図を参照して、本発明の介護用ベッドの実施形態を説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態の介護用ベッド10は、要介護者P1が長手方向(前後方向)である第1方向D1に横たわり可能なメインベッド11(主床部)と、メインベッド11の短手方向(左右方向)である第2方向D2(第1方向D1に直交する方向)の右端側(一端側)に回転可能に連結された右サブベッド12(第1副床部)と、メインベッド11の左端側(他端側)に回転可能に連結された左サブベッド13(第2副床部)と、ベース14とを備えている。ベース14の下面には、脚部16が2個設けられている。
左側の脚部16の左側面には、介護者によって操作可能な第1傾斜ボタン17a、第2傾斜ボタン17b及び基準位置復帰ボタン17cが設けられている。各ボタン17a〜17cは、介護用ベッド10の駆動を制御する制御装置18に接続されている。制御装置18は、例えば、CPUやメモリ等を備えて構成されている。
右サブベッド12は、メインベッド11に平行な右基準位置(図1及び図2参照)と、メインベッド11に対して上方に傾斜した右傾斜位置(図5参照)との間で回転可能に設けられている。
左サブベッド13は、メインベッド11に平行な左基準位置(図1及び図2参照)と、メインベッド11に対して上方に傾斜した左傾斜位置(図5参照)との間で回転可能に設けられている。
メインベッド11は、ベース14に平行なメイン基準位置(図1及び図2参照)と、メイン基準位置から図1における反時計方向に回転されたメイン第1傾斜位置(図5参照)と、メイン基準位置から図1における時計方向に回転されたメイン第2基準位置(図6参照)との間で回転可能に設けられている。なお、図1等では、各ベッド11〜13とベース14との間に隙間があるが、これは、各ベッド11〜13とベース14との境界を分かりやすくするためであり、実際には隙間はない。
メインベッド11には、メインベッド11をメイン第1傾斜位置に回転させるための第1アーム21と、メインベッド11をメイン第2傾斜位置に回転させるための第2アーム22とが設けられている。ベース14には、第1,第2アーム21,22を回転可能にするための切り欠き14a(図3参照)が前後に形成されている。
第1アーム21は、下端部に向かうにつれて左側に傾斜するように形成され、第2アーム22は、下端部に向かうにつれて右側に傾斜するように形成されている。
第1アーム21の下端部には、第1ワイヤ受け部21aが設けられている。第2アーム22の下端部には、第2ワイヤ受け部22aが設けられている。第1アーム21及び第2アーム22のそれぞれは、前側及び後側(図2参照)に1個ずつ計2個設けられている。なお、図2及び図3では、第1ワイヤ受け部21a及び第2ワイヤ受け部22aの図示を省略している。
右サブベッド12及び左サブベッド13は、ヒンジ25によりメインベッド11に回転可能に連結されている。ヒンジ25は、シャフト30と、第1回転板31と、第2回転板32とを備える。
シャフト30は、第1回転板31の第1円筒部31aに挿通される第1軸部30aと、第2回転板32の第2円筒部32aに挿通される第2軸部30bとを備える。
第1回転板31は、シャフト30の第1軸部30aが挿通される第1円筒部31aと、第1板部31bとから構成され、シャフト30の中心軸を回転中心として回転可能に設けられている。
第2回転板32は、シャフト30の第2軸部30bが挿通される第2円筒部32aと、第2板部32bとから構成され、シャフト30の中心軸を回転中心として回転可能に設けられている。
シャフト30は、第1円筒部31aと第2円筒部32aとに挟まれた中心軸部30cを備え、この中心軸部30cには、ベース14に取り外し可能に挿入される挿入部30dが形成されている。挿入部30dの先端部は、鋭角に尖って形成されている。
ヒンジ25は、4個設けられ、2個のヒンジ25により右サブベッド12がメインベッド11に回転可能に連結され、2個のヒンジ25により左サブベッド13がメインベッド11に回転可能に連結されている。なお、ヒンジ25の数は適宜変更可能である。
右サブベッド12をメインベッド11に連結するヒンジ25は、第1回転板31の第1板部31bが右サブベッド12に固定され、第2回転板32の第2板部32bがメインベッド11に固定されている。
左サブベッド13をメインベッド11に連結するヒンジ25は、第1回転板31の第1板部31bがメインベッド11に固定され、第2回転板32の第2板部32bが左サブベッド13に固定されている。
4個のヒンジ25それぞれの挿入部30dは、ベース14に形成された4個の取付孔14b(図3参照)に取り外し可能に挿入され、メインベッド11、右サブベッド12及び左サブベッド13がベース14に回転可能に取り付けられている。
介護用ベッド10には、右サブベッド12を右傾斜位置(図5参照)に向けて付勢する右板バネ33と、左サブベッド13を左傾斜位置(図5参照)に向けて付勢する左板バネ34とが設けられている。
