JP6647477B1 - 数値制御装置および機械学習装置 - Google Patents

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Abstract

数値制御装置であるNC装置(10)は、第1の軸と第2の軸とを含む複数の軸の駆動によってワーク(3)と工具(5)とを相対的に移動させる工作機械(1)について、複数の軸の各々を制御する。数値制御装置は、第1の軸を制御するための第1の位置指令を生成する第1の位置指令生成部(11)と、第2の軸を制御するための第2の位置指令を生成する第2の位置指令生成部(12)と、第2の軸の駆動に伴う軸間干渉によって発生する第1の軸の振動を相殺するために、第2の軸の駆動における加速度の変化率であるジャークに基づいて第1の位置指令の補正量を算出する補正量算出部(14)と、を備える。

Description

本発明は、工作機械を制御するための指令を生成する数値制御装置および機械学習装置に関する。
工作機械は、送り軸である複数の軸を駆動することによって工具とワークとを相対的に移動させながらワークを加工する。数値制御装置は、複数の軸の各々を制御するための位置指令を加工プログラムにしたがって生成する。
工作機械には、軸間干渉が生じることがある。軸間干渉は、複数の軸のうちの1つによる駆動に起因する振動を複数の軸のうちの他の軸が受けることによって当該他の軸が振動する現象である。工作機械は、軸間干渉による軸の位置変化が生じた場合、工具とワークとの接触状態の変動による加工精度の悪化、あるいはワークへの工具の過剰な接触による加工面の劣化を引き起こすことがある。
特許文献1には、工作機械の可動部を水平方向へ移動させる水平軸と当該可動部を垂直方向へ移動させる垂直軸とを制御するモータ制御装置において、水平軸と垂直軸とにおける軸間干渉を補正することが開示されている。特許文献1にかかるモータ制御装置は、水平軸の加速度の情報に基づいて、軸間干渉による垂直軸の位置変化を相殺するための補正量を算出する。
特開2016−51398号公報
上記特許文献1にかかるモータ制御装置は、軸間干渉による軸の位置変化を相殺するための位置指令の補正量を、加速度に補正ゲインを乗じることによって算出する。ここで、上記特許文献1の技術では、軸の加減速のときにおける他の軸の位置変化が補正によって相殺されないことがあるため、工作機械による加工品質を向上させることが困難であるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、工作機械による加工品質を向上させることを可能とする数値制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる数値制御装置は、第1の軸と第2の軸とを含む複数の軸の駆動によってワークと工具とを相対的に移動させる工作機械について、複数の軸の各々を制御する。本発明にかかる数値制御装置は、第1の軸を制御するための第1の位置指令を生成する第1の位置指令生成部と、第2の軸を制御するための第2の位置指令を生成する第2の位置指令生成部と、第2の軸の駆動に伴う軸間干渉によって発生する第1の軸の振動を相殺するために、第2の軸の駆動における加速度の変化率であるジャークに基づいて第1の位置指令の補正量を算出する補正量算出部と、を備える。
本発明にかかる数値制御装置は、工作機械による加工品質を向上させることができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1にかかる数値制御装置によって制御される工作機械の一例を示す模式図 実施の形態1にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図 図1に示す工作機械における相対変位について説明するための図 図2に示す構成に補正ゲインの算出のための要素が追加された例を示す図 本発明の実施の形態2にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図 本発明の実施の形態3にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図 本発明の実施の形態4にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図 図7に示す数値制御装置が有する機械学習装置の機能構成を示すブロック図 実施の形態4にかかる強化学習を用いた機械学習装置の動作フローを示すフローチャート 実施の形態1から4にかかる数値制御装置の機能がコンピュータシステムを用いて実現される場合におけるハードウェア構成の例を示す図
以下に、本発明の実施の形態にかかる数値制御装置および機械学習装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。以下の説明では、数値制御装置をNC(Numerical Control)装置と称することがある。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる数値制御装置によって制御される工作機械の一例を示す模式図である。図1に示す工作機械1は、送り軸である複数の軸を駆動することによって工具5とワーク3とを相対的に移動させながらワーク3を加工する。
工作機械1は、工作機械1のベースであるベッド2と、ワーク3が置かれるテーブル4と、工具5を保持するヘッド6と、ベッド2上に配置されておりヘッド6を支持するコラム7とを有する。テーブル4は、ベッド2上において水平方向へ移動可能である。ヘッド6は、コラム7において鉛直方向へ移動可能である。工作機械1は、ベッド2から立てられたコラム7の先にヘッド6が設けられているいわゆる立型のマシニングセンタである。
工作機械1は、互いに垂直な3つの送り軸であるX軸、Y軸およびZ軸と、X軸を駆動するモータと、Y軸を駆動するモータと、Z軸を駆動するモータとを有する。工作機械1は、X軸またはY軸の駆動によってテーブル4を水平方向へ移動させる。工作機械1は、Z軸の駆動によってヘッド6を移動させる。
