処理装置の動作]
図22に示すフローチャートを参照しながら、第二脈拍周波数検出部302による脈拍周波数の検出の動作と、情報処理装置4による正規化処理の動作との一例を説明する。
検体情報処理装置8は、検体情報検出ユニット101によって脈動性信号を検出し、脈動性信号を情報処理装置4に入力する。AD変換器305は、信号処理部17に入力された脈動性信号をデジタルデータに変換を行い、第二脈波周波数検出部302に出力する。このようにして、検体情報処理装置8は、正規化処理を行うための脈動性信号を取得する(ステップS60)。
LPF321は、情報処理装置4に入力された脈動性信号に対して、ローパスフィルタ処理を行い、脈波情報の基本周波数部分からなる信号を出力する(ステップS61)。
周波数解析部322は、ローパスフィルタ処理した信号に対して、周波数解析を行い、脈波のパワースペクトルを得る(ステップS62)。
ピーク検出部323は、脈波のパワースペクトルから、スペクトル強度が最大のピークを検出する(ステップS63)。
周波数取得部324は、検出された最大のピークから脈拍周波数を取得する(ステップS64)。
移動平均処理部325は、脈拍周波数に対して、移動平均処理を行う(ステップS65)。
クロックジェネレータ303は、移動平均処理した周波数の信号が入力されて、クロック信号を発振する(ステップS66)。クロックジェネレータ303は、クロック信号を、分周器304とAD変換器32とフィードバックコムフィルタ34に出力する。
分周器304は、所定の分周比でクロック信号の周波数を分周して、分周信号を出力する(ステップS67)。分周器304は、分周信号を、カウンタ25と信号計数部42に出力する。
上述したステップS61〜ステップS65により、情報処理装置4が取得した脈動性信号の脈拍周波数が出力される。さらに、ステップS66によって、脈波の周波数に同期したクロック信号が出力される。
以降の情報処理装置4による、分周信号、及びクロック信号を用いた処理は、情報処理装置2のステップS26〜ステップS33による処理と同様に行うことができる。
[4−3.情報処理装置、及び検体情報処理装置の作用および効果]
第四実施形態に係る情報処理装置4及び検体情報処理装置8によれば、前記第二実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
本実施形態に係る情報処理装置4は、第二脈拍周波数検出部302を備えることで、入力された脈動性信号の脈拍周波数を検出する。このとき、脈拍周波数は移動平均処理を受けていることから、入力される脈動性信号に変動が生じる状況においても、安定した脈波の周波数を得ることができる。さらに、情報処理装置4は、クロックジェネレータ303を備えることで、脈拍周波数に応じたクロック信号が出力される。これにより、心臓の拍動に同期したクロック信号を出力することができる。またさらに、クロック信号によって脈動性信号を正規化することで、脈波の一波形毎に同数のクロック数を割り当てて、時間軸によらずに信号を取り扱うことが可能となる。
[5.その他]
[5−1.装置の構成について]
<情報処理装置について>
上記の実施形態では、情報処理装置1〜4としてスマートフォンを例示したが、情報処理装置1〜4はこれに限るものではない。例えば、タブレット型の端末(タブレットPC)、デスクトップパソコン、ノートパソコン等、またはその他の測定機器、表示機器にも適用できる。
<信号の出力について>
上記の実施形態では、VCO23a、位相比較器21、平均化処理部36、微分処理部37、及び積分処理部38からの出力について、ロック検出部41、信号計数部42、及び波形表示部43を介して、表示器81に表示にする場合について説明した。VCO23a、位相比較器21、平均化処理部36、微分処理部37、及び積分処理部38からの信号の出力はこれに限定されず、情報処理装置1〜4の内部での信号処理に利用してもよく、または記録媒体に保存したり、もしくは無線又は有線を利用したりすることで、外部の情報処理装置に情報を送って信号処理に供してもよい。
<表示器について>
上記の実施形態においては、情報処理装置1〜4に備えられるディスプレイの表示画面が表示器81として機能する場合について説明した。表示器81の構成はこれに限定されず、例えば、情報処理装置1〜4に備えられる緑色と赤色のLEDランプであって、これらの点灯によって、PLL回路11,12のロック状態を表示してもよい。または、表示器81は、情報処理装置1〜4に備えられる複数の7セグメントディスプレイにより構成され、これらの点灯によりクロック信号のカウント値を表示してもよい。また、波形表示部43からの出力を、液晶ディスプレイ、CRT、プリンタ、オシロスコープ、又はペンレコーダ等の外部の波形表示器に入力することで波形の表示を行ってもよい。
[5−2.信号処理について]
<信号処理部の構成について>
