JP6633717B1 - 肝線維化の予防及び/または治療のための医薬組成物及びその応用 - Google Patents

肝線維化の予防及び/または治療のための医薬組成物及びその応用 Download PDF

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Abstract

【課題】肝線維化の予防及び/または治療のための医薬組成物及びその応用の提供。【解決手段】本発明の肝線維化の予防及び/または治療のための医薬組成物及びその応用は、牛樟芝抽出物及びその医薬への応用を具体的に開示しており、該牛樟芝抽出物は5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオール(5−methyl−benzo[1,3]dioxole−4,7−diol,MBDD)であり、実験によれば、本発明の牛樟芝抽出物は肝星細胞の活性を抑制し、肝線維化の予防及び/または治療効果を達成できることが証明されており、これに基づき、本発明は牛樟芝抽出物の新規な医薬的応用を開示し、当該分野における肝線維化の予防及び/または治療の代替的選択肢を提供する。【選択図】図5

Description

本発明は肝線維化の予防及び/または治療方法及び医薬組成物に関し、より明確には、牛樟芝抽出物を含有する肝線維化の予防及び/または治療のための医薬組成物及びその応用方法に関する。
肝臓は人体の重要な器官であり、実質細胞と非実質細胞で構成される(Roberts et al.,2007)。実質細胞は肝細胞とも呼ばれ、肝臓全体の細胞の60%、肝臓体積の80%を占める。非実質細胞がその他生物に重要な細胞で構成され、類洞壁内皮細胞(sinusoidal endothelial cell)、クッパー細胞(kupffer cell)、肝星細胞(Hepatic Stellate Cell)、肝ナチュラルキラー細胞が含まれ、そのうち前掲のすべての細胞が各々3〜20%の数量を占める(Malarkey et al.,2005、Santi−Rocca et al.,2009)。
肝星細胞は伊東細胞(Ito Cell)とも呼ばれ、肝臓の類洞血管と肝細胞の間の隙間(ディッセ腔(Space of Disse)、類洞周囲腔(perisimusoidal space)とも呼ばれる)にある。肝臓が正常に機能している状態下で、肝星細胞は静止期にあり、油脂と身体の90%のビタミンAを貯蔵する。肝臓に炎症を起こすと、肝星細胞が成長因子または炎症性サイトカインの影響を受けて活性化状態になり、コラーゲンの増生または産生を開始し、油脂とビタミンAを放出するとともに、サイトカインを製造・放出して周辺細胞に影響を与える。
肝線維化は肝臓が慢性的損傷を受けたとき、過剰な細胞外マトリックス(extracellular matrix;ECM)が蓄積されて引き起こされる。例えば、慢性的なアルコール摂取(chronic alcohol consumption)、B型またはC型肝炎ウイルス感染、非アルコール性脂肪変性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis)及び遺伝子異常等の原因はすべて線維化の発生と係り、肝臓構造に変化を生じさせ、肝細胞血液供給の問題や肝臓機能喪失が引き起こされ、最終的に肝硬変及び肝細胞腫瘍に至らしめる可能性がある(Farazi and DePinho,2006)。
牛樟芝(ベニクスノキタケ、Antrodia cinnamomea)は薬用真菌であり、サルノコシカケ科(Polyporaceae)シカタケ属(Antrodia)に分類される。牛樟芝の子実体形態はさまざまで、板状、鐘状、馬蹄状、塔状などがあり、生まれたときは鮮やかな赤色で、続いて徐々に薄い赤褐色、薄い褐色または薄い黄褐色に変わる。牛樟芝は台湾固有種で、台湾の海抜200〜1500メートルによく見られる常緑広葉樹高木の牛樟(カシ)と呼ばれる木の幹内の中空心材上に生息する。
早期の文献によると、牛樟芝は解毒、腹痛の治療、皮膚の痒み止めに用いることができると記載されている。抽出と分析技術の向上に伴い、医薬分野における牛樟芝に含まれる成分の応用も徐々に発展している。これまでの研究で、牛樟芝が化合物5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオール(5−methyl−benzo[1,3]dioxole−4,7−diol,MBDD)を含有し、かつMBDDはがんの治療において発展の潜在性があることがすでに分かっている。さらに、MBDDは抗酸化活性を備え、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl,DPPH)のフリーラジカルを除去することができ、かつ過酸化物に対して微弱な抑制作用があることも研究で示されている。このほか、リポ多糖が誘発する一酸化窒素の生成メカニズムにおいて、実験結果によればMBDDはマクロファージ細胞株RAW 264.7に対して一酸化窒素の生成を減少する効果が示されているが、この優れた効果はMBDDが比較的強い細胞毒性の活性を備えていることと関連があると推測される。
このほか、一部の研究で牛樟芝抽出物が活性酸素種(reactive oxygen species)の産生を抑制する効果を備え、それにより炎症反応を抑制できることが示されている。しかしながら、現在既知の牛樟芝の医薬応用はどれも線維化の予防・治療の効果について言及していない。炎症反応の生理メカニズムはシクロオキシゲナーゼ、プロスタグランジン、インターフェロン、活性酸素種等の体内経路と係るため、主に参与する細胞は単球とマクロファージである。一方、線維化のメカニズムは結合組織の過度な沈積であり、主に参与する細胞は肝星細胞である。両者を生理メカニズムの角度から見ると、本質的に異なる。このため、既知の牛樟芝が炎症反応を抑制する潜在性を持っていても、牛樟芝が含有する成分が肝臓の肝星細胞に対する効果はまだ不明確であり、肝線維化の予防・治療に対する牛樟芝の効果もまだ明らかではない。
