実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態1]
図1〜図4を参照して、実施の形態1における集塵装置1の全体構成について説明する。図1は、集塵装置1を示す正面図である。図2は、集塵装置1の正面および上面を示す斜視図である。図3および図4は、それぞれ、集塵装置1の縦断面構成を示す断面図および断面斜視図である。
集塵装置1は、たとえば、居室の床、机、家具の棚、壁面、天井面など、各種の設置面上に設置することができる。集塵装置1は、吸込口12から筺体10の内部へ空気を吸引するとともに、吸引した空気を吹出口17から外部に送出することができる。具体的には、集塵装置1は、筺体10、送風機20(図3,図4)、集塵機構27(図2〜図4)を備える。
(筺体10)
筺体10は、全体として、中央がくびれた円筒状の形状を有する。筺体10は、底部11、吸込口12、下筒部13、中筒部14、上筒部15、構成体16、吹出口17、頭部18を含む。筺体10の軸方向における一端部に吸込口12が設けられ、筺体10の軸方向における他端部に吹出口17が設けられる。
筺体10の軸方向における中央(中筒部14の内側)に、集塵機構27の旋回流生成部24(詳細は後述する)が設けられる。集塵装置1を水平な表面30(図1,図3)上に載置した状態においては、水平な表面30に近い側から順に、吸込口12、集塵機構27(旋回流生成部24、旋回室23、集塵ケース26)、送風機20(羽根車21、駆動源22)および吹出口17が位置する。旋回流生成部24の高さ位置は、筺体10の吸込口12の高さ位置と同等かそれよりも上であり、旋回室23の入口部23aの高さ位置は、旋回流生成部24の高さ位置と同等かそれよりも上である。
筺体10の底部11は、円盤部11aおよび筒状壁11b(図3,図4)を含む。筒状壁11bは、円盤部11aの上面から起立するように設けられる。円盤部11aの下面は、載置面11sを形成する。集塵装置1は、任意の箇所に設置して使用することができる。集塵装置1は、たとえば、載置面11sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30(図1,図3)上に載置した状態で使用される。
下筒部13は、下端部13tから上端部(中筒部14が位置している側の端部)に向かうにつれて、徐々に径が小さくなるテーパー形状を有する。下端部13tの内側には、径方向に延びる複数のリブ13r(図4)が設けられる。下筒部13の下端部13tは、複数のリブ13rを介して、筒状壁11bの外周面に接続される。
筺体10の軸方向における一端部に、吸込口12が設けられる。吸込口12の開口縁の高さ位置は、たとえば水平な表面30から5cmである。底部11の円盤部11aの上面と、筒状壁11b(図3,図4)の外周面と、下筒部13の下端部13tと、リブ13rとによって囲まれた部分に、吸込口12が形成されている。吸込口12は、略全周(360°)に亘って開口しており、下筒部13の内側空間は、この吸込口12を介して外部に連通している。吸込口12は、略全周から吸い込みが可能であり、床等に埃が堆積することを効果的に抑制することができる。
載置面11sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30上に載置した状態においては、下筒部13(筺体10のうちの吸込口12を形成している部材の1つ)の下端部13t(延在している部分)は、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に、吸込口12の開口部を形成している。当該構成によれば、吸込口12の周囲に存在し吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。
上記の構成に限られず、下筒部13(筺体10のうちの吸込口12を形成している部材)の下端部13t(延在している部分)は、鉛直方向における上方から下方に向かって斜め下に延在していても構わない。この場合、下筒部13の下端部13tは、上方から下方に向かうにつれて徐々に径が大きくなるテーパー形状を有していることが好ましい。当該構成によっても、吸込口12の周囲に存在し吸込口12から吸引される塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。
(集塵機構27)
中筒部14は、下筒部13と上筒部15との間に位置する。集塵機構27は、筺体10内に設けられ、旋回流生成部24、旋回室23、集塵ケース26を含む。旋回流生成部24は、中筒部14の内側に固定配置されている。旋回流生成部24は、プロペラファンの形状を有しており、翼部分の上流端(下端部)は、ファンの中心軸方向に対しておおよそ垂直な向きを向いている。旋回流生成部24は、下筒部13から上筒部15に向かって流れる空気の流れを変える。旋回流生成部24を通過した空気は、旋回流を形成することになる(図7参照)。
(旋回室23)
上筒部15は、下端部(中筒部14が位置している側の端部)から上端部(構成体16が位置している側の端部)に向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有する。上筒部15の内側に、旋回室23が形成される。旋回室23は、吸込口12に連通する入口部23aと、吹出口17に連通する出口部23bとが設けられた、中空の形状を有している。
載置面11sが鉛直方向における下になるように筺体10を水平な表面30上に載置した場合、吸込口12は筺体10の下部に位置し、吹出口17は筺体10の上部に位置する。同様に、旋回室23の内部23sは旋回室23の入口部23aの上部に位置し、かつ、旋回室23の出口部23bは旋回室23の内部23sの上部に位置する。
送風機20は、羽根車21、駆動源22を含む。送風機20が筺体10内で流れを生成することによって、吸込口12から吸い込まれた空気は、入口部23aを通して旋回室23の内部23sに供給される。旋回流生成部24は、筺体10の吸込口12と旋回室23の入口部23aとの間に設けられる。旋回流生成部24は、旋回室23に供給される空気が旋回室23の内部23sで旋回するように空気の流れを変える。旋回室23の内部23sに供給された空気は、出口部23bを通して旋回室23の外部に送出される。
(構成体16)
構成体16は、上筒部15の端部(中筒部14が位置している側とは反対側の端部)に設けられる。図5は、構成体16の底面および外周面を示す斜視図である。図6は、図5に示す構成体16から集塵ケース26を取り外した状態を示す斜視図である。
