以下に添付図面を参照して、本発明に係る警報装置、警報方法及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下に示す実施形態では、本発明を住宅用の警報装置に適用した例について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の警報装置10が設置される環境の一例を示す図である。図1において、室内R1は、例えば、ユーザU1が居住する住宅の一室である。
警報装置10は、室内R1に設けられる。警報装置10は、室内R1の温度及び湿度を測定し、その測定値に基づいて室内R1の温湿度環境に関する報知(警報)を行う。なお、図1では、警報装置10をユーザU1の手が届く範囲に設置した例を示しているが、警報装置10の設置位置はこれに限らず、天井等に設置する形態としてもよい。
また、室内R1には、エア・コンディショナー(以下、エアコンと称する)20が設置される。エアコン20は、室内の温度や湿度等を調整することが可能な空調装置である。ユーザU1は、エアコン20を動作させることで、室内の温度や湿度を所望の状態にすることができる。
なお、室内R1の構成は、図1の例に限らないものとする。例えば、室内R1には、除湿器等のエアコン20以外の空調装置が設けられていてもよいし、窓や換気扇等の設備が設けられていてもよい。
次に、図1に示した警報装置10の構成について説明する。図2は、警報装置10が備えるハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、警報装置10は、制御部11と、温度測定部12と、湿度測定部13と、操作部14と、近距離無線通信部15と、報知部16とを備える。これらのハードウェアは、バス17により互いに接続される。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のコンピュータ構成を有する。制御部11は、警報装置10の動作を統括的に制御する。また、制御部11は、RTC(Real Time Clock)等の計時手段(図示せず)を有し、当該計時手段を用いて時間経過を計時する。
温度測定部12は、温度センサを有し、警報装置10周辺の温度を測定する測定装置である。湿度測定部13は、湿度センサを有し、警報装置10周辺の湿度を測定する測定装置である。なお、温度測定部12及び湿度測定部13の、センサ種類やセンシング方法は特に問わず、公知の技術を用いることが可能である。
操作部14は、操作ボタン等の入力デバイスを有し、当該入力デバイスを介したユーザU1の操作入力を受け付ける。例えば、操作部14は、警報装置10の動作モードを切り替えるための操作ボタン(以下、切替ボタンという)を有する。
近距離無線通信部15は、近距離無線通信用の無線インタフェースを有し、警報装置10の周辺に存在するデバイスとの間で無線信号の送受信を行う。例えば、近距離無線通信部15は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の通信方式に準拠した通信インタフェースを有する。
報知部16は、異常警報や復旧等の報知を行うことが可能な報知手段である。報知部16の装置構成は特に問わず、種々の形態を採用することができる。例えば、報知部16は、スピーカ等の音声出力装置としてもよい。また、報知部16は、ディスプレイやインジケータ等の表示装置としてもよい。また、報知部16は、管理センター等の外部装置と通信することが可能な通信装置としてもよい。
図3は、警報装置10が備える機能構成の一例を示す図である。図3に示すように、警報装置10は、温湿度取得部111と、動作切替部112と、警報制御部113とを機能部として備える。これらの機能部の一部又は全ては、CPUとROM内に記憶されたプログラムとの協働によりRAM上に実現されるソフトウェア構成としてもよい。また、これらの機能部の一部又は全ては、各機能を実現するよう設計された一又は複数の処理回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、SoC(System on a Chip)等)によって実現されるハードウェア構成としてもよい。
温湿度取得部111は、温度測定部12及び湿度測定部13で測定される測定値(温度及び湿度)を常時又は所定の時間間隔で取得する。また、温湿度取得部111は、取得した温度及び湿度に基づき、室内R1の暑さを表す指標値として、WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)値を算出する。
WBGT値は、熱中症を予防することを目的として定められた指標値であり、気温と同様の摂氏度(℃)で表される。WBGT値は、日射がない屋内(室内R1)では、下記式(1)で定義される。
WBGT(℃)=0.7×湿球温度(℃)+0.3×黒球温度(℃) …(1)
式(1)に示すように、WBGT値の算出には、湿球温度及び黒球温度が必要となる。本実施形態では、図4に示す換算テーブルT1を用いることで、温度測定部12及び湿度測定部13で測定される温度(気温)及び湿度(相対湿度)から、WBGT値を簡易的に算出する。なお、図4は、換算テーブルT1の一例を示す図である。
また、図4に示すように、WBGT値は、熱中症を発症する危険性に関して4段階にレベル分けがされている。例えば、25℃未満の暑さ指数帯は「注意レベル」であり、一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働を行う場合に熱中症を発症する危険性があるとされている。25℃以上28℃未満の暑さ指数帯は「警戒レベル」であり、中等度以上の生活活動で熱中症を発症する危険性があるとされている。28℃以上31℃未満の暑さ指数帯は「厳重警戒レベル」であり、すべての生活活動で熱中症を発症する危険性があり、室温の上昇に注意が必要とされている。31℃以上の暑さ指数帯は「危険レベル」であり、全ての生活活動で熱中症を発症する危険性があり、高齢者においては安静状態でも熱中症を発症する危険性が大きいとされている。
本実施形態の警報装置10では、上述した各レベルに基づき、25℃、28℃及び31℃のそれぞれを、異常警報の報知を行う閾値として定めている。以下では、25℃、28℃及び31℃のそれぞれを、第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3と表記するとともに、これらを総称して閾値Thと表記する。また、上述した警戒レベル、厳重警戒レベル及び危険レベルの各暑さ指数帯を警報対象暑さ指数帯という。なお、上述した換算テーブルT1及び閾値Th等の情報は、ROM等の記憶媒体に予め記憶されているとする。
動作切替部112は、警報装置10の動作モードの切り替えを行う機能部である。警報装置10は、警報機能(後述する警報制御部113に対応)を有効化する第1モード(以下、見守りモードという)と、警報機能を無効化する第2モード(以下、外出モードという)との二つの動作モードを有する。動作切替部112は、ユーザU1の指示等の所定のトリガに応じて、警報装置10の動作モードを見守りモード又は外出モードに切り替える。なお、本実施形態では、ユーザU1の在室(在宅)中は、警報装置10を見守りモードで動作させ、ユーザU1の外出中は、警報装置10を外出モードで動作させることを想定している。
