JP2018039396A - 2モータ車両駆動装置 - Google Patents

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Makoto Yukishima
良 雪島
功 平井
Isao Hirai
功 平井
牧野 智昭
Tomoaki Makino
智昭 牧野
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Abstract

【課題】仕切り壁のボス部の軸受穴をストレート穴形状の貫通穴にして、左右の歯車軸のインボード側に配置した転がり軸受の外輪端部同士がスペーサを介してが突き合う構造にした2モータ車両駆動装置において、アウトボード側の歯車軸を支持する転がり軸受に左右の歯車軸の両方のスラスト力が負荷されても、アウトボード側の歯車軸を支持する転がり軸受が損傷しない減速機を提供する。
【解決手段】減速機ケーシング20の仕切り壁21に形成される軸受穴27a、32a、35aがストレート形状の貫通穴である場合に、左右の歯車軸23L、23R、24L、24R、25L、25Rを支持するインボード側の転がり軸受28a、34a、37aとアウトボード側の転がり軸受28b、34b、37bのうち、アウトボード側の転がり軸受28b、34b、37bに、インボード側の転がり軸受28a、34a、37aよりも長寿命の転がり軸受を用いるようにした。
【選択図】図5

Description

この発明は、左右の駆動輪を駆動させる2基の電動モータと減速機を備える2モータ車両駆動装置に関するものである。
左右の駆動輪をそれぞれ独立して駆動させる2基の電動モータと減速機を一体化した2モータ車両駆動装置は、特許文献1に開示されている。この2モータ車両駆動装置は、左側の電動モータの駆動力を左側の歯車列とドライブシャフトを介して左側の駆動輪まで伝達し、右側の電動モータの駆動力を右側の歯車列とドライブシャフトを介して右側の駆動輪まで伝達している。
一つの電動モータによって左右の駆動輪を駆動する1モータ車両駆動装置の場合、一つの電動モータの駆動力を左右の駆動輪に振り分けるために、デファレンシャルギア等が必要になるが、2モータ車両駆動装置では、左右の駆動輪のそれぞれについて独立に駆動用の電動モータを備えているので、デファレンシャルギア等が不要になるという利点を有する。
また、2モータ車両駆動装置は、左右の駆動輪のそれぞれについて独立に駆動用の電動モータを備えており、左右の駆動輪の駆動力を異ならせることができるので、旋回時に旋回内側の車輪より旋回外側の車輪に多くの駆動力を発生させることによよって、旋回性能の向上といった走行性能を向上させることが可能である。
本出願人は、2モータ車両駆動装置100として、図9に示すものを検討している。この2モータ車両駆動装置100は、2基の減速機102L、102Rを左右並列に収容する減速機ケーシング120を中央にして、その減速機ケーシング120の左右に2基の電動モータ101L、101Rを収容するモータケーシング103L、103Rを固定配置する構造である。
この2モータ車両駆動装置100における減速機ケーシング120は、内部に左右の歯車列を保持するために、中央ケーシング120aと、左右の側面ケーシング120bL、120bRの3つのケーシングに分割している。
中央ケーシング120aには、中央に仕切り壁121が設けられている。減速機ケーシング120は、この仕切り壁121によって左右に2分割され、2基の減速機102L、102Rを収容する独立した左右の収容室122L、122Rが並列に設けられている。
減速機102L、102Rは、左右対称形に設けられ、モータ軸112aから動力が伝達され、入力歯車123aを有する入力軸123L、123Rと、この入力歯車123aに噛み合う大径歯車124a、出力歯車125aに噛み合う小径歯車124bを有する中間軸124L、124Rと、出力歯車125aを有し、減速機ケーシング120から引き出されて駆動輪に駆動力を伝達する出力軸125L、125Rとを備える。
減速機102L、102Rの入力軸123L、123Rの両端は、中央ケーシング120aの仕切り壁121の左右両面に形成したボス部の軸受穴127aと側面ケーシング120bL、120bRに形成したボス部の軸受穴127bに、転がり軸受128a、128bによって回転自在によって支持されている。
中間軸124L、124Rは、外周面に入力歯車123aに噛み合う大径歯車124aと出力歯車125aに噛み合う小径歯車124bを有する。この中間軸124L、124Rの両端は、中央ケーシング120aの仕切り壁121の両面に形成したボス部の軸受穴132と側面ケーシング120bL、120bRに形成したボス部の軸受穴133に、転がり軸受134a、134bによって支持されている。
また、出力軸125L、125Rは、大径の出力歯車125aを有し、中央ケーシング120aの仕切り壁121の左右両面に形成したボス部の軸受穴135と側面ケーシング120bL、120bRに形成したボス部の軸受穴136に、転がり軸受137a、137bによって支持されている。
出力軸125L、125Rのアウトボード側の端部は、側面ケーシング120bL、120bRに形成した開口部から減速機ケーシング120の外側に引き出され、引き出された出力軸125L、125Rのアウトボード側の端部の外周面に、等速ジョイント115の外輪部材がスプライン結合されている。
上記のように、減速機102L、102Rの歯車軸である入力軸123L、123R、中間軸124L、124R、出力軸125L、125Rは、それぞれ転がり軸受で支持されている(128a、128b、134a、134b、137a、137b)。各転がり軸受は、減速機ケーシング120に設けられた各ボス部の軸受穴に嵌め込まれている(127a、127b、132、133、135、136)。各転がり軸受の内輪と各歯車軸とは、歯車軸が回転中心で回転できるように、締代を持った嵌合、即ち、タイト嵌合され、転がり軸受の外輪と各ボス部の軸受穴とは、各歯車軸の組込作業を容易にするために、すきまを持った嵌合、即ち、ルーズ嵌合されている。
各歯車軸(入力軸123L、123R、中間軸124L、124R、出力軸125L、125R)を支持する転がり軸受の外輪と各ボス部の軸受穴とをルーズ嵌合にした場合、駆動時の騒音や振動の低減、軸受穴の摩耗防止などの観点から、歯車軸の軸方向のガタつき、即ち、エンドプレイを小さくする必要がある。
このため、図10に示すように、ボス部の軸受穴127aにスペーサ150を嵌め入れ、このスペーサ150を転がり軸受128aの外輪端面によって挟み込むことにより、エンドプレイを調整している。図10は、入力軸123L、123Rの仕切り壁121に形成したボス部の軸受穴127aを拡大して示しているが、中間軸124L、124R、出力軸125L、125Rについても同様に、図示を省略するが、エンドプレイ調整用のスペーサが挿入されている。
図10、図11に示すように、左右の入力軸123L、123Rが同軸に配置されており、左右の入力軸123L、123Rにおける車両のインボード側の端部を支持する転がり軸受128aは、仕切り壁121に設けられたボス部の軸受穴127aに嵌め込まれている。そして、図11に示すように、各軸受穴127aにそれぞれスペーサ150を挿入し、このスペーサ150を軸受穴127aの底壁と転がり軸受128aの外輪端面とで挟み込み、軸方向ガタを調整している。
上記のエンドプレイ調整用のスペーサ150の厚さは、図9に示す2モータ車両駆動装置100の側面ケーシング120bL(又は120bR)に設けられたボス部の軸受穴127bと中央ケーシング120aに設けられたボス部の軸受穴127aとの間の距離、即ち、軸受が当接する間の距離と、入力軸123L、123Rの軸方向長さ、即ち、軸受128aと軸受128b間の距離により決められる。
図12に示すように、歯車軸123L(又は123R)の幅寸法(軸方向の長さ)aを測定し、図13(a)(b)に示すように、側面ケーシング120bL(又は120bR)に設けられたボス部の軸受穴127bの転がり軸受が当接する部分とケーシング端面間寸法b1、中央ケーシング120aに設けられたボス部の軸受穴127aのスペーサ150を介して転がり軸受が当接する部分とケーシング端面間寸法をb2を測定し、許容すきまをαとした場合、スペーサ150の厚さを次式のように求めている。
