JP6624682B2 - 棟換気装置の設置方法、建造物 - Google Patents
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- Roof Covering Using Slabs Or Stiff Sheets (AREA)
Description
そのため、棟包が固定された後、リフォーム時などに棟換気装置を追設しようとする場合は、棟包、笠木、及びスレートなどの屋根材を撤去し、野地板に開口を形成し、捨水切を取り付け、屋根材、笠木、及び棟包を復旧して棟換気装置を取り付ける手間が発生する。また、特に塗装が主であるリフォーム時においては、塗装業者では、このような屋根工事を行える職人がいない場合が多い。また、スレートにはアスベストが含まれていることが多く、廃材処理費が高額となる。よって、屋根頂部に棟包が固定された後、リフォーム時などに棟換気装置を追設することは困難であった。
ここで、特許文献1には、屋根構造体に敷設された屋根材上から建物内へ線材を引き込むための線材引込装置が開示されている。
また、特許文献2には、棟包が脱着自在である屋根構造が開示されている。
また、特許文献2は、棟包が脱着自在では無い建造物に対して棟換気装置を追設しようとするものではない。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の棟換気装置の設置方法において、前記棟換気装置固定工程は、前記棟包に換気本体を取り付ける換気本体固定工程と、前記換気本体の上面に、換気カバーを取り付ける換気カバー固定工程とからなることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の棟換気装置の設置方法において、前記開口形成工程では、複数の前記開口部を形成し、隣り合う前記開口部を、離間して形成することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の棟換気装置の設置方法において、複数の前記開口部を一列に並べて形成することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法において、前記開口形成工程では、ドリルを用いて円形状の前記開口部を形成することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法において、前記止水処理工程より前に、前記開口形成工程で形成した前記開口部の内周面及び上面から、ブロアーによってくず片を除去するくず片除去工程を有することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法において、前記開口部周辺に捨水切を設けないことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法において、前記止水処理工程の後で、前記棟換気装置固定工程の前に、前記開口部の周辺にビス打ちを行う補強工程を有することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法において、前記止水処理工程の後で、前記棟換気装置固定工程の前に、前記開口部の周辺に防水処理を行う開口部周り防水処理工程を有することを特徴とする。
請求項10記載の本発明の建造物は、垂木の上部に野地板を設け、前記野地板の上面には屋根材が敷設され、屋根頂部に笠木が配置され、前記笠木に棟包が固定された建造物であって、前記棟包と前記笠木と前記屋根材と前記野地板とを貫通する開口部と、前記開口部の内周面、前記開口部の上縁面、及び前記開口部の下縁面を覆う防水材と、前記開口部の上方を覆う位置で、前記棟包に取り付けた棟換気装置とを有することを特徴とする。
本実施の形態によれば、棟包が固定された後の屋根に、棟包、笠木、屋根材を残したまま棟換気装置を設置できる。
本実施の形態によれば、棟換気装置を設置する際に開口部を視認しやすくなる。
本実施の形態によれば、開口部を形成しやすくなる。
本実施の形態によれば、棟換気装置から雨水が浸入することを、より確実に防止できる。
本実施の形態によれば、円形状の開口部を効率的に精度良く形成することができる。
本実施の形態によれば、止水処理工程において行う止水処理の効果を高めることができる。
本実施の形態によれば、棟換気装置の設置が更に容易となる。
本実施の形態によれば、開口部が形成された棟包を補強できる。
本実施の形態によれば、棟換気装置から雨水が浸入することを、より確実に防止できる。
本実施の形態によれば、棟包が固定された後の屋根に、棟包、笠木、屋根材を残したまま棟換気装置を設置した建造物を提供できる。
図2は、本発明を実施する前の建造物の屋根10の一部断面図である。
