JP6634585B2 - ピンホール・スリット体の製造方法、及びx線小角散乱測定装置 - Google Patents

ピンホール・スリット体の製造方法、及びx線小角散乱測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、ピンホール・スリット体の製造方法、及びX線小角散乱測定装置に関する。
ピンホール・スリット体を備えるX線分析装置が用いられている。X線分析装置は、X線ビームを出射するX線発生部をさらに備えている。ピンホール・スリット体は、X線発生部と試料との間に配置され、X線発生部が出射するX線ビームの形を整形する。X線分析装置は検出器をさらに備え、試料と検出器との間に、ピンホール・スリット体が配置される場合もある。
米国特許出願公開第2013/0315375号明細書
近年、ピンホール・スリット体を形成する部材に、単結晶材料が用いられている。単結晶材料を加工してピンホールを形成するが、その加工表面の表面粗さ(ラフネス)により、寄生散乱が発生してしまう。特許文献1にイオン線エッチングによって開口体の表面にある物質を除去する方法が開示されている。しかしながら、イオン線エッチングは、大規模な装置が必要であり、製造コストの上昇を引き起こしてしまう。
本発明はかかる課題を鑑みてなされたものであり、本発明は、寄生散乱が低減されるピンホール・スリットを低コストで実現するピンホール・スリット体の製造方法、及びX線小角散乱測定装置の提供を目的とする。
(1)上記課題を解決するために、本発明に係るピンホール・スリット体の製造方法は、入射側に入射するX線ビームを整形して、出射側から出射する、ピンホール・スリット体の製造方法であって、板形状を有する単結晶の部材に、入射側から出射側へ貫く漏斗形状のピンホールを形成する、ピンホール形成工程と、前記単結晶の部材のうち、前記ピンホールが形成される内壁部分と、前記部材の入射側の面における前記ピンホールの開口縁と、を含む前記部材の加工表面、にある物質、を選択的に除去する、表面処理工程と、を備える。
(2)上記(1)に記載のピンホール・スリット体の製造方法であって、前記ピンホールの漏斗形状は、入射側に円筒形状の部分を含んでいてもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載のピンホール・スリット体の製造方法であって、前記表面処理工程において、前記部材の加工表面を除去液に曝すことにより、前記部材の加工表面にある物質を選択的に除去してもよい。
(4)本発明に係るX線小角散乱測定装置は、試料が配置される領域へX線ビームを出射するX線発生部と、前記X線発生部と前記試料が配置される領域との間に、順に配置される第1のスリット部、第2のスリット部、及び第3のスリット部と、前記第2のスリット部を移動させる、第2の移動機構と、を備える、X線小角散乱測定装置であって、前記第1のスリット部は、1又は複数の第1のピンホール・スリットを備え、前記第2のスリット部は、1又は複数の第2のピンホール・スリットを備え、前記第3のスリット部は、1又は複数の第3のピンホール・スリットを備え、該1又は複数の第3のピンホール・スリットのうち、少なくとも1の第3のピンホール・スリットは上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の製造方法で製造されるピンホール・スリット体で形成され、前記第2の移動機構は、2ピンホール測定を行うために、前記第2のスリット部が前記X線の伝搬を妨げない位置に、前記第2のスリット部を移動させてもよい。
(5)上記(4)に記載の小角散乱測定装置であって、前記第1のスリット部を移動させる、第1の移動機構と、前記第3のスリット部を移動させる、第3の移動機構と、を、さらに備えていてもよい。
(6)本発明に係るX線小角散乱測定装置の製造方法は、試料が配置される領域へX線ビームを出射するX線発生部と、前記X線発生部と前記試料が配置される領域との間に、順に配置される、1又は複数の第1のピンホール・スリットを備える第1のスリット部、1又は複数の第2のピンホール・スリットを備える第2のスリット部、及び1又は複数の第3のピンホール・スリットを備える第3のスリット部と、2ピンホール測定を行うために、前記第2のスリット部が前記X線の伝搬を妨げない位置に、前記第2のスリット部を移動させる、第2の移動機構と、を備える、X線小角散乱測定装置、の製造方法であって、前記第3のスリット部に備えられる前記1又は複数の第3のピンホール・スリットのうち、少なくとも1の第3のピンホール・スリットを、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の製造方法により形成する工程、を備えてもよい。
本発明により、寄生散乱が低減されるピンホール・スリットを低コストで実現するピンホール・スリット体の製造方法、及びX線小角散乱測定装置が提供される。
本発明の第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る他の例となるピンホール・スリット体の断面図である。 放電穴開け加工の過程を示す模式図である。 放電穴開け加工の過程を示す模式図である。 放電穴開け加工の過程を示す模式図である。 放電穴開け加工の過程を示す模式図である。 放電穴開け加工による孔径Dと加工時間tの関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の寄生散乱の強度を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線小角散乱測定装置の寄生散乱の強度を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るX線小角散乱測定装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る第2のスリット部の平面図である。 本発明の第2の実施形態の第1の例に係るX線小角散乱測定装置の仕様を示す図である。 本発明の第2の実施形態の第2の例に係るX線小角散乱測定装置の仕様を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、寸法、形状等について模式的に表す場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