右板バネ33は、一端33aがメインベッドの右側端部に例えばネジにより固定され、他端33bが、右サブベッド12にスライド可能に取り付けられている。右サブベッド12には、凹部12aが形成され、右板バネ33の他端33bに設けられた軸部33cが凹部12aにスライド可能に挿入されている。右板バネ33は、右サブベッド12が右傾斜位置に位置させる状態(図5参照)が基準形状であり、この基準形状に戻ろうとする弾性変形力を有する。
右板バネ33は2個設けられ、メインベッド11の前面と後面とに固定されており、右サブベッド12は、前面と後面とに凹部12aが形成されている。なお、後面の凹部12aは図示を省略している。
同様に、左板バネ34は、一端34aがメインベッドの左側端部に例えばネジにより固定され、他端34bが、左サブベッド13にスライド可能に取り付けられている。左サブベッド13には、凹部13aが形成され、左板バネ34の他端34bに設けられた軸部34cが凹部13aにスライド可能に挿入されている。左板バネ34は、左サブベッド13が左傾斜位置に位置させる状態(図5参照)が基準形状であり、この基準形状に戻ろうとする弾性変形力を有する。
左板バネ34は2個設けられ、メインベッド11の前面と後面とに固定されており、左サブベッド13は、前面と後面とに凹部13aが形成されている。なお、後面の凹部13aは図示を省略している。
介護用ベッド10は、メインベッド11を図1における反時計方向に回転させ、右サブベッド12を右板バネ33の付勢に抗して右基準位置に回転させ、且つ、左サブベッド13を左板バネ34の付勢に抗して左基準位置に回転させる第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bを備える。第1前回転機構36Aは、介護用ベッド10の前側に設けられ、第1後回転機構36Bは、介護用ベッド10の後側に設けられている。
介護用ベッド10は、メインベッド11を図1における時計方向に回転させ、右サブベッド12を右板バネ33の付勢に抗して右基準位置に回転させ、且つ、左サブベッド13を左板バネ34の付勢に抗して左基準位置に回転させる第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bを備える。第2前回転機構37Aは、介護用ベッド10の前側に設けられ、第2後回転機構37Bは、介護用ベッド10の後側に設けられている。
本実施形態では、前から第1前回転機構36A、第2前回転機構37A、第2後回転機構37B、第1後回転機構36Bの順に設けられている。
第1前回転機構36Aは、第1右モータ41と、第1右モータ41の回転軸に取り付けられた2段プーリからなる第1右プーリ42と、第1左モータ43と、第1左モータ43の回転軸に取り付けられた2段プーリからなる第1左プーリ44と、第1中央ワイヤ45aと、第1右ワイヤ45bと、第1左ワイヤ45cとを備える。第1右モータ41及び第1左モータ43は、制御装置18により駆動が制御される。第1右モータ41及び第1左モータ43は、例えばネジによりベース14に固定されている。
第1後回転機構36Bは、第1前回転機構36Aと同様に構成され、第1右モータ41と、第1右プーリ42と、第1左モータ43と、第1左プーリ44と、各ワイヤ45a〜45cとを備える。なお、図2及び図3では、第1右モータ41、第1右プーリ42、第1左モータ43、第1左プーリ44、及び各ワイヤ45a〜45cの図示を省略している。
右サブベッド12の右側面には、略プーリ形状の右ワイヤ受け部12bが設けられ、ベース14の右側面には、略プーリ形状の右ベースワイヤ受け部14cが設けられている。右ワイヤ受け部12bは、前端側に2個、後端側に2個の計4個設けられている。右ベースワイヤ受け部14cは、前端側に2個、後端側に2個の計4個設けられている。
左サブベッド13の左側面には、略プーリ形状の左ワイヤ受け部13bが設けられ、ベース14の左側面には、略プーリ形状の左ベースワイヤ受け部14dが設けられている。左ワイヤ受け部13bは、前端側に2個、後端側に2個の計4個設けられている。左ベースワイヤ受け部14dは、前端側に2個、後端側に2個の計4個設けられている。なお、図2及び図3では、左ワイヤ受け部13bの図示を省略している。
第1前回転機構36Aでは、第1中央ワイヤ45aは、一端が第1右プーリ42の1段目に固定され、第1アーム21の第1ワイヤ受け部21aを介して、他端が第1左プーリ44の1段目に固定されている。この構成は、前側の第1前回転機構36Aと、後側の第1後回転機構36Bとで同じである。
第1前回転機構36Aでは、第1右ワイヤ45bは、一端が4個の右ワイヤ受け部12bのうちの最も前側の右ワイヤ受け部12bに固定され、4個の右ベースワイヤ受け部14cのうちの最も前側の右ベースワイヤ受け部14cを介して、他端が第1右プーリ42の2段目に固定されている。
第1前回転機構36Aでは、第1左ワイヤ45cは、一端が4個の左ワイヤ受け部13bのうちの最も前側の左ワイヤ受け部13bに固定され、4個の左ベースワイヤ受け部14dのうちの最も前側の左ベースワイヤ受け部14dを介して、他端が第1左プーリ44の2段目に固定されている。
