JP6623091B2 - アンモニア貯蔵供給装置及びアンモニア燃料タンク - Google Patents

アンモニア貯蔵供給装置及びアンモニア燃料タンク Download PDF

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Description

本発明は、アンモニア吸着温度でアンモニアを吸着したアンモニア吸着状態に維持され、前記アンモニア吸着温度より高いアンモニア脱離温度で吸着したアンモニアを脱離してアンモニア脱離状態となるアンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア貯蔵部と、
前記アンモニア吸着状態にあるアンモニア吸脱着材からアンモニアを脱離させるアンモニア脱離操作手段を備えたアンモニア貯蔵供給装置に関する。
今日、注目されている技術として、アンモニアを直接燃料として電力を得る技術がある(特許文献1、2)。これらの技術は、アンモニアが炭素を含まないことからCO削減等の意味から注目に値する。また、電池電極に炭素デポジットが生成されることもないため、安定的に燃料電池の運転を継続できる。
アンモニアを直接燃料とする燃料電池としては、固体酸化物形燃料電池(以下 SOFCと記載することがある)があり、主にアノード側電極で、アンモニアを水素に分解し、出力の低下を避けて電池反応を起こされる方向に開発が進んでいる(特許文献3、4)。
さらに、アンモニアの供給を受けて働く機構としては、エンジン排ガスを脱硝する機構もあるが、このような機構でもアンモニアの供給と、排出されるアンモニアの処理が問題となることがある。
一方、特許文献5には、特定の金属ハロゲン化物を組み合わせたアンモニア吸脱着剤(本発明に於けるアンモニア吸脱着材)、分離方法及び貯蔵方法に関する発明が記載されている。この文献に開示の発明は、オンサイトで合成したアンモニアも効率よくPSA、PTSA等の吸着分離法で分離でき、さらに貯蔵することもできるアンモニアの分離方法を提供する。分離に際しては、金属ハロゲン化物として、塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物を使用し、アンモニア吸着状態にある金属ハロゲン化物(金属ハロゲン化物のアンモニア錯体)を、アンモニアを脱離する圧力・温度に曝すことで、アンモニアを脱離(分離)させる。
特許文献6に開示の発明は化学蓄熱材を使用する蓄熱に関し、反応温度の制御が可能なアンモニア錯体系化学蓄熱材の製造方法に関する。提案される製造方法は、塩化カルシウムと臭化カルシウムを水に完全に溶解させた後、水溶液を加熱減圧下で濃縮し、乾燥させて、カルシウム塩混合物を得、このカルシウム塩混合物(本発明に於けるアンモニア吸脱着材)を、アンモニアガス圧:1.2気圧、温度:−20℃でアンモニア付加(本発明における吸着)させ、カルシウム塩混合物アンモニア錯体を得ている。
特開2011−204416号公報 特開2011−204418号公報 特開2013−211117号公報 特開2013−211118号公報 特開2007−307558号公報 特開平6−136357号公報
以上に述べた様に、今日、アンモニアをエネルギー発生用の燃料として採用することが注目されているが、通常、アンモニアは液体アンモニアの形態で取り扱われる。この形態でアンモニアを貯蔵・運搬・供給する場合、その取扱いには加圧が必要であり(常温で1.0MPa以上)、所謂、高圧ガスとしての扱いとなる。例えば、先のSOFCの例で、アンモニアをオンサイトで燃料として供給しようとすると、液体アンモニアを貯蔵する高圧タンクが必要となり、今日、SOFCが様々なサイトに設置されようとしていることを考えると、その普及の点で障害となる。
先に紹介した特許文献5、6には、アンモニアの分離・貯蔵・供給までは開示されているが、アンモニアを例えば燃料として使用するに当たって、エネルギー発生装置で消費されることなくスリップして排出されることがあるアンモニアをどのように処理するかに関しては何ら示されていない。
この点に関してSOFCシステムを例示して説明すると、燃料としてアンモニアを使用するSOFC本体(固体酸化物燃料電池の本体発電部)の排ガス(排気)には,微量のアンモニアが含まれることがある。アンモニアはそのまま外部放出できないため、分解して放出することが必要となる。しかしながら、アンモニア分解は、熱分解・酸化分解とされるため高温が必要となりエネルギーを消費することとなる。従って、SOFCシステムのエネルギー効率をトータルで見ると低下する。即ち、アンモニアを使用する場合、常に、その使用に伴ったアンモニアの処理も課題となるが、この点に関して従来、充分な検討が行われてこなかった。
本発明の目的は、例えばアンモニアを直接もしくは間接的に燃料として使用するエネルギー発生システムにも採用できるアンモニア貯蔵供給装置を提供することにあり、さらにアンモニア供給先であるエネルギー発生システムから放出されることがあるアンモニアを低いエネルギー負荷で処理することが可能なアンモニア貯蔵供給装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、本発明に係る、
アンモニア吸着温度でアンモニアを吸着したアンモニア吸着状態に維持され、前記アンモニア吸着温度より高いアンモニア脱離温度で吸着したアンモニアを脱離してアンモニア脱離状態となるアンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア貯蔵部と、
前記アンモニア吸着状態にあるアンモニア吸脱着材からアンモニアを脱離させるアンモニア脱離操作手段を備えたアンモニア貯蔵供給装置の第1の特徴構成は、
前記アンモニア吸着状態から前記アンモニア脱離状態とされる第1アンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア脱離部を前記アンモニア貯蔵部として備え、
