しかしながら、図13に示した包装容器にあっては、容器本体100と緩衝材400とが別部材で構成されているため、製造コストが嵩むという問題があった。また、使用前の複数の包装容器を保管すべく各包装容器を積層させる場合、容器本体100の底面と緩衝材400の底面との間に間隙150が形成してある上に、発泡材シートで構成された緩衝材400の厚さ寸法が大きいため、単位高さ当たりに積層し得る包装容器の数が少ないという問題もあった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、高い緩衝能を有する一方、製造コストが廉価であり、また単位高さ当たりにより多数を積層することができる包装容器を提供する。
(1)本発明の包装容器にあっては、被収納物を収納する箱状の収納部の開口周縁にフランジ部が延設してある包装容器において、前記収納部はn(nは2以上の整数)回対称な倒立錐台形状に成形してあり、前記フランジ部には、前記包装容器と同じ形状及び同じ寸法の他の包装容器上に当該収納容器の収納部が前記他の包装容器の収納部内に嵌入するように重積された際に、前記他の包装容器のフランジ部上で当該包装容器を支持して、印加された外力を吸収するための複数の外力吸収部がそれぞれ収納部を取り囲み、また、前記収納部の底部中央を貫通する軸を回転軸として当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた場合、いずれの外力吸収部も前記他の包装容器のフランジ部の各外力吸収部と異なる位置に存在するように凹設してあり、当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を前記他の包装容器上に重積させた場合、当該包装容器と前記他の包装容器との間に間隙が形成され、当該包装容器の各外力吸収部が前記他の包装容器のフランジ部上を、当該包装容器の収納部の周面部が前記他の包装容器の収納部の周面部に当接するまで摺動し得るように構成してあり、更に、前記フランジ部の周縁には、前記外力吸収部の深さ方向の寸法より大きい幅寸法になした環状の袴部が垂下してあり、他の包装容器上に重積された際に、当該包装容器の袴部が他の包装容器のフランジ部の周囲に遊嵌するように構成してあることを特徴とする。
本発明に係る包装容器は、被収納物を収納する箱状の収納部の開口周縁にフランジ部が延設してあり、前記収納部はn(nは2以上の整数)回対称な倒立錐台形状に成形してあり、前記フランジ部には、前記包装容器と同じ形状及び同じ寸法の他の包装容器上に当該収納容器の収納部が前記他の包装容器の収納部内に嵌入するように重積された際に、前記他の包装容器のフランジ部上で当該包装容器を支持して、印加された外力を吸収するための複数の外力吸収部がそれぞれ収納部を取り囲み、フランジ部の長手方向へ距離を隔てて凹設してある。
これら各外力吸収部が凹設された位置は、収納部の底部中央を貫通する軸を回転軸として当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた場合、いずれの外力吸収部も前記他の包装容器のフランジ部の各外力吸収部と異なる位置に存在するようになしてある。
そして、当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を前記他の包装容器上に重積させた場合、前述したように収納部が倒立錐台形状に成形してあり、また、当該包装容器の各外力吸収部が、他の包装容器のフランジ部上であって、他の包装容器の各外力吸収部と異なる位置に存在するため、当該包装容器と前記他の包装容器との間に間隙が形成される。これによって、例えば収納部の底部と交わる縦方向の外力が他の包装容器に印加された場合、前記間隙の緩衝能によって外力が吸収され、当該包装容器の収納部内に収納された被収納物への外力の印加を防止することができる。
更に、本発明に係る包装容器にあっては、当該包装容器の各外力吸収部が他の包装容器のフランジ部上を摺動するように構成してある。振動といった横方向の外力が他の包装容器に印加された場合、当該外力によって他の包装容器が振動するが、被収納物が収納部内に収納された当該包装容器は各外力吸収部が他の包装容器のフランジ部上を摺動することによって、他の包装容器の振動が吸収され、当該包装容器は殆ど振動されず、当該包装容器の収納部内に収納された被収納物への外力の印加を防止することができる。
