(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
また、各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸及びY軸は、水平方向に配置される。Z軸は、上下方向に配置される。
図1は、第1の実施形態に係る巻上機10及びメインシーブ交換治具20を概略的に示す例示的な斜視図である。図2は、第1の実施形態の巻上機10及びメインシーブ交換治具20を概略的に示す例示的な正面図である。図3は、第1の実施形態の巻上機10及びメインシーブ交換治具20を概略的に示す例示的な側面図である。
図1に示すように、エレベータ1に設けられた空間5に、巻上機10が配置される。本実施形態における空間5は、機械室である。なお、空間5は、この例に限られず、例えば機械室レスのエレベータ1においては昇降路であっても良い。
図3に示すように、巻上機10は、本体11と、軸12と、メインシーブ13とを有する。メインシーブ13は、エレベータ用品の一例である。なお、エレベータ用品は、他の部品又は部材であっても良い。
本体11は、空間5に設けられたマシンベッド15に載置及び固定される。マシンベッド15は、第1のベッド16と、第2のベッド17と、複数の防振ゴム18とを有する。なお、マシンベッド15は、この例に限られない。
第1のベッド16は、空間5の床5aに載置される。第2のベッド17は、第1のベッド16の上方に位置する。防振ゴム18は、第1のベッド16と第2のベッド17との間に介在する。
防振ゴム18は、第1のベッド16と第2のベッド17との間で、振動を減衰する。第2のベッド17及び防振ゴム18が設けられることで、マシンベッド15に載置される巻上機10の位置が高くなる。
軸12は、本体11からY軸方向に突出する。Y軸方向は、水平な方向であり、第1の方向の一例である。Y軸方向は、奥行き方向とも称され得る。本実施形態では、軸12は、本体11からY軸の負方向(Y軸の矢印の反対方向、後方向)に突出する。メインシーブ13は、軸12に取り外し可能に取り付けられる。巻上機10は、軸12を介してメインシーブ13を回転させる。
巻上機10のメインシーブ13を交換する場合に、メインシーブ交換治具20が用いられる。メインシーブ交換治具20は、エレベータ用品揚重装置の一例であり、揚重治具とも称され得る。なお、メインシーブ交換治具20は、メインシーブ13の設置又は除去のような他の用途に用いられても良い。
メインシーブ交換治具20は、支持台21と、支持枠22と、二つの揚重機23と、台枠24と、複数の支持足25とを有する。支持台21は、第1の支持部品の一例である。支持枠22は、第2の支持部品の一例である。台枠24は、第3の支持部品の一例である。
図4は、第1の実施形態のメインシーブ交換治具20を概略的に示す例示的な斜視図である。図5は、第1の実施形態の支持台21を概略的に示す例示的な斜視図である。図6は、第1の実施形態の支持枠22を概略的に示す例示的な斜視図である。図7は、第1の実施形態の台枠24を概略的に示す例示的な斜視図である。図4乃至図7におけるメインシーブ交換治具20及びその部品の形状は、より具体的に示されるため、図1乃至図3におけるメインシーブ交換治具20及びその部品の形状と若干異なる。
図5に示すように、支持台21は、台31と、二つの第1のスライド部32と、複数の第1の補強材33と、二つの吊り具34とを有する。吊り具34は、第1の取付部の一例である。
台31は、二つの第1の延材41と、第2の延材42と、第3の延材43とを有する。なお、台31はこの例に限られない。第1の延材41、第2の延材42、及び第3の延材43は、例えば、C形鋼(溝形鋼、チャンネル)である。
二つの第1の延材41は、互いにX軸方向に離間するとともに、Y軸方向に略平行に延びる。X軸方向は、Y軸方向と直交(交差)する水平な方向であり、第2の方向の一例である。二つの第1の延材41の間の距離は、メインシーブ13の直径よりも短い。なお、二つの第1の延材41の間の距離はこの例に限られない。
第2の延材42は、X軸方向に延び、Y軸の正方向(Y軸の矢印が示す方向、前方向)における二つの第1の延材41の端部に接続される。第3の延材43は、X軸方向に延び、Y軸の負方向における二つの第1の延材41の端部に、第1のスライド部32を介して接続される。
