JP6636310B2 - セメント質硬化体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント質硬化体の製造方法に関する。
近年、硬化前には良好な流動性を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度を発現することのできるセメント組成物が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、(A)セメント、(B)BET比表面積が5〜25m/gの微粉末、(C)ブレーン比表面積が3,500〜10,000cm/gの無機粉末、(D)細骨材、(E)減水剤、及び、(F)水、を含むセメント組成物であって、前記(D)細骨材が、2CaO・SiO及び2CaO・Al・SiOを含有し、2CaO・SiO100質量部に対して、2CaO・Al・SiOと4CaO・Al・Feとの合計量が10〜100質量部である焼成物を含むことを特徴とするセメント組成物が記載されている。
該セメント組成物は、上記細骨材に含まれる焼成物を絶乾状態で用いた場合、硬化前には施工可能な流動性を有し、硬化後には、250N/mmを超えるような高い圧縮強度を発現し、上記細骨材に含まれる焼成物を表乾状態で用いた場合、硬化前には良好な流動性を有し、硬化後には、200N/mm以上の高い圧縮強度を発現し、かつ、自己収縮率が小さいものである。
ところで、セメント質硬化体の製造における養生方法として、高温高圧水中養生が知られている。
例えば、特許文献2には、密封可能な耐圧容器中に、全体が養生水中に浸漬するようセメント系成形品を配置し、耐圧容器内に養生水を充満し、養生水の飽和水蒸気圧よりも大きな圧入圧力で水を耐圧容器内に加圧注入して耐圧容器内の圧力を高めるとともに養生水の温度を上げ、耐圧容器内を養生水の温度に対応する飽和水蒸気圧以上に保ち、前記養生水を沸騰させないようにして、養生水中に沸点温度における激しい気相が生じないようにし、前記セメント系成形品は、養生中常に水中に浸漬した状態に保持してなる高耐久セメント系成形品製造における養生方法が記載されている。
特開2009−227574号公報 特許第4694937号公報
特許文献1には、フロー値を「0打ち」で測定した実施例として、水と結合材の質量比(水/結合材の質量比)が0.135であり、0打ちフロー値が240〜242mmであり、圧縮強度が280N/mmであるセメント組成物、および、水と結合材の質量比が0.135であり、0打ちフロー値が270〜275mmであり、圧縮強度が215N/mmであるセメント組成物が記載されている。
本発明は、硬化前には優れた流動性(例えば、0打ちフロー値が200mm以上)を有し、かつ硬化後には高い圧縮強度(例えば、350N/mm以上)を発現するセメント組成物からなるセメント質硬化体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の複数の種類の材料を含むセメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体について、吸水させ、かつ100〜200℃での加熱養生を行って、セメント質硬化体を得る、吸水及び加熱養生工程、を含むセメント質硬化体の製造方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] セメント、BET比表面積が15〜25m/gのシリカフューム、50%累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体について、吸水させ、かつ100〜200℃での加熱養生を行って、セメント質硬化体を得る、吸水及び加熱養生工程、を含むことを特徴とするセメント質硬化体の製造方法。
[2] 上記吸水及び加熱養生工程が、上記硬化した成形体に吸水させた後、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生を行うものである前記[1]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[3] 上記吸水と上記オートクレーブ養生の間に、上記成形体に、70℃以上100℃未満で1時間以上の蒸気養生を行う前記[2]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[4] 上記吸水が、上記硬化した成形体を水中に浸漬させることによって行われる前記[2]又は[3]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[5] 上記吸水及び加熱養生工程が、上記硬化した成形体に、100〜200℃で10時間以上の高温高圧水中養生を行うものである前記[1]に記載のセメント質硬化体の製造方法。
[6] 上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のセメント質硬化体の製造方法。
[7] 上記セメント組成物が、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含む前記[1]〜[6]のいずれかに記載のセメント質硬化体の製造方法。
本発明によれば、セメント質硬化体の硬化前のセメント組成物については、優れた流動性(例えば、0打ちフロー値が200mm以上)を確保することができ、また、硬化後のセメント質硬化体(例えば、モルタル)については、高い圧縮強度(例えば、350N/mm以上)を得ることができる。
また、本発明によれば、セメント組成物が粗骨材を含む場合(コンクリートの場合)であっても、硬化前には優れた流動性を確保し、かつ、硬化後には高い圧縮強度(例えば、300N/mm以上)を得ることができる。
本発明で使用するセメント組成物は、セメント、BET比表面積が15〜25m/gのシリカフューム(以下、「シリカフューム」と略すことがある。)、50%累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末(以下、「無機粉末」と略すことがある。)、最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物である。
セメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させる観点から、中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
シリカフュームのBET比表面積は、15〜25m/g、好ましくは17〜23m/g、特に好ましくは18〜22m/gである。該比表面積が15m/g未満の場合、セメント組成物の強度発現性が低下する。該比表面積が25m/gを超える場合、硬化前のセメント組成物の流動性が低下する。
50%累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末としては、例えば、石英粉末(珪石粉末)、火山灰、フライアッシュ(分級または粉砕したもの)、スラグ粉末、石灰石粉末、長石類粉末、ムライト類粉末、アルミナ粉末、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、セメント組成物の流動性および強度発現性を向上させる観点から、石英粉末またはフライアッシュを使用することが好ましい。
なお、本明細書中、50%累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末には、セメントは含まれないものとする。
上記無機粉末の50%累積粒径は、0.8〜5μm、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1.1〜3.5μm、特に好ましくは1.2μm以上、3μm未満である。該粒径が0.8μm未満の場合、セメント組成物の流動性が低下する。該粒径が5μmを超える場合、セメント組成物の強度発現性が低下する。
なお、本明細書中、無機粉末の50%累積粒径は、体積基準である。
無機粉末の50%累積粒径は、市販の粒度分布測定装置(例えば、日機装社製、製品名「マイクロトラックHRA モデル9320−X100」)を用いて求めることができる。
具体的には、粒度分布測定装置を用いて、累積粒度曲線を作成し、該累積粒度曲線から50%累積粒径を求めることができる。この際、試料を分散させる溶媒であるエタノール20cmに対して、試料0.06gを添加し、90秒間、超音波分散装置(例えば、日本精機製作所社製、製品名「US300」)を用いて超音波分散したものを測定する。
上記無機粉末の最大粒径は、セメント組成物の強度発現性を向上させる観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、特に好ましくは13μm以下である。
上記無機粉末の95%累積粒径は、セメント組成物の強度発現性を向上させる観点から、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。
上記無機粉末としては、SiOを主成分とするものが好ましい。上記無機粉末中のSiOの含有率が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であれば、セメント組成物の強度発現性をより向上させることができる。
SiOの含有率が70質量%以上の無機粉末としては、石英粉末(珪石粉末)等が挙げられる。
本発明で使用するセメント組成物において、セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、セメントの割合は55〜65体積%(好ましくは、57〜63体積%)、上記シリカフュームの割合は5〜25体積%(好ましくは、7〜23体積%)、上記無機粉末の割合は15〜35体積%(好ましくは17〜33体積%)である。
セメントの割合が55体積%未満の場合、セメント組成物の強度発現性が低下する。セメントの割合が65体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
シリカフュームの割合が5体積%未満の場合、セメント組成物の強度発現性が低下する。シリカフュームの割合が25体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
上記無機粉末の割合が15体積%未満の場合、セメント組成物の強度発現性が低下する。上記無機粉末の割合が35体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
骨材Aとしては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、人工細骨材(例えば、スラグ細骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材)、再生細骨材またはこれらの混合物等が挙げられる。
骨材Aの最大粒径は、1.2mm以下、好ましくは1.0mm以下である。該最大粒径が1.2mm以下であれば、セメント組成物の強度発現性をより向上させることができ、350N/mm以上の圧縮強度を発現することができる。
骨材Aの粒度分布は、セメント組成物の流動性および強度発現性を向上させる観点から、0.6mm以下の粒径の骨材の割合が、95質量%以上、0.3mm以下の粒径の骨材の割合が、40〜50質量%、及び、0.15mm以下の粒径の骨材の割合が、6質量%以下であることが好ましい。
セメント組成物中の骨材Aの割合は、好ましくは30〜40体積%、より好ましくは32〜38体積%である。該割合が30体積%以上であれば、セメント組成物の流動性を向上させることができると共に、セメント組成物の発熱量が小さくなり、かつ、セメント質硬化体の収縮量が小さくなる。該割合が40体積%以下であれば、セメント組成物の強度発現性を向上させることができる。
高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の高性能減水剤を使用することができる。中でも、セメント組成物の流動性及び強度発現性を向上させる観点から、ポリカルボン酸系の高性能減水剤が好ましい。
高性能減水剤の配合量は、セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100質量部に対して、固形分換算で、好ましくは0.2〜1.5質量部であり、より好ましくは0.4〜1.2質量部である。該量が0.2質量部以上であれば、減水性能が向上し、セメント組成物の流動性が向上する。該量が1.5質量部以下であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。
