実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態1]
図1〜図4を参照して、実施の形態1における流体送り装置1の全体構成について説明する。図1は、流体送り装置1を示す正面図である。図2は、流体送り装置1の正面および上面を示す斜視図である。図3および図4は、それぞれ、流体送り装置1の縦断面構成を示す断面図および断面斜視図である。
流体送り装置1は、たとえば、居室の床、机、家具の棚、壁面、天井面など、各種の設置面上に設置することができる。流体送り装置1は、吸込口12から筺体10の内部へ空気を吸引するとともに、吸引した空気を吹出口17から外部に吹き出すことができる。具体的には、流体送り装置1は、筺体10、羽根車21(図3,図4)、駆動源22(図3,図4)、旋回室23、旋回流生成部24、および浮遊体25を備える。
(筺体10)
筺体10は、全体として、中央がくびれた円筒状の形状を有している。本実施の形態の筺体10は、底部11、吸込口12、下筒部13、中筒部14、上筒部15、構成体16、吹出口17、および頭部18を含んでいる。詳細は後述するが、筺体10の軸方向における一端部に吸込口12が設けられ、筺体10の軸方向における他端部に吹出口17が設けられている。
筺体10の軸方向における中央(中筒部14の内側)に、旋回流生成部24が設けられている。流体送り装置1を水平な表面30(図1,図3)上に載置した状態においては、旋回流生成部24の高さ位置は、筺体10の吸込口12の高さ位置と同等かそれよりも上であり、かつ、旋回室23の入口部23aの高さ位置は、旋回流生成部24の高さ位置と同等かそれよりも上であればよい。本実施の形態においては、水平な表面30に近い側から順に、吸込口12、旋回流生成部24、旋回室23、羽根車21、および吹出口17が位置している。
底部11は、円盤部11aおよび筒状壁11b(図3,図4)を含む。筒状壁11bは、円盤部11aの上面から起立するように設けられており、円盤部11aの下面は、載置面11sを形成している。流体送り装置1は、任意の箇所に設置して使用することができる。流体送り装置1は、たとえば、載置面1sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30(図1,図3)上に載置した状態で使用可能である。
下筒部13は、下端部13tから上端部(中筒部14が位置している側の端部)に向かうにつれて、徐々に径が小さくなるテーパー形状を有している。下端部13tの内側には、径方向に延びる複数のリブ13r(図4)が設けられている。下筒部13の下端部13tは、複数のリブ13rを介して、筒状壁11bの外周面に接続されている。
筺体10の軸方向における一端部に、吸込口12が設けられている。吸込口12の開口円の高さ位置は、たとえば水平な表面30から5cmである。本実施の形態においては、底部11の円盤部11aの上面と、筒状壁11b(図3,図4)の外周面と、下筒部13の下端部13tと、リブ13rとによって囲まれた部分に、吸込口12が形成されている。吸込口12は、略全周(360°)に亘って開口しており、下筒部13の内側空間は、この吸込口12を介して外部に連通している。吸込口12は、略全周から吸い込みが可能であり、床等に埃が堆積することを効果的に抑制することができる。
載置面11sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30上に載置した状態においては、下筒部13(筺体10のうちの吸込口12を形成している部材の1つ)の下端部13t(延在している部分)は、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に、吸込口12の開口部を形成している。当該構成によれば、吸込口12の周囲に存在し吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。
上記の構成に限られず、下筒部13(筺体10のうちの吸込口12を形成している部材)の下端部13t(延在している部分)は、鉛直方向における上方から下方に向かって斜め下に延在していても構わない。この場合、下筒部13の下端部13tは、上方から下方に向かうにつれて徐々に径が大きくなるテーパー形状を有していることが好ましい。当該構成によっても、吸込口12の周囲に存在し吸込口12から吸引される塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。
中筒部14は、下筒部13と上筒部15との間に位置する。旋回流生成部24は、中筒部14の内側に固定配置されている。旋回流生成部24は、プロペラファンの形状を有しており、翼部分の下流端は、ファンの中心軸方向に対しておおよそ垂直な向きを向いている。旋回流生成部24は、下筒部13から上筒部15に向かって流れる流体の流れを変える。旋回流生成部24を通過した流体は、旋回流を形成することになる(図8参照)。
上筒部15は、下端部(中筒部14が位置している側の端部)から上端部(構成体16が位置している側の端部)に向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有している。上筒部15の内側に、旋回室23が形成される。旋回室23は、吸込口12に連通する入口部23aと、吹出口17に連通する出口部23bとが設けられた、中空の形状を有している。
