JP6628033B2 - 血液透析装置 - Google Patents
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Description
HD(血液透析)は、血液と透析液を透析膜を介して流し、拡散により血液中の老廃物を除去するようになっている。HF(血液濾過)は、透析液は流さず透析膜を介して、濾過により血液中の老廃物を除去するとともに、置換液を血液回路に供給するようになっている。ここで、置換液として透析液を使用する場合は、OHF(オンライン血液濾過)として知られている。また、HDF(血液透析濾過)は、血液と透析液を透析膜を介して流して、拡散と濾過により血液中の老廃物を除去するとともに、置換液を血液回路に供給するようになっている。つまり、上記HD(血液透析)とHF(血液濾過)とを組み合わせた療法となっている。ここで、置換液として透析液を使用する場合は、OHDF(オンライン血液透析濾過)として知られている。さらに、ECUM(限外濾過)は、透析液を流さず除水のみ行うものであり、置換液も供給しないようになっている。
これらHD(血液透析)、HF(血液濾過)、HDF(血液透析濾過)、ECUM(限外濾過)からなる血液処理方式を、処理の途中で切換可能とした血液透析装置および血液透析装置の制御プログラムが知られている(特許文献1)。
これによれば、第1のプロセスとしてECUMを実行し、所定時点において第2のプロセスとして、他のHDやHFまたはHDFに自動的に切り換えることを特徴としている。また、置換液を血液回路に供給するHFやHDFについては、置換液として透析液を供給するオンラインで行っても良いものとしている。
また、補液(置換液)としてオンラインで透析液を透析液回路から血液回路へ供給する場合は、透析液流量のどれだけを血液回路に供給し、どれだけを透析器に供給するか、算出しながら設定しなければならず、この点においても作業が繁雑であるとともに、人為的ミスにより誤った設定を行う危険性があった。
そして、さらには特許文献1のように、処理途中に処理モードを切り換えるよう設定する場合は、各モード毎に透析液流量および補液流量を設定し、さらにどの時点でモードを切り換えるか設定しなければならず、より作業が繁雑になるという問題があった。
上記透析器に血液を流通させて血液を浄化処理するとともに、上記補液通路を介して血液に透析液を補液することの可能な血液透析装置において、
血液の浄化処理に関する表示と入力操作が可能な入力表示手段を備えるとともに、当該入力表示手段に、上記透析液回路を流通する透析液流量と、上記血液回路へ供給する補液流量を人力する設定画面を備え、
当該設定画面において、血液の処理時間を複数のステップに分割して、分割された複数のステップ毎に透析液流量と補液流量を入力可能とし、当該入力された透析液流量と補液流量を、ステップ毎に透析液流量に補液流量を重ねた図形グラフで表示するようにしたものである。
上記血液透析装置1は、本体部1Aの外部に保持された透析器2と、該透析器2に接続されて血液が流通する血液回路3と、透析器2に接続されて透析液が流通する透析液回路4と、血液回路3と透析液回路4とを接続する補液通路5と、本体部1Aの上部に設けられた入力表示手段6とを備えている。
入力表示手段6はタッチパネルディスプレイからなり、装置の操作に必要なボタンやアイコン、メッセージおよび入力値や出力値等が表示されるとともに、装置の操作および各種パラメータや設定値の入力操作を行うことができるようになっている(図3参照)。
本実施例の血液透析装置1は、上記補液通路5を備え、清浄化された新鮮な透析液を血液回路3に供給するオンライン機能を備えており、透析液を用いて治療開始前におけるプライミング、治療時における補液、治療終了時における返血を行うことが可能となっている。
後に詳述するが、本実施例は入力表示手段6の表示内容を改良したことが特徴であり、血液浄化処理を実行するための構成は、従来公知の血液透析装置と同じである。そこで、先ず、血液透析装置としての基本的な構成を説明し、その後に表示内容について説明する。
上記血液回路3は、患者の血管に接続されて上記透析器2に血液を供給する動脈側通路7と、透析器2から患者に血液を戻す静脈側通路8とから構成されている。
動脈側通路7には、その一端に患者の血管に穿刺される穿刺針7Aが設けられるとともに他端が透析器2に接続され、上記穿刺針7Aから順に、血液を送液する血液ポンプ9、ドリップチャンバ7Bとが配置されている。