消泡剤としては、市販品を使用することができる。
消泡剤の配合量は、セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.1質量部、より好ましくは0.01〜0.07質量部、特に好ましくは0.01〜0.05質量部である。該量が0.001質量部以上であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。該量が0.1質量部を超えると、セメント組成物の強度発現性の向上効果が頭打ちとなる。
本発明で使用するセメント組成物は、セメント質硬化体(セメント組成物を硬化してなる硬化体)の曲げ強度や破壊エネルギー等を向上させる観点から、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含んでもよい。セメント組成物中の繊維の割合は、好ましくは3体積%以下、より好ましくは0.3〜2.5体積%、特に好ましくは0.5〜2.0体積%である。該割合が3体積%以下であれば、セメント組成物の流動性や作業性を低下させることなく、硬化体の曲げ強度や破壊エネルギー等を向上させることができる。
金属繊維としては、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、強度に優れており、また、コストや入手のし易さの観点から好適である。
金属繊維の寸法は、セメント組成物中における金属繊維の材料分離の防止や、硬化体の曲げ強度の向上の観点から、直径が0.01〜1.0mm、長さが2〜30mmであることが好ましく、直径が0.05〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
さらに、金属繊維の形状は、直線状よりも、何らかの物理的付着力を付与する形状(例えば、螺旋状や波形)であることが好ましい。螺旋状等の形状であれば、金属繊維とマトリックスとが、引き抜けながら応力を担保するため、硬化体の曲げ強度が向上する。
有機繊維としては、本発明のセメント質硬化体の製造方法における加熱に耐えうるものであればよく、例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリート繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられる。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が挙げられる。
有機繊維及び炭素繊維の寸法は、セメント組成物中におけるこれらの繊維の材料分離の防止や、硬化体の破壊エネルギーの向上の観点から、直径が0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmであることが好ましく、直径が0.01〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、有機繊維及び炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは30〜150である。
水としては、水道水等を使用することができる。
水の配合量は、セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは10〜20質量部、より好ましくは12〜18質量部、特に好ましくは14〜16質量部である。該量が10質量部以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。該量が20質量部以下であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。
上記セメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)の硬化前のフロー値は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行わないで測定した値(以下、「0打ちフロー値」ともいう。)として、好ましくは200mm以上、より好ましくは220mm以上である。
また、上記セメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)を硬化してなるセメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは320N/mm以上、より好ましくは330N/mm以上、さらに好ましくは340N/mm以上、特に好ましくは350N/mm以上である。
本発明のセメント組成物は、最大粒径が1.2mmを超え、13mm以下の骨材Bを含むことができる。
骨材Bとしては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、人工細骨材(例えば、スラグ細骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材)、再生細骨材、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材(例えば、スラグ粗骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成粗骨材)、再生粗骨材またはこれらの混合物等が挙げられる。
骨材Bの最大粒径は、13mm以下、好ましくは12mm以下、より好ましくは11mm以下、特に好ましくは10mm以下である。該最大粒径が13mm以下であれば、セメント組成物の強度発現性が向上し、例えば、300N/mm以上の圧縮強度を発現することができる。
また、骨材Bの最大粒径は、コストの低減等の観点から、1.2mmを超える値であり、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは7mm以上である。
なお、本明細書中、骨材Bの最大粒径が5mm以上の場合における「最大粒径」とは、骨材B全体の90質量%以上が通るふるいのうち、最小寸法のふるいの呼び寸法で示される骨材Bの粒径(一般に、粗骨材の最大粒径の定義として知られているもの)をいう。
