JP6630878B2 - ダイヤモンド結晶製造装置及びダイヤモンド結晶製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド結晶製造装置及びダイヤモンド結晶製造方法 Download PDF

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本発明は、ダイヤモンド結晶製造装置及びダイヤモンド結晶製造方法に関する。
従来、ダイヤモンド結晶を生成させる技術はいくつか存在し、例えば、高温高圧合成、化学気相成長、爆発法によるダイヤモンド結晶製造方法(例えば、それぞれ特許文献1〜3参照)、パルスレーザーを用いたダイヤモンド粒子製造方法(例えば、特許文献4参照)がある。これらの製造方法により製造されたダイヤモンドは様々な産業製品に適用されており、例えば、偏光板の製造に用いる金型、工具など、微細な凹凸溝を形成することを目的とした用途(例えば、特許文献5参照)がある。
特開2013−53038号公報 特開2009−196832号公報 特開2012−193106号公報 特開2007−210869号公報 特開2013−146795号公報
合成したダイヤモンドを工具に加工し、そのダイヤモンド工具を用いて微細凹凸溝の加工を行なう場合、適切な大きさのダイヤモンド粒子を合成する技術、ダイヤモンドの先端形状を制御する技術、ダイヤモンド粒子の分布を制御する技術が必要となる。例えば、上述の特許文献1〜4の技術によりダイヤモンドを合成し、上述の特許文献5の技術により加工したダイヤモンド工具を用いて、偏光板などのパターン化された微細凹凸溝の加工が行なわれる。
しかし、特許文献1〜4に開示されているダイヤモンドを製造する技術では、総じて製造環境が大型かつ複雑になるという問題がある。また、特許文献5に開示されているダイヤモンドを加工する技術では、ダイヤモンドの加工に集束イオンビーム(Focused Ion Beam;FIB)や電子線ビームを用いており、ダイヤモンドを加工して目的とする微細凹部を形成する際、加工装置が大型かつ複雑になるという問題があり、さらに、ダイヤモンドの加工部のダメージ層(結晶性が低下したアモルファス層)が被加工物の形状に影響を与えるという問題がある。
また、特許文献1〜4はダイヤモンドを製造する技術であるが、基材などの所望の位置にダイヤモンドを製造することは容易ではない。
本発明は、これらの問題を鑑みてなされたものであり、小型であり、かつ所望の位置にダイヤモンドを製造できるダイヤモンド結晶製造装置及びダイヤモンド結晶製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ダイヤモンドライクカーボン膜に、波長350nm以下の深紫外光を照射し、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子を生成させる照射手段を有するダイヤモンド結晶製造装置。
<2> 前記照射手段は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜に対して0.25mW〜10mWの出力の深紫外光を照射する<1>に記載のダイヤモンド結晶製造装置。
<3> 前記照射手段は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜に対して0.5μm〜10μmのスポットサイズで深紫外光を照射する<1>又は<2>に記載のダイヤモンド結晶製造装置。
<4> 前記照射手段は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜に対する深紫外光の照射を1分〜20分行なう<1>〜<3>のいずれか1つに記載のダイヤモンド結晶製造装置。
<5> ダイヤモンドライクカーボン膜に、波長350nm以下の深紫外光を照射し、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子を生成させるダイヤモンド結晶製造方法。
<6> 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、水素含有量が3質量%以下である<5>に記載のダイヤモンド結晶製造方法。
<7> 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、テトラヘドラルアモルファスカーボンから構成される<5>又は<6>に記載のダイヤモンド結晶製造方法。
<8> 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、金属基材上に形成された膜である<5>〜<7>のいずれか1つに記載のダイヤモンド結晶製造方法。