図3〜図6に示すように、構成体16は、外周部16a、収容部16b(図3,図4)、底板部16c、底窓部16d、および上端部16tを有する。外周部16aは、筒状に形成され、下端部(底板部16cが位置している側の端部)から上端部16tに向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有する。
収容部16bは、外周部16aの内側に配置される。収容部16bも、筒状に形成され、下端部(底窓部16dが位置している側の端部)から上端部16tに向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有する。テーパーの程度は、収容部16bの方が、外周部16aに比べて大きい。換言すると、外周部16aの傾きの方が、収容部16bの傾きに比べて緩やかである。収容部16bの内側に、送風機20の羽根車21が配置される。羽根車21は、ターボファンから構成される。
底板部16cは、半円の形状を有し(図5,図6参照)、外周部16aの下端側に位置する開口の略半分を覆っている。底窓部16dは、収容部16bの下部に連設される。底窓部16dは、複数の棒状部材が互いの間に間隔を空けるように環状に並べられ、且つそれらの複数の棒状部材が全体として円錐を形成するように配置されることで構成されている。旋回室23は、底窓部16d(隣り合う棒状部材の間に形成された隙間)を通して収容部16bの内側空間に連通している。
筺体10の頭部18は、円盤部18a、収容部18b、筒状壁18c(図3,図4)を含む。収容部18bおよび筒状壁18cは、円盤部18aの下面から垂れ下がるように設けられる。円盤部18aの上面は、天面18sを形成する。収容部18bは、送風機20の駆動源22を収容する。駆動源22の出力軸は、旋回室23の中心軸と一致している(同一直線上に位置している)。駆動源22の出力軸に、羽根車21が取り付けられる。駆動源22(ファンモータ)は、羽根車21を回転駆動する。
構成体16の上端部16tの内側には、径方向に延びる複数のリブ16r(図2)が設けられる。構成体16(外周部16a)の上端部16tは、複数のリブ16rを介して、筒状壁18cの外周面に接続される。筺体10の軸方向における他端部に、吹出口17が設けられる。頭部18の円盤部18aの下面と、筒状壁18c(図3,図4)の外周面と、構成体16の上端部16tと、リブ16r(図2)とによって囲まれた部分に、吹出口17が形成されている。吹出口17は、略全周(360°)に亘って開口しており、収容部16bの内側空間は、この吹出口17を介して外部に連通している。
載置面11sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30上に載置した状態においては、外周部16a(筺体10のうちの吹出口17を形成している部材の1つ)の上端部16t(延在している部分)は、鉛直方向における下方から上方に向かってまっすぐ上に延在しており、且つ、構成体16の外周部16aは、この上端部16tの先端近傍に、吹出口17の開口部を形成している。さらに、頭部18の円盤部18aは、水平な方向に延在している。当該構成によれば、空気は吹出口17から略水平方向に送出されることになる。
上記の構成に限られず、外周部16a(筺体10のうちの吹出口17を形成している部材)の上端部16t(延在している部分)は、鉛直方向における下方から上方に向かって斜め上に延在していても構わない。この場合、構成体16の上端部16tは、下方から上方に向かうにつれて徐々に径が大きくなるテーパー形状を有していることが好ましい。当該構成によっても、頭部18の円盤部18aが水平な方向に延在していることで、空気は吹出口17から略水平方向に送出されることになる。
(集塵ケース26)
筺体10の構成体16は、集塵機構27の集塵ケース26を着脱可能に受け入れ可能な切り欠きを有している(図5,図6参照)。集塵ケース26が構成体16に取り付けられた状態において、旋回室23は、底窓部16dを通して収容部16bの内側空間に連通している。
図6を参照して、集塵ケース26は、開口部26s、集塵室26tを有する。集塵ケース26の外表面26vは、集塵ケース26が構成体16(筺体10)に取り付けられている状態で、筺体10の外表面と面一の関係となるように設けられている(図1〜図4等参照)。図5,図6を参照して、集塵ケース26が構成体16(筺体10)に取り付けられている状態で、旋回室23の内部23sは、集塵ケース26の開口部26sを通して、集塵ケース26の集塵室26tに連通している。
図7を参照して、集塵装置1の吸込口12は、水平な表面30の近くに位置している。使用者の操作受付やタイマー動作、あるいはセンサー動作などによって、集塵装置1は送風機20を作動させる。送風機20が筺体10内で流れを生成することによって、塵埃を含む空気が吸込口12から筺体10内に吸い込まれる。
下筒部13の下端部13tは、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に吸込口12の開口部を形成している。吸込口12の周囲に存在していた、吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。空気や塵埃は、効率良く吸込口12から下筒部13の中へと吸引されることとなる。
下筒部13の中に吸い込まれた空気は、上昇移動し、やがて旋回流生成部24に到達する。旋回流生成部24は、塵埃を含む空気をほぼ90°方向転向させる。旋回流生成部24を通過した空気は、旋回室23の内部23sで旋回流を形成する(図7参照)。旋回室23の内部23sは、円形の断面形状を有しているため、旋回流がスムーズに形成され、高い送風効率を得ることができる。旋回流の作用によって、旋回室23の内部23sにて、塵埃および空気は互いに遠心分離される。
本実施の形態の筺体10は、全体として中央がくびれた円筒状の形状を有しており、筺体10の軸方向における中央(中筒部14の内側)に旋回流生成部24が設けられる。中筒部14(旋回流生成部24)は、吸込口12よりも径方向内側の位置に存在する。流路が中筒部14において絞られていることで、集塵装置1は滑らかに空気を吸引できる。
一方、旋回室23は、中筒部14の括れ部分よりも大きな流路を有している。空気は、中筒部14において一旦流路が狭くなることで勢いをつけて旋回室23に進入ことができるため、より強い旋回流が形成され、より強い遠心分離の作用を得ることが可能となる。
