JP6630647B2 - 空気供給装置 - Google Patents

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本発明は、原料空気から窒素と酸素とを分離して高酸素濃度の空気や低酸素濃度の空気などの特殊組成の空気を生成し、その生成した特殊組成の空気を所定の空気被供給部に供給する空気供給装置に関する。
従来から、大気中の空気(原料空気)に対し特殊な酸素濃度を有する特殊組成の空気を、トレーニングルーム等の特殊環境室に供給する空気供給装置が知られている。この種の空気供給装置が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された空気供給装置は、圧力変動吸着機構又はポリイミド中空糸膜からなる気体分離膜を備えた空気生成部によって高酸素濃度及び低酸素濃度の特殊組成の空気をそれぞれ生成し、その生成した特殊組成の空気を特殊環境室に供給するよう構成されている。
空気供給装置により高酸素濃度の空気が供給された特殊環境室は、疲労回復、運動後や病後のリハビリテーション等の施設として利用することができる。また、空気供給装置により低酸素濃度の空気が供給された特殊環境室は、スポーツの高地トレーニング等を疑似的に体験可能な施設として利用することができる。
特許第3245387号公報
ところで、特殊環境室内での人の活動を考慮すると、当該特殊環境室に特殊組成の空気を供給する空気供給装置は、高い安全性が確保された装置である必要がある。この点に鑑みると、空気供給装置の空気生成部により生成される高酸素濃度及び低酸素濃度のいずれかの特殊組成の空気には、当該空気生成部における二酸化炭素の分離能に応じて、二酸化炭素が大気中の空気よりも高濃度に含まれる。
高濃度の二酸化炭素を含む空気を人が吸引すると、頭痛等の危惧すべき症状が現れるおそれがある。このような問題に対し、特許文献1に開示された技術では、特殊組成の空気が供給される特殊環境室に二酸化炭素除去装置を付設し、当該特殊環境室内の二酸化炭素濃度を低減する対策が採られている。
ただし、上記の対策を採用した場合であっても、特殊環境室において特殊組成の空気が流入する流入口付近では依然として二酸化炭素が高濃度であり、当該流入口付近で長時間滞在するなど特殊環境室の特殊な利用状況によっては、上記の頭痛等の危惧すべき症状の発現を確実に抑止できない可能性がある。従って、特殊組成の空気を供給する空気供給装置においては、高い安全性を確保するために、更なる改善の余地がある。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特殊組成の空気を供給する空気供給装置において、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置を提供することにある。
本発明の一の局面に係る空気供給装置は、所定の空気被供給部に特殊組成の空気を供給する空気供給装置であって、原料空気を導出する原料空気導出部と、前記原料空気導出部により導出される前記原料空気から窒素と酸素とを分離し、当該原料空気よりも高酸素濃度及び低酸素濃度の空気をそれぞれ生成する空気生成部と、前記空気生成部により生成された空気が前記空気被供給部に向かって一方向に流れる流路部であって、前記高酸素濃度の空気が流れる第1流路部、及び、前記低酸素濃度の空気が流れる第2流路部と、前記空気生成部における二酸化炭素の分離能に基づいて、前記第1流路部及び前記第2流路部の少なくともいずれか一方の流路部に配置され、当該流路部を一方向に流れる空気から二酸化炭素を除去する二酸化炭素除去部と、を備える。
この空気供給装置によれば、空気生成部は、原料空気を2分して、高酸素濃度及び低酸素濃度の特殊組成の空気をそれぞれ生成する。この空気生成部により生成された特殊組成の空気のうち、高酸素濃度の空気は第1流路部を流れて空気被供給部に供給され、低酸素濃度の空気は第2流路部を流れて空気被供給部に供給される。ここで、空気供給装置は、二酸化炭素除去部を備える。この二酸化炭素除去部は、空気生成部における二酸化炭素の分離能に基づいて、第1流路部及び第2流路部の少なくともいずれか一方の流路部に配置される。これにより、二酸化炭素の濃度が低減された特殊組成の空気を空気被供給部に供給することができる。このため、空気被供給部において高濃度の二酸化炭素を含む空気が存在する領域部分をなくすことができる。従って、空気被供給部において特殊組成の空気を吸引した人に、頭痛等の危惧すべき症状が現れてしまうことを確実に抑止することができ、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置となる。
上記の空気供給装置は、前記第1流路部を流れる前記高酸素濃度の空気と、前記第2流路部を流れる前記低酸素濃度の空気とをそれぞれ、前記原料空気導出部により導出される前記原料空気の一部と混合し、その混合された混合空気を前記空気被供給部に向けて流出させる混合部を、更に備える構成としてもよい。
この態様では、空気被供給部に供給される空気は、混合部から流出された混合空気となる。この混合部は、空気生成部により生成された特殊組成の空気と、原料空気導出部により導出された原料空気の一部とを混合することによって、空気被供給部に供給すべき混合空気を調製する。これにより、所望の酸素濃度値に高精度に調整された混合空気を空気被供給部に供給することができる。また、原料空気導出部により導出された原料空気の一部が流入される混合部を備えた構成とすることによって、空気生成部が何らかの異常によって停止した場合であっても、当該原料空気の一部を混合部を介して空気被供給部に供給することができる。このため、空気生成部の異常停止時においても、空気被供給部を利用する人の安全性が確保される。
上記の空気供給装置において、前記二酸化炭素除去部は、前記混合部に対して空気の流れ方向上流側に配置されることが望ましい。
この態様では、空気生成部により生成された特殊組成の空気が混合部に流入される前に、当該特殊組成の空気に高濃度に含まれる二酸化炭素を、二酸化炭素除去部によって除去することができる。このため、二酸化炭素除去部による二酸化炭素の除去効率を向上することができる。
上記の空気供給装置において、前記空気生成部は、前記原料空気から窒素と酸素とを分離可能な気体分離膜を含み、当該気体分離膜により、前記高酸素濃度の空気と前記低酸素濃度の空気とをそれぞれ生成する構成としてもよい。
この態様では、気体分離膜を備えた簡単化された構成で、空気生成部における特殊組成の空気を生成するための構成を実現することができる。
上記の空気供給装置において、前記気体分離膜は、窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性を有し、前記二酸化炭素除去部は、前記第1流路部に配置される構成としてもよい。
窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性を有する気体分離膜によって特殊組成の空気を生成する場合、高酸素濃度の空気に二酸化炭素が高濃度に含まれることになる。このような場合、高酸素濃度の空気が流れる第1流路部に二酸化炭素除去部が配置される構成とすることによって、高酸素濃度の空気から二酸化炭素を効率よく除去することができる。
上記の空気供給装置において、前記気体分離膜は、ポリイミドからなる中空糸膜である構成としてもよい。
ポリイミドからなる中空糸膜は、窒素に対して酸素及び二酸化炭素の透過速度が速く、窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性が優れた分離膜である。このようなポリイミドからなる中空糸膜を気体分離膜として用いることによって、高酸素濃度及び低酸素濃度の特殊組成の空気を効率よく生成することができる。
上記の空気供給装置において、前記空気被供給部は、人を収容可能な収容空間を画定する第1特殊環境室及び第2特殊環境室を含む。そして、前記第1流路部を流れる前記高酸素濃度の空気は、前記第1特殊環境室に供給され、前記第2流路部を流れる前記低酸素濃度の空気は、前記第2特殊環境室に供給される構成としてもよい。