標準大気圧状態で前記第1アンモニア吸脱着材よりアンモニア吸着・脱離平衡温度が高い第2アンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア吸着部を備え、
前記アンモニア脱離部の温度を前記第1アンモニア吸脱着材のアンモニア脱離温度以上とする熱供給媒体が独立して流れる熱供給部を備え、
前記アンモニア脱離操作手段の働きにより、前記熱供給部に前記熱供給媒体を供給して前記アンモニア脱離部を前記第1アンモニア吸脱着材のアンモニア脱離温度以上とするとともに、前記熱供給部を通過した前記熱供給媒体が、前記アンモニア吸着部内を流動して外部に放出される構成で、
前記アンモニア吸着部の温度が前記第2アンモニア吸脱着材のアンモニア吸着温度以下に維持され、前記熱供給媒体に含まれることがあるアンモニアを前記第2アンモニア吸脱着材が吸着する点ある。
このアンモニア貯蔵供給装置は、アンモニア貯蔵部としてのアンモニア脱離部と、アンモニア吸着部とを備え、各部位に、第1アンモニア吸脱着材、第2アンモニア吸脱着材を収納して使用される。ここで、第2アンモニア吸脱着材のアンモニア吸着・脱離平衡温度は第1アンモニア吸脱着材のそれより高いものとする。この種の吸脱着材は、その吸着・脱離平衡温度より低温側で、吸脱物(この例ではアンモニア)を吸着し、高温側で脱離するという挙動を示すため、一の温度を基準に比較すると、第1アンモニア吸脱着材はアンモニアを脱離しやすい特性を有し、第2アンモニア吸脱着材はアンモニアを吸着しやすい特性となる。
そこで、アンモニア吸着状態にある第1アンモニア吸脱着材をアンモニア脱離部に収納し、アンモニア脱離状態にある第2アンモニア吸脱着材をアンモニア吸着部に収納したアンモニア供給可能状態となっている本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置を準備しておき、アンモニア脱離操作手段の働きにより、装置の熱供給部に熱供給媒体を流すことで、アンモニア吸着状態にある第1アンモニア吸脱着材からアンモニアを脱離させて、外部(例えばSOFC)にアンモニアを供給することができる。この熱供給部を流れる熱供給媒体は独立して流れるため、第1アンモニア吸脱着材と接触することはない。
一方、熱供給部を流れて熱をアンモニア脱離部に供給し終え、低温化した熱供給媒体は、アンモニア吸着部に流れ込むが、このアンモニア吸着部にはアンモニア脱離状態にある第2アンモニア吸脱着材が収納されているため、熱供給媒体にアンモニアが含まれていると、アンモニアが第2アンモニア吸脱着材に吸着され、熱供給媒体から除去される。
結果、アンモニア除去後の熱供給媒体は、アンモニアフリーな状態で外部放出可能となる。従って、例えば、燃料としてアンモニアの供給を受けて働くエネルギー発生システムに対するアンモニア供給用として本発明の装置は好適に使用できるとともに、アンモニアの処理を第2アンモニア吸脱着材の吸着により行うため、無駄なエネルギー消費を伴うことなく良好に動作し、エネルギー効率の高いシステムを得ることができる。
以上が本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置の基本原理であるが、
本発明の第2の特徴構成は、
前記第1アンモニア吸脱着材が、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が40℃以上130℃以下であるハロゲン化金属化合物であり、
前記第2アンモニア吸脱着材が、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が前記第1アンモニア吸脱着材の標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度より高いハロゲン化金属化合物である点にある。
ここで、アンモニア吸脱着材に関し、「標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度」に関して述べておくと、アンモニア吸脱着材の特性が、標準大気圧下で、吸着から脱離に変わる温度であり、平衡温度より低い温度ではアンモニアとの接触によりアンモニアを吸着してアンモニア脱離状態からアンモニア吸着状態となり、平衡温度より高い温度では吸着しているアンモニアを脱離してアンモニア吸着温度からアンモニア脱離状態となる。
従って、アンモニア吸着状態にある第1アンモニア吸脱着材は、標準大気圧下で、その平衡温度以上に加熱されることでアンモニアを脱離し、貯蔵供給装置から外部にアンモニアを供給できる。一方、アンモニア脱離状態にある第2アンモニア吸脱着材は、標準大気圧下での平衡温度が比較的高いため、アンモニアを容易に吸着する。
第1アンモニア吸脱着材に関して述べると、この材のアンモニア吸着・脱離平衡温度は40℃〜130℃の範囲内にあるため、この平衡温度より高温側に材を加熱することでアンモニア脱離を標準大気圧下で起こさせることができる。この温度域は、例えば、通常のエネルギー発生システムから発生する排ガスの保有する排熱を湯として回収した後にまだ利用できる低温度域を含み、さらには、エネルギーとして利用されることなく捨てられることもある比較的低温の温度域であるため、本発明ではこの温度域を有効にアンモニア脱離に利用できる。
第2アンモニア吸脱着材に関して述べると、この材のアンモニア吸着・脱離平衡温度は材種が特定されている第1アンモニア吸脱着材のそれより高いため、この平衡温度より低温側に材を保つことで、アンモニア吸着を標準大気圧下で容易に起こさせることができる。さらに、本発明の構成では、アンモニア脱離部の下流側にアンモニア吸着部を配置しているため、アンモニア脱離部である程度の熱供給を終えた熱供給媒体は低温化する。結果、アンモニアの吸着を良好に起こさせることができる。
さらに、このようなアンモニア吸脱着材の選択により、標準大気圧下で、アンモニア脱離とアンモニア吸着を行えるため、先に説明した高圧タンク等が不要となり、汎用性の高い装置とできた。
