車両用等の各種の回転駆動装置の減速機等に使われる、遊星歯車装置として、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されたものがある。
特許文献1、特許文献2、特許文献3の遊星歯車装置は、図8、図9、図10に示すように、内歯車Rと、内歯車Rと同軸上に設けられた太陽歯車Sと、内歯車Rと太陽歯車Sに噛み合う公転歯車としての遊星歯車Pと、内歯車Rと同軸上に設けられた遊星キャリヤCとからなる。
また、特許文献4及び特許文献5には、二つの駆動源と左右の駆動輪との間に、3要素2自由度の遊星歯車装置を同軸上に二つ組み合わせた歯車装置を備え、二つの駆動源から与えられるトルクの差を増幅して左右の駆動輪に与えることができる車両駆動装置が開示されている。
特許文献4に開示された車両駆動装置は、図11に示すスケルトン図のような構成になっている。
車両駆動装置100は、車両に搭載された左右の電動モータ102L及び電動モータ102Rと、左駆動輪104L及び右駆動輪104Rと、これらの間に設けられる歯車装置105と減速ギヤ列106L、106R、107L、107Rとを備えている。
電動モータ102L及び電動モータ102Rは、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)からの電力により動作し、電子制御装置(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。
電動モータ102Lの出力軸102aL、電動モータ102Rの出力軸102aRは、それぞれ減速ギヤ列106L、106Rを介して歯車装置105の各結合部材111、112に接続される。歯車装置105からの出力は減速ギヤ列107L、107Rを介して左右の駆動輪104L、104Rに与えられる。
この歯車装置105は、図11に示すように、太陽歯車SL、遊星キャリヤCL、遊星歯車PL及び内歯車RLを有する第1の遊星歯車装置110Lと、同じく太陽歯車SR、遊星キャリヤCR、遊星歯車PR及び内歯車RRを有する第2の遊星歯車装置110Rとが同軸上に組み合わされて構成されている。
遊星歯車装置110L、110Rには、例えば、シングルピニオン形式の遊星歯車機構が採用されている。シングルピニオン形式の遊星歯車機構は、同軸上に設けられた太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと、これら太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとの間に位置する複数の遊星歯車PL、PRと、遊星歯車PL、PRを回転可能に支持し、太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRとから構成され、遊星歯車PL、PRは太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとに噛み合っている。ここで、太陽歯車SL、SRと遊星歯車PL、PRは外周にギヤ歯を有する外歯歯車であり、内歯車RL、RRは内周にギヤ歯を有する内歯歯車である。
そして、第1の遊星歯車装置110Lの太陽歯車SLと第2の遊星歯車装置110Rの内歯車RRとが第1結合部材111によって結合され、第1の遊星歯車装置110Lの内歯車RLと第2の遊星歯車装置110Rの太陽歯車SRとが第2結合部材112によって結合されている。
第1結合部材111には、電動モータ102Lで発生されたトルクTM1が減速ギヤ列106Lを介して入力され、第2結合部材112には、電動モータ102Rで発生されたトルクTM2が減速ギヤ列106Rを介して入力される。また、第1の遊星歯車装置110Lの遊星キャリヤCL及び第2の遊星歯車装置110Rの遊星キャリヤCRは、それぞれ減速ギヤ列107L、107Rを介して左右の駆動輪104L、104Rに接続されて出力が取り出される。
上記したように、特許文献4に開示された車両駆動装置では、第1の電動モータ102L、第2の電動モータ102Rからの入力は、太陽歯車SLと内歯車RR、太陽歯車SRと内歯車RLとなり、駆動輪104L、104Rへの出力はキャリヤCL、キャリヤCRとなる。
次に、特許文献5に開示された車両駆動装置は、図12に示すスケルトン図のような構成になっている。
なお、図12においては、特許文献4に開示された車両駆動装置との差を分かりやすくするために、左右に電動モータ102L、102Rを配置して特許文献4の図11と同様の図にし、同一構成部分には同一符号を付している。
図12に示すように、車両駆動装置100は、車両に搭載された第1の電動モータ102L及び第2の電動モータ102Rと、左駆動輪104L及び右駆動輪104Rと、これらの間に設けられる歯車装置105と減速ギヤ列106L、106Rとを備えている。