この態様では、空気生成部により生成された高酸素濃度及び低酸素濃度の特殊組成の空気をそれぞれ、第1特殊環境室及び第2特殊環境室の各々に供給することができる。高酸素濃度の空気が供給された第1特殊環境室は、疲労回復、運動後や病後のリハビリテーション等の施設として利用することができる。また、低酸素濃度の空気が供給された第2特殊環境室は、スポーツの高地トレーニング等を疑似的に体験可能な施設として利用することができる。
本発明によれば、所定の空気被供給部に特殊組成の空気を供給する空気供給装置において、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る空気供給装置の構成を概略的に示す図である。 空気供給装置に備えられる空気生成部の第1例の構成を示す図である。 空気供給装置に備えられる空気生成部の第2例の構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る空気供給装置の構成を概略的に示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る空気供給装置について図面に基づいて説明する。本実施形態に係る空気供給装置は、大気中の空気とは酸素濃度が異なる特殊組成の空気を、所定の空気被供給部に供給するための装置である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気供給装置1の構成を概略的に示す図である。空気供給装置1は、人を収容可能な収容空間を画定する第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bからなる空気被供給部に特殊組成の空気を供給可能に構成されている。
第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bは、恒久的な建造物であってもよいし、パネル組立式又はテント式のような可動もしくは仮設的な構造物であってもよい。第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bは、耐圧性や耐真空性を有するものである必要はないが、収容空間内の空気組成が維持できるよう、ある程度の気密性を有していることが望ましい。
空気供給装置1は、原料空気導出部2と、空気生成部3と、二酸化炭素除去部4と、混合部5とを備える。
原料空気導出部2は、大気中の空気を原料空気として加圧下にて導出するものであり、例えば空気圧縮機によって実現される。原料空気導出部2は、原料空気吸入口21と原料空気導出口22とを含む。原料空気吸入口21には、原料空気吸入流路部21Aが接続されている。この原料空気吸入流路部21Aは、原料空気吸入口21から原料空気導出部2に吸入される原料空気が流れる流路を形成する。また、原料空気導出口22には、原料空気導出流路部22Aが接続されている。この原料空気導出流路部22Aは、原料空気導出口22から導出される原料空気が流れる流路を形成する。
原料空気導出部2は、原料空気吸入流路部21Aを流れて原料空気吸入口21から吸入される原料空気を圧縮し、その圧縮した原料空気を所定の吐出流量及び吐出圧力の加圧下にて原料空気導出口22から導出する。原料空気導出部2により原料空気導出口22から導出される原料空気の吐出流量及び吐出圧力は、後述の空気生成部3において原料空気から特殊組成の空気の生成が可能であり、且つ、後述の混合部5において原料空気を用いた混合空気の調製が可能となるように、設定される。
原料空気導出部2の原料空気導出口22から導出された原料空気は、原料空気導出流路部22Aを流れる。この原料空気導出流路部22Aには、第1開閉弁71と第1流量計8A1とが設けられている。
第1開閉弁71は、原料空気導出流路部22Aの流路を開閉するものであり、例えば電動弁によって実現される。第1開閉弁71は、原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の流量の調整が可能となるように、開度調整可能である。第1流量計8A1は、原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の流量を検出するためのものである。原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第1流量計8A1による検出データに基づいて、第1開閉弁71の開度が調整される。なお、原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の流量値は、後述の空気生成部3により生成される特殊組成の空気の酸素濃度が所定の濃度値となるように、設定される。
空気生成部3は、原料空気導出部2により導出される原料空気から窒素と酸素とを分離して当該原料空気を2分し、原料空気よりも高酸素濃度の空気(以下、「高酸素濃度空気」という)と、原料空気よりも低酸素濃度の空気(以下、「低酸素濃度空気」という)との特殊組成の空気をそれぞれ生成する。空気生成部3における特殊組成の空気を生成するための構造としては、例えば、気体分離膜を用いた構造と、圧力変動吸着(Pressure Swing Adsorption;略称PSA)機構を用いた構造とを挙げることができる。
まず、図1に加えて図2を参照して、気体分離膜を用いた構造の空気生成部3における具体的な構成を説明する。図2は、空気供給装置1に備えられる空気生成部3の第1例として、気体分離膜33を含んで構成される空気生成部3を示す図である。図2に示す空気生成部3は、本体部31と、一対の支持部32と、気体分離膜33とを含む。
空気生成部3において、本体部31は、内部空間を有する容器状に形成されている。この本体部31の内部空間に、互いに間隔をあけて一対の支持部32が配置され、その一対の支持部32によって気体分離膜33が支持されている。また、本体部31は、その内部空間と外部とを連通するように開口した、原料空気流入口311と、高酸素濃度空気流出口312と、低酸素濃度空気流出口313とを有する。
本体部31の原料空気流入口311には、原料空気導出流路部22Aが接続されている。原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気は、原料空気流入口311から本体部31の内部空間に流入する。原料空気流入口311から本体部31の内部空間に原料空気が流入すると、一対の支持部32に支持された気体分離膜33によって、高酸素濃度及び低酸素濃度の特殊組成の空気(高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気)がそれぞれ生成される。気体分離膜33によって生成される特殊組成の空気においては、原料空気の酸素濃度が例えば20.9%であるのに対し、高酸素濃度空気の酸素濃度が例えば46.3%であり、低酸素濃度空気の酸素濃度が例えば10.0%である。気体分離膜33の詳細については後述する。
本体部31の高酸素濃度空気流出口312には、第1流路部312Aが接続されている。この第1流路部312Aは、気体分離膜33によって生成された高酸素濃度空気が第1特殊環境室100Aに向かって流れる流路を形成する流路部である。第1流路部312Aには、第2開閉弁72と第2流量計8A2とが設けられている。
第2開閉弁72は、第1流路部312Aの流路を開閉するものであり、例えば電動弁によって実現される。第2開閉弁72は、第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気の流量の調整が可能となるように、開度調整可能である。第2流量計8A2は、第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気の流量を検出するためのものである。この第2流量計8A2は、第1流路部312Aにおいて、第2開閉弁72に対して高酸素濃度空気の流れ方向下流側に配置されている。第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第2流量計8A2による検出データに基づいて、第2開閉弁72の開度が調整される。
本体部31の低酸素濃度空気流出口313には、第2流路部313Aが接続されている。この第2流路部313Aは、気体分離膜33によって生成された低酸素濃度空気が第2特殊環境室100Bに向かって流れる流路を形成する流路部である。第2流路部313Aには、第3開閉弁73と第3流量計8A3とが設けられている。