[第1の実施形態]
ピンホール・スリット体は、入射側に入射するX線ビームを整形して、出射側から出射する。本発明の第1の実施形態に係るピンホール・スリット体1は、Geの単結晶を用いて形成されている。当該実施形態に係るピンホール・スリット体1は、板形状を有するGe単結晶の部材を加工することにより、入射側から出射側へ貫く漏斗形状のピンホールが板形状の単結晶の部材に形成されたものである。ここで、漏斗形状とは、ピンホール両側にある開口部の一方(入射側)より他方(出射側)が広くなっている形状を言う。
図1Aは、当該実施形態に係るピンホール・スリット体1の断面図である。図1Aに示す断面は、ピンホールの中心線を含む平面である。ピンホールの断面は理想的には円形状をしており、ピンホールの中心線は、各断面の中心を貫く直線である。ピンホールの形状は、前述の通り、漏斗形状であり、入射側から出射側にかけて、円筒と円錐台とを合体させた形状となっている。すなわち、当該実施形態に係るピンホール・スリット体1のピンホールの漏斗形状は、入射側に円筒形状の部分を含んでいる。具体的には、当該漏斗形状は、断面の内径が一定である部分と、断面の内径が入射側から出射側かけて徐々に大きくなる部分と、を含んでいる。なお、両側の開口部の縁(特に、入射側の開口部X1の縁)は丸められている。
当該実施形態に係るピンホール・スリット体1は、厚さ0.5mm(L=0.5mm)の板形状を有するP型Ge単結晶の部材を加工したものであり、入射側の面S1には鏡面加工が施されている。当該実施形態に係るピンホール・スリット体1は、Cu−Kα線のX線ビームを整形するためのピンホールを備えている。前述の通り、入射側の開口部X1の縁は丸められているが、それを別にすると、入射側から長さL(Lは300μm)となる部分は円筒形状であり、内径D1は一定であり、120μmである。ここで、漏斗形状のピンホールの大きさを、入射側の面S1におけるピンホールの直径で定義すると、ピンホール・スリット体1のピンホール径は120μmである。前述の通り、開口部X1の縁は丸められているので、さらに厳密には、ピンホール径とは、ピンホール・スリット体1に形成されるピンホール(ここでは、円筒形状の部分)の側壁を入射側の面S1まで外挿した断面の直径である。さらに出射側にある部分は円錐台形状であり、断面の広がりを示すテーパー角αは20°である。テーパー角αは10°〜30°の範囲になるのが望ましく、15°〜25°の範囲になるのがさらに望ましい。なお、テーパー角αとは、図1A(及び図1B)に示す断面におけるピンホールの円錐台形状の部分(台形)の両側壁(両側辺)がなす角度である。出射側の開口部X2の内径D2は約300μmである。なお、出射側の開口部X2の内径D2とは、ピンホールの円錐台形状の部分の側壁を出射側の面S2まで外挿した断面の直径である。
かかる円筒形状の部分の側壁は、ピンホールの中心線に平行に延びている。よって、入射するX線ビームの光軸(X線ビームとなる光束の中心線)がピンホールの中心線と平行である場合(又は、両線のなす角が数度(1°〜2°)以下である場合)、かかる側壁において鏡面反射が発生し、寄生散乱として出射側に散乱X線が発生する。しかし、かかる円筒形状の部分を短く(Lを小さくする)すると、他の散乱X線の発生が促進される。ピンホール・スリット体1の入射側の面S1において、ピンホールの開口縁からさらに外側へ広がる領域を考える。かかる円筒形状の部分を短くすると、かかる領域における単結晶の部材の厚み(Lより少し長い程度)が薄くなり、かかる領域を通過(透過)した(図1AにTとして示される)X線が出射側へ進行し、寄生散乱として散乱X線となる。単結晶の部材におけるX線の透過率(transmittance)については、後述する。よって、円筒形状の部分の長さ(L)は、これら散乱X線の抑制のバランスを鑑みて設定すればよい。なお、X線ビームのビームサイズは、光軸に直交する平面を貫くX線の強度が、光軸におけるX線の強度と同程度の強度を有する領域の大きさであり、かかる領域が円形状の場合は直径をいう。かかる領域は、より厳密には、光軸におけるX線の強度の半値以上の強度を有する領域をいう。
板形状の単結晶の部材にX線が入射する場合について考察する。かかるX線は単結晶の部材の入射側の面に対して垂直に入射するものとし、入射するX線の強度を、入射X線強度とする。単結晶の部材の内部を通過して、入射側とは反対側の面(出射側の面)から出射するX線の強度を、出射X線強度とすると、入射X線強度に対する出射X線強度の比が透過率Tである。透過率TはT=exp{−μt}で表される。ここで、μは線吸収係数であり、単結晶の種類(材料)と通過するX線の種類(線源)とによって決まる係数である。また、tはX線が部材を通過する距離であり、ここでは、部材の厚み(図1A及び図1Bに示すLに相当)である。単結晶がGeでX線がCu−Kα線である場合、透過率Tを10−5以下とする(すなわち、出射X線強度を入射X線強度より5桁以上減衰させる)ためには、部材の厚みを300μm以上とする必要がある。同様に、単結晶がTaでX線がCu−Kα線である場合、部材の厚みを30μm以上とする必要があり、単結晶がTaでX線がMo−Kα線である場合、部材の厚みを80μm以上とする必要がある。すなわち、透過するX線に起因する散乱X線を抑制する観点では、単結晶がGeで、X線がCu−Kα線である場合にはLを300μm以上、単結晶がTaで、X線がCu−Kα線である場合にはLを30μm以上、単結晶がTaで、X線がMo−Kα線である場合にはLを80μm以上、それぞれするのが望ましい。
