JP6641704B2 - 導電性部材、それを含む回路基板、電極基板、及び反射材 - Google Patents

導電性部材、それを含む回路基板、電極基板、及び反射材 Download PDF

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Description

本発明は、導電性部材とその製造方法、それを含む回路基板、電極基板、及び反射材に関する。
回路基板の配線パターンや電極基板の電極層は、基板上に導電性インクを塗布した後、該塗膜を熱処理(ベーク)して形成されうる。
基板上の限られたスペースに導電性インクをパターン状に塗布するためには、線幅を細くしたり、隣り合う配線との間隔を狭くしたりすることが求められる。そのため、導電性インクの塗布方法としては、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法が採用されている。
そして、導電性インクの塗膜に含まれる金属ナノ粒子や金属錯体を融着(焼結)させるために、該塗膜を熱処理(ベーク)する。熱処理(ベーク)は、通常、300℃以上の高温で行われる。
このようにして用いられる導電性インクとしては、例えば金属コロイド液と、1以上のアミノ基を有するアミン化合物を含む安定化剤とを含む導電性インクが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1では、安定化剤を構成するアミン化合物が、金属コロイド液の金属粒子表面に局在化した有機成分の親水性基と相互作用することで、金属粒子を均一かつ長期間分散できることが記載されている。さらに、導電性インクの分散性を良好にすることで、焼結温度が低くても導電性被膜が得られることが記載されている。
また、還元力を有するカルボン酸と銅イオンからなる銅塩の微粒子(A)と、配位性化合物(B)とを含む導電性インクも知られている(例えば特許文献2)。特許文献2では、加熱処理時に微粒子(A)の銅イオンがカルボン酸により還元され、金属銅となることで導電性が付与されること;配位性化合物(B)は、銅塩の微粒子(A)の分散性向上や銅イオンの還元反応の安定化の役割を担うことが記載されている。
さらに、アミン系化合物を含む金属混合物と、分散剤でキャップされた金属ナノ粒子と、有機溶剤とを含む導電性インクも知られている(例えば特許文献3)。特許文献3では、アミン系化合物は、CH(CH)nNHの構造を有する化合物であること;分散剤が脂肪族アミンであることが記載されている。
特開2014−240491号公報 特開2011−241309号公報 特開2006−332051号公報
ところで、十分な導電性を有する導電性層を得るためには、導電性インクの塗膜を熱処理(ベーク)する過程で、配位化合物や安定化剤を十分に除去することが望まれる。しかしながら、特許文献1〜3に示されるような導電性インクは、配位化合物や安定化剤を十分に除去するためには、高い温度で熱処理(ベーク)する必要があった。そのため、耐熱性の低い基板上に、十分な導電性を有する導電性層を形成することはできなかった。
一方で、焼結温度を単に低くするだけでは、導電性インク中の配位化合物や安定化剤を十分に除去できないため、得られる導電性層のシート抵抗値が増大し、十分な導電性が得られない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、基板(例えば耐熱性の低い基板)上に十分な導電性を有する導電性層が設けられた導電性部材を提供することを目的とする。
[1] 基板と、前記基板上に設けられ、金属と、重量平均分子量125以上1000以下の含窒素芳香族複素環化合物とを含む導電性層とを含む、導電性部材。
[2] 前記含窒素芳香族複素環化合物が、イミダゾール環及びピリジン環の少なくとも一方を有する、[1]に記載の導電性部材。
[3] 前記含窒素芳香族複素環化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する、[1]又は[2]に記載の導電性部材。
Figure 0006641704
(一般式(1)中、X〜X10は、−CR又は窒素原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表し;Rは、水素原子又は置換基を表し;Lは、置換基を表す)
[4] 前記含窒素芳香族複素環化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する、[1]又は[2]に記載の導電性部材。
Figure 0006641704
(一般式(2)中、Y〜Yは、−CR又は窒素原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表し;Rは、水素原子又は置換基を表し;L及びLは、それぞれ置換基を表す)
[5] 前記含窒素芳香族複素環化合物の含有量は、前記導電性層に対して5質量%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の導電性部材。
[6] 前記金属が銀である、[1]〜[5]のいずれかに記載の導電性部材。
