JP6630731B2 - 電子蒸気供給装置 - Google Patents

Description

本開示は電子ニコチン送出装置（例えば、電子タバコ）などの電子蒸気供給装置に関する。

電子タバコおよび他のエアロゾル送出システムなどの電子蒸気供給システムは、一般に気化される液体、典型的にはニコチン（これを場合によって「電子液体」という）の容器を含む。ユーザーが装置を介して吸引すると、電気（例えば、抵抗性）ヒーターが作動し、少量の液体を気化し、実際にユーザーによって吸引されるエアロゾルを生成する。その液体はエアロゾルの形成を補助するグリセリンまたはプロピレングリコールと共にエタノールまたは水などの溶媒にニコチンを含み、また１つ以上の追加の風味料を含んでもよい。当業者は電子タバコおよび他のそのような装置に使用される多くの異なる液体処方を認識しているはずである。

電子タバコは外部データ通信をサポートするインターフェースを有してもよい。このインターフェースは、例えば外部ソースから電子タバコ上に制御パラメーターおよび／またはアップデートされたソフトウェアを読み込むために使用してもよい。これとは別にまたはこれに加えてインターフェースは電子タバコから外部システムにデータをダウンロードするために利用してもよい。ダウンロードされたデータは、例えば電子タバコの使用パラメーター、故障状態等を表してもよい。当業者であれば認識しているように多くの他の形体のデータを電子タバコと１つ以上の外部システム（別の電子タバコであってもよい）と交換できる。

場合によっては外部システムと通信を行うための電子タバコ用のインターフェースは、電子タバコへのマイクロ、ミニまたは通常のＵＳＢ接続を使用したＵＳＢリンクなどの有線接続に基づいている。外部システムと通信を行うための電子タバコ用のインターフェースは、ワイヤレス接続に基づいたものであってもよい。このようなワイヤレス接続は有線接続に対して特定の利点を有する。例えば、ユーザーはそのような接続を形成するために追加の配線を必要としない。さらにユーザーは移動、接続のセットアップおよび接続する装置間の距離の点でより柔軟性を有する。

なお、多くの電子タバコは電子タバコを再充電するためにＵＳＢインターフェース用のサポートを既に設けている。従って、データ通信をも提供するためのこのような有線インターフェースの追加の使用は比較的簡単である。しかしながら、無線データ接続を供するための状況はより複雑である。

本発明は添付の請求項に定義されている。

ここで提供される電子蒸気供給装置は、この電子蒸気供給装置のユーザーによる吸引のためのエアロゾルを形成するために液体を気化するための電子ヒーターと、無線通信を提供するための通信インターフェースとを含む。通信インターフェースはヒーターを無線通信用のアンテナとして使用するように構成されている。

このような電子蒸気供給システム用のコントロールシステムも提供される。

本開示の一部の実施態様による電子タバコの模式図（分解）である。 本開示の一部の実施態様による図１の電子タバコの主要電気／電子部品の模式図である。 本開示の一部の実施態様による図１の電子タバコのプロセッサーの単純化模式図である。 図１の電子タバコとスマートフォンとの間の無線通信の模式図である。 本開示の一部の実施態様による電子タバコのカトマイザーの模式図（分解）である。 本開示の一部の実施態様による図５のカトマイザーから気化器の模式図である。

上述のように本開示は電子タバコのような電子蒸気供給装置に関する。以下の説明を通して「電子タバコ」なる用語が使用されるが、これは電子蒸気供給装置、エアロゾル送出装置および他の類似の技術とほぼ同じ意味で使用される。

図１は本開示による一部の実施態様による電子タバコ１０の模式図（分解）である（正確な縮尺ではない）。電子タバコは本体またはコントロールユニット２０およびカトマイザー３０とを含む。カトマイザー３０は通常ニコチンなどの液体の容器３８、ヒーター３６およびマウスピース３５とを含む。電子タバコ１０はカトマイザー３０の一端でマウスピース３５からコントロールユニット２０の反対の端部（通常、チップ端と言われる）へ電子タバコの中央ラインに沿って延びた長手方向軸または円筒軸を有する。この長手方向軸は破線ＬＡによって図１に表されている。

カトマイザー内の液体容器３８は（電子）液を液体のまま保持してもよく、液体の保持部材として発泡体マトリックスまたは綿材料などの何らかの吸収構造を利用してもよい。液体はその後容器３８からヒーター３６を含む気化器へと送られる。例えば、液体は容器３８からヒーター３６へと芯（図１には示していない）を介して毛管現象によって流れる。

