JP6643054B2 - ニッケル水素二次電池用の正極活物質の評価方法 - Google Patents

ニッケル水素二次電池用の正極活物質の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル水素二次電池用の正極活物質、この正極活物質を含むニッケル水素二次電池及び正極活物質の評価方法に関する。
ニッケル水素二次電池は、ニッケルカドミウム二次電池に比べて高容量で、且つ、環境安全性にも優れているという点から、各種の電子機器、電気機器、ハイブリッド電気自動車等、さまざまな用途に使用されるようになっている。
このニッケル水素二次電池に用いられる正極としては、例えば、非焼結式正極が知られている。この非焼結式正極は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、正極活物質としての水酸化ニッケル粒子、結着剤及び水を混練して正極合剤スラリーを作製し、この正極合剤スラリーを、多孔質構造を有した発泡ニッケルのシートからなる正極基材に充填する。ついで、スラリーの乾燥プロセス及び正極合剤を緻密化させるロール圧延プロセスを経ることにより正極の中間製品を形成する。その後、当該中間製品を所定寸法に裁断することにより非焼結式正極が製造される。この非焼結式正極は、焼結式正極に比べて正極活物質を高密度で充填できるメリットがある。
ところで、水酸化ニッケルのみでは導電性が低いため、非焼結式正極においては、正極活物質の利用率を高めることが難しい。そこで、通常は、水酸化ニッケル粒子に対して導電性を高める処理を施し、導電性を高められた水酸化ニッケル粒子が用いられる。この導電性を高められた水酸化ニッケル粒子としては、例えば、特許文献1に開示されているような水酸化ニッケル粒子が知られている。具体的には、水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトを析出させ、その後、加熱処理することにより、水酸化ニッケル粒子の表面の水酸化コバルトをオキシ水酸化コバルトに変化させる。このオキシ水酸化コバルトは導電性に優れているので、各水酸化ニッケル粒子の表面のオキシ水酸化コバルトが接触することにより導電性ネットワークが形成される。これにより、正極における導電性は高められ、正極活物質の利用率は高められる。
特開平10−154508号公報
ところで、電池を回路に接続したまま長期間放置すると、当該電池は、定められた終止電圧を下回るまで放電されてしまう、いわゆる深放電状態となる。
上記したような導電性が高められた正極を用いた電池が深放電状態となると、正極の電位がオキシ水酸化コバルトの還元電位以下となるため、正極活物質表面の導電性ネットワークを形成しているオキシ水酸化コバルトが還元されてしまう。そして、オキシ水酸化コバルトが還元されると、水酸化ニッケル粒子の表面のオキシ水酸化コバルトの層が部分的に消失し導電性ネットワークが破壊されてしまう。その結果、電池は、充電受入性が低下し、再度充電しても初期と同等の容量が得られなくなる。つまり、電池の容量回復率が低下する。
上記したような深放電状態になることが何度も繰り返されると、導電性ネットワークの破壊が進行し、電池の容量回復率はより低下していく。このように容量回復率が低下してしまった電池は、再度充電しても所要の容量が得られなくなり、電気機器等を正常に駆動することが困難となる。
このため、深放電に対して耐性があり、容量回復率の低下を抑制することができる電池の開発が望まれている。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、深放電状態になったとしても容量回復率の低下を抑制することができる、ニッケル水素二次電池用の正極活物質及びこの正極活物質を含むニッケル水素二次電池を提供することにある。
また、本発明では、深放電状態になったとしても容量回復率の低下が抑制されるニッケル水素二次電池を得ることが可能な正極活物質か否かを判断することができる、ニッケル水素二次電池用の正極活物質の評価方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、Coの化合物及びNiの化合物を含む複合粒子からなり、転換電子収量法による測定で得られる、7600〜7800eVの間における前記CoのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量をAとし、8300〜8500eVの間における前記NiのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量をBとしたとき、A/Bで表される比としてのRが、R≧0.3の関係を満たしている、ニッケル水素二次電池用の正極活物質が提供される。
前記複合粒子は、前記Niの化合物としての水酸化ニッケルからなるベース粒子と、前記ベース粒子の表面を覆う前記Coの化合物からなる導電層とを有し、前記導電層は、アルカリ金属を含有している構成とすることが好ましい。
前記アルカリ金属は、Naである構成とすることが好ましい。
更に、前記アルカリ金属は、Na及びLiである構成とすることが好ましい。