なお、図1Bは、当該実施形態に係る他の例となるピンホール・スリット体1の断面図である。図1Bに示すピンホール・スリット体1は、図1Aに示すピンホール・スリット体1と異なり、円筒形状となる部分を有していない(L=0)。すなわち、ピンホールの形状は円錐台であるが、それ以外については、図1Aに示すピンホール・スリット体1と同じ構造をしている。なお、入射側の開口部X1におけるピンホール径は、図1Aに示すピンホール・スリット体1と異なり、ピンホールの円錐台形状の部分の側壁を入射側の面S1まで外挿した断面の直径である。また、単結晶の部材の厚み(L)を薄くすると、上記ピンホールの開口縁からさらに外側に広がる領域を通過するX線を含め、ピンホール・スリット体1を透過する(図1BにTとして示される)X線が増加することとなり、散乱X線となる。それゆえ、透過するX線に起因する散乱を考慮して、単結晶の部材の厚み(L)を設定すればよい。
本発明に係るピンホール・スリット体の製造方法の主な特徴は、板形状を有する単結晶の部材に、入射側から出射側へ貫く漏斗形状のピンホールを形成する、ピンホール形成工程と、単結晶の部材のうち、ピンホールが形成される内壁部分と、当該部材の入射側の面における前記ピンホールの開口縁と、を含む、当該部材の加工表面、にある物質、を選択的に除去する、表面処理工程と、を備えることにある。ここで、表面処理工程において、当該部材の加工表面を除去液に曝すことにより、当該部材の加工表面にある物質を選択的に除去するのが望ましい。本発明に係るピンホール・スリット体の製造方法により、製造工程の簡素化を実現することが出来、製造コストの低減という格別な効果を奏する。特に、加工表面を除去液に曝すことにより、加工表面にある物質を選択的に除去する場合、かかる効果はより顕著となる。
以下、当該実施形態に係るピンホール・スリット体1の製造方法について説明する。まず、厚さ0.5mmの板形状を有するGe単結晶の部材を用意する。ここでは、Ge単結晶を用いているが、これに限定されることなく、Si単結晶でもよいし、他の物質の単結晶であってもよい。なお、ピンホール・スリット体に、白金(Pt)などの金属材料を用いる場合、通常は多結晶体となり、多くの結晶粒界が存在する。一般に、結晶粒界において散漫散乱が発生する。ピンホール・スリット体に単結晶材料を用いる場合は、結晶粒界が白金などの金属材料と比べて少ない。それゆえ、ピンホール・スリット体1に用いられる単結晶とは、散漫散乱の寄与が金属材料の多結晶体と比べて十分に小さいものである。
[ピンホール形成工程]
Ge単結晶の部材に、以下に説明する放電加工を施すことによって、入射側から出射側へ貫く漏斗形状のピンホール(ピンホール径が120μm)を形成する。ここでは、テーパー角αを20°としたが、前述の通り、テーパー角αは10°〜30°の範囲になるのが望ましく、15°〜25°の範囲になるのがさらに望ましい。アーク放電の条件を制御することにより、所望のテーパー角度に加工することが出来る。
図2A乃至図2Dは、放電穴開け加工の過程を示す模式図である。図3は、放電穴開け加工による孔径Dと加工時間tの関係を示す図である。アーク放電を用いて、放電穴開け加工は、抵抗値が管理された加工液(水又は油など)の中で、棒状電極5と導電性のワーク6(加工物)との間で微細なアーク放電を連続的に発生させ、放電の発生を狭い領域に制限することによって、ワーク6を所定の形状(穴形状)に高い精度で切除する加工である。当該実施形態において、ワーク6は板形状を有するGe単結晶の部材であり、工程完了後にピンホール・スリット体1となる。棒状電極5とワーク6との間の電気状態は、電力パラメータ(制御パラメータ)によって決定される。ここで、電力パラメータとは、例えば、棒状電極5とワーク6との間に印加される電圧(又は電界)や、棒状電極5とワーク6の間に放電される放電量(電流)である。
図2Aに、放電穴開け加工の過程において、棒状電極5がワーク6の内部に進行する途中の状態を示すワーク6の断面が示されており、さらに、棒状電極5とワーク6との間に発生する電界が矢印で示されている。棒状電極5とワーク6との間には電圧が印加されており、棒状電極5とワーク6との間に電界が発生している。電界の大きさは、棒状電極5がワーク6の加工表面に対してより近接している箇所で大きく、より強いアーク放電が発生する。反対に、ワーク6の穴の内径(孔径)が拡がるにつれて、棒状電極5とワーク6の加工表面との距離が大きくなり、電界が小さくなり、発生するアーク放電は弱くなる。よって、棒状電極6をワーク6(板形状)の法線方向(図の上下方向)に延伸するよう配置して、該法線方向に沿ってワーク6の内部へ棒状電極6を進行させることにより、棒状電極6の延伸方向の先にある部分はより切除される。ある電力パラメータに対して、図3に示す通り、孔径Dは加工時間tの増加に対して徐々に増加し、最大孔径Dmaxに飽和する。
図2Bは、棒状電極6を板形状のワーク6を貫通させ、十分に長い時間(加工時間t)加工する場合を示している。ワーク6(板形状)の法線方向に沿う棒状電極6の位置それぞれの孔径Dが最大孔径Dmaxに飽和し、円柱形状となる穴形状にワーク6が加工された状態が図2Bに示されている。また、棒状電極6が該法線方向に沿って進行する速度(進行速度)を制御することにより、穴形状は円錐台形状(テーパー形状)とすることが出来る。図2Cは、棒状電極6の進行速度を上げて、孔径Dが最大孔径Dmaxに飽和する前に(短い加工時間tで)加工を終了させることにより、円錐台形状となる穴形状にワーク6が加工された状態が示されている。
