JP6630307B2 - スクロールチャック用の生爪及びチャック装置 - Google Patents

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この発明は、装着された際に内側となる先端側から後端側へ階段状に高くなるように段部が形成されたスクロールチャック装置用の逆爪に取り付けられて使用されるスクロールチャック用の生爪、及びその生爪が用いられたチャック装置に関する。
従来のスクロールチャック用の生爪としては、例えば、親爪のワーク挟持側先端に円弧状面を形成すると共にその親爪の長手方向を縦断する生爪牽引用ボルト挿通穴を設け、一方、生爪には該親爪との当接面を親爪の前記円弧面と同一円弧面を持った形状とし、その円弧面にねじ穴を形成され、この生爪を親爪の前記牽引穴に挿通するボルトによってワーク挟持応力方向に牽引取着するものとし、チャック本体側の爪取り付け部材にこの親爪を取り付けるためのボルト穴についてその座ぐりを奥深く掘削して前記の生爪牽引取付ボルトとの干渉を回避した旋盤用チャックのワーク挟持爪(特許文献1参照)が、提案されている。
従来の他のスクロールチャック用の生爪としては、例えば、把持形状側のセットボルトを、生爪本体側の先端部の外周はネジ部として生爪本体側ボルト孔内面に設けたネジ部と螺合可能となし、摺動取付片側ボルト孔に段差部を設けてセットボルト他端部はボルト頭として該段差部で受けられ、生爪本体側挿入先端部にレンチ受け部を形成し、レンチで該レンチ受け部を介してセットボルトを回転することによって前記両ネジ部の螺合を行って前述した前記生爪本体と摺動取付片との一体化を行うようにした旋盤用チャック装置に使用する把握生爪(特許文献2参照)が、提案されている。つまり、この形態例は、生爪本体を二つのボルトで摺動取付片に螺合して固定するものである。
特開2002−346814号公報(第1頁) 特開2003−127011号公報(第1頁)
スクロールチャック用の生爪及びチャック装置に関して解決しようとする問題点は、従来の形態では、生爪におけるワークの形態に合わせて加工できる部位を、十分に大きく設けることが難しいことと、生爪の部位を備えたチャック爪を構成するために、生爪の部位を装着する作業が、煩雑で簡単ではないことにある。
そこで本発明の目的は、生爪の部位をより簡単に装着でき、ワークの形態に合わせて加工できる生爪の部位を、十分に大きく設けることができるスクロールチャック用の生爪及びチャック装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係るチャック装置用の生爪の一形態によれば、装着された際に内側となる先端側から後端側へ階段状に高くなるように段部が形成されたスクロールチャック装置用の逆爪に取り付けられて使用できるチャック装置用の生爪であって、裏面側に、前記逆爪に被された状態に固定されるように、該逆爪の前記段部にフィットする溝穴状に形成された階段状の溝穴部を備え、後端部に、前記階段状の溝穴部に臨み、前記逆爪の後端面に当接して締め付けることで固定するように螺合された取付用ボルトを備え、前記逆爪の段部のうちの少なくとも後端側の段部が、基本形状として四角形に設けられると共に、該段部の段差を作る起立した内側の面が、円柱状のワークの外周面に当接して把持するための円弧状の凹面に設けられたものであり、前記後端側の段部に外嵌するように設けられた前記階段状の溝穴部の後端側が、表裏方向に貫通した基本形状として四角形の貫通溝穴部であって、該貫通溝穴部の先端側の両脇内角部が、前記円弧状の凹面の両脇角部が進入された状態で固定されるように、円形の貫通孔によって拡張され、前記先端側の両脇内角部における前記円形の貫通孔によって形成された4つの内角のうち先端側に位置する2つの内角の両方が、前記円弧状の凹面に圧接されて食い込むように当接する形状に設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るチャック装置の一形態によれば、上述のチャック装置用の生爪が装着されたスクロールチャック装置を、被装着部が裏面側に延設されたチャックホルダーの表面側に固定されることで構成されることを特徴とすることができる。
本発明に係るスクロールチャック用の生爪及びチャック装置によれば、生爪の部位をより簡単に装着でき、ワークの形態に合わせて加工できる生爪の部位を、十分に大きく設けることができるという特別有利な効果を奏する。
本発明に係るスクロールチャック用の生爪が装着されたチャック装置の形態例を示す斜視図である。 図1の形態例のスクロールチャック用の生爪が装着される前のチャックホルダーが装着・固定されたスクロールチャック装置の斜視図である。 本発明に係るスクロールチャック用の生爪の形態例であって、その表面側を示す平面図である。 図3の生爪の形態例であって、その裏面側を示す底面図である。 図3の生爪の形態例に係る中央縦断面図である。 図3の生爪を逆爪に装着した使用状態の形態例を示す(a)要部拡大平面図、及び(b)要部拡大断面図である。 本発明に係るチャック装置の使用状態の形態例を示す側面図である。 本発明に係るスクロールチャック用の生爪が装着されたチャック装置の他の形態例を示す斜視図である。 図8の形態例のチャック装置に係る使用形態例を示す斜視図である。
