本発明にかかる一実施形態の操作装置及び車両用変速操作装置について説明する。図1に、操作装置10を斜め前方から示す。操作装置10は、図1に示すように、作動部12と、駆動機構部14と、駆動機構部14を制御する制御部16とを備えている。
以下、操作装置10について、説明上、操作装置10を水平に配置した状態で、作動部12から駆動機構部14への方向を、X1の方向、その逆をX2の方向とする。又、このX1の方向を前方、X2の方向を後方とする。このX軸方向の傾倒が、請求項にいう第1傾倒動作である。又、X軸と直交する左方向をY1の方向、右方向をY2の方向とする。このY軸方向の傾倒が、請求項にいう第2傾倒動作である。更に、重力の方向に沿って上方をZ1の方向とし、下方をZ2の方向とする。図1にXYZ軸を示す。
作動部12は、図1に示すように、外装体20と、操作部材22と、枠状の支持体24とを備えている。支持体24は、吸着部材26(図5参照)と、第1可動板30(図5参照)と、第2可動板32(図5参照)と、第3可動板34(図5参照)と、第4可動板36(図5参照)とを内側に備えている。支持体24の下部には、規制部材40が設けられ、側方には操作部材22の作動を検出する回動センサ42、44が設けられている。
外装体20は、図2に示すように底板50と、前後にそれぞれ設けられた側板52と、左右にそれぞれ設けられた側板54とを備え、上面が開放された箱体形状を有している。開放された外装体20の上面から操作部材22が突出している。
図6に、操作部材22を右斜め後方から見た状態を示す。操作部材22は、操作軸60と、基体部62と、係合部64と、第1支持軸58とを備えている。第1支持軸58は、磁性体から形成された円柱状の部材で、基体部62に一体に取り付けられている。第1支持軸58は、Y軸に沿って設けられ、第1支持軸58の両端は、支持体24に回動自在に組み付けられている。
基体部62は、ほぼ直方体の形状で、後方に第1押圧部66と、第2押圧部68と、第3押圧部70と、第4押圧部72を備えている。図6に示すようにX2からの後方視で基体部62の左方に第1押圧部66が設けられ、右方に第2押圧部68が設けられている。第1押圧部66と第2押圧部68は、上下方向に所定の幅の段差をもって形成されている。又、第2押圧部68は、前後方向に若干傾斜している。
第4押圧部72は、図6に示すように後方視で基体部62の左方に設けられ、第3押圧部70は、右方に設けられている。第3押圧部70と第4押圧部72とは、第1押圧部66と第2押圧部68と同様、上下方向に所定の幅の段差をもって形成されている。基本的に、第3押圧部70と第4押圧部72とは、第1支持軸58の軸芯を中心に、第1押圧部66と第2押圧部68と等しい段差を有している。
基体部62の上部には操作軸60が設けられている。操作軸60は、棒状部材で、後述する車両の変速操作装置102に操作装置10を用いた場合、操作軸60の上部にはシフトノブ114(図15参照)が組み付けられる。
基体部62の下部には、ほぼ直方体の形状の係合部64が設けられている。係合部64は、第1支持軸58を挟んで操作軸60と対向した側に設けられている。係合部64のY2の方向の面には、第1被当接部としての凹部74が設けられている。凹部74は、後述する規制部材40の突出部41(図7参照)が係合する凹みである。突出部41は、請求項でいう第1当接部である。凹部74は、突出部41が凹部74の内部に係合しても、かかる状態で係合部64が前後方向に所定量移動できる隙間74a(図13参照)を有している。尚、第1当接部と第1被当接部の凸凹は、逆であってもよい。
支持体24は、図3に示すように、前方部材80と、後方部材82と、右側板84と、左側板86により枠体状に形成されている。支持体24には、図3、図5に示すように、吸着部材26が設けられている。
吸着部材26は、永久磁石であり、支持体24のZ軸方向の厚みの中央に、支持体24のX軸方向の中央位置より、X2の方向に寄った位置に設けられている。吸着部材26は、永久磁石の磁力で、第1可動板30等を吸着する。
又、支持体24の右側板84及び左側板86には、第1支持軸58の端部が回動自在に取り付けられている。第1支持軸58は、右側板84及び左側板86のX軸方向の中央位置より、X1の方向に寄った位置に設けられている。第1支持軸58の右端は、右側板84から突出し、突出した軸端に回動センサ42が設けられている。回動センサ42は、制御部16に信号線で接続されている。回動センサ42は、操作部材22が操作されると、支持体24に対する第1支持軸58の回動動作を検出し、検出した値を制御部16に送る。