また、本発明によれば、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、セパレータを介して重ね合わされた正極及び負極からなり、前記正極は、上記した何れかの構成のニッケル水素二次電池用の正極活物質を含む、ニッケル水素二次電が提供される。
更に、本発明によれば、Coの化合物及びNiの化合物を含む複合粒子からなる正極活物質粉末を準備し、前記正極活物質粉末にX線を照射し、転換電子収量法による測定で得られる、7600〜7800eVの間における前記CoのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量A、及び、8300〜8500eVの間における前記NiのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量Bを検知し、A/Bで表される前記ジャンプ量Aと前記ジャンプ量Bとの比をRとしたとき、R≧0.3の関係を満たしているか否かを判断する、ニッケル水素二次電池用の正極活物質の評価方法が提供される。
本発明のニッケル水素二次電池用の正極活物質は、Coの化合物及びNiの化合物を含む複合粒子からなり、転換電子収量法による測定で得られる、7600〜7800eVの間における前記CoのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量をAとし、8300〜8500eVの間における前記NiのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量をBとしたとき、A/Bで表される比としてのRが、R≧0.3の関係を満たしている。これにより、深放電状態となっても正極における導電性ネットワークが破壊されることが抑制される。このため、本発明の正極活物質を含むニッケル水素二次電池は、深放電に対して耐性があり、容量回復率の低下を抑制することができる。
このように、本発明によれば、深放電状態になったとしても容量回復率の低下を抑制することができる、ニッケル水素二次電池用の正極活物質及びこの正極活物質を含むニッケル水素二次電池を提供することができる。
また、本発明の正極活物質の評価方法によれば、CoのXAFSスペクトルのジャンプ量AとNiのXAFSスペクトルのジャンプ量Bとの比Rが、R≧0.3の関係を満たしていれば、深放電に対して耐性があり、容量回復率の低下を抑制することができるニッケル水素二次電池を得ることが可能な正極活物質であるということを容易に判断することができる。
本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を部分的に破断して示した斜視図である。 実施例1に係る正極活物質の試料についてのXAFSスペクトルのグラフである。
以下、本発明に係るニッケル水素二次電池(以下、単に電池と称する。)2を、図面を参照して説明する。
本発明が適用される電池2としては特に限定されないが、例えば、図1に示すAAサイズの円筒型の電池2に本発明を適用した場合を例に説明する。
図1に示すように、電池2は、上端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を備えている。外装缶10は導電性を有し、その底壁35は負極端子として機能する。外装缶10の開口には、封口体11が固定されている。この封口体11は、蓋板14及び正極端子20を含み、外装缶10を封口するとともに正極端子20を提供する。蓋板14は、導電性を有する円板形状の部材である。外装缶10の開口内には、蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁37をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁37に固定されている。すなわち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
ここで、蓋板14は中央に中央貫通孔16を有し、そして、蓋板14の外面上には中央貫通孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状をなす金属製の正極端子20が電気的に接続されている。この正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。なお、正極端子20には、図示しないガス抜き孔が開口されている。
通常時、中央貫通孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、中央貫通孔16を開き、その結果、外装缶10内から中央貫通孔16及び正極端子20のガス抜き孔(図示せず)を介して外部にガスが放出される。つまり、中央貫通孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