第1後回転機構36Bでは、第1右ワイヤ45bは、一端が4個の右ワイヤ受け部12bのうちの最も後側の右ワイヤ受け部12bに固定され、4個の右ベースワイヤ受け部14cのうちの最も後側の右ベースワイヤ受け部14cを介して、他端が第1右プーリ42の2段目に固定されている。
第1後回転機構36Bでは、第1左ワイヤ45cは、一端が4個の左ワイヤ受け部13bのうちの最も後側の左ワイヤ受け部13bに固定され、4個の左ベースワイヤ受け部14dのうちの最も後側の左ベースワイヤ受け部14dを介して、他端が第1左プーリ44の2段目に固定されている。
図4は、4個の左ベースワイヤ受け部14dのうちの前から1番目と2番目との間の断面図である。図4に示すように、第2前回転機構37Aは、第2右モータ51と、第2右モータ51の回転軸に取り付けられた2段プーリからなる第2右プーリ52と、第2左モータ53と、第2左モータ53の回転軸に取り付けられた2段プーリからなる第2左プーリ54と、第2中央ワイヤ55aと、第2右ワイヤ55bと、第2左ワイヤ55cとを備える。第2右モータ51及び第2左モータ53は、制御装置18により駆動が制御される。第2右モータ51及び第2左モータ53は、例えばネジによりベース14に固定されている。
第2後回転機構37Bは、第2前回転機構37Aと同様に構成され、第2右モータ51と、第2右プーリ52と、第2左モータ53と、第2左プーリ54と、ワイヤ55a〜55cとを備える。なお、図2及び図3では、第2右モータ51、第2右プーリ52、第2左モータ53、第2左プーリ54、及び各ワイヤ55a〜55cの図示を省略している。
第2前回転機構37Aでは、第2中央ワイヤ55aは、一端が第2右プーリ52の1段目に固定され、第2アーム22の第2ワイヤ受け部22aを介して、他端が第2左プーリ54の1段目に固定されている。この構成は、前側の第2前回転機構37Aと、後側の第2後回転機構37Bとで同じである。
第2前回転機構37Aでは、第2右ワイヤ55bは、一端が4個の右ワイヤ受け部12bのうちの前から2番目の右ワイヤ受け部12bに固定され、4個の右ベースワイヤ受け部14cのうちの前から2番目の右ベースワイヤ受け部14cを介して、他端が第2右プーリ52の2段目に固定されている。
第2前回転機構37Aでは、第2左ワイヤ55cは、一端が4個の左ワイヤ受け部13bのうちの前から2番目の左ワイヤ受け部13bに固定され、4個の左ベースワイヤ受け部14dのうちの前から2番目の左ベースワイヤ受け部14dを介して、他端が第2左プーリ54の2段目に固定されている。
第2後回転機構37Bでは、第2右ワイヤ55bは、一端が4個の右ワイヤ受け部12bのうちの後から2番目の右ワイヤ受け部12bに固定され、4個の右ベースワイヤ受け部14cのうちの後から2番目の右ベースワイヤ受け部14cを介して、他端が第2右プーリ52の2段目に固定されている。
第2後回転機構37Bでは、第2左ワイヤ55cは、一端が4個の左ワイヤ受け部13bのうちの後から2番目の左ワイヤ受け部13bに固定され、4個の左ベースワイヤ受け部14dのうちの後から2番目の左ベースワイヤ受け部14dを介して、他端が第2左プーリ54の2段目に固定されている。
本実施形態では、第1右モータ41及び第2右モータ51を駆動していない状態でも、右サブベッド12は図1の状態が保持される。これは、右板バネ33の弾性変形力により第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bが引張られて、第1右モータ41及び第2右モータ51に反時計方向に回転する力が加わっても、ある程度の重量のあるメインベッド11が乗せられた第1中央ワイヤ45a及び第2中央ワイヤ55aにより、第1右モータ41及び第2右モータ51が反時計方向に回転しないように保持されるためである。
同様に、第1左モータ43及び第2左モータ53を駆動していない状態でも、左サブベッド13は図1の状態が保持される。
[第1傾斜制御]
要介護者P1の姿勢を変えるために介護用ベッド10を傾斜させる際の動作について説明する。
先ず、図1の状態で介護者が第1傾斜ボタン17aを操作する。第1傾斜ボタン17aが操作されると、第1傾斜ボタン17aから制御装置18に第1駆動信号が送信される。
制御装置18は、第1駆動信号が入力されると、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右プーリ42が図5における反時計方向に回転するように、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右モータ41を駆動する。
また、制御装置18は、第1駆動信号が入力されると、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左プーリ44が図5における時計方向に回転するように、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左モータ43を駆動する。
