JP6642788B2 - 樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
先ず、本発明の樹脂複合材料について説明する。本発明の樹脂複合材料は、窒化ホウ素ナノシート及び超酸が樹脂中に分散していることを特徴とするものである。
本発明に用いられる窒化ホウ素ナノシートは、多層構造を有する窒化ホウ素の層が剥離された形態のシートである。このような本発明に用いられる窒化ホウ素ナノシートとしては、特に制限されないが、具体的には、狭義の窒化ホウ素ナノシート(窒化ホウ素からなるナノシート)、炭窒化ホウ素(B−C−N材料)ナノシート、これらシートのリボン様のものとして窒化ホウ素ナノリボンや炭窒化ホウ素ナノリボン、前記シートのスクロール様のものとして窒化ホウ素ナノスクロール、炭窒化ホウ素ナノスクロールが挙げられる。その中でも、絶縁性、耐熱性、耐酸化性等を十分に発現する観点から、狭義の窒化ホウ素ナノシートがより好ましい。
本発明に用いられる超酸は、25℃でのハメットの酸度関数(H0)が−12未満(すなわち、より負)の酸度関数(H0)を有する酸である。ここで、ハメットの酸度関数(H0)は、酸性度の指標として一般的に使用され、超酸や酸の種類と組成及び濃度に固有の値であり、温度によって変化する(LOUIS P.HAMMETTら,J.Am.Chem.Soc.,54巻、1932年、2721頁を参照)。なお、25℃での各種超酸のH0については、例えば、化学便覧基礎編(改訂5版、日本化学会編)等に詳述されている(同便覧IIの表11.47、表11.51、表11.52、表11.53等が参照される)。
本発明に用いられる樹脂としては、特に制限されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド、熱硬化性シリコーン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、及びウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリスチレン、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、MAS(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン)樹脂、MABS(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、及びSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)樹脂といった芳香族ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、これらの共重合体、及びアクリルゴム等のアクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル樹脂、及びアクリロニトリル−ブタジエン樹脂といったシアン化ビニル系樹脂、イミド基含有ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、及びエチレンプロピレンゴムといったポリオレフィン系樹脂、酸又は酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂、エポキシ変性ポリオレフィン樹脂、酸又は酸無水物変性アクリル系エラストマー、エポキシ変性アクリルエラストマー、シリコーン(シリコーンゴム、シリコーンオイル、熱可塑性シリコーン樹脂等)、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びポリフッ化ビニルに代表されるフッ素系樹脂、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂複合材料は、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸が前記樹脂中に分散していることを特徴とするものである。
本発明の樹脂複合材料においては、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸のそれぞれの少なくとも一部が、窒化ホウ素ナノシートと、該窒化ホウ素ナノシートに吸着している超酸とを備える窒化ホウ素ナノシート複合体となっていることが好ましい。
本発明の樹脂複合材料においては、前記窒化ホウ素ナノシートの少なくとも一部が、窒化ホウ素ナノシートと、該窒化ホウ素ナノシートに吸着している超酸とを備える窒化ホウ素ナノシート複合体から超酸を除去した窒化ホウ素ナノシート薄層体であってもよい。
次に、本発明の樹脂複合材料の製造方法について説明する。本発明の樹脂複合材料の製造方法は、窒化ホウ素ナノシート及び超酸を樹脂と混合し、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸が樹脂中に分散している樹脂複合材料を得る混合工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明にかかる混合工程においては、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸を前記樹脂の溶液と混合し、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸が樹脂中に分散している樹脂複合材料を得る。また、本発明にかかる混合工程に用いる前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸のそれぞれの少なくとも一部が、前記窒化ホウ素ナノシート複合体となっていることが好ましい。