スペーサの厚さ=(b1+b2)−a−α
ところが、許容すきまαには範囲があるため、厚さの違うスペーサ150を複数種類用意し、その中から最も適した厚さのものを選択して使用する必要がある。
上記の図11〜図13の例は、入力軸123Lのエンドプレイ調整用のスペーサ150についてであるが、中間軸124L、124R、出力軸125L、125Rについても同様に、エンドプレイ調整用のスペーサの厚さを算出し、用意された厚さの違う複数のスペーサの中から、最も適した厚さのものを使用する必要がある。
上記の寸法aの測定は、図12に示すように、組み立てた入力軸123L等を立てて測定すれば容易に行えるが、寸法b1、b2の測定は、側面ケーシング120bLと中央ケーシング120aの接合面を基準にしてそれぞれの穴深さを測る必要があり、例えば、減速機が三軸あるものでは、片輪で6箇所、左右合わせて12箇所を精度よく測定しなければならず、その測定の難易度も高く、時間も嵩む。更に、それぞれにスペーサ150の厚さを設定するために、6枚のスペーサ150が必要であり、スペーサ150の入れ間違いや選択間違いを生じる懸念がある。
また、仕切り壁121に設けられた左右の軸受穴(図11では127a)は、両側から加工しなければならず、中央ケーシング120aを反転させて加工を行うなど、その加工サイクルタイムが長くなるという問題がある。
このため、本願の発明者らは、エンドプレイの調整を容易にすると共に、部品点数を減らし、エンドプレイの調整作業を容易に行うことができる改善策について、特許出願を行っている(特願2015−55841号)。
この先の特許出願に係る2モータ車両駆動装置は、図14に示すように、左右の歯車軸のうち同軸に配置された歯車軸(図14では入力軸123L、123R)を嵌め込む、中央ケーシング120aの仕切り壁121のボス部に設けられる軸受穴127aを、左右の収容室122L、122Rと連通し、その内径が一定のストレート穴形状に形成された貫通穴とし、この貫通穴からなる軸受穴127aに嵌め込まれる左右の歯車軸(図14では入力軸123L、123R)に取り付けられた転がり軸受128a間に、スペーサ150を挟み込んでエンドプレイ調整を行うようにしている。
この先願に係る2モータ車両駆動装置においては、中央ケーシング120aの仕切り壁121に設けられた貫通穴からなる軸受穴127aに嵌め込まれる左右の転がり軸受128aの間に、軸方向ガタの調整も兼ねるスペーサ150を挿入することにより、エンドプレイを調整することできるので、左右の入力軸123L、123Rのエンドプレイ調整用のスペーサ150を1つで兼ねることができる。
したがって、先願に係る2モータ車両駆動装置においては、部品点数を削減でき、計測、組立時間の短縮、更に、作業ミスの低減となり、コストを低減することができるという効果を奏する。
ところで、図9に示すような2モータ車両駆動装置の2基の減速機102L、102Rに使用する平行軸歯車減速機を構成する各歯車軸123L、123R、124L、124R、125L、125Rの各歯車には、はすば歯車が使用され、各歯車軸123L、123R、124L、124R、125L、125Rは両端部を転がり軸受によって回転自在に減速機ケーシング120に支持されている。
はすば歯車は、歯車の歯が軸に対して斜めになっているため、駆動力の伝達時に軸方向(スラスト方向)にも力が生じる。
特許文献1には、電動モータからの駆動力による前進走行時(前進ドライブ時)に、はすば歯車によって生じるスラスト方向の力の向きが矢印で示されている(特許文献1の図4)。
この特許文献1に示された、はすば歯車の噛み合いにより前進ドライブ時に生じるスラスト方向の力の向き(f1、f2)を、図9に示す構造の2モータ車両駆動装置について図示する。
中間軸124L、124Rは、入力軸123L、123Rの入力歯車123aに噛み合う大径歯車124aと出力軸125L、125Rの出力歯車125aに噛み合う小径歯車124bの2つの歯車を有するため、2つの歯車に生じるスラスト力が同じ向きになると、スラスト力が大きくなるので、走行方向の大半を占める前進ドライブ時に生じるスラスト方向の力(f1、f2)を相互に逆向き(f1を外向き、f2を内向き)として、力f1とf2の和が小さくなるようにしている。
さらに、左右2列の減速機102L、102Rにおける右側の駆動伝達系と左側の駆動伝達系で力f1とf2の和の向きが対称、すなわち、力f1とf2の和の向きが左右で共に内向きとなるように、はすば歯車のねじれ方向を設定している。
そして、左右2列の減速機102L、102Rにおける右側の駆動伝達系と左側の駆動伝達系の最終段の歯車軸である出力軸125L、125Rの出力歯車125aの前進ドライブ時に生じるスラスト方向の力f2が外向きになるようにしている。
出力軸125L、125Rの出力歯車125aは、駆動伝達系の最終段の歯車であるため、負荷トルクが大きく、それに伴う前進ドライブ時に生じる外向きのスラスト力も大きい。
このような大きな外向きのスラスト力が生じる出力軸125L、125Rの出力歯車125aを、例えば、図9に示す、中央ケーシング120aとこの中央ケーシング120aの両側面に固定される左右の側面ケーシング120bL、120bRの3ピース構造の減速機ケーシング120に組込んだ場合、左右の歯車列の最終段の出力歯車125aに生じる大きなスラスト力(f2)が共に外向きになるため、中央ケーシング120aに対して左右の側面ケーシング120bL、120bRが外向きの互いに分離する方向の力を受けることになる。
中央ケーシング120aと左右の側面ケーシング120bL、120bRとは、減速機ケーシング120内に封入された潤滑油が漏洩したり、外部から泥水が減速機ケーシング120内に侵入しないように、中央ケーシング120aと左右の側面ケーシング120bL、120bRとの間の当接面に、Oリングや液状ガスケット等のシール構造を設けているが、中央ケーシング120aに対して左右の側面ケーシング120bL、120bRが外向きの互いに分離する方向の力を受けると、中央ケーシング120aと左右の側面ケーシング120bL、120bRとの間の当接面から潤滑油が漏洩するおそれが生じる。
したがって、従来の左右の歯車列に採用されているはすば歯車のねじれ方向では、中央ケーシング120aに対して左右の側面ケーシング120bL、120bRが外向きの互いに分離する方向の力を受けるため、中央ケーシング120aと左右の側面ケーシング120bL、120bRとを固定するボルトを大きくしたり、強く締め付けたりして1本当たりのボルトの軸力を大きくするか、本数を増やして全体の軸力を大きくしなければ、中央ケーシング120aと左右の側面ケーシング120bL、120bRとの間の当接面からの潤滑油の漏洩を防止することができない。
また、減速機ケーシング120を固定するボルトを大きくすると、雌ねじ部や座面確保のためにねじ部周辺を大きく取らなければならず、減速機ケーシング120が大きく重くなる。また、強く締め付けるとアルミ製の減速機ケーシング120に直接切った雌ねじが破損したり、破損対策としてインサートねじを使用すると同じく雌ねじ周辺を大きく取ったり工数が増える。ボルトの本数を増やすとねじ穴の加工コストや部品コストがあがる。
このため、本願の発明者らは、2基の減速機102L、102Rを左右並列に収容する減速機ケーシング120を、中央ケーシング120aとこの中央ケーシング120aの両側面に固定される左右の側面ケーシング120bL、120bRの3ピース構造とした2モータ車両駆動装置において、出力軸125L、125Rの出力歯車125aを構成するはすば歯車の歯のねじれ方向を、電動モータ101L、101Rからの駆動力による車両前進時(前進ドライブ時)に出力歯車125aで生じるスラスト力が内向きとなるねじれ方向になるように、各歯車軸の各歯車を形成するはすば歯車の歯のねじれ方向を規定した特許出願を行っている(特願2015−85955号)。
特開2010−48379号公報
電動モータ101L、101Rからの駆動力による車両前進時(前進ドライブ時)に出力歯車125aで生じるスラスト力が内向きとなるねじれ方向になるように、各歯車軸の各歯車を形成するはすば歯車の歯のねじれ方向を規定した各歯車軸の構成を例示すると図15のようになる。