載置面11sが鉛直方向における下になるように筺体10を水平な表面30上に載置した状態においては、旋回室23の内部23sは旋回室23の入口部23aの上側に位置し、かつ、旋回室23の出口部23bは旋回室23の内部23sの上側に位置する。羽根車21が生成した流れによって、吸込口12からの流体は、入口部23aを通して旋回室23の内部23sに供給される。旋回室23の内部23sに供給された流体は、出口部23bを通して旋回室23の外部に排出される。
(浮遊体25)
浮遊体25は、旋回室23の内部23sに配置される。浮遊体25は、略球形状を呈しており、たとえば、コットン、ウレタン、マイクロファイバー等により構成されている。旋回室23の内部23sには、1個の浮遊体25が収容されていてもよいし、複数の浮遊体25が収容されていてもよい。浮遊体25の動きは、流体送り装置1が流体を送り出すことができているかどうかを確認したり、流体送り装置1が送り出している流量を確認したりすることの指標となり得る。浮遊体25の数や色は、使用者の好み、流体送り装置1の用途(浮遊体25の目的)に応じて最適化可能である。
旋回流生成部24は、筺体10の吸込口12と旋回室23の入口部23aとの間に設けられており、旋回室23に供給される流体が旋回室23の内部で旋回するように流体の流れを変える。浮遊体25は、旋回室23の内部23sで旋回する流体により吹き上げられることで、旋回室23の内部23sで浮遊しながら旋回することとなる(図8参照)。
本実施の形態の旋回室23は、内部23sで浮遊している浮遊体25を旋回室23の外部から視認可能なように、透明性を有する部材(上筒部15)から形成されている。透明性を有する部材とは、光が通過することが可能な材質で形成された部材である(たとえばアクリルなど)。旋回室23の内部23sで浮遊している浮遊体25を旋回室23の外部から視認可能でさえあれば、透過率は多少低くても構わない(磨りガラスや乳白色プラスティック等)。
構成体16は、上筒部15の端部(中筒部14が位置している側とは反対側の端部)に設けられる。図5は、構成体16の底面および外周面を示す斜視図である。図6は、図5に示す構成体16から集塵ケース26を取り外した状態を示す斜視図である。図7は、図5に示す構成体16から集塵ケース26および回収ケース27を取り外した状態を示す斜視図である。
図3〜図7に示すように、構成体16は、外周部16a、収容部16b(図3,図4)、底板部16c、底窓部16d、および上端部16tを有する。外周部16aは、筒状に形成され、下端部(底板部16cが位置している側の端部)から上端部16tに向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有している。
収容部16bは、外周部16aの内側に配置される。収容部16bも、筒状に形成され、下端部(底窓部16dが位置している側の端部)から上端部16tに向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有している。テーパーの程度は、収容部16bの方が、外周部16aに比べて大きい。換言すると、外周部16aの傾きの方が、収容部16bの傾きに比べて緩やかである。収容部16bの内側に、羽根車21が配置される。本実施の形態の羽根車21は、ターボファンから構成される。
底板部16cは、半円の形状を有し(図5〜図7参照)、外周部16aの下端側に位置する開口の略半分を覆っている。底窓部16dは、複数の棒状部材が互いの間に間隔を空けるように環状に並べられ、且つそれらの複数の棒状部材が全体として円錐を形成するように配置されることで構成されている。旋回室23は、底窓部16d(隣り合う棒状部材の間に形成された隙間)を通して収容部16bの内側空間に連通している。
頭部18は、円盤部18a、収容部18b、筒状壁11c(図3,図4)を含む。収容部18bおよび筒状壁18cは、円盤部18aの下面から垂れ下がるように設けられており、円盤部18aの上面は、天面18sを形成している。収容部18bは、駆動源22を収容しており、駆動源22の出力軸は、旋回室23の中心軸と一致している(同一直線上に位置している)。駆動源22の出力軸に、羽根車21が取り付けられている。駆動源22(ファンモータ)は、羽根車21を回転駆動することができる。
構成体16の上端部16tの内側には、径方向に延びる複数のリブ16r(図2)が設けられている。構成体16(外周部16a)の上端部16tは、複数のリブ16rを介して、筒状壁18cの外周面に接続されている。筺体10の軸方向における他端部に、吹出口17が設けられている。本実施の形態においては、頭部18の円盤部18aの下面と、筒状壁18c(図3,図4)の外周面と、構成体16の上端部16tと、リブ16r(図2)とによって囲まれた部分に、吹出口17が形成されている。吹出口17は、略全周(360°)に亘って開口しており、収容部16bの内側空間は、この吹出口17を介して外部に連通している。
載置面11sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30上に載置した状態においては、外周部16a(筺体10のうちの吹出口17を形成している部材の1つ)の上端部16t(延在している部分)は、鉛直方向における下方から上方に向かってまっすぐ上に延在しており、且つ、構成体16の外周部16aは、この上端部16tの先端近傍に、吹出口17の開口部を形成している。さらに、頭部18の円盤部18aは、水平な方向に延在している。当該構成によれば、空気は吹出口17から略水平方向に吹き出されることになる。