本発明の樹脂複合材料の製造方法は、前記混合工程で得られた樹脂複合材料を成形し、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸(及び/又は前記窒化ホウ素ナノシート複合体)が樹脂中に分散している本発明の樹脂複合材料の成形体を得る成形工程を更に含んでいることが好ましい。
本発明の樹脂複合材料の製造方法は、窒化ホウ素と前記超酸とを混合し、前記窒化ホウ素の層間を剥離せしめた窒化ホウ素ナノシートと、該窒化ホウ素ナノシートに吸着している超酸とを備える窒化ホウ素ナノシート複合体を得る剥離吸着工程を更に含んでいることが好ましい。
(i)窒化ホウ素と超酸とを溶媒を使用せずに混合して層間剥離処理を施す方法。
(ii)窒化ホウ素と超酸とを溶媒中で混合して層間剥離処理を施す方法。
(iii)窒化ホウ素ナノシートと超酸とを溶媒を使用せずに混合する方法。
(iV)窒化ホウ素ナノシートと超酸とを溶媒中で混合する方法。
本発明の樹脂複合材料の製造方法は、前記混合工程前、前記混合工程中、前記混合工程後のうちの少なくともいずれかに、前記窒化ホウ素ナノシート複合体から前記超酸を除去して窒化ホウ素ナノシート薄層体を得る除去工程を更に含んでいてもよい。
先ず、調製例1において、得られた窒化ホウ素ナノシート複合体を80℃での真空乾燥により残留溶媒等の揮発分を除去した後、熱重量分析装置(理学電機(株)製「Thermo plus TG8120」)を用いて窒素雰囲気下、室温から100℃まで昇温し、100℃で30分間保持した後、昇温速度10℃/分で100℃から800℃まで加熱して熱重量分析(TGA)を実施した。ここで、超酸の吸着量としては、100℃で30分間保持した後、100℃から800℃の温度範囲で観察された超酸(超酸由来化合物を含む)に由来する重量減少を吸着量とした。なお、窒化ホウ素は100℃から800℃の範囲において重量減少を示さない。これに対して、超酸は、例えば、塩化スルホン酸(クロロスルホン酸)は約150℃から約220℃の範囲で重量減少を示し、塩化スルホン酸と水との反応で生成し窒化ホウ素ナノシートに吸着した硫酸は約290℃から約370℃の範囲で重量減少を示す。したがって、窒化ホウ素は800℃まで重量減少を示さず、超酸は600℃までに分解するために、窒化ホウ素ナノシート複合体において超酸(超酸由来化合物を含む)の吸着に由来する質量減少を確認することができる。これより、窒化ホウ素ナノシート複合体の質量減少のうちの超酸に由来するものを窒化ホウ素ナノシート複合体への超酸の吸着量とし、窒化ホウ素ナノシート100質量部に対する量(質量部)で表した。なお、ここで超酸の吸着量としては、例えば、塩化スルホン酸と水との反応で生成しそのまま吸着した硫酸のように、超酸由来生成物の吸着量も超酸の吸着量とみなす。また、超酸由来化合物の吸着量(調製例1では硫酸が超酸由来化合物に相当)についても、窒化ホウ素ナノシート100質量部に対する量(質量部)で表した。
調製例1において、得られた窒化ホウ素ナノシート含有分散液を用いて窒化ホウ素ナノシート複合体を作製する過程で、先ず、洗浄ろ過に用いた桐山漏斗(フィルター:テフロン(登録商標)製フィルター、孔径0.1μm)の質量を予め測定した。次に、前記窒化ホウ素ナノシート含有分散液を前記フィルターを用いて吸引ろ過を行い、更に100mLの純水を複数回に分けて用いて濾滓の洗浄ろ過を行って、窒化ホウ素ナノシート表面に未吸着の超酸を完全に除去した。次いで、洗浄ろ過後の濾滓の付いた前記フィルターについて、80℃で12時間真空乾燥を行った後の質量を測定した。この質量から前記フィルターの質量を減じ、窒化ホウ素ナノシート複合体の質量を算出した。次に、熱重量分析装置(理学電機(株)製「Thermo plus TG8120」)を用いて窒素雰囲気下、室温から100℃まで昇温し、100℃で30分間保持した後、昇温速度10℃/分で100℃から800℃まで加熱して行った熱重量分析(TGA)により、窒化ホウ素ナノシート複合体中から吸着した超酸(超酸由来化合物を含む)を除いた窒化ホウ素ナノシートの割合を算出し、窒化ホウ素ナノシートの収率(%)を求めた。なお、窒化ホウ素ナノシートの収率(%)は、次のように算出する。
収率(%)=100×(窒化ホウ素ナノシート複合体中から吸着した超酸(超酸由来化合物を含む)を除いた窒化ホウ素ナノシートの質量(mg))/(原料として用いた六方晶窒化ホウ素の質量(mg))。
調製例1、3、4それぞれにおいて、得られた窒化ホウ素ナノシート複合体(調製例3、4においては窒化ホウ素ナノシート)をイソプロピルアルコール(IPA)に入れ、超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を3分間施して得られた分散液をグリッド上に滴下し、室温で真空乾燥後、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)により加速電圧200kVにて観察を行った。窒化ホウ素ナノシートのエッジ部の観察により、窒化ホウ素ナノシートの層数を測定(確認)した。なお、窒化ホウ素ナノシートは、シート形状で厚さが薄く柔軟性があるため、エッジ部が容易に湾曲することから、エッジ部での層数の観察が可能である。また、各サンプルについて任意の40箇所の窒化ホウ素ナノシートのエッジ部の観察により層数を確認し、40層以下、30層以下、20層以下、10層以下、6層以下、3層以下、2層以下、単層の層数を有するナノシートの割合を求めた。
実施例及び比較例で得られた各フィルム(厚さ:0.3mm)について、熱伝導率測定装置(NETZSCH社製「LFA447 NANOFLASH」)を用いて、レーザーフラッシュ法により25℃での厚み方向の熱伝導率を測定した。