第3開閉弁73は、第2流路部313Aの流路を開閉するものであり、例えば電動弁によって実現される。第3開閉弁73は、第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気の流量の調整が可能となるように、開度調整可能である。第3流量計8A3は、第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気の流量を検出するためのものである。この第3流量計8A3は、第2流路部313Aにおいて、第3開閉弁73に対して低酸素濃度空気の流れ方向下流側に配置されている。第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第3流量計8A3による検出データに基づいて、第3開閉弁73の開度が調整される。
ここで、空気生成部3に備えられる気体分離膜33について説明する。気体分離膜33は、原料空気から窒素と酸素とを分離可能な分離膜である。気体分離膜33は、高分子を用いた有機膜と、無機材料を用いた無機膜とに大別される。
無機膜の気体分離膜33を構成する無機材料としては、ゾル−ゲル法によるシリカやアルミナ、水熱合成法によるゼオライト、分相法による多孔質ガラスなどを挙げることができる。無機膜の気体分離膜33は、サブナノメートルサイズの細孔を有し、この細孔に対する気体分子の透過性の差を利用して、原料空気から窒素と酸素とを分離する。無機膜の気体分離膜33による気体分子の分離機構は、クヌーセン拡散、表面拡散、毛管凝縮またはミクロポアフィリング、分子篩の分離機構に分類され、大きな分離性は、細孔中での気体分子の表面拡散、毛管凝縮またはミクロポアフィリング、あるいは分子篩機構で発現する。
無機膜の気体分離膜33における細孔に対する気体分子の透過性は、その気体分子の分子直径によって大きく影響される。窒素、酸素及び二酸化炭素の分子直径は、酸素、窒素、二酸化炭素の順に大きい。このため、気体分子の分子直径の観点では、酸素、窒素、二酸化炭素の順に、細孔に対する透過性が低くなる。従って、無機膜の気体分離膜33は、気体分子の分子直径の観点では、窒素に対して酸素を選択的に透過させて高酸素濃度空気とし、非透過分を低酸素濃度空気とする。このとき、分子直径が窒素よりも大きい二酸化炭素は、低酸素濃度空気側に高濃度に含まれることになる。但し、無機膜の気体分離膜33における細孔に対する気体分子の透過性は、気体分子の分子直径のみによって決定されるものではないから、高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気のいずれの空気に二酸化炭素が高濃度に含まれるかを、実験的に予め検証しておく必要がある。
有機膜の気体分離膜33を構成する高分子としては、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリイミドなどを挙げることができる。有機膜の気体分離膜33の気体透過挙動は溶解拡散モデルで説明され、透過係数は溶解度係数と拡散係数の積で表される。気体分子は、気体分離膜33中へ溶解し、高分子鎖の熱運動で生じる間隙を高圧側から低圧側に拡散する。すなわち、有機膜の気体分離膜33は、気体分子の溶解度及び膜中の拡散速度差を利用して、原料空気から窒素と酸素とを分離する。なお、気体分子の気体分離膜33に対する透過係数は、気体分離膜33を構成する高分子の構造によって決定される。有機膜の気体分離膜33は、窒素に対して酸素を選択的に透過させて高酸素濃度空気とし、非透過分を低酸素濃度空気とする。このとき、高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気のいずれの空気に二酸化炭素が高濃度に含まれるかを、実験的に予め検証しておけばよい。また、有機膜の気体分離膜33は、平膜又は中空糸膜である。例えば特開平6−254367号公報に記載されるポリイミドからなる中空糸膜は、気体分離膜33として好適である。
また、上記の無機材料にポリイミドなどの高分子前駆体を熱処理した分子篩炭素膜や、ポリイミドを熱処理した炭素膜を、気体分離膜33として用いてもよい。例えば特許第2626837号公報に記載される、ポリイミドからなる中空糸膜を熱処理して作製される中空糸炭素膜を、気体分離膜33として用いることができる。
本実施形態では、空気生成部3の気体分離膜33によって生成され、高酸素濃度空気流出口312から流出されて第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気は第1特殊環境室100Aに供給され、低酸素濃度空気流出口313から流出されて第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気は第2特殊環境室100Bに供給される。すなわち、本実施形態では、空気生成部3により生成された高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気からなる特殊組成の空気をそれぞれ、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々に供給することができる。高酸素濃度空気が供給された第1特殊環境室100Aは、疲労回復、運動後や病後のリハビリテーション等の施設として利用することができる。また、低酸素濃度空気が供給された第2特殊環境室100Bは、スポーツの高地トレーニング等を疑似的に体験可能な施設として利用することができる。
次に、図1に加えて図3を参照して、PSA機構を用いた構造の空気生成部3の変形例における具体的な構成を説明する。図3は、空気供給装置1に備えられる空気生成部3の第2例として、PSA機構を含んで構成される空気生成部3を示す図である。図3に示す空気生成部3は、空気槽30Aと、第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2と、を含む。
空気生成部3は、第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2の各々において、吸着工程、第1均圧工程、脱着工程、第2均圧工程を1サイクルとする工程を繰り返し、空気槽30Aを通過して流入する原料空気から高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気をそれぞれ生成する。その際、一方の吸着塔が吸着工程に付されている間、他方の吸着塔は脱着工程に、一方の吸着塔が第1均圧工程に付されている間、他方の吸着塔は第2均圧工程に付される。
空気生成部3において、空気槽30Aには、原料空気導出流路部22Aと空気流出流路部30Cが接続されている。空気槽30Aは、原料空気導出流路部22Aを流れて流入される原料空気を一旦貯留し、その貯留した原料空気を空気流出流路部30Cに流出させる。空気流出流路部30Cには、開閉弁30C11が設けられた第1導入流路部30C1が第1吸着塔30B1との間に接続され、開閉弁30C21が設けられた第2導入流路部30C2が第2吸着塔30B2との間に接続されている。
第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2には吸着剤が充填されている。吸着剤としては、例えば、窒素に対する吸着能を有するゼオライトや、酸素に対する吸着能を有する活性炭などの、多孔質の吸着剤を挙げることができる。ゼオライトは、原料空気から窒素及び二酸化炭素を選択的に吸着する性質を有しており、高圧条件下において窒素及び二酸化炭素の吸着能が増大する。このため、ゼオライトが充填された第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2は、加圧下の吸着工程において窒素及び二酸化炭素を多く吸着して高酸素濃度空気を流出し、その後、減圧下の脱着工程において窒素及び二酸化炭素を脱着して低酸素濃度空気を流出する。すなわち、ゼオライトが充填された第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2においては、低酸素濃度空気に二酸化炭素が高濃度に含まれることになる。