本発明は、小型であり、かつ所望の位置にダイヤモンドを製造できるダイヤモンド結晶製造装置及びダイヤモンド結晶製造方法を提供することができる。
基材上のDLC膜に深紫外光を照射することを示す概略図である。 本実施形態に係る深紫外光照射システム(ダイヤモンド結晶製造装置)の概略構成図である。 DLC膜中の水素含有量の分析結果を示すグラフである。 ダイヤモンド結晶及びグラファイトの生成過程を示す概略図である。 深紫外光を照射した領域における走査電子顕微鏡観察像である。 深紫外光を照射した領域の可視ラマン分析の結果を示すグラフである。 深紫外光を照射した領域の深紫外光ラマン分析の結果を示すグラフである。 生成したダイヤモンド結晶の走査白色干渉計の測定結果を示す図である。 (a)生成したダイヤモンド結晶の走査白色干渉計の測定結果を示す図であり、(b)(a)のA−A’線領域におけるDLC膜の深さ分布を示すグラフである。 深紫外光のスポットサイズを変えて深紫外光をDLC膜に照射した場合の走査電子顕微鏡観察結果である。 深紫外光の照射時間及び深紫外光の照射出力を変更した場合におけるダメージ領域の直径の変位を示すグラフである。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の一実施形態に係るダイヤモンド結晶製造装置は、ダイヤモンドライクカーボン(Diamond−like Carbon;DLC)膜に、波長350nm以下の深紫外光を照射し、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子を生成させる照射手段を有する。
本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造装置を用いて、ダイヤモンドライクカーボン膜に波長350nm以下の深紫外光を照射することにより、照射された領域の少なくとも一部におけるダイヤモンドライクカーボンがダイヤモンド結晶に構造変化する。そのため、このダイヤモンド結晶製造装置は、ダイヤモンドライクカーボン膜の所望の位置にダイヤモンドを製造できる。さらに、このダイヤモンド結晶製造装置は、従来の製造装置と比較して簡易な構造を有し、かつ大幅な小型化が達成されている。
照射手段は、ダイヤモンド結晶製造装置に設置されたダイヤモンドライクカーボン膜に、波長350nm以下の深紫外光を照射することで、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子を生成させるための光源である。
照射手段よりダイヤモンドライクカーボン膜に照射される深紫外光の波長は、350nm以下であれば特に限定されないが、ダイヤモンドライクカーボンを効率よくダイヤモンド結晶に構造変化させる点から、300nm以下であることがより好ましく、280nm以下であることがさらに好ましい。また、深紫外光の波長は、特に限定されないが、200nm以上であることが好ましく、230nm以上であることがより好ましい。
照射手段からダイヤモンドライクカーボン膜に対して照射される深紫外光の出力は、特に限定されないが、照射手段は、ダイヤモンドライクカーボン膜に対して0.25mW〜10mWの出力の深紫外光を照射することが好ましく、1mW〜10mWの出力の深紫外光を照射することがより好ましい。
また、照射手段からダイヤモンドライクカーボン膜に対して照射される深紫外光のスポットサイズは、特に限定されないが、照射手段は、ダイヤモンドライクカーボン膜に対して0.5μm〜10μmのスポットサイズで深紫外光を照射することが好ましく、1μm〜5μmのスポットサイズで深紫外光を照射することがより好ましい。
また、照射手段からダイヤモンドライクカーボン膜に対して照射される深紫外光の照射時間は、特に限定されず、照射手段は、ダイヤモンドライクカーボン膜に対する深紫外光の照射を所望の時間行なうよう制御されていることが好ましい。深紫外光の照射時間は、1分〜20分であることが好ましく、1分〜10分であることがより好ましい。なお、ここでいう深紫外光の照射時間は、ダイヤモンドライクカーボン膜の一領域に対する深紫外光の照射時間を指す。
照射手段からダイヤモンドライクカーボン膜に対して照射される深紫外光の照射位置は、特に限定されず、所望するダイヤモンド結晶粒子の配置に応じて適宜変更してもよい。
ダイヤモンドライクカーボン膜に対する深紫外光の照射位置は、照射手段及びダイヤモンドライクカーボン膜を配置する配置部を相対的に移動させることにより、調整することが可能である。
