JP6637806B2 - 懸架装置 - Google Patents
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Description
本発明は、移動部材が受ける摩擦力を移動部材の移動にともない変化させる懸架装置を提供することを目的とする。
図1は、本実施形態のフロントフォーク1の全体図である。
ブラケット12は、第1フロントフォーク11Aおよび第2フロントフォーク11Bを接続する。そして、ブラケット12は車体に連結される。ステアリングシャフト13は、一端側がブラケット12に固定され、他端側にてハンドルに接続される。
図2は、第1フロントフォーク11Aを説明するための図である。
図3は、図2に示す第1フロントフォーク11Aの車輪側の拡大図である。
図4は、図2に示す第1フロントフォーク11Aの車体側の拡大図である。
外筒部20Aは、図2に示すように、車体側部材の一例としてのアウターチューブ部110と、車輪側部材の一例としてのインナーチューブ部120と、フォークボルト部130とを備えている。
アウターチューブ部110は、図2に示すように、アウターチューブ111と、ブッシュ112と、シール部材113とを有する。
アウターチューブ111は、管状の部材であって、本実施形態では車体側に位置する。
インナーチューブ部120は、図2に示すように、インナーチューブ121と、ボトムピース122とを有する。
インナーチューブ121は、管状の部材であって、本実施形態では車輪14側に位置する。インナーチューブ121は、アウターチューブ111に接続し、アウターチューブ111の内側に挿入され、軸方向においてアウターチューブ111に対して相対的に移動する。
ボトムピース122は、インナーチューブ121の一端側に配置される。ボトムピース122は、内側にロッド部材181(後述)が貫通する開口を有する環形状をしている。
フォークボルト部130は、図4に示すように、フォークボルト131と、シリンダ保持部132とを有する。
フォークボルト131は、シリンダ保持部132の他端側を閉塞する。
シリンダ保持部132は、円筒形状をなし、アウターチューブ111の内周に挿入されて螺着される。
なおシリンダ保持部132には、貫通孔132Kが設けられ、気体室T1と後述するフリーピストン60の背後の気体室T6とを連通している。
上述したように本実施形態の第1フロントフォーク11Aは、倒立型フロントフォークである。よってアウターチューブ111は、インナーチューブ121の半径方向外側に配置されている。
車軸ブラケット部40Aは、図3に示すように、チューブ保持部141と、車軸連結部142と、ロッド保持部143とを有する。
チューブ保持部141は、インナーチューブ121の外径よりも小さな内径を有し、インナーチューブ121の一端部が挿入される。
車軸連結部142は、車輪14の車軸14S(図1参照)が挿入される車軸孔142Hを有し、車輪14の車軸14Sを締め付け可能である。
ロッド保持部143は、ボトムボルト143Aとボトムボルト孔143Bとを有し、ボトムボルト孔143Bは、ボトムボルト143Aと接続する。
ダンパ部50Aは、減衰機構の一例であり、図2に示すように、シリンダ部150と、メインバルブ装置160と、サブバルブ装置190とを有している。ダンパ部50Aは、メインバルブ装置160とサブバルブ装置190の発生する減衰力により、第1フロントフォーク11Aによる衝撃力の吸収に伴うアウターチューブ111とインナーチューブ121の伸縮振動を抑制する。
シリンダ部150は、図2に示すように、シリンダ151を備える。
シリンダ151は、筒状の部材であって、本実施形態では、車体側に配され、アウターチューブ111及びインナーチューブ121の内側に設けられる。シリンダ151は、シリンダ保持部132の内周に挿入されて螺着されることで保持される。シリンダ151については、後で詳述する。
またアウターチューブ111およびインナーチューブ121と、シリンダ151との間は、空気が充填される気体室T1とオイルが充填される油室T2とが設けられる。気体室T1内の空気と油室T2内のオイルとは、自由界面を介して接触している。