空気から分離された塵埃は、集塵ケース26の開口部26s(図5参照)を通して、集塵ケース26の集塵室26tの中に格納されていく。遠心分離できる範囲の塵埃の捕集については、フィルターを別途設置する必要が無い。使用者は、集塵ケース26を筺体10から取り外して簡単に掃除するだけで済むため、フィルター掃除などの余分なメンテナンスをする必要もない。
本実施の形態においては、集塵ケース26は、水平方向に(水平な表面30に対して平行な方向)に着脱可能に構成される。当該構成は、塵埃が空気から外方向に分離されるという遠心分離の機能を維持しながら、集塵ケース26の取り出しを容易にしている。使用者は、集塵された塵埃を容易に捨てることができる。集塵ケース26の外表面26vは、集塵ケース26が構成体16(筺体10)に取り付けられている状態で、筺体10の外表面と面一の関係となるように設けられている。当該構成は、高い意匠性(美観)を発揮し得る。
塵埃が分離された空気は、旋回室23の出口部23b(底窓部16d)、羽根車21(収容部16bの内側空間)、および筺体10の吹出口17をこの順に通過して外部に送出される。送風機20が筺体10内で生成する流れの進行方向において、送風機20(羽根車21)は、吹出口17の直前の位置に設けられている。塵埃を含む空気は、集塵装置1に吸い込まれたのちに、集塵機構27によって塵埃と分離された状態で集塵装置1の外部へと効率良く送出されることとなる。
旋回室23は、透明性を有する部材(上筒部15)から形成されていることが好ましい。旋回流によって塵埃が分解される様子や、塵埃が集塵室26tの中に格納されていく様子を見ることが可能となる。羽根車21と収容部16bとの間の流路が塵埃で詰まるなどの、何らかの不具合が生じて流体の流れが滞った場合、旋回室23内の塵埃の挙動も変わるため(たとえば塵埃が旋回室23内に残留することで)、動作の異常などを目視で確認することも可能となる。
本実施の形態においては、構成体16の収容部16bは、外周部16aの内側に配置される。収容部16bも、筒状に形成され、下端部(底窓部16dが位置している側の端部)から上端部16tに向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有している。テーパーの程度は、収容部16bの方が、外周部16aに比べて大きい。
すなわち、旋回室23から収容部16bに繋がる流路は、底窓部16dにおいて一旦狭くなっている。底窓部16dのやや下流部分(上方部分)が、収容部16bの流入部を構成している。収容部16bは、下流側に向かうにつれて、傾斜した面でテーパー状に広がっている。収容部16bは、下流側に向かうにつれて、湾曲した面でテーパー状に広がっていてもよい。これらの構成を採用することで、旋回室23の外形寸法と収容部16bとの外形寸法をおおよそ揃えることができ、筺体10の形状を実現可能となる。
図8は、水平な床面(表面)上に設置された集塵装置1の動作している様子を模式的に示す側面図である。図9は、図8中のIX−IX線に沿った高さ位置における気流(吹出口17から送出された空気による気流)の挙動を示す図である。図8中のIX−IX線に沿った高さ位置とは、集塵装置1の吹出口17の高さ位置に略一致している。
図10は、図8中のX−X線に沿った高さ位置における気流の挙動を示す図である。図8中のX−X線に沿った高さ位置とは、集塵装置1が設置されている床面(集塵装置1の吸込口12)の高さ位置に略一致している。図9,図10の中には、集塵装置1を模式的に示しているが、集塵装置1(円弧)の内側に描かれている矢印は、羽根車21の回転方向を示している。
図8〜図10を参照して、本実施の形態の集塵装置1は、部屋の中央に設置される。塵埃が分離された空気は、集塵装置1の吹出口17を通過して外部に送出される。吹出口17は略全周(360°)に亘って開口しており、空気は、全方向へと送出される。集塵装置1の吹出口17は、載置面11s(図7)が鉛直方向における下になるように筺体10を水平な表面上に載置した場合に、吹出口17から外部に送出された空気による気流が、鉛直方向軸回りの回転成分を有しながら流通するように開口している(図9参照)。すなわち、吹出口17から外部に送出された空気による気流は、吹出口17から遠ざかる際にまっすぐ進むことはなく、吹出口17の高さ位置(水平な高さ位置)をおおよそ維持したまま、円弧を描くようにして進行する(図9参照)。
本実施の形態においては、筺体10(図7参照)の外周部16a(筺体10のうちの吹出口17を形成している部材の1つ)の上端部16tが、鉛直方向における下方から上方に向かってまっすぐ上に延在している。頭部18の円盤部18aは、水平な方向に延在している。頭部18の円盤部18aの下面と、筒状壁18c(図3,図4)の外周面と、構成体16の上端部16tと、リブ16r(図2)とによって囲まれた部分に、吹出口17が形成されている。送風機20が筺体10内で生成する流れの進行方向において、送風機20(羽根車21)は、吹出口17の直前の位置に設けられている。吹出口17は、略全周(360°)に亘って開口しており、吹出口17は、略全周から空気を送出する。
吹出口17から送出された空気による気流は、吹出口17に対向する壁面W(図8,図9参照)にやわらかく到達する(角度を持って到達する)。その気流は、壁面Wに沿って斜め下方向に移動したのち、水平な床面(表面)上に到達し、水平な表面上で回転成分を有しながら流通して、吸込口12から筺体10内に吸い込まれる(図10参照)。すなわち、壁面Wから遠ざかる際に、気流のほとんどは、まっすぐ進むことなく、床面の高さ位置(水平な表面30の高さ位置)をおおよそ維持したまま円弧を描くようにして進行する。床面上の気流は、送出された時と概ね反対の方向の回転成分を有した状態で進行しつつ吸込口12に近づき、その後、吸込口12から筺体10内に吸い込まれる(図10参照)。
(作用および効果)
集塵装置1によれば、吹出口17から送出された空気による気流は、回転成分を持って壁面Wに到達する。この場合は、気流がまっ直ぐに進行して壁面Wに到達する場合と比較して損失が少なくなる。直進成分のみを含む気流よりも、回転成分を含む気流の方が、壁面Wに到達した際にスムーズな方向転換が可能であり、気流が壁面Wに到達(接触)することで損なわれる運動エネルギーおよび力積が小さくなる。小部屋などの四方を壁で囲まれた小空間の場合、集塵装置1は、おなじ出力を有する一般的な送風機に比べて、気流の到達距離を長くすることができ、高い集塵能力および高い集塵効率を実現できる。
