JP6622467B2 - 靴底構造及び靴 - Google Patents

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Description

本発明は靴底構造及び靴に関し、詳しくは、歩行時のあおり動作を安定且つ円滑に行うことができる靴底構造及び靴に関する。
歩行時やランニング時の足は、接地から前方への蹴り出しまでの間に体重移動を円滑に行うあおり動作を行っている。具体的には、図10に示すように、踵が地面に接地した状態(HC:ヒールコンタクト)、足裏全体が地面に接地した状態(FF:フットフラット)、足裏全面に全体重がかかった状態(MS:ミッドスタンス)、踵が地面から離れ、前足部に体重がかかった状態(HO:ヒールオフ)、蹴り出したつま先が地面から離れた状態(TO:トウオフ)を流れるように繰り返している。
このあおり動作時、体の重心は、図11中の太実線で示すように、踵が接地した後、後足部の外側(小指側)を通り、さらに中足部及び前足部の外側から前足部の内側(母指側)を通り、最終的に母指に至るようにカーブを描きながら滑らかに移動する。このとき、接地時(HC)には踵100に最も荷重が掛かり、その後、前足部の外側から内側に向かって体重移動する際(FF〜MS)に小指球200に荷重が掛かり、さらにその後、前足部の内側から母指に向かって体重移動する際(HO)に母指球300に荷重が掛かる。このため、歩行時やランニング時には、あおり動作が繰り返されることにより、足裏の踵100、小指球200及び母指球300の各部位及びその近傍に周期的に荷重が掛かる。
従来、接地時の衝撃から足を保護するために、クッション機能を持たせた靴が特許文献1、2により提案されている。
特許文献1には、可撓性を有する材料からなる靴の踵部内に流体充填袋を設け、接地時の足の踵領域にクッション作用を与えることが記載されている。流体充填袋の下面は弾性ベースによって支持されており、この弾性ベースの下方には、靴底材料が取り除かれることによってくぼみが形成されている。このくぼみにより、接地時に流体充填袋を介して上から加わる力に応答して弾性ベースが下向きに撓むことができるようにし、接地時のクッション効果を更に高めるようにしている。
特許文献2には、靴のミッドソール部材の踵部に凹部を形成し、この凹部内に、小弾性体及び気体を封入したクッション体を収容することによって、靴に衝撃緩和機能を持たせることが記載されている。
従って、あおり動作時に荷重がかかる踵、母指球及び小指球のうちの少なくとも何れかに対応する靴底の部位に、特許文献1、2に記載のように、クッション効果を付与する袋体やクッション体を設けることにより、あおり動作時に足に掛かる衝撃を緩和できると考えられる。
特開平6−296504号公報 特開平8−107803号公報
しかし、このような袋体やクッション体は、荷重が掛かった際に内部の流体等が圧縮されることによって衝撃を緩和する機能はあるものの、反発力に乏しいために足裏は体重によって袋体やクッション体側に沈み込んだままとなって、次のあおり動作に移行する際に体重移動が円滑に行われにくい問題がある。
また、足裏が沈み込んだ状態から次のあおり動作に移行しなくてはならないため、靴の中で足がぐらついて安定し難く、足が安定した状態で一連のあおり動作を行い難いという問題もある。
そこで、本発明は単にクッション性を有するだけでなく、歩行時やランニング時の着用者の体重移動を安定した状態で円滑に行うことができるようにすることにより、円滑なあおり動作を促進できる靴底構造及び靴を提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
上記課題は以下の各発明によって解決される。
1.熱可塑性樹脂製の線条体を用いて形成された布状体を複数枚積層し、加熱及び圧縮することによって形成された積層体からなる中底と、
着用者の足裏の踵、母指球及び小指球のうちの少なくとも何れかに対応する前記中底の部位の下面側に配置され、前記中底が接地時の荷重負荷によって下方に撓むと共に元の状態に弾性復帰する変形動作を許容する変形許容部とを有し、
前記変形許容部は、前記中底の下面側の靴底部材に設けられた空洞部であり、
前記中底の下面は、前記空洞部の上壁面を形成し、
前記空洞部は有底状に形成され、