X軸、Y軸およびZ軸の各々は、モータが発生させた駆動力を受けることによって回転するボールねじである。X軸およびY軸は、ベッド2に設置されている。Z軸は、コラム7に設けられている。また、ベッド2には、X軸の回転運動をX軸方向の直線運動へ変換するための機構と、Y軸の回転運動をY軸方向の直線運動へ変換するための機構とが設けられている。コラム7には、Z軸の回転運動をZ軸方向への直線運動へ変換するための機構が設けられている。図1では、X軸、Y軸およびZ軸と、各軸を駆動するモータと、各軸の回転運動を直線運動へ変換するための機構との図示を省略している。
以下の説明にて、X軸方向とは、X軸の駆動によってテーブル4が移動する方向とする。Y軸方向とは、Y軸の駆動によってテーブル4が移動する方向とする。Z軸方向とは、Z軸の駆動によってヘッド6が移動する方向とする。図1では、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を矢印により表している。X軸方向とY軸方向とは、水平方向である。Z軸方向は、鉛直方向である。
工作機械1は、X軸方向およびY軸方向へのテーブル4の移動と、Z軸方向へのヘッド6の移動とによって、3次元空間において工具5とワーク3とを相対的に移動させる。このように、工作機械1では、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向において工具5とワーク3とを相対的に移動可能とする。さらに、工作機械1は、水平面内においてテーブル4を回転させるモータを有しても良い。
図2は、実施の形態1にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図である。図2では、NC装置10の機能構成を示している。NC装置10は、X軸16X、Y軸16YおよびZ軸16Zの各々を制御するための位置指令を生成する。
NC装置10では、工作機械1における軸間干渉の発生特性に基づいて、X軸16X、Y軸16YおよびZ軸16Zのうち振動を受ける軸である第1の軸と、X軸16X、Y軸16YおよびZ軸16Zのうち第1の軸へ振動を与える軸である第2の軸とが定義されている。
工作機械1では、ベッド2にテーブル4が設けられており、さらにベッド2上に配置されたコラム7によってヘッド6が支持されている。工作機械1のこのような構造では、X軸16Xの駆動またはY軸16Yの駆動に起因する振動が、テーブル4からベッド2とコラム7とを経由してヘッド6へ伝搬することがある。このように、工作機械1は、X軸16XまたはY軸16Yの駆動に起因する振動をZ軸16Zが受けることによってZ軸16Zが振動するという軸間干渉が発生し得る特性を有している。かかる特性に基づいて、NC装置10では、Z軸16Zが上記の第1の軸、X軸16XとY軸16Yとが第2の軸、とそれぞれ定義されている。
第1の軸駆動部8は、第1の軸であるZ軸16Zを駆動するためのモータを制御するサーボアンプを有する。第2の軸駆動部9は、第2の軸であるX軸16Xを駆動するためのモータを制御するサーボアンプと、第2の軸であるY軸16Yを駆動するためのモータを制御するサーボアンプとを有する。
NC装置10は、加工プログラムにしたがって第1の位置指令を生成する第1の位置指令生成部11と、加工プログラムにしたがって第2の位置指令を生成する第2の位置指令生成部12とを有する。第1の位置指令は、第1の軸を制御するための指令であって、Z軸方向におけるヘッド6の位置を指定するための指令である。第2の位置指令は、第2の軸を制御するための指令であって、X軸方向におけるテーブル4の位置を指定するための指令と、Y軸方向におけるテーブル4の位置を指定するための指令とである。
NC装置10は、加速度の変化率であるジャークを算出するジャーク算出部13と、第1の位置指令の補正量を算出する補正量算出部14と、第1の位置指令である位置指令値に補正量を加算する加算器15とを有する。第1の位置指令生成部11は、生成された第1の位置指令を加算器15へ出力する。第2の位置指令生成部12は、生成された第2の位置指令を第2の軸駆動部9へ出力する。補正量算出部14は、第2の軸の駆動に伴う軸間干渉によって発生する第1の軸の振動を相殺するために、ジャークに基づいて第1の位置指令の補正量を算出する。
ジャーク算出部13には、第2の位置指令生成部12によって生成された第2の位置指令、または、第2の軸駆動部9による位置フィードバック情報を基に、ジャークの値を算出する。位置フィードバック情報とは、第2の軸の駆動によって移動したテーブル4の位置情報である。図2では、第2の位置指令生成部12によるジャーク算出部13への第2の位置指令の出力を表す矢印と、第2の軸駆動部9によるジャーク算出部13への位置フィードバック情報の出力を表す矢印とを示している。
ジャーク算出部13は、X軸方向についての第2の位置指令またはX軸方向についての位置フィードバック情報から、X軸方向におけるテーブル4の位置情報を取得する。ジャーク算出部13は、Y軸方向についての第2の位置指令またはY軸方向についての位置フィードバック情報から、Y軸方向におけるテーブル4の位置情報を取得する。ジャーク算出部13は、テーブル4の位置を任意の時間における位置ベクトルとして表すとして、時間による位置の3階微分によってジャークを算出する。ジャーク算出部13は、X軸方向におけるテーブル4の位置情報を基に、X軸16Xの駆動におけるジャークを算出する。ジャーク算出部13は、Y軸方向におけるテーブル4の位置情報を基に、Y軸16Yの駆動におけるジャークを算出する。ジャーク算出部13は、ジャークの算出結果を示す信号であるジャーク信号を補正量算出部14へ出力する。
補正量算出部14は、ジャークの算出結果である値へ補正ゲインを乗算することによって、第1の位置指令の補正量を算出する。ここでは、補正ゲインは、あらかじめ設定された定数とする。補正ゲインは、相対変位を補正可能とする補正量とジャークとの関係を試験あるいはシミュレーションによって求めることにより、かかる関係を基に設定され得る。なお、補正ゲインは、NC装置10において算出されたものであっても良い。相対変位について、ならびにNC装置10における補正ゲインの算出の手法については、後述する。
