以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に係る遠心式送風機100について図1〜図6を参照して説明する。なお、図1は、図2におけるI−I断面を示している。また、図1、図6において、符号20が付された破線は、拡張部20の外縁を示している。また、図1、図6において、符号22が付された破線は、拡張部22の外縁を示している。また、図6において、符号無しの実線で示されている矢印は、流れる風の向きを示している。
本実施形態に係る遠心式送風機100は、導入された空気を車室内へ送風する送風機であり、例えば車室内の前方側に配置されたダッシュボードの内部に搭載される空調装置の一部(すなわち、送風部)として用いられる。図2に示すように、本実施形態に係る遠心式送風機100は、ファン1と、ファン1を収容するファンケース2と、ファン1を回転駆動する電動モータ3とを有する。この遠心式送風機100では、不図示の操作パネルで設定された風量に応じた通電量が電動モータ3へ給電され、該通電量に応じた回転数でファン1が回転する。
なお、以下において、ファン1の回転軸(すなわち、後述の電動モータ3の回転軸3aの方向に延びる仮想直線)を回転軸Pと称し、回転軸Pの方向(すなわち、電動モータ3の回転軸3aの延びる方向)を回転軸方向PDと称する。
図1、図2に示すように、ファン1は、回転することで、回転軸Pを中心とする遠心方向CDに流れる風を発生させる遠心多翼ファンである。ファン1は、電動モータ3の回転軸3aに固定され、回転軸3aの回転に伴って回転する。ファン1は、その材料が特に限定されるものではないが、ここでは樹脂で構成されている。図1に示すように、ファン1は、電動モータ3の回転軸3aの周りに配置された複数枚の翼1aを有している。各翼1aは、その軸方向一端側(空気吸込側)が図2に示す側板1bを介して互いに連結されるとともに、その軸方向他端側が不図示の主板を介して回転軸3aに連結されている。図1に示すように、ファン1は、その外縁が略円形状となるように構成され、ファンケース2の略中央に配置されている。
図1、図2に示すように、ファンケース2は、ファン1を囲みつつ収容するとともに、ファン1の回転により発生した風を通すための空間である通風空間Sが内部に形成されたケースである。図2に示すように、ファンケース2は、ファン1を基準として回転軸方向PDにおける一方側に位置する一方壁部2aと、ファン1を基準として回転軸方向PDにおける他方側に位置する他方壁部2bとを有している。また、ファンケース2は、遠心方向CDにおけるファン1の外側の領域に位置する側壁部2cを有している。一方壁部2a、他方壁部2b、および側壁部2cは、ファン1を囲むようにファン1を収容している。そして、本実施形態に係る遠心式送風機100では、一方壁部2a、他方壁部2b、および側壁部2cによって囲まれた空間が、風を通すための空間である通風空間Sを形成している。
以下、図1における符号CD1の矢印の向きを第1向きCD1と称し、図1における符号CD2の矢印の向きを第2向きCD2と称し、図1における符号CD3の矢印の向きを第3向きCD3と称し、図1における符号CD4の矢印の向きを第4向きCD4と称する。
第1向きCD1は、遠心方向CDのうち所定方向の一方側の向きである。具体的には、第1向きCD1は、回転軸Pに直交しながら回転軸Pから基本拡張空間の風流れ上流端に向かう向きである。基本拡張空間については後述する。
第2向きCD2は、回転軸方向PDおよび該所定方向に直交する方向のうち一方側の向きである。具体的には、第2向きCD2は、回転軸Pに直交しながら回転軸Pから排出口2eの内部空間S11に向かう向きである。第1向きCD1は、回転軸Pに直交しながら第2向きCD2に対して回転軸Pを中心としてファン1の逆回転側に90°ずれた向きである。この第2向きCD2は、基本所定向きに対応する。
第3向きCD3は、第1向きCD1とは反対側の向きである。第4向きCD4は、第2向きCD2とは反対側の向きである。第3向きCD3は、回転軸Pに直交しながら第4向きCD4に対して回転軸Pを中心としてファン1の逆回転側に90°ずれた向きである。この第4向きCD4は、追加所定向きに対応する。
第1向きCD1、第2向きCD2、第3向きCD3、および第4向きCD4は、ファン1の回転向きRDにおいて、第1向きCD1、第2向きCD2、第3向きCD3、第4向きCD4の順に位置している。
図2、図3に示すように、一方壁部2aは、回転軸Pを基準として第1向きCD1の側に位置する部分2aaと、第2向きCD2の側に位置する部分2abと、第3向きCD3の側に位置する部分2acと、第4向きCD4の側に位置する部分2adとを有する。なお、以下において、部分2aaを一方第1壁部2aaと称し、部分2abを一方第2壁部2abと称し、部分2acを一方第3壁部2acと称し、部分2adを一方第4壁部2adと称する。
図2、図3に示すように、他方壁部2bは、回転軸Pを基準として第1向きCD1の側に位置する部分2baと、第2向きCD2の側に位置する部分2bbと、第3向きCD3の側に位置する部分2bcと、第4向きCD4の側に位置する部分2bdとを有する。なお、以下において、部分2baを他方第1壁部2baと称し、部分2bbを他方第2壁部2bbと称し、部分2bcを他方第3壁部2bcと称し、部分2bdを他方第4壁部2bdと称する。
図2に示すように、ファンケース2は、外部の空気を通風空間Sに導入するための導入口2d、および、通風空間Sを通った風をファンケース2の外部に排出するための2個の排出口2e、2fを有している。2個の排出口2e、2fのうち一方(すなわち、第2向きCD2の側の排出口)2eは、他方第2壁部2bbの一部として形成されている。2個の排出口2e、2fのうち他方(すなわち、第2向きCD2の側の排出口)2fは、他方第4壁部2bdの一部として形成されている。
すなわち、導入口2dの内部空間S10は、外部の空気を通風空間Sに導入するための導入孔に相当する。また、排出口2eの内部空間S11は、通風空間Sを通った風を外部に排出するための基本排出孔に相当する。また、排出口2fの内部空間S12は、通風空間Sを通った風を外部に排出するための追加排出孔に相当する。
本実施形態では、通風空間S中のうち所定空間において、ファン1から出た後かつ排出口2eの内部空間S11に流入する前の風が通る。この所定空間は、通風空間S中のうち、排出口2eの内部空間S11に対して回転軸Pを中心としてファン1の逆回転側にずれた位置の空間である。当該所定空間は、基本流入空間に相当する。以下、排出口2eの内部空間S11に対して回転軸Pを中心としてファン1の逆回転側にずれた該所定空間を、基本流入空間と称する。
また、本実施形態では、通風空間S中のうち所定空間において、ファン1から出た後かつ排出口2fの内部空間S12に流入する前の風が通る。この所定空間は、通風空間S中のうち、排出口2fの内部空間S12に対して回転軸Pを中心としてファン1の逆回転側にずれた位置の空間である。当該所定空間は、追加流入空間に相当する。以下、排出口2fの内部空間S12に対して回転軸Pを中心としてファン1の逆回転側にずれた当該所定空間を、追加流入空間と称する。