図15は、左右の電動モータからの駆動力によって左右の出力軸125L、125Rが前進方向の回転が伝達される場合において、左右の駆動輪に正のトルク、即ち、車両を加速させる方向のトルク(力行)が加わった際における各歯車軸の各歯車を形成するはすば歯車の歯のねじれ方向によって生じるスラスト力の方向を矢印で示している。
ところで、左右の電動モータの回転方向が駆動輪が前進する向きである場合に、左右の駆動輪に与えるトルクの大きさを変えて車両の旋回性を高めるトルクベクタリング制御を行うと、図16に示すように、左右の駆動輪の一方(図16では左側)が正のトルク(車両を加速させる方向:力行)が作用し、他方の駆動輪(図16では右側)に接地面から負のトルク(車両を減速させる方向:回生)が右側の出力軸125Rに作用する状況になることがある。
図16に示すように、右側の駆動輪が回生状況になると、はすば歯車の噛み合い面が力行の場合と逆向きになるため、はすば歯車の噛み合いによって生じるスラスト力の方向も逆向きになる。
図16に示す例では、左右の出力軸125L、125Rの出力歯車125aの両方に右方向のスラスト力が加わり、反対に、左右の中間軸124L、124Rの小径歯車124bの両方に左方向のスラスト力が加わる。
また、左右の中間軸124L、124Rの大径歯車124aの両方に、右方向のスラスト力が加わり、反対に、左右の入力軸123L、123Rの入力歯車123aの両方に、左方向のスラスト力が加わる。
図16に示すように、左右の駆動輪の一方が正のトルク(車両を加速させる方向:力行)が作用し、他方の駆動輪に接地面から負のトルク(車両を減速させる方向:回生)が作用する状況になると、左右の歯車軸に同方向のスラスト力が加わることがある。
入力軸123L、123R、中間軸124L、124R、出力軸125L、125Rは、その両端がそれぞれ転がり軸受を介して減速機ケーシング120に支持されており、各歯車軸のインボード側の端部の支持構造には、図10及び図11に示すように、左右の歯車軸のインボード側の端部同士の間に、中央ケーシング120aの仕切り壁121をスペーサ150を介して挟む構造と、図14に示すように、中央ケーシング120aの仕切り壁121のボス部の軸受穴127aをストレート穴形状の貫通穴にして、左右の歯車軸のインボード側の端部同士がスペーサ150を介して突き合うようにする構造とがある。
そして、左右の各歯車軸のインボード側の端部同士の間に中央ケーシング120aの仕切り壁121がある図10及び図11に示す左右の各歯車軸の支持構造では、左右の各歯車軸に加わるスラスト力は、インボード側の端部同士の間に位置する中央ケーシング120aの仕切り壁121によって受けるので、一方の歯車軸に加わるスラスト力が他方の歯車軸に負荷されることはない。
しかしながら、図14に示すように、仕切り壁121のボス部の軸受穴127aをストレート穴形状の貫通穴にした場合、左右の歯車軸のインボード側に配置された転がり軸受128aの外輪端部同士がスペーサ150を介して突き合うため、左右の各歯車軸に加わるスラスト力が、図16に示すように、左右の歯車軸で同じ方向を向くと、一方の歯車軸に加わるスラスト力が他方の歯車軸に負荷されることになる。したがって、図16に示す状態では、左右の各歯車軸の両端を支持する転がり軸受128a、128b、134a、134b、137a、137bのうち、入力軸123L、123Rでは、左側の入力軸123Lのアウトボード側の転がり軸受128bに、中間軸124L、124Rでは、出力歯車125aと噛み合う小径歯車124bで生じるスラスト力の方が入力歯車123aと噛み合う大径歯車124aで生じるスラスト力よりも大きいため、左側の中間軸124Lのアウトボード側の転がり軸受134bに、出力軸125L、125Rでは、右側の出力軸125Rのアウトボード側の転がり軸受137bに、左右の歯車軸123L、123R、124L、124R、125L、125Rの両方のスラスト力が負荷される状態が生じる。一方、図16と逆に、左側駆動輪が負のトルク(回生)となり、右側駆動輪が正のトルク(力行)となる状態では、右側の入力軸123Rのアウトボード側の転がり軸受128bに、右側の中間軸124Rのアウトボード側の転がり軸受134bに、左側の出力軸125Lのアウトボード側の転がり軸受137bに、左右の歯車軸の両方のスラスト力が負荷される状態が生じる。これらより、アウトボード側の転がり軸受128b、134b、137bが、インボード側の転がり軸受128a、134a、137aに比べて早期に軌道面の剥離等で破損する恐れがある。
特に、減速機102L、102Rの各歯車軸のうち、2軸目の中間軸124L、124R、3軸目の出力軸125L、125Rでは、電動モータからのトルクを増大して大きなトルクを伝達するため、歯車に作用するスラスト力も大きく、アウトボード側の歯車軸を支持する転がり軸受134b、137bに作用するスラスト力も大きくなる。
そこで、この発明は、仕切り壁のボス部の軸受穴をストレート穴形状の貫通穴にして、左右の歯車軸のインボード側に配置した転がり軸受の外輪端部同士がスペーサを介してが突き合う構造にした2モータ車両駆動装置において、アウトボード側の歯車軸を支持する転がり軸受に左右の歯車軸の両方のスラスト力が負荷されても、アウトボード側の歯車軸を支持する転がり軸受が損傷しないようにすることを課題とする。
この発明は、車両に搭載され独立して制御可能な二つの電動モータと、前記二つの電動モータの駆動力を左右の駆動輪に伝達する減速機とを備え、この減速機を収容する減速機ケーシングを中央にしてその左右に二つの電動モータを車体のアウトボード側に配置固定する2モータ車両駆動装置において、減速機ケーシングは、中央ケーシングとこの中央ケーシングの両側面に固定される左右の側面ケーシングからなる3ピース構造であり、中央ケーシングには中央に仕切り壁が設けられ、減速機ケーシングはこの仕切り壁によって左右二つの収容室に分割され、減速機は外歯歯車により構成された平行軸歯車減速機であり、その平行軸歯車減速機は、電動モータのモータ軸から駆動力が伝達され、入力歯車を有する入力軸と、ドライブシャフトを介して駆動輪に駆動力を伝達する出力歯車を有する出力軸と、入力歯車に噛み合う大径歯車と出力歯車に噛み合う小径歯車を有する中間軸とを平行に配置し、各歯車軸の各歯車がはすば歯車によって形成され、各はすば歯車の歯のねじれ方向が、車両の前進力行時に出力歯車で生じるスラスト力が内向きとなるねじれ方向であり、前記減速機の各歯車軸は、前記側面ケーシングと中央ケーシングの仕切り壁にそれぞれ設けられたボス部の軸受穴に嵌め込まれた転がり軸受で支持され、減速機の左右の歯車軸のうち同軸に配置された歯車軸を嵌め込む、前記中央ケーシングの仕切り壁に設けられる軸受穴が、左右の収容室と連通し、その内径が一定のストレート穴形状に形成された貫通穴からなり、前記貫通穴からなる軸受穴に嵌め込まれる左右の歯車軸に取り付けられた転がり軸受間に挟み込んでエンドプレイ調整を行うスペーサを設け、前記ボス部の軸受穴に嵌め込まれる左右の歯車軸を支持するインボード側の転がり軸受とアウトボード側の転がり軸受のうち、アウトボード側の転がり軸受に、インボード側の転がり軸受よりも長寿命の転がり軸受を用いることを特徴とする。
長寿命化の方法としては、アウトボード側の転がり軸受とインボード側の転がり軸受の転動体径が同じで、転動体の個数を、アウトボード側の転がり軸受の方をインボード側の転がり軸受よりも多くすることにより、アウトボード側の転がり軸受を、インボード側の転がり軸受よりも長寿命にするという方法を採用することができる。
また、アウトボード側の転がり軸受とインボード側の転がり軸受の転動体の個数が同じで、転動体径を、アウトボード側の転がり軸受の方をインボード側の転がり軸受よりも大きくすることによっても、アウトボード側の転がり軸受を、インボード側の転がり軸受よりも長寿命にすることができる。
また、アウトボード側の転がり軸受の軸受材料あるいは熱処理として、インボード側の転がり軸受の軸受材料よりも寿命向上効果のある材料、あるいは寿命向上効果のある材料と熱処理を組み合わせて適用することにより、アウトボード側の転がり軸受を、インボード側の転がり軸受よりも長寿命にすることができる。