他の装置では液体は、植物材料またはいくつかの他の（表面上は中実な）植物派生材料の形体で提供されてもよい。この場合、液体はその材料が熱せられた際に気化する材料の揮発性物質を表すものとして考慮することができる。なお、この種の材料を含む装置は、通常、液体をヒーターに送る芯を必要としないが、好適な加熱を行うために材料に対するヒーターの好適な構造を供する。

コントロールユニット２０は電子タバコ１０に電力を供給する充電可能な電池またはバッテリー５４（以下、バッテリーという）、印刷回路板（ＰＣＢ）２８および／または一般に電子タバコを制御するための他の電子部品を含む。

コントロールユニット２０とカトマイザー３０は図１に示すように互いに取り外し可能であるが、装置１０の使用時には例えばネジまたはバヨネット嵌めによって連結される。カトマイザー３０とコントロールユニット２０のコネクターがそれぞれ３１Ｂおよび２１Ａとして図１に略式に示されている。コントロールユニットとカトマイザーとの接続はこれら２つを機械的かつ電気的に接続する。

コントロールユニットがカトマイザーから外されると、カトマイザーとの接続に使用されるコントロールユニットの電気接続部２１Ａは充電装置（図示せず）を接続するためのソケットとしての役割を果たしてもよい。この充電装置の他端は電子タバコのコントロールユニットのバッテリー５４を充電するためにＵＳＢソケットに差し込むことが可能である。他の実行例では電子タバコには（例えば）電気接続部２１ＡとＵＳＢソケット間を直接接続するためのケーブルを設けてもよい。

コントロールユニットにはＰＣＢ２８に隣接する空気取り込み用の１つ以上の穴が設けられている。これらの穴はコネクター２１Ａ内に設けられた空気通路に通じるコントロールユニットを通る空気通路に接続する。これはそれからカトマイザー３０を通ってマウスピース３５へと通じる空気経路に繋がる。なお、ヒーター３６と液体容器３８はコネクター３１Ｂとマウスピース３５との間に空気流路を供するように構成されている。この空気流路はカトマイザー３０の中央を通り、液体容器はこの中央経路の周囲で環状の領域を定めてもよい。これとは別に（または加えて）、空気流路は液体容器３８とカトマイザー３０の外方ハウジングの間に位置してもよい。

ユーザーがマウスピース３５を介して吸引すると、空気が１つ以上の空気取り込み穴を介してコントロールユニット内に引き込まれる。この空気流（またはそれに伴う圧力の変化）はセンサー、例えば圧力センサーによって検知され、次にヒーター３６を作動させて容器３８から供給されるニコチン液を気化する。空気流はコントロールユニットから気化器内を通過し、そこで空気流はニコチン蒸気と混ざる。この空気流とニコチン蒸気の混合物（実際にはエアロゾル）は、その後カトマイザー３０を通過し、マウスピース３５から出てユーザーによって吸引される。ニコチン液を使い切ったら、カトマイザー３０はコントロールユニットから外して廃棄してもよい（その後別のカトマイザーに交換される）。

当然のことながら図１に示す電子タバコ１０はあくまで例として示したものであり、他の実行例も適用してもよい。例えば、一部の実行例ではカトマイザー３０は、液体容器３８を含むカートリッジとヒーター３６を含む別個の気化器部分とに分けられる。この構造ではカートリッジは、容器３８内の液体を使い切った後は廃棄されるが、ヒーター３６を含む別の気化器部分は保持される。これとは別に電子タバコに図１に示すようなカトマイザー３０を設けてもよく、またはワンピース（単体）装置として構成してもよいが、液体容器３８は（ユーザーが）交換できるカートリッジの形体である。さらに可能な変型例として、ヒーター３６は図１に示したのとは反対のカトマイザー３０の端部で、即ち液体容器３８とマウスピース３５の間に位置させてもよく、あるいはヒーター３６はカトマイザーの中央軸ＬＡに沿って配置し、液体容器はヒーター３５の半径方向外側の環状構造の形体である。

当業者もまたコントロールユニット２０の多くの可能な変型例を認識しているはずである。例えば、ＰＣＢ２８に隣接する空気流穴に加えてまたは代わりに空気流はチップ端で、即ちコネクター２１Ａに対して反対の端部でコントロールユニットに入ってもよい。この場合、空気流は通常はバッテリー５４とコントロールユニットの外壁との間の通路に沿ってカトマイザーの方に引き込まれるようになる。同様にコントロールユニットは、チップ端にまたはチップ端の近く、例えばバッテリーとチップ端の間に位置するＰＣＢを含んでもよい。このようなＰＣＢはＰＣＢ２８に加えてまたは代わりに設けてもよい。