また、電力パラメータを制御して最大孔径Dmaxを調整することも可能である。例えば、棒状電極5とワーク6との間に印加される電圧を低減させることにより、棒状電極5とワーク6との電界が小さくなり、最大孔径Dmaxを小さくすることが出来る。よって、例えば、棒状電極6の先端をワーク6の一方側の表面に近づけ、棒状電極5とワーク6との間に印加される電圧を第1電圧として、放電穴開け加工の工程を開始する。途中までは、かかる電圧を第1電圧に維持しつつ、穴がテーパー形状に加工されるよう、棒状電極6の進行速度を制御して、穴のうち円錐台部分を形成する。その後、かかる電圧を第1電圧より小さな第2電圧に低減し、かかる電圧を第2電圧に維持しつつ、棒状電極6を板形状のワーク6を貫通させ、最大孔径Dmaxに飽和するまで、放電加工を施す。これにより、円錐台形状と円柱形状とを組み合わせた漏斗形状にワーク6の穴を加工することが可能となる。なお、円柱形状の部分の最大孔径Dmaxは、円錐形状の部分の最大孔径Dmaxより小さい。漏斗形状となる穴形状にワーク6が加工された状態が図2Dに示されている。かかる穴形状にワーク6を加工することにより、ピンホールが漏斗形状となるピンホール・スリット体1が形成される。なお、ここでは、アーク放電などによる放電加工としたが、それに限定されることはなく、例えば、低温レーザーアブレーションなどによる加工であってもよい。
[表面処理加工]
Ge単結晶の部材の加工表面に表面処理を行う。これにより、当該部材の加工表面にある物質が選択的に除去される。ここで、当該部材の加工表面は、当該部材のうち、ピンホールが形成される内壁部分と、当該部材の入射側の面における前記ピンホールの開口縁と、を含んでいる。加工表面にある物質は、上記ピンホール形成工程によって、結合が弱い状態になっており、他の表面(加工表面ではない表面)にある物質と比べて化学的に異なる状態となっている。それゆえ、加工表面にある物質を、化学的に選択除去することが出来る。ここでは、当該部材の加工表面を除去液に曝すことにより、当該部材の加工表面にある物質を選択的に除去している。かかる除去液は、他の表面にある物質を除去するレートと比較して、加工表面にある物質を除去するレートが大きい。かかる除去液は、加工表面にある物質に対して化学的な選択性を有していると言ってもよい。加工表面の表面処理に適当な除去液を用いることにより、当該部材の加工表面を平坦化することが出来る。平坦化された加工表面の表面粗さ(ラフネス)は、算術平均粗さRaや最大高さRyといった表面パラメータがサブマイクロメートル(1μmより小さい)のスケールであり、ナノメートル(nm)のスケールであると言ってもよい。これにより、ピンホール・スリット体1の内壁(ピンホール)で発生する寄生散乱を次に示す程度に低減させることが可能となる。なお、かかる除去液は、ウェットエッチング処理に用いられる除去液を用いればよい。
図4は、当該実施形態に係るピンホール・スリット体1の寄生散乱の強度を示す図である。図の縦軸は散乱X線の強度(a.u.)であり、図の横軸は、散乱ベクトルの絶対値Q(nm−1)であり、Q=4πsinθ/λで定義される(θは散乱角)。図4には、当該実施形態に係るピンホール・スリット体1の寄生散乱が実線で示されており、さらに、比較例として、Ptのピンホール・スリット体(ピンホール径が100μm)の寄生散乱が破線で示されている。図4に示す通り、当該実施形態に係るピンホール・スリット体1は、小さな散乱角(小さなQ値)に対して、顕著に寄生散乱が抑制されている。よって、当該実施形態に係る製造方法により、寄生散乱が低減されるピンホール・スリットを低コストで実現することが出来ている。
当該実施形態に係るピンホール・スリット体1は、ピンホール径より小さいビームサイズのX線ビームに対しては、寄生散乱について非常に大きな低減効果がある。また、ピンホール径より大きいビームサイズのX線ビームに対しても、比較例として示した従来のPtのピンホール・スリット体に比べて、寄生散乱が顕著に抑制される。寄生散乱が抑制されるピンホール・スリット体は、X線小角散乱(Small Angle X-ray Scattering:SAXS)測定装置、X線回折計(X-ray diffractometry)、微小部X線回折装置(Micro Area X-ray Diffractometer:μXRD)などにおいて、極めて有用となる。3スリット光学系ではなく、2スリット光学系を用いる場合であっても、所望の測定を行うことが出来るのに十分なほど寄生散乱が抑制されるX線小角散乱測定装置を実現することが出来る。
図5は、当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置の寄生散乱の強度を示す図である。図4と同様に、図の縦軸は散乱X線の強度(a.u.)であり、図の横軸は、散乱ベクトルの絶対値Q(nm−1)である。ここで、当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置は、2スリット光学系と3スリット光学系と2種類あるが、各X線小角散乱測定装置に用いられるピンホール・スリットそれぞれは、当該実施形態に係る製造方法で製造されたピンホール・スリット体1が用いられている。図5には、2スリット光学系の寄生散乱が実線で、3スリット光学系の寄生散乱が破線で、それぞれ示されており、かかる寄生散乱は装置バックグラウンドと呼ばれている。また、参考までに、とある試料20の小角散乱の散乱強度が点線で示されている。図に示す通り、3スリット光学系の装置バックグラウンドが試料20からの散乱強度に比べて十分小さいことはもちろんのこと、2スリット光学系の装置バックグラウンドが試料20からの散乱強度に比べて十分小さい。すなわち、2スリット光学系のX線小角散乱測定装置を実現することが出来ている。