また、本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造装置は、照射手段から照射された深紫外光の光路を調整する反射ミラー、照射手段から照射された深紫外光を集光する対物レンズなどの光学系をさらに有していてもよい。例えば、図2に示すように、本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造装置は、照射手段である光源5、反射ミラー6、対物レンズ7及びダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)10を配置する配置部であるXYZステージ8を有する深紫外光照射システム100であってもよい。
上述のように、ダイヤモンドライクカーボン膜に照射される深紫外光について、出力、スポットサイズ、照射時間、照射位置などの照射条件を変更することにより、生成されるダイヤモンド結晶における、大きさ、配置、間隔などを制御することができる。これにより、本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造装置を用いることにより、ダイヤモンドライクカーボン膜上に、所望の大きさ、配置及び間隔のダイヤモンド結晶を生成させることができ、例えば、所望の凹凸形状を有するダイヤモンド工具を容易に製造することができ、当該ダイヤモンド工具を用いることにより、複雑な凹凸構造を有する金型などの加工品を得ることができる。
〔ダイヤモンド結晶製造方法〕
本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造方法は、ダイヤモンドライクカーボン膜に、波長350nm以下の深紫外光を照射し、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子を生成させる方法である。例えば、図1に示すように、後述する基材2上のDLC膜1に深紫外光3を照射することにより、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子が生成される。
ダイヤモンドライクカーボン膜は、炭素を主成分とし、sp混成軌道の炭素から構成されるグラファイト構造及びsp混成軌道の炭素から構成されるダイヤモンド構造が混合した非晶質構造を有する膜である。
ダイヤモンドライクカーボン膜は、炭素以外の成分として水素を含み得るが、ダイヤモンドライクカーボン膜の水素含有量は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、水素を含有していない水素非含有のダイヤモンドライクカーボン膜であることが特に好ましい。ダイヤモンドライクカーボン膜の水素含有量が3質量%以下であることにより、深紫外光照射時に水素脱離を主な要因とするグラファイト成長を好適に抑制することができ、より効率よくダイヤモンド結晶を生成させることができる。
ダイヤモンドライクカーボン膜中の水素含有量は、例えば、弾性反跳検出分析(Elastic Recoil Detection Analysis;ERDA)などにより測定することができる。
ダイヤモンドライクカーボン膜は、テトラヘドラルアモルファスカーボンから構成されることが好ましい。これにより、ダイヤモンドライクカーボン膜は、構造内にsp混成軌道が多く含まれていることになり、深紫外光を照射した際に、sp混成軌道を核としたダイヤモンド結晶成長が促進され、より効率よくダイヤモンド結晶を生成させることができる。
ダイヤモンドライクカーボン膜は、さらに効率よくダイヤモンド結晶を生成させる点から、全炭素に占めるsp混成軌道をもつ炭素の割合、すなわち、sp混成軌道をもつ炭素とsp混成軌道をもつ炭素との合計に対するsp混成軌道をもつ炭素の割合は、30%〜90%であることが好ましく、40%〜80%であることがより好ましい。
ダイヤモンドライクカーボン膜中のsp混成軌道をもつ炭素の割合は、例えば、X線光電子分光法(XPS)等により測定することができる。
ダイヤモンドライクカーボン膜は、公知の方法により基材に成膜されたものであってもよい。ダイヤモンドライクカーボン膜を基材に成膜する方法としては、特に限定されず、例えば、特開2007−9303号公報に記載のプラズマ表面処理方法により、基材にダイヤモンドライクカーボン膜を成膜してもよい。また、ダイヤモンドライクカーボン膜は、市販のダイヤモンドライクカーボン膜であってもよい。