上記静脈側通路8は、その一端が上記透析器2に接続されるとともに他端に患者の血管に穿刺される穿刺針8Aが設けられており、上記透析器2の後に、ドリップチャンバ8Bが配置されている。
第1透析液チャンバ11および第2透析液チャンバ12は同形であり、それぞれ2枚の可撓性のダイアフラムにより内部が3室に区画され、中間室を挟んだ一方を、新鮮透析液を収容するための供給室11A、12Aとし、他方を使用済み透析液を回収するための回収室11B、12Bとしている。そして、中間室はシリコーンオイル等の流体を収容する可変容積室11C、12Cとして、容積可変ポンプ17により一方のチャンバの中間室から他方のチャンバの中間室に流体を移動させて、供給室11A、12Aや回収室11B、12Bの収容可能量を増減させるようにしている。
透析液供給通路14には、上流側から透析液の濃度を検出する濃度センサ25と、透析液を清浄化する第1透析液フィルタF1と、さらに透析液を清浄化する第2透析液フィルタF2とが設けられており、第2透析液フィルタF2の下流側で第1分岐通路14Aと第2分岐通路14Bに分岐した後、再び合流して透析器2に接続されている。
給液通路13と透析液供給通路14は、脱気槽23の下流側と濃度センサ25の上流側で、連通弁V11を備えた連通路26により連通させており、治療開始前のプライミング時のような透析液を大量に使用する場合に、第1透析液チャンバ11および第2透析液チャンバ12を介さずに透析液を送ることができるようになっている。
第1透析液フィルタF1は、その一次側と透析液回収通路15をバイパス弁V12を備えたバイパス通路27で接続しており、濃度センサ25による透析液の濃度異常検出時など透析器2への透析液の供給を中断させる場合や、第1透析液フィルタF1のフィルタ表面の付着物を除去するフラッシング時に、バイパス弁V12を開放して透析液回収通路15に連通させるようにしている。また、第2透析液フィルタF2の一次側についても、透析液回収通路15とフラッシング弁V13を備えたフラッシング通路28で接続しており、第2透析液フィルタF2のフィルタ表面の付着物を除去するフラッシング時に、フラッシング弁V13を開放するようにしている。
補液通路5には、透析液を送液する補液ポンプ32が備えられており、補液通路5の下流側の先端は、血液回路3の動脈側通路7のドリップチャンバ7B、もしくは静脈側通路8のドリップチャンバ8Bに接続されている。
第1分岐通路14Aおよび第2分岐通路14Bにおいて、第1分岐弁V14を開放し、第2分岐弁V15と第3分岐弁V16を閉鎖した状態では、透析液は透析器2に流通されて補液通路5には流通されない。これに対し、第1分岐弁V14を閉鎖し、第2分岐弁V15を開放して第3分岐弁V16を閉鎖した状態では、透析液は透析器2に流通されず、補液通路5に流通される。また、第1分岐弁V14を開放し、第2分岐弁V15を開放して第3分岐弁V16を閉鎖した状態では、透析液は透析器2と補液通路5の両方に流通される。
引き続き、給液弁V1、V2と排液弁V7、V8および供給弁V3、V4と回収弁V5、V6の開閉状態を切り換えることで、第2透析液チャンバ12の供給室12Aに新鮮透析液が供給されるとともに、使用済み透析液が回収室12Bから排液され、第1透析液チャンバ11の供給室11Aから透析器2に新鮮透析液が供給されるとともに、使用済み透析液が回収室11Bに回収される。これを交互に繰り返すことで、連続的に透析器2に新鮮透析液を供給するとともに、透析器2から使用済み透析液を回収するようになっている。
また、透析器2から回収室11B、12Bに使用済み透析液を回収する際に、容積可変ポンプ17により一方から他方へ可変容積室11C、12Cの流体を移動させて、回収室11B、12Bの容積を拡大させる除水動作を行うことにより、透析器2に流通させる新鮮透析液の供給量より使用済み透析液の回収量を多くして、透析膜を介して血液中から余分な水分を除去することができる。
また、OHF(オンライン血液濾過)を行う場合は、第1分岐通路14Aの第1分岐弁V14を閉鎖し、第2分岐通路14Bの第2分岐弁V15を開放して第3分岐弁V16は閉鎖し、また排出弁V17を開放する。この状態で、血液ポンプ9を作動させて透析器2に血液を流通させながら、送液ポンプ33を作動させて血液を濾過しつつ、透析器2への新鮮透析液の供給は行わずに、補液ポンプ32を作動させて補液通路5から血液回路3に新鮮透析液を供給する。これにより、血液中の老廃物が濾過されて、第1透析液チャンバ11および第2透析液チャンバ12の回収室11B、12Bに回収されるとともに、置換液として新鮮透析液を血液に補液することができる。