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係るX線小角散乱測定装置10の構成を示す図である。当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置10の主な特徴は、3スリット光学系と2スリット光学系とを選択して、測定をすることが出来ることにある。当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置10は、X線発生部11と、第1のスリット部SL1と、第2のスリット部SL2と、第3のスリット部SL3と、試料支持台12と、検出器13と、X線ビームストッパ14と、第1のスリット部SL1を移動させる第1の移動機構MS1と、第2のスリット部SL2を移動させる第2の移動機構MS2と、第3のスリット部SL3を移動させる第3の移動機構MS3と、を備える。
X線発生部11は、X線源11a(例えば、X線管)と、X線源が出射するX線を集光してX線ビームを出射する光学系11b(例えば、多層膜集光ミラー)と、を備えており、X線発生部11は、試料20が配置される領域へX線ビームを出射する。すなわち、X線発生部11は、試料支持台12に配置される試料20へX線ビームを出射する。また、X線小角散乱測定装置10は、真空筐体16を備えており、X線発生部11の光学系11b(の一部)と、第1のスリット部SL1と、第2のスリット部SL2と、第3のスリット部SL3と、試料支持台12と、検出器13と、X線ビームストッパ14と、第1の移動機構MS1と、第2の移動機構MS2と、第3の移動機構MS3と、が真空筐体16の中に収納される。
第1のスリット部SL1、第2のスリット部SL2、及び第3のスリット部SL3は、X線発生部11と試料20が配置される領域との間に、順に配置される。第1のスリット部SL1は1又は複数の第1のピンホール・スリットを、第2のスリット部SL2は1又は複数の第2のピンホール・スリットを、第3のスリット部SL3は1又は複数の第3のピンホール・スリットを、それぞれ備えている。ここでは、各スリット部は、複数のピンホール・スリットをそれぞれ備えている。
図7は、当該実施形態に係る第2のスリット部SL2の平面図である。当該実施形態に係る第2のスリット部SL2は、複数の第2のピンホール・スリット(SL2A,SL2B,SL2C)に加えて、非遮蔽窓NSWを備えている。第2のスリット部SL2は板形状を有しており、X線発生部11が出射するX線ビームの光軸と、板形状の平面が垂直に交わるように配置される。非遮蔽窓NSWは、X線ビームをそのまま伝搬させるためのものである。窓の大きさ(幅や径)はX線ビームのビームサイズに対して十分に大きく、X線ビームを整形するためのものではない。窓の形状に特に制限はないが、矩形状をしているとすると窓の幅はX線ビームのビームサイズ(ビーム径)の3倍以上あればよく、10倍以上が望ましい。窓の形状が円形状をしているとすると窓の内径はX線ビームのビームサイズ(ビーム径)の3倍以上あればよく、10倍以上が望ましい。
図に示す通り、非遮蔽窓NSWと、複数の第2のピンホール・スリットSL2A,SL2B,SL2Cとが、それぞれの中心が一直線上に並ぶように配置されている。第2の移動機構MS2が、当該一直線の延伸方向に、第2のスリット部SL2を移動させることが出来る。第2の移動機構MS2が第2のスリット部SL2を移動させて、X線ビームに対して、非遮蔽窓NSWが配置されると、第1のピンホール・スリットと、第3のピンホール・スリットとで2スリット光学系の測定を行うことが出来る。また、X線ビームに対して、複数の第2のピンホール・スリットSL2A,SL2B,SL2Cのいずれかが配置されると、第1のピンホール・スリットと、第3のピンホール・スリットとともに3スリット光学系の測定を行うことが出来る。
当該実施形態に係る第1のスリット部SL1及び第3のスリット部SL3は、ともに板形状を有しており、第2のスリット部SL2と同様に、X線ビームの光軸と、板形状の平面が垂直に交わるように配置される。第1のスリット部SL1には、複数の第1のピンホール・スリットが一直線上に並ぶように配置され、第3のスリット部SL3には、複数の第3のピンホール・スリットが一直線上に並ぶように配置される。そして、第2の移動機構MS2と同様に、第1の移動機構MS1及び第3の移動機構MS3は、当該一直線の延伸方向に、第1のスリット部SL1及び第3のスリット部SL3を、それぞれ移動させることが出来る。なお、ここでは、第2のスリット部SL2は、非遮蔽窓NSWを備えるとしたが、それに限定されることはない。例えば、第2のスリット部SL2は、非遮蔽窓NSWを備えずに、2スリット光学系の測定を行う際に、第2の移動機構MS2が第2のスリット部SL2を、X線ビームの光軸から十分に遠くの位置まで退避させてもよい。
また、各スリット部は、X線ビームの光軸に板形状の平面が垂直に交わるように配置され、各スリット部それぞれに形成される各ピンホールの中心線がX線ビームの光軸と平行になるのが望ましい。しかし、これに限定されることはなく、各ピンホールの中心線とX線ビームの光軸とのなす角が数度(1°〜2°)以下であり、実質的に平行とみなすことが出来ればよい。
従来、ラボベース(研究室内)で用いられるX線小角散乱測定装置には、3ピンホール光学系又はKratky光学系が主に用いられている。なお、極小角散乱測定用には、Bonse−Hart光学系が用いられる。当該実施形態に係る第1のスリット部SL1乃至第3のスリット部SL3に備えられる複数のピンホール・スリットそれぞれは、第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の製造方法で製造されたピンホール・スリット体で形成されている。第1の実施形態に係るピンホール・スリット体を用いることにより、ピンホールで発生する寄生散乱が抑制される。それゆえ、シンクロトロンではなく、ラボベースで用いられるX線源を用いる場合であっても、2ピンホール測定(2スリット光学系測定)を可能にする。