一般的な空気清浄機は、天井から壁面を伝って部屋全体を循環する気流を生成する。この気流と比較しても、集塵装置1からの気流は無駄が少ない。集塵装置1によれば、吹出口17から送出された空気による気流は回転成分を持って流れるため、気流が天井や壁に沿って流れることにより生じる摩擦を低減でき、気流が長い距離を進行する間に気流が拡散して循環が難しくなるのも抑制できる。集塵装置1は、集塵により適した気流を生成することができる。
気流が壁面から床面へと転向されるときにも、気流がまっ直ぐ進行する場合に比べて、集塵装置1からの気流は回転成分を有しているため、斜め下に曲がりながら転向され、損失も少ない。気流がまっ直ぐ進行することにより形成される気流は、空間内のある範囲を循環するのみで、それ以外のところへはほとんど循環することができない。回転成分を有しながら壁面、床面へと流れるダイナミックな気流は、通流の際に時間変化が生じるため、部屋の隅まで到達できる。
吹出口17は、略全周(360°)に亘って開口しており、吹出口17は、略全周から吹き出しが可能であり、床等に塵埃が堆積することを効果的に抑制することができる。たとえば、集塵装置1を部屋の中に配置し、吸込口12の高さを床面(水平な表面30)から30cm未満に設定するとともに、吹出口17は略水平方向を向くように構成したとする。
この構成によると、床面(水平な表面30)の付近に吸込口12が位置しているため、沈降もしくは静電気等の作用で床面付近に集まって来た塵埃は、床面に到達する直前で吸込口12から吸引される。したがって、床面への塵埃の付着を抑制することができ、使用者が一般的な掃除機を片手に意識的に塵埃を発見して集めにいくといった機会や必要性が減り、掃除に必要な負担を低減可能となる。塵埃が集まり易い位置に集塵装置1(吸込口12)を設けることで、より効率の良い集塵が可能である。
吹出口17から送出された空気による循環気流は、吸込口12からの空気の吸い込みをアシストする。床上から吹出口17の高さ位置までの空間が循環気流によって特にきれいな空間となり、塵埃等が堆積することをより効率的に防ぐことが可能となる。ダニやホコリなどのアレルゲン物質は、足元の高さの範囲内(0〜30cmの範囲内)にほとんどが集まると言われている。それらの物質を床面に近い位置で確実に除去することで、ペットや幼児に、よりクリーンな雰囲気を提供可能となる。床上にて大人や子供が就寝する場合にも有効である。
吸込口12の開口範囲に関して、吸込風速を高めたとしても、吸込口12から吸込可能な距離(範囲)には限界がある。吸込風速を高めるよりも、吹出風速を高めることによって吸込をアシストする方が、集塵にとっては効果的である。よって、吸込口12は、全方向から吸込みが可能な全周吸込みがもっとも良いと考えられる。
なお、部屋の隅や壁に隣接するように集塵装置1を設置する場合には、全方向から吸込み可能であるという構成(360°吸込み)は無駄になってしまい、90°や180°のみの吸込口で十分である場合もある。吸込み可能な範囲を小さくすることで、吸込みの速度を向上させることができるので、置き場の形状に応じて変更されることが望ましい。
吸込口12を構成するために吸込口12の付近に必要な、本体を保持するための部材は、細いリブなどを設けることなく、太くなめらかな円柱状リブや滑らかな面で構成するのが好ましい。この構成によれば、繊維系のホコリやペットの毛が引っ掛かかりにくくできる。吸込口12における吸込み風速は、たとえば0.5m/s以上に設定されることが望ましい。
上述のとおり、集塵装置1の羽根車21は、ターボファンから構成され、筺体10内で生成される流れの進行方向において、吹出口17の直前の位置に設けられている。旋回室23の回転軸と駆動源22の回転軸とが一致している(同一直線上に位置している)。この構成によれば、ターボファンによる回転成分が強く残った気流が吹出口17から送出される。羽根車21にターボファンを採用した場合、吹出口17から送出された空気による気流に、簡便な構成にて、より大きな回転成分を持たせることが可能となる。なお、送風の方式は他の形状を有する一般的な遠心ファン、軸流ファンなど何であっても良い。
上述のとおり、集塵装置1においては、下筒部13の下端部13tは、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に吸込口12の開口部を形成している。吸込口12の周囲に存在していた、吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。塵埃は、床面から効果的に持ち上げられるとともに、筺体10の底部11などに不必要に接触したりしないため、摩擦などで塵埃を持ち上げる力を弱められることがなく、より高い集塵性能を得ることが可能である。
図8〜図10を参照して、好ましくは、集塵装置1の吹出口17は、載置面11s(図7参照)が鉛直方向における下になるように筺体10を水平な表面上に載置した場合に、吹出口17から送出される空気が水平方向または水平方向よりも斜め下向きの方向に送出されるように開口しているとよい。当該構成は、頭部18の外周部の下面形状などを調整することで実現できる。
この構成によると、略水平方向から斜め下向きに空気が送出されることで、気流が壁面Wに到達したときに、上方向に向かって分かれる気流、つまり集塵に寄与しにくい気流を少なくすることができるため、より効率よく集塵できる。さらに、略水平方向から斜め下向きに空気が送出されることで、略水平方向から斜め下方向に向かうエアカーテンを作りだし、これにより床上から吹出口17の高さ位置までの空間を循環気流によって閉じて、それ以外の部分に塵埃が舞い上がるのを防ぐとともに、塵埃が床面上に堆積するのをより効率的に防ぐことが可能となる。
[比較例1]
図11〜図13を参照して、比較例1における装置1Z(空気清浄機)について説明する。図11は、水平な床面上に設置された装置1Zの動作している様子を模式的に示す側面図である。装置1Zは、室内の壁面W(W1)に近い位置に配置されており、吹出口17が室内の中央に向けられている。
図12は、図11中のXII−XII線に沿った高さ位置における気流(吹出口17から送出された空気による気流)の挙動を示す図である。図11中のXII−XII線に沿った高さ位置とは、装置1Zの吹出口17の高さ位置に略一致している。図13は、図11中のXIII−XIII線に沿った高さ位置における気流の挙動を示す図である。図11中のXIII−XIII線に沿った高さ位置とは、装置1Zが設置されている床面の高さ位置に略一致している。