メインバルブ装置160は、図3に示すように、下シリンダ部170と、ロッド部180とを備えている。
下シリンダ部170は、図3に示すように、ロッドガイド171と、オイルロックカラー172と、ブッシュ173と、リバウンドスプリング174と、ばね受け175とを有する。
ロッドガイド171は、シリンダ151の一端部に位置し、シリンダ151の端部に固定される。また、ロッドガイド171は、貫通孔176にロッド部材181(後述)が貫通して設けられ、軸方向にスライド可能に支持する。
ロッドガイド171は、油室T2とロッド側油室T3とを区画する。
リバウンドスプリング174は、例えば、金属コイルばねである。リバウンドスプリング174のばね力は、アウターチューブ111とインナーチューブ121とを収縮させる方向に付勢する。
ロッド部180は、図3に示すように、ロッド部材181と、ピストン182と、ピストンリング183とを備える。
ロッド部材181は、本実施形態では、車輪14側に配され、軸方向に沿って延びる棒状の部材である。また、ロッド部材181は、内側に、軸方向の一端から他端まで延びた貫通孔であるロッド内室181Rが形成され、中空状となっている。
ロッド部材181は、ボトムボルト143Aを介して車軸ブラケット部40Aに固定される。
ロッド部材181は、アウターチューブ111及びインナーチューブ121の内側に位置する。ロッド部材181は、アウターチューブ111とインナーチューブ121との移動に伴ってシリンダ151の軸方向に相対的に移動する。
ピストン182は、減衰機構を有する第1の区画部材の一例であり、ロッド部材181の他端側端部(車輪14側の端部)に位置し、ロッド部材181の他端側に固定される。
ピストン182は、シリンダ151の軸方向に移動可能にシリンダ151に接触して設けられ、シリンダ151内の空間を区画する。即ち、ピストン182は、ロッド部材181が収容されるロッド側油室T3とシリンダ部150の内部をロッド部材181が収容されないピストン側油室T4とに区画する。
サブバルブ装置190は、図4に示すように、ロッド部材191と、ピストン192と、加圧スプリング193と、フリーピストン194とを備える。
ロッド部材191は、軸方向に沿って延びる棒状の部材である。ロッド部材191は、他端側端部においてフォークボルト131の内周に挿入されて螺着される。さらにロッド部材191は、内側に、軸方向の他端から一端まで延びた貫通孔であるロッド内室191Rが形成され、中空状となっている。
ピストン192は、ロッド部材191の一端側端部に位置し、保持される。これによりピストン192は、ピストン側油室T4とサブ油室T5とを区画する。
これによりピストン192は、ピストン182に対し軸方向においてシリンダ151が配される側に配され、シリンダ151内の空間を区画し、アウターチューブ部110とインナーチューブ部120とが相対的に移動することで生ずる振動を減衰させる減衰機構を有する第2の区画部材として機能する。
フリーピストン194は、底部194Aと筒部194Bを有する有底筒状体をなす。フリーピストン194は、底部194Aの外周部に、サブ油室T5に臨む側に突き出る外周スカート部194Cを備える。フリーピストン194は、第1フロントフォーク11Aの伸縮に伴なってシリンダ151に進入、退出するロッド部材181の容積を補償するために、フリーピストン194は、シリンダ151の内径部を液密に摺動する。
これによりフリーピストン194は、ピストン192の側でピストン側油室T4に連通しているサブ油室T5と、フリーピストン194の背後の気体室(体積補償室)T6とを区画する。
フリーピストン194は、ピストン182に対し軸方向においてシリンダ151が配される側に配され、シリンダ151内の空間を区画するとともに、ロッド部材181の移動に伴ってシリンダ151内を軸方向に移動する第3の区画部材として機能する。
第1フロントフォーク11Aの圧側行程においては、アウターチューブ111とインナーチューブ121とが軸方向において相対的に近づく方向に移動する。このときピストン182と下シリンダ部170とは、軸方向に相対的に遠ざかる方向に移動する。またピストン182とピストン192とは、軸方向に相対的に近づく方向に移動する。