導入口2dは、回転軸方向PDにおける上記一方側を風の上流側、回転軸方向PDにおける上記他方側を風の下流側とするように、開口している。そして、2個の排出口2e、2fは、それぞれ、回転軸方向PDにおける上記一方側を風の上流側、回転軸方向PDにおける他方側を風の下流側となるように開口している。すなわち、導入口2dの内部空間S10は、一方壁部2aによって形成されている。また、排出口2eの内部空間S11は、他方壁部2bによって形成されている。また、排出口2fの内部空間S12は、他方壁部2bによって形成されている。
このため、本遠心式送風機100では、逆向きに(すなわち、上記他方側を風の上流側、上記一方側を風の下流側となるように)排出口が開口する場合に比べて、導入口2dから導入された風を少ない圧損で排出口2e、2fから提供することができる。
なお、ファンケース2は、その材料が特に限定されるものではないが、ここでは樹脂で構成されている。
本実施形態では、図3、図4に示すように、一方第1壁部2aaのうち遠心方向CDにおけるファン1の外側に位置する外側部分には、通風空間Sの回転軸方向PDにおける幅W1を拡張する拡張部20が形成されている。すなわち、拡張部20は、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W1を、該外側部分よりも回転軸Pの側に位置する内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W2よりも拡張するように形成されている。ここでいう幅W1、W2は、回転軸方向PDにおける幅である。より具体的には、拡張部20は、一方第1壁部2aaのうち通風空間Sに接する平面2gaに形成された、回転軸方向PDにおける上記一方側に凹む凹部2hを有し、該凹部2hの内部空間S1によって通風空間Sの幅W1を上記一方側に拡張している。該凹部2hの内部空間S1は、基本流入空間および基本拡張空間の一部である。なお、凹部2hは、その断面形状が四角形である。また、図1に示すように、拡張部20の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。より具体的には、拡張部20の遠心方向CDにおける最外縁OEは、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。すなわち、本実施形態では、基本拡張空間における上流から下流までの全体が、第1向きCD1の側の側壁部2caに接している。また、拡張部20は、回転向きRDにおける手前側から先側に至るまで幅W1が略一定となるように、形成されている。
また、本実施形態では、図3、図4に示すように、他方第1壁部2baのうち遠心方向CDにおけるファン1の外側に位置する外側部分には、回転軸方向PDにおける通風空間Sの幅W1を拡張する拡張部21が形成されている。すなわち、拡張部21は、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W1を、該外側部分よりも回転軸Pの側に位置する内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W2よりも拡張するように形成されている。ここでいう幅W1、W2は、回転軸方向PDにおける幅である。より具体的には、拡張部21は、他方第1壁部2baのうち通風空間Sに接する平面2gbに形成された、回転軸方向PDにおける上記他方側に凹む凹部2iを有し、該凹部2iの内部空間S2によって通風空間Sの幅W1を上記他方側に拡張している。該凹部2iの内部空間S2は、基本流入空間および基本拡張空間の一部である。なお、凹部2iは、その断面形状が四角形である。また、図1に示すように、拡張部21の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。より具体的には、拡張部21の遠心方向CDにおける最外縁OEは、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。すなわち、本実施形態では、基本拡張空間における上流から下流までの全体が、第1向きCD1の側の側壁部2caに接している。また、本実施形態では、図3、図4に示すように、拡張部20および拡張部21は、遠心方向CDにおいて互いに略同一の領域に配置されている。また、拡張部21は、回転向きRDにおける手前側から先側に至るまで幅W1が略一定となるように、形成されている。
すなわち、本実施形態では、この拡張部20、21が形成されていることにより、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W1を、該外側部分よりも回転軸Pの側に位置する内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W2よりも拡張している。
凹部2hの内部空間S1と凹部2iの内部空間S2を含んで拡張された空間全体が、基本拡張空間である。内部空間S1と内部空間S2に挟まれた空間も基本拡張空間の一部である。
すなわち、本実施形態では、基本拡張空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W1が、基本流入空間中の内側空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W2よりも広くなっている。この内側空間は、基本流入空間中で凹部2hの内部空間S1よりも回転軸Pの側に位置する空間である。尚、幅W1は第1幅に相当し、幅W2は第2幅に相当する。
そして、本実施形態に係る遠心式送風機100では、まず、ファン1からファン1の遠心方向CDのうち第1向きCD1の側の側壁部2caに向かって流れ出た風が、第1向きCD1の側の側壁部2caに沿って第2向きCD2の側の側壁部2cbの側へ流れる。以下、この風の流れを主流1と称する。
また、ファン1からファン1の遠心方向CDのうち第2向きCD2の側の側壁部2cbに向かって流れ出た風が、第2向きCD2の側の側壁部2cbに沿って第3向きCD3の側の側壁部2ccの側へ流れる。以下、この風の流れを主流2と称する。
そして、第2向きCD2の側の排出口2eには、大きくはこの主流1と主流2が流れ込み、主流1および主流2は、この排出口2eからファンケース2の外部に吹き出される。
第4向きCD4の側の排出口2fについても同様である。すなわち、ファン1からファン1の遠心方向CDのうち第3向きCD3の側の側壁部2ccに向かって流れ出た風が、第3向きCD3の側の側壁部2ccに沿って第4向きCD4の側の側壁部2cdの側へ流れる。以下、この風の流れを主流3と称する。