さらに電子タバコはカトマイザーとコントロールユニット間の接続部での充電に加えてまたは代わりにチップ端で装置のどこかのソケットを介しての充電を支持してもよい。（当然のことながら一部の電子タバコは実質的に一体化されたユニットとして提供され、その場合ユーザーはカトマイザーをコントロールユニットから外すことはできない）。他の電子タバコは有線充電に加えて（または代わりに）無線（誘導）充電も支持する。

図１に示した電子タバコに対する可能な変更に関する上記の説明は例示である。当業者は電子タバコ１０のさらなる可能な変更例（およびそれらの組み合わせ）について認識しているはずである。

図２は本開示の一部の実施態様による図１の電子タバコ１０の主機能性部品の略図である。ただし、図２は主に電気的な接続性に関するものであり、種々の部品の物理的大きさやコントロールユニット２０またはカトマイザー３０内のそれらの物理的配置の詳細を表すことを意図したものではない。加えて当然のことながらコントロールユニット２０内に配置された図２に示す部品の少なくとも一部は回路基板２８に取り付けてもよい。これとは別にこのような部品の１つ以上を代わりに回路基板自体に物理的に取り付けるのではなく、回路基板２８と関連して動作するようにコントロールユニットに収容してもよい。例えば、これらの部品は１つ以上の追加の回路基板に配置してもよく、または別個に配置してもよい（バッテリーなど）。

図２に示すようにカトマイザーは、コネクター３１Ｂを介して電力を受けるヒーター３１０を含む。以下により詳しく説明するようにヒーター３１０は無線通信用のアンテナ（空中線）としても機能する。コントロールユニット２０は、カトマイザー３０の対応するコネクター３１Ｂ（または潜在的にはＵＳＢ充電装置）への接続のための電気ソケットまたはコネクター２１Ａを含む。これによりコントロールユニット２０とカトマイザー３０が電気的に接続される。

コントロールユニット２０はセンサーユニット６１をさらに含み、これは空気入り口からコントロールユニット２０を通って空気出口へ（コネクター２１Ａを通ってカトマイザー３０へ）通じる空気経路にまたはこれに隣接して位置する。センサーユニットは圧力センサー６２と温度センサー６３を（この空気経路にまたはこれに隣接して）含む。コントロールユニットはコンデンサ２２０、プロセッサー５０、電界効果トランジスタ（ＦＥＴ）スイッチ２１０、バッテリー５４および入力および出力装置５９、５８をさらに含む。

プロセッサー５０と他の電子部品、例えば圧力センサー６２の作動は、通常、少なくとも一部はプロセッサー（または他の部品）上で動作するソフトウェアプログラムによって制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、ＲＯＭなどの不揮発性メモリーに記憶され、これはプロセッサー５０自体に組み込まれてもよく、あるいは別個の部品として提供されてもよい。プロセッサー５０はＲＯＭにアクセスして必要に応じて個別のソフトウェアプログラムをロードして実行するようにしてもよい。プロセッサー５０は、必要に応じて圧力センサー６２などのコントロールユニット２０の他の装置との通信のためのピンまたはパッド（対応する制御ソフトウェアも加えた）などの適当な通信設備も含む。

出力装置５８は、視覚的、音的および／または触覚的出力を供してもよい。例えば、出力装置はスピーカー５８、バイブレーターおよび／または１つ以上のライトを含んでもよい。これらのライトは、通常、１つ以上の発光ダイオード（ＬＥＤ）の形体で設けられ、これらは同じまたは異なる色（または多色）であってもよい。出力装置からの出力は、低バッテリーの警告など電子タバコ内の種々の状態または状況をユーザーに伝えるために使用してもよい。異なる出力信号を異なる状況または状態を知らせるために使用してもよい。例えば、出力装置５８がオーディオスピーカーの場合、異なる状況または状態を異なるピッチおよび／または長さのトーンまたはビープ音によっておよび／またはビープ音またはトーンなどを組み合わせて供することによって表してもよい。これとは別に出力装置５８が１つ以上のライトを含む場合、異なる状況または状態は異なる色またはパルスの光または連続的な照射、異なるパルス長さなどを使用して表してもよい。例えば、１つの表示灯を使用して低バッテリー警告を示してもよく、別の表示灯を使用して液体容器５８がほぼ空であることを示すようにしてもよい。当然のことながら特定の電子タバコは複数の異なる出力モード（音声的、視覚的）を支持する出力装置を含んでもよい。