骨材Bの最小粒径は、好ましくは骨材Aの最大粒径を超える値であり、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上、特に好ましくは5mm以上(この場合、粗骨材に該当する。)である。
なお、本明細書中、骨材Bの最小粒径とは、骨材Bの中の最も粒径が小さいものから粒径が大きなものに向かって累積していった場合において、骨材B全体の15質量%に達したときの骨材Bの粒径をいう。
本発明において、セメント組成物中の骨材Aと骨材Bの合計量の割合は、好ましくは30〜40体積%、より好ましくは32〜38体積%である。該割合が30体積%以上であれば、セメント組成物の発熱量が小さくなり、かつ、セメント質硬化体の収縮量が小さくなる。該割合が40体積%以下であれば、セメント組成物の強度発現性を向上させることができる。
骨材Aと骨材Bの合計量に対する骨材Bの割合は、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。該割合が40体積%以下であれば、セメント組成物の強度発現性(例えば、圧縮強度)を向上させることができる。
骨材Bを含むセメント組成物(例えば、コンクリート)を硬化してなるセメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは300N/mm以上、より好ましくは310N/mm以上、特に好ましくは320N/mm以上である。
次に、上述のセメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体の製造方法について、詳しく説明する。
本発明のセメント質硬化体の製造方法の一例(以下、「本発明の製造方法A」ともいう。)は、上述のセメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体に吸水させる吸水工程と、上記吸水させた成形体について、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生を行って、セメント質硬化体を得る加熱養生工程、を含むものである。
なお、ここでの吸水工程及び加熱養生工程は、常温養生工程で得られた成形体について、吸水させ、かつ100〜200℃での加熱養生を行う点で、吸水及び加熱養生工程と称することができるものである。
以下、工程毎に説明する。
[成形工程]
本工程は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る工程である。
打設を行う前に、セメント組成物を混練する方法としては、特に限定されるものではない。また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。さらに、打設(成形)方法も特に限定されるものではない。
なお、本工程における未硬化の成形体は、セメント組成物中の気泡を低減又は除去したセメント組成物からなるものであってもよい。セメント組成物中の気泡を低減又は除去することで、セメント組成物の強度発現性をより向上させることができる。
セメント組成物中の気泡を低減又は除去する方法としては、(1)セメント組成物の混練を減圧下で行う方法、(2)混練後のセメント組成物を、型枠内に打設する前に減圧して脱泡させる方法、(3)セメント組成物を型枠内に打設した後、減圧して脱泡させる方法等が挙げられる。
[常温養生工程]
本工程は、未硬化の成形体を、10〜40℃(好ましくは15〜30℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは24〜48時間)、封緘養生または気中養生した後、型枠から脱型し、硬化した成形体を得る工程である。
養生温度が10℃以上であれば、養生時間を短くすることができる。養生温度が40℃以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
養生時間が24時間以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じにくくなる。
また、本工程において、硬化した成形体が、好ましくは20〜100N/mm、より好ましくは30〜80N/mmの圧縮強度を発現した時に、硬化した成形体を型枠から脱型することが好ましい。該圧縮強度が20N/mm以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じにくくなる。該圧縮強度が100N/mm以下であれば、後述する吸水工程において、少ない労力で、硬化した成形体に吸水させることができる。
[吸水工程]
硬化した成形体に吸水させる方法としては、該成形体を水中に浸漬させる方法が挙げられる。また、該成形体を水中に浸漬させる方法において、短時間で吸水量を増やし、セメント質硬化体の圧縮強度を大きくする観点から、(1)該成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法、(2)該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を浸漬させたまま、水温を40℃以下に低下させる方法、(3)該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を沸騰している水から取り出して、次いで、40℃以下の水に浸漬させる方法、(4)該成形体を、加圧下の水の中に浸漬させる方法、又は(5)該成形体への水の浸透性を向上させる薬剤を溶解させた水溶液の中に、該成形体を浸漬させる方法、が好ましい。
上記成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法としては、真空ポンプや大型の減圧容器等の設備を利用する方法が挙げられる。
上記成形体を、沸騰している水の中に浸漬させる方法としては、高温高圧容器や熱温水水槽等の設備を利用する方法が挙げられる。
上記成形体を、減圧下の水または沸騰している水の中に浸漬させる時間は、吸水率を高くする観点から、好ましくは3分間以上、より好ましくは8分間以上、特に好ましくは20分間以上である。該時間の上限は、セメント質硬化体の圧縮強度をより高くする観点から、好ましくは60分間、より好ましくは45分間である。