前記空洞部内に、前記中底が撓んだ際に接触して共に撓むと共に、前記中底が元の状態に弾性復帰する際に弾性的に復元して該中底の復帰動作を補助する軟質弾性材が収容されていることを特徴とする靴底構造。
.前記靴底部材は、前記中底の下面に接するように配置される軟質弾性材層を有し、
前記空洞部は、前記軟質弾性材層に形成されていることを特徴とする請求項記載の靴底構造。
3.前記靴底部材は、前記軟質弾性材層の下面に、該軟質弾性材層よりも硬質な硬質材層が積層されていることを特徴とする請求項記載の靴底構造。
.請求項1、2又は3記載の靴底構造を備えた靴。
本発明によれば、単にクッション性を有するだけでなく、歩行時やランニング時の着用者の体重移動を安定した状態で円滑に行うことができることにより、円滑なあおり動作を促進できる靴底構造及び靴を提供することができる。
本発明に係る靴底構造を一例を示す靴の分解斜視図 図1に示す靴の踵部の断面図 図1に示す中底の平面図及び側面図 (a)は靴における中敷き、中底及び本底のみを踵側から見た接地前の状態を示す説明図、(b)は接地時の状態を示す説明図 靴における中底及び本底のみを踵側から見た拡大説明図で、(a)は中底に荷重が掛かった状態を示す説明図、(b)は中底が弾性復帰する状態を示す説明図 本発明に係る靴底構造の他の一例を示す靴の分解斜視図 図6に示す靴の中底の平面図 (a)(b)はそれぞれ変形許容部の他の一例を示す断面図 (a)中底の他の一例を示す平面図、(b)は(a)中のb−b線に沿う断面図 あおり動作を説明する説明図 あおり動作時の体重移動を説明する説明図
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る靴底構造の一例を示す靴の分解斜視図、図2は、図1に示す靴の踵部の断面図である。
本実施形態に示す靴1は、図1中の上から順に、甲革2、中敷き3、中底4、コバ5、本底6、ヒール部7によって構成されている。中敷き3と中底4は甲革2の内側に配置されている。
本底6は、本発明における靴底部材であり、上から順に軟質弾性材層61と硬質材層62の2つの層によって構成されている。軟質弾性材層61は、発泡ウレタン樹脂等の弾力性を有する軟質弾性材によって形成されている。硬質材層62は、軟質弾性材層61よりも硬質な硬質材からなる層であり、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという。)等によって形成されている。
ヒール部7は本底6の下面のうちの踵部領域に設けられている。このヒール部7も本発明における靴底部材を構成している。本実施形態に示すヒール部7は複数の層でも単層でも良く、好ましくは複数の層によって構成されている。具体的には、上から順に、発泡ウレタン樹脂等の弾力性を有する軟質弾性材からなる第1ヒール層71と、同じく軟質弾性材からなる第2ヒール層72と、EVA等からなる比較的硬質な弾性材よりなる第3ヒール層73と、第3ヒール層73より更に硬質な硬質EVA等から形成された化粧板層74とを有している。
本底6には、着用者の踵に対応する中底4の部位の下面側に変形許容部8が形成されている。変形許容部8は、中底4に着用者の踵の荷重が掛かった際に、踵に対応する中底4の部位が下方に撓み変形すると共に、該撓み変形した中底4が元の状態に弾性復帰する変形動作を許容する空隙を形成する部位である。
本実施形態に示す変形許容部8は、中底4が変形動作した際に、中底4が下方へ撓んだ部位を受け入れることができるように本底6に形成された空洞部によって構成されている。具体的には、本底6の最上層である軟質弾性材層61に、着用者の踵100の踵骨101(図4参照)の直下に対応する部位を所定の大きさで貫通するように中抜きされた第1貫通孔部81が形成されている。また、軟質弾性材層61の下面に積層されている硬質材層62にも、上記第1貫通孔部81に対応する部位を所定の大きさで貫通するように中抜きされることにより、該第1貫通孔部81に連通する第2貫通孔部82が形成されている。
そして、軟質弾性材層61と硬質材層62が上下に積層一体化されて本底6が形成されることにより、第1貫通孔部81と第2貫通孔部82とが上下に連通し、全体で軟質弾性材層61から硬質材層62に亘って貫通する深さの1つの空洞部からなる変形許容部8が構成されている。中底4の下面は変形許容部8の上壁面を形成し、ヒール部7の第1ヒール層71は変形許容部8の下壁面を形成している。