第1の電動モータ102L及び第2の電動モータ102Rは、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)からの電力により動作し、電子制御装置(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。第1の電動モータ102Lの出力軸102aL、第2の電動モータ102Rの出力軸102aRは、それぞれ減速ギヤ列106L、106Rを介して歯車装置105の太陽歯車SL、SRに接続される。歯車装置105からの出力は左右の駆動輪104L、104Rに与えられる。
特許文献5に開示された車両駆動装置と同様に歯車装置105は、3要素2自由度の同一の遊星歯車装置110L、110Rが同軸上に二つ組み合わされて構成されている。遊星歯車装置110L、110Rには、例えば、シングルピニオン形式の遊星歯車機構が採用されている。
そして、第1の遊星歯車装置110Lの遊星キャリヤCLと第2の遊星歯車装置110Rの内歯車RRとが第1結合部材111によって結合され、第1の遊星歯車装置110Lの内歯車RLと第2の遊星歯車装置110Rの遊星キャリヤCRとが第2結合部材112によって結合されている。
第1の電動モータ102Lで発生されたトルクTM1が減速ギヤ列106Lを介して第1の遊星歯車装置110Lの太陽歯車SLに入力され、第2の電動モータ102Rで発生されたトルクTM2が減速ギヤ列106Rを介して第2の遊星歯車装置110Rの太陽歯車SRに入力される。
また、第1結合部材111、第2の結合部材112は、それぞれ左右の駆動輪104L、104Rに接続されて出力が取り出される。
この特許文献5に開示された車両駆動装置では、電動モータ102L、102Rからの入力は、太陽歯車SL、SRとなり、駆動輪104L、104Rへの出力は、キャリヤCLと内歯車RR、キャリヤCRと内歯車RLとなる。
上記のような特許文献4及び特許文献5に記載のものにおいては、二つの電動モータ102L、102Rで異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTINを与えると、歯車装置105において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUTを得ることができる。
前記特許文献4及び特許文献5では、2つの遊星歯車装置を構成する内歯車RL、RRと結合部材とを接続することによりトルク差を増幅するようにしているため、左右どちらかの内歯車RL、RRと別部材を繋ぐ結合部材の1つが、必ず他方の内歯車RL、RRより大径になるため、装置が大型化するという問題がある。
このため、本願の出願人は、特許文献4と特許文献5におけるトルク差を増幅する歯車装置よりも小型、軽量化を図った車両駆動装置を、既に特許出願を行っている(特願2016−023529号)。
この本願の出願人が特許出願している車両駆動装置(先願例1)は、図13及び図14に示す構成である。
先願例1の車両駆動装置200における歯車装置300を構成する遊星歯車装置210L、210Rは、それぞれ内歯車RL、RRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、公転歯車としての遊星歯車PL、PRとを有する。歯車装置300は、一方の遊星キャリヤCLと他方の太陽歯車SRとを結合する第1結合部材211と、一方の太陽歯車SLと他方の遊星キャリヤCRとを結合する第2結合部材212を有し、第1結合部材211と第2結合部材212が同軸上に配置されると共に、第1結合部材211および第2結合部材212のうち、第2結合部材212が中空軸、第1結合部材211が中空軸に挿通される軸を有し、2つの遊星歯車装置210L、210Rの間を通る軸が二重構造となる構成であって、遊星歯車装置210L、210Rの内歯車RL、RRと減速機構の入力歯車213とを、内歯車RL、RRに設けた外歯車217に係合して連結する構造である。
以下、この発明の実施の形態を、独立した二つの駆動源からの駆動トルクを左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達することができるトルク差増幅機構として、車両駆動装置の平行軸歯車減速機に組み込まれる遊星歯車装置を例にして説明する。
図4に示す電気自動車AMは、後輪輪駆動方式であり、シャーシ60と、後輪としての駆動輪61L、61Rと、前輪62L、62Rと、2モータ式の車両駆動装置1、バッテリ63、インバータ64等を備える。図4では、車両駆動装置1の歯車構成をスケルトン図で示している。
図1〜図3に示す車両駆動装置1は、車両に搭載され独立して制御可能な二つの駆動源としての電動モータ2L、2Rと、左右の駆動輪61L、61R(図4)と二つの電動モータ2L、2Rとの間に設けられる左右2基の減速装置3L、3Rとを備える。
2モータ式の車両駆動装置1の駆動トルクは、等速ジョイント65a、65bと中間シャフト65cからなるドライブシャフトを介して左右の駆動輪61L、61Rに伝達される。
なお、2モータ式の車両駆動装置1の搭載形態としては、図4に示す後輪駆動方式の他、前輪駆動方式、四輪駆動方式でもよい。四輪駆動方式においては、図1に示す車両駆動装置は前輪又は後輪の双方に搭載してもよく、又はそのいずれか一方に搭載して、もう一方は例えばエンジンにより駆動する歯車装置など他の駆動装置であってもよい。