補正量算出部14は、補正量の算出結果を加算器15へ出力する。加算器15は、第1の位置指令である位置指令値へ補正量の算出結果を加算する。加算器15は、補正量の加算による補正後の位置指令値を第1の軸駆動部8へ出力する。
次に、第1の軸と第2の軸との間における軸間干渉によって生じる相対変位について説明する。相対変位とは、ワーク3の位置を基準とした場合における工具5の位置の変化量とする。相対変化は、工具5の位置を基準とした場合におけるワーク3の位置の変化量、あるいは、ワーク3の位置の変化量と工具5の位置の変化量との差分ともいえる。
図3は、図1に示す工作機械における相対変位について説明するための図である。以下の説明において、水平軸とはX軸16XまたはY軸16Yを指し、鉛直軸とはZ軸16Zを指すものとする。図3に示す曲線L1は、水平方向におけるテーブル4の速度と時間との関係を表すグラフである。図3に示す曲線L2は、水平方向におけるテーブル4の加速度と時間との関係を表すグラフである。図3に示す曲線L3は、水平方向におけるテーブル4のジャークと時間との関係を表すグラフである。図3に示す曲線L4は、相対変位と時間との関係を表すグラフである。
曲線L1は、ゼロから一定の速度にまでテーブル4を加速させて、さらに当該一定の速度からゼロにまでテーブル4を減速させた場合における速度の変化を表している。曲線L2は、曲線L1に示されるようにテーブル4の速度が変化した場合におけるテーブル4の加速度の変化を表している。曲線L3は、曲線L2に示されるようにテーブル4の加速度が変化した場合におけるジャークの変化を表している。曲線L4は、曲線L1に示されるようにテーブル4の速度が変化した場合における相対変位の変化を表している。
曲線L4に示されるように、テーブル4の加速開始時、加速終了時、減速開始時ならびに減速終了時において、相対変位が大きく変化する。また、曲線L3,L4に示されるように、ジャークの上昇に連動して相対変位が小さくなり、かつジャークの減少に連動して相対変位が大きくなる。ジャークの変化と相対変位の変化との間には、このような相関関係が成立している。
X軸16Xの駆動により、X軸方向においてテーブル4を急加速させた場合に、テーブル4の加速中には、加速による慣性力がテーブル4、ベッド2およびコラム7を経由してヘッド6へ伝搬する。X軸16Xの加速終了時には、慣性力が急に減少することによって、慣性力に対抗する反力だけがヘッド6に瞬間的に残る。残された反力によって、Z軸16Zは、図1にて両矢印により示す向きにヘッド6とともに振動する。このように、力のつり合いの急な変化による衝撃をZ軸16Zが受けることによって、相対変位が変化する。Y軸16Yの駆動によりY軸方向においてテーブル4を急加速させた場合も、X軸16Xの場合と同様に、相対変位が変化する。また、水平軸を急減速させた場合も、力のつり合いの急な変化による衝撃を鉛直軸が受けることによって相対変位が変化する。
実施の形態1では、NC装置10は、相対変位との相関を有するジャークを基に補正量を算出して、かかる補正量をZ軸16Zの位置指令値へ加算することによって、軸間干渉による相対変位の変化を相殺可能とする。NC装置10は、軸間干渉による相対変位の変化を相殺させることによって、ワーク3と工具5とについて、加工プログラムにしたがった相対位置の変化とは無関係な位置変化を抑制することができる。これにより、NC装置10は、工作機械1による加工品質を向上させることが可能となる。
次に、NC装置10における補正ゲインの算出の手法について説明する。NC装置10は、補正ゲインの算出のための要素を備えていても良い。図4は、図2に示す構成に補正ゲインの算出のための要素が追加された例を示す図である。
センサ部17は、上記の相対変位を測定する。センサ部17は、変位センサまたは加速度センサを有する。センサ部17は、ワーク3の位置の変化量と工具5の位置の変化量とを検出することによって相対変位を測定する。センサ部17は、ヘッド6の位置の変化量とテーブル4の位置の変化量とを検出することによって相対変位を測定しても良い。相対変位の測定のための手法は、実施の形態1にて説明する手法に限られない。
NC装置10には、補正ゲインの算出のための要素である補正ゲイン算出部20が設けられている。補正ゲイン算出部20は、補正ゲイン演算部21とピーク抽出部22とを有する。センサ部17は、相対変位の測定結果を示す信号である相対変位信号をピーク抽出部22へ出力する。ジャーク算出部13は、ジャーク信号をピーク抽出部22へ出力する。
ピーク抽出部22は、ジャーク信号の波形を基に、当該波形の頂点におけるジャークの値を抽出する。ここでは、波形の頂点におけるジャークの値を、ジャーク信号ピーク値と称する。上記の曲線L3は、ジャークの時間変化を表す波形の一例である。ピーク抽出部22は、加速開始前後、加速終了前後、減速開始前後ならびに減速終了前後の各期間におけるジャーク信号ピーク値を求める。ピーク抽出部22は、時間によるジャーク信号の1階積分によって得られる加速度信号、または時間によるジャーク信号の2階積分によって得られる速度信号に基づいて、加速開始前後、加速終了前後、減速開始前後ならびに減速終了前後の各期間を判定する。
また、ピーク抽出部22は、相対変位信号の波形を基に、当該波形の頂点における相対変位の値を抽出する。ここでは、波形の頂点における相対変位の値を、相対変位ピーク値と称する。上記の曲線L4は、相対変位の時間変化を表す波形の一例である。ピーク抽出部22は、加速開始前後、加速終了前後、減速開始前後ならびに減速終了前後の各期間における相対変位ピーク値を求める。
ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値との抽出は、実施の形態1で説明する手法以外の手法によるものであっても良い。ピーク抽出部22は、一般的なピーク抽出法あるいは極値検索法などによって、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とを抽出しても良い。ピーク抽出部22は、ノイズ除去のためのフィルタ処理をジャーク信号と相対変位信号とに施しても良い。ピーク抽出部22は、ノイズ除去のために、頂点の前後の値とピーク値との平均化を行っても良い。
ピーク抽出部22は、抽出されたジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とを補正ゲイン演算部21へ出力する。補正ゲイン演算部21は、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とを蓄積する。補正ゲイン演算部21は、相対変位ピーク値を、当該相対変位ピーク値に対応するジャーク信号ピーク値で除算することによって、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値との比であるピーク比を算出する。補正ゲイン演算部21は、各相対変位ピーク値についてのピーク比を平均化することによって、ピーク比の平均値を求める。このようにして補正ゲイン演算部21によって算出されたピーク比の平均値が、補正ゲインとされる。補正ゲイン演算部21は、算出された補正ゲインを補正量算出部14へ出力する。
補正ゲイン演算部21は、ジャーク信号ピーク値を適当な範囲で分けることとして、各相対変位ピーク値についてのピーク比を当該範囲ごとにフィッティングすることによって補正ゲインを得ることとしても良い。ジャーク信号ピーク値を分けるための範囲は、任意に設定された範囲である。また、ジャーク信号ピーク値を分けるための範囲は、ジャーク信号ピーク値の変化に対する相対変位ピーク値の変化の傾向にしたがって設定されても良い。例を挙げると、ジャーク信号ピーク値に対する相対変位ピーク値をプロットして、ジャーク信号ピーク値が増加または減少した場合に相対変位ピーク値の大きさの傾向が急激に変わる点を基準として、ジャーク信号ピーク値を分けるための範囲は設定される。補正ゲイン演算部21は、ジャーク信号ピーク値の範囲ごとのフィッティングによって、より適切な補正ゲインを計算することが可能となる。なお、フィッティングには、最小二乗法によるフィッティングまたはカーブフィッティングを用いることができる。
なお、補正ゲインは、NC装置10に備えられた補正ゲイン算出部20によって算出される以外に、NC装置10の外部の演算装置によって算出されることとしても良い。この場合、補正量算出部14には、当該演算装置からNC装置10へ読み込まれた補正ゲインが設定される。当該演算装置は、パーソナルコンピュータなどの装置である。当該演算装置は、補正量算出部14と同様の機能部を有する。
補正量算出部14における補正量の算出に使用されるジャークは、ジャーク算出部13によって算出されるものに限られない。補正量の算出には、実際の測定によって得られたジャークが使用されても良い。この場合、ジャークを測定するジャーク測定センサが工作機械1に取り付けられる。ジャーク測定センサは、ジャークの測定結果であるジャーク信号をNC装置10へ出力する。補正量の算出には、時間による加速度の1階微分によって得られたジャークが使用されても良い。この場合、加速度センサが工作機械1に取り付けられる。加速度センサは、加速度の測定結果である加速度信号をNC装置10へ出力する。
NC装置10によって制御される工作機械1は、立型のマニシングセンタに限られず、門形構造を有するマニシングセンタなどであっても良い。
複数の軸のうちの1つを急加速させた場合に、当該軸の加速中には、加速による慣性力が機械構造を経由して他の軸へ伝搬する。かかる軸の加速が終わることによって慣性力が急に減少すると、慣性力に対抗する反力だけが瞬間的に残る。力のつり合いの急な変化による衝撃を当該他の軸が受けることによって、当該他の軸の位置が変化することになる。複数の軸のうちの1つを急減速させた場合も、急加速の場合と同様に、力のつり合いの急な変化による衝撃を他の軸が受けることによって当該他の軸の位置が変化することになる。加速度の変化率であるジャークは、軸の加速のときまたは軸の減速のときにおけるこのような衝撃の原因となる。
実施の形態1によると、NC装置10は、第1の位置指令の補正量をジャークに基づいて算出する。NC装置10は、軸の加速のときまたは軸の減速のときにおける衝撃の原因となるジャークに基づいて、軸間干渉による第1の軸の位置変化を相殺するための補正量を算出することによって、第1の軸の位置の高精度な補正が可能となる。これにより、NC装置10は、工作機械1による加工品質を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図である。実施の形態2にかかるNC装置30は、ジャーク信号に代えて、ジャーク信号を模擬した参照波形信号に基づいて補正量を算出する。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。NC装置30には、実施の形態1のジャーク算出部13に代えて、速度算出部31と、トリガ算出部32と、参照波形出力部33とが設けられている。
速度算出部31は、第2の位置指令生成部12によって生成された第2の位置指令、または、第2の軸駆動部9による位置フィードバック情報を基に、速度を算出する。速度算出部31は、X軸方向についての第2の位置指令またはX軸方向についての位置フィードバック情報から、X軸方向におけるテーブル4の位置情報を取得する。速度算出部31は、Y軸方向についての第2の位置指令またはY軸方向についての位置フィードバック情報から、Y軸方向におけるテーブル4の位置情報を取得する。
速度算出部31は、テーブル4の位置を任意の時間における位置ベクトルとして表すとして、時間による位置の1階微分によって速度を算出する。速度算出部31は、X軸方向におけるテーブル4の位置情報を基に、X軸16Xの駆動における速度を算出する。速度算出部31は、Y軸方向におけるテーブル4の位置情報を基に、Y軸16Yの駆動における速度を算出する。速度算出部31は、速度の算出結果を示す信号である速度信号をトリガ算出部32と参照波形出力部33とへ出力する。