ダイヤモンドライクカーボン膜が成膜される基材としては、特に限定されないが、金属基材(珪素を除く)であることが好ましく、中でも、鉄、鋼がより好ましく、鉄がさらに好ましい。金属基材にダイヤモンドライクカーボン膜を成膜することにより、深紫外光を照射した際により効率よくダイヤモンド結晶を生成させることができる。
ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さは、特に限定されないが、ミクロン〜サブミクロンオーダー、具体的には、0.1μm〜0.5μmであることが好ましく、0.3μm程度であることがより好ましい。
本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造方法では、ダイヤモンドライクカーボン膜に照射される深紫外光における、波長、出力及びスポットサイズは、前述の照射手段から照射される深紫外光の、波長、出力及びスポットサイズと同様である。また、本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造装置では、前述の照射手段同様に、深紫外光をダイヤモンドライクカーボン膜に所望の時間照射するように調整してもよく、深紫外光をダイヤモンドライクカーボン膜の所望の位置に照射するように調整してもよい。
本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造方法では、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で深紫外光をダイヤモンドライクカーボン膜に照射することが好ましい。また、深紫外光をダイヤモンドライクカーボン膜に照射する際、10Pa〜10Paの圧力雰囲気下で行なうことが好ましい。
本実施形態に係るダイヤモンド結晶製造装置又はダイヤモンド結晶製造方法により、ダイヤモンドライクカーボン表面の深紫外光が照射された領域にダイヤモンド結晶が形成されていることは、例えば、ラマン分光法、白色干渉測定法などにより、確認することができる。
以下に実施例にて生成したダイヤモンド結晶及びその製造技術について説明することで、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
〔実施例1〕
(基材の鏡面研磨)
本実施例では、基材として純鉄を用いた。まず、円盤状に切り出した純鉄の表面に鏡面研磨を行なった。具体的には、#80〜#4000の耐水SiC研磨紙を用い、最後に粒度0.04μmのコロイド状シリカを含む懸濁液で鏡面研磨を行なった.
(DLC膜の成膜)
鏡面研磨を施した基材の表面に、特開2007−9303号公報に記載の方法、具体的には、DLC膜形成用のカーボンを蒸発させてプラズマを発生させ、被処理物である基材を発生させたプラズマにより表面処理加工することで厚さ約0.3μmであるDLC膜を成膜した。
基材上に成膜したDLC膜の含まれる水素含有量を、弾性反跳検出分析(ERDA)により分析した。DLC膜中の水素含有量の分析結果を図3に示す。図3中の1は、前述の方法により、生成したDLC膜の分析結果を示しており、水素含有量は約1.7%であり、ほとんど水素を含んでいなかった。一方、図3中の2は、標準試料として用いたDLC膜であり、水素含有量は29%であった。前述の方法により生成したDLC膜の密度は、約2.5〜3.0g/cmであった。
前述の方法により生成したDLC膜に含まれるsp混成軌道をもつ炭素の割合をX線光電子分光法(XPS)により測定した。DLC膜中のsp混成軌道をもつ炭素の割合は、52%であった。
(ダイヤモンド結晶の生成)
次に、図2に概略図で示されている深紫外光照射システム100におけるXYZステージ8にDLC膜10が成膜された基材を装着し、深紫外光の出力、スポットサイズ、照射時間、照射位置などを設定して、DLC膜に対して深紫外光を照射した。このとき、深紫外光の波長は260nmであり、深紫外光の出力、スポットサイズ、照射時間は、それぞれ10mW、1μm、10分であった。これによりDLC膜の深紫外光が照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶を生成した。
深紫外光が照射されたDLC膜表面は、図4に示すように、大別するとダイヤモンド結晶成分aとグラファイト成分bとに分かれていると、以下に示す図5〜図9の結果より判断した。図4は、ダイヤモンド結晶及びグラファイトの生成過程を示す概略図である。