以下、本発明に係るスクロールチャック用の生爪及びチャック装置の形態例を図面(図1〜7)に基づいて説明する。このスクロールチャック用の生爪30は、装着された際に内側となる先端側から後端側へ階段状に高くなるように段部21が形成されたスクロールチャック装置用の逆爪20(図2参照)に取り付けられて使用されるものである。このスクロールチャック用の生爪30を構成要素とするスクロール型のチャック装置は、例えば、旋盤やフライス盤に装着されて使用できるものになっている。なお、上記の逆爪20のことは、外爪とも称されてる。
そして、本発明に係るスクロールチャック用の生爪30は、図3〜5に示すように、裏面側に、逆爪20に被された状態に固定されるように、その逆爪20の段部21にフィットする溝穴状に形成された階段状の溝穴部31を備え、後端部34に先後方向(生爪30の装着された逆爪20が締め付けのために動く移動方向と同方向)に貫通して設けられた雌ねじに、階段状の溝穴部31に臨み、逆爪20の後端面23(図6参照)に当接して締め付けることで固定するように螺合された取付用ボルト35を備える。本形態例では、逆爪20に生爪30を遊嵌状態に外嵌めした後、取付用ボルト35を締め付けることで、逆爪20の段部21の段差を形成する段差形成部(本形態例では円弧状の凹面24、24A)と、生爪30の階段状の溝穴部31の段差を形成する内段差形成部(本形態例では両内角33b、33bを備える部分)とを圧接させて固定させる構成になっている。なお、軸方向(段々の重なり方向)については、逆爪20の段々に形成された段部21の段上面に、生爪30の段々に形成された階段状の溝孔部31の段内底面が当接されて重ねられることで、位置決めがなされて固定される形態になっている。
このスクロールチャック用の生爪30によれば、図1、6に示すように、逆爪20に、外嵌して取付用ボルト35で締め付けることによって、より簡単に装着でき、その固定作業の作業性を向上できる。すなわち、背景技術の欄で説明したような複数のボルトによって締結・固定する作業を要しないと共に、逆爪20の段部21に倣ってその段部21に受けられて階段状の溝穴部31が安定的に外嵌するため、生爪30を一つの取付用ボルト35で簡単且つ適切に装着できる。
また、このように形成された生爪30は、逆爪20を大きく覆い、先端側に取付けのためのボルトが配されないことから、例えば、プラスチック材によるワークを加工する際のような強度的に弱い材料をチャックする場合に、そのワークにより広い角度や深さ(長さや面積を含む)の範囲で接触して把持できる爪の形態に、適切に加工することができる。すなわち、本発明の生爪30によれば、ワーク形状に合わせて切削などで加工できる部位の範囲を適切に拡大できるため、生爪30の汎用性をより高めることができる。
また、本形態例によれば、逆爪20の段部21のうちの少なくとも後端側の段部22が、基本形状として四角形に設けられると共に、その段部21の段差を作る起立した内側の面が、円柱状のワークの外周面に当接して把持するための円弧状の凹面24に設けられたものであり、その後端側の段部22に外嵌するように設けられた階段状の溝穴部31の後端側が、表裏方向に貫通した基本形状として四角形の貫通溝穴部32であって、その貫通溝穴部32の少なくとも先端側の両脇内角部33、33が、円弧状の凹面24の両脇角部25、25が進入された状態で固定されるように、円形の貫通孔33aによって拡張されているように構成されている。
これによれば、取付用ボルト35を締め付けることによって、円弧状の凹面24に、両脇内角部33、33の両内角33b、33bが、圧接されて食い込むように当接する(図6参照)ため、強固に固定することができる。この生爪30の締め付けによる固定操作は、一つの取付用ボルト35をねじ込む操作によって、より簡単且つ確実に行うことができ、作業性及び信頼性を向上できる。
また、本形態例では、貫通溝穴部32だけでなく、その貫通溝穴部32から先端側の階段状の溝穴部31においても、同様に、円形の穿設孔33cによって、段状溝穴の内角部33が形成されている。これによれば、前述の貫通溝穴部32の機能と同様に、生爪30を逆爪20に強固且つ適切に固定するために有効に作用する。すなわち、円形の穿設孔33c、33cによって、階段状の溝穴部31の中段にも両脇内角部33、33が形成され、その中段の両脇内角部33、33によって両内角33b、33bが設けられた形態となっている。このため、その両内角33b、33bは、逆爪20の中段に設けられた円弧状の凹面24Aに、後端側の段部22の円弧状の凹面24に対する状態と同様に、圧接されて食い込むように当接する。これによって、中段の両内角33b、33bと後段の両内角33b、33bとの二段で、逆爪20に当接することになり、生爪30をより強固に安定的に固定することができる。さらに、円形の貫通孔33aや円形の穿設孔33cを設けることによれば、階段状の溝穴部31の成形加工を容易に行うことができるというメリットもある。すなわち、階段状の溝穴部31の内角部の形状を、直角に形成することは難しいが、本形態例のように円形の貫通孔33aや円形の穿設孔33cによって形成することで、容易に形成できる。