この発明は、減速機の一つの中間軸と同軸上に、遊星歯車機構を二つ組み合わせ、一方の遊星歯車機構の特定の要素と他方の遊星歯車機構の特定の要素とを相互に連結して、二つの駆動源からの駆動力を左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達するトルク差増幅装置を組み込んだ2モータ車両駆動装置にも適用可能である。
この発明では、貫通穴からなる軸受穴に嵌め込まれる左右の歯車軸に取り付けられた転がり軸受間に挟み込んでエンドプレイ調整を行うスペーサを設け、軸受穴に嵌め込まれる左右の歯車軸を支持するインボード側の転がり軸受とアウトボード側の転がり軸受のうち、アウトボード側の転がり軸受に、インボード側の転がり軸受よりも長寿命の転がり軸受を用いることにより、左右の歯車軸で生じるスラスト力が同じ方向になってアウトボード側の転がり軸受に左右の歯車軸両方のスラスト力が加わったとしても、アウトボード側の転がり軸受の損傷を少なくすることが可能になり、2モータ車両駆動装置の長寿命化が図れる。
この発明に係る2モータ車両駆動装置の実施形態を示す横断平面図である。 図1の実施形態の平面図である。 図1の実施形態における左右の入力軸端部と減速機ケーシングにおける中央ケーシングの軸受穴との関係を示す分解部分断面図である。 図1の実施形態の左右の駆動輪に力行のトルクが加わった場合における各歯車軸のスラスト力の方向を示す拡大図である。 図1の実施形態の左右の駆動輪のうち、左側の駆動輪に力行のトルク、右側の駆動輪に回生のトルクが加わった場合における各歯車軸のスラスト力の方向を示す拡大図である。 中間軸にトルク差増幅装置を組み込んだ2モータ車両駆動装置の実施形態を示す横断平面図である。 図6の実施形態のトルク差増幅装置部分の拡大断面図である。 この発明に係る2モータ車両駆動装置を使用する電気自動車の一例を示す上から見た概略平面図である。 この発明の参考例に係る2モータ車両駆動装置を示す横断平面図である。 図9の参考例における左右の入力軸端部と減速機ケーシングにおける中央ケーシングの軸受穴との関係を示す拡大部分断面図である。 図10の分解断面図である。 図9の参考例の入力軸部分を示す横断平面図である。 図9の減速機ケーシングの一部を拡大した断面図であり、(a)は左の側面ケーシング、(b)は中央ケーシングを示している。 図9の参考例の入力軸部分の別例を示す分解横断平面図である。 中央ケーシングの仕切り壁に設けられる軸受穴が、左右の歯車収容室と連通し、その内径が一定のストレート穴形状に形成された貫通穴である参考例において、左右の駆動輪に力行のトルクが加わった場合における各歯車軸に働くスラスト力の方向を示す拡大図である。 図15の参考例において、左右の駆動輪のうち、左側の駆動輪に力行のトルク、右側の駆動輪に回生のトルクが加わった場合における各歯車軸に働くスラスト力の方向を示す拡大図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図8に示す電気自動車Bは、後輪駆動方式であり、シャーシ71と、操舵輪としての前輪72と、駆動輪(後輪)73と、左右の駆動輪73を駆動する2モータ車両駆動装置Aとを備え、2モータ車両駆動装置Aは、後輪側の左右の駆動輪73の中央位置のシャーシ71上に搭載され、2モータ車両駆動装置Aの駆動力は、等速ジョイント15と中間シャフト16を含むドライブシャフトを介して左右の駆動輪73に伝達される。シャーシ71の中央部には、2モータ車両駆動装置Aに電力を供給するインバータ9が設置されている。
2モータ車両駆動装置Aの搭載形態としては、図8に示す後輪駆動方式以外に、前輪駆動方式、四輪駆動方式でもよい。
この発明に係る2モータ車両駆動装置Aは、図1に示すように、2基の減速機2L、2Rを左右並列に収容する減速機ケーシング20を中央にし、その減速機ケーシング20の左右に2基の電動モータ1L、1Rのモータケーシング3L、3Rを固定配置した構造を採用する。
左右の電動モータ1L、1Rは、図1に示すように、モータケーシング3L、3R内に収容されている。
モータケーシング3L、3Rは、円筒形のモータケーシング本体3aL、3aRと、このモータケーシング本体3aL、3aRの外側面を閉塞する外側壁3bL、3bRと、モータケーシング本体3aL、3aRの内側面に減速機2L、2Rと隔てる内側壁3cL、3cRとからなる。
電動モータ1L、1Rは、図1に示すように、モータケーシング本体3aL、3aRの内周面にステータ11を設け、このステータ11の内周に間隔をおいてロータ12を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。なお、図示はしなかったが電動モータ1L、1Rは、アキシャルギャップタイプのものを使用してもよい。
ロータ12は、モータ軸12aを中心部に有し、そのモータ軸12aはモータケーシング本体3aL、3aRの内側壁3cL、3cRの開口部からそれぞれ減速機2L、2R側に引き出されている。モータケーシング本体3aL、3aRの開口部とモータ軸12aとの間にはシール部材13が設けられ、外部から電動モータ1L、1Rの内部への埃や泥水の侵入を防止している。
モータ軸12aは、モータケーシング本体3aL、3aRの内側壁3cL、3cRと外側壁3bL、3bRとに転がり軸受14a、14bによって回転自在に支持されている(図1)。
左右並列に設けられた2基の減速機2L、2Rを収容する減速機ケーシング20は、中央ケーシング20aとこの中央ケーシング20aの両側面に固定される左右の側面ケーシング20bL、20bRの3ピース構造になっている。左右の側面ケーシング20bL、20bRは、左右対象形状に形成されている。
左右の側面ケーシング20bL、20bRは、図2に示すように、中央ケーシング20aの両側面の開口部に、複数のボルト26L、26Rによって固定されている。
減速機ケーシング20の側面ケーシング20bL、20bRのアウトボード側の側面と電動モータ1L、1Rのモータケーシング本体3aL、3aRの内側壁3cL、3cRとを、複数のボルト29によって固定することにより、減速機ケーシング20の左右に2基の電動モータ1L、1Rが固定配置されている(図1及び図2)。
中央ケーシング20aには、図1に示すように、中央に仕切り壁21が設けられている。減速機ケーシング20は、この仕切り壁21によって左右に2分割され、2基の減速機2L、2Rを収容する独立した左右の収容室22L、22Rが並列に設けられている。
減速機2L、2Rは、図1に示すように、左右対称形に設けられ、モータ軸12aから動力が伝達され、入力歯車23aを有する入力軸23L、23Rと、この入力歯車23aに噛み合う大径歯車24a、出力歯車25aに噛み合う小径歯車24bを有する中間軸24L、24Rと、出力歯車25aを有し、等速ジョイント15と中間シャフト16を含むドライブシャフトを介して駆動輪73(図8参照)に駆動力を伝達する出力軸25L、25Rとを備える平行軸歯車減速機である。左右の入力軸23Lと23R、中間軸24Lと24R、出力軸25Lと25Rはそれぞれ同軸に配置されている。
減速機2L、2Rの入力軸23L、23Rの両端は、中央ケーシング20aの仕切り壁21の左右両面に形成したボス部の軸受穴27aと側面ケーシング20bL、20bRに形成したボス部の軸受穴27bに転がり軸受28a、28bを介して回転自在によって支持されている。中央ケーシング20aの仕切り壁21に形成されたボス部に設けられた軸受穴27aに嵌め込まれる左右の入力軸23L、23Rの転がり軸受28a、28aの間には、後述するように、軸方向ガタ(エンドプレイ)の調整も兼ねるスペーサ10が挿入され、互いの転がり軸受28a、28aは離間されている。
入力軸23L、23Rのアウトボード側の端部は、側面ケーシング20bL、20bRに設けた開口部から外側に引き出されており、開口部と入力軸23L、23Rの外側端部との間にはシール部材31を設け、減速機2L、2Rに封入された潤滑油の漏洩を防止するとともに、外部から減速機2L、2Rの内部への埃や泥水の侵入を防止している。
入力軸23L、23Rは、中空構造であり、この中空の入力軸23L、23Rにモータ軸12aが挿入されている。入力軸23L、23Rとモータ軸12aとは、スプライン結合(セレーション結合も含む)されている。
