JP6645228B2 - 評価方法及び装置、並びにプログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態による評価装置の概略構成を示す模式図である。
この評価装置は、第1の算出手段である内部エネルギー算出部1と、第2の算出手段である全弾性エネルギー算出部2と、エネルギー効率算出部3とを備えて構成されており、各値をシミュレーションにより算出する。但し、全弾性エネルギー算出は理論計算によっても算出できる場合がある。
全弾性エネルギー算出部2は、部材の全弾性エネルギーUeを算出する。全弾性エネルギーUeとは、部材内に塑性変形が一様に発生したと仮定した場合の内部エネルギーを言う。部材が金属製の場合、全弾性エネルギーUeは、以下のように表される。
Ue=YP(YP/E)・V/2 ・・・(1)
YP:降伏強度、E:ヤング率、V:部材の体積
但し、(1)式を用いずにシミュレーションにより算出しても良い。
Uer=Up/Ue ・・・(2)
この評価装置では、Uer(=Up/Ue)を指標として、部材の性能効率(弾性歪みエネルギー効率)を評価する。また、(2)式に100を掛けてパーセントで評価しても良い。即ち、Ueに対するUPの比率で評価すれば良い。
以下、上記の評価装置を用いた自動車部品等の部材のいくつかの評価方法について説明する。
本実施形態において、被評価対象とする部材を図2に例示する。この部材は、いわゆる断面ハット形状の一対の部材をフランジ部で接合した両ハット形状の部材(両ハット部材)である。両ハット部材において、その両側の接合部を所定間隔のスポット溶接、又は連続的なレーザ溶接でそれぞれ接合する。スポット溶接の間隔Isが10,15,20,30,45(mm)である各種の両ハット部材を用意する。図2では、各接合部の一方ずつをスポット溶接とレーザ溶接で図示しているが、実際には両側共にスポット溶接、又はレーザ溶接である。
0.05t<s<2.0t、更に好ましくは0.05t<s<0.5t
t:板厚
塑性変形が発生する変位付近において、hp/1000<Δh<hp/5
hp:塑性変形が発生するまでに負荷点に付与する変位
また、塑性変形が発生する要素の相当歪み増分については、0.0004以下とする。
両ハット部材の塑性変形は、両ハット部材のウェブ面(この場合をcase Iと言う。)、接合部の端部の稜線部分(ダイR)(この場合をcase IIと言う。)、スポット溶接部の近傍(この場合をcase IIIと言う。)に最初に発生する。case IIについて図6(a)に、case IIIについて図6(b)にそれぞれ拡大して示す。
図7は、本実施形態による評価方法1をステップ順に示すフロー図である。
内部エネルギー算出部1は、両ハット部材に回転変形を付与した際に、両ハット部材のいずれかの部位に塑性変形が最初に発生する弾性限界における部材の内部エネルギーUpを算出する(ステップS1)。内部エネルギーUpは、両ハット部材の塑性変形の最初に発生する箇所に対応し、両ハット部材のスポット溶接部の間隔との関係で算出される。
内部エネルギーUpが大きいほど、また材料強度が大きいほど、両ハット部材は高性能である。図7に示すように、塑性変形の発生直前の内部エネルギーUpは、スポット溶接部の間隔Isが小さく、且つ材料強度が大きくなるにつれて、case IIIからcase Iに移り変わる傾向が見られる。
続いて、エネルギー効率算出部3は、上記の(2)式に基づいて、弾性限界のエネルギー効率Uerを算出する(ステップS3)。エネルギー効率Uerは、強度の異なる4種の材料について、両ハット部材の塑性変形の発生箇所に対応し、両ハット部材のスポット溶接部の間隔との関係で算出される。
弾性限界のエネルギー効率Uerが大きいほど、両ハット部材は高効率である。図8に示すように、エネルギー効率Uerは、スポット溶接部の間隔Isが大きい場合には材料強度間の差が小さい。スポット溶接部の応力集中によって相当塑性歪みεeqが発生するため、材料強度の影響が小さいと考えられる。また、最初にスポット溶接部から相当塑性歪みεeqが生じる場合には、フランジの面外変形が小さいため、相当塑性歪みεeqが発生するまでの応力分布の不均一度合いが材料強度によらず同等になるためである。
これに対して、スポット溶接部の間隔Isが小さい場合には、エネルギー効率Uerは低強度材ほど大きくなる(材料強度は低い方が高効率である。)。低強度材ほど材料強度特性を使いきっており、また高強度材はウェブ面の撓み(座屈)面外変形することによって相当塑性歪みεeqが発生するため、相当塑性歪みεeqが発生するまでの応力分布が不均一になり、エネルギー損失が大きいと考えられる。
評価方法2では先ず、評価方法1と同様に、ステップS1で内部エネルギーUpを算出し、ステップS2で全弾性エネルギーUeを算出する。
弾性限界のエネルギー効率Uerが大きいほど、両ハット部材は高効率である。図9に示すように、スポット溶接部の径が大きい場合には、スポット溶接部の応力集中が緩和されるため、塑性変形が最初に発生するまでの応力分布が均一になってUerが向上し、更にcase IIIからcase Iに移り変わる傾向が見られる。スポット溶接部の径を大きくすることにより、塑性変形の発生位置をスポット溶接部の近傍と両ハット部材内との間で変化させることができ、その結果としてエネルギー効率Uerを向上させることが可能となる。
評価方法3では先ず、評価方法1と同様に、ステップS1で内部エネルギーUpを算出し、ステップS2で全弾性エネルギーUeを算出する。
弾性限界のエネルギー効率Uerが大きいほど、両ハット部材は高効率である。図10に示すように、ウェブ面両側の曲げ稜線部の曲率半径Rpを5mmよりも大きい場合には、ウェブ面から塑性変形が最初に発生する条件が減少し、case Iからcase IIIに移り変わる傾向が見られる。ウェブ面両側の曲げ稜線部の曲率半径Rpを大きくすることにより、塑性変形の発生位置をスポット溶接部の近傍と両ハット部材内との間で変化させることができ、その結果としてエネルギー効率Uerを向上させることが可能となる。この要因は、Rpを拡大することによって、ウェブ面の幅が小さくなるためウェブ面が撓み難くなる(面外に変形し難くなる)ことである。