[7] 前記基板は、ガラス転移温度が100℃以下の樹脂基板である、[1]〜[6]のいずれかに記載の導電性部材。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の導電性部材を含む、回路基板。
[9] [1]〜[7]のいずれかに記載の導電性部材を含む、電極基板。
[10] [1]〜[7]のいずれかに記載の導電性部材を含む、透明電極基板。
[11] [1]〜[7]のいずれかに記載の導電性部材を含む、反射材。
[12] 基板上に、金属ナノ粒子及び金属錯体のうち少なくとも一方と、分散剤と、焼結温度低下剤である含窒素芳香族複素環化合物と、溶剤とを含む導電性インクを塗布する工程と、前記導電性インクの塗膜を60〜150℃で加熱して、導電性層を得る工程とを含む、導電性部材の製造方法。
本発明によれば、基板(例えば耐熱性の低い基板)上に十分な導電性を有する導電性層が設けられた導電性部材を提供することができる。
有機ELデバイスの一例を示す概略断面図である。
本発明者らは、金属ナノ粒子と分散剤とを含む導電性インクに、特定の含窒素芳香族複素環化合物をさらに含有させることで、導電性インクの焼結温度を低くしうること;それにより、耐熱性の低い基板上にも十分な導電性を有する導電性層を形成できることを見出した。
特定の含窒素芳香族複素環化合物を含有させることで、導電性インクの焼結温度を低くできる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。導電性インク中の分散剤は、金属ナノ粒子に配位し、その周囲をシェルのように覆っている。金属ナノ粒子に配位した分散剤は、焼結時の加熱によって金属ナノ粒子から脱離し、金属ナノ粒子同士が融着して導電性層となる。従って、十分な導電性を有する導電性層を得るためには、焼結時の加熱により、分散剤を可能な限り(好ましくは完全に)除去する(揮発させる)ことが望まれる。
これに対して、特定の含窒素芳香族複素環化合物は、分散剤よりも金属ナノ粒子を構成する金属との相互作用が大きいことから、焼結時の加熱下で金属ナノ粒子を攻撃し、それに配位した分散剤と置換しやすい。それにより、特定の含窒素芳香族複素環化合物は、分散剤の金属ナノ粒子からの脱離を促進し、その結果、金属ナノ粒子同士の融着を進行させることができる。
このような導電性インクを用いることで、低い焼成温度で導電性層を形成できるので、耐熱性の低い基板上に十分な導電性を有する導電性部材を得ることができる。さらに、特定の含窒素芳香族複素環化合物は一定以上の分子量を有することから、通常、焼成温度では揮発しにくい。従って、本発明の導電性部材に含まれる導電性層は、特定の含窒素芳香族複素環化合物が残留している。本発明はこのような知見に基づきなされたものである。
1.導電性インク
本発明の導電性インクは、金属ナノ粒子及び金属錯体のうち少なくとも一方と、分散剤と、焼結温度低下剤である含窒素芳香族複素環化合物と、溶剤とを含む。
1-1.金属ナノ粒子/金属錯体
(金属ナノ粒子)
本発明の導電性インクに含まれる金属ナノ粒子は、ナノサイズの平均粒子径を有する金属粒子である。金属ナノ粒子を構成する金属は、特に制限されないが、その例には、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)又はこれらの合金が含まれる。導電性に優れる点で、金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)が好ましく、銀(Ag)がより好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒子径は、1〜50nmであることが好ましく、1〜20nmであることがより好ましく、1〜10nmであることがさらに好ましい。金属ナノ粒子の平均粒子径が小さいほど、量子サイズ効果が大きくなり、金属ナノ粒子の融点が下がりやすい。つまり、焼結温度が低くなり、基材選択の幅が広がりやすい。また、透明電極を作製する場合、充分に高い光透過率を得るためには、導電性層を10nm前後に薄くすることが望まれる。金属ナノ粒子の平均粒子径を小さくすることで、導電性層を薄く形成しやすいことから、高い光透過率を有する導電性層が得られやすい。金属ナノ粒子の平均粒子径は、BET法(比表面積測定)により測定することができる。
(金属錯体)
本発明の導電性インクに含まれる金属錯体は、金属原子又は金属イオンと、それに配位する配位子とを含む化合物である。金属錯体を構成する金属の例には、金属ナノ粒子を構成する金属と同様のものが含まれ、導電性に優れる点では、金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)が好ましく、銀(Ag)がより好ましい。
金属錯体を構成する配位子の例には、NO 、CN、SCN、SO 2−、チオウレア、アンモニア、アンモニウムカルバメート系化合物、アンモニウムカーボネート系化合物等が含まれる。
これらの中でも、金属錯体は、銀錯体であることが好ましく、下記一般式(3)で表される銀錯体化合物であることがより好ましい。
Figure 0006641704
一般式(3)のAは、下記一般式(4)〜(6)で表される配位子を示す。mは、0.5〜1.5である。
Figure 0006641704