制御装置18は、第1駆動信号が入力されると、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右プーリ52が図4における反時計方向に回転するように、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右モータ51を駆動する。
また、制御装置18は、第1駆動信号が入力されると、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左プーリ54が図4における時計方向に回転するように、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左モータ53を駆動する。
制御装置18は、第1駆動信号が入力された場合、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右モータ41及び第1左モータ43を、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右モータ51及び第2左モータ53より速い速度で回転するように駆動する。
図5に示すように、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右プーリ42が図5における反時計方向に回転されると、第1右プーリ42の2段目に巻き取られていた第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右ワイヤ45bが引き出されて、2本の第1右ワイヤ45bが緩む。
同様に、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右プーリ52(図4参照)が図4における反時計方向に回転されると、第2右プーリ52の2段目に巻き取られていた第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右ワイヤ55bが引き出されて、2本の第2右ワイヤ55bが緩む。
第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bが緩むと、右板バネ33の弾性変形力により、右サブベッド12が右傾斜位置まで回転される。右サブベッド12が右傾斜位置まで回転する場合、第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bの緩みに応じて徐々に右傾斜位置まで回転する。
同様に、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左プーリ44が図5における時計方向に回転されると、第1左プーリ44の2段目に巻き取られていた第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左ワイヤ45cが引き出されて、2本の第1左ワイヤ45cが緩む。
同様に、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左プーリ54(図4参照)が図4における時計方向に回転されると、第2左プーリ54の2段目に巻き取られていた第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左ワイヤ55cが引き出されて、2本の第2左ワイヤ55cが緩む。
第1左ワイヤ45c及び第2左ワイヤ55cが緩むと、左板バネ34の弾性変形力により、左サブベッド13が左傾斜位置まで回転される。左サブベッド13が左傾斜位置まで回転する場合、第1左ワイヤ45c及び第2左ワイヤ55cの緩みに応じて徐々に左傾斜位置まで回転する。
また、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右プーリ42が図5における反時計方向に回転され、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左プーリ44が図5における時計方向に回転されると、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bの第1右プーリ42の1段目及び第1左プーリ44の1段目に巻き掛けられていた2本の第1中央ワイヤ45aが巻き取られて引張られる。
また、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右プーリ52が図4における反時計方向に回転され、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左プーリ54が図4における時計方向に回転されると、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bの第2右プーリ52の1段目及び第2左プーリ54の1段目に巻き掛けられていた2本の第2中央ワイヤ55aが巻き取られて引張られる。