本発明の第3の特徴構成は、第1アンモニア吸脱着材の例であり、これら第1アンモニア吸脱着材としては、ハロゲン化Ba化合物、ハロゲン化Ca化合物,ハロゲン化Sr化合物、及びハロゲン化Mn化合物から選択される何れか一種以上を採用することができる。
本明細書においてハロゲン化化合物の金属名は化学記号を使用して記載する。
本発明の第4の特徴構成は、第2アンモニア吸脱着材の例であり、第2アンモニア吸脱着材としては、ハロゲン化Co化合物、ハロゲン化Mg化合物、及びハロゲン化Ni化合物から選択される何れか一種以上を採用することができる。
本発明の第5の特徴構成は、
前記熱供給部を通過した前記熱供給媒体の温度を前記第2アンモニア吸脱着材のアンモニア吸着温度以下とするアンモニア吸着操作手段を備える点にある。
これまでの説明では、第2アンモニア吸脱着材の温度管理について積極的な管理手段を設けることに関して特に述べてはいないが、アンモニア吸着操作手段により、熱供給媒体の温度を第2アンモニア吸脱着材のアンモニア吸着温度以下に維持することで、熱供給媒体に含まれるアンモニアを第2アンモニア吸脱着材に確実に吸着させることができる。
結果、アンモニア貯蔵供給装置の動作を温度制御を伴って確実とすることができる。
本発明に係る第6の特徴構成は、
前記アンモニア脱離操作手段の働きにより、前記アンモニア吸脱着材から脱離されるアンモニアの供給先が固体酸化物形燃料電池であり、
当該固体酸化物形燃料電池から排出される排ガスが、アンモニアを含有することがある前記熱供給媒体である点にある。
固体酸化物形燃料電池から排出される排ガスを熱供給媒体として本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置に導くことで、この排ガスの保有する熱を利用して、第1アンモニア吸脱着材からアンモニアを脱離させ燃料として固体酸化物形燃料電池に供給できる。
一方、燃料として消費されることなく、固体酸化物形燃料電池からスリップして排ガス中に含まれるアンモニアを第2アンモニア吸脱着材に吸着させて、アンモニアフリーな排ガスを排出でき、良好に、アンモニアを燃料として固体酸化物形燃料電池を運転できる。
本発明の第7の特徴構成は、
前記アンモニア脱離操作手段に、前記熱供給媒体から熱を受熱して湯を得る湯生成用熱交換器あるいは、前記熱供給媒体が保有する熱を大気放出する放熱器を備え、
前記固体酸化物形燃料電池から排出される排ガスの温度が前記湯生成用熱交換器あるいは前記放熱器により低下されて、当該排ガスが前記熱供給部に導入される点にある。
固体酸化物形燃料電池から排出される排ガスの温度は比較的高温であるため、このような比較的高温の熱供給媒体が得られる場合に、その媒体から受熱して熱供給媒体の温度を第1アンモニア吸脱着材がアンモニアを脱離するのに適当な温度まで低下させることで、アンモニアの脱離量の制御を良好に行えるとともに、エネルギーの有効利用を図ることができる。
これまで説明してきたアンモニア貯蔵供給装置は、アンモニア脱離操作手段を備えた装置となるが、アンモニアを燃料として供給し、排出されてくるアンモニアを除去することを目的とするため、アンモニア吸着状態にある第1アンモニア吸脱着材と、アンモニア脱離状態にある第2アンモニア吸脱着材とを収納して備え、これまで説明してきた熱供給媒体が前記第1アンモニア吸脱着材と熱交換可能(熱供給可能)なアンモニア貯蔵部と、前記第2アンモニア吸脱着材と接触可能なアンモニア脱離部とを備えた筐体を準備しておけば、アンモニア燃料タンクとして使用することができる。
このような目的を満たすアンモニア燃料タンクは、以下の構成となる。
アンモニア吸着温度でアンモニアを吸着したアンモニア吸着状態に維持され、前記アンモニア吸着温度より高いアンモニア脱離温度で吸着したアンモニアを脱離してアンモニア脱離状態となるアンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア貯蔵部を備えたアンモニア燃料タンクの第1の特徴構成を、
前記アンモニア吸着状態の第1アンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア脱離部を前記アンモニア貯蔵部として備え、
標準大気圧状態で前記第1アンモニア吸脱着材よりアンモニア吸着・脱離平衡温度が高い第2アンモニア吸脱着材が前記アンモニア脱離状態で収納されるアンモニア吸着部を備え、
前記アンモニア脱離部の温度を前記第1アンモニア吸脱着材のアンモニア脱離温度以上とする熱供給媒体が独立して流れる熱供給部を備え、
前記熱供給部を通過した前記熱供給媒体が、前記アンモニア吸着部内を流動して外部に放出される構成とする。
この構成のアンモニア燃料タンクを、これまで説明してきたアンモニア脱離操作手段、アンモニア吸着操作手段を備えたシステムに装着してアンモニアを燃料として供給することが可能となり、取り外した状態で、第1アンモニア吸脱着材をそのアンモニア脱離状態からアンモニア吸着状態へ再生し、第2アンモニア吸脱着材をそのアンモニア吸着状態からアンモニア脱離状態へ再生することも可能となる。このような再生作業は、特定工場等での作業とできるため、再生作業の温度・圧力条件を任意に選択でき、非常に有用である。
本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置を備えた固体酸化物形燃料電池システムの第1実施形態の構成を示す図 本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置を備えた固体酸化物形燃料電池システムの第2実施形態の構成を示す図 本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置を備えた固体酸化物形燃料電池システムの第3実施形態の構成を示す図
以下、本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置1を備えたSOFCシステム100について、図面に基づいて説明する。