第1フロントフォーク11Aの伸側行程においては、アウターチューブ111とインナーチューブ121とが軸方向において相対的に遠ざかる方向に移動する。このときピストン182と下シリンダ部170とは、軸方向に相対的に近づく方向に移動する。またピストン182とピストン192とは、軸方向に相対的に遠ざかる方向に移動する。
図5は、第2フロントフォーク11Bを説明するための図である。
図6は、図5に示す第2フロントフォーク11BのVI部の拡大図である。
図7は、図5に示す第2フロントフォーク11BのVII部の拡大図である。
図8は、図5に示す第2フロントフォークを矢印VIII方向からみた図である。
外筒部20Bは、図5に示すように、車体側部材の一例としてのアウターチューブ部210と、車輪側部材の一例としてのインナーチューブ部220とを備えている。
(アウターチューブ部210)
アウターチューブ部210は、アウターチューブ211と、ブッシュ212と、シール部材213とを有する。
アウターチューブ211は、管状の部材であって、本実施形態では車体側に位置する。
インナーチューブ部220は、図5に示すように、インナーチューブ221と、ブッシュ222と、ボトムピース223とを有する。
インナーチューブ221は、管状の部材であって、本実施形態では車輪14側に位置する。インナーチューブ221は、アウターチューブ211の内側に挿入されてアウターチューブ211と接続する。そして、インナーチューブ221は、軸方向においてアウターチューブ211に対して相対的に移動する。
ボトムピース223は、図7に示すように、インナーチューブ221の一端側に配置される。ボトムピース223は、内側にロッド部材321(後述)が貫通する開口を有する環形状をしている。
上述したように本実施形態の第2フロントフォーク11Bは、倒立型フロントフォークである。よってアウターチューブ部210は、インナーチューブ部220の半径方向外側に配置されている。
内筒部30Bは、図5に示すように、シリンダ部310と、ロッド部320とを備えている。
シリンダ部310は、シリンダ311、ロッドガイド312、ブッシュ313、ストッパ314、およびフォークボルト部315を有する。そして、シリンダ部310は、アウターチューブ211およびインナーチューブ221の間にガスを収容する外側室R3(第3室)を形成する。
シリンダ311は、アウターチューブ211及びインナーチューブ221の半径方向内側に設けられ、筒状の形状をとる。本実施形態では、シリンダ311は、車体側に配され、後述するシリンダ保持部315Cの内周に挿入されて螺着されることで保持される。シリンダ311については、後で詳述する。
ロッドガイド312は、図6に示すように、シリンダ311の一端側の端部に位置し、シリンダ311の端部に固定される。また、ロッドガイド312は、貫通孔312Hにロッド部材321(後述)が貫通して設けられ、軸方向にスライド可能に支持する。
フォークボルト315Bは、シリンダ保持部315Cの他端側を閉塞する。
シリンダ保持部315Cは、円筒形状をなし、アウターチューブ211の内周に挿入されて螺着される。
内側ガス圧調整部315A1は、内側第2室R2(後述)に連通する。内側ガス圧調整部315A1は、基本的には内側から第2フロントフォーク11Bの外側へのガスの流出を阻止するとともに、調整時においては内側第2室R2(後述)の封入ガス圧を調整可能にする。外側ガス圧調整部315A2は、外側室R3に連通する。外側ガス圧調整部315A2は、基本的には内側から第2フロントフォーク11Bの外側へのガスの流出を阻止するとともに、調整時においては外側室R3の封入ガス圧を調整可能にする。
ロッド部320は、図6に示すように、ロッド部材321と、ピストン322と、ピストンリング323と、シール部材324とを備える。
ロッド部材321は、軸方向に沿って延びる棒状の部材である。本実施形態では、ロッド部材321は、インナーチューブ221側に固定される。また、ロッド部材321は、内側に、軸方向の一端から他端まで延びた貫通孔であるロッド内室321R(第1の空間部)が形成され、中空状となっている。
ロッド部材321は、ボトムボルト431を介して車軸ブラケット部40Bに固定される。