実施例及び比較例で得られた各フィルム(厚さ:0.3mm)について、表面抵抗測定装置(アジレント・テクノロジー社製「高抵抗計AGILENT4339B」)を用いて、JIS K6911に準拠し、500Vを印加して1分後の体積抵抗率を測定した。体積抵抗率が1.0×1014以上の場合を評価A、体積抵抗率が1.0×1014未満の場合を評価Bとした。
実施例及び比較例で得られた各フィルム(厚さ:0.3mm)について、熱重量分析(前記測定方法2と同様の熱重量分析)により、樹脂の熱分解開始温度を測定した。ここで、本発明における「熱分解開始温度」とは、樹脂の重量が1%減少した際の温度を指す。
実施例及び比較例で得られた各フィルム(厚さ:0.3mm)について、以下のように蛍光灯下で表面外観の目視確認を行い、評価した。すなわち、フィルム表面に蛍光灯を反射させ(映し出し)、反射された蛍光灯管のラインにゆがみが確認できない場合を評価Aとした。一方、反射された蛍光灯管のラインがゆがむ場合、又は蛍光灯管のラインが明瞭に見えない場合を評価Bとした。なお、窒化ホウ素ナノシート複合体、比較例用の窒化ホウ素ナノシート又は窒化ホウ素が樹脂中に均一に分散していない場合、フィルムの各箇所においてこれらの樹脂中での分散濃度にムラが生じるほか、表面粗さが大きくなり、蛍光灯管のラインにゆがみが生じるか、或いはラインを明瞭に確認することができない。
調製例、実施例及び比較例においては、以下に示す窒化ホウ素を使用した。なお、窒化ホウ素の平均二次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により得た電子顕微鏡写真について、任意の20個の二次粒子(ここで各々の粒子は凝集した二次粒子を形成する)の粒子径を測定し、平均二次粒子径とした。また、二次粒子を形成する窒化ホウ素一次粒子(板状の窒化ホウ素)の一辺の大きさは、上記同様に走査型電子顕微鏡写真における任意の20個の一辺の大きさを測定しその平均値とした。ここで、窒化ホウ素一次粒子の一辺の大きさとしては長辺の長さを指す。
窒化ホウ素:
昭和電工(株)製六方晶窒化ホウ素UHP−1K、平均二次粒子径:24μm、窒化ホウ素一次粒子の一辺の平均サイズ:4μm、窒化ホウ素純度:99.9質量%。
調製例及び実施例においては、以下に示す超酸を使用した。
超酸:
クロロスルホン酸(ハメットの酸度関数(H0):−13.8(25℃))。
比較用の調製例及び比較例においては、更に、超酸以外の酸として以下に示す酸を使用した。
超酸以外の酸:
メタンスルホン酸(ハメットの酸度関数(H0):−1(25℃))。
実施例及び比較例においては、以下に示す樹脂を使用した。
樹脂:
ポリメタクリル酸メチル((株)クラレ製、商品名:パラペット グレードG)。
窒化ホウ素ナノシート複合体(a−1)の作製:
先ず、100mLの二口フラスコに六方晶窒化ホウ素(UHP−1K)100mgを加え、真空下、500℃で1時間フレームドライを施し、窒化ホウ素及びフラスコ内から水分を除去した。次に、フラスコ内を窒素で満たし、窒素雰囲気下、超酸としてクロロスルホン酸を20mL滴下した。次いで、これに、窒素雰囲気下で超音波処理(BRANSON社製卓上型超音波洗浄機「BRANSONIC B−220」を使用、発振周波数45kHz)を8時間施して窒化ホウ素ナノシートが超酸中に分散した窒化ホウ素ナノシート含有分散液を得た。得られた分散液は極めて薄い淡黄色に呈色した。
比較用のフィラー(c−1)の準備:
六方晶窒化ホウ素(UHP−1K)をそのまま比較用のフィラー(c−1)として用いた。
比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−2)の作製:
調製例1における六方晶窒化ホウ素(UHP−1K)に代えて80℃で12時間真空乾燥を行った六方晶窒化ホウ素(UHP−1K)を用いかつ超酸としてのクロロスルホン酸に代えて溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF、関東化学(株)製)を用いるようにした以外は調製例1と同様にして比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−2)を得た。熱重量分析による評価の結果、比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−2)においては、DMFやIPA等の溶媒に由来する重量減少は確認されず、用いた溶媒の吸着は確認されなかった。また、得られた窒化ホウ素ナノシートについて、窒化ホウ素ナノシートの層数を前記方法に従って評価した。更に、窒化ホウ素ナノシートの収率を、前記方法に従って求めた。それらの結果を表1に示す。
比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−3)の作製:
調製例1における超酸としてのクロロスルホン酸に代えて超酸以外の酸としてメタンスルホン酸を用いるようにした以外は調製例1と同様にして比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−3)を得た。熱重量分析による評価の結果、比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−3)においては、メタンスルホン酸の吸着量が0.3質量部であることが確認された。また、得られた窒化ホウ素ナノシートについて、窒化ホウ素ナノシートの層数を前記方法に従って評価した。更に、窒化ホウ素ナノシートの収率を、前記方法に従って求めた。それらの結果を表1に示す。