入力装置５９は種々の形体で設けられてもよい。例えば、入力装置（またはいくつかの入力装置）は、例えば機械的、電気的または静電的（タッチ）センサーとして電子タバコの外側のボタンとして実行してもよい。一部の装置は入力機構として電子タバコ内への吹き込み（このような吹き込みは圧力センサー６２によって検知されてもよく、これが入力装置５９の一形態として作用するようになる）および／または入力機構の別の形体としてカトマイザー３０とコントロールユニット２０を接続／解除するのを支持してもよい。ここでも当然のことながら特定の電子タバコは複数の異なる入力モードを支持する入力装置５９を含んでもよい。

上述のように電子タバコ１０は、空気入り口からカトマイザー３０の圧力センサー６２とヒーター３１０を通過してマウスピース３５へと電子タバコを通る空気経路を供する。従って、ユーザーが電子タバコのマウスピースで吸引すると、プロセッサー５０がその吸引を圧力センサー６２からの情報に基づいて検知する。そのような検知に応答してＣＰＵがバッテリー５４からヒーターに電力を供給し、これによってユーザーによる吸引のために液体容器３８からニコチンを加熱し、気化させる。

図２に示す特定の実行例において、ＦＥＴ２１０はバッテリー５４とコネクター２１Ａとの間で接続される。このＦＥＴ２１０はスイッチとして機能する。プロセッサー５０はＦＥＴのゲートに接続され、スイッチを作動させ、これによりプロセッサーが検知された空気流の状態によってバッテリー５４からヒーター３１０への電力の流れの切り替えを行える。当然のことながらヒーターの電流は、例えば１〜５アンペアと比較的高く、よってＦＥＴ２１０はそのような電流制御を支持するように実行されなければならない（ＦＥＴ２１０の代わりに使用されるかもしれない他の形体のスイッチについても同様である）。

バッテリー５４からヒーター３１０へと流れる電力の量をよりきめ細かく制御するためにパルス幅変調（ＰＷＭ）スキームを採用してもよい。ＰＷＭスキームは約１ｍｓの繰り返し周期に基づいてもよい。当該各周期内でその周期の一定の割合でスイッチ２１０が入れられ、残りの割合でオフにされる。これはデューティサイクルによってパラメーター化され、デューティサイクルが０の場合、各周期の全てにおいてスイッチは切られ（即ち、実質的に永久的にオフ）、デューティサイクルが０．３３の場合、各周期の３分の１でオンになり、デューティサイクルが０．６６の場合、各周期の３分の２でスイッチがオンになり、デューティサイクルが１の場合、ＦＥＴは各周期の全てにおいてオンになる（即ち、実質的に永久的にオン）。当然のことながらこれらはあくまでデューティサイクルの設定の例示に過ぎず、中間の値を適宜使用できる。

ＰＷＭを使用することによってデューティサイクルによって乗じられる名目上利用可能な電力（バッテリーの出力電圧とヒーターの抵抗に基づいて）によって与えられる有効電力をヒーターに提供する。プロセッサー５０は、例えば、吸引の開始時にできるだけ速く所望の作動温度にヒーター３１０の温度を最初に上げるために１のデューティサイクル（即ち、フルパワー）を利用してもよい。所望の作動温度に達したら、プロセッサー５０はその後所望の作動温度にヒーター３１０を維持するためにデューティサイクルをある好適な値に減少させる。

図２に示すようにプロセッサー５０は、無線通信、特にブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギー（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標） Ｌｏｗ Ｅｎｅｒｇｙ）通信サポート用の通信インターフェース５５を含む。ヒーター３１０は無線通信の送信および受信用の通信インターフェース５５による使用のためのアンテナとして利用される。その理由の１つは、コントロールユニット２０は金属製のハウジング２０２を有し、一方カトマイザー部分３０はプラスチック製のハウジング３０２を有するということである（カトマイザー３０は使い捨てであり、コントロールユニット２０は保持され、従ってより耐久性を必要とすることを反映して）。金属製ハウジングは、コントロールユニット２０それ自体内にアンテナを配置するのを困難にするスクリーンまたはバリアとして機能する。しかしながら、無線通信用のアンテナとしてヒーター３１０を利用することで、カトマイザーのプラスチック製ハウジングによりカトマイザーに追加の部品を加えることなくまたはカトマイザーを複雑にすることなく（またはコストを掛けずに）この金属のスクリーニングを避けることができる。