ここで、動作モードの切り替えに係るトリガは特に問わず、種々の形態が可能である。例えば、動作切替部112は、ユーザU1により、操作部14の切替ボタンが操作されたことをトリガに、動作モードの切り替えを行ってもよい。この場合、動作切替部112は、切替ボタンの操作内容に応じて、警報装置10を見守りモード又は外出モードに切り替える。
また、動作切替部112は、ユーザU1が所持する近距離無線通信に対応したデバイス(以下、ユーザデバイスという)と、近距離無線通信部15との間で所定の通信が行われたことをトリガに、動作モードの切り替えを行ってもよい。係るユーザデバイスは特に問わず、スマートフォン等の携帯機器や電子キー等であってもよい。この場合、動作切替部112は、近距離無線通信部15を介してユーザデバイスと交信し、当該ユーザデバイスから送信される指示情報に応じて、警報装置10を見守りモード又は外出モードに切り替える。
また、上記のユーザデバイスを用いる場合、動作切替部112は、このユーザデバイスとの通信状態に基づいて、警報装置10の動作モードを切り替える構成としてもよい。例えば、動作切替部112は、ユーザデバイスと通信ができる間は見守りモードで動作させ、ユーザデバイスとの通信が所定時間(例えば15分)途絶えたことをトリガに、外出モードに切り替える。これより、ユーザデバイスが室内R1にある間、つまりユーザU1の在室中は、警報装置10を見守りモードで動作させることができる。また、ユーザU1によりユーザデバイスが室内R1から持ち出されると、つまりユーザU1が外出すると、警報装置10を外出モードで動作させることができる。
警報制御部113は、温湿度取得部111が算出するWBGT値を監視し、当該WBGT値が第1閾値Th1以上、つまり警報対象暑さ指数帯にあると、報知部16を動作させることで、異常警報の報知を行う。より詳細には、警報制御部113は、警報装置10が見守りモードで動作する「通常時」において、WBGT値が何れかの閾値Thに到達したり、警報対象暑さ指数帯に留まったりすると、そのWBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた内容の異常警報を報知する。なお、警報制御部113は、警報装置10が外出モードで動作する間、異常警報の報知に係る警報機能を無効化する。
ここで、図5及び図6を参照して、警報装置10が見守りモードで動作する「通常時」において、警報制御部113が行う通常時監視処理について説明する。図5は、警報装置10が実行する通常時監視処理の一例を示すフローチャートである。
まず、警報制御部113は、温湿度取得部111が算出するWBGT値の時間変化を監視し、WBGT値が上昇したか否かを判定する(ステップS11)。WBGT値が上昇した場合(ステップS11;Yes)、警報制御部113は、WBGT値が何れかの閾値Thに到達したか否かを判定する(ステップS12)。
WBGT値が何れかの閾値Thに到達した場合(ステップS12;Yes)、警報制御部113は、後述する第1タイマ、第2タイマ及び第3タイマの何れかが計時中か否かを判定する(ステップS13)。何れかのタイマが計時中の場合(ステップS13;Yes)、警報制御部113は、計時中のタイマを停止し(ステップS14)、ステップS15に移行する。また、何れのタイマも計時中でない場合(ステップS13;No)、警報制御部113は、ステップS15に直ちに移行する。
ステップS15において、警報制御部113は、第1タイマの計時を開始し(ステップS15)、ステップS11に戻る。ここで、第1タイマは、WBGT値の上昇により当該WBGT値が何れかの閾値Thに到達した際に、異常警報を報知するまでの待機時間を計時するためのタイマである。WBGT値は、閾値Thに到達してからも、Th−1に低下し再度Thに到達する動作を繰り返すため、異常警報の報知を繰り返さないように警報遅延タイマである第1タイマで計時する。第1タイマで計時する待機時間は特に問わず、例えば3分等、任意の値を設定することが可能である。
また、ステップS12において、WBGT値が何れの閾値Thにも到達していないと判定した場合(ステップS12;No)、警報制御部113は、そのWBGT値が警報対象暑さ指数帯にあるか否かを判定する(ステップS16)。WBGT値が警報対象暑さ指数帯にある場合(ステップS16;Yes)、警報制御部113は、ステップS17に移行する。なお、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にない場合(ステップS16;No)、警報制御部113は、ステップS11に戻る。
続いて、警報制御部113は、第1タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS17)。第1タイマがタイムアップしていない場合(ステップS17;No)、警報制御部113は、第1タイマの計時を継続し、ステップS20に移行する。
また、第1タイマがタイムアップした場合(ステップS17;Yes)、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた報知を行う(ステップS18)。次いで、警報制御部113は、第2タイマの計時を開始し(ステップS19)、ステップS20に移行する。ここで、第2タイマは、WBGT値が警報対象暑さ指数帯に留まる際に、異常警報を報知するまでの待機時間を計時するためのタイマである。第2タイマで計時する待機時間は特に問わず、任意の値を設定することが可能である。
続くステップS20において、警報制御部113は、第2タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS20)。第2タイマがタイムアップしていない場合(ステップS20;No)、警報制御部113は第2タイマの計時を継続し、ステップS11に戻る。
また、第2タイマがタイムアップした場合(ステップS20;Yes)、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた異常警報の報知を行い(ステップS21)、ステップS19に戻る。
一方、ステップS11において、WBGT値が低下した場合(ステップS11;No)、警報制御部113は、そのWBGT値が何れかの閾値Thに到達したか否かを判定する(ステップS22)。なお、詳細には、本実施形態の警報装置10は、WBGT値を1度刻みで算出する図4に示した換算テーブルT1を用いることから、WBGT値が低下して閾値Thに到達したと判定するには、閾値Th−1に到達したか否かを確認することになる(後述する図13参照)。なお、WBGT値の変化量がゼロ或いは所定量に満たない微量の場合、警報制御部113は変化なしと判断し、ステップS12及びステップS22の何れか一方に移行する。
ステップS22において、何れかの閾値Thに到達したと判定すると(ステップS22;Yes)、警報制御部113は、第1タイマ、第2タイマ及び第3タイマの何れかが計時中か否かを判定する(ステップS23)。何れかのタイマが計時中の場合(ステップS23;Yes)、警報制御部113は、計時中のタイマを停止し(ステップS24)、ステップS25に移行する。また、何れのタイマも計時中でない場合(ステップS23;No)、警報制御部113は、ステップS25に直ちに移行する。