97.986質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を326.6質量部のアセトンに溶解させた溶液に、窒化ホウ素ナノシート2質量部と超酸(超酸由来物も含む)0.014質量部からなる窒化ホウ素ナノシート複合体(a−1)を加え、20分間超音波処理を行って、(a−1)が溶液中に均一分散した分散液を作製した。この分散液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、(a−1)が(b−1)中に均一分散した本発明の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素ナノシートの含有量:2質量%)を作製した。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
84.895質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を283.0質量部のアセトンに溶解させた溶液に、窒化ホウ素ナノシート15質量部と超酸(超酸由来物も含む)0.105質量部からなる窒化ホウ素ナノシート複合体(a−1)を加え、20分間超音波処理を行って、(a−1)が溶液中に均一分散した分散液を作製した。この分散液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、(a−1)が(b−1)中に均一分散した本発明の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素ナノシートの含有量:15質量%)を作製した。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
75.328質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を251.1質量部のアセトンに溶解させた溶液に、窒化ホウ素ナノシート24.5質量部と超酸(超酸由来物も含む)0.172質量部からなる窒化ホウ素ナノシート複合体(a−1)を加え、20分間超音波処理を行って、(a−1)が溶液中に均一分散した分散液を作製した。この分散液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、(a−1)が(b−1)中に均一分散した本発明の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素ナノシートの含有量:24.5質量%)を作製した。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
100質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を333.3質量部のアセトンに溶解させた溶液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、比較用の樹脂(b−1)からなるフィルム(厚み:0.3mm)を作製した。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性及び耐熱性を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
98質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を326.7質量部のアセトンに溶解させた溶液に、比較用のフィラーとしての窒化ホウ素(c−1)2質量部を加え、20分間超音波処理を行って、(c−1)を含む分散液を作製した。この分散液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、(c−1)が(b−1)中に含有されている比較用の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素の含有量:2質量%)を作製した。得られたフィルムの目視観察の結果、(c−1)は(b−1)中で凝集し、不均一分散していることが確認された。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
85質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を283.3質量部のアセトンに溶解させた溶液に、比較用のフィラーとしての窒化ホウ素(c−1)15質量部を加え、20分間超音波処理を行って、(c−1)を含む分散液を作製した。この分散液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、(c−1)が(b−1)中に含有されている比較用の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素の含有量:15質量%)を作製した。得られたフィルムの目視観察の結果、(c−1)は(b−1)中で凝集し、不均一分散していることが確認された。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
75.5質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を251.7質量部のアセトンに溶解させた溶液に、比較用のフィラーとしての窒化ホウ素(c−1)24.5質量部を加え、20分間超音波処理を行って、(c−1)を含む分散液を作製した。この分散液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、(c−1)が(b−1)中に含有されている比較用の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素の含有量:24.5質量%)を作製した。得られたフィルムの目視観察の結果、(c−1)は(b−1)中で凝集し、不均一分散していることが確認された。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