一方、活性炭は、原料空気から酸素及び二酸化炭素を選択的に吸着する性質を有しており、高圧条件下において酸素及び二酸化炭素の吸着能が増大する。このため、活性炭が充填された第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2は、加圧下の吸着工程において酸素及び二酸化炭素を多く吸着して低酸素濃度空気を流出し、その後、減圧下の脱着工程において酸素及び二酸化炭素を脱着して高酸素濃度空気を流出する。すなわち、活性炭が充填された第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2においては、高酸素濃度空気に二酸化炭素が高濃度に含まれることになる。
第1吸着塔30B1には、開閉弁30D11が設けられ、高酸素濃度空気を流出させる第1高酸素濃度空気流出流路部30D1と、開閉弁30E11が設けられ、低酸素濃度空気を流出させる第1低酸素濃度空気流出流路部30E1とが接続されている。また、第2吸着塔30B2には、開閉弁30D21が設けられ、高酸素濃度空気を流出させる第2高酸素濃度空気流出流路部30D2と、開閉弁30E21が設けられ、低酸素濃度空気を流出させる第2低酸素濃度空気流出流路部30E2とが接続されている。なお、第1高酸素濃度空気流出流路部30D1及び第2高酸素濃度空気流出流路部30D2は、第1流路部312Aに接続され、第1低酸素濃度空気流出流路部30E1及び第2低酸素濃度空気流出流路部30E2は、第2流路部313Aに接続されている。
第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2の各々において、吸着工程、第1均圧工程、脱着工程、第2均圧工程を1サイクルとする工程を繰り返すことにより、高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気をそれぞれ生成するに際しては、第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2に充填される吸着剤の窒素又は酸素に対する吸着性に応じて、開閉弁30C11、30C21、30D11、30D21、30E11、30E21の開閉動作が制御される。
空気生成部3の第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2によって生成され、第1高酸素濃度空気流出流路部30D1及び第2高酸素濃度空気流出流路部30D2のいずれかの流路部から流出されて第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気は第1特殊環境室100Aに供給され、第1低酸素濃度空気流出流路部30E1及び第2低酸素濃度空気流出流路部30E2のいずれかの流路部から流出されて第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気は第2特殊環境室100Bに供給される。
次に、図1を参照して、空気供給装置1に備えられる二酸化炭素除去部4について説明する。二酸化炭素除去部4は、空気生成部3における二酸化炭素の分離能に基づいて、第1流路部312A及び第2流路部313Aの少なくともいずれか一方の流路部に配置され、当該流路部を流れる特殊組成の空気から二酸化炭素を除去する。二酸化炭素除去部4は、第1流路部312A及び第2流路部313Aのうち、二酸化炭素が原料空気よりも高濃度に含まれる特殊組成の空気が流れる流路部に配置される。ここで、二酸化炭素を除去するとは、空気生成部3によって生成された特殊組成の空気の二酸化炭素濃度を、原料空気の二酸化炭素濃度以下とすることである。例えば、原料空気の二酸化炭素濃度が0.03%である場合、二酸化炭素除去部4は、特殊組成の空気の二酸化炭素濃度が0.03%以下となるように、二酸化炭素を除去する。
空気生成部3に用いられる第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2に充填される吸着剤、又は気体分離膜33が、高酸素濃度空気に二酸化炭素が高濃度に含まれる特性を有する場合には、高酸素濃度空気が流れる第1流路部312Aに二酸化炭素除去部4が配置される。また、空気生成部3に用いられる第1吸着塔30B1及び第2吸着塔30B2に充填される吸着剤、又は気体分離膜33が、低酸素濃度空気に二酸化炭素が高濃度に含まれる特性を有する場合には、低酸素濃度空気が流れる第2流路部313Aに二酸化炭素除去部4が配置される。更に、空気生成部3により生成された高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気においてより一層、二酸化炭素濃度を低下させるために、第1流路部312A及び第2流路部313Aの両方の流路部に二酸化炭素除去部4が配置されてもよい。
二酸化炭素除去部4は、特殊組成空気流入口41と空気流出口42とを含む。二酸化炭素除去部4は、第1流路部312A及び第2流路部313Aの少なくともいずれか一方の流路部を流れて特殊組成空気流入口41から流入される特殊組成の空気から、二酸化炭素除去剤によって二酸化炭素を除去し、その二酸化炭素が除去された空気を空気流出口42から流出させる。
二酸化炭素除去部4において用いられる二酸化炭素除去剤としては、二酸化炭素を化学反応によって吸収する性質を有するアルカリ性物質や、二酸化炭素を吸着する性質を有する吸着剤を挙げることができる。アルカリ性物質としては、例えば、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アミンなどを挙げることができ、溶液として用いてもよいし、粒剤として用いてもよい。また、吸着剤としては、例えば、ゼオライトや活性炭などの多孔質の吸着剤を挙げることができる。
なお、二酸化炭素除去剤としてアルカリ性物質を用いた場合、二酸化炭素を吸収した後のアルカリ性物質は、加熱することにより二酸化炭素を放出させて再生することができる。また、二酸化炭素除去剤として吸着剤を用いた場合、高圧下で二酸化炭素を吸着した後の吸着剤は、減圧下で二酸化炭素を脱着させて再生することができる。空気供給装置1による特殊組成の空気の供給動作を継続しつつ、上記のような二酸化炭素除去剤の再生処理を実施するために、少なくとも2つの二酸化炭素除去部4を並列配置するよう構成してもよい。
空気生成部3によって生成された特殊組成の空気に二酸化炭素が高濃度に含まれ、このような空気が第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bに供給されると、その空気を意図せず直接的に吸引した人には、頭痛等の危惧すべき症状が現れてしまう可能性がある。そこで、本実施形態に係る空気供給装置1は、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bに供給される前に特殊組成の空気から二酸化炭素を除去する二酸化炭素除去部4を備える。この二酸化炭素除去部4は、上述の如く、空気生成部3における二酸化炭素の分離能に基づいて、第1流路部312A及び第2流路部313Aの少なくともいずれか一方の流路部に配置される。これにより、二酸化炭素の濃度が低減された特殊組成の空気を第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bに供給することができる。このため、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bにおいて高濃度の二酸化炭素を含む空気が存在する領域部分をなくすことができる。従って、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bにおいて特殊組成の空気を吸引した人に、頭痛等の危惧すべき症状が現れてしまうことを確実に抑止することができ、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置1となる。