一方、各外力吸収部は他の包装容器のフランジ部上を、当該包装容器の収納部の周面部が前記他の包装容器の収納部の周面部に当接するまで摺動し得るように構成してあり、これによって、当該包装容器の各外力吸収部は他の包装容器のフランジ部上を一定の範囲内で摺動することができ、安定した摺動動作が担保される。
ところで、当該包装容器を他の包装容器の上に相互に回転させない状態、又は360°回転させた状態で重積させると、両フランジ部に凹設された両各外力吸収部の位置は一致しているので、当該包装容器の各外力吸収部は他の包装容器の各外力吸収部内へ嵌入し、当該包装容器と他の包装容器との間に間隙が生じない。これによって、複数の包装容器を重積させてもそれらが占有する空間領域を可及的に狭くすることができ、より狭い領域に多くの包装容器を保管することができる。
更に、本発明に係る包装容器にあっては樹脂材による一体成型にて製造することができるため、製造コストが廉価である。
(2)本発明の包装容器にあっては、前記フランジ部に凹設された各外力吸収部に替えて、前記フランジ部に各外力吸収部が突設してあり、当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を前記他の包装容器上に重積させた場合、当該包装容器と前記他の包装容器との間に間隙が形成され、当該包装容器のフランジ部が前記他の包装容器の各外力吸収部上を、当該包装容器の収納部の周面部が前記他の包装容器の収納部の周面部に当接するまで摺動し得るように構成してあり、前記袴部の幅寸法は、前記外力吸収部の高さ方向の寸法より大きくしてあることを特徴とする。
本発明に係る包装容器は、フランジ部に凹設された各外力吸収部に替えて、フランジ部に各外力吸収部が突設してある。フランジ部の各外力吸収部が突設された位置は、前同様、収納部の底部中央を貫通する軸を回転軸として当該包装容器を他の包装容器に対して360°/n回転させた場合、いずれの外力吸収部も前記他の包装容器のフランジ部の各外力吸収部と異なる位置に存在するようになしてある。
そして、当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を前記他の包装容器上に重積させた場合、前述したように収納部が倒立錐台形状に成形してあり、また、当該包装容器の各外力吸収部が、他の包装容器のフランジ部上であって、他の包装容器の各外力吸収部と異なる位置に存在するため、当該包装容器と前記他の包装容器との間に間隙が形成される。これによって、前同様、収納部の底部と交わる縦方向の外力が他の包装容器に印加された場合、前記間隙の緩衝能によって外力が吸収され、当該包装容器の収納部内に収納された被収納物への外力の印加を防止することができる。
更に、本発明に係る包装容器にあっては、当該包装容器のフランジ部が他の包装容器の各外力吸収部上を摺動するように構成してある。振動といった横方向の外力が他の包装容器に印加された場合、当該外力によって他の包装容器が振動するが、被収納物が収納部内に収納された当該包装容器はフランジ部が他の包装容器の各外力吸収部上を摺動することによって、他の包装容器の振動が吸収され、当該包装容器は殆ど振動されず、当該包装容器の収納部内に収納された被収納物への外力の印加を防止することができる。
一方、当該包装容器のフランジ部は他の包装容器の各外力吸収部上を、当該包装容器の収納部の周面部が前記他の包装容器の収納部の周面部に当接するまで摺動し得るように構成してあり、これによって、当該包装容器のフランジ部は他の包装容器の各外力吸収部上を一定の範囲内で摺動することができ、安定した摺動動作が担保される。
ところで、当該包装容器を他の包装容器の上に相互に回転させない状態、又は360°回転させた状態で重積させると、両フランジ部に突設された両各外力吸収部の位置は一致しているので、当該包装容器の各外力吸収部内に他の包装容器の各外力吸収部が嵌入し、当該包装容器と他の包装容器との間に間隙が生じない。これによって、複数の包装容器を重積させてもそれらが占有する空間領域を可及的に狭くすることができ、より狭い領域に多くの包装容器を保管することができる。
更に、(1)又は(2)に係る包装容器にあっては前述したように、前記フランジ部の周縁には、前記外力吸収部の深さ方向の寸法又は高さ方向の寸法より大きい幅寸法になした環状の袴部が垂下してあり、他の包装容器上に重積された際に、当該包装容器の袴部が他の包装容器のフランジ部の周囲に遊嵌するように構成してあることも特徴としている。