本発明の目的は、肝線維化を治療及び/または予防し、肝硬変及び肝臓癌の発生を回避する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、牛樟芝の医薬運用を開発し、その産業価値を高めることである。
前述の目的を達するため、本発明は次の化学式(I)を有する化合物の肝線維化の予防・治療のための医薬組成物の製造における応用を提供する。
好ましくは、該化学式(I)の化合物が、5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオール(5−methyl−benzo[1,3]dioxole−4,7−diol,MBDD)である。
好ましくは、該化学式(I)の化合物が、牛樟芝の抽出物を分離して得られる。
好ましくは、該化学式(I)の化合物が肝星細胞を抑制する活性を有する。
好ましくは、該医薬組成物が有効量の該化学式(I)の化合物及び医薬的に許容可能な添加剤を含む。
好ましくは、該医薬組成物が、錠剤、カプセル、注射剤、粉類、顆粒剤または飲料である。
好ましくは、該医薬的に許容可能な添加剤が、担体、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、吸収促進剤、甘味剤またはその組み合わせを含む。
さらに、本発明は次の化学式(II)を有する化合物の肝線維化の予防・治療のための医薬組成物の製造における応用を提供する。
好ましくは、該化学式(II)の化合物が、2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオールである。
好ましくは、該化学式(II)の化合物が、牛樟芝の抽出物を分離して得られる。
好ましくは、該化学式(II)の化合物が肝星細胞を抑制する活性を有する。
好ましくは、該医薬組成物が有効量の該化学式(II)の化合物及び医薬的に許容可能な添加剤を含む。
好ましくは、該医薬組成物が、錠剤、カプセル、注射剤、粉類、顆粒剤または飲料である。
好ましくは、該医薬的に許容可能な添加剤が、担体、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、吸収促進剤、甘味剤またはその組み合わせを含む。
本発明はまた、有効量の化学式(I)及び/または(II)を有する化合物、及び医薬的に許容可能な担体を含む肝線維化の予防・治療のための医薬組成物を提供する。
好ましくは、該化学式(I)の化合物が5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオールであり、該化学式(II)の化合物が2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオールである。
好ましくは、該有効量が0.02〜2.0g/60kg 体重/日である。
好ましくは、該医薬組成物が、錠剤、カプセル、注射剤、粉類、顆粒剤または飲料である。
好ましくは、該医薬的に許容可能な添加剤が、担体、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、吸収促進剤、甘味剤またはその組み合わせを含む。
好ましくは、該医薬組成物が、5〜95重量%の該化学式(I)及び/または該化学式(II)の化合物を含み、そのうち、該重量%は該医薬組成物の総重量を基礎とする。
本発明は牛樟芝抽出物の肝線維化の予防・治療のための医薬組成物の製造における応用を提供し、そのうち、該牛樟芝抽出物が、以下の工程を含む製造方法によって得られ、そのうち該製造方法が、牛樟芝を取得する工程(a)と、該牛樟芝を95〜100体積%のエタノール中に浸漬し、第1牛樟芝抽出物を取得する工程(b)と、を含む。
好ましくは、該工程(a)が該牛樟芝を粉砕して粉末にする工程を含む。
好ましくは、該工程(b)が25〜65℃で行われる。
好ましくは、該工程(b)の後さらに、該第1牛樟芝抽出物を乾燥させて粉末形態の該第1牛樟芝抽出物を取得する工程を含む。
好ましくは、該第1牛樟芝抽出物の高速液体クロマトグラフィーのクロマトグラムが1.66分、2.38分、4.11分、4.42分、7.53分、8.21分、16.48分、17.19分、19.89分、25.79分、31.49分、38.81分の保持時間箇所に信号ピークを有する、または図1に示すクロマトグラムを有する。
好ましくは、該工程(b)の後さらに、第2牛樟芝抽出物を取得する工程(c)を含み、該工程(c)が、エタノール水溶液を溶離液として使用し、該第1牛樟芝抽出物をスチレン系樹脂カラムに通過させ、該第2牛樟芝抽出物を取得し、そのうち該エタノール水溶液は体積比1:1の95〜100体積%のエタノールと水である。
好ましくは、該スチレン系樹脂カラムが1〜2mL/gの細孔容積を有する。好ましくは、該スチレン系樹脂カラムの細孔の寸法が200〜300オングストロームである。
好ましくは、該工程(c)の後さらに、該第2牛樟芝抽出物を乾燥させて粉末形態の該第2牛樟芝抽出物を取得する工程を含む。