中間軸24L、24Rは、外周面に入力歯車23aに噛み合う大径歯車24aと、出力歯車25aに噛み合う小径歯車24bを有する段付き歯車である。この中間軸24L、24Rの両端は、中央ケーシング20aの仕切り壁21の左右両面に形成したボス部の軸受穴32aと側面ケーシング20bL、20bRに形成したボス部の軸受穴32bとに転がり軸受34a、34bを介して支持されている。中央ケーシング20aの仕切り壁21に形成されたボス部に設けられた軸受穴32aに嵌め込まれる左右の中間軸24L、24Rの転がり軸受34a、34aの間には、後述するように、軸方向ガタ(エンドプレイ)の調整も兼ねるスペーサ10が挿入され、互いの転がり軸受34a、34aは離間されている。
出力軸25L、25Rは、大径の出力歯車25aを有し、中央ケーシング20aの仕切り壁21に形成したボス部の軸受穴35aと側面ケーシング20bL、20bRに形成したボス部の軸受穴35bに転がり軸受37a、37bによって支持されている。中央ケーシング20aの仕切り壁21に形成されたボス部の軸受穴35aに嵌め込まれる左右の出力軸25L、25Rの転がり軸受37a、37aの間には、後述するように、軸方向ガタ(エンドプレイ)の調整も兼ねるスペーサ10が挿入され、互いの転がり軸受37a、37aは離間されている。
出力軸25L、25Rは、中空構造であり、この中空の出力軸25L、25Rのアウトボード側の端部内周面に、等速ジョイント15の外輪部材15aの軸部が挿入され、等速ジョイント15の外輪部材15aの軸部と中空の出力軸25L、25Rのアウトボード側の端部内周面とがスプライン結合(セレーション結合を含む)されている。
出力軸25L、25Rに結合された等速ジョイント15は、中間シャフト16を介して駆動輪73に接続される(図8参照)。
出力軸25L、25Rのアウトボード側の端部と側面ケーシング20bL、20bRに形成した開口部との間には、シール部材39を設け、減速機2L、2Rに封入された潤滑油の漏洩を防止するとともに、外部から減速機2L、2Rの内部への埃や泥水の侵入を防止している。
左右2基の電動モータ1L、1Rのモータケーシング3L、3Rには、図2及び図8に示すように、モータケーシング3L、3Rのアウトボード側(車両の外側)の端部外面に、左右のモータケーシングからUVWの3相の動力線4を引き出す端子ボックス5が設置されている。
次に、中央ケーシング20aの仕切り壁21に形成された各ボス部に設けられた軸受穴27a、32a、35aに挿入されるスペーサ10について説明する。ここでは、入力軸23L、23Rが支持される仕切り壁21に形成したボス部の軸受穴27aを中心として説明するが、中間軸24L、24R、出力軸25L、25Rを支持するボス部の軸受穴32a、35aも同様であるので、ここでは、説明を割愛する。
この発明においては、図1及び図3に示すように、中央ケーシング20aの仕切り壁21に設けられた各ボス部の軸受穴27aを、左右の入力軸23L、23Rの転がり軸受28a、28aが突き当たる鍔部をなくした内径が一定のストレートの穴形状に形成し、収容室22L、22Rが連通するように形成している。
図3に示すように、中央ケーシング20aの仕切り壁21に設けられるストレートの穴形状の軸受穴27aに、スペーサ10を挿入し、入力軸23L、23Rに取り付けられた転がり軸受28a、28aを軸受穴27aに左右からそれぞれ嵌め込む。軸受穴27aに嵌め込まれる左右の入力軸23L、23Rにそれぞれ取り付けられた転がり軸受28a、28aの間に、スペーサ10を挟み込むことにより、エンドプレイを調整を行っている。このスペーサ10の厚さは、組み付ける各部品の寸法により決められる。
このように、左右の入力軸23L、23Rのインボード側の端部を支持する転がり軸受28a、28aの間には、スペーサ10が挿入されることになる。転がり軸受28a、28aの間は、軸方向ガタの調整も兼ねるスペーサ10により離間され、エンドプレイが調整される。なお、車両の中央寄りとなる側をインボード側(図1中央側)と呼び、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図1外側)と呼ぶ。
そして、左右の側面ケーシング20bL、20bRのボス部に設けられる軸受穴27bの加工は、一方向から行える。また、中央ケーシング20aの仕切り壁21に設けられる軸受穴27aの加工も、内径が一定のストレートの穴形状であるので、一方向から加工を行うことができる。
図3に示すスペーサ10は、転がり軸受28a、28aの外輪と当接する部分以外は貫通しているリング状に形成し、左右の減速機の収容室22L、22Rを繋ぐように形成されている。このように、左右の収容室22L、22Rを繋ぐように貫通したリング状に形成することで、歯車からの潤滑油の跳ね掛けにより、軸受部近傍へ流入してきた油を、左右の入力軸23L、23Rの転がり軸受28a、28aのどちらにも流し入れることができる。この場合は、潤滑油が2基の減速機2L、2Rの収容室22L、22Rのどちらかに偏らないように、収容室22L、22Rの下部に収容室22L、22Rを連通する潤滑油連通口(図示省略)を設ける。また、旋回走行による遠心力等で収容室22L、22Rのどちらかに潤滑油が偏っても、直進状態となれば潤滑油連通口とスペーサ10の貫通穴により潤滑油と空気が収容室22L、22Rを行き来し、速やかに左右の減速機2L、2Rの収容室22L、22Rの油面は等しくなる。
2モータ車両駆動装置Aの2基の減速機2L、2Rに使用する平行軸歯車減速機を構成する各歯車軸(23L、23R、24L、24R、25L、25R)の各歯車(23a、24a、24b、25a)は、はすば歯車であり、各歯車軸(23L、23R、24L、24R、25L、25R)は、両端部を転がり軸受により回転自在に減速機ケーシング20に支持されている。即ち、図4に示すように、左右の入力軸23L、23Rは、インボード側の端部が転がり軸受28aによって、アウトボード側の端部が転がり軸受28bによって支持されている。また、左右の中間軸24L、24Rは、インボード側の端部が転がり軸受34aによって、アウトボード側の端部が転がり軸受34bによって支持されている。また、左右の出力軸25L、25Rは、インボード側の端部が転がり軸受37aによって、アウトボード側の端部が転がり軸受37bによって支持されている。
はすば歯車は、歯車の歯が軸に対して斜めになっているため、駆動力の伝達時に軸方向(スラスト方向)にも力が生じる。
この発明に係る2モータ車両駆動装置Aにおいては、図4に示すように、出力軸25L、25Rの出力歯車25aを構成するはすば歯車の歯のねじれ方向を、前進ドライブ時にスラスト力(f2)が内向きとなるねじれ方向になるように、また、中間軸24L、24Rの2つの歯車である大径歯車24aと小径歯車24bを構成するはすば歯車の歯のねじれ方向を、前進ドライブ時にそれぞれのスラスト力(f1、f2)を相互に逆向き(f1が内向き、f2が外向き)となるねじれ方向となるように、2基の減速機2L、2Rにおける各歯車軸(23L、23R、24L、24R、25L、25R)の各歯車(23a、24a、24b、25a)を形成するはすば歯車の歯のねじれ方向を規定している。
出力軸25L、25Rの出力歯車25aは、駆動伝達系の最終段の歯車であるため、負荷トルクが大きく、それに伴う前進走行時に生じるスラスト方向の力も大きくなる。
図4の歯車構成においては、上記のように、電動モータ1L、1Rからの駆動力による車両前進時(前進ドライブ時)に出力歯車25aで生じるスラスト力が内向きとなるように、出力軸25L、25Rの出力歯車25aを形成するはすば歯車の歯のねじれ方向を規定している。
このような内向きのスラスト方向の力が生じる出力軸25L、25Rの出力歯車25aを、中央ケーシング20aとこの中央ケーシング20aの両側面に固定される左右の側面ケーシング20bL、20bRの3ピース構造の減速機ケーシング20に組込んだ場合、左右の歯車列の最終段の出力歯車25aに生じる大きなスラスト力が共に内向きになるため、車両前進時(前進ドライブ時)に中央ケーシング20aに対して左右の側面ケーシング20bL、20bRは分離する方向の力を受けない。