本発明に係る包装容器は、前述したフランジ部の周縁には、外力吸収部が凹設されている場合は当該外力吸収部の深さ方向の寸法より大きい幅寸法に、外力吸収部が突設されている場合は当該外力吸収部の高さ方向の寸法り大きい幅寸法になした環状の袴部が垂下してある。また、この袴部は、他の包装容器上に重積された際に、当該包装容器の袴部が他の包装容器のフランジ部の周囲に遊嵌するように構成してある。
前述したように当該包装容器を他の包装容器の上に重積させた場合、当該包装容器の袴部が下側の他の包装容器のフランジ部の周縁に遊嵌するため、当該包装容器がフランジ部と並行な面方向へ摺動し得る範囲は、当該包装容器の袴部が他の包装容器のフランジ部の周縁に当接するまでの領域に制限される。これによって、当該包装容器のフランジ部に設けた各外力吸収部が他の包装容器のフランジ部から脱離すること、又は、当該包装容器のフランジ部が他の包装容器のフランジ部に設けた各外力吸収部から脱離することが防止される。
(4)本発明の包装容器にあっては、前記フランジ部の幅寸法は、当該包装容器の収納部の周面部と前記他の包装容器の収納部の周面部との間の間隙の寸法以上になしてあることを特徴とする。
本発明に係る包装容器は、前述したフランジ部の幅寸法は、重積させた当該包装容器の収納部の周面部と前記他の包装容器の収納部の周面部との間の間隙の寸法以上になしてあり、これによって、当該包装容器のフランジ部に設けた各外力吸収部が他の包装容器のフランジ部からの脱離防止、又は、当該包装容器のフランジ部が他の包装容器のフランジ部に設けた各外力吸収部からの脱離防止が担保される一方、所定の幅寸法のフランジ部を有するため、当該包装容器のフランジ部に凹設された外力吸収部が他の包装容器のフランジ部上を、又は当該包装容器のフランジ部が他の包装容器のフランジ部に突設された外力吸収部上を安定して摺動することができる。
(5)本発明の包装容器にあっては、前記外力吸収部の底部又は天井部は、フランジ部の長手方向へ長い平坦になしてあることを特徴とする。
本発明に係る包装容器は、前記外力吸収部の底部又は天井部は、フランジ部の長手方向へ長い平坦になしてあるため、外力吸収部が所要の構造強度を有するとともに、他の包装容器のフランジ部上に載置された、又は当該包装容器のフランジ部を担持する際に、外力吸収部の底部又は天井部とフランジ部とが面接触するためフランジ部に印加される荷重を分散することができ、荷重によるフランジ部の変形を防止することができる。
(6)本発明の包装容器にあっては、前記外力吸収部の深さ又は高さは、収納部に被収納物が収納されて当該収納部の底部が撓んだ状態であっても、当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を前記他の包装容器上に重積させた場合、当該包装容器の収納部の底部が前記他の包装容器の収納部の底部に当接しない寸法になしてあることを特徴とする。
本発明に係る包装容器は、前述した外力吸収部の深さ又は高さは、収納部に被収納物が収納されて当該収納部の底部が撓んだ状態であっても、当該包装容器を前記他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を前記他の包装容器上に重積させた場合、当該包装容器の収納部の底部が前記他の包装容器の収納部の底部に当接しない寸法になしてあり、これによって、縦方向の外力が他の包装容器に印加された場合であっても、当該包装容器の収納部内に収納された被収納物への外力の印加を確実に防止することができる。
(7)本発明の包装容器にあっては、前記収納部は倒立長方形台状をなしており、フランジ部の前記収納部の両短辺に該当する部分であって、収納部の一長辺近傍の位置にそれぞれ外力吸収部が配設してあり、また、フランジ部の前記収納部の一長辺に該当する部分の略中央位置に外力吸収部が配設してあり、更に、フランジ部の前記収納部の他長辺に該当する部分であって、収納部の両短辺近傍の位置にそれぞれ外力吸収部が配設してあることを特徴とする。