外装缶10には、電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28からなり、これらは正極24と負極26との間にセパレータ28が挟み込まれた状態で渦巻状に巻回されている。すなわち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、外装缶10の内周壁と接触している。すなわち、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
そして、外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に正極リード30が配置されている。詳しくは、正極リード30は、その一端が正極24に接続され、その他端が蓋板14に接続されている。従って、正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の上部絶縁部材32が配置され、正極リード30は上部絶縁部材32に設けられたスリット39の中を通されて延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の下部絶縁部材34が配置されている。
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されている。このアルカリ電解液は、電極群22に含浸され、正極24と負極26との間での充放電の際の化学反応(充放電反応)を進行させる。このアルカリ電解液としては、KOH、NaOH及びLiOHのうちの少なくとも一種を溶質として含むアルカリ電解液を用いることが好ましい。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものを用いることができる。
正極24は、多孔質構造を有する導電性の正極基材と、この正極基材の空孔内に保持された正極合剤とからなる。
このような正極基材としては、例えば、発泡ニッケル(ニッケルフォーム)のシートを用いることができる。
正極合剤は、図1中円S内に概略的に示されているように、正極活物質粒子36と、結着剤42とを含む。この結着剤42は、正極活物質粒子36を互いに結着させるとともに、正極活物質粒子を正極基材に結着させる働きをなす。ここで、結着剤42としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)ディスパージョンなどを用いることができる。
正極活物質粒子36は、Coの化合物及びNiの化合物を含む複合粒子からなる。好ましい態様としては、Niの化合物からなるベース粒子38と、このベース粒子38の表面を覆うCoの化合物からなる導電層40とを有している態様が挙げられる。
ベース粒子38としては、水酸化ニッケル粒子又は高次の水酸化ニッケル粒子を採用することが好ましい。
このベース粒子38の平均粒径は、8μm〜20μmの範囲内に設定することが好ましい。すなわち、非焼結式正極においては、正極活物質の表面積を増大させることにより、正極の電極反応面積を増大させることができ、電池の高出力化を図ることができるので、正極活物質のベースとなるベース粒子38としても、その平均粒径を20μm以下の小径粒子とすることが好ましい。ただし、ベース粒子の表面に析出させる導電層40の厚さを一定のある値に設定した場合に、ベース粒子38を小径にするほど導電層40の部分の全体に占める割合が多くなり相対的にNiの化合物の量が低下し単位容量の低下を招く弊害がある。また、ベース粒子38の製造歩留まりを考慮して粒径は8μm以上とすることが好ましい。より好ましい範囲は、10μm〜16μmである。
なお、上記した水酸化ニッケルには、コバルト及び亜鉛のうちの少なくとも一方を固溶させることが好ましい。ここで、コバルトは正極活物質粒子間の導電性の向上に寄与し、亜鉛は、充放電サイクルの進行に伴う正極の膨化を抑制し、電池のサイクル寿命特性の向上に寄与する。
ここで、水酸化ニッケル粒子に固溶される上記元素の含有量は、水酸化ニッケルに対して、コバルトが0.5〜5質量%、亜鉛が3〜5質量%とすることが好ましい。
ベース粒子38は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、硫酸ニッケル水溶液を調製する。この硫酸ニッケル水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させることにより水酸化ニッケルからなるベース粒子38を析出させる。ここで、水酸化ニッケル粒子に亜鉛及びコバルトを固溶させる場合は、所定組成となるよう硫酸ニッケル、硫酸亜鉛及び硫酸コバルトを秤量し、これらの混合水溶液を調製する。得られた混合水溶液を攪拌しながら、この混合水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させることにより水酸化ニッケルを主体とし、亜鉛及びコバルトを固溶したベース粒子38を析出させる。
ベース粒子38の表面を覆う導電層40としてのコバルト化合物は、その厚さを0.1μmとすることが好ましい。なお、厚さが0.1μmのコバルト化合物を形成するには、2質量%〜5質量%程度の量の金属Coが必要である。