中央ケーシング20aと左右の側面ケーシング20bL、20bRとは、減速機ケーシング20内に封入された潤滑油が漏洩したり、外部から泥水が減速機ケーシング20内に侵入しないように、中央ケーシング20aと左右の側面ケーシング20bL、20bRとの間の当接面に、Oリングや液状ガスケット等のシール構造を設け、中央ケーシング20aと左右の側面ケーシング20bL、20bRとはボルト26L、26Rによる締結で固定している(図2)。
前進ドライブ時に、左右の歯車列の最終段の出力歯車25aに生じる大きなスラスト力(f2)が共に内向きになるように、出力歯車25aを形成するはすば歯車の歯のねじれ方向を規定した場合、電動モータからの駆動力による後退時(後退ドライブ時)および回生制動をしながらの前進走行時(前進コースト時)は、はすば歯車の歯のねじれ方向と歯面にかかる周方向の力の向きから、出力歯車25aに生じるスラスト力は逆に外向きとなるが、そもそもの後退の頻度は前進と比べ少なく、後退しながら大きな駆動力を掛ける頻度はさらに少ないため、後退時は外向きになっても問題とはなりにくい。前進コースト時も前進ドライブ時と比べ頻度は少なく、また、ディスクブレーキ等の機械式制動装置も作動させるため、電動モータからの駆動力による前進走行時よりトルクの絶対値は小さくすることができ、それに伴うはすば歯車で生じる外向きのスラスト力も小さくなり、問題とはなりにくい。
中間軸24L、24Rには、入力軸23L、23Rの入力歯車23aに噛み合う大径歯車24aと出力歯車25L、25Rの出力歯車25aに噛み合う小径歯車24bの2つの歯車が設けられている。これら2つの歯車に生じるスラスト力が同じ向きになるとスラスト力が大きくなるので、走行方向の大半を占める前進ドライブ時に生じるスラスト方向の力(f1、f2)を相互に逆向きとして、力f1とf2の和が小さくなるようにする。前進ドライブ時に小径歯車24bに生じるスラスト方向の力f2は、前記の出力歯車25aに生じるスラスト力と逆向きの外向きとなるため、大径歯車24aに生じるスラスト力f1が小径歯車24bに生じるスラスト方向の力f2と逆向きとなる内向きとなるよう、大径歯車24aを形成するはすば歯車の歯のねじれ方向を規定する。
このように、中間軸24L、24Rの大径歯車24aと小径歯車24bで生じるスラスト方向の力f1とf2の和を小さくしたため、前進ドライブ時にスラスト方向の力f1とf2の和が外向きとなっても、中央ケーシング20aに対して左右の側面ケーシング20bL、20bRを分離しようとする力は小さく、問題とはなりにくい。また、後退ドライブ時や前進コースト時は逆に、スラスト方向の力f1とf2の和は内向きとなるため、問題とはならない。
中間軸24L、24Rの大径歯車24aと噛み合う入力軸23L、23Rの入力歯車23aにおいて前進ドライブ時に生じるスラスト方向の力f1は、前記の大径歯車24aに生じるスラスト力と逆向きの外向きとなる。しかし、駆動伝達系の1軸目の歯車であり負荷トルクは小さく、それに伴う前進ドライブ時に生じる外向きのスラスト方向の力f1も小さい。よって、中央ケーシング20aに対して左右の側面ケーシング20bL、20bRを分離しようとする力は小さく、問題とはなりにくい。また、後退ドライブ時や前進コースト時は逆に、スラスト方向の力f1の和は内向きとなるため、問題とはならない。
図4は、上記のように、左右の電動モータ1L、1Rからの駆動力によって左右の出力軸25L、25Rが前進方向の回転が伝達される場合において、左右の駆動輪に正のトルク、即ち、車両を加速させる方向のトルク(力行)が加わった際における各歯車軸の各歯車を形成するはすば歯車の歯のねじれ方向によって生じるスラスト力f1、f2の方向を示している。
一方、左右の電動モータ1L、1Rの回転方向が駆動輪を前進する向きである場合に、左右の駆動輪に与えるトルクの大きさを変えて車両の旋回性を高めるトルクベクタリング制御を行うと、図5に示すように、左右の駆動輪の一方(図5では左側)に正のトルク(車両を加速させる方向:力行)が作用し、他方の駆動輪(図5では右側)に接地面から負のトルク(車両を減速させる方向:回生)が作用する状況になることがある。
図5に示すように、右側の駆動輪が回生状況になると、はすば歯車の噛み合い面が力行の場合と逆向きになるため、はすば歯車の噛み合いによって生じるスラスト力の方向も逆向きになる。
図5に示す例では、左右の出力軸25L、25Rのうち、右側の出力軸25Rの出力歯車25aのスラスト力f2の方向が右向きになるため、左右の出力軸25L、25Rの出力歯車25aの両方のスラスト力f2が右方向となる。そして、左右の中間軸24L、24Rの小径歯車24bの両方のスラスト力f2が左方向となる。
また、左右の中間軸24L、24Rの大径歯車24aの両方のスラスト力f1が右方向となり、左右の入力軸23L、23Rの入力歯車23aの両方のスラスト力f1が左方向となる。
図5に示すように、左右の駆動輪の一方に正のトルク(車両を加速させる方向:力行)が作用し、他方の駆動輪に接地面から負のトルク(車両を減速させる方向:回生)が作用する状況になると、左右の歯車軸に同方向のスラスト力が生じる。
この発明においては、入力軸23L、23R、中間軸24L、24R、出力軸25L、25Rは、その両端が転がり軸受を介して減速機ケーシング20に支持され、各歯車軸のインボード側の端部を支持する中央ケーシング20aの仕切り壁21の軸受穴27a、32a、35aをそれぞれストレート穴形状の貫通穴とし、左右の各歯車軸のインボード側に配置した転がり軸受28a、34a、37aの外輪端部同士がスペーサ10を介して突き合うようにしている。
このように、各歯車軸のインボード側の端部を、仕切り壁21に形成したストレート形状の貫通穴からなる軸受穴27a、32a、35aで支持した場合、左右の各歯車軸のインボード側に配置した転がり軸受28a、34a、37aの外輪端部同士がスペーサ10を介して突き合うため、左右の各歯車軸で生じるスラスト力が同じ方向を向くと、一方の歯車軸で生じたスラスト力がスペーサ10を介して他方の歯車軸に負荷されることになる。したがって、左右の各歯車軸の両端を支持する転がり軸受のうち、アウトボード側の転がり軸受に、左右の歯車軸で生じたスラスト力の和が負荷される状態が生じる。
そこで、この発明においては、左右の各歯車軸の両端を支持する転がり軸受のうち、アウトボード側の転がり軸受28b、34b、37bを、インボード側の転がり軸受28a、34a、37aよりも長寿命設計のものを使用して、左右の歯車軸で生じたスラスト力の和がアウトボード側の転がり軸受28b、34b、37bに負荷されても、アウトボード側の転がり軸受28b、34b、37bが早期に損傷しないようにしている。
入力軸23L、23R、中間軸24L、24R、出力軸25L、25Rのうち、入力軸23L、23Rは、減速機2L、2Rの1軸目であり、電動モータ1L、1Rからのトルクが減速されておらず、トルクも小さいため、はすば歯車により生じるスラスト力が小さい。スラスト力がアウトボード側の一方の転がり軸受に全て掛かることの影響は、入力軸23L、23R(1軸目)より、減速された2軸目以降の中間軸24L、24R、出力軸25L、25Rで大きい。
したがって、入力軸23L、23Rについては、インボード側とアウトボード側の転がり軸受28a、28bを同じ軸受構成にしてもよいが、この発明では、中間軸24L、24Rの両端を支持する転がり軸受34a、34b、出力軸25L、25Rの両端を支持する転がり軸受37a、37bのうち、アウトボード側の転がり軸受34b、37bを、同軸に配置されたインボード側の転がり軸受34a、37aよりも長寿命化したものを使用する。なお、ここでいう長寿命とは、インボード側軸受の寿命補正係数(JIS B0104、JIS B0124)よりアウトボード側の軸受が大きくなることをいう。
アウトボード側の転がり軸受34b、37bを、同軸に配置されたインボード側の転がり軸受34a、37aよりも長寿命化するための具体的な手段としては、次のような手段を講じることができる。
まず、インボード側の転がり軸受34a、37aよりもアウトボード側の転がり軸受34b、37bの転動体を、同じ転動体径で個数を増すことで、アウトボード側の転がり軸受34b、37bを、同軸に配置されたインボード側の転がり軸受34a、37aよりも長寿命化する、という方法を採用することができる。
