JP6647101B2 - 固形化粧料 - Google Patents
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Description
近年、粉末固形化粧料と油性固形化粧料の両者の利点を有する化粧料の開発(例えば、特許文献1)や、機能性だけではなく、独特の使用感を有する化粧料の開発(例えば、特許文献2)が検討されてきている。
そこで、本発明は、機能性と独特な使用感を併せ持った固形化粧料を提供することを課題とする。より詳しくは、使用時に高い弾力性を有し、ツヤ感に優れ、化粧膜のよれ、特に瞼等の目元に使用した場合に経時での化粧膜のよれがなく、ツヤ感の変化のなさに優れ、さらには、耐衝撃性に優れた固形化粧料を提供することを目的とする。
[1]次の成分;
(a)常温で液状の油剤
(b)粉体
(c)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(d)重量平均分子量(Mw)が25000〜100000、融点が60〜100℃であるポリプロピレン重合体
を含有する固形化粧料であり、前記(a)及び(b)の質量比率が(a)/(b)=0.60〜1.60である固形化粧料、
[2]
前記成分(c)の含有量が、3〜9質量%である前記[1]記載の固形化粧料、
[3]
前記成分(a)の常温で液状の油剤が、不揮発性シリコーン油を含有する前記[1]又は[2]に記載の固形化粧料、
[4]
さらに、成分(e)として、皮膜形成樹脂を含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の固形化粧料、
[5]
テクスチャーアナライザーによるTPA(texture profile analysis)測定における弾力性(L2/L1)が0.50〜0.99である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の固形化粧料を提供するものである。
本発明において、テクスチャーアナライザーによるTPA測定における弾力性(L2/L1)とは、固形化粧料を厚さ4mmの金型に充填したものを試料とし、英弘精機株式会社製の「テクスチャーアナライザー」を測定機器として使用し、TPA測定条件として、2mmΦシリンダープローブ、プローブ速度を0.5mm/secとし、試料に対して完全破壊しないように(非破壊領域で)、歪みを25%与えるように調整し、前記プローブにより試料に対して2回力を加え、1回目と2回目の時間差を3sec保持し、1回目の歪みによる高さ変化をL1、2回目の歪みによる高さ変化をL2とし、L2/L1によって求められる値をいい、外力による変形が力を取り去ったときに戻る割合を意味する(種谷真一,林弘通,川端晶子共著「食品物性用語辞典」(養賢堂)参照)。
本発明の固形化粧料は、特に限定されないが、テクスチャーアナライザーによるTPA測定における弾力性(L2/L1)が0.50〜0.99であることが好ましく、より好ましくは0.60〜0.99であり、特に好ましくは0.70〜0.99である。
内容積5Lのプラネタリーミキサーに、トリメチルシリル末端封鎖ジメチルメチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量2340、Si−H 45モル%)1790g、及びジメチルビニルシリル末端封鎖ジメチルポリシロキサン(平均分子量930、ビニル基7.7モル%)710gを投入し、撹拌混合する。同混合溶液に、塩化白金酸の2%イソプロパノール溶液の0.5g添加を行い、70〜80%に昇温し、2時間撹拌を続ける。その後、系内を5〜10mmHgに減圧し、ストリッピングを30分間続行すると、白色の柔軟性を備えた部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を得ることができる。
内容積5Lのプラネタリーミキサーに、トリメチルシリル末端封鎖ジメチルメチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量2340、Si−H 45モル%)1790g、及びジメチルビニルシリル末端封鎖ジメチルポリシロキサン(平均分子量930、ビニル基7.7モル%)710gを投入し、撹拌混合する。同混合溶液に、塩化白金酸の2%イソプロパノール溶液の0.5g添加を行い、70〜80%に昇温し、2時間撹拌を続ける。その後、系内を5〜10mmHgに減圧し、ストリッピングを30分間続行した。この結果、得られた部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、白色の柔軟性を備えた粉体であった。
表1に示す組成のアイシャドウを以下に示す製造方法により調製し、「弾力性」、「化粧膜のよれのなさ」、「ツヤ感」、「ツヤ感の変化のなさ」、「耐衝撃性」について以下に示す評価方法及び判断基準により評価し、結果を併せて表1に示した。
※2:シリコンKF−54(信越化学工業社製)
※3:シリコンKF−995(信越化学工業社製)
※4:L−MODU S400(出光興産社製)
※5:PERFORMALENE 655(ニューフェーズテクノロジー社製)
※6:メタシャイン1080RC−Y(日本板硝子社製)
※7:AEROSIL300(日本アエロジル社製)
A:成分1〜3を三本ローラーにて分散、膨潤させる。
B:Aに、成分4〜6を添加混合する。
C:成分7〜9を110℃にて均一溶解する。
D:Bに、Cと成分10〜18を添加し、プラネタリーミキサーにて減圧しながら混練する。
