JP6639996B2 - エンジンシステム - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンシステムに関する。
エンジンシステムでは効率および出力向上のため、過給機とインタークーラとが設けられる。過給機によって燃料混合気や吸入空気を圧縮し、圧縮された気体をインタークーラで冷却して、エンジンに供給する。これによりエンジンの効率と出力とが向上するが、インタークーラで気体を冷却した際に凝縮水が発生する問題がある。凝縮水がエンジンに流入すると、燃料の燃焼を阻害したり、エンジンを腐食させる場合がある。
特許文献1のガスエンジンでは、予混合ガスを冷却するインタークーラに、凝縮水を排出するドレンバルブを設けてある。ドレンバルブから排出された凝縮水は気液分離装置に導かれる。気液分離装置で分離された予混合ガスは、過給機の給気系上流側へ戻され、気液分離装置に溜まった凝縮水(ドレン)は系外に排出される。
特許第5211115号明細書
インタークーラから排出されるドレン(凝縮水)には、例えばブローバイガス由来の油分やエンジンオイル等が混入する可能性があるため、ドレンを系外に排出すると環境負荷が増加する可能性がある。またドレンから油分を除去するためには、エンジンシステムにドレンから油分を分離するための油水分離装置を設ける必要があり、設備コストが上昇する。また分離された油分に対しても、何らかの無害化処置を行う必要があるから、設備の運用コストが上昇する。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、環境負荷および設備コスト・運用コストの上昇を抑制した態様での凝縮水処理が可能なエンジンシステムを提供することにある。
上記目的を達成するためのエンジンシステムの特徴構成は、
供給された吸入空気を圧縮して圧縮空気を生成する過給機と、
前記過給機で圧縮された圧縮空気を冷却するインタークーラと、
供給された燃料と、前記インタークーラで冷却された圧縮空気とを混合して燃焼させるエンジンとを有するエンジンシステムであって、
前記インタークーラで冷却された圧縮空気を前記エンジンへ供給する圧縮空気通流部と、
前記エンジンからの排気ガスが流れる排気管と、
前記圧縮空気通流部に接続され、前記インタークーラで生じて前記圧縮空気通流部に流入した凝縮水を前記圧縮空気通流部から排出する凝縮水排出管と、
前記排気管に接続され、前記凝縮水排出管を通って排出された凝縮水を前記排気管の内部へ放出する凝縮水放出管とを有し、
前記エンジンが、燃焼室を形成するシリンダを内部に備えた一対のバンクがV型に形成されたV型エンジンであり、
前記圧縮空気通流部が、前記一対のバンクの間における断面視が三角形状の谷空間に設けられており
前記圧縮空気通流部は、前記谷空間の上面部により構成される、前記圧縮空気通流部へ流入した凝縮水を溜める凝縮水溜部を有している点にある。
上記の特徴構成によれば、エンジンシステムが凝縮水排出管と凝縮水放出管とを有するから、インタークーラで生じた凝縮水は圧縮空気通流部から排出され、排気管の内部へと放出される。排気管には高温の排気ガスが流れているから、凝縮水は蒸発し、凝縮水に油分等が含まれていたとしても分解され無害化される。従って、別途の油水分離装置や分離した油分の処置を必要とせず、凝縮水の処理が可能となる。すなわち上記の特徴構成によれば、環境負荷および設備コスト・運用コストの上昇を抑制した態様での凝縮水処理が可能なエンジンシステムを提供することができる。また本発明に係るエンジンシステムのエンジンは、供給された燃料と、インタークーラで冷却された圧縮空気とを混合して燃焼させる形式であるから、インタークーラで生じる凝縮水には燃料が含まれない。これにより凝縮水を排気管の内部に放出しても煙爆のリスクがなく、上述の簡易な構成にてインタークーラからの凝縮水を処理することが可能となっている。
また、上記の特徴構成によれば、圧縮空気通流部へ流入した凝縮水を溜める凝縮水溜部により、凝縮水を効率的に集めることができる。