変形許容部8の大きさ及び形状は、靴1のサイズに応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、一例を挙げれば直径1.5cm〜4.0cmの円形状とすることができる。第1貫通孔部81と第2貫通孔部82とで径が異なっていてもよい。
変形許容部8の深さは、本実施形態では本底6(軟質弾性材層61と硬質材層62)の厚み分の深さで形成されているが、中底4の厚みによって撓み変形の程度が異なるため、変形許容部8の深さは、中底4の厚みに応じて適宜設定することができる。例えば、一般に中底4の厚みは0.5mm〜2.0mmとすることができ、変形許容部8の深さ(第1貫通孔部81の深さ+第2貫通孔部82の深さ)は3.0mm〜10.0mmとすることができる。
変形許容部8の深さは、本底6の軟質弾性材層61と硬質材層62の厚みを適宜調節することによって設定することができる。しかし、変形許容部8は、本実施形態に示すように本底6の軟質弾性材層61と硬質材層62とを貫通する態様に限らない。例えば、変形許容部8は、硬質材層62を貫通せず、硬質材層62の厚み方向の中途部までの深さで形成されるものでもよい。また、軟質弾性材層61を貫通せず、該軟質弾性材層61の上面から所定の深さで形成されるだけでもよい。
次に、中底4の一例について図3に示す。図3は、中底4の平面図及び側面図を示している。
中底4は、前足部(つま先部)4A、中足部(土踏まず部)4B、後足部(踵部)4Cが一体に形成されたシート状の積層体によって形成されている。具体的には、この積層体は、熱可塑性樹脂の線条体41、42を用いて形成された布状体40を複数枚積層し、この積層物を加熱及び圧縮することによって一体化されて形成されている。中足部4Bの下面側(靴底側)には、中底4を構成する上記の積層体と同一の積層体又は他の部材によって形成されたシャンク43が接着されている。
このような積層体は、自己強化高分子複合材料(Self Reinforced Plastics:SRP)と称され、接着成分と強化繊維が同種の樹脂成分から形成された繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)である。同種の樹脂成分とは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなど、同種の成分から構成された樹脂を指す。
本発明者は、この積層体は屈曲性が良好でありながらも、剛性が高く、撓んだ状態からの戻りが早く、戻り弾性が高い性質があることを見出した。そして、この積層体によって形成された中底4における荷重が掛かる部位の下面側に変形許容部8を配置することにより、着用者の足の荷重が掛かった際、単に足裏の直下が下方に撓んで衝撃を緩和するクッション効果が得られるだけでなく、中底4が発揮する高い戻り弾性によって、撓んだ状態から元の状態に迅速に弾性復帰するサスペンション効果を発揮し、次のあおり動作のための体重移動を迅速に行うことができるようになること、及び、靴1の中の踵の位置も安定化することがわかった。
この作用及び効果について図4及び図5を参照してさらに説明する。
図4は、靴1における中敷き3、中底4及び本底6のみを踵側から見た説明図であり、(a)は接地前の状態、(b)は接地時の状態を示している。図5は、靴1における中底4及び本底6のみを踵側から見た説明図である。
図4(a)に示す接地前の状態では、中敷き3、中底4及び本底6には着用者の踵100の荷重がほとんど掛かっておらず、中底4に撓みは生じていない。この状態から接地すると、図4(b)に示すように、中敷き3を介して着用者の踵100の荷重が、中底4に白矢印に示すごとく掛かる。このとき、中敷き3及び中底4には、踵100の踵骨101の直下に荷重が集中するが、踵骨101直下の中底4の下には、変形許容部8が形成されているため、踵100の荷重を面で受けた中底4が変形許容部8に向けて撓む。そして、使用者の踵100の荷重は中底4、軟質弾性材層61を介し下方にあるヒール部7に伝達される。
このとき、変形許容部8以外の中底4の部分では、軟質弾性材層61の弾性力と中底4の撓みにより、踵100からの荷重を分担する。しかし、変形許容部8の部分の中底4は、この軟質弾性材層61を有しないことより、変形許容部8の部分の中底4は、図5(a)の点線位置から撓み変形が部分的に大きくなる。