又、支持体24の前方部材80と後方部材82には、円柱状の第2支持軸92がそれぞれ取り付けられている。第2支持軸92は、前方部材80と後方部材82のY軸方向の中央に、それぞれX軸方向に沿って、同軸に取り付けられている。
前方部材80に取り付けられた第2支持軸92は、外装体20に設けられた横板65に回動自在に取り付けられている。後方部材82に取り付けられた第2支持軸92は、外装体20に回動自在に取り付けられている。前方に設けられた第2支持軸92には、検出部としての回動センサ44が取り付けられている。回動センサ44は、制御部16に信号線で接続され、外装体20に対する第2支持軸92の回動動作を検出し、検出した値を制御部16に送り出す。
第1支持軸58には、図5に示すように、第1可動板30と、第2可動板32と、第3可動板34と、第4可動板36とがそれぞれ回動自在に取り付けられている。
第1可動板30は、板状で、磁性体から形成されている。第1可動板30は、操作軸60(操作部材22)がX1の方向に傾倒されると、図8に示すように、基体部62の第1押圧部66が当接し、上方に傾倒される。第1可動板30の下には、第2可動板32が設けられている。
第2可動板32は、吸着部材26の上方に位置している。第2可動板32は、基本的に非磁性体の素材で形成されているが、吸着部材26に対面した箇所に磁性体33を備え、磁性体33を介して吸着部材26の磁力により吸着される。
又、第2可動板32は、第1押圧部66を避ける切欠き部を備えている。第2可動板32は、操作部材22がX1の方向に傾倒されても、第1押圧部66が切欠き部を通過し、第1押圧部66では傾倒されない。そして第2可動板32は、操作部材22が更にX1の方向に傾倒されると、第2押圧部68が当接して、図9に示すように上方に傾倒される。
第4可動板36は、吸着部材26の下方に設けられている。第4可動板36は、基本的に非磁性体で形成されているが、吸着部材26に対面した箇所に磁性体37を備え、磁性体37を介して吸着部材26の磁力により吸着される。
又、第4可動板36は、第3押圧部70を避ける切欠き部を備えている。第4可動板36は、操作部材22がX2の方向に傾倒されても、第3押圧部70が切欠き部を通過し、第3押圧部70では傾倒されない。第4可動板36は、操作部材22が更にX2の方向に傾倒されると、第4押圧部72が当接して、第4押圧部72により傾倒される。
第3可動板34は、第4可動板36の下方に重ねて設けられている。第3可動板34は、板状で、磁性体から形成されている。第3可動板34と第4可動板36は、吸着部材26の磁力により常に吸着され、自重で下方に垂れ下がることはない。第3可動板34は、操作部材22がX2の方向に傾倒されると、基体部62の第3押圧部70が当接し、下方に傾倒される。
図5に、第1可動板30から第4可動板36の各可動板が、吸着部材26の磁力により吸着され、ほぼ平行に配置された状態を示す。図5に示すように各可動板のいずれも傾倒されていない状態を、可動板が閉じた状態にあるという。又、各可動板が閉じられ、支持体24が外装体20の底板50と平行であるとき、作動部12が基準状態にあるとする。
可動板が閉じた状態では、第1押圧部66は、第1可動板30とほぼ隙間ない位置に設けられている。一方、第2押圧部68は、第2可動板32との間に所定量の間隙を有して設けられている。同様に、第3押圧部70は、第3可動板34に対してほぼ隙間なく設けられている一方、第4押圧部72は、第4可動板36との間に所定量の間隙を有して設けられている。
更に、各可動板は、操作部材22の操作により傾倒されても、操作部材22への傾倒動作が終了すると、吸着部材26に吸着され、それぞれ閉じた状態に配置される。第2可動板32と第4可動板36には、カム部材43を上下から挟む第1係合爪35及び第2係合爪39がそれぞれ設けられている。
カム部材43は、図10に示すように、円弧状に形成された端縁を上下に有する板状部材で、外装体20に固定されている。カム部材43は、第2支持軸92を中心にして上下の端縁にそれぞれ凹凸部45が形成されている。
第1係合爪35及び第2係合爪39は、第2可動板32及び第4可動板36がそれぞれ吸着部材26に吸着されることにより、カム部材43の凹凸部45に係合している。第1係合爪35、第2係合爪39、凹凸部45の形状及び吸着部材26の磁力は、第1係合爪35及び第2係合爪39が凹凸部45の1つの凹部に係合された状態から適度な力で、隣接する他の凹部に移動するように設定されている。