上記の実施形態においては、ゲイン切り替え部51、周波数特性補償部61、周波数補正処理部71、PLL回路11,12による処理をアナログ回路による処理について説明したが、デジタル回路、例えばDSPを含む回路とアナログ回路とを組み合わせたり、演算処理装置(CPU)やDSPを組み合わせたりして、このデジタル回路を含む回路により信号を処理する構成としてもよい。または、情報処理装置1〜4が備えるメモリ上に信号処理用のアプリケーションソフトが展開されてCPUにより実行されることで、ゲイン切り替え手段、周波数特性補償手段、周波数補正処理手段、PLLとして機能するようにしてもよい。
また、上記の実施形態においては、DSPがフィードバックコムフィルタ34の処理を行う場合について説明したが、フィードバックコムフィルタ34は、マイクロコンピュータと第一メモリ33及び第二メモリ35の間の操作により実行されてもよい。
また、上記の実施形態においては、PLL回路12、またはDSPである第一脈拍周波数検出部301もしくは第二脈拍周波数検出部302、及びクロックジェネレータ303によって脈動性信号を正規化する場合について説明した。これら脈動性信号の正規化を行う各手段(正規化手段)による処理は、情報処理装置1〜4が備えるメモリ上に信号処理用のアプリケーションソフトが展開されてCPUにより実行されることで、正規化手段として機能するようにしてもよい。情報処理装置1〜4は、脈動性信号をAD変換器によりデジタルデータに変換して、この脈動性信号のデジタルデータを取得して、脈動性信号を正規化する処理を実行する。
この場合、情報処理装置1〜4内部の記憶装置は、CPUに実行させることで、PLL回路12、または第一脈拍周波数検出部301及び第二脈拍周波数検出部302、及びクロックジェネレータ303としてそれぞれ機能させるプログラムを保存する。情報処理装置1〜4のCPUは、記憶装置に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、種々の機能を実現する。そして、CPUが、これらのプログラムを実行することにより、信号処理部15〜17の正規化手段としてそれぞれ機能する。このようにして、プログラムは、コンピュータ2〜4に、脈動性信号を取得して、この脈動性信号を正規化する処理を実行させる。
このとき、第一脈拍周波数検出部301は、情報処理装置3内部のCPUで演算処理される機能部位であって、各機能は個別のプログラムとして構成される。すなわち、第一脈拍周波数検出部301は、LPF手段、微分処理手段、タイミング検出手段、間隔取得手段、周波数算出手段、及び移動平均処理手段として機能する。
また、第二脈拍周波数検出部302は、情報処理装置4内部のCPUで演算処理される機能部位であって、各機能は個別のプログラムとして構成される。すなわち、第二脈拍周波数検出部302は、LPF手段、周波数解析手段、ピーク検出手段、周波数取得手段、及び移動平均処理手段として機能する。
なお、これらの各機能手段としての機能を実現するためのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、情報処理装置1〜4はその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の図示しない記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介して情報処理装置1〜4に提供するようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、情報処理装置3,4は、AD変換器305、及びDSPとして構成された脈拍周波数検出部301,302を用いて、入力された脈動性信号をデジタル信号に変換して処理する場合について説明した。脈動性信号の処理はこれに限定されず、情報処理装置3,4がAD変換器305を備えずに、脈拍周波数検出部301,302の各機能部位がアナログ回路により構成されていてもよい。このとき、情報処理装置3,4は、入力された脈動性信号をアナログ信号の形式で処理を行う。
<PLLについて>
上記の実施形態においては、PLL回路11,12が2次系のPLLである場合について説明したが、PLL回路11,12はこれに限定されず、2次系以上の高次のループであればよい。これによりPLL回路11,12は、入力する脈動性信号の脈波の位相が突然にシフトした場合であっても、一定時間内に位相差ゼロでロックすることができる。
<VCOについて>
上記の実施形態においては、VCO23bの発振周波数が128Hzを中心として変動するよう設計されており、分周器24の分周比Nが128である場合について説明したが、クロック信号の単位時間あたりのクロック数及び分周比はこれに限定されず適宜変更してもよい。例えば、クロック数及び分周比を256、512、または1024としてもよい。また、分周器24は、VCO23bの発振周波数にあわせて分周比Nを変更できるプログラマブル分周器であってもよい。このとき、クロック数が多いほど、PLLの特性を決めるループゲインがその分低下することになるためにいわゆるロックレンジが小さくなる傾向にあるが、波形判定の精度が高くなる点からは好ましい。また、クロックが小さいほど、低周波でのVCOを安定に発振させるよう制御が必要となる傾向にあるが、ループゲインの低下がない点からは好ましい。
<PLL回路及びAD変換器に入力される信号について>