図11〜図13を参照して、空気は、装置1Zの吹出口17を通して外部に送出される。吹出口17から外部に送出された空気による気流は、鉛直方向軸回りの回転成分を有しておらず、直進成分のみを有している。吹出口17の正面側には、まっすぐ前向きに進む気流が生成される。一方、吹出口17の左右に位置する壁面付近には、流れがおよばない領域が形成される。
まっすぐ前向きに進む気流が壁面Wにぶつかるとき、気流は上下左右に拡散される(弾かれる)。特に、上方向へ向かう気流の量が多くなりやすい。気流が床面にぶつかるときにも、気流は床面に対して垂直にぶつかっていくため、気流および塵埃が両側へ弾かれる。このようにして循環する気流は、ある範囲内のみで循環する。壁面や床面で弾かれた塵埃を装置1Zの吸込口まで運ぶことは難しく、一定の箇所にどんどんと塵埃が蓄積されやすい(図13参照)。仮に、装置1Zの送風能力を高めたとしても、流れがおよばない領域に十分な流れを供給することは難しい。
[実施の形態2]
図14〜図16を参照して、実施の形態2における集塵装置1について説明する。図14は、水平な床面上に設置された集塵装置1の動作している様子を模式的に示す側面図である。実施の形態2における集塵装置1は、室内の壁面W(W1)に近い位置に配置されている。
図15は、図14中のXV−XV線に沿った高さ位置における気流(吹出口17から送出された空気による気流)の挙動を示す図である。図14中のXV−XV線に沿った高さ位置とは、集塵装置1の吹出口17の高さ位置に略一致している。図16は、図14中のXVI−XVI線に沿った高さ位置における気流の挙動を示す図である。図14中のXVI−XVI線に沿った高さ位置とは、集塵装置1が設置されている床面(集塵装置1の吸込口12)の高さ位置に略一致している。
図14〜図16を参照して、空気は、集塵装置1の吹出口17を通して外部に送出される。実施の形態1の場合と同様に、吹出口17から外部に送出された空気による気流は、鉛直方向軸回りの回転成分を有している。吹出口17から外部に送出された空気による気流は、吹出口17の高さ位置をおおよそ維持したまま、円弧を描くようにして進行する(図15参照)。上述の比較例1(図12参照)とは異なり、吹出口17の左右に位置する壁面付近に、流れがおよばない領域が形成されることはほとんどない。
吹出口17から送出された空気による気流は、吹出口17に対向する壁面Wにやわらかく到達する。その気流は、壁面Wに沿って斜め下方向に移動したのち、水平な床面上に到達し、床面上で回転成分を有しながら流通して、吸込口12から筺体10内に吸い込まれる(図16参照)。壁面Wから遠ざかる際に、気流のほとんどは、床面の高さ位置をおおよそ維持したまま円弧を描くようにして進行する。
床面上の気流は、送出された時と概ね反対の方向の回転成分を有した状態で進行しつつ吸込口12に近づき、その後、吸込口12から筺体10内に吸い込まれる(図16参照)。集塵装置1が実施の形態2のような態様(配置位置)で実施される場合であっても、高い集塵能力および高い集塵効率を実現でき、使用者の掃除に必要な負担を低減可能となる。
[実施の形態3]
図17〜図19を参照して、実施の形態3における集塵装置1Aについて説明する。図17は、水平な床面上に設置された集塵装置1Aの動作している様子を模式的に示す側面図である。集塵装置1Aにおいては、その上部に閉塞部17G(図18参照)が設けられている。集塵装置1Aの吹出口17は、略全周(360°)には開口しておらず、その半周程度(たとえば180°)のみ開口している。なお、吸込口12は、略全周(360°)に亘って開口している。
図18は、図17中のXVIII−XVIII線に沿った高さ位置における気流(吹出口17から送出された空気による気流)の挙動を示す図である。図17中のXVIII−XVIII線に沿った高さ位置とは、集塵装置1Aの吹出口17の高さ位置に略一致している。図19は、図17中のXIX−XIX線に沿った高さ位置における気流の挙動を示す図である。図17中のXIX−XIX線に沿った高さ位置とは、集塵装置1Aが設置されている床面(集塵装置1Aの吸込口12)の高さ位置に略一致している。
図17〜図19に示すように、集塵装置1Aは、室内の壁面W(W1)に近い位置に配置されている。閉塞部17Gが壁面W(W1)に対向しており、吹出口17が室内の中央に向けられている。当該構成によれば、壁面W(W1)に向かって空気が送出されることはほとんどなくなる。
吹出口17から送出された空気による気流は、鉛直方向軸回りの回転成分を有している。この気流は、円弧を描くようにして進行し、吹出口17から図18紙面内の左方向に向かって進行する気流と、吹出口17から図18紙面内の右方向に向かって進行する気流との間に生じるアンバランスを緩和することが可能となる。
床面上においては(図19参照)では、送出された際の気流の回転方向の回転成分と、その反対方向の回転成分とを半分程度ずつ有した流れが発生することになる。当該構成によっても、高い集塵能力および高い集塵効率を実現でき、使用者の掃除に必要な負担を低減可能となる。
集塵装置1Aを上から見たとすると、羽根車21(実施の形態1における図3等参照)の回転方向が左回り(図18中の反時計回り)である場合には、壁面W(W1)の側からみて吹出口17の左側半分程度を塞ぐように構成してもよい。当該構成によれば、壁面W(W1)の側から見て左側に向かって空気が送出されることはほとんどなくなる。集塵装置1Aを上から見たときに、羽根車21の回転方向が右回りである場合には、壁面W(W1)の側からみて吹出口17の右側半分程度を塞ぐように構成してもよい。当該構成によれば、壁面W(W1)の側から見て右側に向かって空気が送出されることはほとんどなくなる。
たとえば、もし集塵装置1Aを壁際に設置したい場合に、吹出口17は半周程度に渡って設けられるのがよい。全周に吹き出す場合と比較して、より強い吹出風速が得られるため、集塵の速度が向上する。たとえば集塵装置1Aを壁際に設置するときなど、近い壁に向かっては空気を吹き出す必要が無い場合等に、半周吹出の方がより効率がよくなるため有効である。
[実施の形態4]
図20〜図22を参照して、実施の形態4における集塵装置1Aについて説明する。図20は、水平な床面上に設置された集塵装置1Aの動作している様子を模式的に示す側面図である。実施の形態4における集塵装置1Aは、室内の隅に近い位置に配置されている。