したがって、着用者の踵100の荷重は、軟質弾性材層61の弾性力に加えて、上述した中底4の全体としての撓みと部分的な撓み変形によるクッション作用とによって接地時に踵100に掛かる衝撃が緩和される。
また、踵100の踵骨101の部位は、変形許容部8の内部に向けて変形した中底4の窪みに嵌まり込むような形になり、中底4及び中敷き3によって、下から包み込まれるように保持される。その結果、接地時における靴1の中の足、特に踵100の位置がぐらつくことなく、安定化する。
さらに接地後は、あおり動作によって体重が踵100から前足側に移動し始め、踵100が上方に持ち上がろうとする(図10のFF〜MS)。このとき、踵100の荷重によって変形許容部8に向けて撓んでいた中底4が、自身の高い戻り弾性を発揮し、図5(b)に示すように、撓んだ状態(一点鎖線で示す)から元の平坦な状態に、迅速に弾性復帰する。すなわち、着用者の踵100の荷重によって中底4に加えられた下向きの圧が、軟質弾性材層61の弾性力に加えて、上述した中底4の全体としての撓みと部分的な撓み変形の戻り弾性として発揮し、踵100を垂直方向に持ち上げる上向きの力に変換される。
この中底4の復帰動作により、踵100は位置がぐらつくことなく安定した状態のまま中敷き3を介して上方に自然に押し上げられ、図4(a)に示す元の状態に復帰し、次のあおり動作(図10のHO)に移行するための円滑な体重移動が可能となる。これにより、踵100が安定した状態で歩行時やランニング時の円滑なあおり動作が促進される。
よって、この靴底構造及び靴1によれば、単に接地時のクッション性を発揮するだけでなく、着用者の足が安定した状態で、歩行時やランニング時の着用者の体重移動を円滑にしてあおり動作を促進できる優れた効果が得られる。
次に、軟質弾性材層61の上面は、中底4の下面に接し、さらに下面は、硬質材層62が配置されており、中底4が下方に撓み変形するのに伴って、硬質材層62との間で軟質弾性材層61が圧縮変形する。このとき、軟質弾性材層61の変形許容部8に近接する部分では、軟質弾性材層61自身も圧縮変形しながら中底4の撓み変形に円滑に追随する。そして、接地時に中底4に掛かる荷重を、変形許容部8の周囲の軟質弾性材層61に分散させるように機能する。したがって、変形許容部8の部分の中底4は、急激な過度の撓み変形を防止した変形となる。このため、変形許容部8の部分の中底4の変形は、踵の部位にフィットした変形となり、着用者に違和感を与えることなく、接地時の靴1の中の足の位置を安定化させることができる。
変形許容部8の内部には、中底4の下面との間に間隙をあけて、軟質弾性材からなるクッション部材9が収容されている。クッション部材9は、中底4が大きく撓んだ際に中底4の下面を弾性的に支持すると共に、クッション部材9の反発力が中底4の弾性復帰を補助することで、中底4の円滑な復帰動作をサポートすることができるために好ましく設けられる。
クッション部材9としては、本底6の軟質弾性材層61と同様に、発泡ウレタン樹脂等の弾力性を有する部材を用いることができる。軟質弾性材層61に第1貫通孔部81を中抜きした際に出た端材をそのまま使用すれば、材料の節約になるために好ましい。本実施形態におけるクッション部材9は、硬質材層62に形成された第2貫通孔部82内に納まるように収容されているが、第1貫通孔部81に差し掛かる程度であってもよい。但し、中底4の下面とクッション部材9との間に、3mm〜5mm程度の間隙を設けることにより、中底4が下方に撓み始める際の変形動作をクッション部材9が阻害しないようにすることが好ましい。
次に、中底4を構成している積層体の具体的な構成について説明する。
積層体は、図3に示すように、熱可塑性樹脂を延伸して得られた線条体41、42を用いて形成された布状体40を複数枚積層し、この積層物を加熱及び圧縮することによって一体化されて形成されている。加熱及び圧縮は、線条体41、42の一部分が溶融するように行うことが好ましい。
ここで、線条体41、42としては、布状体40を形成し得るものであれば任意であり、例えばテープ、ヤーン、スプリットヤーン、モノフィラメント、マルチフィラメント等を用いることができる。これら線条体41、42は必要に応じて撚糸されるが、テープ、ヤーン等の扁平な線条体とすることが好ましく、特にテープ状線条体であるフラットヤーンを使用することが好ましい。