また、インボード側の転がり軸受34a、37aよりもアウトボード側の転がり軸受34b、37bの転動体を、同じ個数で転動体径を大きくすることで、アウトボード側の転がり軸受34b、37bを、同軸に配置されたインボード側の転がり軸受34a、37aよりも長寿命化する、という方法を採用してもよい。
また、インボード側の転がり軸受34a、37aとアウトボード側の転がり軸受34b、37bを同じ形状寸法、同じ転動体径、同じ転動体個数とし、アウトボード側の転がり軸受34b、37bにインボード側の転がり軸受34a、37aよりも寿命向上効果のある材料を用いる、あるいは寿命向上効果のある熱処理を行って長寿命化する、という方法も採用することができる。寿命向上効果のある材料と熱処理を組み合わせて使用することもできる。
長寿命化できる転がり軸受の材料と熱処理としては、Siを0.35wt%以上、Mnを0.50wt%以上含む高炭素クロム軸受鋼SUJ3を用い、軌道面表層の残留オーステナイト量が25〜50%となるような熱処理、を挙げることができる。焼入れ後の鋼中の残留オーステナイト(γR)を多くすることにより転動疲労寿命の向上を図るという方法がある。この熱処理方法は、焼入れにより主に生じるマルテンサイトに対し、残留オーステナイトが軟らかいため、油潤滑の減速機などの異物混入潤滑条件下では、潤滑油中の異物の噛み込みにより軸受転走面に生じる圧痕の周辺に作用する応力集中を緩和し、亀裂の発生を抑える効果がある。また、γR量を25〜50%とする方法の1つとして、浸炭窒化処理を施した後に焼入れ焼戻しを行い、軸受(特に転走面)表層に窒素を拡散させるという方法を採用してもよい。
次に、この発明は、中間軸24L、24Rに、二つの電動モータからの駆動力を左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達するトルク差増幅装置50を組み込んだ2モータ車両駆動装置に採用することもできる。
中間軸24L、24Rに、二つの電動モータ1L、1Rからの駆動力を左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達するトルク差増幅装置50を組み込んだ2モータ車両駆動装置Aは、例えば、図6に示す構造であり、図1に示す実施形態と重複する部分は同じ符号を付し、重複する構成については説明を省略する。
中間軸24L、24Rは、その外周面に入力歯車23aにかみ合う大径歯車24aを有し、また出力歯車25aにかみ合う小径歯車24bを有する段付きの歯車軸を構成している。この中間軸24L、24Rの両端は、中央ケーシング20aの仕切り壁21の両面に形成した軸受穴32aと側面ケーシング20bL、20bRに形成した軸受穴32bとに転がり軸受34a、34bを介して支持されている。そして、軸受穴32aを設ける中央ケーシング20aの仕切り壁21は、後述する第1結合部材51と第2結合部材52が通るように貫通している。転がり軸受34a、34bは、アウトボード側の転がり軸受34bの方を、インボード側の転がり軸受34aよりも長寿命のものを使用している。
同軸上に配置された中間軸24L、24Rには、この中間軸24L、24Rと同軸上に、二つの電動モータ1L、1Rから与えられる駆動トルクを左右の駆動輪にトルク差を増幅して分配するトルク差増幅装置50が組み込まれている。
トルク差増幅装置50は、同軸に配された左右の1対の中間軸24L、24Rと同軸上に二つ組み合わせた3要素2自由度の遊星歯車機構50L、50Rからなる。
トルク差増幅装置50を構成する遊星歯車機構50L、50Rは、中間軸24L、24Rの大径歯車24aにそれぞれ連結された内歯車RL、RRと、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた太陽歯車SL、SRと、内歯車RL、RRと太陽歯車SL、SRにかみ合う公転歯車として周方向に等分配置された複数の遊星歯車PL、PRと、遊星歯車PL、PRを回動可能に支持し、内歯車RL、RRと同軸上に設けられた遊星キャリヤCL、CRと、一方の遊星キャリヤCLと他方の太陽歯車SRとを結合する第1結合部材51と、一方の太陽歯車SLと他方の遊星キャリヤCRとを結合する第2結合部材52と、内歯車RL、RRに連結された、入力軸23L、23Rの入力歯車23aとかみ合う中間軸24L、24Rの入力側の大径歯車24aと、出力軸25L、25Rの出力歯車25aとかみ合う中間軸24L、24Rの出力側の小径歯車24bとを有し、中間軸24L、24Rの出力側の小径歯車24bを、遊星キャリヤCL、CRに連結した構成である。
なお、中間軸24L、24Rを複数対設けた場合には、トルク差増幅装置50を構成する遊星歯車機構50L、50Rは、いずれか一対の中間軸24L、24Rのみに組み込まれる。内歯車RL、RRに連結された入力側の大径歯車24aは、複数対の中間軸24L、24Rのうち、駆動側の中間軸24L、24Rに設けられた出力側の小径歯車24b、または入力軸23L、23Rの入力歯車23aと噛み合うように配置され、また、遊星歯車機構50L、50Rと同軸上に設けられた出力側の小径歯車24bが、複数対の中間軸24L、24Rのうちの従動側の中間軸24L、24Rに設けられた入力側の大径歯車24a、または出力軸25L、25Rの出力歯車25aと噛み合うように配置される。
遊星キャリヤCL、CRは、図7に示すように、遊星歯車PL、PRを支持するキャリヤピン53と、キャリヤピン53のアウトボード側端部に連結されたアウトボード側のキャリヤフランジ54aと、インボード側端部に連結されたインボード側のキャリヤフランジ54bを有する。
アウトボード側のキャリヤフランジ54aは、アウトボード側に延びる中空軸部55を備えており、中空軸部55のアウトボード側の端部が、減速機ケーシング20の側面ケーシング20bL、20bRに形成した軸受穴32bに転がり軸受34bを介して支持されている(図6参照)。
インボード側のキャリヤフランジ54bは、インボード側に延びる中空軸部56を備えており、中空軸部56のインボード側の端部が、中央ケーシング20aの仕切り壁21に形成した軸受穴32aに転がり軸受34aを介して支持されている。
図7に示す実施形態では、前記出力側の小径歯車24bが、キャリヤフランジ54aの中空軸部55の外周面に一体に形成されている。
遊星歯車PL、PRは、針状ころ軸受57を介してキャリヤピン53によって支持されている。
ここで、前記各キャリヤフランジ54a、54bの対向面と遊星歯車PL、PRの間にスラスト板(図示省略)を挿入し、遊星歯車PL、PRの回転の円滑化を図ってもよい。
前記各キャリヤフランジ54a、54bの外周面と内歯車RL、RRとの間には、転がり軸受59を配置している。
図7に示すように、インボード側のキャリヤフランジ54bと、インボード側のキャリヤフランジ54bの中空軸部56を支持する転がり軸受34aとの間には、カラー60を配置している。
2モータ車両駆動装置Aのトルク差増幅装置50を構成する2つの遊星歯車機構50L、50Rを連結している第1結合部材51および第2結合部材52は、減速機ケーシング20の中央ケーシング20aを左右に仕切る仕切り壁21を貫通して組み込まれている。
この第1結合部材51と第2結合部材52は、同軸上に配置されると共に、一方の結合部材(図7では第2結合部材52)が中空軸、他方の結合部材(図7では第1結合部材51)が中空軸に挿通される軸からなる二重構造になっている。
図7に示すように、中空軸で構成される第2結合部材52における右側の遊星歯車機構50R側の端部と、遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ54bの中空軸部56とにスプライン61を設け、第2結合部材52を遊星キャリヤCRに対しスプライン嵌合により連結している。
また、第1結合部材51における左側の遊星歯車機構50L側の端部と、遊星キャリヤCLのアウトボード側のキャリヤフランジ54aの中空軸部55とにスプライン62を設けて、第1結合部材51を遊星キャリヤCLに対しスプライン嵌合により連結している。
