JP6624187B2 - 太陽電池用封止シート - Google Patents
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Description
上記太陽電池モジュールは、一般に、ガラス製受光面保護材、太陽電池素子(発電素子)、封止シート、およびバックシートから構成されており、封止シートとしてはエチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−α−オレフィン共重合体からなるシートが用いられている(特許文献1〜4)。
前記エチレン系樹脂100質量部に対して、
二酸化ケイ素およびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物0.001質量部以上5質量部以下と、
シランカップリング剤0.001質量部以上5質量部以下と
を含有する太陽電池用封止シートにかかるものである。
本発明にかかる太陽電池用封止シートに含有されるエチレン系樹脂は、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン単独重合体および、エチレン−不飽和エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のエチレン系樹脂である。エチレン系樹脂は、エチレン−不飽和エステル共重合体であることが好ましい。
本発明にかかるエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに由来する単量体単位と炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する単量体単位とを含むエチレン−α−オレフィン共重合体である。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、これらは単独で用いられていてもよく、2種以上を併用されていてもよい。α−オレフィンとしては、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンである。
本発明にかかるエチレン単独重合体は、好ましくは、高圧法によってエチレンを重合して得られるエチレン単独重合体である。例えば、槽型反応器または管型反応器を用いて、ラジカル発生剤の存在下、重合圧力140MPa以上300MPa以下、重合温度200℃以上300℃以下の条件下でエチレンを重合することによって製造されるエチレン単独重合体である。
本発明にかかるエチレン−不飽和エステル共重合体は、エチレンに由来する単量体単位と不飽和エステルに由来する単量体単位とを有し、エチレンに由来する単量体単位と不飽和エステルに由来する単量体単位との総和を100質量%とするとき、不飽和エステルに由来する単量体単位の量が20質量%以上35質量%以下であるエチレン−不飽和エステル共重合体である。
不飽和エステルとしては、例えばカルボン酸ビニルエステル、不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
エチレン−不飽和エステル共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の共重合体であることが好ましい。
本発明にかかる封止シートは、前記エチレン系樹脂100質量部に対して、二酸化ケイ素およびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物0.001質量部以上5質量部以下を含有する。封止シートは、前記化合物として、二酸化ケイ素のみを含有してもよく、ゼオライトのみを含有してもよく、二酸化ケイ素およびゼオライトを含有してもよい。
焼成された非晶質の二酸化ケイ素としては、例えば、エボニック・デグサ・ジャパン製焼成シリカ カープレックス CS−5が挙げられる。焼成されていない非晶質の二酸化ケイ素としては、例えば、中国宣城晶瑞新材料製VK−SP30S、鈴木油脂社製多孔質シリカ、PQコーポレーション製Gasil AB905、丸釜釜戸陶料株式会社製スノ−マ−ク SP−5、エボニック・デグサ・ジャパン製シリカ カープレックス#80、カープレックス FPS−2、カープレックス FPS−101等が挙げられる。
二酸化ケイ素としては、非晶質の二酸化ケイ素が好ましく、より好ましくは、焼成されていない非晶質の二酸化ケイ素である。
また、二酸化ケイ素としては、強熱減量の大きいものほど好ましく、好ましくは1.3%以上であり、より好ましくは1.5%以上であり、更に好ましくは2%以上であり、更により好ましく3%以上である。また、通常、二酸化ケイ素の強熱減量は、15%以下であり、好ましくは13%以下であり、より好ましくは10%以下である。該強熱減量は、真空下、約150℃で乾燥させた試料を用いて、JIS K1150−1994に規定された方法に従って、測定される値である。
ゼオライトとしては、例えば、東ソー株式会社製ハイシリカゼオライトHSZシリーズの820NHA、822HOA、643NHA、842HOA、ユニオン昭和株式会社製モレキュラーシーブシリーズ3A、4A等が挙げられる。
また、ゼオライトとしては、強熱減量の大きいものほど好ましく、好ましくは1.3%以上であり、より好ましくは1.5%以上であり、更に好ましく2%以上であり、更により好ましくは3%以上であり、いっそう好ましくは4%以上である。また、通常、ゼオライトの強熱減量は15%以下であり、好ましくは、13%以下であり、より好ましくは10%以下である。該強熱減量は、真空下、約150℃で乾燥させた試料を用いて、JIS K1150−1994に規定された方法に従って、測定される値である。
本発明にかかるシランカップリング剤は、受光面保護材や、下部保護材(バックシート)、太陽電池素子に対する封止シートの接着力を向上する目的で添加される。シランカップリング剤としては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
本発明にかかる太陽電池用封止シートは、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン単独重合体および、エチレン−不飽和エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のエチレン系樹脂と、