上記の構成に限られず、外周部16a(筺体10のうちの吹出口17を形成している部材)の上端部16t(延在している部分)は、鉛直方向における下方から上方に向かって斜め上に延在していても構わない。この場合、構成体16の上端部16tは、下方から上方に向かうにつれて徐々に径が大きくなるテーパー形状を有していることが好ましい。当該構成によっても、頭部18の円盤部18aが水平な方向に延在していることで、空気は吹出口17から略水平方向に吹き出されることになる。
(集塵ケース26および回収ケース27)
筺体10の構成体16は、集塵ケース26および回収ケース27を着脱可能に受け入れ可能な切り欠きを有している(図5〜図7参照)。集塵ケース26および回収ケース27が構成体16に取り付けられた状態において、旋回室23は、底窓部16dを通して収容部16bの内側空間に連通している。
図6を参照して、集塵ケース26は、開口部26s、集塵室26tおよび切欠部26uを有している。集塵ケース26の外表面26vは、集塵ケース26が構成体16(筺体10)に取り付けられている状態で、筺体10の外表面(および回収ケース27の外表面27v)と面一の関係となるように設けられている(図1〜図4等参照)。
図6および図7を参照して、回収ケース27は、開口部27sおよび回収室27tを有している。回収ケース27の外表面27vは、回収ケース27が構成体16(筺体10)に取り付けられている状態で、筺体10の外表面(および集塵ケース26の外表面26v)と面一の関係となるように設けられている(図1〜図4等参照)。
図5〜図7を参照して、集塵ケース26および回収ケース27が構成体16(筺体10)に取り付けられている状態で、旋回室23の内部23sは、集塵ケース26の開口部26sを通して、集塵ケース26の集塵室26tに連通している。さらに、旋回室23の内部23sは、集塵ケース26の開口部26sおよび切欠部26u、ならびに回収ケース27の開口部27sを通して、回収ケース27の回収室27t(図7)に連通している。
載置面11sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30上に載置した状態においては、集塵ケース26および回収ケース27の高さ位置は、旋回室23の内部23sの高さ位置よりも上である。載置面11sを筺体10に対して鉛直方向における上にしたとき(すなわち流体送り装置1をひっくり返したとき)、浮遊体25は重力の作用によって落下し、回収ケース27の中に配置される。浮遊体25を収容した回収ケース27を筺体10から取り外すことで、浮遊体25を洗浄したり、浮遊体25を交換したりすることができる。
(作用および効果)
図8および図9を参照して、流体送り装置1の吸込口12は、水平な表面30の近くに位置している。使用者の操作受付やタイマー動作などによって、流体送り装置1は駆動源22を作動させ、羽根車21を回転させる。流体送り装置1は、羽根車21の駆動により、吸込口12から塵埃を含む空気を吸引する。
下筒部13の下端部13tは、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に吸込口12の開口部を形成している。吸込口12の周囲に存在していた、吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。空気や塵埃は、効率良く吸込口12から下筒部13の中へと吸引されることとなる。
下筒部13の中に吸い込まれた空気は、上昇移動し、やがて旋回流生成部24に到達する。旋回流生成部24は、塵埃を含む空気をほぼ90°方向転向させる。旋回流生成部24を通過した流体は、旋回室23の内部23sで旋回流を形成する(図8参照)。旋回室23の内部23sは、円形の断面形状を有しているため、旋回流がスムーズに形成され、高い送風効率を得ることができる。旋回流の作用によって、旋回室23の内部23sにて、塵埃および空気は、互いに遠心分離される。
本実施の形態の筺体10は、全体として中央がくびれた円筒状の形状を有しており、筺体10の軸方向における中央(中筒部14の内側)に旋回流生成部24が設けられている。中筒部14(旋回流生成部24)は、吸込口12よりも径方向内側の位置に存在している。流路が中筒部14において絞られていることで、流体送り装置1は滑らかに空気を吸引できる。
一方、旋回室23は、中筒部14の括れ部分よりも大きな流路を有している。流体は、中筒部14において一端流路が狭くなることで勢いをつけて旋回室23に進入ことができるため、より強い旋回流が形成され、より強い遠心分離の作用を得ることが可能となる。
空気と分離された塵埃は、集塵ケース26の開口部26s(図5参照)を通して、集塵ケース26の集塵室26tの中に格納されていく。遠心分離できる範囲の塵埃の捕集については、フィルターを別途設置する必要が無い。使用者は、集塵ケース26を筺体10から取り外して簡単に掃除するだけで済むため、フィルター掃除などの余分なメンテナンスをする必要もない。
流体送り装置1を集塵装置として使用する場合には、当該集塵装置の流量は、3m3/min以上であることが好ましい。流量が3m3/min以上である場合には、流体送り装置1の周辺約1畳空間(3.9m3)の範囲を、壁面のコアンダ効果を利用することによって、常に部屋全体の気流を循環させ、空間を動かすことができるので、塵埃等が堆積することを効果的に防ぐことが可能となる。トイレなどの狭い空間での適用が特に有効である。この場合には、主に壁面を風が通過しているため、使用者に風が届くことはほとんどなく、使用者が風による無駄な冷えや乾燥などを感じることも少ない。
本実施の形態においては、集塵ケース26は、水平方向に(水平な表面30に対して平行な方向)に着脱可能に構成される。当該構成は、塵埃が空気から外方向に分離されるという遠心分離の機能を維持しながら、集塵ケース26の取り出しを容易にしている。使用者は、集塵された塵埃を容易に捨てることができる。