また、ファン1からファン1の遠心方向CDのうち第4向きCD4の側の側壁部2cdの側に向かって流れ出た風が、第4向きCD4の側の側壁部2cdに沿って第1向きCD1の側の側壁部2caの側へ流れる。以下、この風の流れを主流4と称する。
そして、第4向きCD4の側の排出口2fには、大きくはこの主流3と主流4が流れ込み、主流3および主流4は、この排出口2fからファンケース2の外部に吹き出される。
ここで、拡張部20、21が形成されていることによる作用および効果について、図6を用いて、拡張部20、21が形成されていない場合と比較しつつ、説明する。拡張部20、21が形成されていない場合は、一方壁部2aと他方壁部2bとの間の幅が均一である。なお、図6は、図1と同様の視点で遠心式送風機100を示す図であり、図中の実線で表されている矢印は、風の流れを模式的に示している。
まず、拡張部20、21が形成されていない場合について、説明する。具体的には、この場合における遠心式送風機100は、ファンケース2の一方壁部2aのうち通風空間Sに面する面および他方壁部2bのうち通風空間Sに面する面の各々が平面とされている。また、この遠心式送風機100は、ファン1を基準として第1向きCD1の側および第3向きCD3の側には排出口2e、2fが備えられずに他方壁部2bの一部である平面が配置されている。また、この遠心式送風機100は、一方壁部2aの平面と他方壁部2bの平面との間の距離(すなわち、通風空間Sの幅)が全体的に均一である。
しかしながら、本願発明者の検討の結果、この構成とした場合には特許文献1の遠心式送風機のように均一な風速または均一な風量の風を提供することは困難であることが明らかとなった。すなわち、この構成の場合、ファン1の遠心方向CDに吹き出され通風空間Sを通って排出口2e、2fに至る風の風速が、ファン1の回転方向において不均一となった。
具体的には、以下の知見が得られた。すなわち、主流1は、ファン1と第1向きCD1の側の側壁部2caとの間の狭い空間を流れるために風速が比較的速く、第2向きCD2の側の排出口2eのうち第1向きCD1の側の側壁部2caに近い側に流れ込む。これに対して、主流2は、ファン1と第2向きCD2の側の側壁部2cbとの間の広い空間を流れるために風速が比較的遅く、第2向きCD2の側の排出口2eのうち第3向きCD3の側の側壁部2ccに近い側に流れ込む。すなわち、第2向きCD2の側の排出口2eには、異なる空間に風速差の大きい主流1、主流2が流れ込む。このため、第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む風の風速が不均一となり、この排出口2eから不均一な風速の風が被送風対象に送られる。また、同様の理由から、第4向きCD4の側の排出口2fに流れ込む風の風速も不均一となり、この排出口2fから不均一な風速の風が被送風対象に送られる。
尚、第1、第3向きCD1、CD3の両方について、ファン1と側壁部2ca、2ccとの間の距離を、第2、第4向きCD2、CD4の側のファン1と側壁部2cb、2cdとの間の距離よりも短くした場合も、排出口2e、2fに流れ込む風の風速が不均一となった。
以上で説明したように、拡張部20、21が形成されていない場合の遠心式送風機100では、第2向きCD2の側の排出口2eには、異なる空間に風速差の大きい主流1、主流2が流れ込む。主流1は、ファン1からファン1の遠心方向CDのうち第1向きCD1の側の側壁部2caに向かって流れ、第1向きCD1の側の側壁部2caに沿って第2向きCD2の側の側壁部2cbの側へ流れる風流れである。主流2は、ファン1からファン1の遠心方向CDのうち第2向きCD2の側の側壁部2cbに向かって流れ、第2向きCD2の側の側壁部2cbに沿って第3向きCD3の側の側壁部2ccの側へ流れる風流れである。
これに対して、図6に示すように、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部20、21が形成されていることで、主流1は、拡張部20、21によって広くなっている通風空間Sを通って、第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む。つまり、本実施形態に係る遠心式送風機100では、主流1は、広い通風空間Sを通ることで、通風空間Sの幅が全体的に均一の場合に比べて流速が遅くなり、流速の遅い状態で第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む。よって、通風空間Sの幅が全体的に均一の場合に比べて、主流1と主流2との風速差が小さくなる。このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部20、21が形成されていることで、第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む風の風速および風量のばらつきを抑えることができる。このように、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファンの遠心方向CDである上記所定方向の側(すなわち、第1向きCD1の側)に排出口を設けない構成においても、風速および風量のばらつきを抑えることができる。つまり、本実施形態に係る遠心式送風機100では、該所定方向における体格を小さくしても、風速および風量のばらつきを抑えることができる。
同様に、本実施形態では、図3、図5に示すように、一方第3壁部2acのうち遠心方向CDにおけるファン1の外側に位置する外側部分には、通風空間Sの回転軸3aの方向における幅W3を拡張する拡張部22が形成されている。すなわち、拡張部22は、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W3を、該外側部分よりも回転軸Pの側に位置する内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W4よりも拡張するように形成されている。ここでいう幅W3、W4は、回転軸方向PDにおける幅である。より具体的には、拡張部22は、一方第3壁部2acのうち通風空間Sに接する平面2jaに形成された、回転軸方向PDにおける上記一方側に凹む凹部2kを有し、該凹部2kの内部空間S3によって通風空間Sの幅W3を上記一方側に拡張している。該凹部2kの内部空間S3は、追加流入空間および追加拡張空間の一部である。なお、凹部2kは、その断面形状が四角形である。また、図1に示すように、拡張部22の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。より具体的には、拡張部22の遠心方向CDにおける最外縁OEは、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。また、拡張部22は、回転向きRDにおける手前側から先側に至るまで幅W3が略一定となるように、形成されている。