制御装置18は、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右モータ41及び第1左モータ43を、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右モータ51及び第2左モータ53より速い速度で回転するように駆動している。このため、2本の第1中央ワイヤ45aが、2本の第2中央ワイヤ55aよりも速い速度で巻き取られて先に引張られる。
これにより、第1中央ワイヤ45aに載せられていた第1アーム21(メインベッド11)に対して、第1作用方向F1(図1参照)への力が加わる。第1アーム21(メインベッド11)に対して第1作用方向F1への力が加わると、第1アーム21(メインベッド11)は、左側のヒンジ25のシャフト30を回転中心として図5における反時計方向に回転する。この場合、右側のヒンジ25の挿入部30dは、取付孔14bから引き抜かれる。
このような動作により、メインベッド11が、左側のヒンジ25のシャフト30を回転中心として図5における反時計方向に回転し、且つ、右サブベッド12が右傾斜位置まで上方に回転して、左サブベッド13が左傾斜位置まで上方に回転する(第1傾斜状態)。これにより、要介護者P1の姿勢を変えることができる。
さらに、第1傾斜状態では、右サブベッド12及び左サブベッド13は上方に傾斜されているので、メインベッド11の両側面から要介護者P1の手や脚等が飛び出るのを確実に防止することができる。
[第2傾斜制御]
介護者が図1の状態で第2傾斜ボタン17bを操作すると、第2傾斜ボタン17bから制御装置18に第2駆動信号が送信される。
制御装置18は、第2駆動信号が入力されると、第1ベッド傾斜制御と同じ方向に、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右モータ41及び第1左モータ43と、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右モータ51及び第2左モータ53とを駆動する。この駆動制御により、2本の第1左ワイヤ45c及び2本の第2左ワイヤ55cが緩み、2本の第1中央ワイヤ45a及び2本の第2中央ワイヤ55aが巻き取られて引張られる。
制御装置18は、第2駆動信号が入力された場合、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右モータ51及び第2左モータ53を、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右モータ41及び第1左モータ43より速い速度で回転するように駆動する。このため、2本の第2中央ワイヤ55aが、2本の第1中央ワイヤ45aよりも速い速度で巻き取られて先に引張られる。
これにより、第2中央ワイヤ55aに載せられていた第2アーム22(メインベッド11)に対して、第2作用方向F2(図1参照)への力が加わる。第2アーム22(メインベッド11)に対して第2作用方向F2への力が加わると、第2アーム22(メインベッド11)は、右側のヒンジ25のシャフト30を回転中心として図6における時計方向に回転する。この場合、左側のヒンジ25の挿入部30dは、取付孔14bから引き抜かれる。
このような動作により、メインベッド11が、右側のヒンジ25のシャフト30を回転中心として図6における時計方向に回転し、且つ、右サブベッド12が右傾斜位置まで回転して、左サブベッド13が左傾斜位置まで回転する(第2傾斜状態)。これにより、要介護者P1の姿勢を変えることができる。
さらに、第2傾斜状態では、右サブベッド12及び左サブベッド13は上方に傾斜されているので、メインベッド11の両側面から要介護者P1の手や脚等が飛び出るのを確実に防止することができる。
[第1傾斜状態から基準位置復帰制御]
介護用ベッド10が第1傾斜状態(図5参照)である場合に、介護者が基準位置復帰ボタン17cを操作すると、基準位置復帰ボタン17cから制御装置18に停止信号が送信される。制御装置18は、第1傾斜状態で停止信号が入力されると、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右プーリ42が図5における時計方向に回転するように、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右モータ41を駆動する。
また、制御装置18は、第1傾斜状態で停止信号が入力されると、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右プーリ52が図5における時計方向に回転するように、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右モータ51を駆動する。
上記した第1右モータ41の駆動により、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右プーリ42の1段目に巻き取られていた2本の第1中央ワイヤ45aが引き出されて、2本の第1中央ワイヤ45aが緩む。