なお、線条体41、42には、例えば金属イオン系等の無機抗菌剤、有機抗菌剤等を初めとして、靴に使用するに際して適した各種の添加剤を添加することができる。
布状体40は、線条体41、42を用いて形成されたシート状体である。布状体40としては、線条体41、42を図3に示すように経糸及び緯糸に使用して織成された織布が一般的であるが、多数の線条体を一方向に並設し、その上に任意の角度方向に交差するように多数の線条体を並設して、その交点をホットメルト剤等の接着剤を用いて、あるいは熱融着によって接合した交差結合布(ソフ)とすることもでき、あるいは多数の線条体を一方向に並設し、その上に任意の角度方向に交差するように多数の線条体を並設して、ステッチング糸で連結した多軸繊維基材とすることもでき、また、編物とすることもできる。
積層体は、布状体40を複数枚積層し、これを線条体の一部分が溶融するように加熱圧縮することによって一体化されて形成されている。その具体的な製法は布状体40の厚み等によって異なり、特に限定されるものではないが、一例として、重ねた布状体40を、油圧プレス機、ロールプレス機、ダブルベルトプレス機等の圧力手段により、0.5MPa〜30MPaの圧力下で、数秒〜20分の圧縮時間をかけて熱圧着し、次いで、10〜60℃に冷却する方法が挙げられる。各布状体40間には、布状体40同士の接着のために熱可塑性樹脂フィルムを介在させてもよい。
このようにして形成された積層体は、所望のサイズ及び所望の形状に合わせて裁断されることにより中底4とされる。裁断後は、足裏の表面形状に合わせて湾曲するように形付けしてもよい。最終的に得られる中底4の厚みとしては、0.5mm〜2.0mmとすることが好ましい。これよりも薄くなると、中底4による戻り弾性の効果が得られにくくなり、厚くなると靴1に剛直感が出てきてクッション性が低下するようになり、また履き心地も低下するようになる。
中底4の片面又は両面には、本底6等との接着性を良好にするため、不織布、クレープ紙又はパルプ紙を貼り合わせるようにしてもよい。また、同様の目的で、中底4の片面又は両面を研摩等によって粗面加工してもよい。
図6は、本発明に係る靴底構造の他の一例を示す靴の分解斜視図、図7は、図6に示す靴の中底の平面図である。図1〜図3と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、これらの説明は図1〜図3における上記説明を援用し、ここでは省略する。
この靴10は、本底6が、ミッドソール63とアウトソール64によって構成されており、このうちのミッドソール63の上面に中底4が配置されている。
ミッドソール63は、軟質弾性材層であり、例えばEVA、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)等の発泡合成樹脂によって形成されている。アウトソール64は、ミッドソール63よりも硬質な硬質材層であり、例えばゴム等の耐摩耗性、防滑性を有する素材によって形成されている。
本実施形態において、ミッドソール63には、着用者の足裏の踵に対応する中底4の部位の下面側に位置して変形許容部8Aが形成され、着用者の足裏の小指球に対応する中底4の部位の下面側に位置して変形許容部8Bが形成され、さらに、着用者の足裏の母指球に対応する中底4の部位の下面側に位置して変形許容部8Cが形成されている。
各変形許容部8A、8B、8Cは、それぞれミッドソール63の上面から所定の深さで形成されており、中底4の下面側に空洞部を構成している。各変形許容部8A、8B、8Cの大きさや深さは、上述した変形許容部8の説明を援用することができる。
この靴底構造及び靴10によれば、着用者の足裏の踵、小指球及び母指球に対応する中底4の部位に変形許容部8A、8B、8Cがそれぞれ配置されているので、図11中の太実線で示す体重移動の際に荷重が掛かる踵100、小指球200及び母指球300の各部位において、上述した変形許容部8と同様、中底4を下方に向けて撓み変形させ、さらに中底4自身の高い戻り弾性によって元の状態に弾性復帰するように変形させることができる。
従って、踵100、小指球200及び母指球300の各部位で中底4を下方に撓ませる下向きの圧が、中底4の弾性復帰によって足裏を垂直方向に持ち上げる上向きの力に変換されるため、クッション効果を有することはもちろんのこと、靴1の中の足が安定した状態でより円滑な体重移動が可能となり、あおり動作を一層円滑に行うことができるようになる。