好ましくは、該第2牛樟芝抽出物が、以下の特性を有する:(i)該第2牛樟芝抽出物の高速液体クロマトグラフィーのクロマトグラムが1.68分、2.38分、4.10分、4.41分、6.46分、9.58分、17.19分、19.90分の保持時間箇所に信号ピークを有する、または図2Aに示すクロマトグラムを有する;(ii)該第2牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムが1.80分、2.26分、7.38分、8.73分、10.24分、14.08分、18.64分、19.50分、25.06分、30.16分、32.55分、34.88分、38.54分、48.46分、57.09分、63.79分、68.37分、69.50分、70.01分の保持時間箇所に信号ピークを有する、または図2Bに示すクロマトグラムを有する;(iii)該第2牛樟芝抽出物の陰イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムが2.35分、4.18分、7.72分、11.27分、12.89分、19.29分、23.13分、24.99分、27.36分、27.99分、33.78分、42.40分、42.53分、42.76分、43.12分、43.61分、43.84分、44.90分、48.21分、59.30分、61.97分、64.98分、71.28分の保持時間箇所に信号ピークを有する、または図2Cに示すクロマトグラムを有する;及び/または(iv)該第2牛樟芝抽出物の紫外線モード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムが1.25分、5.91分、10.22分、19.29分、23.09分、28.98分、29.21分、29.42分、32.50分、38.18分、42.93分、44.52分、48.37分、54.01分、59.40分、66.76分の保持時間箇所に信号ピークを有する、または図2Dに示すクロマトグラムを有する。
好ましくは、該工程(c)の後さらに、第3牛樟芝抽出物を取得する工程(d)を含み、該工程(d)が、メタノール水溶液を溶離液として使用し、該第2牛樟芝抽出物をヒドロキシプロピル化デキストランゲル樹脂カラムに通過させ、該第3牛樟芝抽出物を取得し、そのうち該メタノール水溶液は体積比1:1の95〜100体積%のメタノールと水である。
好ましくは、該工程(d)の後さらに、乾燥工程を含み、粉末形態の該第3牛樟芝抽出物を取得する。
好ましくは、該工程(d)の後さらに、第4牛樟芝抽出物を取得する工程(e)を含み、該工程(e)が、メタノール水溶液を溶離液として使用し、該第3牛樟芝抽出物を逆相C18シリカカラムに通過させ、該第4牛樟芝抽出物を取得し、そのうち該メタノール水溶液は体積比1:1の95〜100体積%のメタノールと水である。
好ましくは、該工程(e)の後さらに、乾燥工程を含み、粉末形態の該第4牛樟芝抽出物を取得する。
好ましくは、該工程(e)の後さらに、第5牛樟芝抽出物と、第6牛樟芝抽出物を取得する工程(f)を含み、該工程(f)が、該第4牛樟芝抽出物に薄層クロマトグラフィーを行い、メタノール水溶液を展開溶媒として使用して、該第5牛樟芝抽出物と該第6牛樟芝抽出物を取得し、そのうち該メタノール水溶液は体積比1:1の95〜100体積%のメタノールと水である。
好ましくは、該第5牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムが1.16分、1.96分、2.62分、5.49分、6.31分、8.25分、9.66分、13.07分、13.71分、15.93分、18.30分、21.30分、23.02分、23.73分、25.49分、25.98分、30.17分、31.02分、33.24分、35.29分、35.83分、38.37分、39.93分の保持時間箇所に信号ピークを有する、または図3Aに示すクロマトグラムを有する。
好ましくは、該第6牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムが1.67、2.95、5.11、5.60、7.25、9.44、10.45、12.72、12.90、15.50、17.52、18.10、18.54、19.81、22.14、23.62、21.96、25.38、26.52、28.36、30.23、31.01、31.26、35.18、37.48、38.98、39.80分の保持時間箇所に信号ピークを有する、または図4Aに示すクロマトグラムを有する。
好ましくは、該牛樟芝抽出物が、次の化学式(I)を有する5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオール及び/または次の化学式(II)を有する2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオールを含むことができる。
好ましくは、肝線維化の予防・治療のための該第1牛樟芝抽出物の有効量が、0.02〜2.0g/60 kg 体重/日である。
好ましくは、肝線維化の予防・治療のための該第2牛樟芝抽出物の有効量が、0.02〜2.0g/60 kg 体重/日である。
好ましくは、肝線維化の予防・治療のための該第5牛樟芝抽出物の有効量が、0.02〜2.0g/60 kg 体重/日である;及び/または肝線維化の予防及び/または治療のための該第6牛樟芝抽出物の有効量が、0.02〜2.0g/60 kg 体重/日である。
本発明はまた、肝線維化の予防・治療のための医薬組成物を提供し、該医薬組成物が、牛樟芝抽出物と医薬的に許容可能な担体を含み、そのうち該牛樟芝抽出物が、該第1牛樟芝抽出物、該第2牛樟芝抽出物、該第3牛樟芝抽出物、該第4牛樟芝抽出物、該第5牛樟芝抽出物、該第6牛樟芝抽出物で構成される群より選択される。