また、上記特徴構成によれば、シリンダを内部に備えた一対のバンクがV型に形成されたV型エンジンにおいて、断面視でV字状となる一対のバンク間に形成されるV字状谷空間に圧縮空気通流部が設けられているので、圧縮空気通流部を断面視でV字型に形成することができる。これにより、V字型の先端部を凝縮水溜部として機能させることができるので、凝縮水溜部にインタークーラの冷却により発生する凝縮水を効率よく集めることができる。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記凝縮水排出管が前記凝縮水溜部に接続されている点にある。
上記の特徴構成によれば、圧縮空気通流部へ流入した凝縮水を溜める凝縮水溜部により、凝縮水を効率的に集めて圧縮空気通流部から排出することができ好適である。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記圧縮空気通流部は、前記インタークーラよりも鉛直方向で下方に配置されており、前記凝縮水溜部が前記圧縮空気通流部の底部である点にある。
上記の特徴構成によれば、圧縮空気通流部がインタークーラよりも鉛直方向で下方に配置されているから、インタークーラで生じた凝縮水を重力の作用によって簡便に圧縮空気通流部へ送り込むことができる。そして凝縮水溜部が圧縮空気通流部の底部であるから、凝縮水を更に効率的に集めて圧縮空気通流部から排出することができる。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記圧縮空気通流部よりも鉛直方向で下方に配置され、凝縮水を貯留可能な密閉式の凝縮水貯留槽を有し、前記凝縮水排出管が前記凝縮水貯留槽に接続されている点にある。
上記の特徴構成によれば、密閉式の凝縮水貯留槽が圧縮空気通流部よりも鉛直方向で下方に配置されているから、凝縮水貯留槽と圧縮空気通流部とが同程度の圧力に保たれて、重力の作用により凝縮水を圧縮空気通流部から凝縮水貯留槽へ送り込むことができ好適である。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記凝縮水貯留槽と前記圧縮空気通流部とに接続され、前記凝縮水貯留槽の気相部分の圧力と前記圧縮空気通流部の気相部分の圧力とを釣り合わせる均圧管を有する点にある。
上記の特徴構成によれば、均圧管により凝縮水貯留槽の気相部分の圧力と圧縮空気通流部の気相部分の圧力とを釣り合わせるから、凝縮水貯留槽と圧縮空気通流部とが圧力が釣り合った状態となり、圧縮空気通流部から凝縮水貯留槽への凝縮水の流入が更にスムースになり、好適である。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記凝縮水貯留槽に貯留された凝縮水の水位を検出する水位センサを有し、前記水位センサが検出した凝縮水の水位が所定の閾値を超えた際に、前記凝縮水貯留槽に貯留された凝縮水を前記排気管の内部へ放出する点にある。
上記の特徴構成によれば、水位センサが検出した凝縮水の水位が所定の閾値を超えた際に、凝縮水貯留槽に貯留された凝縮水を排気管の内部へ放出するから、凝縮水貯留槽から凝縮水が溢れる事態を回避し、かつ凝縮水貯留槽の凝縮水が少ないときは凝縮水の放出を行わずに排気管での排気を安定させることができる。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記排気管に配置され前記排気管を通流する燃料を酸化する酸化触媒を有し、前記凝縮水放出管が、排気ガスの流れる方向に関して前記酸化触媒の上流側に接続される点にある。
上記の特徴構成によれば、凝縮水放出管が排気ガスの流れる方向に関して酸化触媒の上流側に接続されるから、エンジンからの油分が凝縮水に混入した場合であっても、酸化触媒によって油分を無害化することができ好適である。。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記排気管に配置され前記排気管を通流する窒素酸化物を分解する脱硝装置を有し、前記凝縮水放出管が、排気ガスの流れる方向に関して前記脱硝装置の上流側に接続される点にある。