また、本実施形態では、図3、図5に示すように、他方第3壁部2bcのうち遠心方向CDにおけるファン1の外側に位置する外側部分には、通風空間Sの回転軸方向PDにおける幅W3を拡張する拡張部23が形成されている。すなわち、拡張部23は、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W3を、該外側部分よりも回転軸Pの側に位置する内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W4よりも拡張するように形成されている。ここでいう幅W3、W4は、回転軸方向PDにおける幅である。より具体的には、拡張部23は、他方第3壁部2bcのうち通風空間Sに接する平面2jbに形成された、回転軸方向PDにおける上記他方側に凹む凹部2lを有し、該凹部2lの内部空間S4によって通風空間Sの幅W3を上記他方側に拡張している。該凹部2lの内部空間S4は、追加流入空間および追加拡張空間の一部である。なお、凹部2lは、その断面形状が四角形である。また、図1に示すように、拡張部23の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。より具体的には、拡張部23の遠心方向CDにおける最外縁OEは、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。また、本実施形態では、図3、図5に示すように、拡張部22および拡張部23は、遠心方向CDにおいて互いに略同一の領域に配置されている。また、拡張部23は、回転向きRDにおける手前側から先側に至るまで幅W3が略一定となるように、形成されている。
すなわち、本実施形態では、この拡張部22、23が形成されていることにより、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W3を、該外側部分よりも回転軸Pの側に位置する内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W4よりも拡張している。
凹部2kの内部空間S3と凹部2lの内部空間S4を含んで拡張された空間全体が、追加拡張空間である。内部空間S3と内部空間S4に挟まれた空間も基本拡張空間の一部である。
すなわち、本実施形態では、追加拡張空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W3が、追加流入空間中の内側空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W4よりも広くなっている。この内側空間は、追加流入空間中で凹部2kの内部空間S3よりも回転軸Pの側に位置する空間である。尚、幅W3は第3幅に相当し、幅W4は第4幅に相当する。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部22、23が形成されていることで、上記で説明した拡張部20、21の場合と同様に、第4向きCD4の側の排出口2fに流れ込む風の風速および風量のばらつきを抑えることができる。
図1に示すように、拡張部20は、点PT1から点PT2まで延びるように、連続的に形成されている。すなわち、基本拡張空間は、点PT1から点PT2まで延びるように、連続的に形成されている。拡張部21は、点PT1から点PT3まで延びるように、連続的に形成されている。すなわち、基本拡張空間は、点PT1から点PT3まで延びるように、連続的に形成されている。点PT1は、第1向きCD1に延びる所定直線(すなわち、矢印CD1で示されている直線)上の点である。点PT2、PT3は、該所定直線に平行で第2向きCD2におけるファン1の最端点PT4を通る直線SL1上の点である。このように、拡張部20、21の各々は、少なくとも、点PT1から、該所定直線に平行で第2向きCD2におけるファン1の最端点PT4を通る直線SL1上の点まで延びるように、連続的に形成されている。
このため、本遠心式送風機100では、第1向きCD1の側の側壁部2caの付近を流れる風(すなわち、主流1)を、拡張部20、21の内部空間S1、S2に通すことで、風速の比較的遅い風として確実に第2向きCD2の側の排出口2eにまで流すことができる。
同様に、図1に示すように、拡張部22は、点PT5から点PT6まで延びるように、連続的に形成されている。すなわち、追加拡張空間は、点PT5から点PT6まで延びるように、連続的に形成されている。拡張部23は、点PT5から点PT7まで延びるように、連続的に形成されている。すなわち、追加拡張空間は、点PT5から点PT7まで延びるように、連続的に形成されている。点PT5は、第3向きCD3に延びる所定直線(すなわち、矢印CD3で示されている直線)上の点である。点PT6、PT7は、該所定直線に平行で第4向きCD4におけるファンの最端点PT8を通る直線SL2上の点である。このように、拡張部22、23の各々は、少なくとも、点PT5から、該所定直線に平行で第4向きCD4におけるファンの最端点PT8を通る直線SL2上の点まで延びるように、連続的に形成されている。
このため、本遠心式送風機100では、第3向きCD3の側の側壁部2ccの付近を流れる風(すなわち、主流1)を、拡張部22、23の内部空間S3、S4に通すことで、風速の比較的遅い風として確実に第4向きCD4の側の排出口2fにまで流すことができる。
本実施形態では、図3、図4に示すように、拡張部20、21は、外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W1を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W2の1.5倍以上かつ2倍以下(例えば2倍)に拡張するように、形成されている。すなわち、拡張部20、21は、外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W1を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W2の1.5倍以上に拡張するように、形成されている。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部20、21の内部空間S1、S2が十分広くされることで風を十分に遅くすることができ、上記したような風速の均一化を十分に図ることができる。
同様に、図3、図5に示すように、拡張部22、23は、外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W3を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W4の1.5倍以上かつ2倍以下(例えば2倍)に拡張するように、形成されている。すなわち、拡張部22、23は、外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W3を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W4の1.5倍以上に拡張するように、形成されている。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部22、23の内部空間S3、S4が十分広くされることで風を十分に遅くすることができ、上記したような風速の均一化を十分に図ることができる。