前記エチレン系樹脂100質量部に対して、
二酸化ケイ素およびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物0.001質量部以上5質量部以下と、
シランカップリング剤0.001質量部以上5質量部以下と
を含有するものである。
下記の実施例で示されるように、本発明の太陽電池用封止シートは、二酸化ケイ素およびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含まない太陽電池用封止シートよりも体積固有抵抗が高い。そのため、本発明の太陽電池用封止シートは、単結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、アモルファスシリコン太陽電池素子、化合物太陽電池素子等の太陽電池素子の、封止及び保護に用いられる太陽電池封止材に好適に用いられる。従来の太陽電池は、高電圧下で用いると、封止シートの絶縁不良によって発電性能が低下することがあった。本発明の太陽電池用封止シートは絶縁性に優れるため、発電性能の低下を抑制可能である。
予めエチレン系樹脂と、二酸化ケイ素およびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、シランカップリング剤とを、溶融混練して樹脂組成物とし、該樹脂組成物をシート加工機に供給してシートに加工してもよい。また、エチレン系樹脂のペレットの表面に二酸化ケイ素およびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を付着させた樹脂ペレットと、シランカップリング剤とをシート加工機に供給してもよい。
本発明の太陽電池封止シートを用いて、受光面保護材および下部保護材との間に太陽電池素子を封止した太陽電池を得ることができる。太陽電池における受光面保護材としては、ガラス、プラスチックス等の透光性部材が挙げられる。下部保護材としては、プラスチックス、セラミック、ステンレス、アルミニウム等の種々の保護材が挙げられる。
シートを、平板試料用大径電極(東亜ディーケーケー株式会社製 SME−8310)に設置して、500Vの電圧を印加し、デジタル絶縁計(東亜ディーケーケー株式会社製 DSM−8103)にて1分後の抵抗値を測定し、その値をもとに体積固有抵抗値を算出した。
シートをJIS−K7129−2008 附属書A 感湿センサ法に準拠し、水蒸気透過度(g/(m2・24時間))を測定した。シートの水蒸気透過度は、小さいほど好ましい。
ゼオライト、二酸化ケイ素の平均粒径は、以下の方法で算出した。
ゼオライトまたは二酸化ケイ素をエタノールに加え、ホモジナイザで10分間分散した。上記分散液にレーザー光線を照射し、その散乱光をレンズで集めたときの焦点面上に生じる回折像をマイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製 MT−3000EX II)で体積基準の粒度分布として測定し、粒度分布の中心粒径を求めた。
樹脂のメルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法により、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
ゼオライト、二酸化ケイ素の強熱減量は、真空下、約150℃で2時間乾燥させた試料を用いて、JIS K1150−1994に規定された方法に従って、測定した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA−1、住友化学株式会社製、KA−40、MFR:20g/10分、酢酸ビニルに由来する単量体単位の量:28質量%)100質量部と、
ゼオライト(ゼオライト 820NHA、東ソー株式会社製、平均粒径:5μm、強熱減量:4.2%)0.2質量部と、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Silquest A−174、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製:シランカップリング剤)0.12質量部と、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(パーブチル E、日本油脂株式会社製、1時間半減期温度121℃:架橋剤)0.4質量部と、
トリアリルイソシアヌレート(TAIC、東京化成工業株式会社製:架橋助剤)0.9質量部と、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(Sumisorb130、住化ケムテックス株式会社製、平均粒径:178μm)0.3質量部と、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Tinuvin 770 DF、BASF社製)0.08部質量部と
を、ラボプラストミルにより5分間混練した後、100℃の熱プレス機により2MPaの圧力で5分間プレスした後、30℃の冷却プレス機で5分間冷却して、厚さ約500μmのシートを作製した。得られたシートの体積固有抵抗値、及び水蒸気透過度を測定し、その結果を表1に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、二酸化ケイ素(焼成されていない非晶質二酸化ケイ素、Gasil AB905、PQコーポレーション製、平均粒径:6μm、強熱減量:3.1%)0.2質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表1に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、二酸化ケイ素(焼成されていない非晶質二酸化ケイ素、カープレックスFPS−2、エボニック・デグサ・ジャパン社製、平均粒径:2μm、強熱減量:3.7%)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表1に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、二酸化ケイ素(焼成された非晶質二酸化ケイ素、カープレックスCS−5、エボニック・デグサ・ジャパン社製、平均粒径:8μm、強熱減量:1.7%)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表1に示した。