柱(図示省略)の上端に棟木11が水平に設けられている。また、垂木12が、棟木11の上部から軒先へ向けて斜め下方に傾斜して設けられている。垂木12は、一方の垂木12Aと他方の垂木12Bからなる。
垂木12の上部には、野地板13が設けられている。野地板13の上面には、屋根材14が敷設されている。屋根材14は、ルーフィング等の屋根下葺材14Aとその上面に敷設されたスレート瓦14Bからなる。屋根頂部には、笠木15が配置されている。笠木15の上面には、棟包16が固定されている。
棟換気装置20は、屋根10の頭頂部に沿って配置するため、屋根10の形状と同様に、頭頂部から両側へ斜め下方に傾斜した形状としている。棟換気装置20は、換気カバー21と換気本体22からなる。換気カバー21は、換気本体22の上方から取付けられる。
図4(b)に示すように、換気本体22は、一対の底面板材22Aを両側に有し、底面開口部22Bを中央に有し、一対の換気カバー固定具22Cを底面板材22Aと底面開口部22Bの間に有する。
換気カバー固定具22Cには、有底のビス孔22Dが複数設けられている。ビス孔22Dには、換気カバー21を換気本体22に固定するための換気カバー固定ビス24(図15参照)が挿入される。
また、図4(a)に示すように、換気カバー21には、貫通ビス孔21Aが複数設けられている。貫通ビス孔21Aには、換気カバー固定ビス24が通される。貫通ビス孔21Aは、ビス孔22Dに対応した位置に設けられる。
本実施例による棟換気装置の設置方法は、図5に示すように、棟包が固定された屋根10に開口部を形成する開口形成工程S10と、開口部を形成する際に発生したくず片を除去するくず片除去工程S20と、開口部に対して止水処理を行う止水処理工程S30と、棟包を補強する補強工程S40と、開口部の周りに対して防水処理を行う開口部周り防水処理工程S50と、開口部に棟換気装置を取り付ける棟換気装置固定工程S60を有する。
図6は、開口部90の形成例を示す図である。図7は、開口部90の目安40の罫書き作業を説明する図である。図8は、開口部90が形成された屋根10の一部を示す図であり、図8(a)は斜視図、図8(b)は断面図である。
また、屋根10に開ける開口部90の位置、個数及び径を設定する。開口部90を複数形成する場合には、開口部90間の間隔も設定する。開口部90の位置、個数、径及び間隔は、所望の換気性能や棟換気装置20の寸法等に基づいて設定する。
なお、開口部90は、屋根10のなかで最も高い位置、すなわち棟包16の頭頂部に設けることが好ましい。開口部90を屋根10のなかで最も高い位置に設けることで、雨水の浸入をより確実に防ぐことができる。
また、所望の開口面積を確保するためには、開口部90を複数形成することが好ましい。開口部90を複数形成することで、仮に垂木12と重なる位置に一つの開口部90が形成されたとしても、垂木12と重ならない位置に形成された他の開口部90によって開口面積を確保して十分な換気能力を得ることができる。
また、開口部90を複数形成する場合は、開口部90間の間隔が無いか小さすぎると、開口部90を開ける作業が難しくなる可能性があるため、隣り合う開口部90を離間して形成することが好ましい。開口部90間の間隔は、開口部90の最大径又は最大幅の0.3倍以上3倍以下とすることが好ましく、開口部90の最大径又は最大幅の1.5倍以上2倍以下とすることがより好ましく、開口部90の最大径又は最大幅の1.75倍とすることが最も好ましい。複数の開口部90は等間隔で形成することが好ましいが、開口部90が垂木12に重なる場合には、垂木12を避けて開口部90を設ける。
また、開口部90は、一列に並べて形成することが好ましい。一列に並べて形成することで、開口部90から雨水が浸入することを、より確実に防止できる。
本実施例では、図6に示すように、横幅Xが800mm、縦幅Yが100mmである長方形の領域α内の4箇所に、円形状の開口部90を等間隔で一列に並べて形成している。ここで、開口部90の直径dは80mm、開口部90間の間隔Pは140mm、開口部90から横幅Xの端までの間隔Qは30mmである。
図7(a)に示すように、棟換気装置20を設置する位置に開口テンプレート30を屋根10の頭頂部に沿って置き、図7(b)に示すように、筆記物35を用いてガイド穴34の位置に開口部90の目安40を罫書く。すると、図7(c)に示すように、棟包16の4箇所に目安40ができる。目安40を罫書いた後、開口テンプレート30を撤去する。
このように、開口テンプレート30を用いることで、目安40を正確かつ簡便に棟包16に罫書くことができる。
開口部90を形成すると図8の状態となる。なお、図8(b)に示すように、垂木12及び棟木11には開口部90を形成しない。これにより建造物の強度を保つと共に、止水性能を維持することができる。
