JP6642897B2 - 医療用セラミックス中空粒子の製造方法および医療用セラミックス多孔質体の製造方法 - Google Patents
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本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、気孔の寸法を容易に制御することができる医療用セラミックス中空粒子の製造方法および医療用セラミックス多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、コア粒子の表面を、セラミックス原料と前記コア粒子よりも小さな粒径を有する微粒子との混合物で被覆する被覆ステップと、前記混合物で被覆されたコア粒子を加熱して該コア粒子および前記微粒子を蒸散し、前記混合物からなる中空球状の粒子を得る蒸散ステップと、前記中空球状の粒子を焼成する粒子焼成ステップとを含み、さらに、前記被覆ステップの前に、前記セラミックス原料を、前記粒子焼成ステップにおける焼成温度よりも低い温度で加熱する仮焼ステップを含むセラミックス中空粒子の製造方法である。
このようにすることで、人工骨の材料として好適な医療用セラミックス中空粒子を製造することができる。前記セラミックス原料の主成分のリン酸カルシウム化合物は、β型リン酸三カルシウム(β−TCP)、α型リン酸三カルシウム(α−TCP)、ハイドロキシアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、リン酸四カルシウム、リン八酸カルシウム(OCP)、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム二水和物、TTCP、二リン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、および炭酸基置換型ハイドロキシアパタイト(CHA)のうちのいずれかであることが好ましい。
このようにすることで、約10μm以上の厚さを有するセラミックスの層が形成される。これにより、加工に耐える強度を有する医療用セラミックス中空粒子を製造することができる。さらに、薬剤の徐放速度は、セラミックスの層の厚さに依存する。セラミックスの層の厚さを約10μm以上とすることによって、薬剤の徐放速度を抑制することができる。
このようにすることで、医療用セラミックス中空粒子の強度と連通性とを両立することができる。
このようにすることで、粒子焼成ステップにおけるセラミックス原料の収縮を抑制し、空洞径および連通孔の孔径をさらに正確に制御することができる。
この場合に、空洞径および連通孔の孔径が制御された医療用セラミックス中空粒子を使用することによって、医療用セラミックス多孔質体における薬剤の徐放速度を制御することができる。
本実施形態に係る医療用セラミックス中空粒子の製造方法は、図1に示されるように、コア粒子をセラミックス原料と微粒子との混合物で被覆する被覆ステップSA1と、加熱によってコア粒子および微粒子を蒸散させてセラミックス原料からなる中空球状の粒子を得る蒸散ステップSA2と、中空球状の粒子を焼成して医療用セラミックス中空粒子を得る粒子焼成ステップSA3とを含む。
このようにすることで、医療用セラミックス中空粒子の強度と連通孔5の形成とを両立することができる。セラミックス原料の重量が微粒子の重量の1割未満である場合、医療用セラミックス中空粒子の強度が低下する。一方、微粒子の重量がセラミックス原料の重量の1割未満である場合、連通孔5が形成され難くなる。
被覆ステップSA1においては、他の方法を使用してセラミックスを被覆してもよい。例えば、流動式混合型複合装置や表面改質装置により、粒子の表面に他の粒子を取り込みながらセラミックスを被覆してもよい。
混合物層3に含まれるセラミックス原料には焼成の過程で縮みが生じる。仮焼されたセラミックス原料を使用することによって、本焼における混合物層3の縮みが低減される。これにより、医療用セラミックス中空粒子1の空洞径、連通孔径、厚さおよび粒径をさらに正確に制御することができる。
本実施形態に係る医療用セラミックス多孔質体の製造方法は、図3に示されるように、ステップSA1〜SA3によって製造された医療用セラミックス中空粒子1を主原料と混合して混合物を得る混合ステップSB1と、混合ステップSB1によって得られた混合物を加圧成形して成形体を得る成形ステップSB2と、成形体を焼成する成形体焼成ステップSB3とを含む。
次に、成形ステップSB2において、混合物を鋳型内に充填し、一軸加圧成形する。この後に、得られた成形体を冷間静水圧プレス(CIP)によってさらに加圧してもよい。
次に、成形体焼成ステップSB3において成形体を焼成することにより、医療用セラミックス多孔質体が製造される。