ステップS25において、警報制御部113は、前回到達を検出した閾値Thと、今回到達を検出した閾値Thとが共に第1閾値Th1か否かを判定することで、WBGT値が第1閾値Th1の周辺を推移しているか否かを判定する(ステップS25)。
ステップS25において、前回及び今回が共に第1閾値Th1の場合、警報制御部113は、WBGT値が第1閾値Th1の周辺を推移していると判定し(ステップS25;Yes)、ステップS11に移行する。
また、前回及び今回で到達した第1閾値Th1が相違する場合、警報制御部113は、WBGT値が第1閾値Th1の周辺を推移していないと判定する(ステップS25;No)。この場合、警報制御部113は、第3タイマの計時を開始した後(ステップS26)、ステップS11に戻る。ここで、第3タイマは、WBGT値の低下により当該WBGT値が何れかの閾値Thに到達した際に、異常警報または復旧を報知するまでの待機時間を計時するためのタイマである。第3タイマで計時する待機時間は特に問わず、任意の値を設定することが可能である。
また、ステップS22において、WBGT値が何れの閾値Thにも到達していないと判定した場合(ステップS22;No)、警報制御部113は、そのWBGT値が警報対象暑さ指数帯にあるか否かを判定する(ステップS27)。WBGT値が警報対象暑さ指数帯にある場合(ステップS27;Yes)、警報制御部113は、第3タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS28)。第3タイマがタイムアップしていない場合(ステップS28;No)、警報制御部113は、第3タイマの計時を継続し、ステップS31に移行する。
また、第3タイマがタイムアップした場合(ステップS28;Yes)、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた異常警報を報知する(ステップS29)。次いで、警報制御部113は、第2タイマの計時を開始し(ステップS30)、ステップS31に移行する。
続くステップS31において、警報制御部113は、第2タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS31)。第2タイマがタイムアップしていない場合(ステップS31;No)、警報制御部113は、第2タイマの計時を継続し、ステップS11に戻る。
また、第2タイマがタイムアップした場合(ステップS31;Yes)、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた異常警報を報知し(ステップS32)、ステップS30に戻る。
一方、ステップS27において、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にない場合(ステップS27;No)、警報制御部113は、第3タイマが計時中か否かを判定する(ステップS33)。第3タイマが計時中の場合(ステップS33;Yes)、警報制御部113は、第3タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS34)。第3タイマがタイムアップした場合(ステップS34;Yes)、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、熱中症の危険のある警報対象暑さ指数帯から復旧したことを報知し(ステップS35)、ステップS11に戻る。
なお、ステップS33で第3タイマが計時中でないと判定した場合(ステップS33;No)、或いは、ステップS34で第3タイマがタイムアップしていないと判定した場合(ステップS34;No)、警報制御部113は、ステップS11に戻る。
図6は、警報装置10の動作の一例を示すタイミングチャートである。この図6は、警報装置10が通常時監視処理を実行する際の動作の一例を示している。
まず、見守りモード下において、警報制御部113は、例えば図5のステップS11;Yes→ステップS12;No→ステップS16;Noを実行することで、WBGT値の時間変化を監視する。
WBGT値の上昇により時刻t11のタイミングで第1閾値Th1に達すると、警報制御部113は、図5のステップS11;Yes→ステップS12;Yes→ステップS13;No→ステップS15を順次実行することで、警報遅延タイマである第1タイマTaの計時を開始する。次いで、WBGT値が警戒レベル内で推移し、時刻t12のタイミングで第1閾値Th1に達すると、警報制御部113は、図5のステップS11;No→ステップS22;Yes→ステップS23;Yes→ステップS24→ステップS25;Yesを順次実行することで、第1タイマTaの計時を停止する。
続いて、WBGT値が再び上昇し時刻t13のタイミングで第1閾値Th1に達すると、警報制御部113は、時刻t11と同様の処理を実行することで、第1タイマTaの計時を開始する。次いで、WBGT値が警戒レベル内で上昇を続け、時刻t14のタイミングで第1タイマTaがタイムアップすると、警報制御部113は、図5のステップS11;Yes→ステップS12;No→ステップS16;Yes→ステップS17;Yes→ステップS18を順次実行することで、警戒レベルに応じた異常警報を報知する。また、警報制御部113は、ステップS19を実行することで、第2タイマTbの計時を開始する。なお、本実施形態では、報知方法として外部装置への通報と、音声出力による報知とを想定しており、時刻t14のタイミングで、警戒レベルに応じた通報と音声出力とが行われる。
続いて、WBGT値が上昇し時刻t15のタイミングで第2閾値Th2に達すると、警報制御部113は、図5のステップS11;Yes→ステップS12;Yes→ステップS13;Yes→ステップS14→ステップS15を順次実行することで、第2タイマTbの計時を停止した後、第1タイマTaの計時を開始する。次いで、WBGT値が厳重警戒レベル内で上昇を続け、時刻t16のタイミングで第1タイマTaがタイムアップすると、警報制御部113は、時刻t14と同様の処理を実行することで、厳重警戒レベルに応じた通報と音声出力とを行う。また、警報制御部113は、ステップS19を実行することで、第2タイマTbの計時を開始する。
続いて、WBGT値が上昇し時刻t17のタイミングで第3閾値Th3に達すると、警報制御部113は、時刻t15と同様の処理を実行することで、第2タイマTbの計時を停止した後、第1タイマTaの計時を開始する。次いで、WBGT値が危険レベル内で上昇を続け、時刻t18のタイミングで第1タイマTaがタイムアップすると、警報制御部113は、時刻t14と同様の処理を実行することで、危険レベルに応じた通報と音声出力とを行う。また、警報制御部113は、ステップS19を実行することで、第2タイマTbの計時を開始する。
続いて、WBGT値が危険レベル内で推移し、時刻t19のタイミングで第2タイマTbがタイムアップすると、警報制御部113は、例えば図5のステップS11;Yes→ステップS12;No→ステップS16;Yes→ステップS17;No→ステップS20;Yes→ステップS21を実行することで、危険レベルに応じた通報と音声出力とを行う。また、警報制御部113は、ステップS19を実行することで、第2タイマTbの計時を開始する。