一般式(4)〜(6)において、R〜Rは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。これらの基は、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、シアノ基等の置換基をさらに有していてもよい。ただし、R〜Rのうち少なくとも一つは、水素原子でないものとする。一般式(4)〜(6)で表される配位子の例には、特表2009−535661の請求項5に記載の化合物が含まれる。
導電性インクにおける金属ナノ粒子又は金属錯体の含有量は、導電性インクに対して0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましい。金属ナノ粒子又は金属錯体の含有量が一定以上であると、十分な導電性を有する導電性層が得られやすい。金属ナノ粒子又は金属錯体の含有量が一定以下であると、導電性インクの粘度の過剰な上昇を抑制しやすい。
1-2.分散剤
本発明の導電性インクに含まれる分散剤は、金属ナノ粒子又は金属錯体の分散性を高める機能を有しうる。そのような分散剤の例には、アミン化合物やチオール化合物が含まれる。
アミン化合物は、脂肪族アミン化合物であることが好ましく、アルキル部分の炭素原子数が4〜10の脂肪族アミン化合物がより好ましい。脂肪族アミン化合物の例には、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアルキルアミン;オレイルアミン等のアルケニルアミンが含まれる。チオール化合物は、脂肪族チオール化合物であることが好ましい。脂肪族チオールの例にはヘキサンチオール、ペンタンジチオール、デカンチオール、ドデカンチオール等のアルキルチオールが含まれる。分散剤は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。
導電性インクにおける分散剤の含有量は、金属ナノ粒子又は金属錯体に対して10〜1000質量%であることが好ましく、50〜500質量%であることがより好ましい。分散剤の含有量が一定以上であると、金属ナノ粒子又は金属錯体の分散性を十分に高めやすい。分散剤の含有量が一定以下であると、導電性インクの粘度の過剰な上昇を抑制しやすい。
1-3.焼結温度低下剤
本発明の導電性インクに含まれる焼結温度低下剤は、含窒素芳香族複素環を含む化合物(含窒素芳香族複素環化合物)でありうる。含窒素芳香族複素環とは、環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環である。そのような窒素原子は、活性の高い非共有電子対を有しうることから、加熱下において、金属ナノ粒子や金属錯体を構成する金属と強く相互作用し、当該金属からの分散剤の脱離を促進しうると考えられる。
含窒素芳香族複素環化合物の重量平均分子量は、125以上1000以下であることが好ましく、150以上1000以下であることが好ましく、300以上1000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が125以上である含窒素芳香族複素環化合物は、焼結時の加熱によって、分散剤より先に揮発することなく、金属ナノ粒子又は金属錯体を構成する金属と十分に相互作用しやすい。重量平均分子量が1000以下である含窒素芳香族複素環化合物は、得られる導電性層中に過剰には残留しないので、シート抵抗値の増大を抑制しやすい。
含窒素芳香族複素環化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。測定条件は、以下の通りとしうる。
(測定条件)
溶媒 : テトラヒドロフラン
カラム : 東ソー製TSKgel G4000+2500+2000HXL
カラム温度: 40℃
注入量 : 100μl
検出器 : RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ : L6000(日立製作所(株)製)
流量 : 1.0ml/min
校正曲線 : 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13のサンプルによる校正曲線を使用する。13のサンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
含窒素芳香族複素環化合物に含まれる含窒素芳香族複素環は、窒素原子を環構成原子として含む芳香族複素環であり、その例には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が含まれる。これらの環の二以上が縮合していてもよいし;これらの環と芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環)又は他の芳香族複素環(例えばチオフェン環)とが縮合していてもよい。
これらの中でも、金属ナノ粒子又は金属錯体を構成する金属と相互作用しやすいことから、「芳香族性に関与しない非共有電子対を有する窒素原子」を環構成原子として含む含窒素芳香族複素環が好ましい。