一般に、X線小角散乱測定装置において、あるX線量のX線ビームに対して、2ピンホール光学系と3ピンホール光学系とでは、試料に照射するX線量や測定できる解像度が異なる。それゆえ、一般に、2ピンホール光学系と3ピンホール光学系とでは、ピンホール・スリット体を配置する位置も異なる。しかしながら、発明者らは、2ピンホール光学系に用いられる2つのピンホール・スリットそれぞれと、3ピンホール系に用いられる3つのピンホール・スリットのうち両端に配置される2つのピンホール・スリットそれぞれと、同じ位置に配置しても、所望のX線小角散乱測定を行なえることを見出した。さらに、かかるX線小角散乱測定装置において、小角分解能(解像度)が等しいとすると、2ピンホール光学系は3ピンホール光学系と比較して、試料位置におけるX線強度(X線の線量)を増加させることが出来る。反対に、試料位置におけるX線強度(X線の線量)が等しいとすると、3ピンホール光学系は2ピンホール光学系と比較して、小角分解能(解像度)を高めることが出来る。
当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置10において、第2のスリット部SL2を移動させて、X線ビームの光軸上に非遮蔽窓NSWを配置させると、2ピンホール測定をすることが出来、第2のピンホール・スリットを配置させると、3ピンホール測定をすることが出来る。なお、第1のスリット部SL1に備えられる複数の第1のピンホール・スリット、及び、第3のスリット部SL3に備えられる複数の第3のピンホール・スリットを、第1の移動機構MS1及び第3の移動機構MS3をそれぞれ用いて、選択することが出来るので、他の光学系を変更することなく、第1の移動機構MS1乃至第3の移動機構MS3によって、ピンホール・スリットの組み合わせを自由に選択することが出来る。
特に、第1のピンホール・スリット乃至第3のピンホール・スリットは、真空筐体16の中に収納されており、手動でピンホール・スリットを交換するとなると、真空筐体16内部を真空状態から大気圧に戻し、真空筐体16を開けて、ピンホール・スリットを交換した後に、真空筐体16を閉じて、真空筐体16の内部を再び真空状態にする必要がある。当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置10は、真空筐体16の内部を真空状態に保って、第1の移動機構MS1乃至第3の移動機構MS3のいずれか又は組み合わせにより、ピンホール・スリットの交換をすることが出来るので、複数の測定に係る測定時間の合計を劇的に短縮することが出来るという顕著な効果がある。
以下、当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置10の例について説明する。X線小角散乱測定装置10では、2スリット光学系と3スリット光学系とを選択することが出来、さらに、それぞれにおいて、高線量(High-Flux)モードと、高解像度(High-Resolution)モードとを選択することが出来る。
最初に説明する第1の例は、2.0m系のX線小角散乱測定装置10である。図6に示すX線小角散乱測定装置10の左端(X線発生部11の左端)から右端(真空筐体16の右端)までの距離Lが2.0m程度となっている。X線発生部11の(光学系11bの)X線出射口を原点に、X線ビームの伝搬する向きを正としてX座標を設定すると、第1のスリット部SL1、第2のスリット部SL2、第3のスリット部SL3それぞれの位置x1=200mm,x2=585mm,x3=850mmとなる。また、X線小角散乱測定装置10は、検出器13をX線ビームの伝搬方向に沿って移動する移行機構MSを備えている。検出器13が移行機構MSによって移動することにより、第3のスリット部SL3の近傍に配置される試料20から検出器13までの距離Lは、40mmから700mmまで変化させることが出来る。
図8は、当該実施形態の第1の例に係るX線小角散乱測定装置の仕様を示す図である。第1の例の2スリット光学系の高線量モードでは、試料20の位置におけるX線ビームのビーム径が0.41mmであり、試料20に照射されるX線ビームの線量が4.1×10cpsと、高い線量となっている。X線ビームの光軸上には、第2のスリット部SL2では非遮蔽窓NSWが配置され、第1のスリット部SL1ではピンホール径0.85mmの第1のピンホール・スリットが、第3のスリット部SL3ではピンホール径0.45mmの第3のピンホール・スリットが、それぞれ配置される。当該モードでは、X線ビームストッパ14の位置におけるX線ビームのビーム径は0.46mmであり、X線ビームストッパ14の外径は2.0mmである。これにより、試料20から検出器13までの距離Lが、L=700mmのとき、測定エリアは波数q(=2π/λ)で表せば0.0078(Å−1)〜0.23(Å−1)である。なお、長さ(波長λ)で表すと、810(Å)〜27(Å)である。また、L=40mmのとき、測定エリアは0.10(Å−1)〜1.6(Å−1)(62(Å)〜4(Å))である。
図8に示す通り、第1の例の2スリット光学系の高解像度モードでは、試料20の位置におけるX線ビームのビーム径が0.15mmであり、試料20に照射されるX線ビームの線量が1.4×10cpsと、低い線量となっているが、後述する通り、高解像度が実現されている。第1のスリット部SL1にはピンホール径0.30mmの第1のピンホール・スリットが、第3のスリット部SL3にはピンホール径0.15mmの第3のピンホール・スリットが、それぞれ配置される。当該モードでは、X線ビームストッパ14におけるX線ビームの位置におけるビーム径は0.26mmであり、X線ビームストッパ14の外径は0.7mmである。これにより、試料20から検出器13までの距離Lが、L=700mmのとき、測定エリアは0.0031(Å−1)〜0.23(Å−1)(2046(Å)〜27(Å))と、測定エリアが小さい波数qにまで広がっており、高解像度測定が実現される。また、L=40mmのとき、測定エリアは0.036(Å−1)〜1.6(Å−1)(176(Å)〜4(Å))である。