また、OHDF(オンライン血液透析濾過)を行う場合は、第1分岐通路14Aの第1分岐弁V14および第2分岐通路14Bの第2分岐弁V15をともに開放して第3分岐弁V16は閉鎖し、また排出弁V17を開放する。この状態で、血液ポンプ9を作動させて透析器2に血液を流通させながら、送液ポンプ33の作動により新鮮透析液を透析器2に供給するとともに使用済み透析液を回収し、同時に補液ポンプ32を作動させて補液通路5から血液回路3に新鮮透析液を供給する。これにより、拡散と濾過により血液中の老廃物を除去するとともに、新鮮透析液を血液に補液することができる。
さらに、ECUM(限外濾過)を行う場合は、第1分岐通路14Aの第1分岐弁V14および第2分岐通路14Bの第2分岐弁V15と第3分岐弁V16をともに閉鎖し、また排出弁V17を開放する。この状態で、血液ポンプ9を作動させて透析器2に血液を流通させながら、給液ポンプ21を停止させた状態で送液ポンプ33を作動させ、透析器2に新鮮透析液を供給せず、補液通路5から補液も行わずに除水のみを行い、第1透析液チャンバ11および第2透析液チャンバ12の回収室11B、12Bに回収する。
モード表示部42は、HD、ECUM、OHDF、OHFのうち、現在実行されているモードについて、表示色を異ならせて表示するようになっている。設定表示部43は、設定された透析液流量と補液流量を図形グラフGとして棒グラフで表しており、血液浄化処理に要する時間を複数のステップに分割して、ステップ毎の透析液流量と補液流量を、透析液流量グラフGaと補液流量グラフGbで表示している。ステップ選択ボタン44は、設定表示部43で表示される複数のステップにおいて設定を行うステップを選択するためのもので、目的のステップ数の表示に触れることで選択され、表示色が変化するようになっている。本実施例では、1〜12のボタンを表示し、12ステップに分割した場合を示している。
透析液流量設定ボタン45、補液流量設定ボタン46は、それぞれの増加ボタンまたは減少ボタンに触れることで、ステップ選択ボタン44で選択されているステップの透析液流量および補液流量を増減させるようになっている。設定表示部43の図形グラフGは、透析液流量および補液流量の増減に応じて、透析液流量グラフGaと補液流量グラフGbの表示が変更されるようになっている。また、具体的な流量値は、各増減ボタンの上に表示される。
透析液流量は、送液ポンプ33の作用により、第1透析液チャンバ11および第2透析液チャンバ12の供給室11A、12Aから送り出される新鮮透析液の流量を指し、補液流量は、補液ポンプ32の作用により送液される新鮮透析液の流量を指す。これら透析液流量と補液流量の差分が、透析器2に供給される新鮮透析液の流量となる。図3に示すように、透析液流量グラフGaに補液流量グラフGbを重ねて表示することで、透析液流量における補液流量の割合及びその差分、すなわち透析器2に供給される新鮮透析液の流量の割合が、視覚的に容易に把握することができる。そして、透析液流量設定ボタン45または補液流量設定ボタン46で、流量が0となるように入力すると、そのステップでは透析器2または補液通路5に、新鮮透析液が供給されないよう設定される。
入力後は閉じるボタン47に触れることで、設定画面41が閉じられるようになっている。このように、透析液流量と補液流量及びその差分の透析器2に供給される分の流量が、1つの画面の設定表示部43に表示した図形グラフGで容易に把握され、各流量を確認しながら入力することができるため、作業負担が軽減されるとともに設定ミスを防止することができる。
本実施例におけるパターン選択画面49は、図4に示すように3パターンが記憶され表示されるようになっており、このパターン選択画面49で必要なパターンの図形グラフGとしての棒グラフに触れることで、その設定パターンが選択される。パターン選択画面49を閉じると、設定画面41には、設定表示部43に選択したパターンの棒グラフGが表示されるとともに、そのパターンNO.が表示される。なお、記憶する設定パターンの数は、3つに限らずそれ以上であっても良く、必要に応じて増減させることも可能である。