また、集塵ケース26の外表面26vは、集塵ケース26が構成体16(筺体10)に取り付けられている状態で、筺体10の外表面(および回収ケース27の外表面27v)と面一の関係となるように設けられている。当該構成は、高い意匠性(美観)を発揮し得るものである。
塵埃と分離された空気は、旋回室23の出口部23b(底窓部16d)、羽根車21(収容部16bの内側空間)、および筺体10の吹出口17をこの順に通過して外部に排出される。したがって、塵埃を含む空気は、流体送り装置1に吸い込まれたのちに、塵埃と分離された状態で流体送り装置1の外部へと吹き出されることとなる。
ここで、旋回室23は、透明性を有する部材(上筒部15)から形成されている。内部23sで浮遊している浮遊体25を、旋回室23の外部から視認(目視)することができる(図9参照)。内部23sで浮遊している浮遊体25に限られず、旋回流によっては、塵埃が分解される様子や、塵埃が集塵室26tの中に格納されていく様子を見ることも可能である。
本実施の形態においては、構成体16の収容部16bは、外周部16aの内側に配置される。収容部16bも、筒状に形成され、下端部(底窓部16dが位置している側の端部)から上端部16tに向かうにつれて、徐々に径が大きくなるテーパー形状を有している。テーパーの程度は、収容部16bの方が、外周部16aに比べて大きい。
すなわち、旋回室23から収容部16bに繋がる流路は、底窓部16dにおいて一旦狭くなっている。底窓部16dのやや下流部分(上方部分)が、収容部16bの流入部を構成しており、その後、構成体16は傾斜した面でテーパー状に広がっている。構成体16は、湾曲した面でテーパー状に広がっていてもよい。これらの構成を採用することで、旋回室23の外形寸法と収容部16bとの外形寸法をおおよそ揃えることができ、筺体10の形状を実現可能となる。
図10を参照して、本実施の形態においては、載置面11sが鉛直方向における下になるように、筺体10を水平な表面30上に載置した状態においては、旋回室23の内部23sは旋回室23の入口部23aの上側に位置し、かつ、旋回室23の出口部23bは旋回室23の内部23sの上側に位置する。旋回室23の内部23sには、浮遊体25の浮遊旋回の仮想回転軸の軸方向において、浮遊体25が移動可能な十分なスペースが設けられている。本実施の形態においては、旋回室23に対して流体を鉛直上向きに流通させており、浮遊体25の浮遊旋回の仮想回転軸の軸方向は、おおむね鉛直方向に一致している。
たとえば、流体送り装置1に流れている流体の流量によって、浮遊体25が旋回する軌跡が変わる。小流量の際は、浮遊体25は旋回室23の下部で旋回し、大流量の際は、浮遊体25は旋回室23の上部で旋回する。これにより、流量も目視確認することができる。あるいは、羽根車21と収容部16bとの間の流路が詰まるなど、何らかの不具合が生じて流体の流れが滞ると、浮遊体25が旋回している高さが低くなったり浮遊体25の旋回が停止したりする。
これらの浮遊体25の旋回の様子は、外部から容易に視認することができる。したがって、流体送り装置1によれば、流体を送り出すことができているかどうかを確認したり、流体送り装置1が送り出している流量を確認したりすることを、浮遊体25の旋回の様子という簡素な構成にて実現可能であると言える。
なお、これらの流体の様子を把握するために、センサーとして熱線流速計やピトー管を用いたとする。熱線流速計の場合には、熱線が塵埃により切断する可能性がある。ピトー管の場合には、孔が塵埃により詰まってしまう可能性がある。冒頭で述べた特開2004−251793号公報(特許文献1)の場合には、回転体や回転軸に塵埃が付着すると、塵埃は、回転体の回転を妨げる要因となるため、回転体および回転軸の交換や清掃が必要となる。本実施の形態の場合は、浮遊体25に塵埃が付着したとしても、その浮遊体25を容易に出し入れでき、浮遊体25を入れ替えるだけで済む。
流体の様子を把握するために、センサーなど比較的複雑でコストのかかる手法や、特許文献1に開示されている手法を用いたとしても、これらの手法の長期的な維持にはメンテナンスなどが必要となる。本実施の形態の場合は、浮遊体25の交換は、浮遊体25を入れ替えるだけで済むため容易であり、メンテナンスも安価に済ますことが可能であると言える。
流体送り装置1にセンサーを搭載し、室内の塵埃の量やにおいなどに関する情報を取得するように構成し、さらに、取得した情報に基づいて流体送り装置1の流量を自動で制御するように構成してもよい。流量の自動制御により、浮遊体25の旋回高さも制御値に合わせて変動するため、使用者は、どんな作業をしたときに流量が増え、どんな作業をしたときに流量が減っているかを目視で容易に確認することも可能である。
図11を参照して、浮遊体25が浮遊旋回する際、浮遊体25に働く浮力と浮遊体25に働く重力とは、相反する向きに働く。流体送り装置1の内部を流れている流体の時間的な変化や流体の揺らぎなどにより、浮遊体25に作用している浮力の大きさも変わり得る。浮力の変化は、浮力と重力との釣り合う位置を変えるため、浮遊体25は、回転方向に旋回しつつ、軸方向にも揺動することになる。
浮遊体25は、軸方向に揺動しながら回転方向に旋回するため、旋回室23を真横から見ると、浮遊体25は旋回室23の内部23sで上下左右に動く。浮遊体25は、左右には正確なサインカーブで動きながら、上下にも概ねサインカーブで動く。このような浮遊体25の旋回動作によれば、使用者に強い面白さを感受させることを期待できる。
図8および図12を参照して、塵埃と分離された空気は、筺体10の吹出口17を通過して外部に排出される。本実施の形態においては、外周部16a(筺体10のうちの吹出口17を形成している部材の1つ)の上端部16tが、鉛直方向における下方から上方に向かってまっすぐ上に延在しており、且つ、構成体16の外周部16aは、この上端部16tの先端近傍に、吹出口17の開口部を形成している。さらに、頭部18の円盤部18aは、水平な方向に延在している。当該構成によれば、空気は吹出口17から略水平方向に吹き出されることになる。
吹出口17は、略全周(360°)に亘って開口しており、吹出口17は、略全周から吹き出しが可能であり、床等に塵埃が堆積することを効果的に抑制することができる。たとえば、流体送り装置1を部屋40(図12)の中に配置し、吸込口12の高さを床面(水平な表面30)から30cm未満に設定するとともに、吹出口17は略水平方向を向くように構成したとする。
この構成によると、床面(水平な表面30)の付近に吸込口12が位置しているため、沈降もしくは静電気等の作用で床面付近に集まって来た塵埃は、床面に到達する直前で吸込口12から吸引される。したがって、床面への塵埃の付着を抑制することができ、使用者が一般的な掃除機を片手に意識的に塵埃を発見して集めにいくといった機会や必要性が減り、掃除に必要な負担を低減可能となる。塵埃が集まり易い位置に流体送り装置1(吸込口12)を設けることで、より効率の良い吸引が可能である。
部屋40の大きさによっては、吹出口17から水平方向に空気を吹き出すことによって、循環気流が形成される(図12参照)。循環気流は、吸込口12からの空気の吸い込みをアシストすることができる。床上から吹出口17の高さ位置までの空間が循環気流によって特にきれいな空間となり、塵埃等が堆積することをより効率的に防ぐことが可能となる。
ダニやホコリなどのアレルゲン物質は、足元の高さの範囲内(0〜30cmの範囲内)にほとんどが集まると言われている。それらの物質を床面に近い位置で確実に除去することで、ペットや幼児によりクリーンな雰囲気を提供可能となる。床上にて大人や子供が就寝する場合にも有効である。
本実施の形態の筺体10は、円盤部18aの上面が、平坦な天面18sを形成している。筺体10は、上下方向において、中筒部14を中心に対称形状を有している。また、筺体10は、中心軸周りに回転対称の形状を有している。筺体10は、天面18sを下にして、上下反対で使用することも可能である。
たとえば、流体送り装置1を通常の姿勢で設置したときに、吹出口17の高さ位置も吸込口12の高さ位置も30cm未満の高さ位置である場合に、流体送り装置1を上下反対の姿勢で配置する。上下をさかさまにしても、循環気流を作ることが可能である。この場合には、たとえば床に溜まっている埃を一旦巻き上げてから、吸込口12を通して吸引するような循環気流になる。
[実施の形態1の変形例]
図13を参照して、流体送り装置1は、上方向や、斜め上方向に空気を吹き出すように構成されていてもよい。吹き出す空気の流量が十分にあれば、空気は、コアンダ効果の作用によって、壁や天井に沿って流れることになる。部屋40の全体を循環するような気流を形成することで、足元の高さの範囲内に限られず、部屋40の全体をきれいな空間にすることが可能となる。
[実施の形態2]
図14を参照して、浮遊体25の表面は、多孔質構造(図15)、繊維構造(図16)または凹凸構造(図17)を有していることが好ましい。浮遊体25は、旋回時に遠心力を受けるため、旋回室23を形成している部材(上筒部15)の内表面の近傍を通過する。旋回室23を形成している部材(上筒部15)の内表面に浮遊体25が摺接することで、浮遊体25は、内表面に付着している付着物を内表面から除去することが可能となる。
図15を参照して、多孔質構造とは、無数の隙間からなるスポンジ構造のことであり、内表面に付着している塵埃に浮遊体25が接触した際に、無数の隙間が塵埃に対する吸着力を発揮することによって、付着物を内表面から除去することが可能となる。
図16を参照して、繊維構造とは、細い線状の繊維が複数集合した構造のことであり、内表面に付着している塵埃に浮遊体25が接触した際に、繊維同士の間の隙間が塵埃に対する吸着力を発揮することによって、付着物を内表面から除去することが可能となる。
図17を参照して、凹凸構造とは、基体の表面に無数の突起が形成された構造のことであり、内表面に付着している塵埃に浮遊体25が接触した際に、衝突の作用によって、付着物を内表面から除去することが可能となる。
図15に示すように、浮遊体25の外形は、立方体形状であってもよいし、直方体形状であってもよい。浮遊体25が円形である場合に比べて、角部を有する浮遊体25は、旋回室23の内部23sにおいてよりランダムな跳ね方をする。各種の外形形状を有する浮遊体25を選択し、用途や目的に合わせて、浮遊体25の旋回動作を適宜変更させるとよい。
比較的大きな塵埃は、遠心分離の作用により、旋回室23の内部23sで除去できる。比較的小さな塵埃は、吸着力を有する浮遊体25が衝突することによって除去することが可能であり、遠心分離式の一般的な集塵装置や掃除機が不得意であった比較的小さな塵埃を、流体送り装置1は効果的に除去することが可能である。流体送り装置1によれば、遠心分離式の集塵装置または掃除機を、簡単な構成で実現することができると言える。