図２に示すようにプロセッサー５０、より具体的には通信インターフェース５５は、コンデンサ２２０によってヒーター３１０（コネクター３１Ｂ）へのバッテリー５４からの電力線に結合されている。無線通信はヒーターが加熱のために給電されていないときに作動する（以下に詳しく説明するように）ので、この静電結合はスイッチ２１０の下流で起こる。当然のことながらコンデンサ２２０は、バッテリー５４からヒーター３１０への給電が迂回してプロセッサー５０に戻ることを妨げる。

なお、静電結合は、通信インターフェース５５の出力とインピーダンス整合可能なより複雑なＬＣ（インダクターコンデンサ）ネットワークを使用して実行してもよい。（当業者には知られているようにこのインピーダンス整合は、通信インターフェース５５とアンテナとして機能するヒーター３１０との間の信号を接続に沿って反射させるのではなく、そのような信号の適切な移行をサポートする。）。

一部の実行例ではプロセッサー５０と通信インターフェースは、英国、リーディングを本拠地とするＤｉａｌｏｇ Ｓｅｍｉｃｏｎｄｕｃｔｏｒ ＰＬＣ製のＤｉａｌｏｇ ＤＡ１４５８０チップを使用して実行される。このチップのさらなる情報（およびデータシート）は、http://www.dialog-semiconductor.com/products/bluetooth-smart/smartbond-da14580より入手可能である。

図３はブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギーをサポートする通信インターフェース５５を含むこのチップ５０を高度に単純化した概略的に示している。このインターフェースは、特に信号変調および復調などを行うための無線送受信機５２０、リンク層ハードウェア５１２および先進暗号化機関（１２８ビット）５１１を含む。無線送受信機５２０からの出力は、静電結合２２０およびコネクター２１Ａおよび３１Ｂを介してアンテナとしてのヒーター３１０に接続される。

プロセッサー５０の残りは、汎用処理コア５３０、ＲＡＭ５３１、ＲＯＭ５３２、ワンタイムプログラミング（ＯＴＰ）ユニット５３３、汎用Ｉ／Ｏシステム５６０（ＰＣＢ２８の他の部品との通信のための）、パワーマネージメントユニット５４０および２つのバスを接続するためのブリッジ５７０を含む。ＲＯＭ５３２および／またはＯＴＰユニット５３３に記憶されたソフトウェアインストラクションは、コア５３０内の１つ以上の処理ユニットで実行するためにＲＡＭ５３１内に（および／またはコア５３０の一部として供されるメモリー内に）読み込まれてもよい。これらのソフトウェアインストラクションは、センサーユニット６１とインターフェース接続し、よってヒーターを制御するなどのここで説明した種々の機能を実行させる。なお、図３に示す装置は通信インターフェース５５および電子蒸気供給システム１０用の一般的なコントローラーの両方として機能するが、他の実施態様ではこれら２つの機能を２つ以上の異なる装置（チップ）に分けてもよく、例えば１つのチップは通信インターフェース５５として役割を果たし、別のチップは電子蒸気供給システム１０用の一般的なコントローラーとしての役割を果たしてもよい。

一部の実施例ではプロセッサー５０は、ヒーターが容器３８からの液体を気化させるために使用されているときは無線通信を行わせないように構成してもよい。例えば、無線通信はスイッチ２１０がオンに入れられているとき、一時停止されている、終了している、または始動されないようにしてもよい。逆に言うと、無線通信が進行している場合、ヒーターが、例えばセンサーユニット６１からの空気流の検知を廃棄するおよび／または無線通信が進行している間ヒーター３１０への電源を入れるためにスイッチを操作しないことによって作動しないようにしてもよい。

加熱および無線通信の両方に対して同時にヒーター３１０が作動しないようにする理由の１つは、ヒーターのＰＷＭ制御からのあらゆる潜在的な干渉を妨げるためである。このＰＷＭ制御は、無線通信の周波数よりかなり小さいが、独自の周波数（パルス繰り返し周波数に基づいた）を有しており、これら２つの周波数は互いに潜在的に干渉する可能性がある。一部の状況において、このような干渉は、実際にはなんら問題を生じず、加熱と無線通信の両方でヒーター３１０を同時に作動させられる（そうすることが必要であれば）。これは、例えば信号強度および／またはＰＷＭ周波数の適切な選択、好適にフィルタリングを設けるなどの技術によって容易になる。