以下に説明する実施形態では、アンモニア貯蔵供給装置1は、SOFCシステム100の一部とされ、その主要構成部位として、第1アンモニア吸脱着材A1が収納されるアンモニア脱離部2と、第2アンモニア吸脱着材A2が収納されるアンモニア吸着部3とを内部に備えた筐体10(アンモニア燃料タンクに相当する)と、第1アンモニア吸脱着材A1からアンモニアを脱離させるアンモニア脱離操作手段M1と、第2アンモニア吸脱着材A2にアンモニアを吸着させるアンモニア吸着操作手段M2とを備えて構成される。
そして、アンモニア貯蔵供給装置1の主体である筐体10は、
(1)アンモニア吸着状態の第1アンモニア吸脱着材A1がアンモニア脱離部2に収納され、アンモニア脱離状態の第2アンモニア吸脱着材A2がアンモニア吸着部3に収納された状態でSOFCシステム100に取り付けられ、
(2)SOFC101にアンモニアを燃料として供給し、発電に供された後、
(3)アンモニア脱離状態の第1アンモニア吸脱着材A1がアンモニア脱離部2に収納され、アンモニア吸着状態の第2アンモニア吸脱着材A2がアンモニア吸着部3に収納された状態で取り外される。
使用後の各アンモニア吸脱着材A1,A2は、別途、それぞれ再生処理される。
この再生処理は、第1アンモニア吸脱着材A1に関して、アンモニアと接触させて当該アンモニアを吸着させるアンモニア吸着処理となり、第2アンモニア吸脱着材A2に関しては、アンモニアを脱離させる脱離処理となる。この作業を行うため、筐体10は各アンモニア吸脱着材A1,A2を取出し・収納自在な構造としている(図示省略)。
アンモニア貯蔵供給装置1は、アンモニア供給に際して所定温度以上の熱を必要とするが、以下に説明する例では、この熱供給媒体として、SOFCシステム100から排出される排ガスeを利用する。
以下、アンモニア貯蔵供給装置1の主体となるアンモニア貯蔵部2及びアンモニア吸着部3を備えた筐体10に関して、先ず説明し、これら部位を動作させる操作手段M1,M2の働きに関して説明を進める。
アンモニア燃料タンクとしての筐体
図1に示すように、アンモニア貯蔵供給装置1は概略円筒状の筐体10を有して構成され、筐体10内が上下方向に2室に分割されて構成されている。
これら2室は、本発明にいう第1アンモニア吸脱着材A1が収納されるアンモニア脱離部2と、第2アンモニア吸脱着材A2が収納されるアンモニア吸着部3である。
図からも判明するように、この筐体10には、SOFC101へアンモニアを供給するためのアンモニア送出口4が設けられるとともに、SOFC101から排出される排ガスeが冷却されて導入される排ガス流入口5と、当該アンモニア貯蔵供給装置1を経てアンモニアを除去された処理済み排ガスe4が流出される処理済み排ガス流出口6とが設けられている。
本例では、前記アンモニア脱離部2はシェル&チューブ式の熱交換構造が採用されており、外円筒20(シェル)内に多数の伝熱管21(チューブ)を備え、外円筒20と伝熱管21との間に形成されている空間が、第1アンモニア吸脱着材A1が収納されるアンモニア吸脱着材収納室Rとして、伝熱管21内がSOFC101からの排ガスeが流れる熱供給部rとして構成されている。図示する例では、アンモニア脱離部2の入口部位に分配室7を設け、この分配室7から各伝熱管21内に排ガスeが流入するように構成している。
前記分配室7には前記排ガス流入口5が接続されており、流入する排ガスeを多数の伝熱管21内に分配して流入させる。
前記アンモニア吸脱着材収納室Rには、前記アンモニア送出口4が接続されており、室R内に収納される第1アンモニア吸脱着材A1から脱離するアンモニアが流出する。
前記多数の伝熱管21から給熱後の排ガスeは前記アンモニア吸着部3に流入する。アンモニア吸着部3には第2アンモニア吸脱着材A2が収納され、その排ガス流路長を所定の流路長とすることにより、排ガスeに含まれることがあるアンモニアを第2アンモニア吸脱着材A2に吸着して除去することができる。
アンモニア吸着部3の上部には処理済み排ガス流出口6が接続されており、処理済み排ガスe4をアンモニアフリーの状態で大気に排出する。
以上が、アンモニア脱離部2及びアンモニア吸着部3を備えた筐体10の説明であるが、以下、各部2、3の収納されているアンモニア吸脱着材A1,A2を使用して、アンモニアをSOFC101の燃料として供給するとともに、排ガスeに含まれることがあるアンモニアを除去する構成に関して説明する。
アンモニア脱離操作手段M1
図1の中央部下部に破線で囲って示したのが、このアンモニア脱離操作手段M1を成す機能部位である(図2、図3において同じ)。
アンモニア脱離部2には多数の伝熱管21を熱供給部rとして備え、第1アンモニア吸脱着材A1が吸着状態にあるアンモニアを良好に脱離するように、この伝熱管21にSOFC101の排ガスeを第1アンモニア吸脱着材A1のアンモニア脱離温度以上として流入させる。これがアンモニア脱離操作手段M1の機能であり、例えば、図1は、排ガスeの温度域が50〜60℃であることを例示的に示している。
アンモニア脱離操作手段M1の詳細構造に関しては、SOFCシステム100の項で各実施形態に即して説明する。
アンモニア吸着操作手段M2
一方、図1の左側部位に破線で囲って示したのが、このアンモニア吸着操作手段M2を成す機能部位である(図3において同じ)。図2に示す第2実施形態では、同図下から左側部位に渡る破線で示している。
これらの図からも判明するように、アンモニア吸着部3の横に冷却機構を備えることで、第2アンモニア吸脱着材A2をそのアンモニア吸着温度以下とすることとしている。これがアンモニア吸着操作手段M2の機能である。例えば、図1は、この温度域が30〜40℃であることを例示的に示している。
アンモニア吸着操作手段M2の詳細構造に関しても、SOFCシステム100の項で各実施形態に即して説明する。
第1アンモニア吸脱着材A1