導電層40としては、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)などの高次コバルト化合物の層を採用することが好ましい。そして、このコバルト化合物の層には、アルカリ金属を含有させることが好ましい。より好ましくは、アルカリ金属としてナトリウムを採用する。ここで、ナトリウムを含有しているコバルト化合物を、以下、ナトリウム含有コバルト化合物という。このナトリウム含有コバルト化合物は、詳しくは、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)の結晶中にナトリウムが取り込まれた化合物である。このように、コバルト化合物にナトリウムを含有させると、得られる導電層の厚さの均一性が高くなるので好ましい。
ここで、導電層の厚さの均一性とは、導電層の厚さの厚い部分と薄い部分との差の度合いをいい、厚い部分と薄い部分との差が小さいほど均一性は高く、厚い部分と薄い部分との差が大きいほど均一性は低い。
この導電層40は、以下の手順により形成される。
まず、ベース粒子38をアンモニア水溶液中に投入し、この水溶液中に硫酸コバルト水溶液を加える。これにより、ベース粒子38を核として、この核の表面に水酸化コバルトが析出し、水酸化コバルトからなる導電層40を備えた複合粒子が形成される。得られた複合粒子を高温環境下の空気中に対流させ、この状態で、所定の加熱温度、所定の加熱時間で加熱処理を施す。ここで、前記した加熱処理は、80℃〜100℃で、30分〜2時間保持することが好ましい。この加熱処理により、上記した複合粒子の表面の水酸化コバルトは、導電性の高いコバルト化合物(オキシ水酸化コバルト等)となる。
好ましい態様として、導電層40にナトリウムを含有させる場合は、高温環境下の空気中にて対流させられて加熱処理されている複合粒子に対し、水酸化ナトリウム水溶液を噴霧する。この処理により、上記した複合粒子の表面の水酸化コバルトは、導電性の高いコバルト化合物(オキシ水酸化コバルト等)となるとともにナトリウムを取り込む。これにより、ナトリウムを含有したコバルト化合物からなる導電層40で覆われた正極活物質粒子36が得られる。
ここで、導電層40としてのコバルト化合物には、更に、リチウムを含有させると導電層40の導電性が増すので、より好ましい。ナトリウムを含むコバルト化合物にリチウムを更に含有させるには、高温環境下の空気中にて対流させられた複合粒子に対し、水酸化ナトリウム水溶液とともに水酸化リチウム水溶液を噴霧して加熱処理を行う。これにより、ナトリウム及びリチウムを含有したコバルト化合物からなる導電層40で覆われた正極活物質粒子36が得られる。オキシ水酸化コバルト(CoOOH)の結晶中にリチウムが取り込まれると、斯かるコバルト化合物は極めて高い導電性を有することから、正極内にて活物質の利用率を高めることができる良好な導電性ネットワークを形成することができる。
導電層40は、以上のようにして形成されることにより、ベース粒子38上にほぼ均一な厚さで付着する。導電層40の厚さにおいて、厚い部分と薄い部分との差が大きい場合、深放電に際して導電層40の薄い部分を基点にして導電層40の断裂や破壊が起こり、導電性ネットワークが部分的に断裂する。その結果、得られる電池の容量回復率は低下する。このため、本発明の導電層40のように、厚さがほぼ均一であれば、深放電の際に導電層の断裂や破壊が起こり難くなり、導電性ネットワークが良好な状態で維持されるので、電池の容量回復率の低下は抑制される。
ここで、Coの化合物及びNiの化合物を含む複合粒子からなる上記した本発明に係る正極活物質粒子36は、転換電子収量法による測定で得られる、7600〜7800eVの間におけるCoのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量をAとし、転換電子収量法から得られる、8300〜8500eVの間におけるNiのXAFSスペクトルのジャンプ量をBとしたとき、A/Bで表される比としてのRが、R≧0.3の関係を満たしている。
XAFSスペクトルの比Rは、正極活物質粒子36の表面におけるCoの化合物層の厚さの均一性に起因しており、Rの値が大きくなることはCoの化合物層が均一な状態で、すなわち厚い部分と薄い部分との差が小さい状態でベース粒子38を被覆していることを意味している。
上記したRの値が0.3以上の場合、Coの化合物層の均一性は高められ、深放電状態となっても導電性ネットワークの破壊は抑制される。その結果、電池の容量回復率の低下は抑制される。
一方、上記したRの値が0.3未満では、Coの化合物層の均一性が低くなり、導電層における厚い部分と薄い部分との差が大きくなる。つまり、導電層においては、薄い部分の厚さがより小さくなる。すると、深放電の際、Coの化合物層は、その厚さの薄い部分を基点に還元、消失し、導電性ネットワークが破壊されてしまう。その結果、電池の容量回復率は低下してしまう。
ここで、XAFS分析について説明する。
