JP6632455B2 - 二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 - Google Patents
二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6632455B2 JP6632455B2 JP2016079423A JP2016079423A JP6632455B2 JP 6632455 B2 JP6632455 B2 JP 6632455B2 JP 2016079423 A JP2016079423 A JP 2016079423A JP 2016079423 A JP2016079423 A JP 2016079423A JP 6632455 B2 JP6632455 B2 JP 6632455B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat storage
- carbon
- vanadium
- carbon material
- storage material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
Description
(1)五酸化バナジウムV2O5と炭素材とを混合する工程(a)、前記混合した混合物を加熱する工程(b)を含み、前記混合する工程(a)において、五酸化バナジウムV2O5と炭素材との混合割合が、五酸化バナジウムV2O5:炭素材中の炭素Cのモル比で1:0.41〜0.54の範囲であり、前記加熱する工程(b)において、雰囲気の酸素分圧PO2が10-7Pa以上103Pa以下であり、加熱温度が900℃を超え1542℃未満であることを特徴とするVO2系蓄熱材料の製造方法。
(2)前記五酸化バナジウムV2O5の平均粒径D50が0.01μm以上1000μm以下であることを特徴とする上記(1)に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
(3)前記炭素材Cの平均粒径D50が0.01μm以上1000μm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
(4)前記混合する工程(a)において、バナジウムサイトを置換する元素を含む置換元素原料を混合することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかひとつに記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
(5)前記混合する工程(a)が、五酸化バナジウムV2O5、酸化タングステンWO3、及び炭素材とを混合する工程であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかひとつに記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
(6)前記混合する工程(a)において、五酸化バナジウムV2O5と置換元素を含む置換元素原料とを混合した後に炭素材を加えて混合する工程であることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
(7)前記混合する工程(a)において使用する五酸化バナジウムV2O5の純度が、含有する総カチオンに対するバナジウムイオンのモル%とする純度で90モル%以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかひとつに記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
(8)前記混合する工程(a)において、五酸化バナジウムV2O5と炭素材との混合割合が、五酸化バナジウムV2O5:炭素材中の炭素Cのモル比で1:0.43〜0.51の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかひとつに記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
その際の乾式還元方法の反応式は、下記式(1)および(2)の2段階に分けた反応が必要であると考えられる。
V2O5+2H2→V2O3+2H2O(水素ガスフローで加熱)・・・(1)
V2O5+V2O3→4VO2(石英管に真空封入して加熱) ・・・(2)
つまり、V2O5と炭素材とを混合して酸素分圧PO2が10-7Pa以上103Pa以下のガス(例えば、主成分がN2ガス)フローで加熱すると、式(3)の反応が生じる。
2V2O5+C→V2O5+V2O3+CO2・・・(3)
ついで、継続して加熱することで、
V2O5+V2O3→4VO2・・・(4)
の式(4)の反応によりVO2を製造することができる。
このようにして生成した(V2O5+V2O3)の混合物を酸素を所定範囲で含むN2気流中で加熱することで、上記(4)式に示すV2O5+V2O3→4VO2の反応により、一工程の加熱処理でVO2を生成することができたものと推定できる。
また、Cをストイキオメトリー量(化学量論量)配合することで、R型(ルチル構造)のVO2ができることを知見した。
したがって、本発明によれば、V2O5からVO2を製造する還元処理を一工程で、大型の真空装置等を用いることなく実施でき、量産が可能となる。
V2O5+1/2C→2VO2+1/2CO2 ・・・(5)
の上記反応式(5)に基づいて考えられる。即ち、V2O5:炭素Cのモル比は、化学量論的に1:0.5となり、理論的には最も好ましい。実際には、前記化学量論比から外れる前述のような範囲内であれば、本発明の効果が得られるものである。より好ましい範囲は、V2O5:炭素Cのモル比で1:0.43〜0.51である。この範囲内であるとより大きな蓄熱量が得られる。更に好ましい範囲は、V2O5:炭素Cのモル比で1:0.44〜0.50である。この範囲内であると更に大きな蓄熱量が得られる。即ち、化学量論量又はそれより少なめの炭素C量とするのが最も大きな蓄熱量が得られる。
V2O5及び炭素材を表1の各割合になるように計量し、合計で20gをクロム鋳鋼ベッセルに入れて1分間振動ミルにて乾式混合した。得られた各混合粉を石英ボートに入れ、管状雰囲気焼成炉にて表1の条件で焼成した。工程(b)のガス雰囲気としては、表1に示す「加熱雰囲気」の「主成分」に記載したガスに酸素を混合し、同じく表1の「酸素分圧」に示す酸素分圧として供給した。酸素分圧の測定にはモトヤマ酸素分圧計を用いた。V2O5及び炭素材の平均粒径D50は、島津製レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD−2000Jを用いて評価した。V2O5の平均粒径D50は1〜100μmの範囲内、炭素材の平均粒径D50は1〜100μmの範囲内であった。
V2O5、炭素材、置換元素原料を表2−1〜表2−3の各割合になるように計量し、合計で20gをクロム鋳鋼ベッセルに入れて1分間振動ミルにて乾式混合した。
また、置換元素によって蓄熱温度(転移温度)が変化した。
V2O5、炭素材(天然黒鉛)、置換元素原料(Nb酸化物、Mo酸化物)を表3の各割合になるように計量し、合計で20gをクロム鋳鋼ベッセルに入れて1分間振動ミルにて乾式混合した。得られた各混合粉をアルミナボートに入れ、管状雰囲気焼成炉にて表3の条件で焼成した。焼成におけるガス雰囲気としては、表3に示す「加熱雰囲気」の「主成分」に記載したガスに酸素を混合し、同じく表3の「酸素分圧」に示す酸素分圧として供給した。V2O5の平均粒径D50は1〜100μmの範囲内、炭素材の平均粒径D50は1〜100μmの範囲内であった。