「芳香族性に関与しない非共有電子対を有する窒素原子」とは、非共有電子対を有する窒素原子であって、当該非共有電子対が共役不飽和環構造(芳香環)上の非局在化したπ電子系に、芳香性発現のために必須のものとして関与していないものをいう。「芳香族性に関与しない非共有電子対を有する窒素原子」の詳細は、特願2014−213474の段落0057〜0079の記載された通りである。そのような窒素原子は求核性が強く、金属原子に対する配位性も高いことから、金属ナノ粒子又は金属錯体を構成する金属との間で高い相互作用を発現しうると考えられる。
「芳香族性に関与しない非共有電子対を有する窒素原子」を環構成原子として含む含窒素芳香族複素環の例には、前述した含窒素芳香族複素環のうちピロール環以外のものが含まれ、好ましくはピリジン環又はイミダゾール環でありうる。
含窒素芳香族複素環化合物は、下記一般式(1)又は(2)で表される構造を有することが好ましい。これらの構造を有する化合物は、芳香族性に関与しない非共有電子対を有する窒素原子を有するだけでなく、窒素原子の求核性が向上して、金属ナノ粒子又は金属錯体を構成する金属との間でより強い相互作用が生じることから、低い焼成温度でも、シート抵抗値が十分に低い導電性層を得ることができると考えられる。
Figure 0006641704
一般式(1)のX〜X10は、−CR又は窒素原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。−CRのRは、水素原子又は置換基を表す。
置換基の例には、アルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、カルバゾリル基、ベンゾピリジニル基、ベンゾイミダゾリル基等)、−P(=O)R3、ハロゲン原子、アミノ基、チオール基等が含まれる。これらの中でも、アリール基又はヘテロアリール基が好ましい。−P(=O)RにおけるR及びRは、それぞれRと同義でありうる。
一般式(1)のLは、置換基を表す。Lで表される置換基は、Rで表される置換基と同義である。
Figure 0006641704
一般式(2)のY〜Yは、−CR又は窒素原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。−CRのRは、水素原子又は置換基を表す。
一般式(2)のL及びLは、それぞれ置換基を表す。L及びLで表される置換基は、それぞれ一般式(1)のRで表される置換基と同義である。
焼結温度低下剤の具体例には、以下の化合物が含まれる。
Figure 0006641704
Figure 0006641704
Figure 0006641704
Figure 0006641704
Figure 0006641704
Figure 0006641704
Figure 0006641704
焼結温度低下剤は、例えば0.5質量%の焼結温度低下剤を含む導電性インクの焼結温度が、焼結温度低下剤を含まないインクの焼結温度よりも40℃以上低くなるような化合物でありうる。焼結温度は、導電性インクの塗膜を5分間加熱して得られる、厚み200nmの導電性層のシート抵抗値が4Ω/□以下となる温度でありうる。
このように、焼結温度低下剤は、金属ナノ粒子又は金属錯体からの分散剤の脱離を促進し、金属ナノ粒子同士又は金属錯体同士の焼結(融着)を促進させると考えられる。
一方で、焼結温度低下剤の重量平均分子量が比較的大きいことから、通常、焼結時に要される温度では揮発しにくい。つまり、焼結温度低下剤は、得られる導電性層中に残存しやすく、その残留量が多すぎると、導電性を低下させる虞がある。従って、焼結温度低下剤の含有量は、焼結時の分散剤の脱離促進効果が得られる範囲でできるだけ少ないことが好ましい。
導電性インクにおける焼結温度低下剤の含有量は、導電性インクに対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜1質量%であることが更に好ましい。焼結温度低下剤の含有量が0.01質量%以上であると、導電性インク中の焼結温度を十分に低くしうる。焼結温度低下剤の含有量が10質量%以下であると、得られる導電性層中に残留する焼結温度低下剤の量を少なくできるので、導電性層のシート抵抗値の増大を好ましく抑制しうる。
1-4.溶剤
本発明の導電性インクに含まれる溶剤は、前述の各成分を安定に分散させうるものであればよく、アルコール類、エーテル類、エステル類、脂肪族炭化水素類又は芳香族炭化水素類でありうる。
アルコール類の例には、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が含まれる。エーテル類の例には、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が含まれる。エステル類の例には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が含まれる。脂肪族炭化水素類の例には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が含まれる。芳香族炭化水素類の例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が含まれる。
これらの中でも、コストや安全性の観点から、ヘキサノール、ターピネオール、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
1-5.その他
