JP6643892B2 - 固形粉末化粧料 - Google Patents
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(1)(a)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
(b)トリアルコキシアルキルシラン処理粉体
(c)ラウロイルリシン
を含有し、
前記成分(a)及び(b)の含有質量比率が(a)/(b)=0.0025〜10である
ことを特徴とする、固形粉末化粧料を提供するものである。
本発明の固形粉末化粧料に使用される成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルは、適度なタック性を有した皮膜を形成する成分である。デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であり、デキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
(1)液状油に混合したときに液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm2/sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
本発明における「タック性」とは、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表すことができ、例えば、該デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、たとえば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gであることが好ましい。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
[製造例1:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%) 尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。
置換度は2.2、イソステアリン酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
表1に示す組成のアイブロウを下記製造方法に従って調製した。得られたアイブロウについて、下記評価方法1及び2により評価を行った。その結果を併せて表1に示す。
A.成分14〜18を70℃に加熱し、均一混合する。
B.成分1〜13をスーパーミキサーで均一混合する。
C.Bを攪拌しながら、Aを添加し、均一分散する。
D.Cを粉砕し、金皿にプレス成型してアイブロウを得た。
化粧品評価専門パネル20名に前記実施例及び比較例のアイブロウを使用してもらい、筆などの小道具を使用した際の「粉チリのなさ」、塗布時の「伸び広がり」、「眉尻の明確なラインの描きやすさ」、化粧の仕上がりとしての「発色のよさ」の各項目について、各自が下記の基準に従って5段階評価し、サンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。なお、「化粧持ち」については、アイブロウ塗布直後の状態と、日常生活6時間後の状態とを比較し、評価した。
<評価基準>
(評価結果):(評点)
非常に良好:5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満: ○
1.5以上〜3.5未満: △
1.5未満 : ×
表1の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜7のアイブロウは、筆などの小道具を使用した際の「粉チリのなさ」、塗布時の「伸び広がり」、「眉尻の明確なラインの描きやすさ」、化粧の仕上がりとしての「発色の良さ」、及び「化粧持ち」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
一方、成分(b)のトリアルコキシアルキルシラン処理顔料の代わりにジメチコン処理顔料を用いた比較例1や、未処理の顔料を用いた比較例2では、筆など小道具を使用した際に粉チリが多く、眉尻のラインが明確に描けず、化粧持ちが悪く、成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルをトリメチルシロキシケイ酸や、ジペンタエリトリット脂肪酸エステルに置き換えた比較例3、4では、眉尻のラインが細く描けず、成分(c)のラウロイルリシンを含有しなかった比較例5では、筆など小道具を使用した際に粉チリが多く、伸び広がりが悪く満足のいくものは得られなかった。
下記の処方および製法によりアイカラーを製造した。
(成分) (%)
1.マイカ 残量
2.トリアルコキシアルキルシラン処理タルク*9 15
3.N−ラウロイル−L−リジン*1 5
4.窒化ホウ素 5
5.合成金雲母 10
6.ベンガラ 1
7.黄酸化鉄 2
8.黒酸化鉄 0.5
9.雲母チタン*10 20
10.ベンガラ被覆雲母チタン*11 10
11.製造例1のデキストリン脂肪酸エステル 2
12.ジメチコン*12 5
13.セスキオレイン酸ソルビタン*13 1
14.リンゴ酸ジイソステアリル 7
15.防腐剤 適量
*9:タルク JA−46R(浅田製粉社製)にトリメトキシオクチルシラン2%処理を施したもの
*10:TIMIRON STARLUSTER MP−115(メルク社製)
*11:クロイゾネコッパー(BASF社製)
*12:KF−96−10cs(信越化学工業社製)
*13:コスモール 82(日清オイリオグループ社製)
A.成分11〜15を70℃に加熱し、均一混合する。
B.成分1〜10をスーパーミキサーで均一混合する。
C.Bを攪拌しながら、Aを添加し、均一分散する。
D.Cを粉砕し、金皿にプレス成型してアイカラ−を得た。
得られたアイカラーは、高発色でありながら、使用時の伸び広がりが良く、小道具への取れ易さも良好で粉チリもなく、さらには、化粧持ちにも優れたものであった。
下記の処方および製法によりアイライナーを製造した。
(成分) (%)
1.ラウリン酸亜鉛処理セリサイト 15
2.タルク 残量
3.N−ラウロイル−L−リジン*1 15
4.アミノ変性シリコーン処理マイカ*14 5
5.トリアルコキシアルキルシラン処理黒酸化鉄*4 20
6.グンジョウ 5
7.黒酸化鉄被覆雲母チタン 10
8.製造例1のデキストリン脂肪酸エステル 1
9.スクワラン 5
10.水添ポリイソブテン 2
11.モノステアリン酸グリセリル*15 1.5
12.防腐剤 適量
*14:マイカ Y−2300WA3(ヤマグチマイカ社製)
*15:NIKKOL MGS−ASEV(日本サーファクタント工業社製)
A.成分8〜12を70℃に加熱し、均一混合する。
B.成分1〜7をスーパーミキサーで均一混合する。
C.Bを攪拌しながら、Aを添加し、均一分散する。
D.Cを粉砕し、金皿にプレス成型してアイライナーを得た。
得られたアイライナーは、高発色でありながら、使用時の伸び広がりが良く、小道具への取れ易さも良好で粉チリもなく、さらには、化粧持ちにも優れたものであった。
Claims (7)
- 次の成分(a)〜(c);
(a)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
(b)トリアルコキシアルキルシラン処理粉体
(c)ラウロイルリシン
を含有し、
前記成分(a)及び(b)の含有質量比率が(a)/(b)=0.0025〜10である
ことを特徴とする、固形粉末化粧料。 - 前記成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1記載の固形粉末化粧料。
- 前記成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルが、ASTMD445測定方法による40℃における動粘度が8mm2/sである流動パラフィンをゲル化しない、請求項1または2に記載の固形粉末化粧料。
- 前記成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルが、これを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザーを用いて100gの荷重をかけ、10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)が30〜1,000gの範囲内にあるデキストリン脂肪酸エステルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固形粉末化粧料。
- 前記成分(a)及び(b)の含有質量比率が(a)/(b)=0.031〜10である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固形粉末化粧料。
- 前記成分(a)の含有量が、0.1〜5質量%、前記成分(b)の含有量が、0.1〜40質量%、前記成分(c)の含有量が、0.1〜20質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固形粉末化粧料。
- さらに成分(d)として、25℃で液状の親油性界面活性剤を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の固形粉末化粧料。
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