好ましくは、該牛樟芝抽出物が、次の化学式(I)を有する5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオール及び/または次の化学式(II)を有する2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオールを含むことができる。
好ましくは、該医薬的に許容可能な添加剤が、担体、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、吸収促進剤、甘味剤またはその組み合わせを含む。
好ましくは、該医薬組成物が5〜95重量%の該牛樟芝抽出物を含み、そのうち該重量%は該医薬組成物の総重量を基礎とする。
好ましくは、該医薬組成物が、錠剤、カプセル、注射剤、粉類、顆粒剤または飲料である。
上述をまとめると、本発明は、肝線維化の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造における牛樟芝から抽出された化合物の応用及び該化合物を含む医薬組成物を提供する。本発明は牛樟芝から抽出した化合物を肝線維化の予防及び/または治療に使用する新規的な医薬的応用であり、牛樟芝の医薬分野における産業的価値を向上することができる。
第1牛樟芝抽出物の高速液体クロマトグラフィーのクロマトグラムである。 第2牛樟芝抽出物の高速液体クロマトグラフィーのクロマトグラムである。 第2牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムである。 第2牛樟芝抽出物の陰イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムである。 第2牛樟芝抽出物の紫外線モード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムである。 第5牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムである。 5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオールの陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムである。 第5牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のマススペクトルである。 第5牛樟芝抽出物のH NMRスペクトルである。 第6牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムである。 2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオールの陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムである。 第6牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のマススペクトルである。 第6牛樟芝抽出物のH NMRスペクトルである。 実験4のピクロシリウスレッド染色定量法の結果を示すグラフである。
本文中に記載された「予防・治療」とは、予防及び治療を指す。本文中に記載された「予防」とは、個体に疾病、不快感、または有害症状を発生させないことを指す。本文中に記載された「治療」とは、個体中から疾病、不快感、または有害症状の経過を消去、終止、または減少することを指す。
本文中に記載された「化合物が肝星細胞を抑制する活性を有する」とは、該化合物が肝星細胞の成長にマイナスの影響を与えることを指す。該マイナスの影響とは、例えば、肝星細胞の増殖の抑制、肝星細胞の繊維性タンパク質産生の抑制、または肝星細胞の毒殺などが挙げられるが、これらに限らない。
本発明の一側面は、牛樟芝抽出物の医薬的応用に関し、牛樟芝抽出物を肝線維化の予防・治療のための医薬組成物の製造に応用する。該牛樟芝抽出物は以下の工程により取得される。牛樟芝を取得し、該牛樟芝をアルコール類水溶液中に浸漬し、第1牛樟芝抽出物を取得する。
本発明の好ましい一実施態様において、牛樟芝の子実体を使用することにより、牛樟芝抽出物の調製を行う。好ましい一実施態様において、該牛樟芝を乾式粉砕または湿式粉砕で粉砕する。好ましい一実施態様において、該アルコール類水溶液はエタノール水溶液である。
本発明の実行可能な一実施態様において、該アルコール類水溶液の濃度は50〜100体積%とすることができ、95〜100体積%が好ましい。実行可能な一実施態様において、特定温度下で該牛樟芝を該アルコール類水溶液に浸漬し、好ましくは、該特定温度が25〜65℃とすることができる。好ましい一実施態様において、牛樟芝の浸漬時、撹拌を行う。実行可能な一実施態様において、該浸漬時間は2〜6日であり、3〜5日が好ましい。
本発明の好ましい一実施態様において、該第1牛樟芝抽出物を樹脂に通過させる。続いて、アルコール類水溶液で該樹脂を溶離し、第2牛樟芝抽出物を取得する。好ましい一実施態様において、該樹脂はスチレン系樹脂とすることができる。好ましい一実施態様において、該スチレン系樹脂の細孔容積の範囲は1〜2mL/gとすることができる。好ましい一実施態様において、該スチレン系樹脂の細孔寸法は200〜300オングストロームである。好ましい一実施態様において、商業的に取得可能なスチレン系樹脂を選択して用いることができ、例えば、DIAION HP20(三菱化学株式会社製)、Amberlite XAD−4(Rohm&Haas公司)、D101(天津南開和成科技有限公司)などがあるが、これらに限らない。該DIAION HP20(三菱化学株式会社製)は1.3mL/gの細孔容積及び260オングストロームの細孔寸法を有する。