続いて、WBGT値が低下を始め、時刻t20のタイミングで第3閾値Th3に達すると、警報制御部113は、図5のステップS11;No→ステップS22;Yes→ステップS23;Yes→ステップS24→ステップS25;No→ステップS26を順次実行することで、第2タイマTbの計時を停止した後、復旧遅延タイマである第3タイマTcの計時を開始する。次いで、WBGT値が厳重警戒レベル内で低下を続け、時刻t21のタイミングで第3タイマTcがタイムアップすると、警報制御部113は、図5のステップS11;No→ステップS22;No→ステップS27;Yes→ステップS28;Yes→ステップS29を実行することで、厳重警戒レベルに応じた通報と音声出力とを行う。また、警報制御部113は、ステップS30を実行することで、第2タイマTbの計時を開始する。
続いて、WBGT値が低下し時刻t22のタイミングで第2閾値Th2に達すると、警報制御部113は、時刻t20と同様の処理を実行することで、第2タイマTbの計時を停止した後、第3タイマTcの計時を開始する。次いで、WBGT値が警戒レベル内で低下を続け、時刻t23のタイミングで第3タイマTcがタイムアップすると、警報制御部113は、時刻t21と同様の処理を実行することで、警戒レベルに応じた通報と音声出力とを行う。また、警報制御部113は、ステップS30を実行することで、第2タイマTbの計時を開始する。
続いて、WBGT値が低下し時刻t24のタイミングで第1閾値Th1に達すると、警報制御部113は、時刻t20と同様の処理を実行することで、第2タイマTbの計時を停止した後、第3タイマTcの計時を開始する。そして、WBGT値が第1閾値Th1未満の状態で低下を続け、時刻t25のタイミングで第3タイマTcがタイムアップすると、警報制御部113は、図5のステップS11;No→ステップS22;No→ステップS27;No→ステップS33;Yes→ステップS34;Yes→ステップS35を順次実行することで、熱中症の危険のある警報対象暑さ指数帯から復旧したことを通報と音声出力とで報知する。
このように、通常時監視処理では、室内R1の温湿度環境を示すWBGT値の時間変化を監視し、当該WBGT値が何れかの閾値Thに到達したり、警報対象暑さ指数帯に留まったりすると、その暑さ指数帯に応じた異常警報の報知を行う。
しかしながら、上述した通常時監視処理では、報知のタイミングが不適となる場合がある。例えば、夏場の暑い時期、外出先から帰宅したユーザU1が、室内R1のエアコン20を稼働させることで、外出中に上昇した温度や湿度を低下させるような場合、通常時監視処理では、空調装置の稼働により低下したWBGT値が閾値に達する度に異常警報の報知を行うことになる。このような場合、警報装置10から発せられる異常警報の報知は、室内R1の温湿度環境の改善措置を既に行っているユーザU1にとって煩わしく、利便性に欠けるという問題がある。
そこで、本実施形態の警報装置10では、ユーザU1の帰宅に伴い、外出モードから見守りモードへの切り替えが行われると、通常時監視処理の実行に先駆けて、切り替え直後用の監視処理(帰宅時監視処理)を実行することで上記の問題に対応する。以下、図7〜図10を参照して、モード切り替え時の警報装置10の動作について説明する。
図7は、警報装置10が実行する動作モード切替処理の一例を示すフローチャートである。まず、動作切替部112は、動作モードの切り替えが指示されるまで待機する(ステップS41;No)。切替ボタンやユーザデバイスを介して動作モードの切り替えが指示されると(ステップS41;Yes)、動作切替部112は、ステップS42に移行する。
ステップS42において、動作切替部112は、切り替え先の動作モードが見守りモードか外出モードかを判別する(ステップS42)。切り替え先の動作モードが見守りモードの場合(ステップS42;Yes)、動作切替部112は、警報制御部113と協働することで、警報装置10を見守りモードで動作させる。
警報制御部113は、外出モードから見守りモードへの切り替えが行われると、まず帰宅時監視処理を実行する(ステップS43)。以下、図8を参照して、ステップS43の帰宅時監視処理について説明する。
図8は、警報装置10が実行する帰宅時監視処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理の実行中に、動作モードの切り替え(見守りモード→外出モード)が行われた場合には、図7のステップS45に移行するものとする。
まず、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、見守りモードへの切り替えを報知する(ステップS51)。次いで、警報制御部113は、現在のWBGT値が第1閾値Th1以上、つまり警報対象暑さ指数帯にあるか否かを判定する(ステップS52)。ここで、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にない場合(ステップS52;No)、警報制御部113は、図7のステップS44に移行する。
また、ステップS52において、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にある場合(ステップS52;Yes)、警報制御部113は、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた内容の異常警報を報知する(ステップS53)。次いで、警報制御部113は、現在のWBGT値を前回分のWBGT値としてRAM等に一時記憶した後(ステップS54)、第4タイマの計時を開始する(ステップS55)。ここで、第4タイマは、後述する抑制条件の充足判定に係る待機時間を計時するためのタイマである。第4タイマで計時する待機時間は特に問わず、任意の値を設定することが可能である。
続いて、警報制御部113は、WBGT値が第1閾値Th1未満か否かを判定する(ステップS56)。WBGT値が第1閾値Th1以上の場合(ステップS56;No)、警報制御部113は、第4タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS57)。ここで、第4タイマがタイムアップしていない場合(ステップS57;No)、警報制御部113は、ステップS56に戻る。つまり、警報制御部113は、第4タイマがタイムアップするまでの間にWBGT値が第1閾値Th1未満まで低下したか否かを判定する。
ステップS57において、第4タイマがタイムアップすると(ステップS57;Yes)、警報制御部113は、ステップS54で一時記憶した前回のWBGT値と、第4タイマがタイムアップした後の現在のWBGT値とに基づき、WBGT値が所定の条件(以下、抑制条件という)を満たす範囲で低下しているか否かを判定する(ステップS58)。
ここで、抑制条件は、任意に設定することが可能であるが、エアコン20の稼働等により温湿度環境の改善措置が行われているか否かを判別可能な条件とすることが好ましい。例えば、WBGT値の単位時間当たりの変化量(低下量)が予め設定された基準量を超えることを抑制条件としてもよい。この場合、警報制御部113は、ステップS54で一時記憶したWBGT値と、第4タイマがタイムアップした時点でのWBGT値とを比較し、その低下量が基準値を超えている場合に、抑制条件を満たしていると判定する。なお、この場合、第4タイマがタイムアップするまでに計時する時間(待機時間)が単位時間に対応する。