同様に、上記した第2右モータ51の駆動により、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右プーリ52の1段目に巻き取られていた2本の第2中央ワイヤ55aが引き出されて、2本の第2中央ワイヤ55aが緩む。
また、上記した第1右モータ41の駆動により、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右ワイヤ45bが、第1右プーリ42の2段目に巻き取られて引張られる。
同様に、上記した第2右モータ51の駆動により、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右ワイヤ55bが、第2右プーリ52の2段目に巻き取られて引張られる。
第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bが巻き取られて引張られると、メインベッド11が、図5に示す位置から、図1に示すメイン基準位置に向けて回転される。この際、取付孔14bから抜かれていた右側のヒンジ25の挿入部30dが、取付孔14bに挿入される。
また、メインベッド11が、図5に示す位置から、図1に示すメイン基準位置の近くまで回転されるとき、左サブベッド13は図5に示す位置で保持される。したがって、メインベッド11と左サブベッド13とのなす角度が大きくなる(例えば、100°から145°に変化する)。
メインベッド11がメイン基準位置の近くまで回転された後、さらに、第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bが巻き取られて引張られると、右板バネ33の弾性変形力に抗して、右サブベッド12が右基準位置まで回転される。右サブベッド12が右基準位置まで回転する場合、第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bの引張りに応じて徐々に右基準位置まで回転する。
また、制御装置18は、メインベッド11がメイン基準位置の近くまで回転されると、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左プーリ44が図5における反時計方向に回転するように、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左モータ43を駆動する。
さらに、制御装置18は、メインベッド11がメイン基準位置の近くまで回転されると、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左プーリ54が図5における反時計方向に回転するように、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左モータ53を駆動する。
上記した第1左モータ43の駆動により、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左ワイヤ45cが、第1左プーリ44の2段目に巻き取られて引張られる。
同様に、上記した第2左モータ53の駆動により、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左ワイヤ55cが、第2左プーリ54の2段目に巻き取られて引張られる。
第1左ワイヤ45c及び第2左ワイヤ55cが巻き取られて引張られると、左板バネ34の弾性変形力に抗して、左サブベッド13が左基準位置まで回転される。これにより、2本の第1中央ワイヤ45a及び2本の第2中央ワイヤ55aがさらに緩み、介護用ベッド10は、メインベッド11がメイン基準位置まで回転されて、図1に示す状態となる。なお、左サブベッド13が左基準位置まで回転する場合、第1左ワイヤ45c及び第2左ワイヤ55cの引張りに応じて徐々に左基準位置まで回転する。
[第2傾斜状態から基準位置復帰制御]
介護用ベッド10が第2傾斜状態(図6参照)である場合に、介護者が基準位置復帰ボタン17cを操作すると、基準位置復帰ボタン17cから制御装置18に停止信号が送信される。制御装置18は、第2傾斜状態で停止信号が入力されると、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左プーリ44が図6における反時計方向に回転するように、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左モータ43を駆動する。
さらに、制御装置18は、第2傾斜状態で停止信号が入力されると、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左プーリ54が図6における反時計方向に回転するように、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左モータ53を駆動する。
上記した第1左モータ43の駆動により、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左プーリ44の1段目に巻き取られていた2本の第1中央ワイヤ45aが引き出されて、2本の第1中央ワイヤ45aが緩む。