まず、DLCの深紫外光が照射された領域にダイヤモンド結晶成分が生成されているかを、走査電子顕微鏡による観察、可視ラマン分析、及び深紫外光ラマン分析により確認した。結果を図5〜図7に示す。図5は、深紫外光を照射した領域における走査電子顕微鏡観察像(二次電子像)であり、図6は、深紫外光を照射した領域の可視ラマン分析の結果を示すグラフであり、図7は、深紫外光を照射した領域の深紫外光ラマン分析の結果を示すグラフである。図5では、図の中心部に生成されたダイヤモンド結晶が確認できた。図6、7では、1330cm−1付近を中心とした鋭いピークが存在しており、そのことから結晶性の高いダイヤモンドが生成していることが推測される。
次に、生成したダイヤモンド結晶の走査白色干渉計の測定結果を図8、9に示す。図8及び図9(a)は、生成したダイヤモンド結晶の走査白色干渉計の測定結果を示す図であり、図9(b)は、図9(a)のA−A’線領域におけるDLC膜の深さ分布を示すグラフである。主に図8の領域1にて、ダイヤモンド結晶の生成が確認された。また、図9(b)に示すようにダイヤモンド結晶が生成される場合、結晶を中心として周辺が収縮するが、これはDLC膜がダイヤモンド結晶に構造が変化する際に、密度が大きくなるためであると推測される。なお一般に、ダイヤモンド結晶の密度は、3.52g/cmである。
一方、図8の領域2にて、グラファイト生成によるDLC膜の膨張が観察された。また、図9(b)に示すようにグラファイト成分が生成される場合、深紫外光の照射手段を中心として周辺が膨張するが、これはDLC膜がグラファイト成分に構造が変化する際に,密度が小さくなるためであると推測される。なお一般に、グラファイトの密度は、2.25g/cmである。
次に、図10は、深紫外光のスポットサイズを変えて深紫外光をDLC膜に照射した場合の走査電子顕微鏡観察結果(反射電子像)であり、図11は、深紫外光の照射時間及び深紫外光の照射出力を変更した場合におけるダメージ領域の直径の変位を示すグラフである。図10では、スポットサイズを左から順に、3.2μm、2.6μm、2.1μm、1.6μm、1.2μmとした。図10、11に示すように、深紫外光における、出力、スポットサイズ、照射時間、照射位置などの照射条件を変えることで、生成されるダイヤモンド結晶の大きさ、配置、間隔などを制御することが可能であることがわかる。
〔比較例1〕
次に、実施例1と同様にして、純鉄の基材にDLC膜を成膜し、DLC膜に対して523nmの可視光を照射した。本比較例では、DLC膜に対して260nmの深紫外光の代わりに523nmの可視光を照射したこと以外は、実施例1と同一の条件で光照射を行なった。しかしながら、DLC膜の可視光が照射された領域にダイヤモンド結晶は生成されなかった。

Claims (7)

  1. ダイヤモンドライクカーボン膜に、波長350nm以下の深紫外光を照射し、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子を生成させる照射手段を有し、
    前記照射手段は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜に対して0.25mW〜10mWの出力の深紫外光を照射するダイヤモンド結晶製造装置。
  2. 前記照射手段は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜に対して0.5μm〜10μmのスポットサイズで深紫外光を照射する請求項1に記載のダイヤモンド結晶製造装置。
  3. 前記照射手段は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜に対する深紫外光の照射を1分〜20分行なう請求項1又は請求項に記載のダイヤモンド結晶製造装置。
  4. ダイヤモンドライクカーボン膜に、0.25mW〜10mWの出力にて波長350nm以下の深紫外光を照射し、照射された領域の少なくとも一部にダイヤモンド結晶粒子を生成させるダイヤモンド結晶製造方法。
  5. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、水素含有量が3質量%以下である請求項に記載のダイヤモンド結晶製造方法。
  6. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、テトラヘドラルアモルファスカーボンから構成される請求項又は請求項に記載のダイヤモンド結晶製造方法。
  7. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、金属基材上に形成された膜である請求項〜請求項のいずれか1項に記載のダイヤモンド結晶製造方法。
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