図1に示すように、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファン1の遠心方向CDにおいて、ファン1と第1向きCD1の側の側壁部2caとの距離DT1が、ファン1と第2向きCD2の側の側壁部2cbとの距離DT2よりも短くなっている。すなわち、本実施形態では、第2向きCD2における回転軸Pから第2向きCD2の側の側壁部2cbまでの距離が、第1向きCD1における回転軸Pから第1向きCD1における回転軸Pから第1向きCD1の側の側壁部2caまでの距離よりも、長くなっている。
このように、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファンケース2の所定方向の体格(すなわち、第1向きCD1の体格)を小さくすることでファンケース2を小型化できるとともに、上記のように風速の均一化を図ることができる。
同様に、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファン1の遠心方向CDにおいて、ファン1と第3向きCD3の側の側壁部2ccとの距離DT3が、ファン1と第4向きCD4の側の側壁部2cdとの距離DT4よりも短くなっている。すなわち、本実施形態では、第4向きCD4における回転軸Pから第4向きCD4の側の側壁部2cdまでの距離が、第3向きCD3における回転軸Pから第3向きCD3における回転軸Pから第3向きCD3の側の側壁部2ccまでの距離よりも、長くなっている。
このように、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファンケース2の所定方向の体格(すなわち、第3向きCD3の体格)を小さくすることでファンケース2を小型化できるとともに、上記のように風速の均一化を図ることができる
なお、図1に示すように、遠心式送風機100には、ファンケース2における巻き始め側と巻き終わり側とが重なる部分である円弧状の部分であるノーズ部2m、2nが、形成されている。ノーズ部2mは、第1向きCD1の側の側壁部2caに形成されている。ノーズ部2mは、ファンケース2のうち第1、第2向きCD1、CD2の側を流れる風(すなわち、主流1、2など)が通る通風空間Sを形成する部分における巻き始め側(すなわち、風流れの最上流側)であり、ファンケース2のうち第3、第4向きCD3、CD4の側を流れる風(すなわち、主流3、4など)が通る通風空間Sを形成する部分における巻き終わり側(すなわち、風流れの最下流側)である。また、ノーズ部2nは、第3向きCD3の側の側壁部2ccに形成されている。ノーズ部2nは、ファンケース2のうち第3、第4向きCD3、CD4の側を流れる風(すなわち、主流3、4など)が通る通風空間Sを形成する部分における巻き始め側(すなわち、風流れの最上流側)であり、ファンケース2のうち第1、第2向きCD1、CD2の側を流れる風(すなわち、主流1、2など)が通る通風空間Sを形成する部分における巻き終わり側(すなわち、風流れの最下流側)である。
電動モータ3は、不図示の操作パネルで設定された風量に応じた通電量が給電されたときに該通電量に応じた回転数で回転軸3aを回転させることでファン1を回転させるモータである。
上記したように、本実施形態に係る遠心式送風機100は、他方第1壁部2baの上記外側部分には、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W1を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W2よりも拡張する、拡張部20、21が形成されている。すなわち、本実施形態では、基本拡張空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W1が、基本流入空間中の内側空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W2よりも広くなっている。この内側空間は、基本流入空間中で凹部2hの内部空間S1よりも回転軸Pの側に位置する空間である。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部20、21が形成されていることで、主流1は、拡張部20、21によって広くなっている通風空間Sを通って、第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む。つまり、主流1は、広い通風空間Sを通ることで、通風空間Sの幅が全体的に均一の場合に比べて流速が遅くなり、流速の遅い状態で第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む。よって、通風空間Sの幅が全体的に均一の場合に比べて、主流1と主流2との風速差が小さくなる。このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部20、21が形成されていることで、第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む風の風速を均一とすることができる。このように、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファンの遠心方向CDである上記所定方向の側(すなわち、第1向きCD1の側)に排出口を設けない構成においても、風速を均一とすることができる。つまり、本実施形態に係る遠心式送風機100では、該所定方向における体格を小さくしても、風速を均一とすることができる。
同様に、本実施形態に係る遠心式送風機100では、他方第3壁部2bcの上記外側部分には、該外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W3を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W4よりも拡張する、拡張部22、23が形成されている。すなわち、本実施形態では、追加拡張空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W3が、追加流入空間中の内側空間における回転軸方向PDに沿った一方壁部2aから他方壁部2bまでの幅W4よりも広くなっている。この内側空間は、追加流入空間中で凹部2kの内部空間S3よりも回転軸Pの側に位置する空間である。これにより、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部20、21が形成されていることによる効果と同様に、風速を均一とすることができる。