また、中底4は、荷重が掛かる足裏の踵100、小指球200及び母指球300の各部位に配置された変形許容部8A、8B、8Cによって撓み変形することができるため、着用者の足裏に与える中底4の硬質感を緩和する効果も得られる。
あおり動作時の体重移動を円滑にし、あおり動作を促進する観点からは、図6、図7に示したように、荷重が掛かる足裏の踵100、小指球200及び母指球300に対応する中底4の各部位にそれぞれ変形許容部8A、8B、8Cを配置させることが最も好ましいといえるが、踵100、小指球200及び母指球300に対応する中底4の各部位のうちの少なくとも何れか1つの部位に変形許容部を配置させれば、上述した中底4の撓み及び弾性復帰によるあおり動作の促進効果を得ることができる。
また、以上説明した変形許容部8、8A、8B、8Cは、中底4の下面が変形許容部8、8A、8B、8Cの上壁面を形成するように、該中底4の下面に直に接するように形成したが、図8(a)に示すように、中底4の下面と変形許容部8との間に、中底4の変形動作を阻害しない程度に靴底部材が介在されていてもよい。図8(a)の例では、図1、図2に示した本底6のうちの軟質弾性材層61の下面側から1mm〜2mm程度の薄肉部61aを残して第1貫通孔部81が凹設されることにより、中底4の下面と変形許容部8との間に薄肉部61aが介在されている。
さらに、変形許容部は密閉状に形成されるものに限らず、外部に開放するように形成されるものであってもよい。図8(b)の例では、図1、図2に示した本底6からヒール部7に亘って貫通するように変形許容部8を形成している。この場合、ヒール部7の下面から中底4の下面が見える形となっている。
これら図8(a)(b)に示した構成は、変形許容部8A、8B、8Cにも同様に適用することができる。
以上説明した中底4は、中足部4Bにシャンク43を接着したものを例示したが、図9(a)(b)に示すように、中底4の中足部4Bに、長さ方向に延びる適宜数のリブ44を一体にプレス成形することによってシャンクと同様の機能を付与するようにしてもよい。別部材のシャンクを接着する必要がないため、製造工程数及び製造コストを削減することができる。
本発明に係る靴底構造が適用される靴は、紳士靴、ウォーキングシューズ、ランニングシューズ以外にも適用できる。すなわち、本発明に係る靴底構造は、例えばハイヒール、パンプス等の婦人靴にも同様に適用できる。
1、10:靴
2:甲革
3:中敷き
4:中底
40:布状体
41、42:線条体
43:シャンク
44:リブ
5:コバ
6:本底
61:第1の層
62:第2の層
63:ミッドソール
64:アウトソール
7:ヒール部
71:第1ヒール層
72:第2ヒール層
73:第3ヒール層
74:化粧板層
8、8A、8B、8C:変形許容部
81:第1貫通孔部
82:第2貫通孔部
9:クッション部材
100:踵
101:踵骨
200:小指球
300:母指球

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂製の線条体を用いて形成された布状体を複数枚積層し、加熱及び圧縮することによって形成された積層体からなる中底と、
    着用者の足裏の踵、母指球及び小指球のうちの少なくとも何れかに対応する前記中底の部位の下面側に配置され、前記中底が接地時の荷重負荷によって下方に撓むと共に元の状態に弾性復帰する変形動作を許容する変形許容部とを有し、
    前記変形許容部は、前記中底の下面側の靴底部材に設けられた空洞部であり、
    前記中底の下面は、前記空洞部の上壁面を形成し、
    前記空洞部は有底状に形成され、
    前記空洞部内に、前記中底が撓んだ際に接触して共に撓むと共に、前記中底が元の状態に弾性復帰する際に弾性的に復元して該中底の復帰動作を補助する軟質弾性材が収容され、
    前記靴底部材は、前記中底の下面に接するように配置される軟質弾性材層を有し、
    前記空洞部は、前記軟質弾性材層に形成され、
    前記靴底部材は、前記軟質弾性材層の下面に、該軟質弾性材層よりも硬質な硬質材層が積層されていることを特徴とする靴底構造。
  2. 請求項記載の靴底構造を備えた靴。
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