アンモニア脱離部2には、第1アンモニア吸脱着材A1として、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が40℃以上130℃以下であるハロゲン化金属化合物がアンモニアを吸着したアンモニア吸着状態で収納される。即ちハロゲン化Ba化合物、ハロゲン化Ca化合物,ハロゲン化Sr化合物、及びハロゲン化Mn化合物から選択される何れか一種以上が、アンモニアと錯体を形成したハロゲン化金属アンミン錯体の形態で収納される。結果、SOFC101の運転状態では、その排ガスeが伝熱管21に供給され、アンモニア脱離温度まで昇温されることでアンモニアを脱離し、アンモニアをSOFC101へ燃料として供給できる。
第2アンモニア吸脱着材A2
アンモニア吸着部3には、第2アンモニア吸脱着材A2として、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が第1アンモニア吸脱着材A1の標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度より高いハロゲン化金属化合物の一例である塩化Niが収納されている。この塩化Niはアンモニアを脱離したアンモニア脱離状態(アンミン錯体とはなっていない単体)で収納されており、SOFC101の運転状態で排ガスeがアンモニア吸着部3に流入し、排ガスeにアンモニアが含まれていた場合に、アンモニアを吸着して塩化Niアンミン錯体となる。
塩化Niの標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度は180℃程度である。
以上説明してきたアンモニア吸脱着材(第1アンモニア吸脱着材A1、第2アンモニア吸脱着材A2とも)としては、粒径を特に問うものではないが、通常5μm〜100mm程度、好ましくは10μm〜30mm程度のものを使用できる。粒状だけでなく、シート状、ハニカム上に形成してもよい、また、シリカ、アルミナ、ゼオライト等の多孔体は高表面積物質に担持させて使用することもできる。
SOFCシステム
以下、SOFCシステム100の全体と、先に説明を簡略化したアンモニア脱離操作手段M1、アンモニア吸着操作手段M2の構成及び各実施形態で使用する第1アンモニア吸脱着材A1及び第2アンモニア吸脱着材A2に関して、各実施形態に即して説明する。
第1実施形態(図1)及び第2実施形態(図2)はSOFCシステム100がコジェネレーションシステムとされる例であり、第3実施形態(図3)はモノジェネレーションシステムとされる例である。
SOFCシステム100をコジェネレーションとする場合とモノジェネレーションとする場合とでは、SOFC101から排出され、アンモニア脱離部2に導入する排ガスeの温度が異なるため、各図の所定箇所に、本発明に係るSOFCシステム100の運転状態における温度を例示的に示した。
これらの図からも判明するように、コジェネレーションシステムとモノジェネレーションシステムでは、低温側排ガスe2の温度が異なる。よって、第1アンモニア吸脱着材A1として使用するアンモニア吸脱着材を異ならせている。一方、第2アンモニア吸脱着材A2は共通のアンモニア吸脱着材を使用している。
SOFCシステム100は、アンモニア吸脱着材A1が収納されるアンモニア脱離部2から供給されるアンモニアを燃料として受け入れるSOFC101と、SOFC101から排出される排ガスeが流れる排ガス路102とを備え、当該排ガス路102に、排ガスeの温度を適切な温度まで低下して前記アンモニア脱離部2に設けられた熱供給部rに供給するアンモニア脱離操作手段M1を備えて構成されている。
図には、アンモニア燃料SOFCと記載したSOFC101の中に、単セルを模式的に示している。SOFC101の単セルは良く知られているように固体電解質(固体酸化物電解質)101aを挟んで燃料極101bと空気極101cを備えて構成され、燃料極101b側に燃料を、空気極101c側に酸素含有ガス(具体的には空気)が供給されて発電する。
本発明の様にアンモニアを燃料とする電池では、アンモニアを直接燃料とする場合はアンモニアが直接燃料極101bが導かれるとともに、この燃料極101bで分解され、水素と酸素とにより発電反応が起こる。アンモニアが間接的な燃料として使用される場合は、燃料極101bに送られる前に、改質反応によりアンモニアが分解され、水素として燃料極101bに送られて発電反応が起こる。
このように燃料としてアンモニアを使用する場合、例えば発電量が急激に変化した場合等にアンモニアのスリップが発生し、排ガス中にアンモニアが含まれることがある。
〔第1実施形態〕
第1実施形態のSOFCシステム100は、SOFCの排ガスeが有する熱を湯として回収するための排熱回収回路50を備えて構成される。この排熱回収回路50は、貯湯槽51とコジェネレーション用熱交換器52との間で受熱側熱媒体(この例の場合は水w)が循環する循環路として構成され、コジェネレーション用熱交換器52で排ガスeから回収する熱を湯の形態で貯湯槽51に貯め、給湯、暖房、浴槽水の追炊き等の用に供するものである。図では熱利用側の回路を図示省略している。
排熱回収回路50には、上記目的から貯湯槽51からコジェネレーション用熱交換器52へ向かう往き路50aに熱媒体ポンプ53と放熱器54とが備えられている。従って、貯湯槽51から水を抜き出してコジェネレーション用熱交換器52へ送りながら、排熱回収を行って湯を得ることができる。
ここで、放熱器54はコジェネレーション用熱交換器52において受熱側熱媒体(この例の場合は水)により熱回収を適切な状態で行うための媒体温度の調整の目的に使用する。
以上が、コジェネレーション用熱交換器52を主体とする排熱回収側の構成であり、このコジェネレーション用熱交換器52を通過することにより給熱側熱媒体(この例の場合は排ガスe)の温度は低下する。従って、前記排ガス路102にはコジェネレーション用熱交換器52が排ガス温度低下手段として備えられることとなる。
そして、先に説明したアンモニア脱離操作手段M1は以下のように構成されている。