ピストン322は、図6に示すように、ロッド部材321に保持される。そして、ピストン322は、内側に孔部322Hおよび連絡孔322Rを有している。
連絡孔322Rは、一方の開口がロッド内室321Rに接続し、他方の開口がピストン322の他端側にてピストン322の外周部まで延びて形成される。そして、連絡孔322Rは、ロッド内室321Rと後述の内側第1室R1とを連通する。
本実施形態では、ピストン322、ピストンリング323およびシール部材324によって、シリンダ311内の気室を区画する。具体的には、ピストン322の一端側であるロッド部材321側に内側第1室R1(第1室)を形成し、ピストン322の他端側に内側第2室R2(第2室)を形成する。
ピストン322は、ロッド部材321の車体側の端部に固定されると共にシリンダ311の軸方向に移動可能にシリンダ311に接触して設けられ、シリンダ311内の空間を区画する第1の区画部材として機能する。
車軸ブラケット部40Bは、図7に示すように、チューブ保持部41と、車軸連結部42と、ロッド保持部43と、サブタンク装着部44とを有する。
チューブ保持部41は、インナーチューブ221の外径と略同じ内径を有し、インナーチューブ221の一端側の端部が挿入される。
車軸連結部42は、車輪14の車軸14S(図1参照)が挿入される車軸孔42Hを有し、車軸ボルト42Bによって、車輪14の車軸14Sを締め付け可能である。
ロッド保持部43は、ボトムボルト431、ボトムボルト孔432およびカバー433を有する。
ボトムボルト431は、肉厚の円筒形状を有する。
ボトムボルト孔432は、ボトムボルト431と接続する。
カバー433は、ロッド保持部43の一端側の端部に位置して、ボトムボルト431を覆う。カバー433は、ボトムボルト孔432の内側に固定される。またカバー433には、連絡孔433Hが形成されており、この連絡孔433Hによりロッド部材321の一端側と後述する下部タンク室SLとが接続される。即ち、連絡孔433Hによりロッド内室321Rと下部タンク室SLとが連通する。
サブタンク装着部44は、円筒状部441と、接続部442とを有する。
円筒状部441は、他端側においてサブタンク部50Bを装着し保持する。
接続部442は、後述するサブタンク部50B内部の空間部をロッド保持部43の連絡孔433Hに接続する。
サブタンク部50Bは、アウターチューブ211およびインナーチューブ221の外部に設けられる。サブタンク部50Bは、図7に示すように、円筒部材51とバルブ部52とを有する。
円筒部材51は、円筒形状を有し、サブタンク装着部44の内側に保持される。
バルブ部52は、円筒部材51の内側に配置される。
以上のようなサブタンク部50Bは、円筒部材51およびバルブ部52の内部の空間である上部タンク室SU(第3の空間部)を形成する。そして接続部442の内部の空間である下部タンク室SL(第4の空間部)とともにサブタンク室Sを形成する。
下部タンク室SLは、上述のように連絡孔433Hによりロッド内室321Rと連通する。さらにロッド内室321Rは、連絡孔322Rおよび孔部322Hを介して、内側第1室R1と連通する。すなわち、内側第1室R1、ロッド内室321Rおよびサブタンク室Sとは全てガスが相互に流通可能に接続している。
バルブ部52は、基本的には内側から第2フロントフォーク11Bの外側へのガスの流出を阻止するとともに、調整時においてはロッド内室321Rを介して内側第1室R1の封入ガス圧を調整可能にする。
第2フロントフォーク11Bの圧側行程においては、図9(a)に示すように、アウターチューブ211とインナーチューブ221とが軸方向において相対的に近づく方向に移動する。また、シリンダ311の他端側に向けてピストン322およびロッド部材321が軸方向に相対的に近づく方向に移動する。
第2フロントフォーク11Bの伸側行程においては、図9(b)に示すように、アウターチューブ211とインナーチューブ221とが軸方向において相対的に遠ざかる方向に移動する。また、シリンダ311の一端側に向けてピストン322およびロッド部材321の他端側が軸方向に相対的に近づく方向に移動する。
(ロッド部材191の詳細構成)