図４は電子タバコ１０とスマートフォン４００または他の好適な装置（タブレット、ラップトップ、スマートウオッチなど）で動作するアプリケーション（ａｐｐ）との間のブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギー通信を示す略図である。このような通信は、広範囲な目的、例えば電子タバコ１０のファームウェアのアップグレード、電子タバコ１０からの利用および／または診断データの復活、電子タバコ１０のリセットまたは解除、電子タバコのセッティングの制御などに利用可能である。

大まかに言えば、入力装置５９を使用するまたは場合によってはカトマイザー３０をコントロールユニット２０に接合することによって電子タバコ１０のスイッチが入れられると、電子タバコはブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギー通信の宣伝を開始する。もしこの下り通信がスマートフォン４００によって受信されると、スマートフォン４００は電子タバコ１０への接続を要請する。電子タバコはこのリクエストをユーザーに出力装置５８を介して知らせ、入力装置５９を介してユーザーがそのリクエストを受けるまたは拒否するのを待つ。リクエストが受け入れられると、電子タバコ１０はスマートフォン４００とさらに通信することができる。なお、電子タバコはスマートフォン４００のアイデンティティーを記憶し、スマートフォンからの自動的な接続リクエストを受け入れることができる。接続が構築されると、スマートフォン４００と電子タバコ１００は、クライアント・サーバーモードで作動し、スマートフォンはクライアントとして作動し、リクエストを開始し、従ってサーバーとして作動する電子タバコにリクエストを送る（そして適宜リクエストに応答する）。

ブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギーリンク（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）Ｓｍａｒｔとしても知られている）はＩＥＥＥ ８０２．１５．１規格を実行し、２．４−２．５ＧＨｚの周波数で作動し、最大で１Ｍｂｉｔｓ／ｓのデータ速度で約１２ｃｍの波長に対応する。接続のためのセットアップ時間は６ｍｓ未満であり、平均電力消費は極めて小さく１ｍＷ以下程度である。ブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギーリンクは５０ｍまで延びてもよい。しかしながら、図４に示す状況の場合、電子タバコ１０とスマートフォン４００は、通常、同じ人が所持し、従って互いにもっと接近しており、例えば１ｍほどの距離である。ブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギーについてのさらなる情報についてはhttp://www.bluetooth.com/Pages/Bluetooth-Smart.aspxで見られる。

当然のことながら電子タバコ１０はスマートフォン４００（または他の好適な装置）との通信用の他の通信プロトコルをサポートしてもよい。このような他の通信プロトコルは、ブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギーの代わりであってもよく、これに追加してもよい。このような通信プロトコルの例としては、例えばwww.bluetooth.comに説明されているＢｌｕｅｔｏｏｈ（低エネルギーヴァリアントではなく）およびＩＳＯ １３１５７による近距離無線通信（ＮＦＣ）などが挙げられる。ＮＦＣ通信はＢｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）（１３．５６ ＭＨｚ）よりかなり小さい波長で作動し、通常、遙かに短いレンジ、約＜０．２ｍを有する。しかしながら、この短いレンジは図４に示したような殆どの使用シナリオとまだ互換性がある。当業者は電子タバコ１０に採用される他の無線通信プロトコルを認識しているはずである。

図５は一部の実施態様によるカトマイザー３０の略式分解図である。カトマイザーは外方のプラスチック製ハウジング３０２、マウスピース３５（ハウジングの一部として形成されてもよい）、気化器６２０、中空の内方管６１２およびコントロールユニットに取り付けるためのコネクター３１Ｂを有する。カトマイザー３０を通る空気流経路はコネクター３１Ｂを介した空気入り口で始まり、気化器６２５の内部および中空管６１２を通って最終的にマウスピース３５を通って出る。カトマイザー３０は、（ｉ）プラスチック製ハウジング３０２と（ｉｉ）気化器６２０および内方管６１２との間の環状領域に液体を保持する。コネクター３１Ｂにはシール６３５が設けられており、この領域での液体の保持の補助をし、漏れないようにしている。

図６は図５に示したカトマイザー３０の気化器６２０の略式分解図である。気化器６２０は、それぞれ実質的に半円形断面を有する２つの部品６２７Ａ、６２７Ｂから形成された実質的に円筒状のハウジング（クレードル）を有する。これらが組み立てられると、部品６２７Ａ、６２７Ｂの縁部は、互いに完全に当接せず（少なくともそれらの長さに沿って）、僅かな隙間６２５（図５に示すように）が残る。この隙間によって気化器と管６１２の周囲の外方容器から液体が気化器６２０の内部に入ることができる。