2モータ式の車両駆動装置1における左右の電動モータ2L、2Rは、同一の最大出力を有する同一出力特性の電動モータが用いられ、図1に示すように、モータハウジング4L、4R内に収容されている。
モータハウジング4L、4Rは、円筒形のモータハウジング本体4aL、4aRと、このモータハウジング本体4aL、4aRの外側面を閉塞する外側壁4bL、4bRと、モータハウジング本体4aL、4aRの内側面に減速装置3L、3Rと隔てる内側壁4cL、4cRとからなる。モータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRには、モータ軸5aを引き出す開口部が設けられている。
電動モータ2L、2Rは、図1に示すように、モータハウジング本体4aL、4aRの内周面にステータ6を設け、このステータ6の内周に隙間を隔ててロータ5を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。なお、電動モータ2L、2Rは、アキシャルギャップタイプのものを使用してもよい。
ロータ5は、モータ軸5aを中心部に有し、そのモータ軸5aはモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRの開口部からそれぞれ減速装置3L、3R側に引き出されている。モータハウジング本体4aL、4aRの開口部とモータ軸5aとの間にはシール部材7が設けられている。
モータ軸5aは、モータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRと外側壁4bL、4bRとに転がり軸受8a、8bによって回転自在に支持されている(図1)。
左右並列に設けられた2基の減速装置3L、3Rを収容する減速装置ハウジング9は、減速装置3L、3Rの歯車軸と直交する方向に3ピースに分割され、図1に示すように、中央ハウジング9aとこの中央ハウジング9aの両側面に固定される左右の側面ハウジング9bL、9bRの3ピース構造になっている。左右の側面ハウジング9bL、9bRは、中央ハウジング9aの両側の開口部に複数のボルト(図示省略)によって固定されている。
減速装置ハウジング9の側面ハウジング9bL、9bRのアウトボード側(車体外側)の側面と電動モータ2L、2Rのモータハウジング本体4aL、4aRの内側壁4cL、4cRとを、複数のボルト10によって固定することにより、減速装置ハウジング9の左右に2基の電動モータ2L、2Rが固定配置される(図1)。
中央ハウジング9aには、図1に示すように、中央に仕切り壁11が設けられている。減速装置ハウジング9は、この仕切り壁11によって左右に2分割され、2基の減速装置3L、3Rを収容する独立した左右の収容室が並列に設けられている。
減速装置3L、3Rは、図1に示すように、左右対称形に設けられ、モータ軸5aから動力が伝達され入力歯車12aを有する入力歯車軸12L、12Rと、この入力歯車12aに噛み合う大径の入力側外歯車13aと出力歯車14aに噛み合う出力側小径歯車13bを有する中間歯車軸13L、13Rと、出力歯車14aを有し、減速装置ハウジング9から引き出されて等速ジョイント65a、65b、中間シャフト65c(図4)を介して駆動輪61L、61R(図4)にトルクを伝達する出力歯車軸14L、14Rとを備える平行軸歯車減速機である。左右2基の減速装置3L、3Rの各入力歯車軸12L、12R、中間歯車軸13L、13R、出力歯車軸14L、14Rは、それぞれ同軸上に配置されている。
減速装置3L、3Rの入力歯車軸12L、12Rの両端は、中央ハウジング9aの仕切り壁11の左右両面に形成した軸受嵌合穴16aと側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴16bに転がり軸受17a、17bを介して回転自在に支持されている。軸受嵌合穴16a、16bは、転がり軸受17a、17bの外輪が当接する段付き形状になっている。図1では、軸受17a、17bは同一のものとしているが、異なるサイズのものを組み合わせてもよい。
入力歯車軸12L、12Rのアウトボード側の端部は、側面ハウジング9bL、9bRに設けた開口部から外側に引き出されており、開口部と入力歯車軸12L、12Rの外側端部との間にはオイルシール18を設け、減速装置ハウジング9に封入された潤滑油の漏洩を防止している。
入力歯車軸12L、12Rは中空構造であり、この中空の入力歯車軸12L、12Rに、モータ軸5aの端部が挿入されている。入力歯車軸12L、12Rとモータ軸5aとは、スプライン(セレーションも含む、以下同じ)結合されている。
中間歯車軸13L、13Rは、少なくとも一つ以上配置されており、図1に示す実施形態では、一対の中間歯車軸13L、13Rを有する。