これにより、作動部12は、操作部材22が、X軸方向(第1傾倒の方向である)に沿ってX1とX2のそれぞれの方向に2段階操作可能で、更に、Y軸方向(第2傾倒の方向である)に沿ってY1とY2のそれぞれの方向に1段階操作可能に構成されている。したがって、操作装置10は、規制がない状態では、基本的に前後左右に計15のポジションの設定が可能となっている。尚、作動部12の機構は、上記例に限るものではない。
次に、操作部材22の規制機能について説明する。支持体24の前方部材80と右側板84との交差部分には、下方に突出した、第2被当接部としての台座部90が設けられている。台座部90は、規制部材40に対応して設けられている。
規制部材40は、図7に示すように、第1部材94と第2部材96とを備えている。規制部材40は、基本的に、平面視で第1部材94と第2部材96をL字状に組み付けた形状を有している。第1部材94と第2部材96の交差部分近傍には、復帰手段としての傾斜部49が設けられている。傾斜部49は、支持体24の前方部材80に対向する位置に設けられている。傾斜部49には、Y軸方向に対して右下がりに傾斜する傾斜面が形成されている。
第1部材94は、規制部材40を操作装置10に組み付けたとき、支持体24の前方部材80より若干前方に位置する(図4参照)。
第2部材96は、支持体24が外装体20の底板50と平行であるとき、支持体24の台座部90の下面に当接する高さを有している。
第2部材96の下部には、案内溝99が形成されている。案内溝99は、外装体20の底板50に設けられたレール98に噛みあい、これにより、規制部材40は、レール98上をY軸方向に沿って往復動自在に設けられている。第2部材96は、請求項でいう第2当接部に相当する。又、第2被当接部と第2当接部が相対的に移動する方向は、規制部材40のレール98に従った往復動方向(Y軸方向)である。
又、第2部材96には、Y1の方向に突出する突出部41が設けられている。突出部41は、規制部材40を操作装置10に組み付けたとき、係合部64に形成された凹部74に対向して設けられている。突出部41は、規制部材40が図11に示すように後述する第1位置に配置されると、凹部74に係合し、規制部材40が図10に示すように後述する第2位置に配置されると係合から解除される。又、図13に示すように突出部41と凹部74は、突出部41が凹部74と係合した状態で、操作部材22が所定の方向に所定量移動可能に隙間74aを有して形成されている。
第1部材94のX1の方向の面には、図1に示すように、ラック48が形成してある。ラック48は、規制部材40を操作装置10に組み付けたとき、駆動機構部14の二段歯車55に噛み合わされる。
駆動機構部14は、駆動モータ51と二段歯車55とを備えている。駆動モータ51は、ウォームギア53を備え、二段歯車55に噛みあっている。二段歯車55は、上下二段に歯車を有し、上段の歯車が駆動モータ51のウォームギア53に噛み合い、下段の歯車が規制部材40のラック48に噛み合っている。
二段歯車55が駆動モータ51により回動されると、下段の歯車に噛みあう規制部材40がレール98に従ってY軸方向に沿って往復動される。規制部材40が往復動する範囲の一方の端を第1位置(左端)とし、他方の端を第2位置(右端)とする。規制部材40が第2位置にある状態を図10に示し、規制部材40が第1位置にある状態を図11に示す。
制御部16は、検出部としての回動センサ42、44と駆動機構部14に接続されている。制御部16には、駆動機構部14を制御するプログラムが予め記憶されている。
制御部16は、規制部材40の移動が必要と判断すると、駆動機構部14に作動信号を出し、駆動モータ51を作動させる。駆動モータ51が作動すると、ウォームギア53により二段歯車55が回転する。二段歯車55の回転は、規制部材40をレール98に沿って第1位置と第2位置の間を往復動させる。
図4、図10に示すように、規制部材40を第2位置に配置させると、規制部材40の第2部材96が、支持体24の右側板84の下方に配置される。
図11に示すように、規制部材40を第1位置に配置させると、支持体24が外装体20の底板50と平行な状態、つまり作動部12が基準状態のときに図13に示すように、規制部材40の突出部41が係合部64の凹部74に係合される。突出部41は、凹部74に係合すると、操作部材22のX軸方向の傾倒動作を規制するが、X2の方向に第3可動板34を作動させる範囲のみ傾倒可能とする。