吸水工程における吸水率は、セメント組成物が粗骨材を含まない場合(セメント組成物が骨材Bを含まない、あるいは、セメント組成物中の骨材Bが粗骨材に該当しない場合)、φ50×100mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3〜2.0体積%、特に好ましくは0.35〜1.7体積%であり、セメント組成物が粗骨材を含む場合(セメント組成物中の骨材Bが粗骨材に該当する場合)、φ100×200mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3〜2.0体積%、特に好ましくは0.35〜1.7体積%である。
これらの吸水率が0.2体積%以上であれば、セメント質硬化体の圧縮強度をより高めることができる。
[加熱養生工程]
本工程は、前工程で得られた吸水させた成形体について、100〜200℃(好ましくは150〜195℃、より好ましくは160〜190℃)で1時間以上(好ましくは24〜100時間、より好ましくは36〜90時間)のオートクレーブ養生を行い、加熱養生後の硬化体を得る工程である。
なお、本工程において、オートクレーブ養生を行う前に、吸水工程で得られた吸水した成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の蒸気養生を行ってもよい。蒸気養生を行った後、さらにオートクレーブ養生を行う場合、蒸気養生における養生時間は、好ましくは1〜72時間、より好ましくは2〜48時間であり、オートクレーブ養生における養生時間は、好ましくは1〜100時間、より好ましくは10〜90時間、さらに好ましくは30〜80時間、特に好ましくは40〜70時間である。
本工程において、養生温度が前記範囲内であれば、養生時間を短くすることができ、また、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
また、本工程において、養生時間が前記範囲内であれば、セメント質硬化体の圧縮強度を向上させることができる。
本発明のセメント質硬化体の製造方法の他の例(以下、「本発明の製造方法B」ともいう。)は、上述のセメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、上記硬化した成形体に、100〜200℃で10時間以上の高温高圧水中養生を行う、吸水及び加熱養生工程、を含むものである。
以下、工程毎に説明する。
本発明の製造方法Bにおける成形工程及び常温養生工程は、上述の本発明の製造方法Aにおける成形工程及び常温養生工程と同じである。
[吸水及び加熱養生工程]
本工程は、常温養生工程で得られた成形体に、100〜200℃で10時間以上の高温高圧水中養生を行う工程である。
なお、ここでの高温高圧水中養生は、高温下(100〜200℃)において、吸水が可能な水中で成形体を養生する点で、吸水及び加熱養生工程と称することができるものである。
高温高圧水中養生における養生温度及び養生時間は、100〜200℃(好ましくは150〜195℃、より好ましくは160〜190℃)で、10時間以上(好ましくは24〜60時間、より好ましくは36〜48時間)である。
高温高圧水中養生の具体的な方法としては、(1)密封可能な耐圧容器を使用し、該容器内の養生水中に成形体を沈め、容器を密封した後、養生水を加熱して沸騰させ、発生した蒸気を容器内に充満させることによって高圧雰囲気を作り出し、成形体が高温高圧の養生水に浸漬することになる方法(特許文献2の段落0004参照)、(2)密封可能な耐圧容器中に、成形体の全体が養生水の中に浸漬するように成形体を配置し、耐圧容器内に養生水を充満し、養生水の飽和水蒸気圧よりも大きな圧入圧力で水を耐圧容器内に加圧注入して、耐圧容器内の圧力を高めるとともに養生水の温度を上げ、耐圧容器内を養生水の温度に対応する飽和水蒸気圧以上に保ち、前記養生水を沸騰させないようにして、前記成形体を、養生中、常に水中に浸漬した状態に保持する方法(特許文献2の請求項1参照)、等が知られている。
本発明においては、上記(1)と(2)のいずれの方法を採用してもよく、また、上記(1)〜(2)以外の他の方法を採用してもよい。
なお、高温高圧水中養生を行う場合、該養生前の吸水工程は、不要である。すなわち、上記(1)の方法においては、容器内の養生水を沸騰させるので、この時に成形体に吸水させることが可能である。また、上記(2)の方法においては、容器内に水を加圧注入するので、この時に成形体に吸水させることが可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例1〜3は、本発明の製造方法Aに該当するものである。
[使用材料]
使用材料は、以下に示すとおりである。
(1)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)シリカフュームA(BET比表面積:20m/g)
(3)シリカフュームB(BET比表面積:17m/g)
(4)無機粉末A:珪石粉末(50%累積粒径:2μm、最大粒径:12μm、95%累積粒径:5.8μm、SiOの含有率:90質量%以上)
(5)無機粉末B:珪石粉末(50%累積粒径:7μm、最大粒径:67μm、95%累積粒径:27μm、SiOの含有率:90質量%以上)
(6)骨材A(細骨材):珪砂(最大粒径:1.0mm、0.6mm以下の粒径のもの:98質量%、0.3mm以下の粒径のもの:45質量%、0.15mm以下の粒径のもの:3質量%)
(7)ポリカルボン酸系高性能減水剤(固形分量:27.4質量%、フローリック社製、商品名「フローリックSF500U」)
(8)消泡剤:BASFジャパン社製、商品名「マスターエア404」
(9)水:水道水
(10)金属繊維:鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
[実施例1]
セメント、シリカフュームA及び無機粉末Aを、セメント60体積%、「シリカフュームA」20体積%、及び「無機粉末A」20体積%の割合で混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材Aの割合が35.5体積%となる量の骨材Aを、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、オムニミキサに投入して、2分間混練した。