このコジェネレーション用熱交換器52により温度低下される前の高温側排ガスe1と、温度低下された後の低温側排ガスe2との混合により、前記アンモニア脱離温度以上に調整される混合排ガスe3を生成する脱離操作用混合排ガス生成手段Mmを備え、この脱離操作用混合排ガス生成手段Mmで生成される混合排ガスe3をアンモニア貯蔵供給装置1の前記排ガス流入口5に導く混合排ガス導入路102aを備えている。
具体的には、脱離操作用混合排ガス生成手段Mmは、高温側排ガスe1流れる高温側排ガス路102bと低温側排ガスe2が流れる低温側排ガス路102cとを備えるとともに、これら高温側排ガス路102b及び低温側排ガス路102cから流出するガスが合流する合流部102dを備え、この合流部102dで合流される高温側排ガスe2と低温側排ガスe1との量比に基づいて、混合排ガスe3の温度をアンモニア脱離温度以上としている。図1に示すように、高温側排ガスe1の温度は200℃程度、低温側排ガスe2の温度は60℃程度とされ、混合排ガスe3の温度は50〜60℃とされる。
混合排ガスe3の温度制御に関しては、アンモニア脱離部2の入口近傍温度及び出口近傍温度を検出する検出器sを設けるとともに、検出温度に基づいて、この温度を所定の目標温度とすべく構成される温度制御用コントローラTICで開度信号を発生し、高温側排ガス流路102bに備えられる開度調整可能なバルブV1の開度を調整することで、第1アンモニア吸脱着材A1からの脱離(SOFC101への燃料としてのアンモニアの供給)を良好に行うこととしている。
第1アンモニア吸脱着材A1
第1実施形態では、アンモニア脱離部2には塩化Srがアンモニアを吸着した塩化Srアンミン錯体(オクタアンミンSr塩化物)として収納される(第2実施形態において同じ)。このアンモニア錯体は標準大気圧で収納されており、SOFC101の運転に伴って、その排ガスeが伝熱管21に供給されることでアンモニアを脱離する。因みに、塩化Srの標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度は40℃程度である。
従って、混合排ガスe3の温度を50〜60℃程度とすることで、アンモニア吸着状態にある塩化Srからアンモニアを脱離させて、SOFC101へ供給することができる。
アンモニア脱離部2を通過した排ガスeは、アンモニア吸着部3に導かれる。
このアンモニア吸着部3の温度は、アンモニア脱離部2でアンモニア脱離の用に供される熱量と、先にアンモニア吸着操作手段M2として説明した放熱器(具体的には放熱ファン9)の放熱量により制御するが、アンモニア吸着部3の温度を第2アンモニア吸脱着材A2がアンモニアを吸着する温度以下とすることで、排ガス中のアンモニアを吸着除去できる。即ち、アンモニア吸着部3の温度を検出する温度センサs、温度センサs出力に基づいて空冷ファン9に運転制御情報を送る温度制御用コントローラTIC及び空冷ファン9を備え、空冷ファン9の運転によりアンモニ化吸着状態を維持している。
アンモニア吸着部3には、第2アンモニア吸脱着材A2として塩化Niが収納されている。この塩化Niのアンモニア吸着・脱離平衡温度は塩化Srのそれより高く、アンモニア吸着部3の温度(結果的に混合排ガスe3の温度)を30〜40℃程度まで低下させることで、アンモニア脱離状態にある塩化Niに排ガスe中のアンモニアを吸着させて、清浄な排ガスeを外部に放出することができる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、コジェネレーションシステムの例である第1実施形態において、アンモニア吸着操作手段M2を第1実施形態の様に独立に設けることなく、排熱回収回路50に設けられる放熱器54から送り出される受熱側熱媒体(この例の場合は水w)を、アンモニア吸着部3の冷却に利用する例である。
第1実施形態と同一の機器に関しては、同一の符号を記した。
この例ではアンモニア吸着操作手段M2の構成のみが、第1実施形態と異なる。
図2に示すように、第2実施形態では、アンモニア吸着操作手段M2を構成するに、排熱回収回路50に備えられる放熱器54を利用する。即ちこの放熱器54により保有する熱を大気放熱して低温化した受熱側熱媒体wをアンモニア吸着部3に導く低温側受熱媒体導入路91と、受熱側熱媒体wによりアンモニア吸着部3を冷却する熱交換コイル90とを備え、この熱交換コイル90で受熱後の受熱側熱媒体wを湯生成用熱交換器であるコジェネレーション用熱交換器52の受熱側熱媒体入口52aに戻す高温側受熱媒体導入路92を備えて、アンモニア吸着部3を良好に働かせることができる。
この構成では、熱交換コイル90が冷却用の熱交換部となり、排熱回収回路50に設けられる放熱器54から送り出される受熱側熱媒体(この例の場合は水w)の温度を、第1実施形態の場合より低下させるとともに、その循環量を増加して、アンモニア吸着部3でのアンモニア吸着が適切に行われるようにしている。
〔第3実施形態〕
図3に示す第3実施形態のSOFCシステム100は、SOFC101からの排ガスeからの熱回収を行わないモノジェネレーションシステムである。
従って、第1、第2実施形態のように、排熱回収用の排熱回収回路50を備えることはなく、SOFC101から排出される排ガスeが有する熱を放熱器500で大気放熱する構成としている。よって、この実施形態では、低温側排ガス路102cは、これを流れる排ガスeの温度を低下させる単なる放熱路となっており、放熱器500は排ガス温度低下手段となっている。
このモノジェネレーションシステムの例では、同図に示すように混合排ガスe3の温度は100〜130℃とする。
そこで、アンモニア脱離部2に収納する第1アンモニア吸脱着材A1としては、塩化Mnを採用している。塩化Mnのアンモニア吸着・脱離平衡温度は86℃程度であるため、混合排ガスe3の温度を100〜130℃程度としても、アンモニア吸着状態にある塩化Mnアンミン錯体からアンモニアを脱離させて、SOFC101へ供給することが可能となる。
アンモニア吸着部3の構成、当該部位に収納する第2アンモニア吸脱着材A2及びその吸着動作用のアンモニア吸着操作手段M2の構成に関しては、第1実施形態と同様である。