本実施形態では、気体分離膜33を含んで構成される空気生成部3において、当該気体分離膜33は、窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性を有する分離膜とし、具体的にはポリイミドからなる中空糸膜とする。ポリイミドからなる中空糸膜は、窒素に対して酸素及び二酸化炭素の透過速度が速く、窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性が優れた分離膜である。このようなポリイミドからなる中空糸膜を気体分離膜33として用いることによって、空気生成部3において高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気からなる特殊組成の空気を、効率よく生成することができる。
ポリイミドからなる中空糸膜を用いた気体分離膜33によって生成される特殊組成の空気における酸素濃度及び二酸化炭素濃度の一例を示すと、原料空気流入口311から空気生成部3の本体部31に流入する原料空気が酸素濃度20.9%、二酸化炭素濃度0.03%であるのに対し、高酸素濃度空気が酸素濃度46.4%、二酸化炭素濃度0.13%であり、低酸素濃度空気が酸素濃度10.0%、二酸化炭素濃度0.005%である。このように、窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性を有する、ポリイミドからなる中空糸膜を気体分離膜33として用い、この気体分離膜33によって特殊組成の空気を生成する場合、高酸素濃度空気に二酸化炭素が高濃度に含まれることになる。
このような場合、図1に示すように、高酸素濃度空気が流れる第1流路部312Aに、二酸化炭素除去部4が配置される構成とする。具体的には、二酸化炭素除去部4は、第1流路部312Aにおいて、第2開閉弁72に対して高酸素濃度空気の流れ方向上流側に配置される。これにより、高酸素濃度空気から二酸化炭素を効率よく除去することができる。
次に、図1を参照して説明すると、空気供給装置1は、混合部5を備える構成としてもよい。混合部5は、第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気と、第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気とをそれぞれ、原料空気導出部2の原料空気導出口22から導出される原料空気の一部と混合する。そして、混合部5は、その混合された混合空気をそれぞれ、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々に向けて流出させる。本実施形態では、混合部5は、第1混合部51と第2混合部52とを含む。
第1混合部51には、原料空気導出流路部22Aから分岐した第1原料空気分岐流路部22Bと、第1流路部312Aと、第1混合空気流出流路部51Aとが接続されている。第1原料空気分岐流路部22Bは、原料空気導出部2の原料空気導出口22から導出される原料空気の一部が流れる流路を形成する。第1混合空気流出流路部51Aは、第1混合部51による混合により調製され、当該第1混合部51から流出される混合空気が、第1特殊環境室100Aに向けて流れる流路を形成する。第1混合部51は、第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気と、第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気とを混合し、その混合された混合空気を、第1混合空気流出流路部51Aを介して第1特殊環境室100Aに向けて流出させる。
第1原料空気分岐流路部22Bには、第4開閉弁74と、第4流量計8A4と、第1濃度計8B1とが設けられている。第1濃度計8B1は、第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気に含まれる一酸化炭素の濃度を検出するためのものである。この第1濃度計8B1による一酸化炭素の検出データに基づいて、原料空気導出部2の運転状態が監視される。なお、原料空気導出部2の運転状態を監視するための第1濃度計8B1は、第1原料空気分岐流路部22Bに配置されることに限定されるものではなく、原料空気が流れる流路部となる、原料空気導出流路部22Aや、後述の第2原料空気分岐流路部22Cに配置されていてもよい。
第4開閉弁74は、第1原料空気分岐流路部22Bの流路を開閉するものであり、例えば電動弁によって実現される。第4開閉弁74は、第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気の流量の調整が可能となるように、開度調整可能である。第4流量計8A4は、第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気の流量を検出するためのものである。この第4流量計8A4は、第1原料空気分岐流路部22Bにおいて、第4開閉弁74に対して原料空気の流れ方向下流側に配置されている。第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第4流量計8A4による検出データに基づいて、第4開閉弁74の開度が調整される。なお、第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気の流量値と、第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気の流量値とは、第1混合部51により調製され、第1特殊環境室100Aに供給すべき混合空気の組成が所望の組成となるように、設定される。
また、第1混合部51には、第2濃度計8B2が設けられている。第2濃度計8B2は、第1混合部51により調製された混合空気の組成を検出するためのものである。第2濃度計8B2は、第1混合部51により調製された混合空気において、主として酸素濃度及び二酸化炭素濃度を検出する。この第2濃度計8B2による検出データに基づいて、空気生成部3及び二酸化炭素除去部4の運転状態が監視される。
第2混合部52には、原料空気導出流路部22Aから分岐した第2原料空気分岐流路部22Cと、第2流路部313Aと、第2混合空気流出流路部52Aとが接続されている。第2原料空気分岐流路部22Cは、原料空気導出部2の原料空気導出口22から導出される原料空気の一部が流れる流路を形成する。第2混合空気流出流路部52Aは、第2混合部52による混合により調製され、当該第2混合部52から流出される混合空気が、第2特殊環境室100Bに向けて流れる流路を形成する。第2混合部52は、第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気と、第2原料空気分岐流路部22Cを流れる原料空気とを混合し、その混合された混合空気を、第2混合空気流出流路部52Aを介して第2特殊環境室100Bに向けて流出させる。
第2原料空気分岐流路部22Cには、第5開閉弁75と第5流量計8A5とが設けられている。
第5開閉弁75は、第2原料空気分岐流路部22Cの流路を開閉するものであり、例えば電動弁によって実現される。第5開閉弁75は、第2原料空気分岐流路部22Cを流れる原料空気の流量の調整が可能となるように、開度調整可能である。第5流量計8A5は、第2原料空気分岐流路部22Cを流れる原料空気の流量を検出するためのものである。この第5流量計8A5は、第2原料空気分岐流路部22Cにおいて、第5開閉弁75に対して原料空気の流れ方向下流側に配置されている。第2原料空気分岐流路部22Cを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第5流量計8A5による検出データに基づいて、第5開閉弁75の開度が調整される。なお、第2原料空気分岐流路部22Cを流れる原料空気の流量値と、第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気の流量値とは、第2混合部52により調製され、第2特殊環境室100Bに供給すべき混合空気の組成が所望の組成となるように、設定される。
また、第2混合部52には、第3濃度計8B3が設けられている。第3濃度計8B3は、第2混合部52により調製された混合空気の組成を検出するためのものである。第3濃度計8B3は、第2混合部52により調製された混合空気において、主として酸素濃度及び二酸化炭素濃度を検出する。この第3濃度計8B3による検出データに基づいて、空気生成部3の運転状態が監視される。