上記のように、2つの遊星歯車機構50L、50Rの第1結合部材51と第2結合部材52とを、遊星キャリヤCLと遊星キャリヤCRに対しスプライン嵌合によって連結することにより、2つの遊星歯車機構を左右に分割することが可能となり、3ピース構成の減速機ケーシング20に他の歯車軸と同様に左右から組込むことができる。
第2結合部材52の遊星キャリヤCL側の端部は、その外周面に、左側の遊星歯車機構の遊星歯車PLとかみ合う外歯車が形成され、この外歯車が左側の遊星歯車機構50Lの太陽歯車SLを構成している。
中空軸で構成される第2結合部材52に挿通される第1結合部材51は、右側の遊星歯車機構50R側の端部に大径部63を有し、この大径部63の外周面に、右側の遊星歯車機構50Rの遊星歯車PRとかみ合う外歯車が形成され、この外歯車が右側の遊星歯車機構50Rの太陽歯車SRを構成している。
第1結合部材51および第2結合部材52のうち、内径側の結合部材(第1結合部材51)と連結している太陽歯車SRの最大径は、外径側の結合部材(第2結合部材52)が嵌め合う遊星キャリヤCRのインボード側のキャリヤフランジ54bの中空軸部56の内面のスプライン穴の最小径よりも小さく設定することにより、内径側の結合部材(第1結合部材51)を容易に組み込むことが可能である。
内径側の結合部材(第1結合部材51)の外周面と、外径側の結合部材(第2結合部材52)の内周面との間には、カラー64と、カラー64の両端に針状ころ軸受65、66を介在させている。
第1結合部材51および第2結合部材52と遊星キャリヤCL、CRとの嵌合(スプライン62、61)は、軸方向にしゅう動可能な嵌め合い公差とすることにより、入力歯車23aとこれにかみ合う入力側の大径歯車24a、出力歯車25aとこれにかみ合う出力側の小径歯車24b、太陽歯車SL、SRと遊星歯車PL、PRと内歯車RL、RRの少なくともいずれか一つの噛み合わせにはすば歯車があり、スラスト力が発生しても、歯車歯面への偏荷重を防ぐことができる。
また、第1結合部材51および第2結合部材52と遊星キャリヤCL、CRとのスプライン(スプライン62、61)嵌合部のしゅう動による軸方向移動による荷重は、外径側結合部材(各実施形態では第2結合部材52)の両端にスラスト軸受67、68を設けて支持している。
2つの遊星歯車機構50L、50Rを連結する二重構造の軸の内径側の結合部材(図7の実施形態では第1結合部材51)は、結合部材(図7の実施形態では第1結合部材51)と遊星キャリヤ(図7の実施形態ではCL)とのスプライン嵌合と反対側の軸端を、他方の遊星キャリヤ(図7の実施形態ではCR)に対して深溝玉軸受69によって支持している。
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、更に種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、更に特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
1L、1R :電動モータ
2L、2R :減速機
3L、3R :モータケーシング
3aL、3aR :モータケーシング本体
3bL、3bR :外側壁
3cL、3cR :内側壁
10 :スペーサ
11 :ステータ
12 :ロータ
12a :モータ軸
13 :シール部材
14a、14b :転がり軸受
15 :等速ジョイント
16 :中間シャフト
20 :減速機ケーシング
20a :中央ケーシング
20bL、20bR :側面ケーシング
21 :仕切り壁
22L、22R :収容室
23L、23R :入力軸
23a :入力歯車
24L、24R :中間軸
24a :大径歯車
24b :小径歯車
25L、25R :出力軸
25a :出力歯車
26L、26R :ボルト
27a、27b :軸受穴
28a、28b :転がり軸受
29 :ボルト
31 :シール部材
32a、32b :軸受穴
34a、34b :転がり軸受
35a、35b :軸受穴
37a、37b :転がり軸受
39 :シール部材
50 :トルク差増幅装置
50L、50R :遊星歯車機構
51 :第1結合部材
52 :第2結合部材
53 :キャリヤピン
54a、54b :キャリヤフランジ
55、56 :中空軸部
57 :針状ころ軸受
59 :転がり軸受
60 :カラー
61、62 :スプライン
63 :大径部
64 :カラー
65、66 :針状ころ軸受
67、68 :スラスト軸受
69 :深溝玉軸受
71 :シャーシ
72 :前輪
73 :駆動輪
A :2モータ車両駆動装置
B :電気自動車

Claims (5)

  1. 車両に搭載され独立して制御可能な二つの電動モータと、前記二つの電動モータの駆動力を左右の駆動輪に伝達する減速機とを備え、この減速機を収容する減速機ケーシングを中央にしてその左右に二つの電動モータを車体のアウトボード側に配置固定する2モータ車両駆動装置において、
    減速機ケーシングは、中央ケーシングとこの中央ケーシングの両側面に固定される左右の側面ケーシングからなる3ピース構造であり、中央ケーシングには中央に仕切り壁が設けられ、減速機ケーシングはこの仕切り壁によって左右二つの収容室に分割され、
    減速機は外歯歯車により構成された平行軸歯車減速機であり、平行軸歯車減速機は、電動モータのモータ軸から駆動力が伝達され、入力歯車を有する入力軸と、ドライブシャフトを介して駆動輪に駆動力を伝達する出力歯車を有する出力軸と、入力歯車に噛み合う大径歯車と出力歯車に噛み合う小径歯車を有する中間軸とを平行に配置し、各歯車軸の各歯車がはすば歯車によって形成され、各はすば歯車の歯のねじれ方向が、車両の前進力行時に出力歯車で生じるスラスト力が内向きとなるようなねじれ方向となっており、
    前記減速機の各歯車軸は、前記側面ケーシングと中央ケーシングの仕切り壁にそれぞれ設けられたボス部の軸受穴に嵌め込まれた転がり軸受で支持され、
    減速機の左右の歯車軸のうち同軸に配置された歯車軸を嵌め込む、前記中央ケーシングの仕切り壁のボス部に設けられる軸受穴が、左右の収容室と連通し、その内径が一定のストレート穴形状に形成された貫通穴からなり、
    前記貫通穴からなる軸受穴に嵌め込まれる左右の歯車軸に取り付けられた転がり軸受間に挟み込んでエンドプレイ調整を行うスペーサを設け、
    前記ボス部の軸受穴に嵌め込まれる左右の歯車軸を支持するインボード側の転がり軸受とアウトボード側の転がり軸受のうち、アウトボード側の転がり軸受に、インボード側の転がり軸受よりも長寿命の転がり軸受を用いることを特徴とする2モータ車両駆動装置。
  2. 前記アウトボード側の転がり軸受とインボード側の転がり軸受の転動体径が同じで、転動体の個数を、アウトボード側の転がり軸受の方をインボード側の転がり軸受よりも多くして、アウトボード側の転がり軸受を、インボード側の転がり軸受よりも長寿命の転がり軸受にしたことを特徴とする請求項1に記載の2モータ車両駆動装置。
  3. 前記アウトボード側の転がり軸受とインボード側の転がり軸受の転動体の個数が同じで、転動体径を、アウトボード側の転がり軸受の方をインボード側の転がり軸受よりも大きくして、アウトボード側の転がり軸受を、インボード側の転がり軸受よりも長寿命の軸受にしたことを特徴とする請求項1に記載の2モータ車両駆動装置。
  4. 前記アウトボード側の転がり軸受の軸受材料あるいは熱処理として、インボード側の転がり軸受の軸受材料よりも寿命向上効果のある材料、あるいは寿命向上効果のある熱処理を適用して、または寿命向上効果のある材料と熱処理を組み合わせて適用して、アウトボード側の転がり軸受を、インボード側の転がり軸受よりも長寿命の軸受にしたことを特徴とする請求項1に記載の2モータ車両駆動装置。
  5. 前記減速機の一つの中間軸と同軸上に、遊星歯車機構を二つ組み合わせ、一方の遊星歯車機構の特定の要素と他方の遊星歯車機構の特定の要素とを相互に連結して二つの駆動源からの駆動力を左右の駆動輪にトルク差を増幅して伝達するトルク差増幅装置を組み込んだことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2モータ車両駆動装置。
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