更に、規制部材40を第1位置に配置させると、規制部材40の第2部材96は、支持体24の台座部90から外れ、支持体24は、第2支持軸92を中心として図11の左周り方向に傾倒自在となる。したがって、操作部材22は、Y2方向に傾倒させることが可能となる。
そして操作部材22がY2方向に傾倒されると、図12に示すように、係合部64がY1の方向に傾倒される。すると、図14に示すように、係合部64の凹部74と規制部材40の突出部41との係合が解除される。したがって、操作部材22は、X軸の方向に沿っていずれの方向にも傾倒可能となり、操作部材22の傾倒により第1可動板30から第4可動板36が、上述したように傾倒される。
更に、操作部材22が図12に示すように、Y2方向に傾倒された状態において、駆動機構部14が作動し、規制部材40が第1位置から第2位置に移動されると、規制部材40の傾斜部49が支持体24の台座部90に当接して支持体24を図12の右周り方向に回動させる。これにより支持体24、つまり操作部材22は、図10に示す基準状態に復帰される。そして、規制部材40が第2位置に配置されることにより、支持体24は、Y2方向への傾倒が規制される。
次に、本発明にかかる一実施形態の操作装置10の作用について説明する。操作装置10は、規制部材40を第2位置に配置させることにより、操作部材22をX軸方向に傾倒可能で、かつY軸方向の一方への傾倒を規制する第1の状態に設定される。
操作装置10は、駆動機構部14を作動させることにより規制部材40を第1位置に配置させて、操作部材22のX軸方向への傾倒を限定的な傾倒に規制する第2の状態に設定される。更に操作装置10は、第2の状態から、操作部材22をY軸方向へ傾倒させて第3の状態に設定される。
操作装置10は、第3の状態では、操作部材22をX軸の方向に傾倒させることが可能となる。そして第3の状態において、駆動機構部14を作動させて規制部材40を第1位置から第2位置に配置させることにより、操作装置10が第1の状態に設定されるとともに、Y軸方向に傾倒された操作部材22が基準状態に復帰される。
次に、本発明にかかる一実施形態の操作装置10の効果を説明する。上記作用を有する操作装置10を、簡易な構成で、全体を小型、軽量化させ、しかも低コストで実現できる。具体的には、操作部材22の前後左右双方の傾倒動作の規制が、単独の規制部材40と駆動機構部14で実現できるので、構成を簡略化し、小型、軽量化が実現でき、低コスト化が図れる。規制部材40の往復動により、操作部材22の傾倒動作の規制に加え、操作部材22の復帰が実現できるので、構成を簡略化し、小型、軽量化が実現でき、低コスト化が図れる。規制部材40の作動は、往復動のみであるので、スペース効率が良好で、装置全体を小型化できる。
規制部材40の作動は、往復動のみであるので、規制部材40の作動を検出するには、例えば2基のフォトセンサ等(図示せず)を設けることで実施でき、構成を簡略化し、低コスト化が図れる。傾斜部49により、支持体24を復帰させるので、確実に、かつ安定した作動が実現できる。
傾倒動作を規制する第1被当接部と第1当接部とを、それぞれ操作部材22の凹部74と規制部材40の突出部41としたので、操作部材22の規制を確実に行え、かつ操作装置10を小型化できる。操作部材22の前後左右双方の傾動動作を、回動センサ42と回動センサ44の2基のセンサで検出できるので、構成を簡略化し、低コスト化が図れる。駆動機構部14は、電動の駆動モータ51とラックアンドピニオン機構で実現できるので、部品点数が少なくでき、確実な駆動が得られ、故障の発生頻度を抑制できる。
次に、操作装置10を車両用変速装置100に用いた場合について説明する。車両用変速装置100は、図15に示すように、車両用変速操作装置としての変速操作装置102と、変速装置104と、変速制御装置108と、メインスイッチ110と、表示装置112とを備えている。図15は、車両に設けられた車両用変速装置100を示すブロック図である。
変速操作装置102は、シフトノブ114を備え、車室内の運転席と助手席との間のセンタコンソールに設けられている。運転席は、車両の右側に設けられ、シフトノブ114は、運転者の左手で操作されるものとする。尚、運転席が車両の左側に設けられている場合は、以下の説明が全て左右反転される。