好ましい一実施態様において、溶離に用いる該アルコール類水溶液のアルコール類はエタノールである。本発明の実行可能な一実施態様において、該アルコール類水溶液の濃度は50〜100体積%とすることができ、95〜100体積%が好ましい。好ましい一実施態様において、溶離に用いる該アルコール類水溶液のうち、水とアルコール類の割合は2:1〜1:2とすることができ、1:1が好ましい。
本発明の好ましい一実施態様において、第2牛樟芝抽出物をさらに樹脂に通過させる。続いて、アルコール類水溶液で樹脂を溶離し、第3牛樟芝抽出物を取得する。
好ましい一実施態様において、該樹脂はヒドロキシプロピル化デキストランゲル樹脂である。好ましい一実施態様において、商業的に取得可能なヒドロキシプロピル化デキストランゲル樹脂を選択して用いることができ、例えば、SEPHADEX LH−20(Ge Healthcare Life Sciences製)があるが、これに限らない。
好ましい一実施態様において、該アルコール類水溶液は水とアルコール類を含み、そのうち、該アルコール類はメタノールとすることができる。
好ましい一実施態様において、該第3牛樟芝抽出物をさらに逆相C18シリカカラムに通過させる。続いて、アルコール類水溶液で該カラムを溶離し、第4牛樟芝抽出物を取得する。好ましい一実施態様において、該アルコール類水溶液は、前述の段落中で該第3牛樟芝抽出物の取得に用いたものであり、ここでは説明を省略する。
好ましい一実施態様において、商業的に取得可能な逆相C18シリカカラムを選択して用いることができ、例えば、Agilent、XDB−C18、5μm、4.6×150mmがあるが、これに限らない。
本発明の好ましい一実施態様において、アルコール類水溶液を展開溶媒とし、該第4牛樟芝抽出物に薄層クロマトグラフィーを実施し、第5牛樟芝抽出物及び第6牛樟芝抽出物を取得する。好ましい一実施態様において、該アルコール類水溶液は該第3牛樟芝抽出物、該第4牛樟芝抽出物を取得する工程で使用した溶離液を参考とすることができ、ここでは説明を省略する。好ましい一実施態様において、商業的に取得可能な薄層プレートを選択して用いることができ、例えば、薄層シリカゲルプレート(ドイツMerck)があるが、これに限らない。
本発明の好ましい一実施態様において、上述の工程に基づき取得した牛樟芝抽出物を乾燥させる。発明の属する技術分野において通常の知識を有する者は、例えばオーブン乾燥など、該分野で周知の方法を採用して該乾燥プロセスを行うことができる。
本発明の別の一側面は、本発明の牛樟芝抽出物及び添加剤を含む医薬組成物に関する。本文中に記載された「有効量」とは、前述の予防及び/または治療の効果を生じさせるに足る使用量を指す。生体外細胞培養実験によれば、前述の有効量は「μg/ml」で定義され、各培養で用いられる細胞培養液の総体積に基づく。動物モデル実験によれば、前述の有効量は「g/60 kg 体重/日」と定義される。このほか、生体外細胞培養実験で得られた有効量データは以下の計算公式により合理的に動物に与える有効量に換算できる。
一般に(Reagan−Shaw et al.,2008)、1「μg/ml」単位(生体外細胞培養実験に基づき得られた有効量)は1「mg/kg 体重/日」単位(マウスモデル実験に基づき得られた有効量)に等しく、かつ、既知のマウスの新陳代謝率がヒトの6倍であることに基づき、ヒトの有効用量を求めることができる。
このため、生体外細胞培養実験に基づき得た有効量は500μg/mlであり、マウスに与える有効量は500mg/kg 体重/日(即ち、0.5g/kg 体重/日)と計算できる。さらに、前述の新陳代謝率の差異を参酌し、ヒトに与える有効量は5g/60kg 体重/日と計算できる。
以下の段落に記載する実施例によれば、生体外細胞培養実験に基づき得た有効量が2.0〜200μg/mlであるため、ヒトに与える合理的な有効用量は0.02〜2.0g/60kg 体重/日となるはずである。
好ましい一実施態様において、該医薬組成物の添加剤は、担体、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、吸収促進剤、甘味剤またはその組み合わせから選択できる。該担体は水、エタノール、ポリオール、カルボキシメチルセルロース、植物油、有機エステルまたはその組み合わせとすることができる。該賦形剤は、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはその組み合わせから選択することができる。該防腐剤は医薬組成物の貯蔵期限を延長することができ、例えばベンジルアルコール、ヒドロキシ安息香酸(parabens)である。希釈剤は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンまたはその組み合わせから選択することができる。充填剤は、乳糖、牛乳糖、高分子量ポリエチレングリコールまたはその組み合わせから選択することができる。結合剤は、ショ糖、ゼラチン、アラビアガムまたはその組み合わせから選択することができる。該崩壊剤は、馬鈴薯デンプン、キャッサバデンプン、ケイ酸塩またはその組み合わせから選択することができる。該吸収促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ラウロカプラム、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールまたはその組み合わせから選択することができる。甘味剤は、アセスルファムカリウム(Acesulfame K)、アスパルテーム(aspartame)、サッカリン(saccharin)、トリクロロガラクトスロース/スクラロース(sucralose)、ネオテーム(neotame)またはその組み合わせから選択することができる。上述で列挙した添加剤のほか、牛樟芝抽出物の医薬效果に影響しない前提下で、必要に応じて適したその他の添加剤を選択的に用いることができる。