また、他の例として、WBGT値が所定時間以内に予め設定された基準値まで低下することを抑制条件としてもよい。ここで、基準値は、特に問わず、任意に設定することが可能である。例えば、基準値は、第3閾値Th3や第2閾値Th2等の各閾値Thとしてもよいし、閾値Th以外の温度としてもよいし、所定の温度間隔(例えば1℃間隔)の各温度としてもよい。この場合、警報制御部113は、ステップS53で一時記憶したWBGT値を基点とし、第4タイマがタイムアップした時点でのWBGT値が基準値まで低下している場合に、抑制条件を満たしていると判定する。また、基準値が各閾値Thや1℃間隔等の複数段階で設定されている場合、警報制御部113は、WBGT値が上位の基準値(例えば第3閾値Th3)から下位の基準値(第2閾値Th2)まで所定時間以内に低下している場合に、抑制条件を満たしていると判定する。なお、この場合、第4タイマがタイムアップするまでに計時する時間(待機時間)が所定時間に対応する。
WBGT値がステップS58の抑制条件を満たす範囲で低下している場合(ステップS58;Yes)、警報制御部113は、ステップS54に戻る。また、WBGT値がステップS58の抑制条件を満たさない場合(ステップS58;No)、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた報知を行う(ステップS59)。続いて、警報制御部113は、上述した第2タイマの計時を開始した後(ステップS60)、図7のステップS44に移行する。
一方、ステップS56において、第4タイマがタイムアップするまでの間に、WBGT値が第1閾値Th1未満となった場合(ステップS56;Yes)、警報制御部113は、第4タイマの計時を停止した後(ステップS61)、第5タイマの計時を開始する(ステップS62)。ここで、第5タイマは、WBGT値が第1閾値Th1未満に低下した後、当該WBGT値の時間変化を確認するまでの待機時間を計時するためのタイマである。第5タイマで計時する待機時間は特に問わず、任意の値を設定することが可能である。
続いて、警報制御部113は、第5タイマがタイムアップするまで待機し(ステップS63;No)、第5タイマがタイムアップすると(ステップS63;Yes)、ステップS64に移行する。ステップS64において、警報制御部113は、現在のWBGT値が第1閾値Th1未満か否かを判定する(ステップS64)。WBGT値が第1閾値Th1未満の場合(ステップS64;Yes)、警報制御部113は、熱中症の危険のある警報対象暑さ指数帯から復旧したことを報知し(ステップS65)、図7のステップS44に移行する。また、WBGT値が第1閾値Th1以上の場合(ステップS64;No)、警報制御部113は、ステップS60で第2タイマの計時を開始した後、図7のステップS44に移行する。
なお、本処理では、第5タイマの計時前後でWBGT値を確認し、第1閾値Th1未満の場合に復旧を報知する構成としたが、これに限らないものとする。例えば、第5タイマを計時している間WBGT値を監視し、第5タイマがタイムアップするまで第1閾値Th1未満を維持した場合に、復旧を報知する構成としてもよい。
図7に戻り、警報制御部113は、ステップS43で帰宅時監視処理を実行した後、通常時監視処理を実行する(ステップS44)。動作切替部112は、通常時監視処理のバックグラウンドでステップS41に戻り、動作モードの切り替え指示があるまで待機する。なお、ステップS44の通常時監視処理は、図5及び図6で説明した通常時監視処理と同様であるため、説明を省略する。
一方、ステップS42において、切り替え先の動作モードが外出モードの場合(ステップS42;No)、動作切替部112は、警報制御部113と協働することで、警報装置10を外出モードで動作させる。
警報制御部113は、動作切替部112から外出モードへの切り替えが通知されると、外出時監視処理を実行する(ステップS45)。動作切替部112は、外出時監視処理のバックグラウンドでステップS41に戻り、動作モードの切り替え指示があるまで待機する。
ここで、警報制御部113は、外出時監視処理において、通常時監視処理に含まれるWBGT値の監視と警告(報知)とに係る処理のうち、全ての処理を実行しない完全無効状態としてもよいし、監視に係る処理のみを実行する部分無効状態としてもよい。後者の場合、例えば、警報制御部113は、図5に示した通常時監視処理のうち、ステップS18、S21、S29、S32及びS35を無効化(スキップ)することで、WBGT値の監視に係る処理のみを実行する。なお、警報制御部113は、外出時監視処理を開始する際に、外出モードへの切り替えを報知することが好ましい。
次に、図9及び図10を参照して、外出モードから見守りモードに切り替わる際の、警報装置10の動作例について説明する。
図9は、警報装置10の動作の一例を示すタイミングチャートである。図9では、外出モードから見守りモードに切り替わる際の、警報装置10の動作の一例を示している。
まず、時刻t31のタイミングで、外出モードから見守りモードに切り替えが行われると、警報制御部113は、図8のステップS51を実行することで、見守りモードに切り替わったことを通報と音声出力とで報知する。また、このとき、WBGT値は警報対象暑さ指数帯(危険レベル)にあるため、警報制御部113は、図8のステップS52;Yes→ステップS53を順次実行することで、危険レベルに応じた通報と音声出力とを行う。さらに、警報制御部113は、図8のステップS54及びステップS55を順次実行することで、WBGT値の一時記憶とともに、第4タイマTdの計時を開始する。
ここで、例えば、室内R1に帰宅したユーザが、エアコン20を稼働させることで温湿度環境の改善措置を行うと、時間経過に伴いWBGT値が低下する。このとき、警報制御部113は、図8のステップS56;No→ステップS57;Noを順次実行することで、WBGT値が第1閾値Th1未満となるまで、又は第4タイマTdがタイムアップするまで待機する。
次いで、時刻t32のタイミングで、第4タイマTdがタイムアップすると、WBGT値は厳重警戒レベルにあるため、警報制御部113は、図8のステップS58を実行することで、WBGT値が抑制条件を満たす範囲で低下しているか否かを判定する。例えば、WBGT値の単位時間あたりの変化量が基準値を超えることを抑制条件とした場合、警報制御部113は、時刻t31で一時記憶した前回のWBGT値と比べて今回(時刻t32)のWBGT値の方が低く、前回のWBGT値と今回のWBGT値との差分D11が基準値を超えている場合に、その抑制条件を満たすと判定する。
WBGT値が抑制条件を満たす範囲で低下している場合、警報制御部113は、図8のステップS58;Yes→ステップS54→ステップS55を順次実行することで、時刻t32のWBGT値を一時記憶(上書き記憶)した後、第4タイマTdの計時を開始する。
また、時刻t33、t34のそれぞれのタイミングにおいて、第4タイマTdがタイムアップし、警報対象暑さ指数帯にあるWBGT値の単位時間あたりの低下量(差分D12、D13)が基準値を超えている場合には、警報制御部113は、時刻t32と同様の処理を実行することで、帰宅時監視処理を継続する。