上記の混合部5を備えた空気供給装置1では、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bにそれぞれ供給される空気は、混合部5を構成する第1混合部51及び第2混合部52の各々から流出された混合空気となる。この混合部5は、空気生成部3により生成された特殊組成の空気と、原料空気導出部2から導出された原料空気の一部とを混合することによって、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々に供給すべき混合空気を調製する。これにより、所望の酸素濃度値に高精度に調整された混合空気を、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々に供給することができる。
また、原料空気導出部2から導出された原料空気の一部が流入される混合部5を備えた構成とすることによって、空気生成部3が何らかの異常によって停止した場合であっても、当該原料空気の一部を混合部5を介して第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bに供給することができる。このため、空気生成部3の異常停止時においても、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bを利用する人の安全性が確保される。
また、混合部5を備えた空気供給装置1において、二酸化炭素除去部4は、図1に示すように、混合部5に対して空気の流れ方向上流側に配置されることが望ましい。この態様では、空気生成部3により生成された特殊組成の空気が混合部5に流入される前に、当該特殊組成の空気に高濃度に含まれる二酸化炭素を、二酸化炭素除去部4によって除去することができる。このため、二酸化炭素除去部4による二酸化炭素の除去効率を向上することができる。
上述の如く、本実施形態に係る空気供給装置1は、空気生成部3によって原料空気から高酸素濃度空気と低酸素濃度空気との特殊組成の空気をそれぞれ生成し、その生成した特殊組成の空気を第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々に供給する。第1特殊環境室100Aには第4濃度計8B4が設けられ、第2特殊環境室100Bには第5濃度計8B5が設けられている。第4濃度計8B4及び第5濃度計8B5は、それぞれ、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々における空気組成を検出するためのものである。第4濃度計8B4及び第5濃度計8B5は、主として酸素濃度及び二酸化炭素濃度を検出する。この第4濃度計8B4及び第5濃度計8B5による検出データに基づいて、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々における空気組成が監視される。
更に、第1特殊環境室100Aには第1換気部100A1が設けられ、第2特殊環境室100Bには第2換気部100B1が設けられている。第1換気部100A1及び第2換気部100B1は、それぞれ、ダンパーや換気扇によって構成され、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bの各々における空気を換気する。
また、図1に示すように、空気供給装置1は、空気被供給部としての第1吸引マスク101A及び第2吸引マスク101Bに、特殊組成の空気を供給可能に構成されてもよい。具体的には、空気供給装置1は、第1吸引マスク101Aに接続される第1混合空気分岐流路部51A1と、第2吸引マスク101Bに接続される第2混合空気分岐流路部52A1とを備えた構成とされる。ここで、第1吸引マスク101A及び第2吸引マスク101Bは、人の鼻及び口を覆うように顔面に装着され、供給された特殊組成の空気を人が吸引可能に構成された空気被供給部である。
第1混合空気分岐流路部51A1は、第1混合部51から流出された高酸素濃度の混合空気が流れる第1混合空気流出流路部51Aから分岐し、第6開閉弁76が設けられた流路部である。第6開閉弁76が開放された状態で第1吸引マスク101Aを装着することによって、第1特殊環境室100Aの外部であっても高酸素濃度の混合空気を吸引することができる。
第2混合空気分岐流路部52A1は、第2混合部52から流出された低酸素濃度の混合空気が流れる第2混合空気流出流路部52Aから分岐し、第7開閉弁77が設けられた流路部である。第7開閉弁77が開放された状態で第2吸引マスク101Bを装着することによって、第2特殊環境室100Bの外部であっても低酸素濃度の混合空気を吸引することができる。
また、図1に示すように、空気供給装置1は、第2特殊環境室100Bと原料空気吸入流路部21Aとの間に接続される回収空気流過流路部6を備えた構成とされてもよい。回収空気流過流路部6は、第2特殊環境室100B内の空気の一部が、原料空気吸入流路部21Aへと流れる流路を形成する。この回収空気流過流路部6には、第8開閉弁78が設けられている。第8開閉弁78は、回収空気流過流路部6の流路を開閉するものであり、例えば電動弁によって実現される。第8開閉弁78は、回収空気流過流路部6を流れる空気の流量の調整が可能となるように、開度調整可能である。第2特殊環境室100Bの空気組成を監視するための第5濃度計8B5による検出データに基づいて、第8開閉弁78の開度が調整される。
低酸素濃度の混合空気が供給される第2特殊環境室100Bは、上述の如く、スポーツの高地トレーニング等を疑似的に体験可能な施設として利用される。このため、第2特殊環境室100Bは、第1特殊環境室100Aに比べて運動時の人の呼吸に伴って、二酸化炭素濃度が上昇しがちである。そこで、二酸化炭素濃度が上昇した第2特殊環境室100B内の空気の一部を、回収空気流過流路部6を介して原料空気吸入流路部21Aへと流すことによって、二酸化炭素濃度の過度な上昇を抑止することができる。原料空気吸入流路部21Aに戻された第2特殊環境室100B内の空気に含まれる二酸化炭素は、二酸化炭素除去部4によって除去される。
なお、空気供給装置1は、第1特殊環境室100Aと原料空気吸入流路部21Aとの間にも、上記の回収空気流過流路部6が接続されるよう、構成されてもよい。これにより、第1特殊環境室100Aの二酸化炭素濃度が過度に上昇した場合などに、当該第1特殊環境室100A内の空気の一部を、回収空気流過流路部6を介して原料空気吸入流路部21Aへと流すことができる。
また、図1に示すように、空気供給装置1は、制御部9を備えている。制御部9は、空気供給装置1の動作を統括的に制御する。制御部9は、例えば制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶装置が内蔵されたマイクロコンピュータからなり、前記制御プログラムが読み出されることにより、空気供給装置1の動作を制御する。
制御部9は、原料空気導出部2を制御し、圧縮した原料空気を所定の吐出流量及び吐出圧力で導出させる。これにより、原料空気導出部2から導出された原料空気は、原料空気導出流路部22Aを流れて空気生成部3に流入する。このとき、制御部9は、原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第1流量計8A1による検出データに基づいて、第1開閉弁71の開度を調整する。
また、原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の一部は、第1原料空気分岐流路部22B及び第2原料空気分岐流路部22Cを流れて、第1混合部51及び第2混合部52の各々に流入する。このとき、制御部9は、第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第4流量計8A4による検出データに基づいて、第4開閉弁74の開度を調整する。また、制御部9は、第2原料空気分岐流路部22Cを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第5流量計8A5による検出データに基づいて、第5開閉弁75の開度を調整する。
