JP6632742B2 - 金属偽装樹脂成形部材の製造方法、金属偽装樹脂成形部材及び金属偽装樹脂成形部材の使用方法 - Google Patents

Description

本発明は、金属製部材の代替え品として用いることが可能な金属偽装樹脂成形部材の製造方法、金属偽装樹脂成形部材及び金属偽装樹脂成形部材の使用方法に関する。

従来より、理容用器具である理容用鋏や医療用器具であるメス等の部材は、所定の強度や耐消毒性・耐薬品性や、必要に応じては所定の重さ（比重）の観点から、専ら金属製部材である。例えば、特許文献１のハサミやメスに金属材料が用いられている。

国際公開第９９／２４６２８号公報

しかしながら、従来の金属製の成形部材部材は、理容用器具である理容用鋏や医療用器具であるメスのように、形状が複雑で且つ表面が滑らかに湾曲している必要のあるものは、製造が煩雑で、同じものを大量に作るという量産性にも劣り、製造コストを抑えることが難しいという問題がある。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、金属に近い質感や質量を有し、量産性に優れ、製造コストを抑えることが可能な金属偽装樹脂成形部材の製造方法、金属偽装樹脂成形部材及び金属偽装樹脂成形部材の使用方法を提供することにある。

請求項１記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、タングステンと樹脂とからなる高比重樹脂材を成形し、成形した高比重樹脂材の表面にめっきを施すことにより製造された金属偽装樹脂成形部材を、理容用のハサミの柄の部分に用いることを特徴とする。

請求項２記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、高比重樹脂材を、射出成形で成形することを特徴とする。

請求項３記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、成形した高比重樹脂材の表面を研磨した後、めっきを施すことを特徴とする。

請求項４記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、タングステンが重量比７０％〜９５％で、樹脂が重量比で３０％〜５％で、高比重樹脂材の比重が、６〜１３であることを特徴とする。

請求項５記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、樹脂が、ナイロン樹脂又はポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする。

請求項６記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、高比重樹脂材に、酸化亜鉛、シリカ、タルク、珪素のいずれか１種類又は複数種類を混合することを特徴とする。

請求項７記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、高比重樹脂材に、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セルロースナノファイバのいずれか１種類又は複数種類を混合することを特徴とする。

請求項８記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法は、めっきが、クロムめっきであることを特徴とする。

本願の発明によれば、タングステンと樹脂とからなる高比重樹脂材を成形し、成形した高比重樹脂材料の表面にめっきを施すことから、金属に近い質感や質量を有し、量産性に優れ、製造コストを抑えることが可能である。

以下、本発明の形態について具体的に説明する。本願における金属偽装樹脂成形部材は、金属製部材の代替え品として用いることが可能な樹脂成部材で、従来、金属製である部材を樹脂製に置き換えたものである。本願における金属偽装樹脂成形部材は、基本的には、その部材の基本構造の骨格のすべてを高比重樹脂材で成形し、見た目上、全体的に金属で形成されたものと見えるような金属製に偽装した樹脂成形部材である。

本願の金属偽装樹脂成形部材の製造方法の基本的手順としては、タングステンと樹脂とからなる高比重樹脂材を所定の形状に成形し、成形した高比重樹脂材料の表面にめっきを施すものである。高比重樹脂材を成形する形状すなわち金属偽装樹脂成形部材の形状は、あくまでも任意であり、また、最終的な金属偽装樹脂成形部材の用途によって限定されるものではない。尚、本願の金属偽装樹脂成形部材の用途の具体例については、後述する。

そして、高比重樹脂材を成形する方法についても、特に限定されるものではないが、特に、高比重樹脂材を射出成形で成形することが好ましい。射出成形を用いることで、製造コストを抑えることが容易となる。

尚、成形した高比重樹脂材料の表面の成形時に生じる凹凸をなくし、表面をより平滑にするために、成形した高比重樹脂材の表面を研磨した後、めっきを施すことが有効である。研磨方法によって特に限定されるものではないが、例えば、バフ研磨等がある。