続いて、時刻t35のタイミングでWBGT値が第1閾値Th1未満になると、警報制御部113は、図8のステップS56;Yes→ステップS61→ステップS62を実行することで、第4タイマTdの計時を停止した後、第5タイマTeの計時を開始する。そして、第5タイマTeがタイムアップした時刻t36の時点で、WBGT値が第1閾値Th1未満にあると、警報制御部113は、ステップS63;Yes→ステップS64;Yes→ステップS65を順次実行することで、熱中症の危険のある警報対象暑さ指数帯から復旧したことを通報と音声出力とで報知する。そして、警報制御部113は、復旧の報知後、通常時監視処理に移行する。
また、図10は、警報装置10の動作の一例を示すタイミングチャートである。この図10では、外出モードから見守りモードに切り替わる際の、警報装置10の動作の他の例を示している。
まず、時刻t41のタイミングで、外出モードから見守りモードに切り替えが行われると、警報制御部113は、図8のステップS51を実行することで、見守りモードに切り替わったことを通報と音声出力とで報知する。また、このとき、WBGT値は警報対象暑さ指数帯(危険レベル)にあるため、警報制御部113は、図8のステップS52;Yes→ステップS53を順次実行することで、危険レベルに応じた通報と音声出力とを行う。さらに、警報制御部113は、図8のステップS54及びステップS55を順次実行することで、WBGT値の一時記憶とともに、第4タイマTdの計時を開始する。
ここで、例えば、室内R1に帰宅したユーザが、温湿度環境の改善措置を行わなかった場合、WBGT値は特段変化することなく略同等の値を維持する。このとき、警報制御部113は、図8のステップS56;No→ステップS57;Noを順次実行することで、WBGT値が第1閾値Th1未満となるまで、又は第4タイマTdがタイムアップするまで待機する。
次いで、時刻t42のタイミングで、第4タイマTdがタイムアップすると、WBGT値は危険レベルにあるため、警報制御部113は、図8のステップS58を実行することで、WBGT値が抑制条件を満たす範囲で低下しているか否かを判定する。ここで例えば、図9と同様、WBGT値の単位時間あたりの変化量が所定量を超えることを抑制条件とすると、WBGT値の改善措置が行われていないため、時刻t41で一時記憶したWBGT値と現在(時刻t42)のWBGT値との差分D21は微量となる。また、現在のWBGT値が前回のWBGT値から増加する可能性もある。このような場合、警報制御部113は、図8のステップS58;No→ステップS59→ステップS60を順次実行することで、WBGT値が抑制条件を満たす範囲で低下していないと判定し、報知するとともに、第2タイマTbの計時を開始した後、通常時監視処理に移行する。
続く、通常時監視処理では、WBGT値が警報対象暑さ指数帯(危険レベル)にあるため、警報制御部113は、例えば図5のステップS11;Yes→ステップS12;No→ステップS16;Yes→ステップS17;No→ステップS20;Noを実行する。
続いて、時刻t43のタイミングでWBGT値が第3閾値Th3に到達すると、警報制御部113は、図5のステップS11:No→ステップS22;Yes→ステップS23;Yes→ステップS24→ステップS25;No→ステップS26を実行することで、第2タイマTbの計時を停止した後、第3タイマTcの計時を開始する。
以降、警報制御部113は、図5及び図6で説明した通常時監視処理を実行することで、WBGT値が何れかの閾値Thまで低下すると、第3タイマTcの計時を開始し、当該第3タイマTcがタイムアップすると、各暑さ指数帯に応じた通報と音声出力とを行う(時刻t44〜t47)。また、警報制御部113は、第3タイマTcの計時前後でWBGT値が第1閾値Th1未満にあることを確認すると、熱中症の危険のある警報対象暑さ指数帯から復旧したことを通報と音声出力とで報知する(時刻t48)。
以上のように、本実施形態の警報装置10は、外出モードから見守りモードに切り替えが行われると、通常時監視処理に先駆けて帰宅時監視処理を実行する。係る帰宅時監視処理において、警報装置10は、WBGT値が第1閾値Th1以上にある場合であっても、WBGT値が抑制条件を満たす範囲で低下している間は、帰宅時監視処理を継続することで異常警報の報知を抑制する。また、警報装置10は、WBGT値が抑制条件を満たさない場合、又は、WBGT値が第1閾値Th1未満まで低下した場合には、通常時監視処理に移行することで、異常警報の報知の抑制を解除する。
これにより、例えば、外出先から帰宅したユーザU1が、第2モード(外出モード)から第1モード(見守りモード)への切り替え後、エアコン20の稼働により室内R1の温湿度環境の改善措置を既に行っているような場合には、WBGT値が閾値以上にある場合であっても、そのWBGT値が所定の条件を満たす範囲で低下していれば異常警報の報知は抑制されるため、ユーザU1の利便性を向上させることができる。また、WBGT値が抑制条件を満たさない場合や、WBGT値が第1閾値Th1未満まで低下した場合には、異常警報の報知の抑制が解除されるため、熱中症に関する注意喚起をユーザU1に行うことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記の実施形態では、警報装置10が温度測定部12及び湿度測定部13を一体的に備える構成としたが、これに限らず、温度測定部12及び湿度測定部13を測定装置として別体としてもよい。
また、上記の実施形態では、温度及び湿度から一のWBGT値を算出し、当該WBGT値を用いて室内R1の温湿度環境の時間変化を監視する構成としたが、これに限らず、温度及び湿度から他の指標値を算出する構成としてもよい。また、温度及び湿度をそのまま用いて、室内R1の温湿度環境の時間変化を監視する構成としてもよい。
また、上記の実施形態では、通常時監視処理及び帰宅時監視処理において、5種類のタイマ(第1タイマ〜第5タイマ)を用いたが、これらのタイマで計時する待機時間は互いに相違させてもよいし、待機時間を同一とすることで共通化を図ってもよい。また、各タイマは固定値とは限らず、時間経過に伴って増加や減少する可変値としてもよい。
また、上記の実施形態の通常時監視処理では、WBGT値が低下している場合に、当該WBGT値が何れかの閾値Thに達したり警報対象暑さ指数帯に留まったりすると、その暑さ指数帯に応じた異常警報を報知する構成としたが、これに限らず、帰宅時監視処理と同様の処理を実行してもよい。具体的には、通常時監視処理において、警報対象暑さ指数帯にあるWBGT値が抑制条件を満たす範囲で低下しているような場合には、警報制御部113は、異常警報の報知を抑制する構成としてもよい。
また、上記の実施形態において、警報制御部113は、警報装置10の外出モード時に帰宅時監視処理と同様の処理を行ってもよい。以下、上記実施形態の変形例として、外出時監視処理の他の例について図11を用いて説明する。
[変形例]
図11は、警報装置10が実行する外出時監視処理の一例を示すフローチャートである。まず、警報制御部113は、見守りモードから外出モードに切り替えが行われると、報知部16を動作させることで、外出モードへの切り替えを報知する(ステップS71)。
次いで、警報制御部113は、現在のWBGT値が警報対象暑さ指数帯にあるか否かを判定する(ステップS72)。WBGT値が警報対象暑さ指数帯にない場合、警報制御部113は、WBGT値の監視を継続する(ステップS72;No)。