原料空気が流入された空気生成部3は、高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気を生成する。空気生成部3により生成された高酸素濃度空気は、第1流路部312Aを流れ、二酸化炭素除去部4を通過して第1混合部51に流入する。このとき、制御部9は、第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第2流量計8A2による検出データに基づいて、第2開閉弁72の開度を調整する。
また、空気生成部3により生成された低酸素濃度空気は、第2流路部313Aを流れて第2混合部52に流入する。このとき、制御部9は、第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第3流量計8A3による検出データに基づいて、第3開閉弁73の開度を調整する。
原料空気及び高酸素濃度空気が流入された第1混合部51は、高酸素濃度の混合空気を調製する。第1混合部51により調製された混合空気は、第1混合空気流出流路部51Aを流れて、第1特殊環境室100Aに供給される。また、第6開閉弁76が開放された状態で第1混合空気分岐流路部51A1を流れた混合空気は、第1吸引マスク101Aに供給される。
また、原料空気及び低酸素濃度空気が流入された第2混合部52は、低酸素濃度の混合空気を調製する。第2混合部52により調製された混合空気は、第2混合空気流出流路部52Aを流れて、第2特殊環境室100Bに供給される。また、第7開閉弁77が開放された状態で第2混合空気分岐流路部52A1を流れた混合空気は、第2吸引マスク101Bに供給される。
低酸素濃度の混合空気が供給された第2特殊環境室100Bにおいて、第5濃度計8B5による検出データが、二酸化炭素濃度が過度に高い値を示す場合には、制御部9は、第8開閉弁78の開度を調整し、二酸化炭素濃度が上昇した第2特殊環境室100B内の空気の一部を、回収空気流過流路部6を介して原料空気吸入流路部21Aへと流す。
また、第1混合部51に設けられた第2濃度計8B2及び第1特殊環境室100Aに設けられた第4濃度計8B4による検出データにおいて、酸素濃度が異常値を示す場合には、制御部9は、第1混合部51に接続された流路部の開閉弁について、高酸素濃度空気の流路となる第1流路部312Aに設けられた第2開閉弁72を閉鎖するとともに、原料空気の流路となる第1原料空気分岐流路部22Bに設けられた第4開閉弁74を開放状態で維持する。これにより、酸素濃度が異常値を示す高酸素濃度空気が第1特殊環境室100Aに供給されることを規制し、原料空気のみを第1特殊環境室100Aに供給することができる。この結果、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置1となる。
また、第2混合部52に設けられた第3濃度計8B3及び第2特殊環境室100Bに設けられた第5濃度計8B5による検出データにおいて、酸素濃度が異常値を示す場合には、制御部9は、第2混合部52に接続された流路部の開閉弁について、低酸素濃度空気の流路となる第2流路部313Aに設けられた第3開閉弁73を閉鎖するとともに、原料空気の流路となる第2原料空気分岐流路部22Cに設けられた第5開閉弁75を開放状態で維持する。これにより、酸素濃度が異常値を示す低酸素濃度空気が第2特殊環境室100Bに供給されることを規制し、原料空気のみを第2特殊環境室100Bに供給することができる。この結果、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置1となる。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る空気供給装置10の構成を概略的に示す図である。上述の第1実施形態に係る空気供給装置1は、第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bからなる2つの特殊環境室に、酸素濃度が異なる特殊組成の空気をそれぞれ供給可能に構成された装置である。これに対し、第2実施形態に係る空気供給装置10は、1つの特殊環境室100に、酸素濃度が異なる特殊組成の空気を切替えて供給する装置である。第2実施形態に係る空気供給装置10は、酸素濃度が異なる特殊組成の空気を切替えて供給するための切替え機構10Aを備えること以外は、第1実施形態に係る空気供給装置1と同様に構成される。このように第2実施形態に係る空気供給装置10は、第1実施形態に係る空気供給装置1と同様の部分を有する。従って、以下の説明及び図において、対応する同様の部分については同一の参照符号を付すとともに、説明を省略する。
第2実施形態に係る空気供給装置10は、原料空気導出部2と、空気生成部3と、二酸化炭素除去部4と、混合部5と、切替え機構10Aと、制御部9とを備える。
空気供給装置10において、原料空気導出部2は、原料空気吸入流路部21Aを流れて原料空気吸入口21から吸入される原料空気を圧縮し、その圧縮した原料空気を所定の吐出流量及び吐出圧力の加圧下にて原料空気導出口22から導出する。原料空気導出口22から導出された原料空気は、原料空気導出流路部22Aを流れて空気生成部3に流入する。このとき、制御部9は、原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第1流量計8A1による検出データに基づいて、第1開閉弁71の開度を調整する。
また、原料空気導出流路部22Aを流れる原料空気の一部は、第1原料空気分岐流路部22Bを流れて、混合部5に流入する。このとき、制御部9は、第1原料空気分岐流路部22Bを流れる原料空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第4流量計8A4による検出データに基づいて、第4開閉弁74の開度を調整する。
原料空気が流入された空気生成部3は、高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気を生成する。本実施形態では、気体分離膜33を含んで構成される空気生成部3とし、当該気体分離膜33は、窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性を有する、ポリイミドからなる中空糸膜とする。空気生成部3により生成された高酸素濃度空気は第1流路部312Aを流れ、低酸素濃度空気は第2流路部313Aを流れる。
ここで、二酸化炭素除去部4は、空気生成部3における二酸化炭素の分離能に基づいて、第1流路部312A及び第2流路部313Aの少なくともいずれか一方の流路部に配置される。図4に示す例では、空気生成部3の気体分離膜33が窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性を有するポリイミド中空糸膜であることに対応して、高酸素濃度空気が流れる第1流路部312Aに、二酸化炭素除去部4が配置されている。これにより、二酸化炭素の濃度が低減された特殊組成の空気を特殊環境室100に供給することができる。従って、特殊環境室100において特殊組成の空気を吸引した人に、頭痛等の危惧すべき症状が現れてしまうことを確実に抑止することができ、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置10となる。
空気供給装置10に備えられる切替え機構10Aは、第1流路部312A及び第2流路部313Aの混合部5を介した特殊環境室100との連通状態を選択的に切替えて、空気生成部3により生成された高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気のいずれか一方の空気を、特殊環境室100に向けて供給するための機構である。切替え機構10Aは、第1切替え開閉弁10A1と、第2切替え開閉弁10A2と、第1排出開閉弁10A3と、第2排出開閉弁10A4と、切替え空気流出流路部10A5と、切替え空気流出開閉弁10A6と、第6流量計8A6とを含む。
第1切替え開閉弁10A1は、第1流路部312Aに設けられ、第1流路部312Aの流路を開閉するための開閉弁である。第1排出開閉弁10A3は、第1流路部312Aを流れる高酸素濃度空気を外部に排出するときに用いられる開閉弁である。第1排出開閉弁10A3は、高酸素濃度空気を外部に排出するときには開放され、それ以外は閉鎖される。