なお、水の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、15質量部であった。ポリカルボン酸系高性能減水剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、0.69質量部(固形分換算)であった。消泡剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、0.02質量部であった。
混練後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。
混練後のセメント組成物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。該値は、上述のとおり、0打ちフロー値と称する。
得られた混練物を、φ50×100mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。脱型時の圧縮強度は45N/mmであった。
この成形体を、沸騰している水(沸騰水)に、30分間浸漬した後、該成形体を水に浸漬させたまま、水温が25℃となるまで冷却した。浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
浸漬後、この成形体について、180℃、10気圧の条件下で54時間、オートクレーブ養生を行った。
得られたセメント質硬化体の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
その結果、0打ちフロー値は290mm、吸水率は0.42%、圧縮強度は372N/mmであった。
[実施例2]
セメント、シリカフュームA及び無機粉末Aを、セメント60体積%、「シリカフュームA」10体積%、及び「無機粉末A」30体積%の割合で混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材Aの割合が30.0体積%となる量の骨材Aを、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、オムニミキサに投入して、2分間混練した。
なお、水の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、11質量部であった。ポリカルボン酸系高性能減水剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、0.76質量部(固形分換算)であった。消泡剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、0.02質量部であった。
混練後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。混練後のセメント組成物の0打ちフロー値を、実施例1と同様にして測定した。
得られた混練物を、φ50×100mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。脱型時の圧縮強度は54N/mmであった。
この成形体を、沸騰している水(沸騰水)に、35分間浸漬した後、該成形体を水に浸漬させたまま、水温が25℃となるまで冷却した。浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
浸漬後、この成形体について、90℃で48時間蒸気養生を行い、次いで、20℃まで降温した後、180℃、10気圧の条件下で42時間、オートクレーブ養生を行った。
得られたセメント質硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
その結果、0打ちフロー値は220mm、吸水率は0.40%、圧縮強度は395N/mmであった。
[実施例3]
セメント、シリカフュームA及び無機粉末Aを、セメント60体積%、「シリカフュームA」10体積%、及び「無機粉末A」30体積%の割合で混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材Aの割合が35.5体積%となる量の骨材Aを、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、オムニミキサに投入して、2分間混練した。
なお、水の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、15質量部であった。ポリカルボン酸系高性能減水剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、0.74質量部(固形分換算)であった。消泡剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームA及び無機粉末A)の合計量100質量部に対して、0.02質量部であった。
混練後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行い、次いで、セメント組成物中の金属繊維の割合が2体積%となる量の金属繊維を、オムニミキサに投入して、さらに2分間混練を行った。混練後のセメント組成物の0打ちフロー値を、実施例1と同様にして測定した。
得られた混練物を、φ50×100mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。脱型時の圧縮強度は45N/mmであった。
この成形体を、沸騰している水(沸騰水)に、30分間浸漬した後、該成形体を水に浸漬させたまま、水温が25℃となるまで冷却した。浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
浸漬後、この成形体について、90℃で48時間蒸気養生を行い、次いで、20℃まで降温した後、180℃、10気圧の条件下で42時間、オートクレーブ養生を行った。
得られたセメント質硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