比較例2における窒化ホウ素(c−1)に代えて比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−2)を用いるようにした以外は比較例2と同様にして、(c−2)が(b−1)中に含有されている比較用の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素の含有量:2質量%)を作製した。得られたフィルムの目視観察の結果、(c−2)は(b−1)中で凝集し、不均一分散していることが確認された。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
比較例3における窒化ホウ素(c−1)に代えて比較用の窒化ホウ素ナノシート(c−2)を用いるようにした以外は比較例3と同様にして、(c−2)が(b−1)中に含有されている比較用の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素の含有量:15質量%)を作製した。得られたフィルムの目視観察の結果、(c−2)は(b−1)中で凝集し、不均一分散していることが確認された。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
97.994質量部のポリメタクリル酸メチル(b−1)を326.6質量部のアセトンに溶解させた溶液に、比較用の窒化ホウ素ナノシート2質量部と酸(メタンスルホン酸)0.006質量部からなる窒化ホウ素ナノシート(c−3)2質量部を加え、20分間超音波処理を行って、(c−3)を含む分散液を作製した。この分散液をガラス板上にキャストし、常温で12時間及び60℃で12時間の真空乾燥を経て、(c−3)が(b−1)中に含有されている比較用の樹脂複合材料からなるフィルム(厚み:0.3mm、窒化ホウ素の含有量:2質量%)を作製した。得られたフィルムの目視観察の結果、(c−3)は(b−1)中で凝集し、不均一分散していることが確認された。得られたフィルムについて、熱伝導率、絶縁性、耐熱性及び表面外観を前記方法に従って評価した。それらの結果を表2に示す。
表2に示した実施例の結果と比較例の結果との比較から明らかなように、実施例1で得られた本発明の樹脂複合材料は、窒化ホウ素ナノシート複合体が樹脂中に均一に分散しており、窒化ホウ素ナノシートの含有量が同等の比較例2、比較例5及び比較例7で得られた比較用の樹脂複合材料と比較して、高い絶縁性を維持したまま、熱伝導性、耐熱性及び表面外観に優れていることが確認された。
Claims (8)
- 窒化ホウ素ナノシート及び超酸が樹脂中に分散していることを特徴とする樹脂複合材料。
- 前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸のそれぞれの少なくとも一部が、窒化ホウ素ナノシートと、該窒化ホウ素ナノシートに吸着している超酸とを備える窒化ホウ素ナノシート複合体となっていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂複合材料。
- 前記窒化ホウ素ナノシートが、層数が20層以下の窒化ホウ素ナノシートを数基準で60%以上含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂複合材料。
- 窒化ホウ素ナノシート及び超酸を樹脂と混合し、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸が樹脂中に分散している樹脂複合材料を得る混合工程を含むことを特徴とする樹脂複合材料の製造方法。
- 前記樹脂複合材料を成形し、前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸が樹脂中に分散している樹脂複合材料の成形体を得る成形工程を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の樹脂複合材料の製造方法。
- 窒化ホウ素と超酸とを混合し、前記窒化ホウ素の層間を剥離せしめた窒化ホウ素ナノシートと、該窒化ホウ素ナノシートに吸着している超酸とを備える窒化ホウ素ナノシート複合体を得る剥離吸着工程を更に含んでおり、
前記窒化ホウ素ナノシート及び前記超酸のそれぞれの少なくとも一部が、前記窒化ホウ素ナノシート複合体となっていることを特徴とする請求項4又は5に記載の樹脂複合材料の製造方法。 - 前記混合工程前、前記混合工程中、前記混合工程後のうちの少なくともいずれかに、前記窒化ホウ素ナノシート複合体から超酸を除去して窒化ホウ素ナノシート薄層体を得る除去工程を更に含んでおり、
前記窒化ホウ素ナノシートの少なくとも一部が、前記窒化ホウ素ナノシート薄層体であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂複合材料の製造方法。 - 前記窒化ホウ素ナノシートが、層数が20層以下の窒化ホウ素ナノシートを数基準で60%以上含むものであることを特徴とする請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の樹脂複合材料の製造方法。
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