本発明の導電性インクは、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、バインダー樹脂、表面張力調整剤、粘度調整剤等が含まれる。
1-6.導電性インクの物性
本発明の導電性インクの25℃における粘度は、例えばインクジェット法等で塗布する観点から、0.001〜10Pa・sであることが好ましい。インクの粘度は、E型粘度計により、25℃、1rpmで測定することができる。
1-7.導電性インクの調製方法
本発明の導電性インクは、前述した各成分を混合して得ることができる。導電性インクの調製に用いられる金属ナノ粒子又は金属錯体は、粉末状であってもよいし、媒体中に分散された分散体であってもよい。
金属ナノ粒子又は金属錯体の分散体は、金属ナノ粒子又は金属錯体と、前述の分散剤と、前述の溶剤とを含みうる。そのような分散体の市販品の例には、シグマアルドリッチ社製、製品番号741949、730785;テックサイエンス社製、Copper,QSI-Nano;Ink Tech社製、TEC-IJ-010等が含まれる。そのような分散体と、焼結温度低下剤と、必要に応じてイオン交換水とを混合することで、導電性インクを得ることができる。
本発明の導電性インクは、後述するように電子デバイスの配線パターン、電極、反射膜等を形成する材料として好ましく用いられる。
2.導電性部材
本発明の導電性部材は、基板と、その上に設けられた導電性層とを有する。導電性層は、本発明の導電性インクから得られる層である。
2-1.基板
基板は、透明であっても不透明であってもよい。基板の材質は、ガラス、樹脂でありうる。
ガラスの例には、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の低い基板、例えばガラス転移温度が150℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは100℃以下の樹脂を主成分とする基板を用いることができる。本発明の導電性インクを用いることで、焼結温度を低くしうるからである。耐熱性が低い基板の例には、ポリエチレンテレフタレートやポリメチルメタクリレート等が含まれる。
基板の厚みは、用途にもよるが、例えば1〜10000μm程度であり、10〜500μmであることが好ましい。薄厚の樹脂フィルムとしては、例えば100〜500μm、好ましくは100〜200μmのフィルムも用いることができる。本発明の導電性インクを用いることで焼結温度を低くできるので、例えば薄厚の樹脂フィルムも好ましく用いることができる。
基板の形状は、用途に応じて種々の形状を有しうる。例えば、後述する反射材の基板は、平板状又はフィルム状に限らず、曲面状等の任意の形状を有しうる。
2-2.導電性層
導電性層は、本発明の導電性インクから得られる層であって、金属と、重量平均分子量125以上1000以下の含窒素芳香族複素環化合物とを含む。
導電性層に含まれる金属は、前述の金属ナノ粒子又は金属錯体を構成する金属と同義であり、金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)であることが好ましく、銀(Ag)であることがより好ましい。
導電性層における金属の含有量は、十分な導電性を得る観点から、導電性層全体に対して60質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
導電性層に含まれる、重量平均分子量125以上1000以下の含窒素芳香族複素環化合物は、本発明の導電性インクに含まれる焼結温度低下剤の残留物でありうる。焼結温度低下剤は、金属ナノ粒子や金属錯体の金属粒子からの分散剤の脱離を促進する一方、それ自体は残留しやすいからである。
導電性層における当該含窒素芳香族複素環化合物の含有量は、導電性層全体に対して例えば10質量%以下であり、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。当該含窒素芳香族複素環化合物の含有量が一定以下であると、導電性層のシート抵抗値の増大が少ないからである。
導電性層のシート抵抗値は、例えば20Ω/□以下であり、10Ω/□以下であることが好ましい。そのようなシート抵抗値を有する導電性層は、例えば配線パターンや電極層として好適である。導電性層のシート抵抗値は、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用いて、4探針法定電流印加方式で測定することができる。
導電性層の厚みは、用途にもよるが、例えば50〜10000nmであることが好ましく、100〜1000nmであることがより好ましい。
2-3.導電性部材の製造方法
本発明の導電性部材は、1)基板上に本発明の導電性インクを塗布する工程と、2)導電性インクの塗膜を加熱して導電性層を形成する工程とを含む。
1)の工程
基板上に本発明の導電性インクを塗布する。導電性インクの塗布方法は、特に制限されないが、インクジェット法、スクリーン印刷法、スピンコーティング法、ディップ法等でありうる。中でも、微細なパターン状に塗布しやすいことから、インクジェット法やスクリーン印刷法が好ましい。
2)の工程