第2切替え開閉弁10A2は、第2流路部313Aに設けられ、第2流路部313Aの流路を開閉するための開閉弁である。第2排出開閉弁10A4は、第2流路部313Aを流れる低酸素濃度空気を外部に排出するときに用いられる開閉弁である。第2排出開閉弁10A4は、低酸素濃度空気を外部に排出するときには開放され、それ以外は閉鎖される。
切替え空気流出流路部10A5は、第1流路部312A及び第2流路部313Aと混合部5との間に配置され、高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気のいずれか一方の空気が流れる流路を形成する流路部である。切替え空気流出流路部10A5は、第1流路部312Aの高酸素濃度空気流出口312と接続される側とは反対の端部、及び、第2流路部313Aの低酸素濃度空気流出口313と接続される側とは反対の端部に接続されるとともに、混合部5に接続される。
切替え空気流出開閉弁10A6は、切替え空気流出流路部10A5に設けられ、切替え空気流出流路部10A5の流路を開閉するための開閉弁である。切替え空気流出開閉弁10A6は、切替え空気流出流路部10A5を流れる空気の流量の調整が可能となるように、開度調整可能である。第6流量計8A6は、切替え空気流出流路部10A5を流れる空気の流量を検出するためのものである。切替え空気流出流路部10A5を流れる空気の流量が所定の流量値で一定に保持されるように、第6流量計8A6による検出データに基づいて、切替え空気流出開閉弁10A6の開度が調整される。
特殊環境室100に高酸素濃度の混合空気を供給する場合、制御部9は、第1切替え開閉弁10A1、第2排出開閉弁10A4及び切替え空気流出開閉弁10A6を開放するとともに、第2切替え開閉弁10A2及び第1排出開閉弁10A3を閉鎖する。これにより、空気生成部3により生成された高酸素濃度空気は、第1流路部312Aを流れて二酸化炭素除去部4を通過し、更に切替え空気流出流路部10A5を流れて混合部5に流入する。また、空気生成部3により生成された低酸素濃度空気は、第2流路部313Aを流れて第2排出開閉弁10A4を介して外部に排出され、混合部5への流入が規制される。原料空気及び高酸素濃度空気が流入された混合部5は、高酸素濃度の混合空気を調製する。混合部5により調製された混合空気は、混合空気流出流路部5Aを流れて、特殊環境室100に供給される。
特殊環境室100に低酸素濃度の混合空気を供給する場合、制御部9は、第2切替え開閉弁10A2、第1排出開閉弁10A3及び切替え空気流出開閉弁10A6を開放するとともに、第1切替え開閉弁10A1及び第2排出開閉弁10A4を閉鎖する。これにより、空気生成部3により生成された低酸素濃度空気は、第2流路部313A及び切替え空気流出流路部10A5を流れて混合部5に流入する。また、空気生成部3により生成された高酸素濃度空気は、第1流路部312Aを流れて第1排出開閉弁10A3を介して外部に排出され、混合部5への流入が規制される。原料空気及び低酸素濃度空気が流入された混合部5は、低酸素濃度の混合空気を調製する。混合部5により調製された混合空気は、混合空気流出流路部5Aを流れて、特殊環境室100に供給される。
低酸素濃度の混合空気が供給された特殊環境室100において、当該特殊環境室100に設けられた第7濃度計8B7による検出データが、二酸化炭素濃度が過度に高い値を示す場合には、制御部9は、第8開閉弁78の開度を調整し、二酸化炭素濃度が上昇した特殊環境室100内の空気の一部を、回収空気流過流路部6を介して原料空気吸入流路部21Aへと流す。
また、混合部5に設けられた第6濃度計8B6及び特殊環境室100に設けられた第7濃度計8B7による検出データにおいて、酸素濃度が異常値を示す場合には、制御部9は、混合部5に接続された流路部の開閉弁について、高酸素濃度空気及び低酸素濃度空気のいずれか一方の空気の流路となる切替え空気流出流路部10A5に設けられた切替え空気流出開閉弁10A6を閉鎖するとともに、原料空気の流路となる第1原料空気分岐流路部22Bに設けられた第4開閉弁74を開放状態で維持する。これにより、酸素濃度が異常値を示す空気が特殊環境室100に供給されることを規制し、原料空気のみを特殊環境室100に供給することができる。この結果、高い安全性を確保することが可能な空気供給装置10となる。
以上、本発明の実施形態に係る空気供給装置1,10について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
(1)図4に示す、上記の第2実施形態に係る空気供給装置10においては、空気被供給部としての1つの特殊環境室100に特殊組成の空気を供給する構成について説明したが、本発明は、この構成に限定されるものではない。第1実施形態に係る空気供給装置1と同様に、空気供給装置10が、空気被供給部としての吸引マスクに、特殊組成の空気を供給可能に構成されてもよい。この場合、空気供給装置10は、混合空気流出流路部5Aから分岐し、吸引マスクに接続される混合空気分岐流路部と、当該混合空気分岐流路部に設けられる開閉弁とを備えた構成とされる。
(2)また、上記の第1実施形態に係る空気供給装置1は第1特殊環境室100A及び第2特殊環境室100Bに特殊組成の空気を供給し、上記の第2実施形態に係る空気供給装置10は特殊環境室100に特殊組成の空気を供給する構成について説明したが、本発明は、この構成に限定されるものではない。空気供給装置1,10は、特殊環境室に特殊組成の空気を供給することなく、吸引マスクのみに特殊組成の空気を供給するよう構成されてもよい。
1,10 空気供給装置
2 原料空気導出部
3 空気生成部
312A 第1流路部
313A 第2流路部
4 二酸化炭素除去部
5 混合部
100 特殊環境室(空気被供給部)
100A 第1特殊環境室(空気被供給部)
100B 第2特殊環境室(空気被供給部)
101A 第1吸引マスク(空気被供給部)
101B 第2吸引マスク(空気被供給部)

Claims (7)

  1. 所定の空気被供給部に特殊組成の空気を供給する空気供給装置であって、
    原料空気を導出する原料空気導出部と、
    前記原料空気導出部により導出される前記原料空気から窒素と酸素とを分離し、当該原料空気よりも高酸素濃度及び低酸素濃度の空気をそれぞれ生成する空気生成部と、
    前記空気生成部により生成された空気が前記空気被供給部に向かって一方向に流れる流路部であって、前記高酸素濃度の空気が流れる第1流路部、及び、前記低酸素濃度の空気が流れる第2流路部と、
    前記空気生成部における二酸化炭素の分離能に基づいて、前記第1流路部及び前記第2流路部の少なくともいずれか一方の流路部に配置され、当該流路部を一方向に流れる空気から二酸化炭素を除去する二酸化炭素除去部と、を備える空気供給装置。
  2. 前記第1流路部を流れる前記高酸素濃度の空気と、前記第2流路部を流れる前記低酸素濃度の空気とをそれぞれ、前記原料空気導出部により導出される前記原料空気の一部と混合し、その混合された混合空気を前記空気被供給部に向けて流出させる混合部を、更に備える請求項1に記載の空気供給装置。
  3. 前記二酸化炭素除去部は、前記混合部に対して空気の流れ方向上流側に配置される、請求項2に記載の空気供給装置。
  4. 前記空気生成部は、前記原料空気から窒素と酸素とを分離可能な気体分離膜を含み、当該気体分離膜により、前記高酸素濃度の空気と前記低酸素濃度の空気とをそれぞれ生成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気供給装置。
  5. 前記気体分離膜は、窒素に対する酸素及び二酸化炭素の選択透過性を有し、
    前記二酸化炭素除去部は、前記第1流路部に配置される、請求項4に記載の空気供給装置。
  6. 前記気体分離膜は、ポリイミドからなる中空糸膜である、請求項5に記載の空気供給装置。
  7. 前記空気被供給部は、人を収容可能な収容空間を画定する第1特殊環境室及び第2特殊環境室を含み、
    前記第1流路部を流れる前記高酸素濃度の空気は、前記第1特殊環境室に供給され、前記第2流路部を流れる前記低酸素濃度の空気は、前記第2特殊環境室に供給される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気供給装置。
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