上記の特徴構成によれば、凝縮水放出管が、排気ガスの流れる方向に関して脱硝装置の上流側に接続されるから、排気ガスに含まれる窒素酸化物の脱硝装置での分解を適切に行うことが可能となる。
前記谷空間の上面部が耐腐食性及び耐熱性を有する防食塗料でコーティングされている点にある。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、圧縮空気の流れる方向に関して前記圧縮空気通流部の下流側において、圧縮空気に燃料が混合される点にある。
上記の特徴構成によれば、圧縮空気に燃料が混合されるのは圧縮空気通流部の下流側であるから、圧縮空気通流部から排出される凝縮水に燃料が混入することを抑制できる。従って凝縮水を排気管の内部へ放出する際の燃料の燃焼(煙爆)を抑制することができ好適である。
本発明に係るエンジンシステムの別の特徴構成は、前記エンジンが、供給された燃料を燃焼させる燃焼室と、前記インタークーラで冷却された圧縮空気を前記燃焼室に供給する吸気ポートと、前記吸気ポートに配置され、前記吸気ポートを通流する圧縮空気に燃料を混合するインジェクタとを有する点にある。
上記の特徴構成によれば、エンジンの吸気ポートに配置されたインジェクタによって圧縮空気に燃料が混合されるから、圧縮空気通流部から排出される凝縮水に燃料が混入することを更に適切に抑制できる。従って凝縮水を排気管の内部へ放出する際の燃料の燃焼(煙爆)を更に抑制することができ好適である。
エンジンシステムの概略図 エンジンの概略断面図 エンジンの概略上面図
以下、図面に基づいて、本実施形態に係るエンジンシステムを説明する。図1にエンジンシステムの概略図を示す。図1に示すように、エンジンシステム100は、供給された吸入空気Aを圧縮して圧縮空気Cを生成する過給機2の給気コンプレッサ2aと、過給機2の給気コンプレッサ2aで圧縮された圧縮空気Cを冷却するインタークーラ3と、エンジン6とを備えている。エンジン6では、燃料供給路11から供給された燃料Gと、インタークーラ3で冷却された圧縮空気Cを燃焼させる。
またエンジンシステム100には、過給機2からインタークーラ3に圧縮空気Cを供給する空気供給管4と、この空気供給管4に設けられ、圧縮空気Cの流量を調整するスロットル弁5と、インタークーラ3からエンジン6に圧縮空気Cを供給する圧縮空気通流部7とを備えている。これにより、過給機2の給気コンプレッサ2aにて圧縮された圧縮空気Cは、スロットル弁5を介して所定の流量に調整され、インタークーラ3において冷却されて、エンジン6の燃焼室61(図2及び図3参照)に導かれる。
エンジン6に燃料Gを導く燃料供給路11には、供給される燃料Gの圧力を適正圧力まで高めるコンプレッサ14と、エンジン6に供給される燃料Gの供給量を目標の供給量に調整する燃料流量調整弁13とが設けられている。この燃料流量調整弁13は、制御装置40により開度が制御され、吸入空気Aと燃料Gとの混合比率(空燃比)を調整する。なお本実施形態では、燃料Gとして例えば、都市ガス等のガス燃料が用いられる。
スロットル弁5は、エンジン6に設けられた回転数センサ(図示せず)にて計測されたエンジン6の回転数に基づいて、エンジン6の回転数を目標回転数に維持するように、その開度が制御装置40にて制御されて、燃料混合気Mの流量を調整している。
過給機2は、エンジン6から排出される排気ガスEが流れる排気管8に設けられる排気タービン2bと、排気タービン2bに連結され、吸入空気Aを圧縮する給気コンプレッサ2aによって構成されている。エンジン6から排出された排気ガスEにて回転駆動する排気タービン2bの駆動力が給気コンプレッサ2aに伝達され、給気コンプレッサ2aにより吸入空気Aを圧縮するように構成されている。
インタークーラ3は、過給機2の給気コンプレッサ2aから供給された圧縮空気Cと内部を流通する熱媒とを熱交換させて、圧縮空気Cを冷却するものである。このとき、圧縮空気Cに含まれる水分が凝縮して凝縮水Wが発生することがある。
図2に、圧縮空気通流部7が備えられたエンジン6の概略断面図を示す。図2に示すように、インタークーラ3の下部には連通口3aが設けられて、この連通口3aにより、インタークーラ3とインタークーラ3の下部に位置する圧縮空気通流部7とが連通するように構成されている。これにより、インタークーラ3において発生した凝縮水Wと、インタークーラ3において冷却された圧縮空気Cとが、インタークーラ3から圧縮空気通流部7に流入するように構成されている。
また図3に、圧縮空気通流部7が備えられたエンジン6の概略上面図を示す。図2及び図3に示すように、エンジン6は、燃料Gが燃焼する燃焼室61を形成するシリンダ62を内部に備えた一対のバンク63がV型に形成されたV型エンジンであり、一対のバンク63間に圧縮空気通流部7が設けられている。具体的には、エンジン6のシリンダブロック60の上部に所定角度で傾斜した一対のバンク63が形成され、バンク63の夫々に8個のシリンダ62が備えられ、バンク63の夫々に8つの燃焼室61が形成された16気筒のエンジンで構成されている。各燃焼室61には、燃焼室61内の燃料G(詳しくは燃料Gと圧縮空気Cとが混合された燃料混合気M)に点火する点火手段としての点火プラグ65が備えられている。
また、夫々のバンク63の各シリンダ62にピストン64がそれぞれ上下移動自在に設けられている。そして、シリンダブロック60の下部にクランクシャフト(図示せず)が回転自在に支持されており、各ピストン64はコネクティングロッド66を介してクランクシャフトにそれぞれ連結されている。
一方、夫々のバンク63の上部には、シリンダヘッド67が締結されている。シリンダブロック60とピストン64とシリンダヘッド67により燃焼室61が構成されている。そして、この燃焼室61の上部において、シリンダヘッド67の下面に吸気ポート68及び排気ポート69が形成され、この吸気ポート68及び排気ポート69に対して吸気弁70及び排気弁71が設けられている。
各シリンダヘッド67の吸気ポート68は圧縮空気通流部7と連通されている。すなわち吸気ポート68は、インタークーラ3で冷却された圧縮空気Cを燃焼室61に供給する。排気ポート69は、各燃焼室61から排出される排気ガスEが集合する集合排気通路72に連通している。各集合排気通路72は、過給機2の排気タービン2bが設けられた排気管8に連通されている。
吸気ポート68には、インジェクタ73が設けられている。インジェクタ73は、燃料供給路11と接続されており、燃料供給路11から供給された燃料Gを吸気ポート68の内部に噴射して、吸気ポート68の内部を通流する圧縮空気Cと燃料Gとを混合させて燃料混合気Mとなす。このインジェクタ73は、制御装置40により動作(噴射時間、噴射タイミング等)が制御され、上述した燃料流量調整弁13と併せて、吸入空気Aと燃料Gとの混合比率(空燃比)を調整する。
すなわち本実施形態では、エンジン6が、供給された燃料Gを燃焼させる燃焼室61と、インタークーラ3で冷却された圧縮空気Cを燃焼室61に供給する吸気ポート68と、吸気ポート68に配置され、吸気ポート68を通流する圧縮空気Cに燃料Gを混合するインジェクタ73とを有する。ここで吸気ポート68は、圧縮空気通流部7からみて、圧縮空気Cの流れる方向に関して下流側に配置されている。すなわち本実施形態に係るエンジンシステム100では、圧縮空気Cの流れる方向に関して圧縮空気通流部7の下流側において、圧縮空気Cに燃料Gが混合される。
図2に示すように、圧縮空気通流部7は、インタークーラ3の下部とシリンダブロック60の一対のバンク63の間に形成されるバンク谷部との間における断面が略三角形状のV字状谷空間に形成されている。そして、圧縮空気通流部7のバンク谷部の表面には、通流部底面部材7bが設けられており、通流部底面部材7bの上面部が、インタークーラ3から流入した凝縮水Wが溜まる凝縮水溜部7aとなるように構成されている。この通流部底面部材7bは、凝縮水Wに対する耐腐食性を有し、かつ、高温となるシリンダブロック60に対する耐熱性を有する材質であるステンレスやフェノール樹脂等を用いて形成されている。
具体的には、通流部底面部材7bが鉄で形成され、その鉄製の通流部底面部材7bの上面部が耐腐食性及び耐熱性を有する防食塗料でコーティングされている。また、例えば、圧縮空気通流部7に通流部底面部材7bを設けない構成とする場合には、一対のバンク63の間に形成されるバンク谷部の表面が凝縮水溜部7aとなるが、この場合、バンク谷部の表面を耐腐食性及び耐熱性を有する防食塗料でコーティングしてもよい。
排気管8には、排気ガスEの流れる方向に関して順に、酸化触媒8aと、脱硝装置8cと、ボイラ8dとが設けられている。酸化触媒8aは、排気ガスEに含まれる未燃分の燃料Gを燃焼させる。脱硝装置8cは、尿素を排気ガスEに添加して脱硝触媒8bにより排気ガスEに含まれる窒素酸化物を分解する。ボイラ8dは、排気ガスEを燃焼させる。
エンジンシステム100は、インタークーラ3で生じて圧縮空気通流部7に流入した凝縮水Wを処理するための構成として、凝縮水排出管10と、凝縮水貯留槽9と、凝縮水放出管31とを有している。
凝縮水排出管10は、一方の端部が圧縮空気通流部7に接続され、他方の端部が凝縮水貯留槽9に接続されている。凝縮水排出管10は、インタークーラ3で生じて圧縮空気通流部7に流入した凝縮水Wを圧縮空気通流部7から排出する。本実施形態では凝縮水排出管10は、圧縮空気通流部7の凝縮水溜部7aに接続されている。詳しくは凝縮水排出管10は、凝縮水溜部7aのV字状に形成された底面の頂点に近接して接続されている。
凝縮水排出管10には、三方弁10aを介して、系外排水管10bが接続されている。系外排水管10bはエンジンシステム100の外部と接続されており、排気管8の放出で凝縮水Wを処理しきれない場合等に、凝縮水Wをエンジンシステム100の外部に排出することができる。三方弁10aと、系外排水管10bに配置された排水弁10cは、制御装置40により制御される。
凝縮水貯留槽9は、凝縮水Wを貯留可能な密閉式のタンクであり、圧縮空気通流部7よりも鉛直方向で下方に配置される。詳しくは、圧縮空気通流部7の下端(凝縮水溜部7aの下端)よりも、凝縮水貯留槽9における通常使用時の水位Lが、鉛直方向で下方となるように、凝縮水貯留槽9が配置される。これにより、凝縮水Wを圧縮空気通流部7から凝縮水貯留槽9へ効率的に送り込むことができる。
凝縮水貯留槽9の上面に、均圧管9bが接続され、均圧管9bの他方の端部がインタークーラ3に接続されている。インタークーラ3と圧縮空気通流部7とは連通口3aで連通しているから、均圧管9bにより、凝縮水貯留槽9の気相部分と圧縮空気通流部7の気相部分とが接続され、両部分を気体が通流可能となっている。これにより凝縮水貯留槽9の気相部分と圧縮空気通流部7の気相部分との間で圧力が釣り合った状態となっているから、圧縮空気通流部7から凝縮水貯留槽9への凝縮水Wの流入がスムースに行われる。
凝縮水放出管31は,一方の端部が凝縮水貯留槽9に接続され、他方の端部が噴霧ノズル8eを介して排気管8に接続されている。詳しくは凝縮水放出管31は、排気管8において、排気ガスEの流れる方向に関して酸化触媒8aの上流側に接続されている。また凝縮水放出管31は、排気ガスEの流れる方向に関して脱硝装置8cの上流側に接続されている。もって凝縮水放出管31は、凝縮水貯留槽9に貯留された凝縮水Wを、エンジン6からの排気ガスEが通流する排気管8に放出(噴霧)する。
ここで凝縮水貯留槽9に貯留された凝縮水Wは、インタークーラ3で生じて圧縮空気通流部7に流入し、凝縮水溜部7aに溜められ、凝縮水排出管10を通って凝縮水貯留槽9へ送られる。すなわち本実施形態に係るエンジンシステム100は、インタークーラ3で冷却された圧縮空気Cをエンジン6へ供給する圧縮空気通流部7と、エンジン6からの排気ガスEが流れる排気管8と、圧縮空気通流部7に接続され、インタークーラ3で生じて圧縮空気通流部7に流入した凝縮水Wを圧縮空気通流部7から排出する凝縮水排出管10と、排気管8に接続され、凝縮水排出管10を通って排出された凝縮水Wを排気管8の内部へ放出する凝縮水放出管31とを有するといえる。そして以上の構成により、環境負荷および設備コスト・運用コストの上昇を抑制した態様での凝縮水処理が可能となっている。