導電性インクの塗膜を加熱して、導電性層を形成する。加熱温度は、導電性インク中の金属ナノ粒子又は金属錯体が十分に融着(焼結)して連続膜を形成でき、かつ分散剤を十分に除去できる温度であればよく、例えば60〜300℃、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜140℃でありうる。
加熱時間は、焼結後の塗膜のシート抵抗が一定以下となる程度であればよく、例えば1〜60分程度、好ましくは5〜30分としうる。
特に、本発明の導電性インクは焼結温度低下剤を含むことから、従来よりも焼結温度を低くすることができる。従って、耐熱性の低い基板上にも、十分な導電性を有する導電性層を形成することができる。
2-4.導電性部材の用途
本発明の導電性部材は、有機ELデバイス、液晶表示デバイス、LED(Light Emitting Diode)、太陽電池及びタッチパネル等の各種電子デバイスの、回路基板、電極基板又は反射材等に用いることができる。
回路基板は、片面プリント配線基板、両面プリント配線基板、多層プリント配線基板、又はフレキシブルプリント配線基板でありうる。回路基板は、基板(前述の基板)と、それに設けられた配線パターン(前述の導電性層)とを含む。配線パターンの厚みは、100〜1000nm程度でありうる。
電極基板は、液晶表示デバイスやタッチパネルの透明電極基板、有機ELデバイスのアノード電極基板やカソード電極基板、太陽電池の光入射側電極基板又は裏面電極基板でありうる。電極基板は、基板(前述の基板)と、それに設けられた電極(前述の導電性層)とを含む。電極の厚みは、5〜20nm程度であり、好ましくは5〜12nmでありうる。
電極が透明電極である場合、透明電極の測定光波長550nmにおける光透過率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
透明電極の光透過率は、以下の手順で測定することができる。
1)透明電極基板の測定光波長550nmでの光透過率を、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−3300)を用いて測定する。
2)リファレンスとして、透明電極が設けられていない基板の測定光波長550nmでの光透過率を、前述と同様にして測定する。
3)上記1)と2)で得られた光透過率の差を「透明電極の光透過率」とする。
反射材は、液晶表示デバイスにおける光反射フィルムやランプリフレクター等でありうる。反射材は、基板(前述の基板)と、それに設けられた反射膜(前述の導電性層)とを含む。反射膜の厚みは、例えば100〜1000nm程度でありうる。
3.有機ELデバイス
本発明の導電性部材は、例えば有機ELデバイスの電極基板として用いることができる。
本発明の有機ELデバイスは、陰極と陽極の一方が設けられた基板と、陰極と陽極の他方と、陰極と陽極との間に配置された発光層とを含む。陰極と陽極の一方が設けられた基板が、本発明の導電部材でありうる。
図1は、有機ELデバイスの一例を示す概略断面図である。図1に示されるように、有機ELデバイス10は、透明電極11が設けられた透明基板(基板)13と、対向電極15と、それらの間に設けられた有機機能層17とを有する。
透明電極11が設けられた透明基板13は、本発明の導電性部材でありうる。透明電極11は、アノード(陽極)として機能しうる。透明電極11は、前述の導電性層であり、銀を主成分として含むことが好ましい。透明電極11を低抵抗化させるために、補助電極19をさらに設けてもよい。
有機機能層17は、少なくとも発光層17cを含む。具体的には、有機機能層17は、アノードである透明電極11側から順に、正孔注入層17a/正孔輸送層17b/発光層17c/電子輸送層17d/電子注入層17eを積層して構成されうる。正孔注入層17a及び正孔輸送層17bは、正孔輸送注入層として設けられていてもよく;電子輸送層17d及び電子注入層17eは、電子輸送注入層として設けられていてもよい。
対向電極15は、カソード(陰極)として機能しうる。対向電極15は、金属、合金、有機若しくは無機の導電性化合物、又はこれらの混合物等から構成されている。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。対向電極15は、その端部が外部に露出するように封止材21で覆われている。
このように構成された有機ELデバイス10では、有機機能層17が発光領域となる。そして、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも透明基板13側から取り出すことができる。
本発明では、透明電極11が設けられた透明基板13を、本発明の導電性部材としうる。従って、透明基板13として、耐熱性の低い樹脂基板(例えば樹脂フィルム)を採用できるので、例えば有機ELデバイス10のフレキシブル化、薄膜化又は軽量化が可能となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.材料
1-1.導電性インクの材料
(1)金属ナノ粒子又は金属錯体の分散体(分散剤及び溶剤を含む)
分散体A:金(Au)ナノ粒子(シグマアルドリッチ社製、製品番号741949、平均粒子径:5nm)
分散体B:銀(Ag)ナノ粒子(シグマアルドリッチ社製、製品番号730785、平均粒子径:10nm、銀ナノ粒子含有率:0.02mg/mL)