変速操作装置102には、操作装置10が設けられている。操作装置10は、操作装置10のX軸の方向を車両の前後方向に一致させ、Y軸の方向を車両の左右方向に一致させ、Z軸の方向を車両の上下方向に一致させて据え付けられている。シフトノブ114は、操作装置10の操作部材22に取り付けられ、センタコンソールから突出している。
変速操作装置102及び変速装置104は、信号線を介して変速制御装置108と電気的に接続されている。操作装置10の制御部16は、変速制御装置108に含まれている。変速装置104は、変速機構を備え、エンジンの出力軸と車両の駆動輪に連結されている。変速装置104は、変速機構に取り付けられた各種アクチュエータが変速制御装置108からの指示に従い作動し、電子制御で変速を行う。
変速操作装置102は、図16に示すような、シフトパターンが形成された切欠き板を備えている。シフトパターンは、主選択パターン120と副選択パターン122とを平行に有する、概ねH型に形成されている。シフトノブ114は、切欠き板に形成されたシフトパターンに沿って操作可能に構成されている。
主選択パターン120は、車両の前後方向に設定され、前方から図16に示すように、120a、120b、120c、120d、120eの各ポジションを有している。
副選択パターン122は、主選択パターン120の右側に設定されている。副選択パターン122は、中央位置の122b、中央位置122bの前に122a、後方に122cが設定されている。すなわち、シフトノブ114、つまり操作装置10は、前後方向(第1傾倒の方向である)に沿って前方に2段階、後方に2段階操作可能で、更に、右方向(第2傾倒の方向である)に操作した後、前後に各1段階ずつ操作可能となっている。
表示装置112は、例えば車両のフロントパネル内に設けられ、変速装置104に設定されているギアの状態を点灯表示する。表示装置112は、図17に示すように、シフトノブ114が主選択パターン120に設定されているときは、A、B、C、D、Eという各ギアの状態を表示し、シフトノブ114が副選択パターン122に設定されているときは、F、G、Hという各ギアの状態を表示する。なお各ギアの状態としては、一般的な車両の状態として、例えばドライブ、ニュートラル、パーキング、及びリバース等の状態を適宜割り付けることができる。
主選択パターン120でのシフトノブ114の前方移動は、例えば変速装置104のギアの状態をDからCに切り替えさせる方向の動作であり、後方移動は、ギアの状態をDからEに切り替えさせる方向の動作である。副選択パターン122でのシフトノブ114の前方移動は、例えば変速装置104のギアの状態をFからGに切り替えさせる方向の動作であり、後方移動は、ギアの状態をFからHに切り替えさせる方向の動作である。
主選択パターン120側から副選択パターン122側へのシフトノブ114の切り替え操作は、例えば変速装置104のギアの状態がA、B、Cに設定されているときには変速操作装置102における規制部材40により操作できないようになっており、ギアの状態がD若しくはEに設定されているときにのみ、規制部材40による切り替え規制が解除されて操作可能となっている。
シフトノブ114には、ロック解除ボタン116が設けられている。主選択パターン120でのシフトノブ114の前方移動操作は、例えば変速装置104のギアの状態がDに設定されているときには規制部材40により操作できないようになっているが、この状態でロック解除ボタン116が操作されると、変速操作装置102における規制部材40による切り替え規制が解除されて、シフトノブ114の前方移動操作が可能となり、ギアの状態をDからCへの切り替えることができる。又、シフトノブ114の前方には、Aボタン118が設けられている。Aボタン118は、操作されると、変速装置104のギアの状態をAに切り替えるボタンである。
運転者がシフトノブ114を操作すると、それに伴い操作部材22が傾倒され、それによって第1支持軸58や第2支持軸92が回動する。第1支持軸58や第2支持軸92が回動すると、第1支持軸58や第2支持軸92に設けられた回動センサ42、44が、第1支持軸58や第2支持軸92の回動動作を検出する。検出された値は、変速制御装置108に送られる。変速制御装置108は、送られた値に基づき、運転者の操作を判定し、変速装置104を制御する。又、各種変速操作に伴い、変速制御装置108は、駆動機構部14に作動信号を送り、作動部12を制御する。