トリガ算出部32は、トリガ算出部32へ入力された速度信号を基に、加速開始時と減速開始時とのタイミングにてオン状態とされる補正トリガ信号を生成する。トリガ算出部32は、生成された補正トリガ信号を参照波形出力部33へ出力する。トリガ算出部32は、オン状態とされる補正トリガ信号を出力することによって、参照波形出力部33へ参照波形信号の出力を指令する。
参照波形出力部33は、オン状態とされた補正トリガ信号が参照波形出力部33へ入力されることによって、参照波形信号を出力する。参照波形とは、当該参照波形信号の波形とする。参照波形出力部33は、参照波形信号を出力すると、補正トリガ信号をオフ状態にすることをトリガ算出部32へ指示する。トリガ算出部32は、参照波形出力部33からの指示にしたがって補正トリガ信号をオフ状態にする。トリガ算出部32は、オン状態とされた1パルスの補正トリガ信号を参照波形出力部33へ出力した直後に、補正トリガ信号をオフ状態としても良い。
参照波形出力部33には、参照波形信号についての各種パラメータがあらかじめ設定されている。各種パラメータには、参照波形の形状、符号、出力時間、出力タイミングについてのパラメータが含まれる。符号とは、参照波形信号の正負符号である。出力時間とは、参照波形信号が出力される時間である。出力タイミングとは、補正トリガ信号がオン状態とされてから参照波形信号の出力が開始されるタイミングまでの時間であって、補正トリガ信号がオン状態とされてからの参照波形信号の遅延時間を表す。参照波形の形状には、三角波形、矩形波形、台形波形、円弧波形、半周期分の正弦波波形などのうちのいずれかがあらかじめ設定されている。出力時間と出力タイミングとは、加速開始時、加速終了時、減速開始時および減速終了時の各々におけるジャークの変化を予め測定した結果に基づいて設定される。
参照波形信号の符号は、第2の軸の駆動によるテーブル4の移動方向、ならびに加速と減速とのいずれであるかに基づいてあらかじめ設定されている。参照波形出力部33は、速度信号に基づいて、移動方向ならびに加速と減速とのいずれかを判断して、符号を決定する。参照波形出力部33は、第2の軸の駆動による移動方向から、加速開始時は正、加速終了時は負、減速開始時は負、ならびに減速終了時は正、というように、符号を決定する。例を挙げると、X軸方向のうちの正方向への移動である場合に、加速開始時と減速終了時とは正、ならびに加速終了時と減速開始時とは負とし、X軸方向のうち正方向とは逆の方向である逆方向への移動である場合にそれらの符号を全て反転させる。このようにして、参照波形出力部33では、加減速時に機械構造にかかる力の方向に応じた参照波形信号を生成する。
参照波形出力部33は、加速と減速とについて、あらかじめ設定された出力時間において出力される参照波形信号を生成する。参照波形出力部33は、加速と減速とについて、あらかじめ設定された出力タイミングで出力が開始される参照波形信号を生成する。このようにして、参照波形出力部33は、実施の形態1におけるジャーク信号を模擬した信号である参照波形信号を補正量算出部14へ出力する。補正量算出部14は、第2の軸の駆動による加速時と第2の軸の駆動による減速時とにおいて出力される参照波形信号に基づいて補正量を算出する。
補正量算出部14は、参照波形信号の値へ補正ゲインを乗算することによって、第1の位置指令の補正量を算出する。補正ゲインは、実施の形態1の場合と同様に、あらかじめ設定された定数であるものとする。
なお、トリガ算出部32は、加速開始時と減速開始時とのタイミングにてオン状態とされる補正トリガ信号を生成するものに限られない。トリガ算出部32は、加速開始時と減速開始時とのうちの少なくとも一方のタイミングにてオン状態とされる補正トリガ信号を生成するものであれば良い。補正量算出部14は、第2の軸の駆動による加速時と第2の軸の駆動による減速時との少なくとも一方において出力される参照波形信号に基づいて補正量を算出するものであれば良い。
実施の形態2によると、NC装置30は、参照波形信号に基づいて補正量を算出する。NC装置30は、ジャーク信号が算出される場合に現れ得るノイズまたはうねりといった成分を排除して、補正量を算出することができる。NC装置30は、補正に不要な成分が排除された補正量を算出可能とすることで、かかる不要な成分を除くためのさらなる補正を行うことなく、第1の軸の位置の高精度な補正が可能となる。これにより、NC装置30は、工作機械1による加工品質を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図である。実施の形態3にかかるNC装置40は、補正ゲイン変更判断部41を有する。実施の形態3では、上記の実施の形態1および2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1および2とは異なる構成について主に説明する。補正ゲイン変更判断部41は、工作機械1の運転時において、あらかじめ設定された閾値を相対変位が超えた場合に補正ゲインを変更させる。
センサ部17は、相対変位の測定結果を示す信号である相対変位信号を、補正ゲイン算出部20と補正ゲイン変更判断部41とへ出力する。補正ゲイン算出部20は、算出された補正ゲインを補正ゲイン変更判断部41へ出力する。
補正ゲイン変更判断部41は、入力された相対変位信号に基づいて、相対変位の絶対値を算出する。補正ゲイン変更判断部41は、算出された絶対値があらかじめ設定された閾値を超えているか否かを判断する。閾値は、相対変位を補正可能とする補正量とジャークとの関係を試験あるいはシミュレーションによって求めることにより、かかる関係を基に設定され得る。