また、本実施形態に係る遠心式送風機100は、拡張部20、21が、少なくとも、点PT1から、上記所定直線に平行で第2向きCD2におけるファンの最端点PT4を通る直線SL1上の点PT2、PT3まで延びるように、連続的に形成されている。すなわち、本実施形態に係る遠心式送風機100では、基本拡張空間は、点PT1から点PT2、PT3まで延びるように、連続的に形成されている。
このため、本遠心式送風機100では、第1向きCD1の側の側壁部2caの付近を流れる風(すなわち、主流1)を、拡張部20、21の内部空間S1に通すことで、風速の比較的遅い風として確実に第2向きCD2の側の排出口2eにまで流すことができる。
同様に、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部22、23が、少なくとも、点PT5から、上記所定直線に平行で第4向きCD4におけるファンの最端点PT8を通る直線SL2上の点まで延びるように、連続的に形成されている。すなわち、本実施形態に係る遠心式送風機100では、追加拡張空間は、点PT5から点PT6、PT7まで延びるように、連続的に形成されている。これにより、拡張部20、21の場合の効果と同様に、風速の比較的遅い風として確実に第4向きCD4の側の排出口2fにまで流すことができる。
また、本実施形態に係る遠心式送風機100は、導入口2dが、回転軸方向PDにおける上記一方側を風の上流側、回転軸方向PDにおける上記他方側を風の下流側とするように、開口している。そして、2個の排出口2e、2fは、それぞれ、回転軸方向PDにおける上記一方側を風の上流側、回転軸方向PDにおける他方側を風の下流側となるように開口している。すなわち、本実施形態に係る遠心式送風機100では、導入口2dの内部空間S10は、一方壁部2aに形成されている。また、排出口2eの内部空間S11は、他方壁部2bに形成されている。また、排出口2fの内部空間S12は、他方壁部2bに形成されている。
このため、本遠心式送風機100では、逆向きに(すなわち、上記他方側を風の上流側、上記一方側を風の下流側となるように)排出口が開口する場合に比べて、導入口2dから導入された風を少ない圧損で排出口2e、2fから提供することができる。
また、本実施形態に係る遠心式送風機100は、拡張部20、21が、外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W1を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W2の1.5倍以上に拡張するように、形成されている。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、拡張部20、21の内部空間S1、S2が十分広くされることで風を十分に遅くすることができ、上記したような風速の均一化を十分に図ることができる。
同様に、本実施形態に係る遠心式送風機100は、拡張部22、23が、外側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W3を、内側部分によって囲まれる通風空間Sの幅W4の1.5倍以上に拡張するように、形成されている。これにより、拡張部20、21の場合の効果と同様に、拡張部22、23の内部空間S3、S4が十分広くされることで風を十分に遅くすることができる。
また、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファン1の遠心方向CDにおいて、ファン1と第1向きCD1の側の側壁部2caとの距離DT1が、ファン1と第2向きCD2の側の側壁部2cbとの距離よりも短くなっている。すなわち、本実施形態では、第2向きCD2における回転軸Pから第2向きCD2の側の側壁部2cbまでの距離が、第1向きCD1における回転軸Pから第1向きCD1における回転軸Pから第1向きCD1の側の側壁部2caまでの距離よりも、長くなっている。
このように、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファンケース2の上記所定方向の体格(すなわち、第1向きCD1の体格)を小さくすることでファンケース2を小型化できるとともに、上記のように風速の均一化を図ることができる。
同様に、本実施形態に係る遠心式送風機100では、ファン1の遠心方向CDにおいて、ファン1と第3向きCD3の側の側壁部2ccとの距離DT3が、ファン1と第4向きCD4の側の側壁部2cdとの距離DT4よりも短くなっている。すなわち、本実施形態では、第4向きCD4における回転軸Pから第4向きCD4の側の側壁部2cdまでの距離が、第3向きCD3における回転軸Pから第3向きCD3における回転軸Pから第3向きCD3の側の側壁部2ccまでの距離よりも、長くなっている。これにより、拡張部20、21の場合の効果と同様に、ファンケース2の上記所定方向の体格(すなわち、第3向きCD3の体格)を小さくすることでファンケース2を小型化できるとともに、上記のように風速の均一化を図ることができる。
(第2実施形態)
本開示の第2実施形態について図7〜図11を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態における拡張部20〜23の配置を変更したものである。その他については基本的には第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様である旨を特に明示する場合を除いて第1実施形態と異なる部分のみについて説明する。なお、図7は、第1実施形態における図1に対応する図である。また、図7、図11において、符号20が付された破線は、拡張部20の外縁を示している。また、図7、図11において、符号21が付された破線は、拡張部21の外縁を示している。また、図7、図11において、符号22が付された破線は、拡張部22の外縁を示している。また、図7、図11において、符号23が付された破線は、拡張部23の外縁を示している。また、図11において、符号無しの実線で示されている矢印は、流れる風の向きを示している。
第1実施形態では、拡張部20の遠心方向CDにおける最外縁OEが、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されていた。これに対し、本実施形態では、拡張部20のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caよりも第3向きCD3の側に離されて位置している。なお、拡張部20のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。