次に、操作装置10を備えた車両用変速装置100の作用効果について説明する。変速操作装置102は、初期状態で、シフトノブ114が主選択パターン120側にある120cに位置し、変速装置104のギアの状態はAに設定されている。運転者がメインスイッチ110を操作してエンジンを始動させる。変速制御装置108は、表示装置112にAを点灯表示する。
ギア状態がAに設定されていると、図10に示すように、操作装置10の規制部材40は、第2位置に配置されている。すると、操作部材22、つまりシフトノブ114は、X軸方向である前後方向には、移動可能であるが、Y軸方向への傾倒は規制された状態となっている。つまり主選択パターン120側から副選択パターン122側へのシフトノブ114の切り替え操作は、規制部材40により操作できないようになっている。(第1の状態)
次に、運転者がギア状態をDに設定するため、シフトノブ114を後方、つまりX2の方向に2段階操作(120c→120d→120e)する。すると、ギアの状態はCに設定される。一旦シフトノブ114を操作する力を緩め、シフトノブ114が自己の復帰力により基準位置(120c)に戻った状態から更に運転者がシフトノブ114を1段階X2の方向に操作(120c→120d)すると、ギアの状態はDに設定される。
このとき操作装置10の内部では、運転者がシフトノブ114を後方に2段階傾倒させると、第3可動板34と第4可動板36が傾倒し、適度なクリック感を2回生じさせ、かつ第1支持軸58の回動量を回動センサ42が検出し、その値を変速制御装置108に送り出す。更に運転者が、基準位置に戻ったシフトノブ114を1段階後方に操作させると、操作装置10では、第3可動板34が傾倒してクリック感を1回生じさせ、回動センサ42が、検出した値を変速制御装置108に送り出す。
変速制御装置108は、回動センサ42から送られた値に基づき、変速装置104のギアの状態がDに設定されたことを判定し、それに基づいた作動信号を変速装置104に送る。変速装置104は、アクチュエータを作動させ、ギアの状態をDに設定する。
更に変速制御装置108は、ギアの状態がDに設定されると、駆動機構部14に作動信号を送り、駆動モータ51を駆動させる。すると、規制部材40は、第2位置から、図11に示すように第1位置に移動される。
規制部材40が第1位置に移動されると、規制部材40の突出部41が係合部64の凹部74に係合する。規制部材40の突出部41が係合部64の凹部74に対して一方向側(図13のX1方向)に偏って隙間が前後で不均一な状態で係合すると、シフトノブ114は、規制部材40の突出部41と係合部64の凹部74の内壁とが隙間無く当接している前方側への移動操作(120c→120b)が規制され、突出部41と凹部74の内壁とがシフトノブ114の移動が可能な隙間74aをもって対向している後方側への移動操作(120c→120d)のみ可能となっている。
すなわち、ギアの状態がDに設定されると、規制部材40が第一位置に移動してシフトノブ114の前方向への動きを規制するので、シフトノブ114の移動操作は主選択パターン120側において、120cのポジションからは120dのポジションへの操作のみが許可されることとなる。
これにより、運転者は、シフトノブ114を後方に1段階操作してギア状態をDからEに変更させることはできるが、意図せずにギア状態をDからCに変更してしまうことはない。(第2の状態)
そして、Dに設定されているギア状態を、Cに設定しようとするときは、運転者は、シフトノブ114に設けられているロック解除ボタン116を押圧する。
ロック解除ボタン116が運転者により押圧された旨の信号が変速制御装置108に送られると、変速制御装置108は、駆動モータ51を駆動させ、規制部材40を図10に示すように、第2位置に移動させる。これにより、操作装置10は基準状態に設定され、規制部材40の突出部41と係合部64の凹部74の係合が外れ、シフトノブ114は主選択パターン120の前後方向に移動が可能となる。そして、運転者がシフトノブ114を操作することにより、ギア状態はC、若しくはそれ以外のBあるいはAに設定される。尚、ギア状態をAに設定しようとするときは、運転者は、センタコンソールに設けられているAボタン118を押圧してもよい。