気化器の部品６２７Ｂの１つはヒーター３１０を支持する。ヒーターに電力（および無線通信信号）を供給するために示されている２つのコネクター６３１Ａ、６３１Ｂがある。より具体的にはこれらのコネクター６３１Ａ、６３１Ｂはヒーターをコネクター３１Ｂに接続し、そこからコントロールユニット２０へとつながる。（なお、コネクター６３１Ａは、ヒーター３１０の下を通り、図６では見えていないワイヤによって気化器６２０のコネクター３１Ｂから遠い端部でパッド６３２Ａに接続される。）

ヒーター３１０は焼結金属繊維材から形成された加熱エレメントを含み、一般に多孔性の導電性材（スチールなどの）のシート状である。しかしながら、当然のことながら他の多孔性導電材を使用してもよい。図６の例の加熱エレメント全体の抵抗は約１オームである。しかしながら、当然のことながら、例えば利用可能なバッテリー電圧および加熱エレメントの所望の温度・電力消費特性を考慮して他の抵抗を選択してもよい。この点に関し、使用の可能性のある液体源に応じて装置の所望のエアロゾル（蒸気）発生特性に従って関連する特性を選択してもよい。

加熱エレメントの主要部は、ほぼ長方形であり、長さ（即ち、コネクター３１Ｂと接触部６３２Ａ間を延びる距離において）が約２０ｍｍで、幅が約８ｍｍである。この例の加熱エレメントを含むシートの厚さは約０．１５ｍｍである。

図６から分かるように、加熱エレメントのほぼ長方形の主要部は、長い方の側部それぞれから内方に延びたスロット３１１を有する。これらのスロット３１１は気化器ハウジング部品６２７Ｂによって設けられたペグ３１２と係合し、これにより加熱エレメントのハウジング部品６２７Ａ、６２７Ｂに対する位置を維持しやすくする。

スロットは約４．８ｍｍ内方に延び、約０．６ｍｍの幅を有する。内方に延びたスロット３１１は、加熱エレメントの両側で約５．４ｍｍ互いに離れており、対向側部から内方に延びたこれらスロットは、この間隔の約半分の長さで互いにオフセットしている。スロットをこの構成にすることによって、加熱エレメントに沿って電流を実際に蛇行経路を強制的に辿らせ、その結果スロットの端部の周囲に電流および電力が集中することになる。加熱エレメントの種々の位置での異なる電流・電力密度は、比較的低電流密度の領域より熱くなる比較的高電流密度の領域が存在することを意味する。これは実際には加熱エレメントにある範囲の異なる温度および温度勾配を供し、これはエアロゾル供給装置においては望ましい。これは液源の種々の成分が異なる温度でエアロゾル化・気化されるからであり、よってある範囲の温度を加熱エレメントに供することで液源中のある範囲の種々の成分を同時にエアロゾル化しやすくなる。

一方向において長尺の実質的に平面形状を有する図６に示すヒーター３１０は、アンテナとして機能するのに適切である。コントロールユニットの金属製ハウジング２０２と共にヒーター３１０はおおよその双極子配置を形成し、これは約１２ｃｍの波長に対するブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギー通信の波長、即ち数センチの大きさ（ヒーター３１０と金属製ハウジング２０２の両方に可能な）と同じ桁の物理的な大きさを有する。実際にはヒーター３１０は少なくとも１０ｍの範囲に亘ってブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギー通信をうまく行えることが判っており、これは図４（無線通信に関わる両装置が単一の固体に関連し、１ｍを越えて通常は離れない）に関し上記した多くの典型的な用途シナリオに対応するのに充分である。

図６はヒーター３１０（加熱エレメント）の１つの形状および構成を例示しているが、当業者は種々の他の形状も可能であることを認識している。例えば、ヒーターは抵抗性ワイヤのコイルまたはいくつかの他の構成のものとして提供してもよい。これとは別にヒーターを気化される液体を含むパイプ（タバコ製品のなんらかの形態のような）とし構成することも可能である。この場合にはパイプは熱を発生した場所（例えば、コイルまたは他の加熱エレメントによって）から気化される液体へと熱を運ぶために主に使用される。このような場合、パイプは加熱される液体に対してヒーターとしも機能する。

このような構成は無線構造を支持するアンテナとしても使用することができる。（コイルは、例えば通常は図に示した特定の形状のものより低い効率であるが、約１ｍの極めて短い伝送距離であっても多くの用途で許容される。）

種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践される。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および／または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および／または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。

Claims (21)