図21は、図20中のXXI−XXI線に沿った高さ位置における気流(吹出口17から送出された空気による気流)の挙動を示す図である。図20中のXXI−XXI線に沿った高さ位置とは、集塵装置1Aの吹出口17の高さ位置に略一致している。図22は、図20中のXXII−XXII線に沿った高さ位置における気流の挙動を示す図である。図20中のXXII−XXII線に沿った高さ位置とは、集塵装置1Aが設置されている床面(集塵装置1Aの吸込口12)の高さ位置に略一致している。
図20〜図22に示すように、集塵装置1Aは、壁面W(W1)と壁面W(W2)との間に形成されている室内の隅に近い位置に配置されている。集塵装置1Aの閉塞部17Gは、壁面W(W2)に対向するように配置されている。吹出口17は、壁面W(W1)に対向するように配置されている。
吹出口17から送出された空気による気流は、鉛直方向軸回りの回転成分を有している。この気流は、室内の中央や壁面W(W1)に向かって円弧を描くようにして進行し、壁面にやわらかく到達する(角度を持って到達する)。その気流は、壁面に沿って斜め下方向に移動したのち、水平な床面(表面)上に到達し、水平な表面上で回転成分を有しながら流通して、吸込口12から筺体10内に吸い込まれる。当該構成によっても、高い集塵能力および高い集塵効率を実現でき、使用者の掃除に必要な負担を低減可能となる。
集塵装置1Aを上から見たとすると、羽根車21(実施の形態1における図3等参照)の回転方向が左回り(図21中の反時計回り)である場合には、部屋の対角線からみて吹出口17の左側半分程度を塞ぐように構成する。当該構成によれば、壁面W(W2)の側に向かって空気が送出されることはほとんどなくなる。集塵装置1Aを上から見たときに、羽根車21の回転方向が右回りである場合には、部屋の対角線からみて吹出口17の右側半分程度を塞ぐように構成する。当該構成によれば、壁面W(W1)の側に向かって空気が送出されることはほとんどなくなる。
たとえば、もし集塵装置1Aを部屋の隅に設置したい場合に、吹出口17は半周程度に渡って設けられるのがよい。全周に吹き出す場合と比較して、より強い吹出風速が得られるため、集塵の速度が向上する。たとえば集塵装置1Aを部屋の隅に設置するときなど、近い壁に向かっては空気を吹き出す必要が無い場合等に、半周吹出の方がより効率がよくなるため有効である。
[比較例2]
図23〜図25を参照して、比較例2における装置1Z(空気清浄機)について説明する。図23は、水平な床面上に設置された装置1Zの動作している様子を模式的に示す側面図である。比較例2における装置1Zは、室内の隅に近い位置に配置されている。装置1Zの吹出口17は、室内の中央に向けられている。
図24は、図23中のXXIV−XXIV線に沿った高さ位置における気流(吹出口17から送出された空気による気流)の挙動を示す図である。図23中のXXVI−XXVI線に沿った高さ位置とは、装置1Zの吹出口17の高さ位置に略一致している。図25は、図23中のXXV−XXV線に沿った高さ位置における気流の挙動を示す図である。図23中のXXV−XXV線に沿った高さ位置とは、装置1Zが設置されている床面の高さ位置に略一致している。
図23〜図25を参照して、空気は、装置1Zの吹出口17を通して外部に送出される。吹出口17から外部に送出された空気による気流は、鉛直方向軸回りの回転成分を有しておらず、直進成分のみを有している。吹出口17の正面側には、装置1Zの反対側に位置する部屋の隅に向かってまっすぐ進む気流が生成される。
まっすぐ部屋の隅に向かって進む気流は、部屋の隅にぶつかるとき、気流は上下左右にばらばらに拡散される(弾かれる)。特に、上方向へ向かう気流の量が多くなりやすい。気流が床面にぶつかるときにも、気流は床面に対して垂直にぶつかっていくため、気流および塵埃は、壁面W(W3)や壁面W(W4)の方へと弾かれる。壁面W(W3)や壁面W(W4)に沿って流れる気流が強くなるため、その気流に周りの流れも引き寄せられ、塵埃は一定の箇所に蓄積されることとなる。
[実施の形態5]
図26は、実施の形態5における集塵装置1Bを示す正面図である。集塵装置1Bと実施の形態1における集塵装置1(図1参照)とは、以下の点において相違している。実施の形態5における集塵装置1Bは、筺体10が寸胴の形状を有しており、倒れにくい構造になっている。集塵ケース26は、集塵ケース26が筺体10に取り付けられている状態で、筺体10の外表面と面一ではない。
集塵装置1Bは、部屋内で集塵装置1Bがどこに設置されているかを判別することが可能なセンサー10Sを備える。さらに集塵装置1Bは、図示しない閉塞部を含み、閉塞部の動作によって吹出口17の開口範囲を増減させることが可能な開閉機構10Kを備える。センサー10Sが取得した集塵装置1Bの位置情報に基づき、開閉機構10Kが吹出口17の開口範囲を最適な状態へと変える。
図26に示すように、集塵装置1Bは、筺体10(吹出口17)の回転方向における姿勢を自由に変えることが可能な回転機構10Dも備えていることが好ましい。回転機構10Dは、吹出口17が首振りをするように筺体10を回転させたり、吹出口17(筺体10)の位置を連続的に一方向に回転させたりする。吹出口17の開口範囲の一部を塞いだ状態で首振り動作をすると、より吹出し風速を高めることができ、小型化や省スペース化も可能である。
センサー10Sが取得した集塵装置1Bの位置情報に基づき、開閉機構10Kが吹出口17の開口範囲を最適な状態へと変えるとともに、回転機構10Dは吹出口17の回転方向における姿勢を最適な状態へと変えるように構成してもよい。
他の実施の形態として、旋回室23の中では、塵埃の他に、花粉、害虫などを遠心分離し、粘着性の物質等に付着させてもよい。遠心分離される塵埃を、帯電や除電を利用して予め重くして、遠心分離しやすくしてから遠心分離させ、その後、集塵ケース26の中に集めてもよい。旋回室23の中には、圧縮機構が設けられていてもよい。お手入れの回数をより減らすことが可能である。また、集塵装置は、車輪などを設けることによって自走してもよい。集塵装置は、埃を検知するセンサやカメラなどを備えて、それに応じて作動してもよい。
[実験例1]
図27〜図44を参照して、上述の各実施の形態に関して行った実験例1について説明する。図27に示すように、実験例1は、比較例(No.S1)と、実施例(No.S2〜S8)とを含む。