また、ドリルで開口部90を形成する場合には、少しの時間をおいてドリルを使用することが好ましい。これによりドリルの刃との摩擦によって木材等が焦げることを防止できる。
開口形成工程S10において、棟包16、笠木15、屋根材14、野地板13の順に穴を開けることに伴い、開口部90及びその周囲には金属材や木材等のくず片が付着する。開口部90やその周囲にくず片が付着していると、止水処理工程S30において止水処理を行っても十分な止水性能が得られないおそれがある。そこで、止水処理工程S30の前に、少なくとも開口部90の内周面及び上面に付着したくず片を除去することが好ましい。
ここで、図9は、ブロアーを用いたくず片除去工程の説明図である。くず片の除去には、雑巾や箒を用いても良いが、ブロアー50を用いることが好ましい。ブロアー50を用いる場合、図9に示すように、くず片を吹き飛ばすことができるため、効率よく、くず片を除去できる。
止水処理工程S30では、開口部90の内周面、開口部90の上縁面、及び開口部90の下縁面を、防水材60で覆う。これにより、開口部90からの雨水の浸水を防止できる。
防水材60としては、防水テープ60を用いることが好ましく、防水テープ60のなかでもブチルゴム系の伸張性テープを用いることが好ましい。
まず、図10(a)に示すように、開口部90に防水テープ60を差し込み、開口部90の内周面になじませるように貼り付ける。このとき、開口部90の内周面の高さよりも大きい防水テープ60を用い、開口部90の内周面から防水テープ60の上下が余るように貼り付ける。ここで、開口部90の内周面よりも上方に余らせた部分を防水テープ60の上部余り部61、開口部90よりも下方に余らせた部分を防水テープ60の下部余り部62とする。
次に、図10(b)に示すように、上部余り部61を折り曲げて皺を伸ばしながら開口部90の上縁面に貼り付ける。
次に、図10(c)に示すように、下部余り部62を折り曲げて皺を伸ばしながら開口部90の下縁面に貼り付ける。
次に、開口部90の内周面に防水テープ60が貼り付けられていない部分が残っている場合は、図10(d)、(e)に示すように、防水テープ60が貼り付けられていない部分に、上記と同様にして防水テープ60を貼り付ける。本実施例においては、一つの開口部90に3枚の防水テープ60を貼り付けている。
次に、図10(f)に示すように、開口部90の内周面の全周に防水テープ60が隙間なく貼りついていることを確認しつつ、防水テープ60の皺を伸ばす。
このように、開口部90に止水処理を施すことで、棟換気装置20の下方に捨水切を設置することなく止水を行うことができる。よって、野地板13に捨水切の寸法に合わせた開口を形成する必要が無いため、棟包16が固定された後の屋根に対して比較的容易に棟換気装置20を設置できる。
図12は、補強ビス70を用いた補強工程の説明図である。
補強工程S40においては、開口部90が形成された棟包16を補強するために、棟包16の所定の位置に補強ビス70を打つ。補強ビス70は複数打つことが好ましく、図12に示すように、開口部90が形成された領域αの四隅に打ち、その四隅から例えば約455mm間隔で領域αを取り囲むように均等に打つことがより好ましい。
開口部周り防水処理工程S50においては、開口部90の周囲に防水処理を行う。これにより更に止水性能を高めることができる。この防水処理には、シリコン系のシーリング剤80を用いることが好ましい。
図13は、シーリング剤80を用いた開口部周り防水処理工程の説明図であり、図13(a)は斜視図、図13(b)は、シーリング剤80を用いた防水処理がなされた屋根10の一部断面図である。
図13(a)に示すように、開口部90が形成された領域αの四隅に打った下地補強ビス70を結ぶようにシーリング剤80を塗布することが好ましい。
棟換気装置固定工程S60は、開口部90の上方を覆う位置で、棟包16に換気本体22を取り付ける換気本体固定工程S61と、換気本体22の上面に換気カバー21を取り付ける換気カバー固定工程S62からなる。
図14は、棟換気装置固定工程S60のうち換気本体固定工程S61の説明図、図15は、棟換気装置固定工程S60のうち換気カバー固定工程S62の説明図、図16は、換気カバー21に対する止水処理を説明する図である。
換気本体固定工程S61において、図14に示すように、換気本体22を開口部90が中心となるように棟包16に置く。なお、換気本体22には開口部90と重なる位置に底面開口部22Bが設けられており、底面開口部22Bを通して開口部90を視認することができるため、換気本体22を開口部90が中心となるように置く作業を容易に行える。
換気本体22を棟包16に置いた後、複数の本体固定ビス23で換気本体22を留めつけて固定する。