1. 電子蒸気供給装置であって、この供給装置は、
   その装置のユーザーによる吸引のためのエアロゾルを形成するために液体を気化するための電子ヒーターと、
   無線通信を供するための通信インターフェースとを含み、当該通信インターフェースは電子蒸気供給装置と１つ以上の外部システムとの間のデータを交換できるように構成され、
   通信インターフェースはヒーターを無線通信用のアンテナとして使用するように構成されている電子蒸気供給装置。
2. 通信インターフェースはブルートゥース（登録商標）・ロー・エネルギーであることを特徴とする請求項１記載の電子蒸気供給装置。
3. 通信インターフェースがブルートゥース（登録商標）であることを特徴とする請求項１記載の電子蒸気供給装置 。
4. 通信インターフェースが近距離無線通信（ＮＦＣ）であることを特徴とする請求項１記載の電子蒸気供給装置。
5. 通信インターフェースが電子蒸気供給装置の第１部分に設けられ、ヒーターが電子蒸気供給装置の第２部分に設けられていることを特徴とする請求項１乃至４いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
6. 電子蒸気供給装置の第１部分は金属製ハウジングを有し、電子蒸気供給装置の第２部分は非金属製ハウジングを有することを特徴とする請求項５記載の電子蒸気供給装置。
7. 第１部分の金属製ハウジングは無線通信用のグラウンド・プレーンを供することを特徴とする請求項６記載の電子蒸気供給装置。
8. 電子蒸気供給装置の第２部分は電子蒸気供給装置の第１部分から分離可能であり、電子蒸気供給装置の第１および第２部分それぞれには電子蒸気供給装置の第１および第２部分間を機械的および電気的に接続するコネクターが設けられていることを特徴とする請求項５乃至７いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
9. 電子蒸気供給装置の第１部分は電力供給部を含み、電子蒸気供給装置の第２部分はヒーターによって気化される液体の容器を含むことを特徴とする請求項５乃至８いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
10. ヒーターに電力供給部からの電力ライン接続部が設けられており、無線通信用の信号が電力ライン接続部を経由して電力の供給に付加されていることを特徴とする請求項１乃至９いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
11. 無線インターフェースは電力ライン接続部への静電結合部を有することを特徴とする請求項１０記載の電子蒸気供給装置。
12. 無線インターフェースはインピーダンス整合を供するＬＣネットワークによって電力ライン接続部に結合されることを特徴とする請求項１１記載の電子蒸気供給装置。
13. 電力供給部からヒーターへの電力の流れを制御するスイッチを操作するコントローラーをさらに含み、このコントローラーは、ユーザーが電子蒸気供給装置で吸引を行ったことを検知することに応じて加熱を行うために電力供給部から電力の流れを発生させるように構成されていることを特徴とする請求項１０乃至１２いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
14. コントローラーおよび通信インターフェースは単独のチップに一体化されていることを特徴とする請求項１３記載の電子蒸気供給装置。
15. ヒーターが電子蒸気供給装置のユーザーによる吸引のためのエアロゾルを形成するために液体を気化するために作動している際、無線通信を行わないように構成されていることを特徴とする請求項１乃至１４いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
16. ヒーターは 実質的に平面の金属シートを含むことを特徴とする請求項１乃至１５いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
17. ヒーターは焼結金属繊維材料から形成されることを特徴とする請求項１６記載の電子蒸気供給装置。
18. 平面金属シートはほぼ矩形であり、最長寸法が電子蒸気供給装置のマウスピースの方に向いていることを特徴とする請求項１６または１７記載の電子蒸気供給装置。
19. ヒーターは少なくとも１０ｍｍの長さで延びている最長寸法を有することを特徴とする請求項１６乃至１８いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
20. エアロゾルを形成するための液体は電子蒸気供給装置内で発泡体または綿などの吸収材料または植物派生材料に保持されることを特徴とする請求項１乃至１９いずれか１項記載の電子蒸気供給装置。
21. 電子蒸気供給装置用のコントロールユニットであり、このユニットは、
    電力供給部と、
    電気ヒーターを含む気化器またはカトマイザーへ取り付けるためのものであり、ユーザーによる吸引のためのエアロゾルを形成するために液体を気化するためのヒーターに電力供給部から電力を供給するように構成されたコネクターと、
    無線通信を供するための通信インターフェースとを含み、当該通信インターフェースは電子蒸気供給装置と１つ以上の外部システムとの間のデータを交換できるように構成され、この通信インターフェースはヒーターをアンテナとして使用することによって無線通信用の信号を送受信するためにコネクターを使用するように構成されているコントロールユニット。

Images