分散体C:銅(Cu)ナノ粒子(テックサイエンス社製、Copper,QSI-Nano、平均粒子径:20nm)
分散体D:銀(Ag)錯体(Ink Tech社製、TEC-IJ-010、一般式(3)で表される銀錯体、銀錯体含有率:15質量%)
分散体A〜Dに含まれる分散剤は、いずれもオクチルアミン等の長鎖アルキルアミンであった。
(2)焼成温度低下剤
Figure 0006641704
(3)比較用化合物
下記式で表される1,3,5−トリフェニルベンゼン
Figure 0006641704
1-2.基板
無アルカリガラス基板:厚み1000μmの無アルカリガラス基板
ポリエチレンテレフタレート1:厚み500μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(Tg:70℃)
ポリエチレンテレフタレート2:厚み200μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(Tg:70℃)
PMMA:厚み500μmのポリメチルメタクリレートフィルム(Tg:100℃)
2.導電性インク及び導電性部材の作製
<実施例1>
分散体Aを99.5質量部と、焼結温度低下剤として化合物(1)を0.5質量部とを混合して、導電性インクを得た。
得られた導電性インクを、無アルカリガラス基板上にスピンコーティング法で塗布した後、該塗膜を130℃で5分間焼成して、厚み200nmの導電性層を形成した。それにより、導電性部材1を得た。
<実施例2〜3>
金属ナノ粒子の種類及び導電性インクの焼成条件を、表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材2〜3を得た。
<実施例4〜9>
導電性インクの組成及び導電性インクの焼成条件を、表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材4〜9を得た。導電性インク中の金属ナノ粒子又は金属錯体の含有量は、実施例1と同じとした。
<実施例10〜15>
導電性インクに含まれる焼結温度低下剤の種類を、表1に示されるように変更した以外は実施例5と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材10〜15を得た。
<実施例16〜18>
基板の種類を表2に示されるように変更した以外は実施例15と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材16〜18を得た。
<比較例1〜2>
焼成温度低下剤を添加せず、かつ導電性インクの焼成条件を表2に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材19〜20を得た。
<比較例3〜4>
焼成温度低下剤を添加せず、かつ導電性インクの焼成条件を表2に示されるように変更した以外は実施例2と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材21〜22を得た。
<比較例5〜6>
焼成温度低下剤を添加せず、かつ導電性インクの焼成条件を表2に示されるように変更した以外は実施例3と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材23〜24を得た。
<比較例7>
焼成温度低下剤として比較化合物(1)を用い、かつ導電性インクの焼成条件を表2に示されるように変更した以外は実施例3と同様にして導電性インクを作製し、導電性部材25を得た。
得られた導電性部材のシート抵抗を、以下の方法で測定した。また、得られた導電性部材の導電性層中に焼成温度低下剤が残留しているかどうかを、質量分析法にて確認した。
<シート抵抗値の測定>
得られた導電性部材の導電性層のシート抵抗値(Ω/□)を、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用いて、4探針法定電流印加方式で測定した。
<質量分析>
得られた導電性部材の導電性層の破片を採取し、硝酸に溶解させて試料溶液を得た。この溶液を用いて、ICP−MS(日立ハイテクノロジーズ社製SPQ9700)にて質量分析測定を行った。
実施例1〜15の評価結果を表1に示し;実施例16〜18及び比較例1〜7の評価結果を表2に示す。
Figure 0006641704
Figure 0006641704
表1及び2に示されるように、焼結温度低下剤を含む実施例1〜18の導電性インクは、焼結温度低下剤を含まない比較例1〜6の導電性インクや、焼結温度低下剤に代えて比較化合物(1)を含む比較例7の導電性インクよりも低い焼結温度で、低いシート抵抗値を有する導電性層を形成できることが示される。
具体的には、比較例1、3及び5のベーク温度では、導電性層のシート抵抗値が100Ω/□を超えており、連続膜にならないことが示唆される。これに対し、実施例1〜3では、比較例1、3及び5とそれぞれ同じベーク温度であっても、導電性層のシート抵抗値が4Ω/□よりも低く、連続膜になっていることが示唆される。また、実施例1〜18で得られた導電性部材の導電性層には、焼成温度低下剤が残留していることを確認した。
実施例4〜9の対比から、焼結温度低下剤の含有量が0.1質量%程度と少なくても、十分な焼結温度低下効果が得られることが示される。一方で、焼結温度低下剤の含有量を多くしすぎると、導電性層のシート抵抗値が増大することが示される。