また、医療用セラミックス中空粒子1を構成するβ−TCPまたはHAPは、破骨細胞および骨芽細胞の働きによって骨置換される特性を有するが、力学的強度は小さい。そこで、主原料として、β−TCPまたはHAPよりも高い強度を有する材料を使用することによって、高い強度および高い骨形成能を有する医療用セラミックス多孔質体を製造することができる。
図4は、本実施例において使用したシステムを示している。本システムは、図4に示されるように、HAPのスラリー10を収容する容器20と、該容器20の重量を測定する重量計30と、転動流動コーティング装置(株式会社パウレック製、MP−01)40と、容器20から転動流動コーティング装置40にスラリー10を送るポンプ50とを備えている。重量計30は、転動流動コーティング装置40へのスラリー10の供給量を測定するためのものである。
コア粒子として、粒径100μm〜400μmのポリスチレン(PS)ビーズを使用した。図6は、PSビーズのSEM写真を示している。
PSビーズを転動流動コーティング装置内に投入した。次に、スラリーを転動流動コーティング装置内に供給し、80℃でPSビーズにスラリーを吹き付けた。図7は、混合物で被覆されたPSビーズの走査型顕微鏡(SEM)写真を示している。
次に、混合物によって被覆されたPSビーズを高温で加熱することによって、PSビーズおよびPMMAビーズの蒸散、ならびに、HAP層の焼成を行った。具体的には、図8に示されるように、室温から250℃、300℃、450℃と温度を上昇させながら合計42時間加熱することによってPSビーズおよびPMMAビーズを蒸散させ、中空球状のHAP層を生成した。次に、生成されたHAP層を室温まで冷却し、その後、室温から1150℃まで昇温し、HAP層を1150℃で1時間焼成した。これにより、HAP中空粒子を得た。
図10は、図9のHAP中空粒子を破壊して撮影したHAP中空粒子の断面を示している。図10から分かるように、HAP中空粒子におけるHAP層には、PMMAビーズの粒径と略等しい孔径を有する微小空洞が連なって形成された連通孔が確認された。
2 コア粒子
3 混合物層
4 微粒子
SA1 被覆ステップ
SA2 蒸散ステップ
SA3 粒子焼成ステップ
SB1 混合ステップ
SB2 成形ステップ
SB3 成形体焼成ステップ
Claims (6)
- コア粒子の表面を、セラミックス原料と前記コア粒子よりも小さな粒径を有する微粒子との混合物で被覆する被覆ステップと、
前記混合物で被覆されたコア粒子を加熱して該コア粒子および前記微粒子を蒸散し、前記混合物からなる中空球状の粒子を得る蒸散ステップと、
前記中空球状の粒子を焼成する粒子焼成ステップとを含み、さらに、
前記被覆ステップの前に、前記セラミックス原料を、前記粒子焼成ステップにおける焼成温度よりも低い温度で加熱する仮焼ステップを含む医療用セラミックス中空粒子の製造方法。 - 前記セラミックス原料の主成分が、リン酸カルシウム化合物または炭酸カルシウムである請求項1に記載の医療用セラミックス中空粒子の製造方法。
- 前記セラミックス原料の主成分が、β型リン酸三カルシウム(β−TCP)、α型リン酸三カルシウム(α−TCP)、ハイドロキシアパタイト(HAP)、カルシウム欠損型ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、リン酸四カルシウム、リン八酸カルシウム(OCP)、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム二水和物、TTCP、二リン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、および炭酸基置換型ハイドロキシアパタイト(CHA)のうちのいずれかである請求項2に記載の医療用セラミックス中空粒子の製造方法。
- 前記被覆ステップにおいて、10μm以上の厚さを有する前記混合物の層を形成する請求項1から請求項3のいずれかに記載の医療用セラミックス中空粒子の製造方法。
- 前記セラミックス原料と前記微粒子との混合比が、1:10〜10:1である請求項1から請求項4のいずれかに記載の医療用セラミックス中空粒子の製造方法。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の医療用セラミックス中空粒子の製造方法によって製造された医療用セラミックス中空粒子とセラミックス原料とを混合して混合物を得る混合ステップと、
該混合ステップによって得られた混合物を成形して成形体を得る成形ステップと、
前記成形体を焼成する成形体焼成ステップとを含む医療用セラミックス多孔質体の製造方法。
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