一般的に、各元素は、内殻電子の結合エネルギーに相当するエネルギーのX線を強く吸収するという性質を持っており、XAFS分析は、この性質を利用して行う分析である。詳しくは、物質においてX線の吸収係数が大きく上昇するX線のエネルギーを吸収端という。各元素は異なる内殻電子の結合エネルギーを持ち、それより大きいエネルギーを持つX線が照射されると、内殻電子の放出にともないX線の吸収係数が上昇する。そのため、ある元素についてX線吸収スペクトルを測定し、吸収端を観測することで、元素を識別することができる。また、吸収端よりも高エネルギー側のX線吸収スペクトルにおいては、元素周囲の環境・構造を反映した微細構造(XAFS振動)が観測されるので、このXAFS振動を解析することにより着目する元素の周囲の局所構造を知ることができる。更に、元素の電子状態の変化により吸収端の位置がシフトすることが知られており、吸収端を比較することで着目する元素の価数を知ることができる。本発明のXAFS分析では、具体的には吸収端前後のX線吸収スペクトルの急激な変化の量を意味するXAFSスペクトルのジャンプ量を求めることにより着目する元素を含む化合物の被膜状態の分析を行う。
ついで、正極24は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記したようにして得られた正極活物質粒子36、水及び結着剤42を含む正極合剤スラリーを調製する。正極合剤スラリーは、例えば、発泡ニッケルシートに充填され、乾燥させられる。乾燥後、水酸化ニッケル粒子等が充填された発泡ニッケルシートは、ロール圧延されてから裁断され、正極24が作製される。
このようにして得られた正極24中においては、図1中の円Sに示すように、表面が導電層40で覆われたベース粒子38からなる正極活物質粒子36が互いに接触し、斯かる導電層40により導電性ネットワークが形成される。
ここで、正極24には、添加剤として、Y化合物、Nb化合物、W化合物及びCo化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種を更に添加することが好ましい。この添加剤は、深放電が繰り返された場合に、導電層40からコバルトが溶出することを抑制し、導電性ネットワークが破壊されることを抑える。このため、繰り返しの深放電に対する耐久性の向上に寄与する。なお、前記Y化合物としては、例えば、酸化イットリウム、前記Nb化合物としては、例えば、酸化ニオブ、前記W化合物としては、例えば、酸化タングステン、前記Co化合物としては、例えば、水酸化コバルト等を用いることが好ましい。
この添加剤は、正極合剤中に添加され、その含有量は、正極活物質粒子100質量部に対して、0.2〜2.0質量部となる範囲に設定することが好ましい。これは、添加剤の含有量が、0.2質量部より少ないと、導電層からのコバルトの溶出を抑える効果が得られず、2.0質量部を超えると前記した効果は飽和してしまうとともに、正極活物質の量が相対的に低下し容量低下を招くからである。
次に、負極26について説明する。
負極26は、帯状をなす導電性の負極芯体を有し、この負極芯体に負極合剤が保持されている。
負極芯体は、貫通孔が分布されたシート状の金属材からなり、例えば、パンチングメタルシートを用いることができる。負極合剤は、負極芯体の貫通孔内に充填されるばかりでなく、負極芯体の両面上にも層状にして保持されている。
負極合剤は、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子、導電剤及び結着剤を含む。この結着剤は水素吸蔵合金粒子及び導電剤を互いに結着させると同時に水素吸蔵合金粒子及び導電剤を負極芯体に結着させる働きをなす。ここで、結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等を用いることができ、導電剤としては、カーボンブラックや黒鉛を用いることができる。
水素吸蔵合金粒子における水素吸蔵合金としては、特に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池用として一般的に用いられている水素吸蔵合金を採用することができる。
負極26は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、水素吸蔵合金粒子からなる水素吸蔵合金粉末、導電剤、結着剤及び水を混練して負極合剤ペーストを調製する。得られた負極合剤ペーストは負極芯体に塗着され、乾燥させられる。乾燥後、水素吸蔵合金粒子等が付着した負極芯体はロール圧延及び裁断が施され、これにより負極26が作製される。
以上のようにして作製された正極24及び負極26は、セパレータ28を介在させた状態で、渦巻き状に巻回され、これにより電極群22が形成される。
このようにして得られた電極群22は、外装缶10内に収容される。引き続き、当該外装缶10内には所定量のアルカリ電解液が注入される。その後、電極群22及びアルカリ電解液を収容した外装缶10は、正極端子20を備えた蓋板14により封口され、本発明に係る電池2が得られる。得られた電池2は、初期活性化処理が施され、使用可能状態とされる。
[実施例]
1.電池の製造
(実施例1)
(1)正極の作製