実施例5及び10と実施例11〜12との対比から、焼結温度低下剤がイミダゾール環又はピリジン環を含むと、導電性層のシート抵抗値がさらに低いことが示される。また、実施例11〜12と13〜14との対比から、焼結温度低下剤が一般式(1)又は(2)で表される構造を有すると、導電性層のシート抵抗値がさらに低いことが示される。
実施例15〜17の対比から、ポリエチレンテレフタレートやPMMAのように、無アルカリガラス基板よりも耐熱性が低い樹脂基板に対しても、良好な連続膜を形成できることが示される。実施例16と18の対比から、樹脂基板の厚みを薄くしても、良好な連続膜が形成できることが示される。
<実施例19>
導電性インクの塗布量を調整して、厚み10nmの導電性層を形成した以外は、実施例13と同様にして透明電極基板を得た。
<実施例20>
導電性インクの塗布量を調整して、厚み300nmの導電性層を形成した以外は、実施例14と同様にして反射材を得た。
実施例19の導電性部材の光透過率と、実施例20の導電性部材の反射率を、それぞれ以下の方法で測定した。
(光透過率)
導電性部材の導電性層の光透過率は、以下の手順で測定した。
1)導電性部材の測定光波長550nmでの光透過率を、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−3300)を用いて測定した。
2)リファレンスとして、導電性層が設けられていない基板の測定光波長550nmでの光透過率を、前述と同様にして測定した。
3)上記1)と2)で得られた光透過率の差を「導電性層の光透過率」とした。
(反射率)
前述で得られた光透過率を下記式に当てはめて反射率とした。
反射率(%)=100−光透過率(%)
実施例19の透明電極の光透過率は68.0%であり、シート抵抗値は18.5Ω/□であり、透明電極に十分に適したものであった。実施例20の反射材の反射率は96.5%であり、反射膜として十分に適したものであった。
本発明によれば、基板(例えば耐熱性の低い基板)上に十分な導電性を有する導電性層が設けられた導電性部材を提供することができる。
10 有機ELデバイス
11 透明電極
13 透明基板
15 対向電極
17 有機機能層
17a 正孔注入層
17b 正孔輸送層
17c 発光層
17d 電子輸送層
17e 電子注入層
19 補助電極
21 封止材
h 発光光

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられ、金属と、重量平均分子量125以上1000以下の含窒素芳香族複素環化合物とを含む導電性層とを含み、
    前記含窒素芳香族複素環化合物が、イミダゾール環及びピリジン環の少なくとも一方を有する、
    導電性部材。
  2. 前記含窒素芳香族複素環化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する、
    請求項1に記載の導電性部材。
    Figure 0006641704
    (一般式(1)中、
    〜X10は、−CR又は窒素原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表し;
    は、水素原子又は置換基を表し;
    は、置換基を表す)
  3. 前記含窒素芳香族複素環化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する、
    請求項1に記載の導電性部材。
    Figure 0006641704
    (一般式(2)中、
    〜Yは、−CR又は窒素原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表し;
    は、水素原子又は置換基を表し;
    及びLは、それぞれ置換基を表す)
  4. 前記含窒素芳香族複素環化合物の含有量は、前記導電性層に対して5質量%以下である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性部材。
  5. 前記金属が銀である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性部材。
  6. 前記基板は、ガラス転移温度が100℃以下の樹脂基板である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性部材。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性部材を含む、回路基板。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性部材を含む、電極基板。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性部材を含む、透明電極基板。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性部材を含む、反射材。
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