また、ステップS72において、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にある場合(ステップS72;Yes)、警報制御部113は、現在のWBGT値を前回分のWBGT値としてRAM等に一時記憶した後(ステップS73)、第4タイマの計時を開始する(ステップS74)。続くステップS75〜S77は、上述した図8のステップS56〜S58と同様である。なお、ステップS77において、WBGT値が抑制条件を満たす範囲で低下しない場合には(ステップS77;No)、ステップS72に戻る。
一方、ステップS75において、WBGT値が第1閾値Th1未満となった場合(ステップS75;Yes)、警報制御部113は、第4タイマの計時を停止した後(ステップS78)、第5タイマの計時を開始する(ステップS79)。
続いて、警報制御部113は、第5タイマがタイムアップするまで待機し(ステップS80;No)、第5タイマがタイムアップすると(ステップS80;Yes)、ステップS81に移行する。ステップS81において、警報制御部113は、現在のWBGT値が第1閾値Th1未満か否かを判定する(ステップS81)。WBGT値が第1閾値Th1未満の場合(ステップS81;Yes)、警報制御部113は、見守りモードへの切り替えを促す報知を行い(ステップS82)、ステップS72に戻る。なお、ステップS81において、WBGT値が第1閾値Th1以上の場合(ステップS81;No)、警報制御部113は、ステップS72に戻る。
このように、本変形例では、警報制御部113は、警報対象暑さ指数帯にあるWBGT値が、変化条件を充足する変化量で第1閾値Th1未満に低下し、当該第1閾値Th1未満の状態を所定時間維持した場合に、見守りモードへの切り替えを促す報知を行う。これにより、室内R1に帰宅したユーザU1が、警報装置10を見守りモードに切り替えぬままエアコン20を稼働させているような場合に、警報装置10は見守りモードへの切り替えをユーザU1に促すことができるため、利便性の向上を図ることができる。
なお、本変形例を採用する場合、WBGT値が第1閾値Th1未満となる前に、見守りモードへの切り替えを促す報知を行ってもよい。例えば、ステップS73〜ステップS77のループ処理を所定回数(1又は複数回)実行したことを条件に、見守りモードへの切り替えを促す報知を行う構成としてもよい。
また、見守りモードへの切り替えを促す報知の代わりに、動作切替部112が、外出モードから見守りモードへの切り替えを自動で行う構成としてもよい。この場合、警報制御部113は、外出モードから見守りモードへの自動切り替え後、帰宅時監視処理を行う構成としてもよいし、通常監視処理を行う構成としてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態の警報装置10は、WBGT値が閾値Th−1に到達してからも再度閾値Thに到達する動作を繰り返すことがあるため、異常警報の報知を繰り返さないように警報遅延タイマおよび復旧遅延タイマを計時していた。第2の実施形態の警報装置10は、WBGT値の下降時における閾値を、WBGT値の上昇時における閾値に比べて低く設定するとともに、警報遅延タイマである第1タイマ、並びに復旧遅延タイマである第3タイマ及び第5タイマによる計時を行わない点で、第1の実施形態の警報装置10と異なる。以下、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施形態と異なる箇所について説明する。
ここで、図12は第2の実施形態にかかる問題点としてのWBGT値の実測値と各段階の閾値との関係の一例を示す図である。図12に示す実測値に示されるように、空気の対流などにより計測される温度や湿度が一定にならず、WBGT値の閾値と閾値−1の値との間を短時間で変化する現象が発生する。
図13は、第2の実施形態にかかる警報装置10における監視処理の状態遷移とWBGT値の閾値との関係の一例を示す図である。図13(a)はWBGT値の各閾値を従来通り1種類の閾値とした場合の関係を示し、図13(b)はWBGT値の各閾値を上昇時及び下降時で異ならせた2種類の閾値とした場合の関係を示す。図13に示すように、第2の実施形態にかかる警報装置10においては、WBGT値の下降時の閾値は、WBGT値の上昇時の閾値よりも、2℃低いWBGT値を採用する。
ここで、第2の実施形態の警報装置10が見守りモードで動作する「通常時」において、警報制御部113が行う通常時監視処理について説明する。
図14は、第2の実施形態の警報装置10が実行する通常時監視処理の一例を示すフローチャートである。図14に示すように、まず、警報制御部113は、温湿度取得部111が算出するWBGT値の時間変化を監視し、WBGT値が上昇したか否かを判定する(ステップS101)。WBGT値が上昇した場合(ステップS101;Yes)、警報制御部113は、WBGT値が何れかの閾値Thに到達したか否かを判定する(ステップS102)。
WBGT値が何れかの閾値Thに到達した場合(ステップS102;Yes)、警報制御部113は、第2タイマが計時中か否かを判定する(ステップS103)。
第2タイマが計時中の場合(ステップS103;Yes)、警報制御部113は、計時中の第2タイマを停止し(ステップS104)、ステップS105に移行する。また、第2タイマが計時中でない場合(ステップS103;No)、警報制御部113は、ステップS105に直ちに移行する。
ステップS105において、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた報知を行う(ステップS105)。なお、ここで、報知とは、各段階に応じた異常表示、音声鳴動、異常情報のセンター送信などである。
続いて、警報制御部113は、第2タイマの計時を開始し(ステップS106)、ステップS114に進む。ここで、第2タイマは、WBGT値が警報対象暑さ指数帯に留まる際に、異常警報を報知するまでの待機時間を計時するためのタイマである。第2タイマで計時する待機時間は特に問わず、任意の値を設定することが可能である。
警報制御部113は、ステップS102において、WBGT値が何れの閾値Thにも到達していないと判定した場合(ステップS102;No)、そのWBGT値が警報対象暑さ指数帯にあるか否かを判定する(ステップS107)。
警報制御部113は、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にある場合(ステップS107;Yes)、ステップS114に進む。警報制御部113は、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にない場合(ステップS107;No)、ステップS101に戻る。
一方、ステップS101において、WBGT値が低下した場合(ステップS101;No)、警報制御部113は、そのWBGT値が何れかの閾値Th−α(本実施の形態では、α=2)に到達したか否かを判定する(ステップS108)。
なお、本実施形態においては、閾値Th−α(α=2)としたが、これに限るものではなく、各閾値Th(第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3)の間隔内でαには任意の値を設定することができる。
ステップS108において、何れかの閾値Th−2に到達したと判定すると(ステップS108;Yes)、警報制御部113は、第2タイマが計時中か否かを判定する(ステップS109)。