中間歯車軸13L、13Rは、外周面に入力歯車12aに噛み合う入力側外歯車13aと出力歯車14aに噛み合う出力側小径歯車13bを有する段付きの歯車軸を構成している。この中間歯車軸13L、13Rの両端は、中央ハウジング9aの仕切り壁11の両面に形成した軸受嵌合穴19aと側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴19bとに転がり軸受20a、20bを介して支持されている。そして、軸受嵌合穴19a、19bは、転がり軸受20a、20bの外輪が当接する段付き形状になっている。図1では、軸受20a、20bは異なるサイズのものとしているが、同一サイズのものを組み合わせてもよい。
同軸上に配置された中間歯車軸13L、13Rには、この中間歯車軸13L、13Rと同軸上に、二つの電動モータ2L、2Rから与えられるトルクの差を左右の駆動輪61L、61Rに増幅して分配する歯車装置30が組み込まれている。
歯車装置30は、同軸に配された左右の1対の中間歯車軸13L、13Rと同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構からなる。
歯車装置30を構成する遊星歯車機構は、図2の拡大図に示すように、中間歯車軸13L、13Rの大径の入力側外歯車13aにそれぞれ組み込まれた内歯車RL、RRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、内歯車RL、RRと太陽歯車SL、SRに噛み合う公転歯車としての遊星歯車PL、PRと、遊星歯車PL、PRを回転可能に支持し、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、一方の遊星キャリヤCL(図2では図の左側)と他方の太陽歯車SR(図2では図の右側)とを結合する第1結合部材31と、一方の太陽歯車SL(図2では図の左側)と他方の遊星キャリヤCR(図2では図の右側)とを結合する第2結合部材32と、内歯車RL、RRに連結された、入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aと噛み合う入力側外歯車13aと、出力歯車軸14L、14Rの出力歯車14aと噛み合う中間歯車軸13L、13Rの出力側小径歯車13bとを有し、中間歯車軸13L、13Rの出力側小径歯車13bを、遊星キャリヤCL、CRに連結した構成である。
なお、中間歯車軸13L、13Rを複数対設けた場合には、内歯車RL、RRに連結された入力側外歯車13aが、複数対の中間歯車軸13L、13Rの内の駆動側の中間歯車軸13L、13Rに設けられた出力側小径歯車13b、あるいは入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aと噛み合うように設けられ、また、遊星歯車機構30L、30Rと同軸上に設けられた出力側小径歯車13bが、複数対の中間歯車軸13L、13Rの内の従動側の中間歯車軸13L、13Rに設けられた入力側外歯車13a、あるいは出力歯車軸14L、14Rの出力歯車14aと噛み合うように配置される。
図1及び図2に示す実施形態では、内歯車RL、RRに連結された入力側外歯車13aは、内歯車RL、RRと一体に形成しているが、別体に形成してもよい。
遊星キャリヤCL、CRは、遊星歯車PL、PRを支持する歯車支持軸33と、歯車支持軸33のアウトボード側端部に連結されたアウトボード側のキャリヤフランジ34aと、インボード側端部に連結されたインボード側のキャリヤフランジ34bを有する。
アウトボード側のキャリヤフランジ34aは、アウトボード側に延びる中空軸部35を備えており、中空軸部35のアウトボード側の端部が、減速装置ハウジング9の側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴19bに転がり軸受20bを介して支持されている。
インボード側のキャリヤフランジ34bは、インボード側に延びる中空軸部36を備えており、中空軸部36のインボード側の端部が、中央ハウジング9aの仕切り壁11に形成した軸受嵌合穴19aに転がり軸受20aを介して支持されている。
図1及び図2に示す実施形態では、前記出力側小径歯車13bが、キャリヤフランジ34aの中空軸部35の外周面に一体に形成されている。
遊星歯車PL、PRは、針状ころ軸受37を介して歯車支持軸33によって回転自在に支持されている。
歯車支持軸33は、図3に示すように、アウトボード側のキャリヤフランジ34aとインボード側のキャリヤフランジ34bに設けた支持孔71に挿通され、抜け止めピン72によって軸方向の移動が規制されている。
抜け止めピン72は、アウトボード側のキャリヤフランジ34aの外径側から歯車支持軸33を径方向に貫通するピン穴73に挿し込まれている。
ピン穴73は、アウトボード側のキャリヤフランジ34aの外径面に開口している。
このピン穴73の開口は、アウトボード側のキャリヤフランジ34aの外周面と内歯車RL、RRの内周面との間に組み込まれた転がり軸受39の内輪39aによって蓋をされ、内輪39aによってピン穴73に挿入した抜け止めピン72が径方向に抜け出さないようにしている。
転がり軸受39は、深溝玉軸受であり、内輪39aと、外輪39bと、内輪39aと外輪39bとの間の転動体39cとからなる。