図2及び図3に示すように、台31は、略上方向(Z軸の矢印が示す方向)に向く載置面31aを有する。載置面31aは、第1の延材41、第2の延材42、及び第3の延材43の上面によって形成される。なお、載置面31aはこの例に限られず、例えば、第1の延材41、第2の延材42、及び第3の延材43に支持された板材によって形成されても良い。
載置面31aにメインシーブ13が載置されることで、台31の載置面31aは、メインシーブ13を下方から支持する。なお、載置面31aの縁にメインシーブ13が載置され、載置面31aの当該縁がメインシーブ13を下方から支持しても良い。
図5に示すように、第1のスライド部32は、Y軸の負方向における第1の延材41の端部と、X軸方向における第3の延材43の端部と、に接続される。第1のスライド部32は、第1の延材41及び第3の延材43から上方向に延びる。
第1のスライド部32はそれぞれ、例えばL形鋼(山形鋼)により形成される側壁45及び前壁46と、複数のガイドローラ47とを有する。側壁45は、Y−Z平面で広がる板状に形成される。前壁46は、Y軸の正方向における側壁45の端部からX軸方向に突出し、X−Z平面で広がる板状に形成される。側壁45に、第3の延材43が接続される。前壁46に、第1の延材41が接続される。ガイドローラ47は、X軸方向に延びる中心軸まわりに回転可能に、側壁45に取り付けられる。複数のガイドローラ47は、上下方向に間隔を介して並べられる。
第1の補強材33は、台31と第1のスライド部32とに接続される。例えば、二つの第1の補強材33が、斜め方向に延び、第1の延材41と前壁46に接続される。また、他の二つの第1の補強材33が、斜め方向に延び、第3の延材43と側壁45とに接続される。
吊り具34は、台31に設けられる。本実施形態において、吊り具34は、第3の延材43からY軸の負方向に突出する、略環状の部材である。二つの吊り具34は、X軸方向に互いに離間する。
吊り具34は、載置面31aよりも下方の位置に設けられる。なお、吊り具34は、上下方向における載置面31aと同一の位置に設けられても良い。上下方向において、吊り具34の上端と下端との間に載置面31aが位置することで、吊り具34と載置面31aとが上下方向における同一の位置に設けられる。
図6に示すように、支持枠22は、二つの第1のガイドレール51と、梁材52と、二つの第2のスライド部53と、二つの第2の補強材54と、二つの吊元55とを有する。第1のガイドレール51は、第1のガイドの一例である。吊元55は、第2の取付部の一例である。
二つの第1のガイドレール51は、互いにX軸方向に離間するとともに、上下方向に略平行に延びる。第1のガイドレール51はそれぞれ、例えばC形鋼により形成される側壁61、前壁62、及び後壁63を有する。
側壁61は、Y−Z平面で広がる板状に形成される。前壁62は、Y軸の正方向における側壁61の端部からX軸方向に突出する。後壁63は、Y軸の負方向における側壁61の端部からX軸方向に突出する。一方の第1のガイドレール51の前壁62及び後壁63と、他方の第1のガイドレール51の前壁62及び後壁63とは、互いに近付く方向に延びる。前壁62及び後壁63はそれぞれ、X−Z平面で広がる板状に形成される。
第1のガイドレール51の内側に、第1の収容部51aが設けられる。第1の収容部51aは、第1のガイドレール51の内側の空間であり、側壁61、前壁62、及び後壁63によって形成(規定)される。第1の収容部51aは、少なくとも下方の端部において第1のガイドレール51の外部に開いている。
梁材52は、X軸方向に延び、二つの第1のガイドレール51の上方の端部に接続される。梁材52は、第1の収容部51aの上方の端部を塞ぐ。なお、第1の収容部51aの上方の端部は、第1のガイドレール51の外部に開いていても良い。
第2のスライド部53は、第1のガイドレール51の下方の端部に接続される。第2のスライド部53は、第1のガイドレール51から、Y軸の正方向及び負方向に延びる。第2のスライド部53はそれぞれ、例えばL形鋼により形成される側壁65及び上壁66と、複数のガイドローラ67とを有する。側壁65は、第5の壁の一例である。上壁66は、第4の壁の一例である。
側壁65は、Y−Z平面で広がる板状に形成される。側壁65に、第1のガイドレール51の側壁61が接続される。上壁66は、側壁65の上方の端部からX軸方向に突出し、X−Y平面で広がる板状に形成される。別の表現によれば、側壁65は、上壁66の端部から下方に延びる。ガイドローラ67は、X軸方向に延びる中心軸まわりに回転可能に、側壁65に取り付けられる。複数のガイドローラ67は、Y軸方向に間隔を介して並べられる。