上記の実施形態においては、速度脈波の信号を二値化処理部31、AD変換器32、またはAD変換器305に出力する場合について説明したが、二値化処理部31、AD変換器32、またはAD変換器305に入力される信号は、容積脈波、速度脈波、または加速度脈波のいずれの脈波の信号でもよい。
また、上記の実施形態においては、二値化処理部31により二値化した信号をPLL回路11,12に入力した場合について説明したが、二値化を行わずに、脈波の波形そのままの信号を入力してもよい。
<平均化処理部について>
上記の実施形態においては、平均化処理部36が、10個の波形分の信号強度の平均値を出力する場合について説明したが、平均値を算出する個数はこれに限定されず、適宜変更してよい。平均化する信号の数が多い場合には、信号の変化に対して緩やかに応答する特性を示す信号を得ることができる。これは、検体が運動をしている状態など、信号に対して変動が大きい場合に適している。平均化する信号の数が少ない場合には、信号の変化に対して追従しやすい特性を示す信号を得ることができる。これは、検体が安静にしている状態など、脈波の変化を観察したい場合に適している。または、平均化処理部36による平均化を行わずに、一つの波形分の信号の出力を行ってもよい。
<信号処理の順序及び内容について>
上記の実施形態においては、第一メモリ33に記録された脈動性信号の信号強度を、フィードバックコムフィルタ34が読み出してフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の信号強度のデータを第二メモリ35に記録する場合について説明した。さらに、第二メモリ35に記録された信号強度を、平均化処理部36、微分処理部37、及び積分処理部38がそれぞれ読み出して処理する場合について説明した。脈動性信号の処理の順序及び内容はこれに限定されず、適宜変更して行ってよい。例えば、フィードバックコムフィルタ34によりフィルタ処理を行わずに、第一メモリ33に記録された脈動性信号の信号強度を、平均化処理部36、微分処理部37、及び積分処理部38がそれぞれ読み出して処理してもよい。また、平均化処理部36によって算出された平均値の信号強度について、微分処理部37、及び積分処理部38がそれぞれ処理してもよい。
また、上記の実施形態においては、平均化処理部36から波形表示部43を介して表示器81に波形を表示する場合について説明したが、第一メモリ33または第二メモリ35に記録された信号を波形表示部43及び表示器81に出力して波形を表示するようにしてもよい。例えば、第二メモリ35に記録された信号を表示する場合には、まず、波形表示部43が、第二メモリ35から、所望の波形番号において、クロック番号0から順にクロック番号127まで信号強度を読み出す。次に、波形表示部43は、クロック番号と信号強度との関係を表す一つの波形のデータを生成して、表示器81に出力する。表示器81は、波形表示部43からのデータを受けて、脈動性信号を1個分の脈波の一周期毎の波形として表示する。
<波形の表示について>
上記の実施形態においては、波形表示部43が一周期分の波形を表示するデータを生成し、表示器81が脈動性信号を一周期の波形として表示場合について説明したが、一周期の一脈波だけではなく所望の数の脈波の波形を表示する様に構成してもよい。この場合、波形表示部43が複数の波形番号における信号強度について、波形の数に応じた128の整数倍のクロック番号を横軸にとることで、複数の周期分の波形を二次元に表示するデータを生成すればよい。
<ロック検出部について>
上記の実施形態においては、ロック検出部41は、位相比較器21から脈動性信号と帰還信号が入力されて、両信号の位相比較を行う場合について説明したが、脈動性信号と帰還信号との位相の同期の判定と、PLL回路11,12のロックの検出はこれに限定されない。ロック検出部41は、位相比較器21から位相差信号が入力されて、この入力された位相差信号の大きさを所定の設定値と比較して、PLL回路11,12が脈動性信号にロックしているか否かを判定してもよい。このとき、入力された位相差信号の大きさと所定の設定値とを比較して、入力された位相差信号の大きさが所定の設定値よりも小さいときに、ロックしていると判定する。また、入力された位相差信号の大きさが所定の設定値以上のときに、ロックしていないと判定する。また、ロック状態の表示は、一定時間の連続した状態でロックしている状態またはロックが外れている状態が継続した場合に、それぞれロック状態の変化を検出したとして表示器81に表示するようにしてもよい。
[5−3.平均値より大きく外れた脈動性信号の表示について]
情報処理装置2は、平均値より大きく外れた脈動性信号を表示する手段を有していてもよい。稀に生じる不整脈のように生体信号として意味のある外乱は、その部分だけを表示することが求められる場合がある。情報処理装置2に入力される脈動性信号と、平均化処理部36により得られた信号強度の平均値とを比較して、平均値より一定以上離れた波形を示す脈動性信号は、通常の脈波の波形とは別に表示器81に表示することが好ましい。
[5−4.脈動性信号の取得について]