高比重樹脂材にタングステンが占める割合は、金属偽装樹脂成形部材すなわち高比重樹脂材の比重をどの程度にするかによって定まってくるものであるが、重量の点においても金属製であることを偽装することを考えると、タングステンが重量比７０％〜９５％で、樹脂が重量比で３０％〜５％で、高比重樹脂材の比重が６〜１３であることが好ましい。また、樹脂の材質については、タングステンと共に用いることができるものであれば、特に制限されるものではないが、成形のしやすさ等を考慮すると、ナイロン樹脂又はポリフェニレンサルファイドであることが好ましい。

材質については、さらに、高比重樹脂材に、酸化亜鉛、シリカ、タルク、珪素のいずれか１種類又は複数種類を混合することで、強度や耐候性等を向上させることができる。さらに、酸化亜鉛、シリカ、タルク、珪素とは別に又は共に、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セルロースナノファイバのいずれか１種類又は複数種類を混合することで、強度や耐候性等を向上させることができる。

また、めっきについては、めっき方法等のめっきの種類によって限定されるものではないが、例えば、クロムめっきがある。

このような製造方法で形成された金属偽装樹脂成形部材の使用用途（使用方法）としては、特に限定されないものの、理容用のハサミの柄の部分に用いる等の理容用器具としての使用や、医療用メスや医療用鉗子等の医療用器具として用いることが可能である。例えば、理容用のハサミの場合、刃の部分は金属製にしておき、柄の部分のみに金属偽装樹脂成形部材として、柄の部分の全体を金属偽装樹脂成形部材で形成させるような使用方法も可能である。さらに、このような製造方法で形成された金属偽装樹脂成形部材の使用用途（使用方法）としては、特に限定されないものの、顔のマッサージ等を行う美顔ローラ等の美容器具の部品としてとしても用いることが可能である。

このような本願の金属偽装樹脂成形部材の製造方法、金属偽装樹脂成形部材及び金属偽装樹脂成形部材の使用方法によれば、金属に近い質感や質量を有し、量産性に優れ、製造コストを抑えることが可能である。

本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。

本出願は、２０１６年１１月４日に出願された日本国特許出願特願２０１６−２１５８１７号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願２０１６−２１５８１７号の明細書、特許請求の範囲全体を参照として取り込むものとする。

以上のように、本発明によれば、金属に近い質感や質量を有し、量産性に優れ、製造コストを抑えることが可能な金属偽装樹脂成形部材の製造方法、金属偽装樹脂成形部材及び金属偽装樹脂成形部材の使用方法提供することができる。

Claims (8)

1. 金属製部材の代替え品として用いることが可能な金属偽装樹脂成形部材の使用方法において、
   タングステンと樹脂とからなる高比重樹脂材を成形し、
   成形した該高比重樹脂材の表面にめっきを施すことにより製造された該金属偽装樹脂成形部材を、理容用のハサミの柄の部分に用いることを特徴とする金属偽装樹脂成形部材の使用方法。
2. 前記高比重樹脂材を、射出成形で成形することを特徴とする請求項１記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法。
3. 前記成形した高比重樹脂材の表面を研磨した後、前記めっきを施すことを特徴とする請求項１又は請求項２記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法。
4. 前記タングステンが重量比７０％〜９５％で、前記樹脂が重量比で３０％〜５％で、
   前記高比重樹脂材の比重が、６〜１３であることを特徴とする請求項１〜請求項３記載のいずれかに記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法。
5. 前記樹脂が、ナイロン樹脂又はポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項１〜請求項４記載のいずれかに記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法。
6. 前記高比重樹脂材に、酸化亜鉛、シリカ、タルク、珪素のいずれか１種類又は複数種類を混合することを特徴とする請求項１〜請求項５記載のいずれかに記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法。
7. 前記高比重樹脂材に、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セルロースナノファイバのいずれか１種類又は複数種類を混合することを特徴とする請求項１〜請求項６記載のいずれかに記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法。
8. 前記めっきが、クロムめっきであることを特徴とする請求項１〜請求項７記載のいずれかに記載の金属偽装樹脂成形部材の使用方法。