更に、規制部材40が第1位置に配置された状態であると、図11に示すように、規制部材40の第2部材96が支持体24の右側板84(台座部90)の下部から移動し、支持体24は、図12に示すように、Y2の方向に傾倒可能となる。つまり、ギア状態がDやEに設定されているときにのみ規制部材40を第1位置に配置するようにすることで、ギア状態がA、B及びCに設定されているときに意図しない方向へのシフトノブ114の移動操作が防止され、運転者は、ギア状態がDやEに設定されているときにのみシフトノブ114を主選択パターン120から副選択パターン122に移動させることが可能となる。
運転者がシフトノブ114を右方向、つまりY2の方向に傾倒させると、第2支持軸92の回動を回動センサ44が検出して、検出した値を変速制御装置108に送る。変速制御装置108は、回動センサ44から送られた値に基づいて、シフトノブ114が副選択パターン122側の122bに設定されたと判定し、それに基づいた作動信号を変速装置104に送る。又、変速制御装置108は、設定されているギアの状態Fを表示装置112に点灯表示する。
シフトノブ114が運転者によりY2の方向に傾倒されると、図14に示すように、規制部材40の突出部41と係合部64の凹部74との係合が解除され、シフトノブ114は副選択パターン122側の前後方向に傾倒可能となる。したがって運転者は、シフトノブ114を、変速操作装置102に設けられた副選択パターン122に従って、前に1段(122b→122a)、後に1段(122b→122c)ずつ操作が可能となる。(第3の状態)
具体的には、シフトノブ114がY2の方向に傾倒した状態で、運転者がシフトノブ114を前方に1段移動させると、図8に示すように、操作装置10では、第1可動板30が傾倒し、クリック感を1回生じさせる。そして、回動センサ42が検出した値を変速制御装置108に送り出すと、変速制御装置108は、回動センサ42からの値により、ギアの状態がFからGに1段アップされたと判定し、それに基づいた作動信号を変速装置104と表示装置112に送る。変速装置104は、アクチュエータが作動し、ギアの状態をGに設定する。表示装置112は、設定されたギアの状態Gを点灯表示する。同様に、シフトノブ114が後方に1段操作されたときは、ギアの状態がFから1段ダウンされHとなる。
シフトノブ114が副選択パターン122側に設定されているとき、Aボタン118が押圧されたり、あるいはメインスイッチ110がオフにされて、エンジンが停止したとする。すると、変速制御装置108は、変速装置104にギアの状態をAに設定する指示を送るとともに、駆動機構部14に作動信号を送る。
駆動機構部14は、変速制御装置108から作動信号を受けると、駆動モータ51を駆動させ、規制部材40を第2位置に移動させる。すると、右側板84の下部に規制部材40の第2部材96が入りこみ、支持体24は、図12の傾倒した状態から図10の基準状態に復帰される。第2部材96には傾斜部49が設けられていることから、支持体24は、円滑に傾倒され、そして、支持体24の下部に配置された第2部材96により基準状態が保持される。
このように、操作装置10を用いた車両用変速装置100によれば、駆動機構部14の作動により、シフトノブ114を主選択パターン120側に沿って前後に移動可能で、左右方向への傾倒を規制する第1の状態と、シフトノブ114を前後方向に制限を加えるとともに左右方向への傾倒を可能とするDの第2の状態と、シフトノブ114を左右方向に傾倒させて副選択パターン122側に沿って前後方向に移動可能とした第3の状態との設定ができ、更に、右方向に傾倒された副選択パターン122側にあるシフトノブ114を駆動機構部14の作動により主選択パターン120側の基準状態に復帰させることができる。
尚、上記実施形態では、シフトノブ114、つまり操作部材22を右方に傾倒させることに対して規制することとしたが、規制部材40等を左右逆に配置することにより、シフトノブ114の傾倒方向を逆に設定することができる。また、シフトノブ114のシフトパターンは、上記例に限るものではなく、他のパターンであってもよい。更に、操作装置10の可動範囲は、上記例に限るものではなく、前後に2段階の移動や、左右に1段ずつの傾倒に限らず、他の設定であってもよい。
又、操作装置10のクリック感は、永久磁石と可動板とを用いた作動部12によるものでなくともよく、また、可動板を傾倒させる機構でなくともよい。例えばカム面にアクチュエータを弾性部材で当接させてクリック感を発生させてもよい。
又、上記例では、操作装置10を車両用変速装置100に用いた場合について説明したが、本発明にかかる操作装置は、車両用に限るものではなく、他の入力装置等に用いてもよい。