E:Dをスクリューフィーダー付充填機を用いて容器に充填し、プレス後、アイシャドウを得た。
各評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目):イ.弾力性
前記実施例及び比較例のアイシャドウの弾力性については、英弘精機社製テクスチャーアナライザーによるTPA(texture profile analysis)測定を行なった。測定条件は、2mmΦシリンダープローブ、プローブ速度を0.5mm/secとし、サンプルに対して完全破壊しないように(非破壊領域で)、歪みを25%与えるように調整した。TPA測定は、一定のプローブにより、サンプルに対して2回力を加えて、1回目と2回目の時間差を3sec保持し、1回目の歪みによる高さ変化をL1、2回目の歪みによる高さ変化をL2とし、L2/L1を弾力性(springness)の指標とする。例えば、バネの場合、完全弾性体であることからL1=L2となるため、弾力性L2/L1=1となる。
(判定基準)
(L2/L1) :(判定)
0.85を超える :◎
0.50を超えて、0.85以下:○
0.40を超えて、0.50以下:△
0.40以下 :×
化粧専門パネル20名に前記実施例及び比較例のアイシャドウを使用してもらい、「化粧膜のよれのなさ」について、各自が以下の基準に従って7段階評価し、更に、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。尚、化粧膜のよれのなさは、塗布後8時間で評価した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
6点 :非常に良い
5点 :良い
4点 :やや良い
3点 :普通
2点 :やや悪い
1点 :悪い
0点 :非常に悪い
(判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点を超える :◎
3.5点を超えて5点以下 :○
2点を超えて3.5点以下 :△
2点以下 :×
前記実施例及び比較例のアイシャドウの「ツヤ感」を、アイシャドウ塗布前後の瞼中央部分の明度値変化により評価した。具体的には、化粧専門パネルのアイシャドウ塗布前の瞼中央部分の明度値(LA)と、アイシャドウ塗布直後の瞼中央部分の明度値(LB)を同一条件(光源、撮影距離を固定)で500万画素のデジタルカメラにて撮影し、市販の画像処理アプリケーション(例えば、Adobe PhotoShop(R):アドビシステムズ社製)を用いて、得られた画像から明度値を求め、アイシャドウ塗布前後における明度値の変化(LB−LA)を算出した。本測定を同じ化粧専門パネルにて、日にちを変えて3回測定し、アイシャドウ塗布前後における明度値の変化(LB−LA)の平均値を算出し、下記判定基準により評価した。
(判定基準)
(LB−LAの平均値):判定
3.0以上 :◎
2.0を超えて3.0以下:〇
1.0を超えて2.0以下:△
1.0以下 :×
前記実施例及び比較例のアイシャドウの「ツヤ感の変化のなさ」を、アイシャドウが塗布されている瞼中央部分の経時による明度値変化により評価した。具体的には、化粧専門パネルのアイシャドウ塗布直後の瞼中央部分の明度値(LB)と、アイシャドウ塗布8時間後の瞼中央部分の明度値(LC)を同一条件(光源、撮影距離を固定)で500万画素のデジタルカメラにて撮影し、市販の画像処理アプリケーション(例えば、Adobe PhotoShop(R):アドビシステムズ社製)を用いて、得られた画像から明度値を求め、アイシャドウが塗布されている瞼中央部分の経時による明度値の変化(LB−LC)を算出した。本測定を同じ化粧専門パネルにて、日にちを変えて3回測定し、アイシャドウ塗布前後における明度値の変化(LB−LC)の平均値を算出し、下記判定基準により評価した。なお、「ツヤ感の変化なさ」に優れるほど、経時での明度値変化は小さくなる。
(判定基準)
(LB−LCの平均値) :判定
0.5以下 :◎
0.5を超えて1.0以下 :〇
1.0を超えて2.0以下 :△
2.0を超える :×
耐衝撃性については、縦3cm×横3cm×高さ1.5cmのガラス容器に充填された前記実施例及び比較例のアイシャドウを各5個用意し、50cmの高さからアクリル板状に正立方向で自由落下させ、落下後の表面状態を観察し、各アイシャドウ毎に下記評価基準により評点を付し、各5個の評点の平均値を算出し、以下の4段階の判定基準により判定した。
(評価基準)
(外観の状態変化) :(評点)
全く変化無し :4
僅かにヨレが発生するが許容 :3
ヨレが発生する :2
著しくヨレが発生し、外観を損なう:1
(判定基準)
(判定):(n=5の評点の平均点)
◎:3.5点以上
○:3.0点以上〜3.5点未満
△:2.0点以上〜3.0点未満
×:2.0未満
(成分) (%)
1.酸化チタン 5.0
2.酸化亜鉛 1.0
3.球状ナイロンパウダー(平均粒子径5μm) 7.0
4.赤酸化鉄 0.5
5.黄酸化鉄 1.0
6.黒酸化鉄 0.1
7.雲母チタン *8 10.0
8.セリサイト 残量
9.メチルフェニルポリシロキサン 15.0
10.製造例1の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物 5.0
11.ジメチルポリシロキサン 20.0
12.オクタン酸グリセリル 5.0
13.ポリプロピレン重合体 *4 0.5
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