なお、換気本体22の上面に換気カバー21を取り付ける前には、図16に示すように、換気カバー21の裏側の両妻側の頂部に止水処理を行うことが好ましい。これにより棟換気装置20の止水性能を更に高めることができる。換気カバー21の止水処理には、シリコン系のシーリング剤80を用いることが好ましい。
このように、開口部90の上方を換気本体22で覆い、換気本体22の上方を換気カバー21で覆うことで、換気本体22と換気カバー21との間に通気路が形成され、小屋裏の空気を換気することができる。
また、上記実施例では、屋根材14にスレート瓦14Bが用いられている場合を説明したが、屋根材に金属瓦が用いられている場合にも本発明を適用可能である。
11 棟木
12 垂木
12A 一方の垂木
12B 他方の垂木
13 野地板
14 屋根材
14A 屋根下葺材
14B スレート瓦
15 笠木
16 棟包
20 棟換気装置
21 換気カバー
21A 貫通ビス孔
22 換気本体
22A 底面板材
22B 底面開口部
22C 換気カバー固定具
22D ビス孔
23 本体固定ビス
24 換気カバー固定ビス
30 開口テンプレート
31 一方の板
32 他方の板
33 接続部
34 ガイド穴
35 筆記物
40 目安
50 ブロアー
60 防水材(防水テープ)
61 上部余り部
62 下部余り部
70 補強ビス
90 開口部
80 シーリング剤
S10 開口形成工程
S20 くず片除去工程
S30 止水処理工程
S40 補強工程
S50 開口部周り止水処理工程
S60 棟換気装置固定工程
S61 換気本体固定工程
S62 換気カバー固定工程
d 直径
P 開口部間の間隔
Q 開口部から端までの間隔
X 横幅
Y 縦幅
α 領域
Claims (10)
- 垂木の上部に野地板を設け、前記野地板の上面には屋根材が敷設され、屋根頂部に笠木が配置され、前記笠木に棟包が固定された建造物に対する棟換気装置の設置方法であって、
前記棟包、前記笠木、前記屋根材、前記野地板の順に、前記棟包と前記笠木と前記屋根材と前記野地板とを貫通して開口部を形成する開口形成工程と、
前記開口部の内周面、前記開口部の上縁面、及び前記開口部の下縁面を、防水材で覆う止水処理工程と、
前記開口部の上方を覆う位置で、前記棟包に前記棟換気装置を取り付ける棟換気装置固定工程と
を有する
ことを特徴とする棟換気装置の設置方法。 - 前記棟換気装置固定工程は、前記棟包に換気本体を取り付ける換気本体固定工程と、
前記換気本体の上面に、換気カバーを取り付ける換気カバー固定工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の棟換気装置の設置方法。 - 前記開口形成工程では、複数の前記開口部を形成し、
隣り合う前記開口部を、離間して形成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棟換気装置の設置方法。 - 複数の前記開口部を一列に並べて形成する
ことを特徴とする請求項3に記載の棟換気装置の設置方法。 - 前記開口形成工程では、ドリルを用いて円形状の前記開口部を形成する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法。 - 前記止水処理工程より前に、前記開口形成工程で形成した前記開口部の内周面及び上面から、ブロアーによってくず片を除去するくず片除去工程を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法。 - 前記開口部周辺に捨水切を設けない
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法。 - 前記止水処理工程の後で、前記棟換気装置固定工程の前に、前記開口部の周辺にビス打ちを行う補強工程を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法。 - 前記止水処理工程の後で、前記棟換気装置固定工程の前に、前記開口部の周辺に防水処理を行う開口部周り防水処理工程を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の棟換気装置の設置方法。
- 垂木の上部に野地板を設け、前記野地板の上面には屋根材が敷設され、屋根頂部に笠木が配置され、前記笠木に棟包が固定された建造物であって、
前記棟包と前記笠木と前記屋根材と前記野地板とを貫通する開口部と、
前記開口部の内周面、前記開口部の上縁面、及び前記開口部の下縁面を覆う防水材と、
前記開口部の上方を覆う位置で、前記棟包に取り付けた棟換気装置と
を有する
ことを特徴とする建造物。
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