V2O5、炭素材(天然黒鉛)、置換元素原料(WO3)を表4の各割合になるように合計で20gになるように計量し、まず、V2O5と置換元素原料をクロム鋳鋼ベッセルに入れて1分間振動ミルにて乾式混合した。次に炭素材を加えて更に1分間振動ミルにて乾式混合した。得られた各混合粉をアルミナボートに入れ、管状雰囲気焼成炉にて表4の条件で焼成した。焼成におけるガス雰囲気としては、表4に示す「加熱雰囲気」の「主成分」に記載したガスに酸素を混合し、同じく表4の「酸素分圧」に示す酸素分圧として供給した。V2O5の平均粒径D50は1〜100μmの範囲内、炭素材の平均粒径D50は1〜100μmの範囲内であった。
V2O5と炭素材、又は、V2O5と炭素材(天然黒鉛)と置換元素原料を表5の各割合になるように合計で10kgになるように計量し、ドラムミキサーで3時間混合した後、ピンミルを通して乾式混合した。
酸化ルテニウムRuO4、酸化タンタルTa2O5、酸化レニウムReO3、酸化オスニウムOsO4、酸化イリジウムIrO2の各置換元素原料を用いて、実施例3と同様に蓄熱材料を作製した。上記実施例と同様な結果が得られ、本発明の製造方法によれば良好な特性を有する蓄熱材料を作製できることを確認できた。
前記実施例1と同様の試験を行い、V2O5の平均粒径D50、炭素材の平均粒径D50について、表6に示す条件のものを用いた。いずれも、本発明の良好な蓄熱材料を得ることができた。No.6−1〜No.6−4はV2O5の平均粒径D50、炭素材の平均粒径D50いずれも本発明の好適範囲にある。No.6−5はV2O5の平均粒径D50、炭素材の平均粒径D50いずれも本発明の好適範囲の上限を外れたため、熱処理中の発泡が見られた。混合粉の粒径が好適範囲上限を超えたため、昇温過程で未反応V2O5が液化して発生するCO2ガスで発泡したものと推定される。
前記実施例2と同様の試験を行い、V2O5の平均粒径D50、炭素材の平均粒径D50について、表7に示す条件のものを用いた。いずれも、本発明の良好な蓄熱材料を得ることができた。
Claims (8)
- 五酸化バナジウムV2O5と炭素材Cとを混合する工程(a)、
前記混合した混合物を加熱する工程(b)を含み、
前記混合する工程(a)において、五酸化バナジウムV2O5と炭素材との混合割合が、五酸化バナジウムV2O5:炭素材中の炭素Cのモル比で1:0.41〜0.54の範囲であり、
前記加熱する工程(b)において、雰囲気の酸素分圧PO2が10-7Pa以上103Pa以下であり、加熱温度が900℃を超え1542℃未満であることを特徴とするVO2系蓄熱材料の製造方法。 - 前記五酸化バナジウムV2O5の平均粒径D50が0.01μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
- 前記炭素材Cの平均粒径D50が0.01μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
- 前記混合する工程(a)において、バナジウムサイトを置換する元素を含む置換元素原料を混合することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
- 前記混合する工程(a)が、五酸化バナジウムV2O5、酸化タングステンWO3、及び炭素材とを混合する工程であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
- 前記混合する工程(a)において、五酸化バナジウムV2O5と置換元素を含む置換元素原料とを混合した後に炭素材を加えて混合する工程であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
- 前記混合する工程(a)において使用する五酸化バナジウムV2O5の純度が、含有する総カチオンに対するバナジウムイオンのモル%とする純度で90モル%以上であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
- 前記混合する工程(a)において、五酸化バナジウムV2O5と炭素材との混合割合が、五酸化バナジウムV2O5:炭素材中の炭素Cのモル比で1:0.43〜0.51の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のVO2系蓄熱材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016079423A JP6632455B2 (ja) | 2016-04-12 | 2016-04-12 | 二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016079423A JP6632455B2 (ja) | 2016-04-12 | 2016-04-12 | 二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017190377A JP2017190377A (ja) | 2017-10-19 |
JP6632455B2 true JP6632455B2 (ja) | 2020-01-22 |
Family
ID=60085641
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016079423A Active JP6632455B2 (ja) | 2016-04-12 | 2016-04-12 | 二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6632455B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113260690B (zh) | 2019-01-09 | 2022-06-28 | 国立研究开发法人产业技术综合研究所 | 烧结用粉末材料和使用它的潜热型固体蓄热构件 |
JP7446761B2 (ja) * | 2019-10-11 | 2024-03-11 | 新日本電工株式会社 | 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子及びその製造方法並びにこの二酸化バナジウム粒子を含有する放熱シートおよび放熱コンパウンド |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5110356B1 (ja) * | 1970-08-26 | 1976-04-03 | ||
JP5688725B2 (ja) * | 2009-01-14 | 2015-03-25 | 独立行政法人理化学研究所 | 蓄熱材 |
JP2014198645A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 積水化学工業株式会社 | 複合酸化バナジウム粒子の製造方法 |
JP6153194B2 (ja) * | 2013-04-17 | 2017-06-28 | 国立研究開発法人理化学研究所 | 蓄熱材 |