凝縮水貯留槽9には、水位センサ9aが設けられている。水位センサ9aは、凝縮水貯留槽9に貯留された凝縮水Wの水位を検出し、制御装置40へ通知する。凝縮水放出管31には、放出量調整弁32と、逆止弁32aが設けられている。逆止弁32aは、排気管8から凝縮水貯留槽9へ向けての排気ガスEの逆流を抑制する。放出量調整弁32は、制御装置40により開度が制御され、排気管8への凝縮水Wを放出の開始・停止および放出量を制御する。
制御装置40による排気管8への凝縮水Wの放出制御は、様々な態様が可能である。例えば、水位センサ9aが検出した凝縮水Wの水位が所定の閾値を超えた際に、凝縮水貯留槽9に貯留された凝縮水Wを排気管8の内部へ放出するよう制御してもよい。その際は、所定の閾値を上述した水位Lとすると、凝縮水貯留槽9の水位を水位Lより下に保つことができ好適である。その他、エンジン6の運転状態や、排気ガスEの温度などに基づく制御も可能である。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、エンジン6を16気筒のV型エンジンとしたが、これに限らず、エンジン6を16気筒以外の2気筒以上の気筒数のV型エンジンで構成してもよい。また、エンジン6を、V型エンジン以外の、例えば、直列エンジン等で構成してもよい。
(2)上記実施形態においては、エンジン6を都市ガス等を燃料とするガスエンジンとしたが、これに限定されるものではない。例えば、エンジン6を、軽油等を燃料とするディーゼルエンジンや、ガソリンエンジンで構成してもよい。この場合、燃料供給路11においてキャブレター等によって燃料を気化する構成としてもよい。
(3)上記実施形態においては、通流部底面部材7bが耐熱性及び耐腐食性を有するフェノール樹脂等により形成されたが、これに限定されるものではない。例えば、通流部底面部材7bを鉄等の材質で構成し、インタークーラ3から流入した凝縮水Wが溜まる内側表面にフェノール樹脂等の腐食性材料をコーティングした構成としてもよい。
(4)エンジン6で生じるブローバイガスを、オイルミストセパレータを通過させてミスト状のオイルを分離した上で、給気コンプレッサ2aの上流側へ供給するブローバイガス還流部を設けてもよい。
(5)上記実施形態においては、エンジンシステム100に1つのインタークーラ3を設ける例を説明したが、インタークーラ3を複数設けてもよい。
(6)上記実施形態においては、凝縮水放出管31は、排気管8において、排気ガスEの流れる方向に関して酸化触媒8aの上流側に接続された。凝縮水放出管31の排気管8への接続は、排気管8の何れの場所であってもよい。
(7)上記実施形態においては、凝縮水放出管31に凝縮水の噴霧のための駆動源は設けられず、凝縮水の噴霧ノズル8eからの噴霧は、排気管8の排気ガスEの流れ(圧力)によって行われた。凝縮水の噴霧のためのブースターポンプ等の駆動源を、凝縮水放出管31に設けてもよい。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
以上説明したように、環境負荷および設備コスト・運用コストの上昇を抑制した態様にて、凝縮水処理が可能なエンジンシステムを提供することができる。
2 :過給機
3 :インタークーラ
6 :エンジン
7 :圧縮空気通流部
7a :凝縮水溜部
8 :排気管
8a :酸化触媒
8c :脱硝装置
9 :凝縮水貯留槽
9a :水位センサ
9b :均圧管
10 :凝縮水排出管
31 :凝縮水放出管
61 :燃焼室
62 :シリンダ
63 :バンク
68 :吸気ポート
73 :インジェクタ
100 :エンジンシステム
A :吸入空気
C :圧縮空気
E :排気ガス
G :燃料
L :水位
W :凝縮水