ピン穴73の軸方向の位置は、図3に示すように、転がり軸受39の内輪39aの軌道溝の溝底位置に対し、σだけずれた位置にある。これにより、転がり軸受39の内輪39aにおける軌道溝の真円度の悪化を防止し、また、強度を確保している。
図1〜図3に示す実施形態では、抜け止めピン72を挿入するピン穴73を、アウトボード側のキャリヤフランジ34aに設けているが、抜け止めピン72を挿入するピン穴73をインボード側のキャリヤフランジ34bに設けるようにしてもよい。
また、図1〜図4に示す実施形態では、内歯車RL、RRを遊星キャリヤCL、CRに対して支持する転がり軸受39を、一つの内歯車RL、RRに対し左右に2個設けているが、1個の転がり軸受39によって内歯車RL、RRを遊星キャリヤCL、CRに対して支持するようにしてもよい。
歯車支持軸33の外周面は、遊星歯車PL、PRを回転自在に支持する針状ころ軸受37の軌道面になるため、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)のずぶ焼入れ・焼戻し、または浸炭鋼(SCM420)の浸炭焼入れ・焼戻し等の、鋼を熱処理し表面硬さを58HRC以上とし、表面を軌道面に適した粗さに研削して仕上げている。
また、抜け止めピン72は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)等の鋼製であり、熱処理(ずぶ焼入れ・焼戻し)により表面硬さ50HRC以上とされ、遊星キャリヤCL、CRの支持孔71に対する歯車支持軸33の軸方向移動を規制する際に掛かる力に耐えられるようにしている。
また、前記各キャリヤフランジ34a、34bの対向面と遊星歯車PL、PRの間にスラスト板38を挿入し、遊星歯車PL、PRの回転の円滑化を図っている。
これ以降、図1及び図2の実施形態では特に図2に詳細を示す。インボード側のキャリヤフランジ34bと、インボード側のキャリヤフランジ34bの中空軸部36を支持する転がり軸受20aとの間には、カラー40を配置している。
車両駆動装置1の歯車装置30を構成する2つの遊星歯車装置を連結している第1結合部材31および第2結合部材32は、減速装置ハウジング9の中央ハウジング9aを左右に仕切る仕切り壁11を貫通して組み込まれている。
この第1結合部材31と第2結合部材32は、同軸上に配置されると共に、一方の結合部材(図1及び図2の実施形態では第2結合部材32)が中空軸、他方の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)が中空軸に挿通される軸からなる二重構造になっている。
図1及び図2に示す実施形態では、中空軸で構成される第2結合部材32の右側の遊星歯車装置の端部と、遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ34bの中空軸部36とにスプライン41を設け、第2結合部材32を遊星キャリヤCRに対しスプライン嵌合により連結している。
また、第1結合部材31の左側の遊星歯車装置の端部と、遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ34aの中空軸部35とにスプライン42を設けて、第1結合部材31を遊星キャリヤCLに対しスプライン嵌合により連結している。
上記のように、2つの遊星歯車装置の第1結合部材31と第2結合部材32とを、遊星キャリヤCLと遊星キャリヤCRに対しスプライン嵌合によって連結することにより、2つの遊星歯車装置を左右に分割することが可能となり、3ピース構成の減速装置ハウジング9に他の減速歯車軸と一緒に左右から組込むことができる。
第2結合部材32の遊星キャリヤCL側の端部は、その外周面に、左側の遊星歯車装置の遊星歯車PLと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が左側の遊星歯車装置の太陽歯車SLを構成している。
中空軸で構成される第2結合部材32に挿通される第1結合部材31は、右側の遊星歯車装置側の端部に大径部43を有し、この大径部43の外周面に、右側の遊星歯車装置の遊星歯車PLと噛み合う外歯車が形成され、この外歯車が右側の遊星歯車機構の太陽歯車SRを構成している。
第1結合部材31および第2結合部材32のうち、内径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)と連結している太陽歯車SRの最大径は、外径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第2結合部材32)が嵌め合う遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ34bの中空軸部36の内面のスプライン穴の最小径よりも小さく設定することにより、内径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)を容易に組み込むことが可能である。