ニッケルに対して亜鉛4質量%、コバルト1質量%となるように、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛及び硫酸コバルトを計量し、これらを、アンモニウムイオンを含む1Nの水酸化ナトリウム水溶液に加え、混合水溶液を調製した。得られた混合水溶液を攪拌しながら、この混合水溶液に10Nの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させ、ここでの反応中のpHを13〜14に安定させて、水酸化ニッケルを主体とし、亜鉛及びコバルトを固溶した水酸化ニッケル粒子からなるベース粒子38を生成させた。
得られたベース粒子38を10倍の量の純水で3回洗浄した後、脱水、乾燥した。なお、得られたベース粒子38につき、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置を用いて粒径を測定した結果、斯かるベース粒子38の体積平均粒径(MV)は11μmであった。
次に、得られたベース粒子38をアンモニア水溶液中に投入し、その反応中のpHを9〜10に維持しながら硫酸コバルト水溶液を加えた。これにより、ベース粒子38を核として、この核の表面に水酸化コバルトが析出し、厚さ約0.1μmの水酸化コバルトの層を備えた中間生成物粒子を得た。
ついで、この中間生成物粒子を80℃の環境下にて酸素を含む空気中に対流させ、12Nの水酸化ナトリウム水溶液を噴霧して、45分間の加熱処理を施した。これにより、前記中間生成物粒子の表面の水酸化コバルトが、導電性の高いオキシ水酸化コバルトとなるとともに、オキシ水酸化コバルトの層中にナトリウムが取り込まれ、ナトリウムを含有したオキシ水酸化コバルトからなる導電層40が形成される。その後、斯かるオキシ水酸化コバルトの層を備えた粒子を濾取し、水洗いしたのち、60℃で乾燥させた。このようにして、ベース粒子38の表面にナトリウムを含有したオキシ水酸化コバルトからなる導電層40を有した正極活物質粒子36を得た。
次に、上記したように作製した水酸化ニッケル粒子からなる正極活物質粉末100質量部に、酸化イットリウムの粉末0.5質量部、酸化ニオブの粉末0.5質量部、0.2質量部のHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、0.2質量部のPTFEディスバージョン液及び50質量部のイオン交換水を混合して正極合剤スラリーを調製し、この正極合剤スラリーを正極基材としてのシート状の発泡ニッケル(ニッケルフォーム)に充填した。正極合剤のスラリーが充填された発泡ニッケルを乾燥後、正極合剤が充填された発泡ニッケルをロール圧延した後、所定形状に裁断し、AAサイズ用の正極24を得た。
(2)負極の作製
まず、AB5型の水素吸蔵合金であるLaNi5の粒子からなる水素吸蔵合金粉末を準備した。なお、LaNi5の粒子につき、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置を用いて粒径を測定した結果、斯かるLaNi5の粒子の体積平均粒径(MV)は60μmであった。
ついで、水素吸蔵合金の粉末100質量部に対し、ポリアクリル酸ナトリウムの粉末0.4質量部、カーボンブラックの粉末1.0質量部及び水30質量部を添加して混練し、負極合剤のペーストを調製した。
この負極合剤のペーストを負極芯体としてのパンチングメタルシートの両面に均等、且つ、厚さが一定となるように塗布した。なお、このパンチングメタルシートは60μmの厚みを有し、その表面にはニッケルめっきが施されている。
ペーストの乾燥後、負極合剤を保持したパンチングメタルシートをロール圧延した。その後、所定寸法に裁断し、AAサイズ用の負極26を作製した。
(3)ニッケル水素二次電池の組み立て
得られた正極24及び負極26をこれらの間にセパレータ28を挟んだ状態で渦巻状に巻回し、電極群22を作製した。ここでの電極群22の作製に使用したセパレータ28はスルホン化処理が施されたポリプロピレン繊維製不織布から成り、その厚みは0.1mm(目付量53g/m2)であった。
一方、NaOH及びLiOHを含む水溶液からなるアルカリ電解液を準備した。このアルカリ電解液は、NaOH濃度が7.99Nであり、LiOH濃度が0.7Nである。
ついで、有底円筒形状の外装缶10内に上記した電極群22を収容するとともに、準備したアルカリ電解液を所定量注液した。その後、封口体11で外装缶10の開口を塞ぎ、公称容量2000mAhのAAサイズのニッケル水素二次電池2を組み立てた。
なお、ニッケル水素二次電池については、後述するXAFS分析に用いられる電池及び後述する深放電後の容量回復率測定に用いられる電池をそれぞれ所要の個数だけ作製した。
(4)初期活性化処理
得られた電池2に対し、温度25℃の環境下にて12時間放置した後、0.1Cの充電電流で16時間の充電を行った。その後、0.2Cの放電電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させる充放電作業を3回繰り返した。その後、0.1Cの充電電流で16時間の充電を行い、ついで、1.0Cの放電電流で50分間放電した後、0.5Cの放電電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させた。このようにして初期活性化処理を行い、電池2を使用可能状態とした。