図10は、ロッド部材191を説明するための図である。
フロントフォーク1(懸架装置の一例)は、車体側に位置するアウターチューブ部110(車体側部材の一例)と、車輪側に位置するとともにアウターチューブ部110に接続し、アウターチューブ部110に対して相対的に移動するインナーチューブ部120(車輪側部材の一例)と、アウターチューブ部110あるいはインナーチューブ部120に設けられるシリンダ151(シリンダ部材の一例)と、シリンダ151の内部でアウターチューブ部110およびインナーチューブ部120の相対的な移動にともない移動するフリーピストン194(移動部材の一例)と、シリンダ151の内部でフリーピストン194を貫通して設けられ、フリーピストン194を案内するロッド部材191(ロッド部材の一例)と、を有するダンパ部50A(緩衝器の一例)を備え、フリーピストン194は、シリンダ151およびロッド部材191の一方の部材と対向する側に設けられこの一方の部材との間を封止する内周シール部材194T(封止部材の一例)を有し、一方の部材は、フリーピストン194と対向する面であって内周シール部材194Tが押し当てられる領域、すなわち内周シール部材194Tが摺動(接触を維持しながらスライド移動)する摺動領域に、フリーピストン194から離間する向きに径が変化する第2小径部1915(径変化部の一例)を有する。
そして、外周シール部材194Sはシリンダ151の内周面に押し当てられる。また、内周シール部材194Tはロッド部材191の外周面に押し当てられる。そして、フリーピストン194が軸方向において移動することにともない、外周シール部材194Sとシリンダ151との間で摩擦力が生じるとともに、内周シール部材194Tとロッド部材191との間で摩擦力が生じる。
また、第2小径部1915(径変化部の一例)は、一端側に進むに従いフリーピストン194(移動部材の一例)から離間する第3テーパ部1916(テーパ形状の一例)を有する。
まず、第1小径部1911の底部1912における外径D1は、ロッド部材191の外周面1910における外径D0よりも小さい。同様に、第2小径部1915における最小径部1918の外径D2は、外周面1910の外径D0よりも小さい。また、最小径部1918の外径D2は、底部1912の外径D1よりも大きい。より具体的には、例えば外周面1910の外径D0は12mmであり、底部1912の外径D1は10mmであり、最小径部1918の外径D2は10.5mmである。
具体的には、例えば第2小径部1915の長さL2は、可動領域の長さL1の3分の1以下である。仮に可動領域の長さL1が30mmである場合、第2小径部1915の長さL2は10mm以下となる。付言すると、この例のように可動領域の長さL1が30mmである場合、第2小径部1915の長さL2は30mm以下であればよく、10mm以下に限定されるものではない。
図11(a)および(b)は、ロッド部材191に対するフリーピストン194の配置を説明するための図である。より具体的には、図11(a)はフリーピストン194が第1小径部1911と対向する配置を示し、図11(b)はフリーピストン194が第2小径部1915と対向する配置を示す。
なお、フリーピストン194は、本体1940と外周シール部材194Sと内周シール部材194Tとを有する。また、フリーピストン194は、サブ油室T5と気体室T6とを区画する。
まず、第1フロントフォーク11A(図2参照)が収縮することにともなってサブ油室T5の油圧が上昇すると、図11(a)における破線で示すフリーピストン194が摺動しながら他端側(図中上側)へと移動する。
まず、第1フロントフォーク11A(図2参照)が伸長することにともなって、サブ油室T5の油圧が減少すると、初期状態として軸方向において第1小径部1911および第2小径部1915の間に位置するフリーピストン194が、摺動しながら一端側(図中下側)へと移動する。
図12は、ダンパ部50Aによる反力とフリーピストン194のストロークとの関係について説明するための概略図である。
次に、図11および図12を参照しながら、ダンパ部50Aによる反力と、フリーピストン194のストロークとの関係について説明をする。