また、第1実施形態では、拡張部21の遠心方向CDにおける最外縁OEが、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。これに対し、本実施形態では、拡張部21のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caよりも第3向きCD3の側に離されて位置している。なお、拡張部21のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。
すなわち、本実施形態では、基本拡張空間における所定の上流部分は、第1向きCD1の側の側壁部2caに接し、基本拡張空間における下流部分は、第1向きCD1の側の側壁部2caから、回転軸3a側に離れている。この下流部分は、基本拡張空間における当該上流部分よりも風流れ下流側の部分である。
第1実施形態では、拡張部22の遠心方向CDにおける最外縁OEが、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されていた。これに対し、本実施形態では、拡張部22のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccよりも第1向きCD1の側に離されて位置している。なお、拡張部22のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。
第1実施形態では、拡張部23の遠心方向CDにおける最外縁OEが、その回転向きRDにおける手前側から先側に至る全体において、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されていた。これに対し、本実施形態では、拡張部23のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccよりも第1向きCD1の側に離されて位置している。なお、拡張部23のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。
すなわち、本実施形態では、追加拡張空間における所定の上流部分は、第3向きCD3の側の側壁部2ccに接し、追加拡張空間における下流部分は、第3向きCD3の側の側壁部2ccから、回転軸3a側に離れている。この下流部分は、追加拡張空間における当該上流部分よりも風流れ下流側の部分である。
ここで、発明者の検討によると、図11に示す領域Aにおいては、主流1と主流2との境界となることから、主流1や主流2の基本的な風速に比べて風速の遅い風が流れることが明らかとなった。この領域Aは、通風空間Sのうち、第1向きCD1の側の側壁部2caと第2向きCD2の側の側壁部2cbとの境界付近であって、第1向きCD1の側の側壁部2caから第3向きCD3の側に離れた領域である。つまり、この種の遠心式送風機では、この領域Aを通る風の風速が遅いことによって風の風速の不均一が発生する。
このような事情であるところ、本実施形態では、上記したように、拡張部20のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。そして、拡張部20のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caよりも第3向きCD3の側に離されて位置している。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、第1向きCD1の側の側壁部2caに沿って流れる風速の速い風は、拡張部20の内部空間S1を流れ、風速の比較的遅い風として第2向きCD2の側の排出口2eの側に流される。この風は、拡張部20によって風速が遅くなるものの、もともと第1向きCD1の側の側壁部2caに沿って流れる風速の速い風(すなわち、主流2に比べて風速の速い風)である。そして、本実施形態に係る遠心式送風機100では、この風速の速い風を、第1向きCD1の側の側壁部2caよりも第3向きCD3の側に離されて位置する上記領域Aに通すことで、該領域Aの風速を速くすることができる。これにより、第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む風の風速をより均一とすることができる。
また、本実施形態では、上記したように、拡張部21のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caに直接接続されている。そして、拡張部21のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第1向きCD1の側の側壁部2caよりも第3向きCD3の側に離されて位置している。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、上記した拡張部20の場合と同様の理由から、領域Aの風速を速くすることができ、これにより、第2向きCD2の側の排出口2eに流れ込む風の風速をより均一とすることができる。
また、本実施形態では、上記したように、拡張部22のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。そして、拡張部22のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccよりも第1向きCD1の側に離されて位置している。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、上記した拡張部20の場合と同様の理由から、第4向きCD4の側の排出口2fに流れ込む風の風速をより均一とすることができる。
また、本実施形態では、上記したように、拡張部23のうち回転向きRDにおける手前側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccに直接接続されている。そして、拡張部23のうち回転向きRDにおける先の側の部分の遠心方向CDにおける最外縁OEは、第3向きCD3の側の側壁部2ccよりも第1向きCD1の側に離されて位置している。
このため、本実施形態に係る遠心式送風機100では、上記した拡張部20の場合と同様の理由から、第4向きCD4の側の排出口2fに流れ込む風の風速をより均一とすることができる。
(他の実施形態)
本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、第1、第2実施形態では、拡張部20および拡張部21は、遠心方向CDにおいて互いに略同一の領域に配置されていた。また、拡張部22および拡張部23は、遠心方向CDにおいて互いに略同一の領域に配置されていた。そこで、第1実施形態において、図12に示すように、拡張部20および拡張部21を、遠心方向CDにおいて互いに異なる領域に配置しても良い。同様に、第1実施形態において、拡張部22および拡張部23を、遠心方向CDにおいて互いに異なる領域に配置しても良い。