以下の実施態樣は本発明の利点をさらに説明するためのものであり、本発明の権利範囲を限定する意図はない。
実験1:本発明の第1牛樟芝抽出物及び第2牛樟芝抽出物の調製。
(1)抽出物の調製。
乾式粉砕または湿式粉砕を経た牛樟芝(科捷生物科技股▲ふん▼有限公司)を秤取し、該牛樟芝の10倍の量の95体積%エタノールを加え、30℃の温度下で3〜5日撹拌し、第1牛樟芝抽出物を取得する。続いて、吸引ろ過で該第1牛樟芝抽出物を濃縮し、抽出物中に残留するエタノールをできるだけ除去する。濃縮した該第1牛樟抽出物を防湿ケース内に入れて乾燥させ、粉末形態の該第1牛樟芝抽出物を取得する。計量結果に基づき計算した収率は18.53%である。
第1牛樟芝抽出物に対し、スチレン系樹脂でクロマトグラフィーを行い、第2牛樟芝抽出物を取得する。まず、第1牛樟芝抽出物の20倍の重量のスチレン系樹脂顆粒(DIAION HP20、三菱化学株式会社製)を秤取し、該樹脂顆粒を95体積%のエタノールで一晩浸漬する。続いて、エタノール浸漬した該樹脂顆粒をオープンカラム(open column)内に入れ、エタノール水溶液(95体積%エタノール:水=1:1)でカラムを洗浄する。10倍の量の該エタノール水溶液で粉末形態の該第1牛樟芝抽出物を再溶解させる。再溶解した該第1牛樟芝抽出物を該カラム内に入れ、スチレン系樹脂顆粒の5倍の体積量の該エタノール水溶液を溶剤として溶離を行う。カラム溶離で得た溶出液(elution)を収集し、これが即ち本実施例の第2牛樟芝抽出物である。該第2牛樟芝抽出物を濃縮した後、防湿ケース内に入れて乾燥させ、粉末形態の該第2牛樟芝抽出物を取得する。計量結果に基づき計算した収率は70.36%である。
(2)HPLC分析。
続いて、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)で該第1牛樟芝抽出物及び該第2牛樟芝抽出物を分析する。メタノール、純水またはイソプロピルアルコールとアセトニトリルの混合溶液(混合割合は約1:1)で被測定物を再溶解する。被測定物の溶液を濃度5mg/mLに調整した後、回転速度13500rpmで遠心分離を10分間行う。該被測定物溶液の上清液を取り、試料とする。本実施例で用いるHPLCの具体的な条件は次のとおりである:
ポンプ:Spectra SYSTEM P1000;
オートサンプラー:Spectra SYSTEM AS1000;
検出器:FINNIGAN SURVEYOR PDA Plus;
カラム(固定相):Agilent、XDB−C18、4.6mm×150mm、5μm;
検出器:PDA(紫外線(UV)254nm);
注入体積:5μl;
流速:0.8mL/min;
溶剤(移動相)勾配;
第1牛樟芝抽出物のHPLCクロマトグラムは図1に示すとおりであり、1.66分、2.38分、4.11分、4.42分、7.53分、8.21分、16.48分、17.19分、19.89分、25.79分、31.49分、38.81分の保持時間箇所に信号ピークを有する。
該第2牛樟芝抽出物のHPLCクロマトグラムは図2Aに示すとおりであり、1.68分、2.38分、4.10分、4.41分、6.46分、9.58分、17.19分、19.90分の保持時間箇所に信号ピークを有する。
(3)LC/MS分析。
さらに、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC/MS)で、取得した該第1牛樟芝抽出物及び該第2牛樟芝抽出物を分析する。メタノールまたは純水で被測定物を再溶解する。被測定物の溶液を濃度10mg/mLに調整した後、回転速度13500rpmで遠心分離を10分間行う。被測定物溶液の上清液を取り、試料とする。本実施例で用いるLC/MSの具体的な条件は次のとおりである:
質量分析装置:Autosampler(Thermo AS3500);
検出器:UV6000LP及びLCQ Fleet mass;
ポンプ:Thermo P1000;
カラム:Thermo Hyper Carb、4mm×100mm、5μm;
検出器:ESI mass(陽イオンモードまたは陰イオンモード)/UV254nm;
注入体積:10μl;
流速:1.0mL/min;
勾配;
該第2牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムは図2Bに示すとおりであり、1.80分、2.26分、7.38分、8.73分、10.24分、14.08分、18.64分、19.50分、25.06分、30.16分、32.55分、34.88分、38.54分、48.46分、57.09分、63.79分、68.37分、69.50分、70.01分の保持時間箇所に信号ピークを有する。
該第2牛樟芝抽出物の陰イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムは図2Cに示すとおりであり、2.35分、4.08分、7.72分、11.27分、12.89分、19.29分、23.13分、24.99分、27.36分、27.99分、33.78分、42.40分、42.53分、42.76分、43.12分、43.61分、43.84分、44.90分、48.21分、59.30分、61.97分、64.98分、71.28分の保持時間箇所に信号ピークを有する。