(実施例2)
中間生成物粒子を80℃の環境下にて酸素を含む空気中に対流させ、12Nの水酸化ナトリウム水溶液及び4Nの水酸化リチウム水溶液を噴霧して、45分間の加熱処理を施し、これにより、中間生成物粒子の表面の水酸化コバルトが、オキシ水酸化コバルトとなるとともに、このオキシ水酸化コバルトの層中にナトリウム及びリチウムが取り込まれ、ナトリウム及びリチウムを含有したコバルト化合物からなる導電層40が形成されたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル水素二次電池を作製した。
(比較例1)
水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化リチウム水溶液を噴霧させることは行わずに、中間生成物粒子を80℃の環境下にて酸素を含む空気中に対流させ、45分間の加熱処理を施し、これにより、中間生成物粒子の表面の水酸化コバルトが、オキシ水酸化コバルトとなった導電層40が形成されたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル水素二次電池を作製した。なお、この比較例1の導電層40には、ナトリウム及びリチウムのどちらも含有されていない。
2.正極活物質及びニッケル水素二次電池の評価
(1)XAFS分析
まず、実施例1、2及び比較例1の初期活性化処理済みの電池のうちXAFS分析用の電池を解体し、それぞれ正極を取り出した。取り出した正極は、水洗いした後、乾燥させた。その後、超音波振動装置により斯かる正極に超音波振動を加え、正極基材から脱落した正極活物質合剤の粉末を回収した。そして、この回収した粉末をXAFS分析用の試料とした。
引き続き、得られた試料につき、大型放射光施設(例えば、Super Photon ring-8:SPring8)の放射光X線を用い、転換電子収量法によるXAFS分析を行った。詳しい手順は以下の通りである。
まず、試料をカーボンテープ上に適量塗布した。そして、試料を保持したカーボンテープを転換電子収量検出器の内部の試料ステージに設置した。
ついで、転換電子収量検出器内にHeガスを流し、1kVの高電圧を印加した。そして、試料にX線を照射し、試料から放出された電子との衝突によってイオン化されたHe原子を電極で捕集することで、試料のXAFSスペクトルを測定した。このようにして、実施例1、2及び比較例1の各試料のXAFSスペクトルのデータを得た。
ここで、実施例1の試料について得られたXAFSスペクトルのグラフを図2に示す。この図2より、7600〜7800eVの間でX線の吸収量が急激に変化している部分がCoのK吸収端に対応し、8300〜8500eVの間でX線の吸収量が急激に変化している部分がNiのK吸収端に対応する。
図2のグラフは、Co及びNiのK吸収端以外の吸収、試料を構成する他元素の吸収、及び各元素の周囲の構造を反映したXAFS振動を含んだものである。従って、以下の手順でCo及びNiのK吸収端でのジャンプ量を求めた。
最初に、各吸収端の低エネルギー側の吸収スペクトルの形状を参考に、参照符号BGで示されるバックグラウンド直線を外挿して求めた。
次に、各吸収端の高エネルギー側の吸収スペクトルにおいて、XAFS振動が減衰したエネルギー領域の吸収スペクトルの形状を参考に、XAFS振動の中心を通り且つバックグラウンド直線BGと平行な直線を引いた。ここで、Co側の直線には参照符号L1を付し、Ni側の直線には参照符号L2を付した。そして、バックグラウンド直線BGと直線L1との差から、CoのK吸収端でのジャンプ量Aを算出し、直線L1と直線L2との差からNiのK吸収端でのジャンプ量Bを算出した。
以上のようにして、実施例1、2及び比較例1におけるCoのジャンプ量(A)、Niのジャンプ量(B)、Coのジャンプ量とNiのジャンプ量との比であるCo/Ni比(XAFSスペクトルの比R)の結果を表1に示した。
ここで、Co/Ni比(R)の値が高いほど水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するCoの化合物からなる導電層(以下、Coの化合物層という)における厚い部分と薄い部分との差が小さく、Coの化合物層の厚さの均一性が高いことを示す。
なお、上記したCo及びNiのK吸収端でのジャンプ量の評価方法は一例である。この他に、バックグラウンド曲線としてVictoreenの関係式やn次多項式、ジャンプを表す吸収曲線としてCubicスプライン関数や移動平均法等を利用する方法が知られており、どの方法を用いてもジャンプ量及びジャンプ量のCo/Ni比は同様の結果となることが、非特許文献である「X線吸収分光法-XAFSとその方法」(アイピーシー)に記載されている。
(2)深放電後の容量回復率測定
実施例1、2及び比較例1の初期活性化処理済みの電池のうち深放電後の容量回復率測定に用いる電池は、第1の条件で深放電を行う電池と、第2の条件で深放電を行う電池とがそれぞれ準備されている。