なお、図12におけるフリーピストン194のストロークとは、ロッド部材191の軸方向一端側に配置されたフリーピストン194が、他端側に向けて移動した距離とする。
また、初期状態においては、ダンパ部50Aによる反力およびフリーピストン194のストロークはゼロであるものとする(符号12a参照)。
そして、ダンパ部50Aへの荷重の増加にともない、ダンパ部50Aの反力およびフリーピストン194のストロークが増加する(符号12c参照)。
そして、ダンパ部50Aへの荷重の増加が停止(符号12d参照)した後に減少すると、所定の期間、ストロークが一定となる(符号12e参照)。その後、ダンパ部50Aへの荷重の減少にともないダンパ部50Aの反力およびフリーピストン194のストロークが減少する(符号12f参照)。
また、上記比較例の場合と同様に、初期状態においては、ダンパ部50Aによる反力およびフリーピストン194のストロークがゼロであるものとする(符号12a参照)。また、初期状態において、フリーピストン194の内周シール部材194Tは、第3テーパ部1916と接触している状態とする(図11(b)参照)。
また、ストロークが減少する側に向けて移動しているフリーピストン194は、より小さなストロークで停止する。すなわち、フロントフォーク1(図1参照)の動作終了時(伸長終了時)におけるフリーピストン194の停止が滑らかになる。
これらのことにより、フロントフォークの減衰力特性が向上する。言い替えると、フロントフォーク1を備えた例えば二輪車等の車両の乗り心地が向上する。
(他の実施形態1)
図13は、リヤクッション101に設けられる第2小径部5915を説明するための図である。
したがって、第2小径部1915は、フロントフォーク1以外の懸架装置に設けられてもよい。例えば、二輪車の後輪用の懸架装置(リヤクッション)や、三輪車用や四輪車用の懸架装置に第2小径部1915が設けられてもよい。
さらに説明をすると、例えば図13に示すように、車体と後輪の間に設けられるリヤクッション101に第2小径部5915を設けてもよい。
リヤクッション101(懸架装置の一例)は、車体側に位置するシリンダ部10(車体側部材の一例)と、車輪側に位置するとともにシリンダ部10に接続し、シリンダ部10に対して相対的に移動するピストンロッド部20(車輪側部材の一例)と、シリンダ部10あるいはピストンロッド部20に設けられる空間形成部401(シリンダ部材の一例)と、空間形成部401の内部でシリンダ部10およびピストンロッド部20の相対的な移動にともない移動するフリーピストン403(移動部材の一例)と、空間形成部401の内部でフリーピストン403を貫通して設けられ、フリーピストン403を案内するロッド部材402(ロッド部材の一例)とを有する緩衝器を備え、フリーピストン403は、空間形成部401およびロッド部材402の一方の部材と対向する側に設けられこの一方の部材との間を封止する内周シール部材404(封止部材の一例)を有し、一方の部材は、フリーピストン403と対向する面であって内周シール部材404が摺動する摺動領域に、フリーピストン403から離間する向きに径が変化する小径部5915(径変化部の一例)を有する。
また、本実施の形態においては、フリーピストン403の移動領域における一端側(図中上側)に、小径部5915が形成されている。この小径部5915が形成されていることにより、フリーピストン403が移動する際、フリーピストン403の内周シール部材404とロッド部材402の外周面との間で生じる摩擦力が低減される。
図14(a)および(b)は、第2フロントフォーク11Bに設けられる第2小径部4915を説明するための図である。
ここで、フロントフォーク1(図1参照)におけるロッド部材191以外の箇所に第2小径部1915を設けてもよい。
図15は、シリンダ151に設けられる拡径部1511を説明するための図である。
さて、上記実施の形態においては、ロッド部材191に第2小径部1915を設けることを説明したが、ロッド部材191の軸方向に移動可能なフリーピストン194が受ける抵抗力が低減される態様であれば、これに限定されない。
次に、ロッド部材191に形成される第2小径部1915の変形例について説明をする。