同様に、図8に示す通り、第1の例の3スリット光学系の高線量モードでは、第1のピンホール・スリット、第2のピンホール・スリット、及び第3のピンホール・スリットそれぞれのピンホール径は、0.30mm、0.15mm、及び0.50mmである。試料20の位置におけるX線ビームのビーム径が0.17mmであり、試料20に照射されるX線ビームの線量が2.4×10cpsと、3スリット光学系測定としては高線量が実現される。当該モードでは、X線ビームストッパ14の位置におけるX線ビームのビーム径が0.43mmであり、X線ビームストッパ14の外径は2.3mmである。これにより、試料20から検出器13までの距離Lが、L=700mmのとき、測定エリアは0.0086(Å−1)〜0.23(Å−1)(730(Å)〜27(Å))である。また、L=40mmのとき、測定エリアは0.12(Å−1)〜1.6(Å−1)(52(Å)〜4(Å))である。
また、図8に示す通り、第1の例の3スリット光学系の高解像度モードでは、第1のピンホール・スリット、第2のピンホール・スリット、及び第3のピンホール・スリットそれぞれのピンホール径は、0.20mm、0.10mm、及び0.35mmである。試料20の位置におけるX線ビームのビーム径が0.15mmであり、試料20に照射されるX線ビームの線量が7.2×10cpsである。当該モードでは、X線ビームストッパ14の位置におけるX線ビームのビーム径は0.36mmであり、X線ビームストッパ14の外径は1.6mmである。これにより、試料20から検出器13までの距離Lが、L=700mmのとき、測定エリアは0.0062(Å−1)〜0.23(Å−1)(1014(Å)〜27(Å))である。また、L=40mmのとき、測定エリアは0.036(Å−1)〜1.6(Å−1)(176(Å)〜4(Å))である。
次に説明する第2の例は、3.5m系のX線小角散乱測定装置10である。装置サイズを表す距離LがL=3.5m程度となっている。第1のスリット部SL1、第2のスリット部SL2、第3のスリット部SL3それぞれの位置は、x1=200mm,x2=940mm,x3=1450mmとなる。また、試料20から検出器13までの距離Lは、L=1500mmに固定される場合や、Lを40mmから1500mmまで変化させる場合などが可能である。
図9は、当該実施形態の第2の例に係るX線小角散乱測定装置の仕様を示す図である。図8と同様に、2スリット光学系及び3スリット光学系それぞれにおける、高線量モードと、高解像度モードとの例が示されている。以上、当該実施形態に係る第1の例(2.0m系)と第2の例(3.5m系)とについて示したが、いずれにおいても、高線量モード又は高解像度モードのいずれの測定をするか、試料サイズがどれぐらいか、などを鑑みて、最適なピンホール・スリットを準備すればよい。
なお、当該実施形態に係る第1のスリット部SL1乃至第3のスリット部SL3に備えられる複数のピンホール・スリットそれぞれは、第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の製造方法で製造されたピンホール・スリット体で形成されているとし、寄生散乱を抑制する観点からは、これが望ましい。しかしながら、これに限定されることはない。ラボベースのX線小角散乱測定装置で、2スリット光学系による測定装置を実現するためには、第2のスリット部SL2には非遮蔽窓NSWが配置される2スリット光学系測定において、少なくとも第3のピンホール・スリットが第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の製造方法で製造されるピンホール・スリット体で形成されていればよく、さらに、第1のピンホール・スリットが第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の製造方法で製造されたピンホール・スリット体で形成されていればなおよい。
当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置10の製造方法について説明する。前述の通り、当該実施形態に係る第1のスリット部SL1乃至第3のスリット部SL3に備えられる複数のピンホール・スリットそれぞれは、第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の製造方法で製造されたピンホール・スリット体で形成されており、当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置10の製造方法は、第1のスリット部SL1乃至第3のスリット部SL3それぞれを製造する工程を含んでいる。各スリット部を製造する工程は、板形状を有する単結晶の部材に1又は複数のピンホール・スリットを第1の実施形態に係る製造方法により形成する工程である。当該実施形態において、当該実施形態に係る第2のスリット部SL2の製造方法は、板形状を有する単結晶の部材に、該1又は複数のピンホール・スリット(第2のピンホール・スリット)に加えて、非遮蔽窓NSWをさらに形成する工程を備える。各スリット部の1又は複数のピンホール・スリットを形成する工程はそれぞれ、第1の実施形態に係るピンホール形成工程及び表面処理工程をそれぞれ含んでいる。なお、当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置の製造方法は、X線発生部と、第1の移動機構乃至第3の移動機構とを、それぞれ準備する工程と、をさらに含む。当該実施形態に係るX線小角散乱測定装置の製造方法は、X線発生部と、第1のスリット部乃至第3のスリット部と、第1の移動機構乃至第3の移動機構と、を組み立てる工程、をさらに含む。