第2の補強材54は、第1のガイドレール51と第2のスライド部53とに接続される。例えば、第2の補強材54は、斜め方向に延び、第1のガイドレール51の側壁61と、第2のスライド部53の上壁66とに接続される。
吊元55は、梁材52に設けられる。本実施形態において、吊元55は、梁材52からY軸の負方向に突出する、略環状の部材である。二つの吊元55は、X軸方向に互いに離間する。
図4に示すように、第1のガイドレール51に、支持台21が上下方向において移動可能に取り付けられる。本実施形態では、支持台21の第1のスライド部32が、第1のガイドレール51に取り付けられる。
図8は、第1の実施形態の支持台21及び支持枠22を図3のFA−FA線に沿って概略的に示し、又は支持枠22及び台枠24を図3のFB−FB線に沿って概略的に示した、例示的な断面図である。図8に示すように、第1のガイドレール51の第1の収容部51aに、第1のスライド部32のガイドローラ47が収容される。このため、ガイドローラ47は、前壁62と後壁63との間に位置する。複数のガイドローラ47が前壁62又は後壁63に当接することで、支持台21の回転が制限される。
第1のスライド部32の前壁46は、第1のガイドレール51の前壁62に沿って上下方向に延びる。第1のガイドレール51の前壁62は、第1のスライド部32の前壁46とガイドローラ47との間に位置する。これにより、第1のスライド部32が第1のガイドレール51から外れることが抑制される。
ガイドローラ47は、第1のガイドレール51の前壁62又は後壁63で転動可能である。これにより、支持台21は、上下方向において移動可能に第1のガイドレール51に取り付けられる。なお、支持台21は、上下方向において移動可能であれば、上下方向と異なる方向に移動しても良い。例えば、支持台21は、斜め前方向又は斜め後ろ方向に移動可能に第1のガイドレール51に取り付けられても良い。
図4に示すように、支持台21が第1のガイドレール51に取り付けられると、吊元55が対応する吊り具34に対して上方に位置する。吊元55は、対応する吊り具34に対して水平方向においてずれた位置にあっても良い。
本実施形態において、揚重機23は、チェーンブロックである。なお、揚重機23は、この例に限られない。揚重機23はそれぞれ、ブレーキ部71と、ロードチェーン72と、ハンドチェーン73と、上フック74と、下フック75とを有する。
ブレーキ部71は、歯車及び軸のような部品と、当該部品を収容するハウジングとを有する。ロードチェーン72及びハンドチェーン73は、ブレーキ部71から垂れ下がっている。ブレーキ部71は、ロードチェーン72及びハンドチェーン73を巻き取り及び繰り出し可能である。ブレーキ部71は、ロードチェーン72及びハンドチェーン73を減速させる。
上フック74は、ブレーキ部71のハウジングに設けられる。上フック74は、支持枠22の吊元55に取り付けられる。これにより、揚重機23は、吊元55に吊り下げられる。
下フック75は、ロードチェーン72の端部に設けられる。下フック75は、支持台21の吊り具34に取り付けられる。これにより、揚重機23は、支持台21を吊るし、支持台21を支持する。
ブレーキ部71がロードチェーン72を減速しているため、ハンドチェーン73が操作されない状態では、揚重機23に吊るされた支持台21は略同一位置に保持される。ハンドチェーン73が操作されることで、ロードチェーン72がブレーキ部71により巻き取られ又は繰り出される。これにより、揚重機23は、支持台21を上下方向に移動させる。このように、本実施形態の揚重機23は手動で操作されるが、揚重機23は、例えばモータ又はアクチュエータにより電動で支持台21を上下方向に移動させても良い。
支持台21の二つの第1のスライド部32にそれぞれ、第1の目盛77が設けられる。さらに、支持枠22の二つの第1のガイドレール51にそれぞれ、上下方向に並ぶ複数の第2の目盛78が設けられる。第1の目盛77と第2の目盛78とは、隣接する位置に設けられる。第2の目盛78に対する第1の目盛77の位置を確認することで、支持台21が上下方向に平行移動するように揚重機23を操作することが容易になる。
図7に示すように、台枠24は、二つの第2のガイドレール81と、梁材82とを有する。第2のガイドレール81は、第2のガイドの一例である。二つの第2のガイドレール81は、互いにX軸方向に離間するとともに、Y軸方向に略平行に延びる。