本発明に係る包装容器は、前述した収納部は倒立長方形台状をなしており、フランジ部の前記収納部の両短辺に該当する部分であって、収納部の一長辺近傍の位置にそれぞれ外力吸収部が配設してあり、また、フランジ部の前記収納部の一長辺に該当する部分の略中央位置に外力吸収部が配設してあり、更に、フランジ部の前記収納部の他長辺に該当する部分であって、収納部の両短辺近傍の位置にそれぞれ外力吸収部が配設してあるため、平面視が矩形の収納部を有する包装容器であっても、これを他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を前記他の包装容器上に重積させた場合、前記(1)〜(6)にて説明した作用効果を確実に奏することができる。
(8)本発明の包装容器にあっては、前記フランジ部又は収納部の所定位置に目印部が設けてあることを特徴とする。
本発明に係る包装容器は、包装容器のフランジ部又は収納部の所定位置に目印部が設けてある。包装容器は透明な樹脂で構成されていることが多いが、透明な包装容器にあっては、外力吸収部の位置を見落とす場合がある。しかしながら、特定の位置に目印部が設けてある包装容器では、複数の包装容器を重積させる場合、上下の各包装容器にあって、各目印部が同じ側にあるのか、異なる側にあるのかによって、各外力吸収部の位置を容易に把握することができる。
本発明に係る包装容器を図面に基づいて詳述する。なお、本実施の形態で説明する包装容器は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
図1〜図3は、本発明に係る包装容器を示す正面図、平面図及び側面図であり、これらの図中、1はOPS(二軸延伸ポリスチレン)又はPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂材を成形してなる容器本体である。容器本体1は平面視が長方形状、正方形状又は円形状等適宜の形状(本例にあっては長方形状)の箱状をなしている。即ち、容器本体1は後述する外力吸収部5,5,5,5,5を除いて、n(nは2以上の整数)回対称な倒立錐台形状に成形されており、本例にあっては2回対称な形状になしてある。また、容器本体1は、果実又はICチップ等、複数の被収納物を収納し得る収納部2と、該収納部2の周縁に延設した帯環状のフランジ部3とを備えている。なお、図1〜図3に示した包装容器は、被収納物としてイチゴに適用した場合について示してある。
収納部2の開口部は長方形の四隅を丸めた形状になしてあり、また収納部2の内径及び深さは被収納物の大きさに応じた寸法になしてある。収納部2の底部26は前記開口部より小さい相似形になしてあり、収納部2の底部26と開口部との間に位置する環状の周面部20は、開口部から底部26側へ向かって、収納部2の底部26の中央位置へ向い相対的に緩い傾斜角度の第1テーパ部21と、収納部2の底部26の中央位置へ向かい相対的に急な傾斜角度の第2テーパ部22とがこの順に配してある。ここで、第1テーパ部21の幅寸法は、容器本体1の長辺に対応する部分より、容器本体1の短辺に対応する部分を大きくしてあり、これによって被収納物を収納部2内へ容易に出し入れすることができる一方、搬送中に各被収納物が収納部2内で荷崩れすることを可及的に防止することができる。
収納部2の底部26は略平坦にしてあり、該底部26の裏面であって底部26の周縁から少し距離を隔てた位置に、複数部分が破断した略環状の脚部27,27,…が突設してある。一方、収納部2の周面部20には、縦方向の複数の溝部24,24,…が互いに距離を隔てて設けてあり、各溝部24,24,…によって収納部2に所要の構造強度を保持させてある。
前述したフランジ部3は収納部2の底部26と略平行な姿勢になしてある。フランジ部3の外周縁には帯環状の袴部4が垂下してあり、袴部4によってフランジ部3に所要の構造強度を保持させてある。
フランジ部3には、後述する如く当該包装容器が他の包装容器上に重積された際に、他の包装容器のフランジ部3上で当該包装容器を支持して、振動といった外力が印加された際に、当該外力を吸収するための複数(図2に示した場合にあっては5つ)の外力吸収部5,5,5,5,5がそれぞれ、包装容器の周方向の所定位置に凹設してある。後述するように、各外力吸収部5,5,5,5,5は前記他の包装容器のフランジ部3上であって、当該フランジ部3に凹設された外力吸収部5,5,5,5,5と異なる位置に載置し得るようになっており(図4参照)、これによって当該包装容器と前記他の包装容器との間に間隙が形成される。