また、図1、7に示すように、本発明に係るチャック装置10は、上述のスクロールチャック用の生爪30が装着されたスクロールチャック装置11を、被装着部41が裏面側に延設されたチャックホルダー40の表面側に固定されることで構成されている。なお、本形態例では、被装着部41の形態が円柱状に形成されており、このチャックホルダー40は、ボルト(図示せず)によって、スクロールチャック用の生爪30が装着されたスクロールチャック装置11に固定されている。また、図7に示す形態例では、そのチャック装置10が、旋盤のチャック装置50にチャックされて固定されている形態例を示している。
このチャック装置10によれば、ワークを固定したままで、例えば旋盤のチャック装置50から脱着して、他の例えばフライス盤などの加工装置に装着することができ、ワークをチャック装置から外すことなく、連続的に加工を行うことができる。すなわち、ワークをチャック装置から外すことなく加工できるため、チャックをし直すことによる位置ズレを防止し、加工精度を向上できる。また、旋盤で加工したワーク(製品)を、例えばフライス盤で加工するために新たな生爪を製作することなく、その旋盤のチャックのままで加工ができ、フライス用の生爪の製作が不要になるという利点がある。
次に、図8及び図9に基づいて、本発明に係る他の形態例の生爪(扇型の生爪30A)が装着されたチャック装置について説明する。この扇型の生爪30Aは、ワークの形態に合わせて加工できる部位が大きく形成された幅の広い形態に設けられている。また、この扇型の生爪30Aには、前述の生爪30と同様に、裏面側に階段状の溝穴部31が形成されていると共に、貫通溝穴部32が設けられている。従って、この扇型の生爪30Aは、前述の生爪30と同様に、逆爪20に容易且つ適切に装着できる。
この扇型の生爪30Aによれば、例えば図9に示すような肉の薄いリング状のワーク60を、ワークチャック用に切削加工されて設けられた円弧状の段部36によって、適切にチャックすることができる。すなわち、この扇型の生爪30Aによれば、リング形状のように、厚みや幅が薄く、変形や歪の起きやすいワークを適切にチャックし、旋盤加工、フライス加工、MC加工等を適切に行うことができる。
また、以上に説明した生爪30及び扇型の生爪30Aは、軽量化のためやワークを傷つけないために、アルミニウム材料(例えばA7000系)や樹脂材料などの軽量で硬度の低い材料を用いて形成できるのは勿論である。これによれば、作業性の向上や、ワークの材質に適切に対応させることができる。
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論ことである。
10 チャック装置
11 スクロールチャック装置
20 逆爪
21 段部
22 後端側の段部
23 後端面
24 円弧状の凹面
24A 円弧状の凹面
25 両脇角部
30 生爪
30A 扇型の生爪
31 階段状の溝穴部
32 貫通溝穴部
33 内角部
33a 円形の貫通孔
33b 内角
33c 円形の穿設孔
34 後端部
35 取付用ボルト
36 段部
40 チャックホルダー
41 被装着部
50 旋盤のチャック装置
60 リング状のワーク

Claims (2)

  1. 装着された際に内側となる先端側から後端側へ階段状に高くなるように段部が形成されたスクロールチャック装置用の逆爪に取り付けられて使用できるチャック装置用の生爪であって、
    裏面側に、前記逆爪に被された状態に固定されるように、該逆爪の前記段部にフィットする溝穴状に形成された階段状の溝穴部を備え、後端部に、前記階段状の溝穴部に臨み、前記逆爪の後端面に当接して締め付けることで固定するように螺合された取付用ボルトを備え、
    前記逆爪の段部のうちの少なくとも後端側の段部が、基本形状として四角形に設けられると共に、該段部の段差を作る起立した内側の面が、円柱状のワークの外周面に当接して把持するための円弧状の凹面に設けられたものであり、
    前記後端側の段部に外嵌するように設けられた前記階段状の溝穴部の後端側が、表裏方向に貫通した基本形状として四角形の貫通溝穴部であって、該貫通溝穴部の先端側の両脇内角部が、前記円弧状の凹面の両脇角部が進入された状態で固定されるように、円形の貫通孔によって拡張され、前記先端側の両脇内角部における前記円形の貫通孔によって形成された4つの内角のうち先端側に位置する2つの内角の両方が、前記円弧状の凹面に圧接されて食い込むように当接する形状に設けられていることを特徴とするチャック装置用の生爪。
  2. 請求項1記載のチャック装置用の生爪が装着されたスクロールチャック装置を、被装着部が裏面側に延設されたチャックホルダーの表面側に固定されることで構成されることを特徴とするチャック装置。
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