また、X線小角散乱測定装置10に用いるピンホール・スリットは、第1の実施形態に係るピンホール・スリット体の製造方法で製造されるピンホール・スリット体で形成されるのが望ましいが、これに限定されることはない。第1の実施形態に係るピンホール・スリット体のように寄生散乱が抑制させるピンホール・スリット体であり、2ピンホール測定を実現することが出来るのであれば、他の製造方法によって製造されるピンホール・スリット体を用いてもよい。
なお、図8及び図9に示すX線小角散乱測定装置の仕様では、異なる光学系や異なるモードで、異なる外径のX線ビームストッパ14が用いられている。それゆえ、X線小角散乱測定装置10は複数のX線ビームストッパ14を備えるとともに、当該複数のX線ビームストッパを交換する移動機構を備えているのが、望ましい。これにより、次の測定に用いるX線ビームストッパ14の外径が異なる場合であっても、真空筐体16を開けることなく、ピンホール・スリットやX線ビームストッパを取り換えて、次の測定を行うことが出来る。また、とある外径のX線ビームストッパ14を固定して、測定を行ってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る、ピンホール・スリット体の製造方法、及びX線小角散乱測定装置について説明した。本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明に係るピンホール・スリット体の製造方法は、板形状を有する単結晶の部材によって形成されるピンホール・スリット体に広く適用することが出来る。また、本発明に係るX線小角散乱測定装置は、寄生散乱が抑制されるピンホール・スリットを備えるX線小角散乱測定装置に広く適用することが出来る。
1 ピンホール・スリット体、5 棒状電極、6 ワーク、10 X線小角散乱測定装置、11 X線発生部、11a X線源、11b 光学系、12 試料支持台、13 検出器、14 X線ビームストッパ、16 真空筐体、20 試料、NSW 非遮蔽窓、MS1 第1の移動機構、MS2 第2の移動機構、MS3 第3の移動機構、SL1 第1のスリット部、SL2 第2のスリット部、SL3 第3のスリット部。

Claims (5)

  1. 入射側に入射するX線ビームを整形して、出射側から出射する、ピンホール・スリット体の製造方法であって、
    板形状を有する単結晶の部材に、入射側から出射側へ貫く漏斗形状のピンホールをアーク放電加工により形成する、ピンホール形成工程と、
    前記単結晶の部材のうち、前記ピンホールが形成される内壁部分と、前記部材の入射側の面における前記ピンホールの開口縁と、を含む、前記アーク放電加工による前記部材の加工表面を除去液に曝すことにより処理する、表面処理工程と、
    を備え
    前記ピンホール形成工程により、前記加工表面にある物質は結合が弱い状態となっており、前記除去液は、前記加工表面にある物質を除去するレートが、前記加工表面ではない表面にある物質を除去するレートと比較して大きい、
    ことを特徴とするピンホール・スリット体の製造方法。
  2. 入射側に入射するX線ビームを整形して、出射側から出射する、ピンホール・スリット体の製造方法であって、
    板形状を有する単結晶の部材に、入射側から出射側へ貫く漏斗形状のピンホールを低温レーザーアブレーション加工により形成する、ピンホール形成工程と、
    前記単結晶の部材のうち、前記ピンホールが形成される内壁部分と、前記部材の入射側の面における前記ピンホールの開口縁と、を含む、前記低温レーザーアブレーション加工による前記部材の加工表面を除去液に曝すことにより処理する、表面処理工程と、
    を備え
    前記ピンホール形成工程により、前記加工表面にある物質は結合が弱い状態となっており、前記除去液は、前記加工表面にある物質を除去するレートが、前記加工表面ではない表面にある物質を除去するレートと比較して大きい、
    ことを特徴とするピンホール・スリット体の製造方法。
  3. 前記ピンホールの漏斗形状は、入射側に円筒形状の部分を含む、
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のピンホール・スリット体の製造方法。
  4. 試料が配置される領域へX線ビームを出射するX線発生部と、
    前記X線発生部と前記試料が配置される領域との間に、順に配置される、1又は複数の第1のピンホール・スリットを備える第1のスリット部、1又は複数の第2のピンホール・スリットを備える第2のスリット部、及び1又は複数の第3のピンホール・スリットを備える第3のスリット部と、
    2ピンホール測定を行うために、前記第2のスリット部が前記X線の伝搬を妨げない位置に、前記第2のスリット部を移動させる、第2の移動機構と、
    を備える、X線小角散乱測定装置、の製造方法であって、
    前記第3のスリット部に備えられる前記1又は複数の第3のピンホール・スリットのうち、少なくとも1の第3のピンホール・スリットを、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法により形成する工程、
    を備える、X線小角散乱測定装置の製造方法。
  5. 請求項4に記載の小角散乱測定装置の製造方法であって、
    前記小角散乱測定装置は、
    前記第1のスリット部を移動させる、第1の移動機構と、
    前記第3のスリット部を移動させる、第3の移動機構と、
    をさらに備えることを特徴とする、X線小角散乱測定装置の製造方法。
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