参考例3のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA−1)に替えて、エチレン−メタクリル酸メチル(EMMA−1、住友化学株式会社製、WK402、MFR:20g/10分、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位の量:25質量%)100質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表3に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、ゼオライト焼成品(約600℃にて約1時間焼成したゼオライト 820NHA、東ソー株式会社製、平均粒径:5μm、強熱減量:1.0%)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表4に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、ゼオライト(合成ゼオライト A−4、和光純薬工業株式会社製、平均粒径:5μm、強熱減量:10%)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表4に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、二酸化ケイ素(未焼成二酸化ケイ素 シリカマイクロカプセルKA、日本インシュレーション株式会社製、平均粒径:5μm、強熱減量:7.9%)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表4に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、二酸化ケイ素焼成品(約600℃にて約1時間焼成した焼成された非晶質二酸化ケイ素、カープレックスCS−5、エボニック・デグサ・ジャパン社製、平均粒径:8μm、強熱減量:1.1%)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表4に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、二酸化ケイ素(焼成された非晶質二酸化ケイ素、カープレックスCS−5、エボニック・デグサ・ジャパン社製、平均粒径:8μm、強熱減量:1.7%)0.2質量部を用い、かつγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.12質量部を0.25質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表4に示した。
ゼオライトを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表2に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト DHT−4A、協和化学工業社製、平均粒径:0.4μm)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表2に示した。
実施例1のゼオライト0.2質量部に替えて、タルク(タルク JR37、日本タルク社製、平均粒径3μm)0.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表2に示した。
比較例3のタルク量を、15質量部に替えた以外は、比較例3と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表2に示した。
参考例3の二酸化ケイ素量を、15質量部に替えた以外は、実施例3と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表2に示した。
二酸化ケイ素を用いなかったこと以外は、参考例5と同様にしてシートを作製し、評価を実施した。評価結果を表3に示した。
Claims (3)
- エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン単独重合体および、エチレン−不飽和エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のエチレン系樹脂と、
前記エチレン系樹脂100質量部に対して、
ゼオライト0.001質量部以上5質量部以下と、
シランカップリング剤0.001質量部以上5質量部以下と
を含有する太陽電池用封止シートであって、
JIS K1150−1994に規定された方法に従って測定される前記ゼオライトの強熱減量が4%以上10%以下であり、
前記ゼオライトがA型ゼオライトである太陽電池用封止シート
(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン単独重合体および、エチレン−不飽和エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のエチレン系樹脂と、
前記エチレン系樹脂100質量部に対して、
二酸化ケイ素0.001質量部以上5質量部以下と、
シランカップリング剤0.001質量部以上5質量部以下と
を含有する太陽電池用封止シートであって、
前記二酸化ケイ素の強熱減量が1.7%以上10%以下である太陽電池用封止シートを除く)。 - エチレン系樹脂がエチレン−不飽和エステル共重合体である請求項1に記載の太陽電池用封止シート。
- 請求項1または2に記載の太陽電池用封止シートを用いて、受光面保護材および下部保護材との間に太陽電池素子を封止した太陽電池。
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