また、セメント質硬化体の曲げ強度も、「土木学会基準 JSCE−G 552−2010(鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法)」に準じて測定した。
その結果、0打ちフロー値は262mm、吸水率は0.37%、圧縮強度は361N/mm、曲げ強度は40N/mmであった。
[比較例1]
封緘養生後、脱型して得た成形体を沸騰水に浸漬させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、セメント質硬化体を得た。
得られたセメント質硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
その結果、圧縮強度は300N/mmであった。
[比較例2]
セメント、シリカフュームB及び無機粉末Bを、セメント57体積%、「シリカフュームB」22体積%、及び「無機粉末B」21体積%の割合で混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材Aの割合が32.5体積%となる量の骨材Aを、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、オムニミキサに投入して、2分間混練した。
なお、水の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームB及び無機粉末B)の合計量100質量部に対して、14質量部であった。ポリカルボン酸系高性能減水剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームB及び無機粉末B)の合計量100質量部に対して、0.55質量部(固形分換算)であった。消泡剤の量は、粉体原料(セメント、シリカフュームB及び無機粉末B)の合計量100質量部に対して、0.04質量部であった。
混練後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。混練後のセメント組成物の0打ちフロー値を、実施例1と同様にして測定した。
得られた混練物を、φ50×100mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。
この成形体を、沸騰している水(沸騰水)に、30分間浸漬した後、該成形体を水に浸漬させたまま、水温が25℃となるまで冷却した。浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
浸漬後、この成形体について、180℃、10気圧の条件下で54時間、オートクレーブ養生を行った。
得られたセメント質硬化体の圧縮強度を、実施例1と同様にして測定した。
その結果、0打ちフロー値は270mm、吸水率は0.40%、圧縮強度は298N/mmであった。
実施例1〜3では、本発明に該当する粉体原料(無機粉末Aを含むもの)を用いているため、0打ちフロー値が220〜290mm、吸水率が0.37〜0.42%、圧縮強度が361〜395N/mmであり、流動性が優れ(0打ちフロー値が大きい)、吸水率が好ましい数値範囲内であり、圧縮強度が大きいことがわかる。
一方、比較例1では、封緘養生後の成形体について、吸水させていないため、圧縮強度が300N/mmであり、実施例1〜3に比べて、圧縮強度の点で劣ることがわかる。
また、比較例2では、本発明に該当しない粉体原料(無機粉末Bを含むもの)を用いているため、0打ちフロー値(270mm)及び吸水率(0.40%)については良好な値を得ているものの、圧縮強度が298N/mmであり、実施例1〜3に比べて、圧縮強度の点で劣ることがわかる。

Claims (3)

  1. セメント、BET比表面積が15〜25m/gのシリカフューム、50%累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末、最大粒径が1.2mm以下の骨材A、高性能減水剤、消泡剤及び水を含むセメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、
    上記未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生した後、上記型枠から脱型し、硬化した成形体を得る常温養生工程と、
    上記硬化した成形体について、吸水させ、かつ150〜200℃での加熱養生を行って、セメント質硬化体を得る、吸水及び加熱養生工程、
    を含むセメント質硬化体の製造方法であって、
    上記セメント組成物は、上記セメント、上記シリカフューム及び上記無機粉末の合計量100体積%中、上記セメントの割合が55〜65体積%、上記シリカフュームの割合が5〜25体積%、上記無機粉末の割合が15〜35体積%であるものであり、
    上記吸水及び加熱養生工程における上記吸水は、(a)上記成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、上記成形体を浸漬させたまま、水温を40℃以下に低下させる方法、または、(b)上記成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、上記成形体を、沸騰している水から取り出して、次いで、40℃以下の水の中に浸漬させる方法、のいずれかによって行われるものであり、
    上記吸水及び加熱養生工程における上記加熱養生は、上記(a)または(b)の方法によって得られた上記成形体について、150〜200℃で24〜100時間のオートクレーブ養生を行うものであり、
    150℃以上の加熱として、オートクレーブ養生以外の加熱を行わないことを特徴とするセメント質硬化体の製造方法。
  2. 上記吸水と上記オートクレーブ養生の間に、上記成形体について、70℃以上100℃未満で1時間以上の蒸気養生を行う請求項に記載のセメント質硬化体の製造方法。
  3. 上記セメント組成物が、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる一種以上の繊維を含む請求項1又は2に記載のセメント質硬化体の製造方法。
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