まず、これらの電池について、25℃の環境下にて、1.0Cで電池電圧が最大値に達した後、10mV低下するまで充電するいわゆる−ΔV制御での充電を行い、その後、同一の環境下にて0.2Cで電池電圧が1.0Vになるまで放電することにより初期容量を求めた。
その後、各電池については、2Ωの抵抗が接続された状態で放置され、深放電が行われた。ここで、第1の条件で深放電を行う電池については、温度80℃の環境下で3日間放置して深放電を行った。一方、第2の条件で深放電を行う電池については、温度80℃の環境下で6日間放置して深放電を行った。
深放電後の各電池については、25℃の環境下において1.0Cで−ΔV制御での充電を行い、その後、同一の環境下にて0.2Cで電池電圧が1.0Vになるまで放電する充放電サイクルを3サイクル繰り返した。そして、その際の容量(深放電後容量)を測定した。
そして、次の式(I)より深放電後の容量回復率を求め、その結果を表1に示した。
深放電後の容量回復率[%]=(深放電後容量/初期容量)×100・・・(I)
この深放電後の容量回復率の値が大きいほど深放電に対し耐性があり、導電性ネットワークの破壊が抑制されていることを示す。
Figure 0006643054
(2)考察
(i)実施例1の電池では、第1の条件での深放電後の容量回復率が98.9%であり、第2の条件での深放電後の容量回復率が96.5%である。これに対し、比較例1の電池では、第1の条件での深放電後の容量回復率が75.8%であり、第2の条件での深放電後の容量回復率が77.6%である。このことから、実施例1の電池は、深放電後の容量回復率が比較例1の電池よりも優れており、深放電に対する耐性が比較例1の電池に比べて改善されていることが確認できる。
これは、実施例1の正極におけるCo/Ni比(R)が0.373であり、水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するCoの化合物層の厚さの均一性が高いことから、深放電後の導電性ネットワークが良好な状態で維持されているため、実施例1の電池は、深放電後の容量回復率が優れていると考えられる。
一方、比較例1の正極におけるCo/Ni比(R)は0.267であり、水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するCoの化合物層における厚い部分と薄い部分との差が大きく、Coの化合物層の厚さの均一性が低い。このため、深放電の際にCoの化合物層の薄い部分が還元され劣化し、導電性ネットワークが部分的に破壊されているので、比較例1の電池は、深放電後の容量回復率が大きく低下していると考えられる。なお、この比較例1の電池の容量回復率は、水酸化ニッケル粒子単独、すなわち、表面がCoの化合物層で覆われていない水酸化ニッケル粒子を含む正極を用いた電池の容量回復率に近い。
(ii)実施例2の電池は、実施例1の電池よりも深放電後の容量回復率が高い。特に、第2の条件の場合、すなわち、深放電状態でより長い期間放置した場合でも、電池の容量回復率は良好であり、実施例2の電池は、実施例1の電池よりも深放電に対する耐性が改善されていることがわかる。
これは、実施例2の正極におけるCo/Ni比(R)が0.382であり、水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するCoの化合物層の厚さの均一性がより高いことから、深放電後の導電性ネットワークがより良好な状態で維持されているため、実施例2の電池は、深放電後の容量回復率が実施例1の電池よりも優れていると考えられる。
(iii)以上のことから、Coの化合物及びNiの化合物を含む複合粒子からな正極活物質におけるXAFSスペクトルの比Rを0.3以上とすることで、深放電に強い電池を提供することが可能であると言える。
なお、本発明は、上記した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、ニッケル水素二次電池は、角形電池であってもよく、機械的な構造は格別限定されることはない。
2 ニッケル水素二次電池
22 電極群
24 正極
26 負極
28 セパレータ
36 正極活物質粒子
38 ベース粒子
40 導電層

Claims (1)

  1. Coの化合物及びNiの化合物を含む複合粒子からなる正極活物質粉末を準備し、
    前記正極活物質粉末にX線を照射し、転換電子収量法による測定で得られる、7600〜7800eVの間における前記CoのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量A、及び、8300〜8500eVの間における前記NiのX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)スペクトルのジャンプ量Bを検知し、
    A/Bで表される前記ジャンプ量Aと前記ジャンプ量Bとの比をRとしたとき、R≧0.3の関係を満たしているか否かを判断する、ニッケル水素二次電池用の正極活物質の評価方法。
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