はじめに、入力表示手段6に表示されているメインメニューから設定画面41を表示させて、設定画面41に表示されている選択画面ボタン48に触れてパターン選択画面49を表示させ、今回の血液浄化処理に用いる設定パターンを選択する。図3の例ではNo.1のパターンを選択しており、設定表示部43にNo.1のパターンの図形グラフGとしての棒グラフが表示されている。
次に、このパターンを利用し、変更を要するステップを対応する番号のステップ選択ボタン44に触れて選択する。これにより、選択されたステップの番号表示の表示色が変化する。図3の例では1番が選択されており、この状態で透析液流量設定ボタン45および補液流量設定ボタン46の増減ボタンに触れて目的の流量を入力する。全ての入力が終わると、閉じるボタン47に触れて設定画面41を閉じる。図3の例では、透析器2に透析液を供給するとともに、血液回路3に補液を行うよう設定されているため、モード表示部42ではOHDFの部分の表示色が異なっている。
すなわち、図5の場合は、1〜3のステップは、補液を行わず透析器2への透析液の供給のみを行うHDモードとして設定している。この場合は補液流量として0を入力し、透析液流量のみを入力する。続く4〜6のステップは、透析液も補液も供給しないECUMモードとして設定している。この場合には、透析液流量、補液流量とも0として入力する。
続く7〜9のステップは、透析液、補液とも供給するOHDFモードとして設定している。この場合には、透析液流量、補液流量の両方について必要な流量を入力する。さらに続く10〜12のステップでは、透析液は供給せずに補液のみ供給するOHFモードとして設定している。この場合には、透析液流量は0を入力し、補液流量について必要な流量を入力する。
このように入力することにより、設定画面41だけで各モードを設定することができ、血液浄化処理の途中に処理モードを切り換えるように設定することが可能である。
以上においては、血液透析装置1として、装置外から新鮮透析液の供給を受ける透析用監視装置(コンソール)の場合について説明したが、これに限らず、装置内に透析液の作成機能を備えた個人用透析装置であっても、オンライン機能を備えている場合は本発明を適用することができる。
なお、上記設定表示部43に表示する図形フラグGとしては、棒グラフの他、円グラフやドーナツ形状のグラフ等、透析液流量と補液流量を視覚的に把握できる表現形態であれば、様々な図形のグラフを採用することができる。
3‥血液回路 4‥透析液回路
5‥補液通路 6‥入力表示手段
41‥設定画面 G‥図形グラフ
Claims (4)
- 透析器に接続されて血液が流通する血液回路と、上記透析器に接続されて透析液が流通する透析液回路と、当該透析液回路を透析器に向けて流通される透析液を補液として血液回路に供給する補液通路とを備え、
上記透析器に血液を流通させて血液を浄化処理するとともに、上記補液通路を介して血液に透析液を補液することの可能な血液透析装置において、
血液の浄化処理に関する表示と入力操作が可能な入力表示手段を備えるとともに、当該入力表示手段に、上記透析液回路を流通する透析液流量と、上記血液回路へ供給する補液流量を人力する設定画面を備え、
当該設定画面において、血液の処理時間を複数のステップに分割して、分割された複数のステップ毎に透析液流量と補液流量を入力可能とし、当該入力された透析液流量と補液流量を、ステップ毎に透析液流量に補液流量を重ねた図形グラフで表示するようにしたことを特徴とする血液透析装置。 - 上記ステップ毎の図形グラフのパターンを複数記憶しておき、いずれかのパターンを選択して上記設定画面に表示可能としたことを特徴とする請求項1に記載の血液透析装置。
- 上記図形グラフが棒グラフであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血液透析装置。
- 上記設定面面で透析液流量と補液流量を予め設定することで、血液の浄化処理中に、処理モードとしてのHD(血液透析)、OHF (オンライン血液濾過)、OHDF(オンライン血液透析濾過)、ECUM (限外濾過)を切換可能としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の血液透析装置。
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