補正量算出部14は、補正ゲイン変更判断部41から取得された補正ゲインの値を保持し、保持している補正ゲインの値に基づいて補正量を算出する。補正ゲイン変更判断部41により算出された絶対値が閾値を超えていない場合、補正ゲイン変更判断部41は、補正量算出部14への補正ゲインの出力を行わない。補正量算出部14は、保持している補正ゲインに基づいた補正量の算出を継続する。
一方、補正ゲイン変更判断部41により算出された絶対値が閾値を超えた場合、補正ゲイン変更判断部41は、補正ゲイン算出部20から取得された補正ゲインを補正量算出部14へ出力する。補正量算出部14は、補正ゲインの値を、補正ゲイン変更判断部41から取得された値に置き換える。これにより、補正ゲイン変更判断部41は、補正ゲインを変更させる。NC装置40は、工作機械1の運転時において適応的に補正ゲインを変更することができる。また、NC装置40は、工作機械1の経年変化によって工作機械1の特性が変化した場合において、工作機械1の特性に適合した補正量によって第1の位置指令を補正することができる。
補正ゲイン算出部20は、あらかじめ設定された基準値に、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とを基に得られた値を加算することによって、補正ゲインを算出しても良い。基準値とは、補正ゲインの基準となる値とする。この場合も、補正ゲイン算出部20は、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とに応じた補正ゲインを算出することができる。
補正ゲイン算出部20は、あらかじめ設定された基準値に、あらかじめ設定された定数を加算または減算することによって、補正ゲインを算出しても良い。補正ゲイン算出部20は、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とを基に得られた値が正の値および負の値のいずれであるかによって、定数の加算と定数の減算とのうちの一方を決定する。この場合も、補正ゲイン算出部20は、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とに応じた補正ゲインを算出することができる。
補正ゲイン算出部20は、あらかじめ設定された基準値を、あらかじめ設定された比率で増加または減少させることによって、補正ゲインを算出しても良い。補正ゲイン算出部20は、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とを基に得られた値が正の値および負の値のいずれであるかによって、上記比率での基準値の増加と上記比率での基準値の減少とのうちの一方を決定する。この場合も、補正ゲイン算出部20は、ジャーク信号ピーク値と相対変位ピーク値とに応じた補正ゲインを算出することができる。なお、補正ゲインの算出は、補正ゲイン算出部20によって行われるほか、補正量算出部14によって行われても良い。
実施の形態3によると、NC装置40は、工作機械1の運転時において相対変位が閾値を超えた場合に、補正ゲインを適応的に変更することができる。これにより、NC装置40は、工作機械1による加工品質を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4にかかる数値制御装置と工作機械とを示すブロック図である。実施の形態4にかかるNC装置50には、機械学習装置52と意思決定部53とを有する補正ゲイン算出部51が設けられている。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。機械学習装置52は、補正ゲインを学習する。意思決定部53は、機械学習装置52が学習した結果に基づいて補正ゲインを決定する。
図8は、図7に示す数値制御装置が有する機械学習装置の機能構成を示すブロック図である。機械学習装置52は、状態観測部54と学習部55とを有する。ジャーク算出部13は、ジャーク信号を機械学習装置52へ出力する。センサ部17は、相対変位信号を機械学習装置52へ出力する。
状態観測部54は、ジャーク信号の入力によって取得されるジャーク、ならびに相対変位信号の入力によって取得される相対変位を、状態変数として観測する。すなわち、状態観測部54は、第2の軸の駆動における加速度の変化率であるジャークと、ワーク3および工具5の相対変位とを状態変数として観測する。学習部55は、状態変数に基づいて作成される訓練データセットに従って、補正条件を学習する。補正条件は、ジャークに乗じられる補正ゲインである。補正量算出部14は、学習部55が学習した補正ゲインをジャークに乗じることによって、第1の位置指令の補正量を算出する。
学習部55が用いる学習アルゴリズムはどのようなものを用いてもよい。一例として、強化学習(Reinforcement Learning)を適用した場合について説明する。強化学習は、ある環境内におけるエージェントである行動主体が、現在の状態を観測し、取るべき行動を決定する、というものである。エージェントは行動を選択することで環境から報酬を得て、一連の行動を通じて報酬が最も多く得られるような方策を学習する。強化学習の代表的な手法として、Q学習(Q−learning)およびTD学習(TD−learning)などが知られている。例えば、Q学習の場合、行動価値関数Q(s,a)の一般的な更新式である行動価値テーブルは、次の式(1)で表される。行動価値関数Q(s,a)は、環境「s」のもとで行動「a」を選択する行動の価値である行動価値Qを表す。
Figure 0006647477
上記の式(1)において、「st+1」は、時刻「t」における環境を表す。「a」は、時刻「t」における行動を表す。行動「a」によって、環境は「st+1」に変わる。「rt+1」は、その環境の変化によってもらえる報酬を表す。「γ」は、割引率を表す。「α」は、学習係数を表す。Q学習を適用した場合、補正ゲインが行動「a」となる。