この実施形態でも、高温側排ガスe1が流れる高温側排ガス路102bと、低温側排ガスe2が流れる低温側排ガス路102cとを備えるとともに、これら高温側排ガス路102b及び低温側排ガス路102cから流出するガスが合流する合流部102dを備え、合流部102dで合流される高温側排ガスe1と低温側排ガスe2との量比に基づいて、混合排ガスe3の温度をアンモニア脱離温度以上とするという、第1実施形態の基本構成は踏襲している。
ただし、この実施形態では、アンモニア脱離部2の温度制御に関しては、アンモニア脱離部2の入口近傍温度及び出口近傍温度を検出する検出器sを設けるとともに、この検出器sの検出温度に基づいて、合流部102dに高温側若しくは低温側或はそれらの両方の弁開度を制御可能な流量調整型3方弁V2を設けて、高温側排ガスe1,低温側排ガスe2の流量比を調整し、混合排ガスe3の温度を調整している。
この様な構成でも脱離操作用混合排ガス生成手段Mmを構成することができる。
〔別実施形態〕
(1) 上記の実施形態にあっては、アンモニア貯蔵供給装置から燃料として供給するアンモニアの供給先がSOFCである例を示したが、アンモニアを直接又は間接的に燃料とするシステムで、アンモニアのすり抜けが考えられるシステムであれば任意のシステムに本発明に係るアンモニア貯蔵供給装置は使用できる。
例えば、アンモニアを水素に改質して発電を行う燃料電池、水素を燃料とするエンジン等にも採用可能である。
(2) 上記の実施形態にあっては、アンモニア脱離部を構成するのにシェルアンドチューブ型の熱交換構造を採用したが、熱供給媒体による温度制御を熱供給媒体と第1アンモニア吸脱着材との接触なく起せればよいため、アンモニア貯蔵部としてのアンモニア脱離部の構造としては、プレート型等任意の熱交換器の構造を採用できる。
(3) 上記の実施形態では、アンモニア貯蔵供給装置1のアンモニア脱離部、アンモニア吸着部を同一の筐体内に収納して構成したが、アンモニア脱離部とアンモニア吸着部とを別体として構成し、アンモニア脱離部ではアンモニア脱離のために熱供給媒体の熱を利用し、熱供給媒体内に含まれるアンモニアをアンモニア吸着部で吸着除去する構成を採用してもよい。
(4) 上記の実施形態にあっては、第1アンモニア吸脱着材A1、第2アンモニア吸脱着材A2の組み合わせの例として、第1アンモニア吸脱着材A1として、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が40℃以上130℃以下であるハロゲン化金属化合物を、第2アンモニア吸脱着材A2として、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が第1アンモニア吸脱着材A1より高いハロゲン化金属化合物の組み合わせを採用する例を示したが、このような組み合わせは、両者の関係において、第2アンモニア吸脱着材A2のアンモニア吸着・脱離平衡温度が、第1アンモニア吸脱着材A1のアンモニア吸着・脱離平衡温度より高くなっていれば、同一温度環境下において前者A1が脱離性能を後者A2が吸着性能を発揮することとなるため、採用可能となる。
これまで説明してきた実施形態のように、アンモニア脱離操作手段M1を備えてアンモニア脱離部2の温度を比較的高く積極的に管理し、アンモニア吸着操作手段M2を備えて、アンモニア吸着部3の温度を比較的低く管理できる場合はなおさらである。
標準大気圧下において、130℃を基準にアンモニア吸脱着材の組み合わせとする場合は、第1アンモニア吸脱着材A1を、ハロゲン化Ba化合物、ハロゲン化Ca化合物,ハロゲン化Sr化合物、及びハロゲン化Mn化合物から選択される何れか一種以上とでき、第2アンモニア吸脱着材A2がハロゲン化Co化合物、ハロゲン化Mg化合物、及びハロゲン化Ni化合物から選択される何れか一種以上とできる。
また、標準大気圧下において、100℃を基準にアンモニア吸脱着材の組み合わせとする場合も、第1アンモニア吸脱着材A1と第2アンモニア吸脱着材A2との組み合わせは上記と同様となる。
ちなみに、ハロゲン化金属化合物が塩化物である場合について、アンモニアの配位反応に関して説明しておくと、塩化Ba,塩化Ca,塩化Srでは50〜60℃程度でアンモニアの脱離を始め、塩化Mnの標準大気圧におけるアンモニア吸着・脱離平衡温度(アンモニアの配位反応平衡温度)は86℃であり、塩化Coは135℃、塩化Mgが140℃、塩化Niが180℃である。
(5) 混合排ガスの温度を制御する混合排ガス温度制御手段の構成としては、SOFC101に要求される発電量に対応して必要となるアンモニア燃料量に応じて、SOFC101にアンモニア燃料を供給するアンモニア燃料供給量制御装置(マスフローコントローラ)を備え、このアンモニア燃料供給量制御装置から供給するアンモニア燃料量に応じて、混合排ガスの温度を制御するように、混合排ガス温度制御手段を構成してもよい。
(6) コジェネレーションシステムである第1実施形態と、モノジェネレーションシステムである第3実施形態とに関して、前者のシステムでは、排ガス温度低下手段として、高温側排ガスが保有する熱を受熱して湯を得るコジェネレーション用熱交換器(湯生成用熱交換器の一例)を使用し、後者のシステムでは、排ガス温度低下手段として、高温側排ガスが保有する熱を大気放熱させる放熱器(放熱熱交換器の一例)を使用する例を示したが、本発明に係るSOFCシステムにおいて、前者の湯生成用熱交換器と、後者の放熱器のシステムにおける位置は実質同一であるため、これら湯生成用熱交換器と放熱熱交換器とを交換可能としておくことが好ましい。
この構成を採用しておくことで、両者を交換することで、コジェネレーションシステムと、モノジェネレーションシステムとの切換を容易に行うことが可能となる。
例えばアンモニアを直接もしくは間接的に燃料として使用する固体酸化物形燃料電池にも採用することができるアンモニアの貯蔵・供給装置を提供できた。さらに、アンモニア供給先であるシステムから排気されることがあるアンモニアを、過大なエネルギー消費を伴うことなく可能となった。
1 アンモニア貯蔵供給装置