内径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)の外周面と、外径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第2結合部材32)の内周面との間には、カラー44と、カラー44の両端に針状ころ軸受45、46を介在させている。
第1結合部材31および第2結合部材32と遊星キャリヤCL、CRとの嵌合(スプライン41、42)は、軸方向に摺動可能な嵌め合い公差とすることにより、入力歯車12aとこれに噛み合う大径の入力側外歯車13a、出力歯車14aとこれに噛み合う出力側小径外歯車13b、太陽歯車SL、SRと遊星歯車PL、PRと内歯車RL、RRの少なくともいずれか一つの噛み合わせにはすば歯車によるアキシアル荷重が生じても歯車歯面への偏荷重を防ぐことができる。
また、第1結合部材31および第2結合部材32と遊星キャリヤCL、CRとのスプライン(スプライン41、42)嵌合部の摺動による軸方向移動は、外径側結合部材(図1及び図2の実施形態では第2結合部材32)の両端にスラスト軸受47、48を設けることにより規制している。
2つの遊星歯車装置を連結する二重構造の軸の内径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)は、結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)と遊星キャリヤ(図1及び図2の実施形態ではCL)とのスプライン嵌合と反対側の軸端を、他方の遊星キャリヤ(図1及び図2の実施形態ではCR)に対して深溝玉軸受49によって支持している。
2つの遊星歯車装置を連結する二重構造の軸の内径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)には、軸心に給油穴50を設けている。内径側の結合部材(図1及び図2の実施形態では第1結合部材31)の給油穴50には、外径側結合部材(図1及び図2の実施形態では第2結合部材32)の両端のスラスト軸受47、48の位置に、径方向の給油通路51、52を設けている。
図1及び図2に示す実施形態では、出力歯車軸14L、14Rは、大径の出力歯車14aを有し、中央ハウジング9aの仕切り壁11の両面に形成した軸受嵌合穴53aと側面ハウジング9bL、9bRに形成した軸受嵌合穴53bに転がり軸受54a、54bによって支持されている。そして、軸受嵌合穴53a、53bは、転がり軸受54a、54bの外輪が当接する段付き形状になっている。図1及び図2では、軸受54a、54bは同一のものとしているが、異なるサイズのものを組み合わせてもよい。
図1に示すように、出力歯車軸14L、14Rのアウトボード側の端部は、側面ハウジング9bL、9bRに形成した開口部から減速装置ハウジング9の外側に引き出され、引き出された出力歯車軸14L、14Rのアウトボード側の端部の外周面に、等速ジョイント65aの外側継手部がスプライン結合されている。
出力歯車軸14L、14Rに結合された等速ジョイント65aは、中間シャフト65c、等速ジョイント65bを介して駆動輪61L、61Rに接続される(図4)。
出力歯車軸14L、14Rのアウトボード側の端部と側面ハウジング9bL、9bRに形成した開口部との間には、オイルシール55を設け、減速装置ハウジング9に封入された潤滑油の漏洩および外部からの泥水などの侵入を防止している。
図1及び図2に示す実施形態の2モータ式の車両駆動装置1の歯車構成は、図4に示すスケルトン図の通りである。
図4に示すように、左右の電動モータ2L及び電動モータ2Rは、車両に搭載されたバッテリ63からインバータ64を介して与えられた電力により動作する。そして、電動モータ2L、2Rは、電子制御装置(図示省略)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力することができる。
電動モータ2L、2Rのモータ軸5aのトルクは、減速装置3L、3Rの入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aと中間歯車軸13L、13Rの大径の入力側外歯車13aとの歯数比で増大されて歯車装置30の内歯車RL、RRに伝達される。
そして、歯車装置30を介して中間歯車軸13L、13Rの出力側小径歯車13bが出力歯車軸14L、14Rの大径の出力歯車14aに噛み合って出力側小径歯車13bと出力歯車14aとの歯数比で電動モータ2L、2Rのモータ軸5aのトルクがさらに増大されて、駆動輪61L、61Rに出力される。
歯車装置30は、3要素2自由度の同一の遊星歯車装置が同軸上の中間歯車軸13L、13Rに二つ組み合わされて構成され、遊星歯車装置として、シングルピニオン遊星歯車装置を採用している。