第2のガイドレール81はそれぞれ、例えばC形鋼により形成される側壁85、上壁86、及び下壁87を有する。側壁85は、第1の壁の一例である。上壁86は、第2の壁の一例である。下壁87は、第3の壁の一例である。
側壁85は、Y−Z平面で広がる板状に形成され、上下方向に延びる。上壁86は、側壁85の上方の端部からX軸方向に延びる。下壁87は、側壁85の下方の端部からX軸方向に延びる。一方の第2のガイドレール81の上壁86及び下壁87と、他方の第2のガイドレール81の上壁86及び下壁87とは、互いに近付く方向に延びる。上壁86及び下壁87はそれぞれ、X−Y平面で広がる板状に形成される。
第2のガイドレール81の内側に、第2の収容部81aが設けられる。第2の収容部81aは、第2のガイドレール81の内側の空間であり、側壁85、上壁86、及び下壁87によって形成(規定)される。第2の収容部81aは、少なくともY軸の負方向の端部において第2のガイドレール81の外部に開いている。
梁材82は、X軸方向に延び、Y軸の正方向における二つの第2のガイドレール81の端部に接続される。梁材82は、Y軸の正方向における第2の収容部81aの端部を塞ぐ。なお、Y軸の正方向における第2の収容部81aの端部は、第2のガイドレール81の外部に開いていても良い。
図4に示すように、第2のガイドレール81に、支持枠22がY軸方向において移動可能に取り付けられる。本実施形態では、支持枠22の第2のスライド部53が、第2のガイドレール81に取り付けられる。
図8に示すように、第2のガイドレール81の第2の収容部81aに、第2のスライド部53のガイドローラ67が収容される。このため、ガイドローラ67は、上壁86と下壁87との間に位置する。
ガイドローラ67は、第2のガイドレール81の下壁87に支持される。これにより、台枠24が支持枠22を支持する。複数のガイドローラ67が上壁86又は下壁87に当接することで、支持枠22の回転が制限される。
第2のスライド部53の上壁66は、第2のガイドレール81の上壁86の上方に位置し、当該上壁86に沿って延びる。第2のガイドレール81の上壁86が第2のスライド部53の上壁66を支持し、荷重を分散しても良い。
第2のガイドレール81の上壁86は、第2のスライド部53の上壁66とガイドローラ67との間に位置する。これにより、第2のスライド部53が第2のガイドレール81から外れることが抑制される。
ガイドローラ67は、第2のガイドレール81の上壁86又は下壁87で転動可能である。これにより、支持枠22は、Y軸方向において移動可能に第2のガイドレール81に取り付けられる。なお、支持枠22は、Y軸方向において移動可能であれば、Y軸方向と異なる方向に移動しても良い。例えば、支持枠22は、斜め上方向又は斜め下方向に移動可能に第2のガイドレール81に取り付けられても良い。
支持台21、支持枠22、揚重機23、及び台枠24は、互いに取り外し可能に取り付けられる。具体的には、支持台21の第1のスライド部32は、支持枠22の第1のガイドレール51から下方に抜くことで取り外し可能である。支持枠22の第2のスライド部53は、台枠24の第2のガイドレール81からY軸の負方向に抜くことで取り外し可能である。揚重機23の上フック74は吊元55から取り外し可能であり、下フック75は吊り具34から取り外し可能である。
図2に示すように、支持足25は、台枠24に取り付けられる。支持足25は、空間5の床5aと台枠24との間に介在し、台枠24を支持する。支持足25は、メインシーブ交換治具20が倒れることを抑制する。
以下に、メインシーブ交換治具20を用いたメインシーブ13の交換方法の一例について説明する。なお、メインシーブ交換治具20の使用方法は、以下に説明される例に限られない。
まず、空間5に、支持台21、支持枠22、揚重機23、台枠24、及び支持足25を搬入し、空間5でメインシーブ交換治具20を組み立てる。支持台21、支持枠22、揚重機23、台枠24、及び支持足25は、分離されることで、容易に運搬可能となる。なお、既に組み立てられたメインシーブ交換治具20が空間5に搬入されても良い。上述のように、支持台21、支持枠22、揚重機23、及び台枠24は、互いに取り外し可能であるため、容易に組み立て可能である。
図3に示すように、台枠24は、マシンベッド15の第2のベッド17に載置される。支持足25は、第2のベッド17からY軸の負方向に離間した位置で、空間5の床5aと台枠24との間に介在し、台枠24を支持する。