該第2牛樟芝抽出物の紫外線モード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムは図2Dに示すとおりであり、1.25分、5.91分、10.22分、19.29分、23.09分、28.98分、29.21分、29.42分、32.50分、38.18分、42.93分、44.52分、48.37分、54.01分、59.40分、66.76分の保持時間箇所に信号ピークを有する。
実験2:本発明の第3牛樟芝抽出物の調製。
(1)抽出物の調製。
ヒドロキシプロピル化デキストランゲルを通じ、該第2牛樟芝抽出物中から第3牛樟芝抽出物を取得する。まず、ヒドロキシプロピル化デキストランゲル顆粒(SEPHADEX LH−20、Ge Healthcare Life Sciences製)をオープンカラム内に入れ、メタノール水溶液でカラムを洗浄する。続いて、別のメタノール水溶液で粉末形態の第2牛樟芝抽出物を再溶解する。再溶解した該第2牛樟芝抽出物を該オープンカラム内に入れ、該メタノール水溶液を溶剤として溶離を行う。カラム溶離で得た溶出液を収集し、これが即ち本実施例の第3牛樟芝抽出物である。第3牛樟芝抽出物を防湿ケース内に入れて乾燥させ、粉末形態の該第3牛樟芝抽出物を取得する。
実験3:本発明の第4牛樟芝抽出物の調製。
(1)抽出物の調製。
逆相C18シリカカラム(C18 reversed phase silica gel;Agilent,XDB−C18)で該第3牛樟芝抽出物中から第4牛樟芝抽出物を取得する。まず、メタノール水溶液を溶剤として該カラムを洗浄し、カラム中に該メタノール水溶液を充満させる。続いて、粉末形態の該第3牛樟芝抽出物を少量のメタノールで再溶解して、該カラム内に導入し、該メタノール水溶液で溶離を行う。
カラム溶離で得た溶出液を収集し、これが即ち本実施例の第4牛樟芝抽出物である。取得した該第4牛樟芝抽出物を防湿ケース内に入れて乾燥させ、重さを測る。
実験4:本発明の第5及び第6牛樟芝抽出物の調製。
(1)抽出物の調製。
薄層クロマトグラフィー法(Thin Layer Chromatography)で該第4牛樟芝抽出物中から本発明の第5、第6牛樟芝抽出物を分離する。粉末形態の該第4牛樟芝抽出物を微量の100体積%メタノールで再溶解する。20×20cmの薄層プレート上(TLC aluminium sheets,silica gel 60 F254,MercK)で、メタノール水溶液(100体積%メタノール:=1:1)で再溶解した該第4牛樟芝抽出物を展開させる。短波254ナノメートル紫外線ライトを展開後の薄層プレートに照射すると、2つの色帯を観察することができる。薄層プレート上の2つの色帯を切り取り、メタノール中に10分間浸漬して、色帯上の成分をメタノール中に溶出させる。さらに、吸引ろ過で該メタノールをろ過する。続いて、上述の色帯をメタノールに浸漬する工程を3回繰り返し、2つの区分物を取得し、これらが即ち本実施例の第5及び第6牛樟芝抽出物である。
(2)LC/MS分析。
液体クロマトグラフィータンデム質量分析法で、取得した該第5及び第6牛樟芝抽出物を分析する。実験条件は前述の実験1に記載されているため、ここでは説明を省略する。
該第5牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムは図3Aに示すとおりであり、1.16分、1.96分、2.62分、5.49分、6.31分、8.25分、9.66分、13.07分、13.71分、15.93分、18.30分、21.30分、23.02分、23.73分、25.49分、25.98分、30.17分、31.02分、33.24分、35.29分、35.83分、38.37分、39.93分の保持時間箇所に信号ピークを有する。図3Aに示すクロマトグラムは標準品(5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオール)のクロマトグラム(図3B)と高度に一致する。図3Aの保持時間9.66分の成分のマススペクトルは図3Cに示すとおりであり、該成分は5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオールであると予期される。
該第6牛樟芝抽出物の陽イオンモード液体クロマトグラフィータンデム質量分析のクロマトグラムは図4Aに示すとおりであり、1.67分、2.95分、5.11分、5.68分、7.25分、9.44分、10.45分、12.72分、12.98分、15.50分、17.52分、18.10分、18.54分、19.81分、22.14分、23.62分、24.86分、25.38分、26.52分、28.36分、30.23分、31.01分、31.26分、35.18分、37.48分、38.98分、39.86分の保持時間箇所に信号ピークを有する。該図4Aに示すクロマトグラムは標準品(2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオール)のクロマトグラム(図4B)と高度に一致する。図4Aの保持時間12.98分の成分のマススペクトルは図4Cに示すとおりであり、該成分は2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオールであると予期される。
(3)NMR分析。
さらに質量分析装置で第5牛樟芝抽出物の保持時間9.66分の成分と、第6牛樟芝抽出物の保持時間12.98分の成分をそれぞれ分析する。第5牛樟芝抽出物には、Bruker DMX−500 SB Spectrometerを採用し、500MHzの電磁波を加え、重水素化メタノール(CDOD)を溶剤としてNMR測定を行う。