上記の式(1)により表される更新式は、時刻「t+1」における最良の行動「a」の行動価値が、時刻「t」において実行された行動「a」の行動価値Qよりも大きければ、行動価値Qを大きくし、逆の場合は、行動価値Qを小さくする。換言すれば、時刻「t」における行動「a」の行動価値Qを、時刻「t+1」における最良の行動価値に近づけるように、行動価値関数Q(s,a)を更新する。それにより、或る環境における最良の行動価値が、それ以前の環境における行動価値に順次伝播していくようになる。
学習部55は、報酬計算部56と関数更新部57とを有する。報酬計算部56は、状態変数に基づいて報酬を計算する。報酬計算部56は、相対変位誤差に基づいて、報酬「r」を計算する。相対変位誤差とは、加速のときまたは減速のときにおける相対変位の絶対値である。例えば、補正ゲインを変更した結果、相対変位誤差が小さくなる場合には、報酬計算部56は、報酬「r」を増大させる。報酬計算部56は、報酬の値である「1」を与えることによって報酬「r」を増大させる。なお、報酬の値は「1」に限られない。
また、補正ゲインを変更した結果、相対変位誤差が大きくなる場合には、報酬計算部56は、報酬「r」を低減する。報酬計算部56は、報酬の値である「−1」を与えることによって報酬「r」を低減する。なお、報酬の値は「−1」に限られない。
関数更新部57は、報酬計算部56によって計算される報酬に従って、補正ゲインを決定するための関数を更新する。関数の更新は、訓練データセットに従って、例えば行動価値テーブルを更新することによって行うことができる。行動価値テーブルは、任意の行動と、その行動価値とを関連付けてテーブルの形式で記憶したデータセットである。例えばQ学習の場合、上記の式(1)により表される行動価値関数Q(s,a)を補正ゲインの算出のための関数として用いる。
図9は、実施の形態4にかかる強化学習を用いた機械学習装置の動作フローを示すフローチャートである。図9のフローチャートを参照して、行動価値関数Q(s,a)を更新する強化学習方法について説明する。
まず、ステップS1において、状態観測部54は、ジャーク算出部13から取得したジャーク信号から、加速開始時または減速開始時を特定する。ステップS2において、状態観測部54は、加速終了時または減速終了時から任意の時間における状態変数を取得する。状態観測部54は、加速開始時に状態変数の取得を開始し、加速終了時から任意の時間までにおける状態変数を取得する。または、状態観測部54は、減速開始時に状態変数の取得を開始し、減速終了時から任意の時間までにおける状態変数を取得する。状態変数には、ジャーク算出部13から取得したジャーク信号とセンサ部17から取得した相対変位信号とが含まれる。
ステップS3において、報酬計算部56は、相対変位誤差を算出する。ステップS4において、報酬計算部56は、相対変位誤差に基づいて報酬「r」を算出する。ステップS5において、関数更新部57は、ステップS4において算出された報酬「r」に基づいて行動価値関数Q(s,a)を更新する。関数更新部57は、上記の式(1)に従って行動価値関数Q(s,a)を更新する。
ステップS6において、関数更新部57は、行動価値関数Q(s,a)が収束したか否かを判定する。関数更新部57は、ステップS5における行動価値関数Q(s,a)の更新が行われなくなることによって行動価値関数Q(s,a)が収束したと判定する。
行動価値関数Q(s,a)が収束していないと判定された場合(ステップS6,No)、機械学習装置52は、動作手順をステップS1へ戻す。行動価値関数Q(s,a)が収束したと判定された場合(ステップS6,Yes)、学習部55による学習が終了する。これにより、機械学習装置52は、図9に示す手順による動作を終了する。なお、機械学習装置52は、ステップS6による判定を行わず、ステップS5からステップS1へ動作手順を戻すことによって学習を継続させることとしても良い。
意思決定部53は、学習部55が学習した結果、すなわち更新された行動価値関数Q(s,a)に基づいて、報酬が最も多く得られる補正ゲインを選択する。補正量算出部14は、意思決定部53から補正ゲインを取得して、取得された補正ゲインに基づいて補正量を算出する。これにより、NC装置50は、第2の軸の加減速の衝撃によって発生する不要な相対変位を補正することができる。
実施の形態4では、学習部55が強化学習を利用して機械学習を実行する場合について説明した。学習部55は、他の公知の方法、例えばニューラルネットワーク、遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
実施の形態4によると、NC装置50は、補正ゲインを学習する機械学習装置52を有することによって、ジャークの測定結果と相対変位の測定結果とに基づく機械学習によって決定された補正ゲインを用いて補正量を算出することができる。NC装置50は、かかる補正量を基に第1の位置指令を補正することによって、第1の軸の位置の高精度な補正が可能となる。これにより、NC装置50は、工作機械1による加工品質を向上させることができるという効果を奏する。
次に、実施の形態1から4にかかるNC装置10,30,40,50のハードウェア構成について説明する。NC装置10,30,40,50が有する各機能部は、パーソナルコンピュータまたは汎用コンピュータといったコンピュータシステムを用いることによって実現される。図10は、実施の形態1から4にかかる数値制御装置の機能がコンピュータシステムを用いて実現される場合におけるハードウェア構成の例を示す図である。
NC装置10,30,40,50は、各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)61と、内蔵メモリであるメモリ62と、各種情報を記憶する記憶装置63と、各種情報を表示する表示装置64と、各種情報が入力される入力装置65とを有する。NC装置10,30,40,50が実行する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されて記憶装置63に格納される。