また、上記実施形態において、拡張部20および拡張部21のうち一方を省略(すなわち、凹部を削除して平面とする)しても良い。なお、図13では、第2実施形態において拡張部21を省略(すなわち、凹部2iを削除して平面とする)した例を示してある。また、同様に、上記実施形態において、拡張部22および拡張部23のうち一方を省略(すなわち、凹部を削除して平面とする)しても良い。
また、第1、第2実施形態では、拡張部20、21は、回転向きRDにおける手前側から先側に至るまで幅W1が略一定となるように、形成されていた。上記実施形態において、拡張部20、21は、幅W1が略一定でないように、形成されていても良い。同様に、上記実施形態において、拡張部22、23は、幅W3が略一定でないように、形成されていても良い。なお、図14では、第2実施形態において、回転向きRDにおける手前側から先側に向かうにつれて幅W1が狭まるように、拡張部20が形成されている例を示してある。
また、第1、第2実施形態では、凹部2h〜2kの断面形状が四角形であったが、凹部2h〜2kの断面形状はこれに限られるものでは無い。すなわち、例えば、上記実施形態において、図15に示すように、凹部2h〜2kの断面形状を、円弧形としても良い。また、上記実施形態において、図16に示すように、凹部2h〜2kの断面形状を、三角形としても良い。
また、上記実施形態において、2個の排出口2e、2fのうち一方が廃されていても良い。
上記実施形態では、排出口2eが、他方第2壁部2bbの一部として形成されていた。しかしながら、上記実施形態において、排出口2eは、一方第2壁部2abの一部として形成されていても良く、一方第2壁部2abおよび他方第2壁部2bbの一部として形成されていても良い。また、上記実施形態では、排出口2fが、第4壁部2bdの一部として形成されていた。しかしながら、同様に、一方第4壁部2adの一部として形成されていても良く、一方第4壁部2adおよび他方第4壁部2bdの一部として形成されていても良い。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点では、遠心式送風機において、基本流入空間中の所定の基本拡張空間における回転軸の方向に沿った一方壁部から他方壁部までの第1幅が、基本流入空間中で基本拡張空間よりも回転軸の側に位置する内側空間における回転軸の方向に沿った一方壁部から他方壁部までの第2幅よりも広い。
第2の観点では、第1の観点における遠心式送風機において、さらに、回転軸に直交しながら回転軸から基本拡張空間の風流れ上流端に向かう第1向きと、回転軸に直交しながら回転軸から基本排出孔に向かう第2向きとが、直交している。また、基本拡張空間は、少なくとも、第1向きに延びる所定直線上の点から、所定直線に平行で第2向きにおけるファンの最端点を通る直線上の点まで延びるように、連続的に形成されている。
この第2の観点によれば、第1向きの側の側壁部の付近を流れる風を、風速の比較的遅い風として確実に第2向きの側の排出口にまで流すことができる。
第3の観点では、第1または第2の観点における遠心式送風機において、さらに、基本拡張空間における所定の上流部分は、側壁部に接し、基本拡張空間における上流部分よりも風流れ下流側の下流部分は、側壁部から離れている。
この第3の観点によれば、排出口に流れ込む風の風速をより均一とすることができる。尚、この詳細は上記第2実施形態の説明に記載してある。
第4の観点では、導入孔は一方壁部に形成され、基本排出口は他方壁部に形成されている。
この第4の観点によれば、導入口から導入された風を少ない圧損で排出口から提供することができる。
第5の観点では、第1ないし第4のいずれか1つの観点における遠心式送風機において、さらに、第1幅が第2幅の1.5倍以上である
この第5の観点によれば、風を十分に遅くすることができ、風速の均一化を十分に図ることができる。
第6の観点では、第1ないし第5のいずれか1つの観点における遠心式送風機において、さらに、回転軸に直交しながら回転軸から基本排出孔に向かう基本所定向きにおける回転軸から側壁部までの距離は、回転軸に直交しながら基本所定向きに対して回転軸を中心としてファンの逆回転側に90°ずれた向きにおける回転軸から側壁部までの距離よりも、短い。
この第6の観点によれば、ファンケースの所定方向の体格を小さくすることでファンケースを小型化できるとともに、風速および風量のばらつきを抑えることができる。
第7の観点では、遠心式送風機において、追加流入空間中の所定の追加拡張空間における回転軸の方向に沿った一方壁部から他方壁部までの第3幅が、追加流入空間中で追加拡張空間よりも回転軸の側に位置する内側空間における回転軸の方向に沿った一方壁部から他方壁部までの第4幅よりも広い。
この第7観点によれば、ファンの遠心方向である所定方向の側に排出口を設けない構成においても、風速を均一とすることができる。つまり、この遠心送風機では、該所定方向における体格を小さくしても、風速を均一とすることができる。
第8の観点では、第7の観点における遠心式送風機において、さらに、回転軸に直交しながら回転軸から基本拡張空間の風流れ上流端に向かう第3向きと、回転軸に直交しながら回転軸から追加排出孔に向かう第4向きとが、直交している。また、追加拡張空間は、少なくとも、第3向きに延びる所定直線上の点から、所定直線に平行で第4向きにおけるファンの最端点を通る直線上の点まで延びるように、連続的に形成されている。
この第8の観点によれば、第3向きの側の側壁部の付近を流れる風を、風速の比較的遅い風として確実に第4向きの側の排出口にまで流すことができる。
第9の観点では、第7または第8の観点における遠心式送風機において、さらに、追加拡張空間における所定の上流部分は、側壁部に接し、追加拡張空間における上流部分よりも風流れ下流側の下流部分は、側壁部から離れている。
この第9の観点によれば、排出口に流れ込む風の風速をより均一とすることができる。尚、この詳細は上記第2実施形態の説明に記載してある。
第10の観点では、導入孔は一方壁部に形成され、追加排出口は他方壁部に形成されている。この第10の観点によれば、導入口から導入された風を少ない圧損で排出口から提供することができる。
第11の観点では、第7ないし第10のいずれか1つの観点における遠心式送風機において、さらに、第3幅が第4幅の1.5倍以上である
この第11の観点によれば、風を十分に遅くすることができ、風速の均一化を十分に図ることができる。
第12の観点では、第7ないし第11のいずれか1つの観点における遠心式送風機において、さらに、回転軸に直交しながら回転軸から追加排出孔に向かう追加所定向きにおける回転軸から側壁部までの距離は、回転軸に直交しながら追加所定向きに対して回転軸を中心としてファンの逆回転側に90°ずれた向きにおける回転軸から側壁部までの距離よりも、短い。
この第12の観点によれば、ファンケースの所定方向の体格を小さくすることでファンケースを小型化できるとともに、風速の均一化を図ることができる。