遊星歯車装置は、同軸上に設けられた太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと、これら太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとの間に位置する複数の遊星歯車PL、PRと、遊星歯車PL、PRを回転可能に支持し太陽歯車SL、SR及び内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRとから構成される。ここで、太陽歯車SL、SRと遊星歯車PL、PRは外周にギヤ歯を有する外歯歯車であり、内歯車RL、RRは内周にギヤ歯を有する内歯歯車である。遊星歯車PL、PRは太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとに噛み合っている。
遊星歯車装置では、遊星キャリヤCL、CRを固定した場合に太陽歯車SL、SRと内歯車RL、RRとが逆方向に回転するため、図5に示す速度線図に表すと内歯車RL、RR及び太陽歯車SL、SRが遊星キャリヤCL、CRに対して反対側に配置される。
この歯車装置30は、前記のように、太陽歯車SL、遊星キャリヤCL、遊星歯車PL及び内歯車RLを有する第1の遊星歯車装置と、同じく太陽歯車SR、遊星キャリヤCR、遊星歯車PR及び内歯車RRを有する第2の遊星歯車装置とが同軸上に組み合わされて構成されている。
そして、第1の遊星歯車装置の遊星キャリヤCLと第2の遊星歯車装置の太陽歯車SRとが結合されて第1結合部材31を形成し、第1の遊星歯車装置の太陽歯車SLと第2の遊星歯車装置の遊星キャリヤCRとが結合されて第2結合部材32を形成している。
第1の遊星歯車装置の内歯車RLに電動モータ2Lで発生したトルクTM1は、入力歯車軸12Lの入力歯車12aと入力側外歯車13aとが噛み合って中間歯車軸13Lに伝達され、中間歯車軸13Lに伝達されたトルクが、第1の遊星歯車機構を介して中間歯車軸13Lの出力側小径歯車13bに伝達され、中間歯車軸13Lの出力側小径歯車13bと出力歯車軸14Lの出力歯車14aとが噛み合って出力歯車軸14Lから駆動輪61Lに駆動トルクTLが出力される。
第2の遊星歯車機構の内歯車RRに電動モータ2Rで発生したトルクTM2は、入力歯車軸12Rの入力歯車12aと入力側外歯車13aとが噛み合って中間歯車軸13Rに伝達され、中間歯車軸13Rに伝達されたトルクが、第2の遊星歯車機構を介して中間歯車軸13Rの出力側小径歯車13bに伝達され、中間歯車軸13Rの出力側小径歯車13bと出力歯車軸14Rの出力歯車14aとが噛み合って出力歯車軸14Rから駆動輪61Rに駆動トルクTRが出力される。
電動モータ2L、2Rからの出力は、二つの遊星歯車装置のそれぞれの内歯車RL、RRに与えられ、第1結合部材31、第2結合部材32からの出力が駆動輪61L、61Rに与えられる。
第2結合部材32は、中空軸で構成されており、その内部に第1結合部材31が挿通され、第1結合部材31と第2結合部材32を構成する軸は二重構造になっている。
第1結合部材31は、その一端(図中右端)が太陽歯車SRの回転軸であり、他端(図中左端)が太陽歯車SLを貫通して設けられ、遊星キャリヤCLに接続されている。また、中空軸である第2結合部材32は、一端(図中左端)が太陽歯車SLの回転軸となっており、他端(図中右端)は遊星キャリヤCRと接続されている。この第1結合部材31と第2結合部材32によって、二つの遊星歯車装置が結合されている。
歯車装置30は、二つの同一のシングルピニオン形式の遊星歯車装置を組み合わせて構成されるため、図5に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、上側に左側の遊星歯車装置の速度線図を示し、下側に右側の遊星歯車装置の速度線図を示す。本来は、図1の実施形態では、各電動モータ2L、2Rから出力されたトルクTM1及びTM2は、各入力歯車軸12L、12Rの入力歯車12aと噛み合う入力側外歯車13aを介して各内歯車RL、RRに入力されるため減速比が掛かり、また、歯車装置30から取り出された駆動トルクTL、TRは、出力歯車14aと噛み合う出力側小径歯車13bを介し左右の駆動輪61L、61Rへ伝達されるため減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、図5に示す速度線図及び各計算式の説明においては、減速比を省略し、各内歯車RL、RRに入力されるトルクをTM1及びTM2のまま、歯車装置30から取り出された駆動トルクはTL、TRのままとする。
歯車装置30を構成する二つの遊星歯車装置は、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、図5に示す速度線図においては内歯車RLと遊星キャリヤCLとの距離及び内歯車RRと遊星キャリヤCRとの距離は等しく、これをaとする。また、太陽歯車SLと遊星キャリヤCLとの距離及び太陽歯車SRと遊星キャリヤCRとの距離も等しく、これをbとする。遊星キャリヤCL、CRから内歯車RL、RRまでの長さと遊星キャリヤCL、CRから太陽歯車SL、SRまでの長さの比は、内歯車RL、RRの歯数Zrの逆数(1/Zr)と太陽歯車SL、SRの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。よって、a=(1/Zr)、b=(1/Zs)と表すことができる。