上記の実施形態では、検体情報検出ユニット101が脈動性信号を検出して、この脈動性信号が情報処理装置1〜4に入力されることで、情報処理装置1〜4が脈動性信号を取得する場合について説明した。脈動性信号の取得は、情報処理装置1〜4の内部または外部の記憶手段に保存された脈動性信号データを読み出すことで取得してもよい。
1,2,3,4 情報処理装置
5,6,7,8 検体情報処理装置
11,12 PLL回路
13 信号記録部
14,15 信号処理部
21 位相比較器
22 LPF(ローパスフィルタ)
23a,23b VCO(電圧制御発振器)
24 分周器
25 カウンタ
31 二値化処理部
32 AD変換器
33 第一メモリ
34 フィードバックコムフィルタ
35 第二メモリ
36 平均化処理部
37 微分処理部
38 積分処理部
41 ロック検出部
42 信号計数部
43 波形表示部
81 表示器
301,302 脈拍周波数検出部
303 クロックジェネレータ

Claims (8)

  1. 検体における血管の脈波情報に基づく脈動性信号を検出する検体情報検出ユニットと、
    該脈動性信号を正規化する信号処理部とを備え
    該信号処理部は、該脈動性信号が入力されるPLL回路を備え、
    該PLL回路は、
    該脈動性信号と帰還信号との位相を比較して、位相差に対応する位相差信号を出力する位相比較器と、
    該位相差信号が入力されて、所定のカットオフ周波数より大きい周波数成分を除去した電圧制御信号を出力するローパスフィルタと、
    該電圧制御信号の電圧に対応する発振周波数を有するクロック信号を出力する電圧制御発振器と、
    該クロック信号が入力されて、所定の分周比で該クロック信号を分周した分周信号を出力する分周器とを有し、
    上記の分周信号が該帰還信号として該位相比較器に入力され、
    該脈動性信号と該帰還信号との位相が同期するように該電圧制御発振器の発振周波数が制御され、
    該クロック信号により該脈動性信号を正規化し、
    該信号処理部は、更に、
    該脈動性信号の信号強度をデジタルデータとして取得するAD変換器と、該AD変換器で得られた該データを蓄積するメモリとを有する信号記録部と、
    該分周器から該分周信号が入力されて、該分周信号をカウントして脈波の順番を示す波形番号を出力するカウンタと、
    上記のメモリに記録した信号強度を読み出してフィルタ処理するフィードバックコムフィルタとを備え、
    該AD変換器は、該電圧制御発振器から該クロック信号が入力されたタイミングで該信号強度を取得して該メモリに出力し、
    該メモリは、該カウンタから入力される該波形番号を受けて、該脈動性信号を該波形番号と上記のクロック信号の入力されたタイミングに応じたクロック番号とに対応付けた信号強度として記録し、
    該フィードバックコムフィルタは、該電圧制御発振器から該クロック信号が入力されて、該脈動性信号の一周期あたりの総クロック数の整数倍の周波数成分を通過させる
    ことを特徴とする検体情報処理装置。
  2. 該信号処理部は、上記のメモリに記録した複数の波形番号の信号強度を読み出して、同じクロック番号の信号強度を加算して波形番号ごとに平均値を出力する平均化処理部を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の検体情報処理装置。
  3. 該信号処理部は、上記のPLL回路に入力される脈動性信号と該帰還信号との位相が同期しているかを判定して、該PLL回路がロックしているか否かを検出するロック検出部を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の検体情報処理装置。
  4. 該信号処理部は、該分周信号が入力されて、該分周信号の単位時間当たりのパルスをカウントする信号計数部を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の検体情報処理装置。
  5. 該脈動性信号に関連する情報を提示する表示器をさらに備え、
    該ロック検出部が、ロックしているか否かを該表示器に表示し、
    該信号計数部が、単位時間当たりの該分周信号のカウント値を該表示器に表示する
    ことを特徴とする請求項に記載の検体情報処理装置。
  6. 該信号処理部は、上記の平均化処理部により処理された信号が入力されて、該クロック番号と該信号強度の平均値との関係を表す波形を生成して、波形番号ごとに複数の脈波を平均化した一周期の波形を該表示器に表示する波形表示部を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の検体情報処理装置。
  7. 該信号処理部は、上記のメモリに記録した信号強度を読み出して数値微分する微分処理部を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の検体情報処理装置。
  8. 該信号処理部は、上記のメモリに記録した信号強度を読み出して数値積分する積分処理部を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の検体情報処理装置
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