このとき、当該包装容器の収納部2に複数の被収納物が収納されると、各被収納物の質量によって収納部2の底部26が撓むが、各外力吸収部5,5,5,5,5の深さは、収納部2の底部26が撓んだ状態であっても、当該底部26が前記他の包装容器の収納部2の底部26に当接しない寸法になしてある。
一方、前述した袴部4の幅寸法は各外力吸収部5,5,5,5,5の深さ寸法より大きくしてあり、これによって、当該包装容器が他の包装容器上に重積された際に、当該包装容器の袴部4が他の包装容器のフランジ部3の周囲に遊嵌するようになっている。
前述した各外力吸収部5,5,5,5,5は、図2に示した例では、フランジ部3の容器本体1の両短辺に該当する部分であって、容器本体1の一長辺近傍の位置にそれぞれ1つずつ配設してあり、また、フランジ部3の容器本体1の一長辺に該当する部分の略中央位置に1つ配設してあり、一方、フランジ部3の容器本体1の他長辺に該当する部分であって、容器本体1の両短辺近傍の位置にそれぞれ1つずつ配設してある。
フランジ部3のこのような位置に外力吸収部5,5,5,5,5を配設することによって、容器本体1の中心を回転中心として当該容器本体1を180°回転させた場合、いずれも各外力吸収部5,5,5,5,5の元の位置と異なる位置に存在するようになっている。即ち、各外力吸収部5,5,5,5,5は前記回転中心回りに、(360/n(n=2)=180)°回転非対称の位置に配設してある。
なお、図2の包装容器にあっては外力吸収部5,5,5,5,5を、フランジ部3の容器本体1の両短辺に該当する部分であって、容器本体1の一長辺近傍の位置にそれぞれ1つずつ配設してあり、また、フランジ部3の容器本体1の一長辺に該当する部分の略中央位置に1つ配設してあり、一方、フランジ部3の容器本体1の他長辺に該当する部分であって、容器本体1の両短辺近傍の位置にそれぞれ1つずつ配設した場合について示してあるが、本発明はこれに限らず、他の包装容器のフランジ部3上で当該包装容器を支持し得、180°回転非対称の位置であれば、外力吸収部5,5,…の配設数及び配設位置は適宜に設定することができる。
ここで、図2に示したように、フランジ部3の容器本体1の一短辺に該当する部分の略中央位置には、矢符といった目印部7,7が設けてある。容器本体1は透明な樹脂で構成されていることが多いが、透明な容器本体1にあっては、外力吸収部5,5,5,5,5の位置を見落とす場合がある。しかしながら、特定の位置に目印部7,7が設けてある容器本体1では、複数の容器本体1,1,…を重積させる場合、上下の各容器本体1,1,…にあって、各目印部7,7、7,7,…,…が同じ側にあるのか、異なる側にあるのかによって、外力吸収部5,5,5,5,5、5,5,5,5,5、…,…,…,…,…の位置を容易に把握することができる。
なお、目印部7,7は容器本体1の一体成型の際に凹凸させて設けてもよいし、印刷又はシール等によってフランジ部3の表面に付してもよい。また、目印部7,7の配設位置は、容器本体1の適宜位置であってよいが、図2に示したようにフランジ部3に配設した場合、包装容器の収納部2へ被収納物を収納させる作業員が目印部7,7を目視し易いため好適である。
ところで、外力吸収部5は、図1〜図3に示したように、側面視が円弧状の底部を平坦になした形状をしており、これによって外力吸収部5が所要の構造強度を有するとともに、前述したように他の包装容器のフランジ部3上に載置された際に、外力吸収部5の底部が他の包装容器のフランジ部3に面接触するため当該フランジ部3上に印加される荷重を分散することができ、荷重による他の包装容器のフランジ部3の変形を防止することができる。また、外力吸収部5の幅は、フランジ部3の幅寸法より僅かに狭い寸法になしてあり、これによって外力吸収部5から収納部2へ影響が及ばないようになっている。
なお、本実施の形態では、外力吸収部5を側面視が円弧状の底部を平坦になした形状にしてあるが、本発明はこれに限らず、柱状、円錐状又は多角形錐状等、適宜の形状になすことができる。ただし、外力吸収部5の形状によっては、他の包装容器のフランジ部3に印加される荷重が集中する場合があるが、かかる場合にあっては、当該他の包装容器のフランジ部3の変形を防止すべく、フランジ部3の構造強度を高くするとよい。例えば、フランジ部3の厚さを調整することによって構造強度を高くすることができる。
次に、本発明に係る包装容器の機能について説明する。