2 アンモニア脱離部(アンモニア貯蔵部)
3 アンモニア吸着部
4 アンモニア送出口
5 排ガス流入口
6 処理済み排ガス流出口
7 分配室
9 冷却ファン(放熱器)
10 筐体
20 外円筒
21 伝熱管
50 排熱回収回路
50a 往き路
51 貯湯槽
52 コジェネレーション用熱交換器(湯生成用熱交換器:排ガス温度低下手段)
53 熱媒体ポンプ
54 放熱器
90 熱交換コイル(熱交換部)
91 低温側受熱媒体導入路
92 高温側受熱媒体導入路
100 固体酸化物形燃料電池システム(SOFCシステム)
101 固体酸化物形燃料電池(SOFC)
102 排ガス路
102a 混合排ガス路
102b 高温側排ガス路
102c 低温側排ガス路
102d 合流部
500 放熱器(排ガス温度低下手段)
A1 第1アンモニア吸脱着材
A2 第2アンモニア吸脱着材
M1 アンモニア脱離操作手段
M2 アンモニア吸着操作手段
Mm 脱離操作用混合排ガス生成手段
R アンモニア吸脱着材収納室
TIC 温度制御用コントローラ
V1 バルブ
V2 3方弁
e 排ガス
e1 高温側排ガス
e2 低温側排ガス
e3 混合排ガス
e4 処理済み排ガス
r 熱供給部
s 検出器

Claims (8)

  1. アンモニア吸着温度でアンモニアを吸着したアンモニア吸着状態に維持され、前記アンモニア吸着温度より高いアンモニア脱離温度で吸着したアンモニアを脱離してアンモニア脱離状態となるアンモニア吸脱着材が収納されて成るアンモニア貯蔵部と、
    前記アンモニア吸着状態にあるアンモニア吸脱着材からアンモニアを脱離させるアンモニア脱離操作手段を備えたアンモニア貯蔵供給装置であって、
    前記アンモニア吸着状態から前記アンモニア脱離状態とされる第1アンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア脱離部を前記アンモニア貯蔵部として備え、
    標準大気圧状態で前記第1アンモニア吸脱着材よりアンモニア吸着・脱離平衡温度が高い第2アンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア吸着部を備え、
    前記アンモニア貯蔵部の温度を前記第1アンモニア吸脱着材のアンモニア脱離温度以上とする熱供給媒体が独立して流れる熱供給部を備え、
    前記アンモニア脱離操作手段の働きにより、前記熱供給部に前記熱供給媒体を供給して前記アンモニア脱離部を前記第1アンモニア吸脱着材のアンモニア脱離温度以上とするとともに、前記熱供給部を通過した前記熱供給媒体が、前記アンモニア吸着部内を流動して外部に放出される構成で、
    前記アンモニア吸着部の温度が前記第2アンモニア吸脱着材のアンモニア吸着温度以下に維持され、前記熱供給媒体に含まれることがあるアンモニアを前記第2アンモニア吸脱着材が吸着するアンモニア貯蔵供給装置。
  2. 前記第1アンモニア吸脱着材が、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が40℃以上130℃以下であるハロゲン化金属化合物であり、
    前記第2アンモニア吸脱着材が、標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度が前記第1アンモニア吸脱着材の標準大気圧でのアンモニア吸着・脱離平衡温度より高いハロゲン化金属化合物である請求項1記載のアンモニア貯蔵供給装置。
  3. 前記第1アンモニア吸脱着材が、ハロゲン化Ba化合物、ハロゲン化Ca化合物,ハロゲン化Sr化合物、ハロゲン化Mn化合物から選択される何れか一種以上である請求項1又は2記載のアンモニア貯蔵供給装置。
  4. 前記第2アンモニア吸脱着材がハロゲン化Co化合物、ハロゲン化Mg化合物、ハロゲン化Ni化合物から選択される何れか一種以上である請求項1〜3の何れか一項記載のアンモニア貯蔵供給装置。
  5. 前記熱供給部を通過した前記熱供給媒体の温度を前記第2アンモニア吸脱着材のアンモニア吸着温度以下とするアンモニア吸着操作手段を備えた請求項1〜4の何れか一項記載のアンモニア貯蔵供給装置。
  6. 前記アンモニア脱離操作手段の働きにより、前記第1アンモニア吸脱着材から脱離されるアンモニアの供給先が固体酸化物形燃料電池であり、
    当該固体酸化物形燃料電池から排出される排ガスが、アンモニアを含有することがある前記熱供給媒体である請求項1〜5の何れか一項記載のアンモニア貯蔵供給装置。
  7. 前記アンモニア脱離操作手段に、前記熱供給媒体から熱を受熱して湯を得る湯生成用熱交換器あるいは、前記熱供給媒体が保有する熱を大気放出する放熱器を備え、
    前記固体酸化物形燃料電池から排出される排ガスの温度が前記湯生成用熱交換器あるいは前記放熱器により低下されて、当該排ガスが前記熱供給部に導入される請求項6記載のアンモニア貯蔵供給装置。
  8. アンモニア吸着温度でアンモニアを吸着したアンモニア吸着状態に維持され、前記アンモニア吸着温度より高いアンモニア脱離温度で吸着したアンモニアを脱離してアンモニア脱離状態となるアンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア貯蔵部を備えたアンモニア燃料タンクであって、
    前記アンモニア吸着状態の第1アンモニア吸脱着材が収納されるアンモニア脱離部を前記アンモニア貯蔵部として備え、
    標準大気圧状態で前記第1アンモニア吸脱着材よりアンモニア吸着・脱離平衡温度が高い第2アンモニア吸脱着材が前記アンモニア脱離状態で収納されるアンモニア吸着部を備え、
    前記アンモニア脱離部の温度を前記第1アンモニア吸脱着材のアンモニア脱離温度以上とする熱供給媒体が独立して流れる熱供給部を備え、
    前記熱供給部を通過した前記熱供給媒体が、前記アンモニア吸着部内を流動して外部に放出されるアンモニア燃料タンク。
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