JP2015091738A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-05-14 | 積水化学工業株式会社 | 置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する分散液、該分散液を含有する合わせガラス用中間膜、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜及びこれらの合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス |
JP6197948B2 (ja) * | 2014-03-31 | 2017-09-20 | 株式会社村田製作所 | 酸化バナジウムおよびその製造方法 |
JP6501103B2 (ja) * | 2014-11-11 | 2019-04-17 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 二酸化バナジウムの製造方法 |
WO2016084441A1 (ja) * | 2014-11-26 | 2016-06-02 | 新日本電工株式会社 | 二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 |
-
2016
- 2016-04-12 JP JP2016079423A patent/JP6632455B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017190377A (ja) | 2017-10-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5998270B2 (ja) | 二酸化バナジウム系材料の製造方法 | |
Ganesh et al. | Microwave-assisted combustion synthesis of nanocrystalline MgAl2O4 spinel powder | |
Wang et al. | Enthalpy of formation of LiNiO2, LiCoO2 and their solid solution, LiNi1− xCoxO2 | |
Rubio-Marcos et al. | Effect of stoichiometry and milling processes in the synthesis and the piezoelectric properties of modified KNN nanoparticles by solid state reaction | |
JP6596347B2 (ja) | 二酸化バナジウムの製造方法 | |
Păcurariu et al. | New synthesis methods of MgAl2O4 spinel | |
JP5343697B2 (ja) | 複合タングステン酸化物超微粒子の製造方法 | |
JP2016160148A (ja) | 二酸化バナジウムの製造方法 | |
JP2010208876A5 (ja) | ||
Aruna et al. | Properties of plasma sprayed La2Zr2O7 coating fabricated from powder synthesized by a single-step solution combustion method | |
Cao et al. | Synthesis of potassium sodium niobate powders using an EDTA/citrate complexing sol–gel method | |
JP6632455B2 (ja) | 二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 | |
Mendoza‐Mendoza et al. | A “Green chemistry” approach to the synthesis of rare‐earth aluminates: perovskite‐type LaAlO3 nanoparticles in molten nitrates | |
Ickler et al. | Ethylene glycol/citric acid stabilized wet chemically synthesized Y2CoNiO6, and its structural, dielectric, magnetic and electrochemical behavior | |
JP6479633B2 (ja) | ニッケルリチウム金属複合酸化物の製造方法 | |
Behnoudnia et al. | Synthesis and characterization of novel three-dimensional-cauliflower-like nanostructure of lead (II) oxalate and its thermal decomposition for preparation of PbO | |
Guan et al. | Carbon-reduction as an easy route for the synthesis of VO 2 (M1) and further Al, Ti doping | |
Prekajski et al. | Thermal stability of Ce1− xBixO2− δ (x= 0.1–0.5) solid solution | |
JP6091881B2 (ja) | BaTi2O5系複合酸化物の製造方法 | |
Roy et al. | Low temperature atmospheric synthesis of WAlB and Mn2AlB2 MAB phases by modified molten salt shielded synthesis method | |
JP2016108161A (ja) | ニッケルリチウム金属複合酸化物の製造方法及び該製造方法により得られるニッケルリチウム金属複合酸化物とこれからなる正極活物質 | |
JP5902361B1 (ja) | 二酸化バナジウム系蓄熱材料の製造方法 | |
Zhang et al. | The synthesis of single tetragonal phase zirconia by sol-gel route | |
JP2021109809A (ja) | 二酸化バナジウムの製造方法 | |
Jiang et al. | The effect of oxygen vacancy defects in nano-CuO1− x on its catalytic properties in ammonium perchlorate thermal decomposition |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190301 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20191120 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191203 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191210 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6632455 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |