JP6625715B1 - プライヤー - Google Patents
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Abstract
Description
柄部を握って一対のアームを揺動操作して、あご部同士を接近および離反させることで、一対のあご部間にねじの頭部を挟み込んだり、挟み込みを解除したりできるようになっている。
縦掴み歯は、あご部の前後方向に延びる条歯が、あご部の左右方向に複数並列することで形成されており、条歯の歯先がねじの頭部の外周面に食い込むようになっている。
これに対し、縦掴みの場合には、プライヤーの回転領域は格段に小さいため、狭いスペースで操作することができるようになっている。
このように条歯が左右対称形状の場合、条歯の歯先がプライヤーの回転方向に対して中立であるため、ねじが緩む方向に回転操作しても、歯先のねじの頭部外周への食い込みが促進されるわけではなかった。
こうして、縦掴み歯の条歯とねじの頭部の外周面の間に滑りが生じやすい状態にあると、プライヤーが空回りして回転操作を余分におこなう必要があり、作業効率が低下するおそれがあった。
前記一対のアームのあご部は、その対向する係合面に、ねじの頭部の外周面を、前記ねじの軸方向と前記アームの前後方向とが略一致する状態で挟持可能な縦掴み歯をそれぞれ有している。
また、その縦掴み歯は、前記係合面に設けられた窪み内に、前記あご部の前後方向に延びる条歯が、前記あご部の左右方向に複数並列することで形成されている。ここで、あご部の左右方向に並列する条歯の歯先を結ぶ仮想線は、円弧状をなしている。
そして、縦掴み歯の各条歯は、前記ねじを緩ませる回転方向の側に歯先が倒れている。
したがって、ねじの取り外し作業時にねじ頭部の外周面に条歯の歯先が食い込みやすくなっており、ねじの頭部の外周面と条歯との間に滑りが生じることが抑制され、プライヤーによるねじの取り外し作業を効率よく行うことができる。
条溝が存在しない場合、膨出しようとする箇所があご部の係合面の底に突き当たるなどして変形が阻害されるため、条歯の食い込み量も少なくなるが、条溝が存在することで、ねじの頭部の変形量を大きくすることができ、条歯のねじ頭部の外周面への食い込みが促進され、滑りの発生が一層抑制される。
したがって、横掴み歯の条歯の延びる方向があご部の左右方向と完全に一致している場合には、プライヤーのアームの前後方向とねじの軸方向とが完全に直交した状態になるが、ねじの頭部のそのねじが締結された壁面等からの突出量が小さいと、壁面にプライヤーのアームの側面が接触するか極めて近接することになる。
このような状態では、壁面とアームの柄の間に指をもぐりこませる隙間がなく、柄を手で握ることが困難となり、ねじの取り外し作業を円滑に行うことができない。
横掴み歯の条歯の延びる方向をあご部の左右方向に対して若干傾斜させることで、条歯の延びる方向とねじの軸方向とが一致するようにしてねじの頭部を挟持すると、壁面に対してアームが傾いた状態となるため、アームの柄部と壁面の間に指をもぐりこませることが可能な隙間が生まれる。
したがって、柄部を手で握りやすく、プライマーの操作が容易となり、ねじの取り外し作業をスムーズに行うことができる。
傾斜角度を15〜30度とすることで、アームの柄部と壁面の間に指をもぐりこませるのに必要十分な隙間が生まれ、かつ壁面に対してアームを極端に傾けて操作する必要もなく、ねじの取り外し作業を一層スムーズに行うことができる。
図1から図4に示す第1実施形態のプライヤー1は、壁面等に締結されたねじBの頭部hを挟み込み、ねじBを回転させてその壁面等から取り外すのに好適に用いられる。
一対のアーム10は、それぞれその前後方向(長手方向)の前端寄りにあご部20を有し、後端寄りに柄部30を有する。
プライヤー1を使用する際には、一対のアーム10の柄部30を握って揺動操作することで、あご部20同士を接近および離反させることが可能になっている。これにより、あご部20の間に対象物を挟み込んだり、また挟み込みを解除したりすることができる。
アーム10は、金属の鋳造品または鍛造品からなり、その柄部30には、滑り止め等のために、合成樹脂が被覆されている。柄部30は握りやすいように湾曲し、その後端には、左右方向に貫通する紐孔31が設けられている。
上下一対のアーム10の上側のあご部20の上面と左右の側面との境界、および下側のあご部20の下面と左右の側面との境界は、それぞれ面取りが施されている。また上側のあご部20の上面は前端面に向けて下り勾配に傾斜し、下側のあご部20の下面は前端面に向けて上り勾配に傾斜している。このため、あご部20の上下の厚みは、前端面に向けて漸減している。
この係合面の前部には、それぞれ鋸歯状の横挟み歯21および縦掴み歯22が設けられ、後部には、切断刃23が設けられている。
係合面の横挟み歯21が形成された箇所は、横挟み歯21の凹凸を除くと平坦になっている。一方、係合面の縦掴み歯22が形成された箇所は、あご部20の左右方向に円弧状をなすように窪んでおり、その窪みはあご部20の前部と後部との境界から前方に延びてあご部20の前端面へと達している。
したがって、図2のように、あご部20を閉じた際にも、その前端面には左右方向を長軸とする略長円形の開口が形成されるようになっている。
この横挟み歯21は、線材を挟んで曲げるなど、ねじを取り外すのとは異なる用途に通常は使用される。
縦掴み歯22は、ねじBの頭部hの外周面を、ねじBの軸方向とアーム10の前後方向とが略一致する状態で挟持可能となっている。
仮想線L1の曲率半径は、縦掴み歯22で挟持されるねじの頭部外周面に、条歯22aの歯先が沿いやすいように、想定されるねじの頭部の径に準じて設定される。
ここで先行歯面と条歯22aの歯先を結ぶ仮想線L1(の接線)とのなす角度r1は、後続歯面と仮想線L1とのなす角度r2よりも大きくなっている。
これにより、図4のように、縦掴み歯22に、ねじBの頭部hを挟んでねじの取り外し作業をおこなう際に、条歯22aの歯先がねじBの頭部hの外周面に食いこみやすくなっている。したがって、条歯22aとねじBの頭部hの間に、滑りが生じにくくなっており、プライヤーの空回りが防がれている。また、条歯22aをねじBに食い込ませるために大きな握力を必要としないため、女性や子供などでもねじBの取り外し作業をスムーズに行うことができる。
条歯22aの倒れの大きさを示す角度r1は、特に限定されないが、ねじ頭部への食い込み性が特に良好なものとして、83〜87度が例示できる。さらに好ましくは、約85度である。
ここで、後続歯面が歯先側の傾斜面と歯元側の傾斜面とからなる条歯22aにおいて、歯先側の傾斜面と仮想線L1とのなす角度r2が、歯元側の傾斜面を歯先側に延長した延長線と仮想線L1とのなす角度よりも小さくなっている。
なお、角度r2は特に限定されないが、r2が大きすぎると条歯22aの歯先の厚みを確保できず強度が不十分となる恐れがあり、r2が小さすぎると条歯22aの後続歯面のうち歯先側の傾斜面がねじBの頭部hへ突き当たりやすくなり歯先の食い込みの妨げとなる恐れがあるため、13〜17度であることが好ましい。さらに好ましくは、約15度である。
これにより後続歯面の全体が角度r2で傾斜している場合に比べて、条歯22aのあご部左右方向の幅を大きくすることができ、ねじの頭部に特に食い付きやすい、あご部20の左右方向中央に位置する条歯22aについて、強度が確保されている。ねじBを緩ませる回転方向に後続する条歯22aについては、先行する条歯22aほどの回転抵抗がかからないため、後続歯面を凸に屈曲させなくとも強度が足りる。
条溝22bは、条歯22aの後続歯面の歯先側斜面を歯元側に延長した延長線L2よりも深く窪んでいる。すなわち、条溝22bは、並列する条歯22aの歯元同士を単純に連続させた場合よりも深くえぐれた状態となっている。
図4(b)に示すように、縦掴み歯22でねじの頭部hを挟持すると、条歯22aの食い込みに伴ない、頭部hが変形して条歯22aと条歯22aの間の箇所は膨出するが、この膨らんだ箇所が条溝22bに収容されるようになっている。これにより、ねじの頭部hの外周面と条歯22aとのすべりが一層防止される。
あご部20を閉じた際には、一対の切断刃23の刃先が合致するようになっている。
この切断刃23は、線材を切断するなど、ねじを取り外すのとは異なる用途に使用される。
切断刃23には、あご部前後方向に並列する半円形の皮むき孔23aが設けられている。一対の切断刃23の刃先が合致した状態で皮むき孔23aは円形になり、ここにコアとコアを被覆するシースからなるコードの、コアだけを挟み込みこんで、引き抜くことでコードからシースを剥がせるようになっている。並列する皮むき孔23aの径は異なっているため、コードの径に応じて使い分けることができる。
取り外し対象となるねじBの頭部hの大きさや取り外し作業に必要となるスペースの大きさ等に応じて、縦掴み歯22を用いるか横掴み歯24を用いるかを、適宜に使い分けることができる。
以下、主として第1実施形態のプライヤー1と異なる点を説明する。
上下一対のアーム10の上側のあご部20の上面と左右の側面との境界、および下側のあご部20の下面と左右の側面との境界には、面取りが施されていない。また上側のあご部20の上面および下側のあご部20の下面は湾曲し、あご部20の上下の厚みが前端面に向けて漸減している。
図7(a)のように、横掴み歯24は、複数の条歯24aからなり、この条歯24aは、あご部20の左右方向に延び、かつ前後方向に並列している。図6のように、条歯24aの歯先を結ぶ仮想線L3は、あご部20の前後方向に湾曲して円弧状をなしている。
横掴み歯24は、ねじBの頭部hの外周面を、ねじBの軸方向とアーム10の前後方向とが略一致する状態で挟持可能となっている。
仮想線L3の曲率半径は、横掴み歯24で挟持されるねじBの頭部hの外周面に、条歯24aの歯先が沿いやすいように、想定されるねじの頭部の径に準じて設定される。
ここで先行歯面と条歯24aの歯先を結ぶ仮想線L3(の接線)とのなす角度r3は、後続歯面と仮想線L3とのなす角度r4よりも大きくなっている。
これにより、図6のように、横掴み歯24に、ねじBの頭部hを挟んでねじの取り外し作業をおこなう際に、条歯24aがねじBの頭部hの外周面に食い付きやすく、滑りが生じにくくなっている。
条歯24aの倒れの程度を表す角度r3は、特に限定されないが、角度r2と同様に、ねじ頭部への食い込み性が特に良好なものとして、83〜87度が例示できる。さらに好ましくは、約85度である。
条歯24aは、条歯22aとは異なり、後続歯面が屈曲しておらず、歯先から歯元にかけて直線状に延びている。これは、条歯24aは条歯22aよりも左右方向の幅が大きいため、後続歯面を屈曲させなくても強度を保てるからである。
このとき、アーム10は、ねじBの締結面に対して傾斜し、その柄部30と締結面の間には、柄部30を手で握る際に指を潜りこませる充分な隙間が生じる。したがって、ねじBの取り外し作業をスムーズに行うことができる。
条歯24aの傾斜角度r5は、特に限定されないが、取り外し作業を特にスムーズに行えるものとして、15〜30度が例示できる。20〜25度がより好ましい。
第1実施形態では、切断刃23をあご部20の左右方向の一側のみに設けているが、両側に設ける構成を採用することもできる。また、切断刃23に設けられた皮むき孔23aの数は実施形態に限定されないし、皮むき孔23aを設けない構成を採用することもできる。さらには、切断刃23自体を設けない構成を採用することもできる。
同様に、横挟み歯21を設けない構成を採用することもできるし、横挟み歯21や切断刃23以外の歯や刃を追加的に設ける構成を採用することもできる。
一対のあご部20の間にばねを装填して、あご部20が開く向きまたは閉じる向きに付勢することもできる。
あご部20の係合面を除いた外面の形状および柄部30の形状については、図示したものに限定されない。あご部20の係合面の、縦掴み歯22が設けられた窪みの形状も、図示したものに限定されない。
ねじの緩み方向が通常とは逆方向の特殊なねじを取り外す用途に用いられるプライヤー1として、条歯22aの歯先の倒れる方向を図示したものとは逆側とする構成を採用することもできる。
第2実施形態では、横掴み歯24の条歯24aがあご部20の左右方向に対して斜めに延びる構成を採用しているが、図7(b)のように、条歯24aの延びる方向とあご部20の左右方向とが一致する構成を採用してもよい。
第2実施形態では、横掴み歯24の条歯24aの後続歯面が歯先から歯元にかけて直線状の構成を採用しているが、その一部または全部について、縦掴み歯22の条歯22aと同様に後続歯面を屈曲させる構成を採用してもよい。
第2実施形態では、横掴み歯24の条歯24aの寸法を縦掴み歯22の条歯22aの寸法よりも大きくしているが、寸法関係はこれに限定されず、条歯24aを条歯22aとほぼ同じ大きさとしたり、逆に条歯24aを条歯22aよりも小さくしたりすることもできる。横掴み歯24の条歯24aの数は、図示したものに限定されない。
2 第2実施形態のプライヤー
10 アーム
20 あご部
21 横挟み歯
21a 条歯
22 縦掴み歯
22a 条歯
22b 条溝
23 切断刃
23a 皮むき孔
23b 開口
24 横掴み歯
24a 条歯
30 柄部
31 紐孔
40 連結部
L1、L2、L3 仮想線
r1〜r5 傾斜角度
B ねじ
h 頭部
Claims (8)
- 前端にあご部を有し後端に柄部を有する一方のアームと、
前端にあご部を有し後端に柄部を有し、そのあご部が前記一方のアームのあご部に対向し、その柄部が前記一方のアームの柄部に対向するように、前記一方のアームに対して交差状にかつ揺動可能に連結される他方のアームと、を備え、
前記一対のアームのあご部は、
その対向する係合面に、ねじの頭部の外周面を、前記ねじの軸方向と前記アームの前後方向とが略一致する状態で挟持可能な縦掴み歯をそれぞれ有しており、
その縦掴み歯は、前記係合面に設けられた窪み内に、前記あご部の前後方向に延びる条歯が、前記あご部の左右方向に歯先を結ぶ仮想線が円弧状をなすように複数並列することで形成されており、
前記縦掴み歯の各条歯は、
前記ねじを緩ませる回転方向の側に歯先が倒れており、かつ、
前記歯先から前記ねじを緩ませる回転方向に対して先行する側の歯元にかけての先行歯面と、前記歯先から前記ねじを緩ませる回転方向に対して後続する側の歯元にかけての後続歯面を有し、前記後続歯面は、前記ねじを締める回転方向に向けて凸となるように屈曲しているプライヤー。 - 前記縦掴み歯は、
前記あご部の左右方向に並列する条歯の間に、前記あご部の前後方向に延びる条溝を有する請求項1に記載のプライヤー。 - 前記縦掴み歯の条歯は、
前記先行歯面と、前記複数の条歯の歯先を結ぶ円弧状の仮想線とのなす角度が、83〜87度である請求項1または2に記載のプライヤー。 - 前記両あご部は、
その係合面の前記縦掴み歯よりも後方に、
ねじの頭部の外周面を、前記ねじの軸方向と前記アームの前後方向とが略直交する状態で挟持可能な横掴み歯を有しており、
その横掴み歯は、前記係合面に設けられた窪み内に、前記あご部の左右方向に延びる条歯が、前記あご部の前後方向に歯先を結ぶ仮想線が円弧状をなすように複数並列することで形成されている、請求項1から3のいずれかに記載のプライヤー。 - 前記横掴み歯の各条歯は、前記ねじを緩ませる回転方向の側に歯先が倒れている請求項4に記載のプライヤー。
- 前記横掴み歯の条歯は、
前記歯先から前記ねじを緩ませる回転方向に対して先行する側の歯元にかけての先行歯面と、前記歯先から前記ねじを緩ませる回転方向に対して後続する側の歯元にかけての後続歯面を有し、
前記先行歯面と前記複数の条歯の歯先を結ぶ円弧状の仮想線とのなす角度が、83〜87度である、請求項5に記載のプライヤー。 - 前記横掴み歯の条歯は、前記あご部の左右方向に対して斜めに延びている請求項4から6のいずれかに記載のプライヤー。
- 前記横掴み歯の条歯の延びる方向の、前記あご部の左右方向に対する傾斜角度は、15〜30度である、請求項7に記載のプライヤー。
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