CPU61は、記憶装置63に記憶されているソフトウェアまたはファームウェアをメモリ62に読み出して実行することにより、NC装置10,30,40,50の機能を実現する。記憶装置63に記憶されているプログラムがCPU61により実行されることによって、NC装置10,30,40,50の動作が実行される。記憶装置63に記憶されているプログラムは、NC装置10,30,40,50の機能によって実現される処理をコンピュータに実行させる。
メモリ62は、不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであって、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。記憶装置63は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)である。表示装置64は、モニタあるいはディスプレイである。入力装置65は、キーボード、マウスあるいはタッチパネルといった入力デバイスである。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 工作機械、2 ベッド、3 ワーク、4 テーブル、5 工具、6 ヘッド、7 コラム、8 第1の軸駆動部、9 第2の軸駆動部、10,30,40,50 NC装置、11 第1の位置指令生成部、12 第2の位置指令生成部、13 ジャーク算出部、14 補正量算出部、15 加算器、16X X軸、16Y Y軸、16Z Z軸、17 センサ部、20,51 補正ゲイン算出部、21 補正ゲイン演算部、22 ピーク抽出部、31 速度算出部、32 トリガ算出部、33 参照波形出力部、41 補正ゲイン変更判断部、52 機械学習装置、53 意思決定部、54 状態観測部、55 学習部、56 報酬計算部、57 関数更新部、61 CPU、62 メモリ、63 記憶装置、64 表示装置、65 入力装置。

Claims (9)

  1. 第1の軸と第2の軸とを含む複数の軸の駆動によってワークと工具とを相対的に移動させる工作機械について、前記複数の軸の各々を制御する数値制御装置であって、
    前記第1の軸を制御するための第1の位置指令を生成する第1の位置指令生成部と、
    前記第2の軸を制御するための第2の位置指令を生成する第2の位置指令生成部と、
    前記第2の軸の駆動に伴う軸間干渉によって発生する前記第1の軸の振動を相殺するために、前記第2の軸の駆動における加速度の変化率であるジャークに基づいて前記第1の位置指令の補正量を算出する補正量算出部と、
    を備えることを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記第2の位置指令または前記第2の軸の位置フィードバック情報に基づいて前記ジャークを算出するジャーク算出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. 前記補正量算出部は、前記ジャークへ補正ゲインを乗算することによって前記補正量を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の数値制御装置。
  4. 前記補正ゲインを算出する補正ゲイン算出部を備え、
    前記補正ゲイン算出部は、前記軸間干渉によって生じる前記ワークと前記工具との相対変位を示す相対変位信号の波形を基に、前記相対変位信号の波形の頂点である相対変位信号ピーク値を抽出し、かつ、前記ジャークを示すジャーク信号の波形を基に、前記ジャーク信号の波形の頂点であるジャーク信号ピーク値を抽出して、前記ジャーク信号ピーク値と前記相対変位信号ピーク値との比である前記補正ゲインを算出することを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  5. あらかじめ設定された閾値を前記相対変位が超えた場合に前記補正ゲインを変更させる補正ゲイン変更部を備えることを特徴とする請求項4に記載の数値制御装置。
  6. 前記補正ゲインを算出する補正ゲイン算出部を備え、
    前記補正ゲイン算出部は、
    前記補正ゲインを学習する機械学習装置と、
    前記機械学習装置が学習した結果に基づいて前記補正ゲインを決定する意思決定部と、を有し、
    前記機械学習装置は、
    前記軸間干渉によって生じる前記ワークと前記工具との相対変位、ならびに前記ジャークを、状態変数として観測する状態観測部と、
    前記状態変数に基づいて作成される訓練データセットに従って前記補正ゲインを学習する学習部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  7. 前記ジャークを示すジャーク信号を模擬した参照波形信号を生成する参照波形信号生成部を備え、
    前記補正量算出部は、前記第2の軸の駆動による加速開始時と減速開始時とのうちの少なくとも一方において出力される前記参照波形信号に基づいて前記補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  8. 第1の位置指令によって制御される第1の軸と第2の位置指令によって制御される第2の軸を含む複数の軸の駆動によってワークと工具とを相対的に移動させる工作機械について、前記第2の軸の駆動に伴う軸間干渉によって発生する前記第1の軸の振動を相殺するための前記第1の位置指令の補正条件を学習する機械学習装置であって、
    前記第2の軸の駆動における加速度の変化率であるジャークと、前記ワークおよび前記工具の相対変位とを状態変数として観測する状態観測部と、
    前記状態変数に基づいて作成される訓練データセットに従って前記補正条件を学習する学習部と、
    を備えることを特徴とする機械学習装置。
  9. 前記補正条件は、前記ジャークに乗じられる補正ゲインであって、
    前記第1の位置指令の補正量は、前記学習部が学習した前記補正ゲインを前記ジャークに乗じることによって算出されることを特徴とする請求項8に記載の機械学習装置。
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