第2タイマが計時中の場合(ステップS109;Yes)、警報制御部113は、計時中の第2タイマを停止し(ステップS110)、ステップS111に移行する。また、第2タイマが計時中でない場合(ステップS109;No)、警報制御部113は、ステップS111に直ちに移行する。
ステップS111において、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた報知または復旧報知を行う(ステップS111)。なお、ここで、報知とは、各段階に応じた異常表示、音声鳴動、異常情報のセンター送信などである。復旧報知とは、警報対象暑さ指数帯からの復旧表示、音声鳴動、復旧情報のセンター送信などである。
続いて、警報制御部113は、第2タイマの計時を開始し(ステップS112)、ステップS114に進む。
また、ステップS108において、WBGT値が何れの閾値Th−2に到達していないと判定した場合(ステップS108;No)、警報制御部113は、そのWBGT値が警報対象暑さ指数帯にあるか否かを判定する(ステップS113)。WBGT値が警報対象暑さ指数帯にある場合(ステップS113;Yes)、警報制御部113は、ステップS114に進む。
一方、警報制御部113は、WBGT値が警報対象暑さ指数帯にない場合(ステップS113;No)、ステップS101に戻る。
ステップS114において、警報制御部113は、第2タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS114)。
第2タイマがタイムアップしていない場合(ステップS114;No)、警報制御部113は、第2タイマの計時を継続しつつ、ステップS101に戻る。
第2タイマがタイムアップした場合(ステップS114;Yes)、警報制御部113は、報知部16を動作させることで、WBGT値が存在する暑さ指数帯に応じた異常警報の報知を行う(ステップS115)。
続いて、警報制御部113は、第2タイマの計時を開始し(ステップS116)、ステップS101に戻る。
次に、第2の実施形態の警報装置10が実行する帰宅時監視処理について説明する。帰宅時監視処理においても、WBGT値の下降時における閾値をWBGT値の上昇時における閾値に比べて低く設定することができる。
図15は、第2の実施形態の警報装置10が実行する帰宅時監視処理の一例を示すフローチャートである。なお、図15に示すステップS51〜S61、S65の処理は、図8に示したステップS51〜S55、S57〜S61、S65の処理と同一なので、その説明を省略する。
例えば、図8で説明した帰宅時監視処理においては、警報対象暑さ指数帯にあるWBGT値が変化条件を充足する変化量で第1閾値Th1未満に低下し、当該第1閾値Th1未満の状態を所定時間維持した場合に、復旧したことを報知している。ここで、第1閾値Th1未満の状態を所定時間維持しているかについては、第5タイマの計時により判断している。
図15に示すように、本実施形態の警報装置10は、帰宅時監視処理のステップS70において、第1閾値Th1未満に低下したことを第1閾値Th1に比べて低い第1閾値Th1−α(本実施の形態では、α=2)に到達したことにより判断することで(ステップS70;Yes)、第1閾値Th1未満の状態を所定時間維持したものとみなす。これにより、図8に示したステップS62〜S64の処理は不要となり、結果として第5タイマが不要となる。
次に、第2の実施形態において警報制御部113が、警報装置10の外出モード時に帰宅監視処理と同様の処理を行う場合の外出時監視処理について説明する。外出時監視処理においても、WBGT値の下降時における閾値をWBGT値の上昇時における閾値に比べて低く設定することができる。
図16は、第2の実施形態の警報装置10が実行する外出時監視処理の一例を示すフローチャートである。なお、図16に示すステップS71〜S78、S82の処理は、図11に示したステップS71〜S74、S76〜S78、S82の処理と同一なので、その説明を省略する。
例えば、図11で説明した外出時監視処理においては、警報対象暑さ指数帯にあるWBGT値が変化条件を充足する変化量で第1閾値Th1未満に低下し、当該第1閾値Th1未満の状態を所定時間維持した場合に、見守りモードへの切り替えを促す報知を行っている。ここで、第1閾値Th1未満の状態を所定時間維持しているかについては、第5タイマの計時により判断している。
図16に示すように、本実施形態の警報装置10は、外出時監視処理のステップS90において、第1閾値Th1未満に低下したことを第1閾値Th1に比べて低い第1閾値Th1−α(本実施の形態では、α=2)に到達したことにより判断することで(ステップS90;Yes)、第1閾値Th1未満の状態を所定時間維持したものとみなす。これにより、図11に示したステップS79〜S81の処理は不要となり、結果として第5タイマが不要となる。
図17は、第2の実施形態の警報装置10の実施例と第1の実施形態の警報装置10の実施例(比較例)とのデータを比較したものである。第2の実施形態の実施例は、上述したように、WBGT値の各閾値を上昇時及び下降時で異ならせた2種類の閾値とするとともに、タイマ(警報遅延タイマ(Ta)、復旧遅延タイマ(Tc))は用いない。一方、第1の実施形態の実施例(比較例)1〜3は、WBGT値の各閾値を従来通り1種類の閾値とするとともに、警報遅延タイマ(Ta)および復旧遅延タイマ(Tc)は用いる。なお、第1の実施形態の実施例(比較例)1〜3においては、警報遅延タイマ(Ta)の設定を0secで共通とし、復旧遅延タイマ(Tc)の設定をそれぞれ異ならせている。なお、測定時間内における状態について、人による状態遷移の判断回数は、8回であった。
図17において、状態維持最大値は、測定時間内における各暑さ指数帯に留まった時間のうちの最大値(最長時間)を示す。また、状態維持最小値は、測定時間内における各暑さ指数帯に留まった時間のうちの最小値(最短時間)を示す。また、状態遷移数は、測定時間内における状態遷移の回数を示す。状態遷移数/測定時間は、測定時間内における状態遷移の回数を測定時間で割ったものである。
図17に示すように、第1の実施形態の実施例(比較例)1〜3においては、WBGT値が閾値Thと閾値Th−αの値とを短時間で変化する現象が発生することにより、測定時間内における状態遷移の回数が人による状態遷移の判断回数(8回)に比べて、多くなっている。一方、図17に示すように、第2の実施形態の実施例においては、測定時間内における状態遷移の回数が人による状態遷移の判断回数(8回)に近い結果となっている。
このように本実施の形態によれば、WBGT値が閾値Thを割って下降した場合でも、WBGT値が閾値Th−αを下回らなければ、WBGT値の変化量が所定量に満たない微量であるとして、警報対象暑さ指数帯の短時間での変化にかかる報知を抑制することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
なお、第1の実施形態においても、第2の実施形態で説明したように、WBGT値の下降時における閾値を、WBGT値の上昇時における閾値に比べて低く設定するようにしても良い。この場合においても、各閾値Th(第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3)の間隔内で上昇時と下降時との閾値の差αは、任意の値を設定することができる。