RRの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(1)式が算出される。なお、図5において、図中矢印方向がモーメントMの正方向である。
a・TR+(a+b)・TL−(b+2a)・TM1=0 …(1)
RLの点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記(2)式が算出される。
−a・TL−(a+b)・TR+(b+2a)・TM2=0 …(2)
(1)式と(2)式の和より、下記(3)式が得られる。
−b・(TR−TL)+(2a+b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((2a+b)/b)・(TM2−TM1) …(3)
(3)式の(2a+b)/bがトルク差増幅率αとなる。a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(Zr+2Zs)/Zrとなり、下記のトルク差増幅率αが得られる。
α=(Zr+2Zs)/Zr
この発明では、電動モータ2L、2Rからの入力は、内歯車RL、RRとなり、駆動輪61L、61Rへの出力は太陽歯車SRとキャリヤCL、太陽歯車SLとキャリヤCRとなる。
そして、二つの電動モータ2L、2Rで異なるトルクTM1、TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=(TM2−TM1))を与えると、歯車装置30において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。すなわち、入力トルク差ΔTINが小さくても、歯車装置30において上記したトルク差増幅率α(=(Zr+2Zs)/Zr)で入力トルク差ΔTINを増幅することができ、左駆動輪61Lと右駆動輪61Rとに伝達される駆動トルクTL、TRに、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUT(=α・(TM2−TM1))を与えることができる。
特許文献4及び特許文献5の従来技術では、トルク差増幅機構である歯車装置105の、2つの遊星歯車装置の左右接続部材に内歯車Rが含まれるため、左右どちらかの内歯車と別部材を繋ぐ結合部材の1つが必ず他方の内歯車Rより大径にならなければならない。
図1及び図2に示す実施形態では、トルク差分配機構である歯車装置30を構成する2つの遊星歯車装置の接続は、太陽歯車SLと遊星キャリヤCR、太陽歯車SRと遊星キャリヤCLであるから、内歯車RL、RRよりも大径の接続部材を必要としない。このため、図1及び図2に示す実施形態では、特許文献4及び特許文献5の従来技術のものに比ベてトルク差分配機構を小さくすることができるので、トルク差分配機構を組み込んだ電気自動車用の車両駆動装置1を小さく軽量化することができる。
電気自動車用の車両駆動装置1を小さく軽量化することにより、車両駆動装置1の車体搭載レイアウトと共に、周辺補機類の車体搭載レイアウトの自由度が向上する。
また、車両駆動装置1が小型化することにより、搭載空間が縮小して車室空間が拡大する等のメリットがある。
図1及び図2に示す実施形態では、二つの駆動源として電動モータ2L、2Rを用い、同一の最大出力を有する同一出力特性の電動モータである場合を例示したが、二つの駆動源はこれに限られない。
次に、図1及び図2に示す実施形態では、トルク差増幅機構を構成する歯車装置30は平行軸歯車減速機の中間軸13L、13Rに位置するが、中間歯車軸13L、13R(大歯車を構成する大径の入力側外歯車13aと小歯車を構成する出力側小径歯車13bが同軸にある軸)は複数あってもよく、そのうちの1軸にトルク差増幅機構である歯車装置30を組み込むことができる。
また、トルク差増幅機構である歯車装置30を、図6に示すスケルトン図のように、平行軸歯車減速機の出力歯車軸14L、14R(最終軸)に位置してもよく、その場合は、電動モータ2L、2R側からの駆動力は歯車装置30を含まない中間歯車軸13L、13Rを介して内歯車RL、RRに伝達し、遊星キャリヤCL、CRには駆動輪61L、61Rに駆動力を伝達する出力軸14L、14Rが形成される。
また、図7に示すスケルトン図のように、トルク差増幅機構である歯車装置30が、平行軸歯車減速機の1軸目(入力歯車軸12L、12R)に位置してもよく、その場合は、内歯車RL、RRが電動モータ2L、2Rと同軸に結合され(電動モータ2L、2Rの回転速度と内歯車RL、RRの回転速度が同一)、遊星キャリヤCL、CRには下流の歯車へ駆動力を伝達するための入力歯車12aを配置している。
なお、車両駆動装置1が搭載される車両は、電気自動車やハイブリッド電気自動車に限られず、例えば、第1の電動モータ2L及び第2の電動モータ2Rを駆動源とした燃料電池自動車であってもよい。
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得る。