15.香料 0.1
*8:FLAMENCO ULTRA SPARKLE 4500
A:成分9〜11を三本ローラーにて分散、膨潤させる。
B:成分12、13を110℃にて、均一に溶解する。
C:AにBを混合後、成分1〜8、14、15を添加し、プラネタリーミキサーにて減圧しながら混練する。
D:Cをスクリューフィーダー付充填機を用いて容器に充填し、プレスした後、チークを得た。
(成分) (%)
1.酸化チタン 10.0
2.酸化亜鉛 5.0
3.タルク 10.0
4.マイカ 残量
5.ベンガラ 0.2
6.黄酸化鉄 1.5
7.黒酸化鉄 0.2
8.ポリメタクリル酸メチル(平均粒子径6μm) *9 10.0
9.シリカ 1.0
10.製造例1の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物 8.0
11.メチルフェニルポリシロキサン 20.0
12.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
13.流動パラフィン 5.0
14.ポリプロピレン重合体 *4 1.0
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
16.香料 0.1
*9:MR−5C(綜研化学株式会社製)
A:成分10〜12を三本ローラーにて分散、膨潤させる。
B:成分13、14を110℃にて、均一に溶解する。
C:AにBを混合後、成分1〜9、15、16を添加し、プラネタリーミキサーにて減圧しながら混練する。
D:Cをスクリューフィーダー付充填機を用いて容器に充填し、ファンデーションを得た。
(成分) (%)
1.シリコーン処理酸化チタン 20.0
2.シリコーン処理酸化亜鉛 5.0
3.シリコーン処理マイカ 残量
4.シリコーン処理赤酸化鉄 0.5
5.シリコーン処理黄酸化鉄 3.0
6.シリコーン黒酸化鉄 0.3
7.ジメチルポリシロキサン 20.0
8.メチルフェニルポリシロキサン 20.0
9.製造例1の部分架橋型オルガノポリシロキサン 4.0
10.ポリメチルシルセスキオキサン *10 5.0
11.流動パラフィン 5.0
12.ポリプロピレン重合体 *4 3.0
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
14.香料 0.1
*10:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ社製)
A:成分7〜9を三本ローラーにて分散、膨潤させる。
B:成分11、12を110℃にて、均一に溶解する。
C:AにBを混合後、成分1〜6、10、13、14を添加し、プラネタリーミキサーにて減圧しながら混練する。
D:Cを枡型充填機を用いて容器に充填し、コンシーラーを得た。
(成分) (%)
1.シリコーン黒酸化鉄 0.3
2.シリコーン処理タルク 20.0
3.シリコーン処理マイカ 残量
4.ジメチルポリシロキサン 20.0
5.メチルフェニルポリシロキサン 20.0
6.製造例1の部分架橋型オルガノポリシロキサン 7.0
7.トリメチルシロキシケイ酸混合物 *11 5.0
8.2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
9.ポリプロピレン重合体 *4 2.0
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
11.香料 0.1
*11:KF−9021(信越化学工業社製)
A:成分4〜6を三本ローラーにて分散、膨潤させる。
B:成分8、9を110℃にて、均一に溶解する。
C:AにBを混合後、成分1〜3、7、10、11を添加し、プラネタリーミキサーにて減圧しながら混練する。
D:Cを枡型充填機を用いて容器に充填し、アイライナーを得た。
Claims (7)
- 次の成分(a)〜(d);
(a)常温で液状の油剤
(b)粉体
(c)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(d)重量平均分子量(Mw)が25000〜100000、融点が60〜100℃であるポリプロピレン重合体
を含有する固形化粧料であり、前記成分(a)及び(b)の質量比率が(a)/(b)=0.60〜1.60であり、
前記成分(a)がフェニル基含有シリコーンを含有する、固形化粧料。 - 前記成分(c)の含有量が、3〜9質量%である請求項1記載の固形化粧料。
- 前記成分(a)の常温で液状の油剤が、揮発性油を含有する請求項1又は2に記載の固形化粧料。
- さらに、成分(e)として、皮膜形成樹脂を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の固形化粧料。
- テクスチャーアナライザーによるTPA(texture profile analysis)測定における弾力性(L2/L1)が0.50〜0.99である請求項1〜4のいずれかに記載の固形化粧料。
- 前記成分(b)の含有量が35〜55質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の固形化粧料。
- 前記フェニル基含有シリコーンの含有量が5〜25質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の固形化粧料。
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