また、旋回室23は、内部23sで浮遊している浮遊体25を旋回室23の外部から視認可能なように透明性を有する部材(上筒部15)から形成されている。当該構成によれば、浮遊体25に塵埃が付着して交換時期が到来したことを、目視確認で容易に判断することが可能である。また、旋回室23の内壁面も、汚れることが抑えられるため、旋回室23の内部23sで浮遊している浮遊体25を、旋回室23の外部から長期間にわたって視認(目視)することが可能となる。浮遊体25の上下方向への移動(揺らぎの効果(図11参照))によれば、旋回室23の内壁面を広い範囲にわたってクリーニングすることも可能である。
[実施の形態2の変形例]
浮遊体25には、塵埃の除去に限られず、さまざまな機能を付加することが可能である。たとえば、色の異なる複数の浮遊体25を旋回室23の中に配置するとよい。旋回室23の内部23sで旋回する複数の浮遊体25は、カラーセラピー効果を発揮することも可能な場合がある。
浮遊体25は、旋回時に音を発してもよい。たとえば、乳幼児に用いられる眠気を誘導する音(ホワイトノイズなど)を発生させることで、乳幼児の安眠効果が得られる場合がある。浮遊体25は、揺らぎの効果(図11参照)により、さざなみのような音を発生することも可能であり、眠りに誘うことができる場合もある。浮遊体25は、発光や蓄光可能であってもよい。光の成分によって癒し効果を高めることも可能である。
浮遊体25は、左右には正確なサインカーブで動きながら、上下にも概ねサインカーブで動く。このような浮遊体25の旋回動作によれば、使用者に強い面白さを感受させることを期待できる。このような流体送り装置は、EMDR用治療器と類似の動きをするため、簡易型のEMDR用治療器として使用できる。
浮遊体25は、空気中の臭い成分を選択的に吸着する機能を有していてもよい。この場合、流体送り装置は脱臭機として機能することができる。浮遊体25は、予め水分を保持していてもよく、あるいは空気中の水分を吸着して保持することが可能であってもよい。さらに、浮遊体25は、保持した水分を脱着して空気中に放出することが可能であってもよい。この場合、流体送り装置は、水分の吸脱着を適宜行う除加湿の機能を有する、空気調和機として機能することができる。
浮遊体25が旋回室23の内部23sを旋回したり上下揺動したりすることで、浮遊体25と空気との間のヌセルト数、プランドル数などの物性値に影響を与えて水分の授受の速度を高めることができる。さまざまな機能を浮遊体25に付与することで、色、香り、音、動き、などで五感に作用することが可能な流体送り装置を構成することが可能となる。
[実施の形態3]
図18を参照して、流体送り装置1の中には、芳香手段32が内蔵されている。本実施の形態の流体送り装置1は、アロマディフューザとして機能することができる。
浮遊体25は、芳香成分を保持および適宜拡散する機能を有している。芳香成分を保持した浮遊体25は、旋回室23の内部23sで旋回したり、旋回しつつ上下方向に揺動したりする。浮遊体25のこの動作によって、比較的大量の芳香成分を比較的短時間で揮発させることができ、芳香成分拡散性能が高いアロマディフューザを簡単な構成で実現することができる。
[実施の形態3の比較例]
図19を参照して、従来のアロマディフューザは、筺体10の中に芳香成分を貯留している。芳香成分は、吹出口17から噴霧水とともに吹き出される場合がある。アロマディフューザを適切な設置箇所に配置したり、噴霧量を適切な値に調節したりしないと、噴霧水はカビの発生の原因となり得る。使用方法に配慮が必要であり、適度なクリーニングも必要である。
これに対して、上述の実施の形態3におけるアロマディフューザ(図18)は、芳香成分を旋回流に乗せて広く拡散させることが可能である。実施の形態1,2等で述べたとおり、お手入れなどのクリーニングにかかる負担も少なくて済む。
実施の形態3の構成は、上述の実施の形態2やその変形例で開示した構成と組み合わされてもよい。たとえば、使用時の気分や目的に応じた使い分けによって、使用者は色と香りの相乗効果(アロマセラピーやカラーセラピーの効果)を得ることも可能となる。
[実施の形態4]
図20を参照して、実施の形態4における流体送り装置1Aについて説明する。実施の形態4における流体送り装置1Aと上述の実施の形態1〜3における流体送り装置とは、以下の点において相違している。
実施の形態4における流体送り装置1Aは、筺体10が、円柱形状を有している。下筒部13、中筒部14および上筒部15の中に、内筒16kが設けられている。下筒部13の下端部13tと、内筒16kの下端部との間に、吸込口12が形成される。吸込口12は、内筒16kの径方向の外側に位置している。吹出口17は、内筒16kの径方向の内側に形成されている。内筒16kの内側であって、内筒16kの高さ方向における下半分の範囲の中に、羽根車21および駆動源22が配置されている。
旋回流生成部24は、中筒部14と内筒16kとの間の空間に設けられ、内筒16kの外周を取り囲むように配置されている。旋回流生成部24は、翼形状を有しており、その下流端は、筺体10の中心軸方向に対しておおよそ垂直な向きを向いている。
中筒部14と内筒16kとの間の空間であって、旋回流生成部24よりも上方に位置する部分に、旋回室23が形成されている。中筒部14と内筒16kとの間の空間であって、旋回流生成部24のすぐ上の部分が、旋回室23の入口部23aを形成している。中筒部14と内筒16kとの間の空間であって、内筒16kの上端の高さに位置する部分が、旋回室23の出口部23bに相当している。
旋回室23の中に、浮遊体25が配置されている。本実施の形態の旋回室23も、内部23sで浮遊している浮遊体25を旋回室23の外部から視認可能なように、透明性を有する部材(上筒部15)から形成されている。旋回室23の中の比較的上の方の位置に、集塵ケース26が配置されている。