Claims (11)

  1. 供給された吸入空気を圧縮して圧縮空気を生成する過給機と、
    前記過給機で圧縮された圧縮空気を冷却するインタークーラと、
    供給された燃料と、前記インタークーラで冷却された圧縮空気とを混合して燃焼させるエンジンとを有するエンジンシステムであって、
    前記インタークーラで冷却された圧縮空気を前記エンジンへ供給する圧縮空気通流部と、
    前記エンジンからの排気ガスが流れる排気管と、
    前記圧縮空気通流部に接続され、前記インタークーラで生じて前記圧縮空気通流部に流入した凝縮水を前記圧縮空気通流部から排出する凝縮水排出管と、
    前記排気管に接続され、前記凝縮水排出管を通って排出された凝縮水を前記排気管の内部へ放出する凝縮水放出管とを有し、
    前記エンジンが、燃焼室を形成するシリンダを内部に備えた一対のバンクがV型に形成されたV型エンジンであり、
    前記圧縮空気通流部が、前記一対のバンクの間における断面視が三角形状の谷空間に設けられており
    前記圧縮空気通流部は、前記谷空間の上面部により構成される、前記圧縮空気通流部へ流入した凝縮水を溜める凝縮水溜部を有しているエンジンシステム。
  2. 前記凝縮水排出管が前記凝縮水溜部に接続されている請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記圧縮空気通流部は、前記インタークーラよりも鉛直方向で下方に配置されており、
    前記凝縮水溜部が前記圧縮空気通流部の底部である請求項1または2に記載のエンジンシステム。
  4. 前記圧縮空気通流部よりも鉛直方向で下方に配置され、凝縮水を貯留可能な密閉式の凝縮水貯留槽を有し、前記凝縮水排出管が前記凝縮水貯留槽に接続されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  5. 前記凝縮水貯留槽と前記圧縮空気通流部とに接続され、前記凝縮水貯留槽の気相部分の圧力と前記圧縮空気通流部の気相部分の圧力とを釣り合わせる均圧管を有する請求項4に記載のエンジンシステム。
  6. 前記凝縮水貯留槽に貯留された凝縮水の水位を検出する水位センサを有し、前記水位センサが検出した凝縮水の水位が所定の閾値を超えた際に、前記凝縮水貯留槽に貯留された凝縮水を前記排気管の内部へ放出する請求項4または5に記載のエンジンシステム。
  7. 前記排気管に配置され前記排気管を通流する燃料を酸化する酸化触媒を有し、前記凝縮水放出管が、排気ガスの流れる方向に関して前記酸化触媒の上流側に接続される請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  8. 前記排気管に配置され前記排気管を通流する窒素酸化物を分解する脱硝装置を有し、前記凝縮水放出管が、排気ガスの流れる方向に関して前記脱硝装置の上流側に接続される請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  9. 前記谷空間の上面部が耐腐食性及び耐熱性を有する防食塗料でコーティングされている請求項1〜8のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  10. 圧縮空気の流れる方向に関して前記圧縮空気通流部の下流側において、圧縮空気に燃料が混合される請求項1〜9のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  11. 前記エンジンが、供給された燃料を燃焼させる燃焼室と、前記インタークーラで冷却された圧縮空気を前記燃焼室に供給する吸気ポートと、前記吸気ポートに配置され、前記吸気ポートを通流する圧縮空気に燃料を混合するインジェクタとを有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
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