上述した本実施形態による評価方法(図6のステップS1〜S3等)は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
2 全弾性エネルギー算出部
3 エネルギー効率算出部
Claims (25)
- コンピュータを用いて、部材の性能効率を評価する評価方法であって、
前記部材に変形を付与した際に、前記部材のいずれかの部位に最初に塑性変形が発生する弾性限界における前記部材の内部エネルギーを算出する工程と、
前記部材の全弾性エネルギーを算出する工程と、
前記内部エネルギーを前記全弾性エネルギーに対する比率で評価した値をエネルギー効率として算出する工程と
を含み、
前記エネルギー効率を指標として、前記部材の性能効率を評価することを特徴とする評価方法。 - 前記部材のスポット溶接部の間隔と前記エネルギー効率との関係を算出することを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
- 前記部材の塑性変形の最初に発生する箇所に対応した前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項2に記載の評価方法。
- 強度の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
- スポット溶接部径の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
- 部材曲げ部の曲率半径の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記部材のスポット溶接部の間隔と前記内部エネルギーとの関係を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記部材の塑性変形の最初に発生する箇所に対応した前記内部エネルギーを算出することを特徴とする請求項7に記載の評価方法。
- 部材に変形を付与した際に、前記部材のいずれかの部位に塑性変形が最初に発生する弾性限界における前記部材の内部エネルギーを算出する第1の算出手段と、
前記部材の全弾性エネルギーを算出する第2の算出手段と、
前記内部エネルギーを前記全弾性エネルギーに対する比率で評価した値をエネルギー効率として算出する第3の算出手段と
を含み、
前記エネルギー効率を指標として、前記部材の性能効率を評価することを特徴とする評価装置。 - 前記第3の算出手段は、前記部材のスポット溶接部の間隔と前記エネルギー効率との関係を算出することを特徴とする請求項9に記載の評価装置。
- 前記第3の算出手段は、前記部材の塑性変形の発生箇所に対応した前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項10に記載の評価装置。
- 前記第3の算出手段は、強度の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の評価装置。
- 前記第3の算出手段は、スポット溶接部径の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の評価装置。
- 前記第3の算出手段は、部材曲げ部の曲率半径の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の評価装置。
- 前記第1の算出手段は、前記部材のスポット溶接部の間隔と前記内部エネルギーとの関係を算出することを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の評価装置。
- 前記第1の算出手段は、前記部材の塑性変形の最初に発生する箇所に対応した前記内部エネルギーを算出することを特徴とする請求項15に記載の評価装置。
- 部材の性能効率を評価するためのプログラムであって、
前記部材に変形を付与した際に、前記部材のいずれかの部位に最初に塑性変形が発生する弾性限界における前記部材の内部エネルギーを算出する第1のステップと、
前記部材の全弾性エネルギーを算出する第2のステップと、
前記内部エネルギーを前記全弾性エネルギーに対する比率で評価した値をエネルギー効率として算出する第3のステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。 - 前記第3のステップでは、前記部材のスポット溶接部の間隔と前記エネルギー効率との関係を算出することを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
- 前記第3のステップでは、前記部材の塑性変形の発生箇所に対応した前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
- 前記第3のステップでは、強度の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載のプログラム。
- 前記第3のステップでは、スポット溶接部径の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載のプログラム。
- 前記第3のステップでは、部材曲げ部の曲率半径の異なる複数の前記部材について、前記エネルギー効率を算出することを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載のプログラム。
- 前記第1のステップでは、前記部材のスポット溶接部の間隔と前記内部エネルギーとの関係を算出することを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項に記載のプログラム。
- 前記第1のステップでは、前記部材の塑性変形の最初に発生する箇所に対応した前記内部エネルギーを算出することを特徴とする請求項23に記載のプログラム。
- 請求項17〜24のいずれか1項に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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