図4及び図5は、2個の包装容器を重積するに当たって両包装容器の目印部7,7、7,7が異なる側に位置するようになした場合の一部省略側面図び平面図であり、一方、図6及び図7は、2個の包装容器を重積するに当たって両包装容器の目印部7,7、7,7が同じ側に位置するようになした場合の一部省略側面図及び平面図である。なお、これらの図中、図1〜図3に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
図6及び図7に示したように、2個の包装容器を重積するに当たって両包装容器の目印部7,7、7,7が同じ側に位置するようになした場合、両包装容器のフランジ部3,3に設けた外力吸収部5,5,5,5,5、5,5,5,5,5が包装容器の中心回りに同じ位置に配置されるため、上側の包装容器のフランジ部3に設けた外力吸収部5,5,5,5,5が下側の包装容器のフランジ部3に設けた外力吸収部5,5,5,5,5内へ嵌入し、両包装容器の容器本体1,1が相互に密接している。従って、両容器本体1,1間に間隙が生じていない。
これに対して、図4及び図5に示したように、2個の包装容器を重積するに当たって両包装容器の目印部7,7、7,7が異なる側に位置するようになした場合、即ち、上側の包装容器又は下側の包装容器を、容器本体1の中心を回転中心として180°回転させた場合、上側の包装容器のフランジ部3に設けた外力吸収部5,5,5,5,5と、下側の包装容器のフランジ部3に設けた外力吸収部5,5,5,5,5とは位置が異なるため、上側の包装容器のフランジ部3に設けた外力吸収部5,5,5,5,5は、下側の包装容器のフランジ部3上であって当該フランジ部3に設けられた外力吸収部5,5,5,5,5とは異なる部分に載置されている。
従って、図4に示したように、上側の包装容器の容器本体1と下側の包装容器の容器本体1との間に間隙15が形成されている。前述したように、外力吸収部5,5,5,5,5の深さは、収納部2に被収納物が収納されて当該収納部2の底部26が撓んだ状態であっても、上側の容器本体1の底部26が下側の容器本体1の底部26に当接しない寸法になしてあるため、下側の容器本体1に振動といった外力が印加されても、当該外力が上側の容器本体1に伝導することが可及的に防止される。
一方、包装容器のフランジ部3に垂下された袴部4の幅寸法は、各外力吸収部5,5,5,5,5の深さ寸法より大きくしてあり、これによって図4に示したように、上側の包装容器の袴部4が下側の包装容器のフランジ部3の周囲に遊嵌している。2個の包装容器を重積するに当たって両包装容器の目印部7,7、7,7が異なる側に位置するようになした場合、上側の包装容器のフランジ部3に設けた外力吸収部5,5,5,5,5は下側の包装容器のフランジ部3上に載置された状態になっており、従って図4及び図5中に矢符で示した如く、上側の包装容器は下側の包装容器のフランジ部3によって、当該フランジ部3と並行な面内のいずれの方向へも摺動可能に担持されている。
このように上側の包装容器が下側の包装容器のフランジ部3によって、当該フランジ部3と並行な面内のいずれの方向へも摺動可能に担持されているため、下側の包装容器に前記外力が印加された場合であっても、下側の包装容器は当該外力に追従するものの、上側の包装容器は下側の包装容器のフランジ部3上を摺動して前記外力に追従することなく略元の位置に止まり、前記外力が上側の包装容器へ伝導することが回避される。
一方、上側の包装容器の袴部4が下側の包装容器のフランジ部3の周囲に遊嵌しているため、上側の包装容器が前記面の方向へ摺動し得る範囲は、上側の包装容器の袴部4が下側の包装容器のフランジ部3の周縁に当接するまでの領域に制限される。これによって、上側の包装容器のフランジ部3に凹設した外力吸収部5,5,5,5,5が下側の包装容器のフランジ部3から脱離することが防止される。このとき、上側の包装容器の袴部4が下側の包装容器のフランジ部3の周縁に当接した場合であっても、上側の包装容器の収納部2の周面部20が下側の包装容器の収納部2の周面部20に当接しないようになしてある。これによって、下側の包装容器に印加された外力が上側の包装容器に伝導されることを更に防止することができる。一方、袴部4の容器本体1の両長辺に対応する部分、及び袴部4の容器本体1の両短辺に対応する部分は板バネとしても作用し、これによって、上側の包装容器が前記面方向へ摺動して袴部4が下側の包装容器のフランジ部3の周縁に当接した場合、袴部4の板バネとしての作用によって、上側の包装容器が当該摺動方向とは逆の方向へ素早く摺動する。これによっても前述した外力を吸収することができる。