メインシーブ交換治具20が組み立てられ、台枠24がマシンベッド15に載置された状態で、メインシーブ交換治具20のうち最も上方に位置する部分(頂部)20aは、巻上機10の最も上方に位置する部分(頂部)10aよりも低い。このため、図4の吊元55は、上下方向において、巻上機10の頂部10aよりも下方に位置する。本実施形態における巻上機10の頂部10aは、メインシーブ13の頂部である。別の表現によれば、メインシーブ交換治具20の全長は、マシンベッド15及びそれに載置された巻上機10の全長よりも低い。
メインシーブ交換治具20の全長がマシンベッド15及び巻上機10の全長より低いため、メインシーブ交換治具20は狭い空間5でも、搬入及び使用が可能となる。このため、マシンベッド15及び巻上機10の全長に応じて、当該全長よりも低い全長を有するメインシーブ交換治具20が、メインシーブ13の交換に用いられる。なお、メインシーブ交換治具20の全長と巻上機10の全長とは、この例に限られない。
次に、支持台21が第1のガイドレール51に沿って下方に移動させられ、支持枠22が第2のガイドレール81に沿ってY軸の正方向に移動させられる。支持台21の台31が、メインシーブ13の下方に配置される。このとき、台31は、メインシーブ13から下方に離間している。
次に、図3の矢印に示すように、揚重機23を操作することで、支持台21が上方に移動させられる。支持台21は、台31がメインシーブ13に当接するまで移動させられる。これにより、メインシーブ13が台31に載置され、台31がメインシーブ13を下方から支持する。台31はメインシーブ13から荷重を受けるが、揚重機23のブレーキ部71により、略同一位置に保たれる。
図9は、第1の実施形態のメインシーブ13が取り外された巻上機10及びメインシーブ交換治具20を概略的に示す例示的な側面図である。次に、図9に示すように、例えば火器を用いてメインシーブ13が加熱され、メインシーブ13が軸12から取り外される。支持枠22を第2のガイドレール81に沿ってY軸の負方向に移動させることで、メインシーブ13が軸12から引き抜かれる。
図10は、第1の実施形態の巻上機10及びメインシーブ13を支持したメインシーブ交換治具20を概略的に示す例示的な側面図である。次に、図10に示すように、揚重機23を操作することで、メインシーブ13を支持した支持台21が下方に移動させられる。
次に、支持枠22を第2のガイドレール81に沿ってY軸の負方向に移動させることで、メインシーブ13が巻上機10及びマシンベッド15から離間した位置に移動させられる。Y軸の負方向は、巻上機10から遠ざかる方向である。このとき、支持足25が台枠24を支持することで、メインシーブ13の重量によりメインシーブ交換治具20が倒れることが抑制される。なお、支持枠22の移動は、支持台21の移動よりも先に行われても良いし、支持台21の移動と同時に行われても良い。
図11は、第1の実施形態の巻上機10、メインシーブ交換治具20、及び門型揚重治具90を概略的に示す例示的な正面図である。図12は、第1の実施形態の巻上機10、メインシーブ交換治具20、及び門型揚重治具90を概略的に示す例示的な側面図である。
図11に示すように、次に、空間5に、門型揚重治具90が搬入及び設置される。門型揚重治具90は、二つの柱91と、梁92と、複数のローラ93と、揚重機94とを有する。
二つの柱91は、互いにX軸方向に離間するとともに、上下方向に略平行に延びる。二つの柱91の間に、巻上機10、マシンベッド15、及びメインシーブ交換治具20が配置される。梁92は、X軸方向に延び、柱91の上方の端部に接続される。
ローラ93は、柱91の下方の端部に設けられる。ローラ93が床5aを転動することで、門型揚重治具90は、Y軸方向に移動可能である。揚重機94は、例えば、揚重機23と同じくチェーンブロックである。揚重機94は、梁92に、X軸方向に移動可能に取り付けられる。
門型揚重治具90の全長は、巻上機10の全長よりも高い。しかし、門型揚重治具90の全長は、空間5の全長よりも低い。このような大きさの本実施形態の門型揚重治具90は、巻上機10のメインシーブ13を交換するための治具としては小型であり、軸12に取り付けられた位置におけるメインシーブ13を吊るすことが困難である。
上述のように、メインシーブ13は、メインシーブ交換治具20によって軸12から取り外され、下方に移動させられている。このため、メインシーブ13は、門型揚重治具90により吊り上げられることが可能な位置に配置されている。