本実施の形態においても、流体送り装置1Aを水平な表面30上に載置した状態においては、旋回流生成部24の高さ位置は、筺体10の吸込口12の高さ位置と同等かそれよりも上であり、かつ、旋回室23の入口部23aの高さ位置は、旋回流生成部24の高さ位置と同等かそれよりも上であればよい。本実施の形態においては、水平な表面30に近い側から順に、吸込口12および吹出口17、羽根車21、旋回流生成部24、および旋回室23が位置している。吸込口12および吹出口17は、同じ高さ位置である。
図21を参照して、流体送り装置1Aは、吸込口12から筺体10の内部へ空気を吸引するとともに、吸引した空気を吹出口17から外部に吹き出すことができる。下筒部13の下端部13tは、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に吸込口12の開口部を形成している。吸込口12の周囲に存在していた、吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。空気や塵埃は、効率良く吸込口12から下筒部13の中へと吸引されることとなる。
下筒部13の中に吸い込まれた空気は、上昇移動し、やがて旋回流生成部24に到達する。旋回流生成部24は、塵埃を含む空気をほぼ60°方向転向させる。旋回流生成部24を通過した流体は、旋回室23の内部23sで旋回流を形成する。旋回流の作用によって、旋回室23の内部23sにて、塵埃および空気は、互いに遠心分離される。空気と分離された塵埃は、集塵ケース26の中に格納されていく。塵埃と分離された空気は、旋回室23の出口部23b、内筒16kの内側空間、羽根車21、および筺体10の吹出口17をこの順に通過して外部に排出される。
流体送り装置1Aの流量は、たとえば11.8m3/minである。流体送り装置1Aの周辺約3畳空間(11.7m3)の範囲を、壁面のコアンダ効果を利用することによって、常に部屋全体の気流を循環させ、空間を動かすことができるので、塵埃等が堆積することを効果的に防ぐことが可能となる。トイレなどの狭い空間での適用が特に有効である。この場合には、主に壁面を風が通過しているため、使用者に風が届くことはほとんどなく、使用者が風による無駄な冷えや乾燥などを感じることも少ない。
旋回室23は、透明性を有する部材(上筒部15)から形成されている。内部23sで浮遊している浮遊体25を、旋回室23の外部から視認(目視)することができる。したがって、流体送り装置1Aであっても、上述の実施の形態1における流体送り装置1と同様の作用および効果を得ることができる。本実施の形態の流体送り装置1Aで開示している思想は、実施の形態1〜3で開示した思想の一部と組み合わせて実施することも十分に可能である。
[実施の形態5]
図22を参照して、実施の形態5における流体送り装置1Bについて説明する。実施の形態4における流体送り装置1Bと上述の実施の形態4における流体送り装置1A(図20,図21)とは、以下の点において相違している。
実施の形態5における流体送り装置1Bは、内筒16kの上方に、羽根車21および駆動源22が配置されている。吹出口17は、筺体10(上筒部15)の上部に形成されている。
中筒部14と内筒16kとの間の空間であって、旋回流生成部24よりも上方に位置する部分に、旋回室23が形成されている。中筒部14と内筒16kとの間の空間であって、旋回流生成部24のすぐ上の部分が、旋回室23の入口部23aを形成している。上筒部15および中筒部14の内側に形成されている空間であって、羽根車21のすぐ下の部分が、旋回室23の出口部23bに相当している。
本実施の形態においても、流体送り装置1Bを水平な表面30上に載置した状態においては、旋回流生成部24の高さ位置は、筺体10の吸込口12の高さ位置と同等かそれよりも上であり、かつ、旋回室23の入口部23aの高さ位置は、旋回流生成部24の高さ位置と同等かそれよりも上であればよい。本実施の形態においては、水平な表面30に近い側から順に、吸込口12、羽根車21、旋回流生成部24、旋回室23、および吹出口17が位置している。
図23を参照して、流体送り装置1Bは、吸込口12から筺体10の内部へ空気を吸引するとともに、吸引した空気を吹出口17から外部に吹き出すことができる。下筒部13の下端部13tは、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に吸込口12の開口部を形成している。吸込口12の周囲に存在していた、吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。空気や塵埃は、効率良く吸込口12から下筒部13の中へと吸引されることとなる。
下筒部13の中に吸い込まれた空気は、上昇移動し、やがて旋回流生成部24に到達する。旋回流生成部24を通過した流体は、旋回室23の内部23sで旋回流を形成する。旋回流の作用によって、旋回室23の内部23sにて、塵埃および空気は、互いに遠心分離される。空気と分離された塵埃は、集塵ケース26の中に格納されていく。塵埃と分離された空気は、旋回室23の出口部23b、上筒部15の内側空間、羽根車21、および筺体10の吹出口17をこの順に通過して外部に排出される。
旋回室23は、透明性を有する部材(中筒部14)から形成されている。内部23sで浮遊している浮遊体25を、旋回室23の外部から視認(目視)することができる。したがって、流体送り装置1Bであっても、上述の実施の形態1における流体送り装置1と同様の作用および効果を得ることができる。本実施の形態の流体送り装置1Bで開示している思想は、実施の形態1〜4で開示した思想の一部と組み合わせて実施することも十分に可能である。