ここで、フランジ部3の幅寸法は、上側の包装容器の収納部2の周面部20と下側の包装容器の収納部2の周面部20との間の間隙の寸法以上になしてある。これによって、上側の包装容器のフランジ部3に設けた各外力吸収部5,5,…が下側の包装容器のフランジ部3からの脱離防止が担保される。また、このように所定の幅寸法のフランジ部3を有するため、上側の包装容器のフランジ部3に凹設された各外力吸収部5,5,…が、下側の包装容器のフランジ部3上を安定して摺動することができる。
ところで、より大きな外力が下側の包装容器に印加された場合、下側の包装容器のフランジ部3の周縁が上側の包装容器の袴部4を超える場合があるが、かかる場合、下側の包装容器の収納部2の周面部20が上側の包装容器の収納部2の周面部20に当接するため、上側の包装容器のフランジ部3に凹設した外力吸収部5,5,5,5,5が下側の包装容器のフランジ部3から脱離することが防止され、当該外力の印加が停止されると、下側の包装容器と上側の包装容器とは元の状態に復帰する。
なお、外力吸収部5,5,5,5,5を柱状、円錐状又は多角形錐状等になした場合、上側の包装容器の袴部4が下側の包装容器のフランジ部3の周縁に当接した場合であっても、また、下側の包装容器のフランジ部3の周縁が上側の包装容器の袴部4を超える場合であっても、上側の包装容器のフランジ部3に凹設した外力吸収部5,5,5,5,5が下側の包装容器のフランジ部3から脱離しないように、外力吸収部5,5,5,5,5を設けるフランジ部3の幅方向の位置、及び外力吸収部5,5,5,5,5の先端部の直径を調整しておく。
なお、本実施の形態では収納部2の形状を倒立四角錐台形になした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、収納部2の形状はn(nは2以上の整数)回対称な倒立錐台形状になすことができる。この場合、フランジ部3には、他の包装容器上に当該収納容器の収納部2が前記他の包装容器の収納部2内に嵌入するように重積された際に、他の包装容器のフランジ部3上で当該包装容器を支持して、印加された外力を吸収するための複数の外力吸収部5,5,…がそれぞれ、収納部2の底部26の中央を貫通する軸を回転軸として当該包装容器を他の包装容器に対して360°/n回転させた場合、いずれの外力吸収部も前記他の包装容器のフランジ部3の各外力吸収部5,5,…と異なる位置に存在するように設けるとともに、当該包装容器を他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を他の包装容器上に重積させた場合、当該包装容器と他の包装容器との間に間隙15が形成され、当該包装容器の各外力吸収部5,5,…が他の包装容器のフランジ部3上を、当該包装容器の収納部2の周面部20が他の包装容器の収納部2の周面部20に当接するまで摺動し得るように構成する。
また、本実施の形態ではフランジ部3に外力吸収部5,5,…を凹設した場合について示したが、本発明はこれに限らず、フランジ部3に凹設された各外力吸収部5,5,…に替えて、フランジ部3に複数の外力吸収部を突設してもよい。この場合、当該包装容器を他の包装容器に対して360°/n回転させた状態で、当該包装容器を他の包装容器上に重積させた場合、当該包装容器と他の包装容器との間に間隙15が形成され、当該包装容器のフランジ部3が他の包装容器のフランジ部3に突設された各外力吸収部上を、当該包装容器の収納部2の周面部20が他の包装容器の収納部の周面部20に当接するまで摺動し得るように構成する。
これによって、前同様、収納部2の底部26と交わる縦方向の外力が他の包装容器に印加された場合、間隙15の緩衝能によって外力が吸収され、当該包装容器の収納部2内に収納された被収納物への外力の印加を防止することができる。一方、当該包装容器のフランジ部3が他の包装容器の各外力吸収部5,5,…上を摺動するように構成してあるため、横方向の外力が他の包装容器に印加された場合、当該外力によって他の包装容器が振動するが、被収納物が収納部2内に収納された当該包装容器はフランジ部3が他の包装容器の各外力吸収部5,5,…上を摺動することによって、他の包装容器の振動が吸収され、当該包装容器は殆ど振動されず、当該包装容器の収納部2内に収納された被収納物への外力の印加を防止することができる。