門型揚重治具90の揚重機94は、支持台21の台31に支持されたメインシーブ13を吊り上げる。揚重機94がX軸方向に移動させられることで、メインシーブ13が台31の上から移動する。
次に、作業者により門型揚重治具90に吊り上げられたメインシーブ13が、新たなメインシーブ13に交換される。新たなメインシーブ13は、門型揚重治具90により、支持台21の台31に載置される。
次に、例えば、図3,9,10で示した手順を逆に行うことで、メインシーブ13が巻上機10の軸12に取り付けられる。以上により、巻上機10のメインシーブ13が交換される。
以上説明された第1の実施形態に係るメインシーブ交換治具20において、支持台21の台31は、当該台31に載置されたメインシーブ13を下から支持する。揚重機23は、支持台21の吊り具34と、吊り具34に対して上方に位置する支持枠22の吊元55とに取り付けられ、支持台21を上下方向に移動させることが可能である。このため、揚重機23が取り付けられる吊り具34及び吊元55の位置を、メインシーブ13の大きさの制約を受けずに設定することができる。これにより、例えば、吊元55の位置をメインシーブ13の頂部10aよりも下方に配置してメインシーブ交換治具20の高さを低くすることができ、比較的狭い空間5でメインシーブ交換治具20が使用可能となる。
一般的に、メインシーブ13を上から吊るす場合、メインシーブ13が振られる(揺れる)おそれがある。しかし、本実施形態では、台31がメインシーブ13を下から支持するため、メインシーブ13が振られることが抑制され、安全性が向上する。
台枠24は、支持枠22が水平なY軸方向において移動可能に取り付けられる第2のガイドレール81を有し、支持枠22を支持する。これにより、台31に支持されるメインシーブ13を水平方向に容易に移動させることが可能となる。従って、メインシーブ13を設置、除去、又は交換する際に、メインシーブ13を巻上機10の軸12に対して容易に設置又は除去することができる。
第2のガイドレール81は、上下方向に延びる側壁85と、側壁85の上方の端部から水平なX軸方向に延びる上壁86と、側壁85の下方の端部からX軸方向に延びる下壁87と、を有する。支持枠22は、上壁86の上方に位置して上壁86に沿って延びる上壁66と、上壁66の端部から下方に延びる側壁65と、側壁65に取り付けられて上壁86と下壁87との間に位置するガイドローラ67と、を有する。すなわち、第2のガイドレール81の上壁86が、支持枠22の上壁66とガイドローラ67との間に配置される。これにより、ガイドローラ67が上壁86又は下壁87で転動することで支持枠22がY軸方向に滑らかに移動することが可能となるとともに、支持枠22が第2のガイドレール81から望まれない外れ方をすることが抑制される。
吊り具34は、上下方向における載置面31aと同一の位置、又は載置面31aよりも下方の位置、に設けられる。これにより、吊り具34及び吊元55の位置をより下方に配置しやすくなる。従って、メインシーブ交換治具20の高さを低くすることができ、比較的狭い空間5でメインシーブ交換治具20が使用可能となる。
台枠24は、マシンベッド15に載置される。さらに、支持足25が、床5aと台枠24との間に介在し、台枠24を支持する。これにより、メインシーブ交換治具20及び支持されたメインシーブ13の重さによる荷重が、マシンベッド15と床5aとに分散される。これにより、台枠24の構造を簡略化することができるとともに、台枠24及び支持足25の大型化を抑制して、メインシーブ交換治具20による空間5の占有率の増加も抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図13を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図13は、第2の実施形態に係る支持台21を概略的に示す例示的な斜視図である。図13に示すように、第2の実施形態の支持台21は、複数のローラ101を有する。ローラ101は、台31の下方に位置し、例えば、台31の下面に取り付けられる。
第1の実施形態の図10のように、軸12から取り外されたメインシーブ13が台31に載置され、支持台21が巻上機10から離間した位置に配置される。その後、本実施形態では、例えば、支持台21が、支持枠22及び揚重機23から取り外され、図11の門型揚重治具90に吊り上げられる。