実験条件は次の通りである。180cm×180cmの約2畳の大きさを有する室内空間を準備した。比較例(No.S1)に基づく空気清浄機と、実施例(No.S2〜S8)とに基づく各集塵装置は、風量が10m3/minである。
比較例(No.S1)に基づく空気清浄機は、幅356mm×奥行180mm×高さ520mmである。実施例(No.S2〜S8)に基づく各集塵装置は、φ280mm×高さ320mmである。図29,図30に示されるとおり、比較例(No.S1)に基づく空気清浄機は、壁に沿うように配置した。図31〜図44に示されるとおり、実施例(No.S2〜S8)に基づく各集塵装置も、壁に沿うように配置した。
仮想の塵埃として、直径5mmの発泡スチロール球を100個準備し、床に等間隔で配置した。各装置および各発泡スチロール球のいずれもが静止している状態から、各装置を作動させ、2分間運転させた。集塵率を測定するために、室内に残った発泡スチロール球をカウントした。なお、比較例(No.S1)に基づく空気清浄機は、集塵室を有していない。したがって、本体の近傍にまで到達できたものは、回収できたとみなしてカウントした。
図29,図30を参照して、比較例(No.S1)に基づく装置1Z(空気清浄機)については、吹出口17の正面側には、まっすぐ前向きに進む気流が生成された。一方、壁面W(W4)に到達して戻ってくる気流は弱く、吹出口17の左右に位置する壁面付近には、流れがおよばない吹きだまりが形成された。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、27%であった。
図31,図32を参照して、実施例(No.S2)に基づく集塵装置1については、吹出口17は、全周(360°)に亘って開口している。吹出口17から外部に送出された空気による気流は、鉛直方向軸回りの回転成分を有しながら略水平方向に流通した。気流は、壁面W(W1,W2,W3,W4)に沿って斜め下方向に移動したのち、水平な床面(表面)上に到達し、床面上で回転成分を有しながら流通して、吸込口12から筺体10内に発泡スチロール球とともに吸い込まれた。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、40%であった。
図33,図34を参照して、実施例(No.S3)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は半周(180°)に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの後ろ側、すなわち壁面W(W2)の側に位置する180°(図27,図33,図34には「後180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W1,W3,W4)に向かう気流の風速が向上するとともに、壁面W(W1,W3,W4)から帰ってくる気流の風速も向上した。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、42%であった。
図35,図36を参照して、実施例(No.S4)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は半周(180°)に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの右側、すなわち壁面W(W1)の側に位置する180°(図27,図35,図36には「右180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W2,W3)に向かう気流の風速が向上するとともに、壁面W(W1,W3,W4)から帰ってくる気流の風速も向上した。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、50%であった。
図37,図38を参照して、実施例(No.S5)に基づく集塵装置1Cについては、吹出口17は270°に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Cの左後側、すなわち壁面W(W1,W2)の側に位置する90°(図27,図37,図38には「左後90°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W1,W3,W4)に向かう気流の風速が向上するとともに、壁面W(W1,W3,W4)から帰ってくる気流の風速も向上した。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、54%であった。
図39,図40を参照して、実施例(No.S6)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は、左後ろから右前180°に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの右前から左後ろ180°(図27,図39,図40には「右前から左後ろ180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W1,W3,W4)に向かう気流の風速が向上するとともに、壁面W(W1,W3,W4)から帰ってくる気流の風速も向上した。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、59%であった。
図41,図42を参照して、実施例(No.S7)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は、後180°に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの前180°(図27,図41,図42には「前180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W1,W2,W4)に向かう気流の風速が向上した。特に、図41中の斜線を付している壁面W(W2)の半分と、斜線を付している壁面W(W1)とに、強い風を到達させることができ、図中の点線丸印近辺の空気を動かすことによって、床面全体にいきわたる気流を作ることができた。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、85%であった。