同様に、上記した第2左モータ53の駆動により、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左プーリ54の1段目に巻き取られていた2本の第2中央ワイヤ55aが引き出されて、2本の第2中央ワイヤ55aが緩む。
また、上記した第1左モータ43の駆動により、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1左ワイヤ45cが、第1左プーリ44の2段目に巻き取られて引張られる。
同様に、上記した第2左モータ53の駆動により、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2左ワイヤ55cが、第2左プーリ54の2段目に巻き取られて引張られる。
第1左ワイヤ45c及び第2左ワイヤ55cが巻き取られて引張られると、メインベッド11が、図6に示す位置から、図1に示すメイン基準位置まで回転される。この際、取付孔14bから抜かれていた左側のヒンジ25の挿入部30dが、取付孔14bに挿入される。
また、メインベッド11が、図6に示す位置から、図1に示すメイン基準位置の近くまで回転されるとき、右サブベッド12は図6に示す位置で保持される。したがって、メインベッド11と右サブベッド12とのなす角度が大きくなる(例えば、100°から145°に変化する)。
メインベッド11がメイン基準位置の近くまで回転された後、さらに、第1左ワイヤ45c及び第2左ワイヤ55cが巻き取られて引張られると、左板バネ34の弾性変形力に抗して、左サブベッド13が左基準位置まで回転される。左サブベッド13が右基準位置まで回転する場合、第1左ワイヤ45c及び第2左ワイヤ55cの引張りに応じて徐々に左基準位置まで回転する。
また、制御装置18は、メインベッド11がメイン基準位置の近くまで回転されると、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右プーリ42が図6における時計方向に回転するように、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右モータ41を駆動する。
さらに、制御装置18は、メインベッド11がメイン基準位置の近くまで回転されると、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右プーリ52が図6における時計方向に回転するように、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右モータ51を駆動する。
上記した第1右モータ41の駆動により、第1前回転機構36A及び第1後回転機構36Bのそれぞれの第1右ワイヤ45bが、第1右プーリ42の2段目に巻き取られて引張られる。
同様に、上記した第2右モータ51の駆動により、第2前回転機構37A及び第2後回転機構37Bのそれぞれの第2右ワイヤ55bが、第2右プーリ52の2段目に巻き取られて引張られる。
第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bが巻き取られて引張られると、右板バネ33の弾性変形力に抗して、右サブベッド12が右基準位置まで回転される。これにより、2本の第1中央ワイヤ45a及び2本の第2中央ワイヤ55aがさらに緩み、介護用ベッド10は、メインベッド11がメイン基準位置まで回転されて、図1に示す状態となる。なお、右サブベッド12が左基準位置まで回転する場合、第1右ワイヤ45b及び第2右ワイヤ55bの引張りに応じて徐々に右基準位置まで回転する。
このように、介護用ベッド10は、図5又は図6に示す状態から図1に示す状態に戻す場合に、メインベッド11がメイン基準位置の近くに回転してから、右サブベッド12及び左サブベッド13が、右基準位置及び左基準位置に回転するので、メインベッド11がメイン基準位置の近くに戻る(回転する)ときには、右サブベッド12及び左サブベッド13が、右傾斜位置及び左傾斜位置に位置している。これにより、メインベッド11がメイン基準位置の近くに戻る(回転する)ときに、要介護者P1が介護用ベッドから落下するのを確実に防止することができる。
なお、上記実施形態では、右サブベッド12及び左サブベッド13を、右板バネ33及び左板バネ34の弾性変形力により基準位置に回転させているが、これに限定されることなく、右サブベッド12及び左サブベッド13を基準位置に回転させる機構は適宜変更可能であり、例えば、モータ及びギヤ等を有する回転機構や、伸縮自在なシャフト機構等から構成するようにしてもよい。
上記実施形態では、第1アーム21を、下端部に向かうにつれて左側に傾斜するように形成し、第2アーム22を、下端部に向かうにつれて右側に傾斜するように形成しているが、これに限定されることなく、第1アーム21及び第2アーム22の形状は適宜変更可能であり、例えば、直線状や円弧状等に形成するようにしてもよい。