上記の実施の形態においては、図10などを参照しながら、第2小径部1915が第3テーパ部1916を有することを説明したが、内周シール部材194Tが離間しない外径であれば、第2小径部1915の形状は特に限定されない。
また、第2小径部1915が軸方向において複数設けられる構成や、湾曲面を有する構成であってもよい。
例えば、図10における第2小径部1915が形成されている位置に、ロッド部材191の外周面1910よりも内周シール部材194Tとの間で生じる摩擦力が低くなるように構成された低摩擦領域を設けてもよい。例えば、ロッド部材191の外周面1910と一致する外径で、ロッド部材191の外周面1910よりも摩擦係数が小さい樹脂部材を設けてもよい。あるいは、ロッド部材191の外周面1910に複数の凹凸(ディンプル)を設けてもよい。
Claims (6)
- 車体側に位置する車体側部材と、
車輪側に位置するとともに前記車体側部材に接続し、当該車体側部材に対して相対的に移動する車輪側部材と、
前記車体側部材あるいは前記車輪側部材に設けられるシリンダ部材と、
前記シリンダ部材の内部で前記車体側部材および前記車輪側部材の相対的な移動にともない移動する移動部材と、
前記シリンダ部材の内部で前記移動部材を貫通して設けられ、当該移動部材を案内するロッド部材と、
を有する緩衝器を備え、
前記移動部材は、前記シリンダ部材および前記ロッド部材の一方の部材と対向する側に設けられ当該一方の部材との間を封止する封止部材を有し、
前記一方の部材は、前記移動部材と対向する面であって前記封止部材が摺動する摺動領域に、当該移動部材から離間する向きに径が変化する径変化部を有し、
前記封止部材は、前記移動部材の移動にともない前記径変化部を通過する際に前記一方の部材との接触を維持する
ことを特徴とする懸架装置。 - 前記径変化部は、前記移動部材の移動領域における一端側に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の懸架装置。 - 前記径変化部は、前記一端側に進むに従い前記移動部材から離間するテーパ形状を有する
ことを特徴とする請求項2記載の懸架装置。 - 前記ロッド部材は、前記移動部材の移動領域にて当該移動領域の他の部分よりも外径が小さい小径部を有し、
前記封止部材は、前記小径部を通過する際に当該小径部の外周面から離間する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の懸架装置。 - 前記径変化部は、前記車体側部材および前記車輪側部材の相対位置がずれて前記緩衝器が伸びた状態において、前記封止部材と対峙する位置に設けられ、
前記小径部は、前記車体側部材および前記車輪側部材の相対位置がずれて前記緩衝器が縮んだ状態において、前記封止部材と対峙する位置に設けられる
ことを特徴とする請求項4記載の懸架装置。 - 車体側に位置する車体側部材と、
車輪側に位置するとともに前記車体側部材に接続し、当該車体側部材に対して相対的に移動する車輪側部材と、
前記車体側部材あるいは前記車輪側部材に設けられるシリンダ部材と、
前記シリンダ部材の内部で前記車体側部材および前記車輪側部材の相対的な移動にともない移動する移動部材と、
前記シリンダ部材の内部で前記移動部材を貫通して設けられ、当該移動部材を案内するロッド部材と、
を有する緩衝器を備え、
前記移動部材は、
前記ロッド部材の軸方向に移動する本体と、
前記本体の内周面と前記ロッド部材の外周面との間を封止する封止部材と、
を有し、
前記ロッド部材は、
前記移動部材の移動領域であって、前記車体側部材および前記車輪側部材の相対位置がずれて前記緩衝器が伸びた状態において前記封止部材と対峙する位置にて、当該移動領域における他の部分よりも外径が小さく、かつ当該封止部材が押し付けられる第1小径領域と、
前記移動部材の移動領域であって、前記車体側部材および前記車輪側部材の相対位置がずれて前記緩衝器が縮んだ状態において前記封止部材と対峙する位置にて、前記第1小径領域よりも外径が小さく、かつ当該封止部材から離間する第2小径領域と、
を有する
ことを特徴とする懸架装置。
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