門型揚重治具90が支持台21を下方に移動させることで、ローラ101が床5aに当接する。支持台21は、門型揚重治具90から取り外されると、ローラ101により走行可能となる。これにより、支持台21は、台車のようにメインシーブ13を運搬することができる。
台31に載置されたメインシーブ13が新たなメインシーブ13に載せ替えられると、支持台21が新たなメインシーブ13を運搬する。新たなメインシーブ13を支持する支持台21は、門型揚重治具90に吊り上げられ、支持枠22及び揚重機23に再度取り付けられる。このように、メインシーブ13を他の台車に乗せ換えることなく、メインシーブ13が交換される。
以上説明された第2の実施形態のメインシーブ交換治具20において、揚重機23は、吊り具34から取り外し可能である。支持台21は、台31の下方に位置するローラ101を有し、支持枠22から取り外されることで、ローラ101により走行可能である。これにより、台31に載置されたメインシーブ13を、他の台車に乗せ換えることなく搬送することが可能となる。
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図14を参照して説明する。図14は、第3の実施形態に係る支持台21を概略的に示す例示的な斜視図である。図14に示すように、第3の実施形態の台31は、二つの第1の延材41と、第3の延材43とを有する。二つの第1の延材41は、X軸方向に移動可能に第3の延材43に取り付けられる。言い換えると、二つの第1の延材41の間の距離は変更可能である。例えば、第3の延材43がブレーキを有し、第1の延材41を減速させる。
二つの第1の延材41の間の距離は、メインシーブ13の直径よりも短くなるように設定される。これにより、一種類の支持台21により、複数種類のメインシーブ13を支持することが可能となる。
以上説明された第3の実施形態のメインシーブ交換治具20において、台31は、互いにX軸方向に離間するとともにY軸方向に延びる二つの第1の延材41を有し、二つの第1の延材41の間の距離を変更可能である。これにより、メインシーブ13の直径によらず、メインシーブ交換治具20を使用することができる。
以上の実施形態において、支持台21が取り付けられた支持枠22が、Y軸方向において移動可能に台枠24に取り付けられる。しかし、例えば、支持台21が、台31をY軸方向に移動可能な機構を有しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容について付記する。
[1]
載置されたエレベータ用品を下方から支持するよう構成された台と、第1の取付部と、を有する第1の支持部品と、
前記第1の支持部品が上下方向において移動可能に取り付けられた第1のガイドと、前記第1の取付部に対して上方に位置する第2の取付部と、を有する第2の支持部品と、
前記第1の取付部と前記第2の取付部とに取り付けられて前記第1の支持部品を支持し、前記第1の支持部品を上下方向に移動させることが可能な、揚重機と、
を具備するエレベータ用品揚重装置。
[2]
前記第2の支持部品が水平な第1の方向において移動可能に取り付けられる第2のガイド、を有し、前記第2の支持部品を支持する第3の支持部品、
をさらに具備する、[1]のエレベータ用品揚重装置。
[3]
前記第2のガイドは、上下方向に延びる第1の壁と、前記第1の壁の上方の端部から、前記第1の方向と交差するとともに水平な第2の方向に延びる第2の壁と、前記第1の壁の下方の端部から前記第2の方向に延びる第3の壁と、を有し、
前記第2の支持部品は、前記第2の壁の上方に位置して前記第2の壁に沿って延びる第4の壁と、前記第4の壁の端部から下方に延びる第5の壁と、前記第5の壁に取り付けられて前記第2の壁と前記第3の壁との間に位置するガイドローラと、を有する、
[2]のエレベータ用品揚重装置。
[4]
前記揚重機は、前記第1の取付部から取り外し可能であり、
前記第1の支持部品は、前記台の下方に位置するローラを有し、前記第2の支持部品から取り外し可能であり、前記ローラにより走行可能である、
[1]乃至[3]のいずれか一つのエレベータ用品揚重装置。
[5]
前記台は、前記エレベータ用品を支持するよう構成された載置面を有し、
前記第1の取付部は、上下方向における前記載置面と同一の位置、又は前記載置面よりも下方の位置、に設けられる、
[1]乃至[4]のいずれか一つのエレベータ用品揚重装置。