図43,図44を参照して、実施例(No.S8)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は、右180°に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの左180°(図27,図43,図44には「左180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W1,W2,W4)に向かう気流の風速が向上した。特に、図43中の斜線を付している壁面W(W2)の半分と、斜線を付している壁面W(W1,W4)とに、強い風を到達させることができ、図中の2つの点線丸印近辺の空気を動かすことによって、床面全体にいきわたる気流を作ることができた。図44中、壁面W(W3)と壁面W(W4)との間に位置する部屋の隅において、強い気流が得られた。図27,図28に示すように、発泡スチロール球の回収率は、98%であった。
[実験例2]
図45〜図56を参照して、上述の各実施の形態に関して行った実験例2について説明する。図45に示すように、実験例2は、比較例(No.T1)と、実施例(No.T2〜T5)とを含む。
実験条件は次の通りである。180cm×180cmの約2畳の大きさを有する室内空間を準備した。比較例(No.T1)に基づく空気清浄機と、実施例(No.T2〜T5)とに基づく各集塵装置は、風量が10m3/minである。
比較例(No.T1)に基づく空気清浄機は、幅356mm×奥行180mm×高さ520mmである。実施例(No.T2〜T5)に基づく各集塵装置は、φ280mm×高さ320mmである。図47,図48に示されるとおり、比較例(No.T1)に基づく空気清浄機は、部屋の隅に配置した。図49〜図56に示されるとおり、実施例(No.T2〜T5)に基づく各集塵装置も、部屋の隅に配置した。
仮想の塵埃として、直径5mmの発泡スチロール球を100個準備し、床に等間隔で配置した。各装置および各発泡スチロール球のいずれもが静止している状態から、各装置を作動させ、2分間運転させた。集塵率を測定するために、室内に残った発泡スチロール球をカウントした。なお、比較例(No.T1)に基づく空気清浄機は、集塵室を有していない。したがって、本体の近傍にまで到達できたものは、回収できたとみなしてカウントした。
図47,図48を参照して、比較例(No.T1)に基づく装置1Z(空気清浄機)については、吹出口17の正面側には、部屋の対角線に沿ってまっすぐ前向きに進む気流が生成された。一方、装置1Zの対角線上に位置する部屋の隅に到達して戻ってくる気流は弱く、吹出口17の左右に位置する部屋の隅付近には、流れがおよばない吹きだまりが形成された。図45,図46に示すように、発泡スチロール球の回収率は、12%であった。
図49,図50を参照して、実施例(No.T2)に基づく集塵装置1については、吹出口17は、全周(360°)に亘って開口している。吹出口17から外部に送出された空気による気流は、鉛直方向軸回りの回転成分を有しながら略水平方向に流通した。気流は、壁面W(W1,W2,W3,W4)に沿って斜め下方向に移動したのち、水平な床面(表面)上に到達し、床面上で回転成分を有しながら流通して、吸込口12から筺体10内に発泡スチロール球とともに吸い込まれた。図45,図46に示すように、発泡スチロール球の回収率は、55%であった。
図51,図52を参照して、実施例(No.T3)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は半周(180°)に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの左180°、すなわち壁面W(W3)の側に位置する180°(図45,図51,図52には「左180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W1,W3,W4)に向かう気流の風速が向上するとともに、壁面W(W1,W3,W4)から帰ってくる気流の風速も向上した。図45,図46に示すように、発泡スチロール球の回収率は、80%であった。
図53,図54を参照して、実施例(No.T4)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は半周(180°)に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの右180°、すなわち壁面W(W1)の側に位置する180°(図45,図53,図54には「右180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W2,W3,W4)に向かう気流の風速が向上するとともに、壁面W(W2,W3,W4)から帰ってくる気流の風速も向上した。図45,図46に示すように、発泡スチロール球の回収率は、86%であった。
図55,図56を参照して、実施例(No.T5)に基づく集塵装置1Aについては、吹出口17は半周(180°)に亘ってのみ開口しており、集塵装置1Aの対角左180°、すなわち部屋の対角線に対して壁面W(W2,W3)の側に位置する180°(図45,図55,図56には「対角左180°」と記載している)は閉塞されている。閉塞されている分、同一風量のもと、壁面W(W1,W3,W4)に向かう気流の風速が向上するとともに、壁面W(W1,W3,W4)から帰ってくる気流の風速も向上した。図45,図46に示すように、発泡スチロール球の回収率は、100%であった。
(実験例1,2のまとめ)
実験例1の結果からすると、集塵装置を壁際に設置する場合には、吹出口17の全周から空気を送出する集塵装置に比べて、180°塞がれた吹出口17を有する集塵装置の方が、高い回収率が得られることが分かる。さらに、ファンの回転方向が上からみて左のときは、壁側から見て吹出口17の左側半分程度を塞ぎ、ファンの回転方向が右のときは、壁側から見て吹出口17の右側半分程度を塞ぐとなお良いということがわかる。
また、集塵装置を部屋の隅に設置する場合にも、吹出口17の全周から空気を送出する集塵装置に比べて、180°塞がれた吹出口17を有する集塵装置の方が、高い回収率が得られることが分かる。さらに、ファンの回転方向が上からみて左のときは、部屋の隅側から見て吹出口17の対角線の左側半分を塞ぎ、ファンの回転方向が右のときは、部屋の隅側から見て吹出口17の対角線の右側半分を塞ぐことで、より回収率が高まることが分かる。
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。