第5牛樟芝抽出物の保持時間9.66分の成分のNMRスペクトルは図3Dに示すとおりであり、下の化学シフト値で5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオールと判定される。
第6牛樟芝抽出物には、Varian UNITY INOVA 500 spectrometerを採用し、500MHzの電磁波を加え、重水素化クロロホルム(CDCl)を溶剤として行NMR測定を行う。第6牛樟芝抽出物の保持時間12.98分の成分のNMRスペクトルは図4Dに示すとおりであり、下の化学シフト値で2,4−ジメトキシ−6−メチルベンゼン−1,3−ジオールと判定される。
実験5:牛樟芝抽出物の抗線維化に対する活性の実験
[MTT細胞毒殺アッセイ]
まず、ラット肝星細胞(HSC−T6)を細胞培養フラスコ(75T)中で培養し、該培養フラスコを二酸化炭素濃度5%、温度37℃のインキュベータに2〜3日放置する。続いて、0.5%トリプシン(trypsin)で細胞を収集し、収集液を遠心分離する。細胞を96ウェルプレートに播種し(1.5−2.0×10細胞個数/ウェル)、その後該細胞を二酸化炭素濃度5%、温度37℃のインキュベータで培養する。翌日、異なる濃度の牛樟芝抽出物試料を加えて24または48時間後、再びMTT(3−(4,5−Dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide)還元法で細胞活性を測定する。96ウェルプレートに各ウェルに12μlのMTT試薬(5mg/ml)を添加した後、37℃のインキュベータ内に入れ、2.5〜3.0時間作用させる。MTT試薬を除去し、100μlの溶解緩衝液(lysis buffer)を加える。該溶解緩衝液の成分組成は50%のN,N−ジメチルホルムアミド(N,N−DMF)と20%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。再び96ウェルプレートを37℃のインキュベータ内に入れ、細胞中の紫色結晶を溶出させる。最後に、マイクロプレートリーダーで570nmの吸光値を測定する。処理を経ていない対照群と比較し、牛樟芝抽出物試料を加えた実験群の細胞毒殺割合を計算して得る。下表1に本発明の牛樟芝抽出物のラット肝星細胞に対するIC50濃度を示す。
[シリウスレッド染色定量法]
ピクロシリウスレッド染色定量法(Picro−Sirius red(PSR)staining and spectrophotometric analysis)で本発明の第1牛樟芝抽出物及び第2牛樟芝抽出物のラット肝星細胞の細胞内線維状蛋白含有量に対する影響を測定する。異なる濃度(25、50、100μg/ml)の牛樟芝抽出物でラット肝星細胞を24時間処理する。続いて、メタノールで細胞を固定し、−20℃の冷蔵庫に入れ、一晩置く。リン酸塩緩衝溶液で細胞を2回洗浄した後、適量の0.1%PSR染色剤を加えて室温下で3時間放置する。0.1%ギ酸で余剰染色剤を3回洗い流した後、各ウェルに100μlの0.1N水酸化ナトリウムを加えて線維状蛋白と結合した染色剤を溶出する。最後に、マイクロプレートリーダー(Dynex Technologies MRX spectrophotometer)で540nmの吸光値を測定する。処理を経ていない対照群と比較し、実験群の細胞中の線維状蛋白の含有量割合を算出する。
図5に本発明の抽出物を用いていない対照群を基準として、各実験群の相対線維状蛋白含有量(相対COL含有量)を示す。結果によれば、本発明の第1牛樟芝抽出物または第2牛樟芝抽出物で処理した肝星細胞はいずれも線維状蛋白の含有量が比較的低いことが示されている。特に、100μg/mlの実験群で、肝星細胞中の線維状蛋白含有量は対照群細胞の約30%しかない。
実験6:牛樟芝抽出物を含む医薬組成物の製造
表2に示す割合で本発明の牛樟芝抽出物と添加剤を使用し、それらを無菌水中で充分に混合して、液体剤形の本発明の医薬組成物を得る。調合した医薬組成物を4℃下で保管する。

Claims (7)

  1. 次の化学式(I)を有する化合物を含有することを特徴とする肝線維化の予防及び/または治療用医薬組成物。
  2. 前記化学式(I)の化合物が、5−メチル−ベンゾール[1,3]ジオキソール−4,7−ジオール(5−methyl−benzo[1,3]dioxole−4,7−diol,MBDD)であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記化学式(I)の化合物が、牛樟芝の抽出物を分離して得られることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記化学式(I)の化合物が、肝星細胞を抑制する活性を有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記医薬組成物が、有効量の該化学式(I)の化合物及び医薬的に許容可能な添加剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 前記医薬組成物が、錠剤、カプセル、注射剤、粉類、顆粒剤または飲料であることを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記医薬的に許容可能な添加剤が、担体、賦形剤、防腐剤、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、吸収促進剤、甘味剤またはその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物。
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