一方、当該包装容器のフランジ部3は他の包装容器の各外力吸収部5,5,…上を、当該包装容器の収納部2の周面部20が前記他の包装容器の収納部2の周面部20に当接するまで摺動し得るように構成してあるため、当該包装容器のフランジ部3は他の包装容器の各外力吸収部上5,5,…を一定の範囲内で摺動することができ、安定した摺動動作が担保される。
(実施例1)
次に比較試験を行った結果について説明する。
図8は比較試験を行った結果を示すヒストグラムであり、図中、縦軸は被収納物たるイチゴの表面に形成された疵の総面積率(%)を示している。また、図中、本発明例1及び本発明例2は本発明に係る包装容器を2つ重積させて用いた結果を、比較例1は従来の包装容器を1つ単独で用いた結果を、比較例2は従来の包装容器の下にウレタン製のシートを敷設した結果をそれぞれ示している。
ここで、本発明例1では図1〜図3に示した包装容器を用いており、本発明例2では、図2に示した収納部2の底部26に設けた略環状の複数の脚部27,27,…の内側に複数の他の脚部を設けた包装容器を用いた。一方、従来の包装容器は有限会社九州樹脂工業製のイチゴ用容器を用い、またウレタン製のシートはアキレス社製の220mm×160mm(厚さ3mm)を用いた。
比較試験は次のようにして実施した。
すなわち、各包装容器の収納部内にそれぞれ、同じ施設で同日に収穫した略同じサイズのイチゴ(長崎県産)を同数ずつ収納し、段ボール製の長方形の搬送箱の中に4つの包装容器を平面状に格納する。このとき、比較例2にあっては搬送箱内に予めウレタン製のシートを敷設しておいた。2つの搬送箱を2段重ねになし、これを振動試験機(アイデックス社製)上に載置し、平均温度が8.5℃の環境下、振動数が10Hz〜40Hzの梱包輸送モードであり、掃引時間が10分の掃引振動試験を12時間行った。なお、最大加速度は振動数40Hzで縦方向の振動において0.6Gである。
かかる掃引振動試験を行った後、各イチゴそれぞれについて、その表面面積に対する疵の面積の比率を目視にて決定し、それらの平均値を算出した結果を図8に表示した。
図8から明らかなように、従来の包装容器の下にウレタン製のシートを敷設した比較例2の疵の面積比率は、従来の包装容器を単独で用いた比較例1の疵の面積率より低く、被収納物たるイチゴに伝導される振動が抑制されていた。しかしながら、比較例1及び比較例2における疵の面積率は、前者が25%を超え、後者であっても15%を超えており、いずれの場合も商品価値が著しく低く、商品としての販売に耐えられない。
これに対して、本発明例1及び本発明例2にあっては、イチゴに生じた疵の面積率が6%前後であり、比較例1及び比較例2の結果を大幅に下回っており、商品としての販売に十分満足するものであった。
一方、底部に突設した脚部の数が相対的に多い本発明に係る包装容器を用いた本発明例2の結果より、底部に突設した脚部の数が相対的に少ない本発明に係る包装容器を用いた本発明例1の結果の方が若干低いという結果が得られており、従って、本発明に係る包装容器にあっては、その底部に突設する脚部の数は可及的に少なくすることが好ましいと言える。
一方、図9〜図12は前述した比較試験に用いた各搬送箱の内底面を掃引振動試験後に撮像して得られた画像であり、図9及び図10は本発明例1及び本発明例2で用いた搬送箱を、図11及び図12は比較例1及び比較例2で用いた搬送箱をそれぞれ示している。
図11から明らかなように、従来の包装容器を単独で格納した搬送箱にあっては、当該搬送箱の内底面上でその内部に格納した各包装容器がそれぞれ振動するため、搬送箱の内底面に振動する各包装容器による複数の疵が形成されていた。
これに対して、図12から明らかなように、従来の包装容器の下にウレタン製のシートを施設した搬送箱にあっては、内部に格納した各包装容器は当該シート上で振動するため、搬送箱の内底面に図11に示したような疵は見られなかった。
一方、図9及び図10から明らかなように、本発明に係る包装容器を格納した搬送箱にあっては、内部に格納した各上側の包装容器が対応する各下側の包装容器上で振動して、搬送箱の内底面上で各下側の包装容器は振動しないため、搬送箱の内底面に図11に示したような疵は見られなかった。