[実施の形態5の変形例]
図24を参照して、実施の形態5の変形例における流体送り装置1Cについて説明する。実施の形態5における流体送り装置1Cと上述の実施の形態5における流体送り装置1B(図22,図23)とは、以下の点において相違している。
実施の形態5の変形例における流体送り装置1Cは、集塵ケース26の外表面26vは、集塵ケース26が筺体10に取り付けられている状態で、筺体10の外表面と面一の関係となるように設けられていない。当該構成の場合、集塵ケース26が筺体10の外表面から突出するが、より大きな体積を有する集塵ケース26を使用可能である。この思想は、実施の形態1〜4で開示した思想の一部と組み合わせて実施することも十分に可能である。
[実施の形態6]
図25を参照して、実施の形態6における流体送り装置1Dについて説明する。実施の形態6における流体送り装置1Dと上述の実施の形態5における流体送り装置1B(図22,図23)とは、以下の点において相違している。
筺体10は、全体としてドーム形状を有している。吸込口12および旋回室23は、内筒16kの内側に形成されており、吹出口17は、内筒16kの外側に形成されている。流体送り装置1Dを水平な表面30上に載置した状態においては、旋回流生成部24の高さ位置は、筺体10の吸込口12の高さ位置と同等であり、かつ、旋回室23の入口部23aの高さ位置は、旋回流生成部24の高さ位置と同等である。
換言すると、旋回流生成部24が設けられている高さ位置において、筺体10の吸込口12(筺体10の吸込口12として機能する部分)と、旋回室23の入口部23a(旋回室23の入口部23aとして機能する部分)とが形成されている。
流体送り装置1Dは、吸込口12から筺体10の内部へ空気を吸引するとともに、吸引した空気を吹出口17から外部に吹き出すことができる。下筒部13の下端部13tは、鉛直方向における上方から下方に向かってまっすぐ下に延在しており、且つ、下筒部13は、この下端部13tの先端近傍に吸込口12の開口部を形成している。吸込口12の周囲に存在していた、吸込口12から吸引される空気や塵埃は、吸引後直ちに、または吸引直前から、上方向の空気力を受けることとなる。空気や塵埃は、効率良く吸込口12から下筒部13の中へと吸引されることとなる。
下筒部13の中に吸い込まれた空気は、上昇移動し、やがて旋回流生成部24に到達する。旋回流生成部24を通過した流体は、旋回室23の内部23sで旋回流を形成する。旋回流の作用によって、旋回室23の内部23sにて、塵埃および空気は、互いに遠心分離される。空気と分離された塵埃は、集塵ケース26の中に格納されていく。塵埃と分離された空気は、旋回室23の出口部23b、上筒部15の内側空間、羽根車21、内筒16kの外側空間、および筺体10の吹出口17をこの順に通過して外部に排出される。
旋回室23は、透明性を有する部材(中筒部14)から形成されている。内部23sで浮遊している浮遊体25を、旋回室23の外部から視認(目視)することができる。したがって、流体送り装置1Dであっても、上述の実施の形態1における流体送り装置1と同様の作用および効果を得ることができる。本実施の形態の流体送り装置1Dで開示している思想は、実施の形態1〜5で開示した思想の一部と組み合わせて実施することも十分に可能である。
[実施の形態6の変形例]
図26に示すように、流体送り装置1Dは、全体としてドーム形状を有しているため、倒れにくく、玩具として用いられることも可能である。たとえば、浮遊体25の旋回は、浮遊体25が存在しない場合と比較して、ネコなどのペットの狩猟本能をそそり、興味を積極的にひくことができる。
流体送り装置1Dは、ペットの興味をひく玩具としての機能と、遠心分離装置としての機能を有している。これらの機能の相乗効果として、流体送り装置1Dは、毛吸引機として機能することもできる。ネコや室内犬が毛吸引機にじゃれつくなど、ペットと毛吸引機との接触頻度を大幅に高めることで、ペットと毛吸引機との間の距離を大幅に短くすることができるため、ペットの抜け毛を効果的に吸引することが可能となる。
[他の実施の形態]
上述の実施の形態4(図20に示す流体送り装置1A)および実施の形態6(図25に示す流体送り装置1D)では、吸込口12および吹出口17が略同一高さに位置している。このような構成が採用される場合には、吸込口12および吹出口17は、略全周(360°)に亘って開口していなくても構わない。たとえば、吸込口12および吹出口17を、同一平面上であって、かつ同一円周上に交互に配置するとよい。
上述の各実施の形態で開示した浮遊体25は、扇風機などの羽根車付近に投入して旋回させてもよい。羽根部に塵埃が付着している場合、旋回体が羽根部に接触することによって、羽根部に付着した塵埃を除去することも可能である。
旋回室23の中では、塵埃の他に、花粉、害虫などを遠心分離し、粘着性の物質等に付着させてもよい。遠心分離される塵埃を、帯電や除電を利用して予め重くして、遠心分離しやすくしてから遠心分離させ、その後、集塵ケース26の中に集められてもよい。旋回室23の中には、圧縮機構が設けられていてもよい。お手入れの回数をより減らすことが可能である。また、流体送り装置は、車輪などを設けることによって自走してもよい。流体送り装置1は、埃を検知するセンサやカメラなどを備えて、それに応じて作動してもよい。
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。