JP6622219B2 - ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造 - Google Patents

ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造 Download PDF

Info

Publication number
JP6622219B2
JP6622219B2 JP2016566602A JP2016566602A JP6622219B2 JP 6622219 B2 JP6622219 B2 JP 6622219B2 JP 2016566602 A JP2016566602 A JP 2016566602A JP 2016566602 A JP2016566602 A JP 2016566602A JP 6622219 B2 JP6622219 B2 JP 6622219B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refiner
sel
pulp
plate
refining
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016566602A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017515007A (ja
Inventor
エイ. ビロドー,マイケル
エイ. ビロドー,マイケル
エイ. パラディ,マーク
エイ. パラディ,マーク
Original Assignee
ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ
ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ, ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ filed Critical ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ
Publication of JP2017515007A publication Critical patent/JP2017515007A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6622219B2 publication Critical patent/JP6622219B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21DTREATMENT OF THE MATERIALS BEFORE PASSING TO THE PAPER-MAKING MACHINE
    • D21D1/00Methods of beating or refining; Beaters of the Hollander type
    • D21D1/20Methods of refining
    • D21D1/30Disc mills
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21CPRODUCTION OF CELLULOSE BY REMOVING NON-CELLULOSE SUBSTANCES FROM CELLULOSE-CONTAINING MATERIALS; REGENERATION OF PULPING LIQUORS; APPARATUS THEREFOR
    • D21C9/00After-treatment of cellulose pulp, e.g. of wood pulp, or cotton linters ; Treatment of dilute or dewatered pulp or process improvement taking place after obtaining the raw cellulosic material and not provided for elsewhere
    • D21C9/001Modification of pulp properties
    • D21C9/007Modification of pulp properties by mechanical or physical means
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21DTREATMENT OF THE MATERIALS BEFORE PASSING TO THE PAPER-MAKING MACHINE
    • D21D1/00Methods of beating or refining; Beaters of the Hollander type
    • D21D1/20Methods of refining
    • D21D1/30Disc mills
    • D21D1/303Double disc mills
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21DTREATMENT OF THE MATERIALS BEFORE PASSING TO THE PAPER-MAKING MACHINE
    • D21D1/00Methods of beating or refining; Beaters of the Hollander type
    • D21D1/20Methods of refining
    • D21D1/30Disc mills
    • D21D1/306Discs
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21HPULP COMPOSITIONS; PREPARATION THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASSES D21C OR D21D; IMPREGNATING OR COATING OF PAPER; TREATMENT OF FINISHED PAPER NOT COVERED BY CLASS B31 OR SUBCLASS D21G; PAPER NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D21H11/00Pulp or paper, comprising cellulose or lignocellulose fibres of natural origin only
    • D21H11/16Pulp or paper, comprising cellulose or lignocellulose fibres of natural origin only modified by a particular after-treatment
    • D21H11/18Highly hydrated, swollen or fibrillatable fibres

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

関連出願
本願は、2014年5月7日に提出された仮出願第61/989,893号と、2014年10月22日に提出された仮出願第62/067,053号に基づく優先権を主張するものであり、これらの仮出願はいずれも、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は広くは、セルロース系パルプの処理の分野に関し、より具体的には、ナノセルロースファイバー(本文献では、ミクロフィブリル化繊維、ミクロフィブリル、及びナノフィブリルとしても知られる)を調製するために、セルロース系パルプを処理することに関する。本文献におけるこのばらつきにかかわらず、本発明は、実際の物理的寸法とは無関係に、ミクロフィブリル化繊維、ミクロフィブリル、及びナノフィブリルに適用可能である。
ナノフィブリル化セルロースは、木材とポリマーの複合材における補強材として、紙、板紙、及びその他の基材用のバリアコーティングとして、並びに空隙度と結合度に依存する特性を制御するための製紙用添加剤として有用であることが示されている。
従来、クラフト、ソーダ、又はサルファイト蒸解方法を用いて製造する化学パルプは、塩素を含む漂白剤で漂白されてきた。塩素は、非常に有効な漂白剤であるが、塩素漂白方法から出る廃液は、それらの方法の副生成物として生成される塩化物を大量に含む。これらの塩化物は、処理装置を腐食させやすいので、漂白設備を構築する際には、高価な材料を使用する必要がある。加えて、漂白設備廃液中の塩素化有機物の環境への潜在的影響に関する懸念も存在する。他の既知の前処理方法には、パルプを脱リグニン化、すなわち漂白するために、オゾン、過酸化物、及び酸素のような酸素系化合物が含まれる。
しかしながら、パルプの漂白とその他の前処理は、ナノセルロースファイバーの解繊とは別であり、それ自体は、ナノセルロースファイバーを解繊させるものではない。典型的には、更なる機械的リファイニング又はホモジナイズが必要とされ、リファイニング方法は概して、高濃度と低濃度に分けられ、この濃度は、検討するパルプスラリーの固形分を指す。低濃度リファイニングは概して、2〜6重量%の固体からなる。機械的リファイニングでは、セルロースファイバーを機械的かつ物理的に叩解して小断片にするのに、多大なエネルギーが必要となる。必要とされるエネルギーは、リファイナー自体に関わる多くの変数と、リファイニングするパルプ混合物と、リファイナーの刃又はプレートの構成が複雑に組み合わさったものである。よく知られている理論の1つによれば、比エッジ負荷(SEL)は、リファイニング「強度」の有用な尺度である。SELでは、リファイナープレートが1回回転する間に繊維に「加わる」衝撃の回数と強度の両方を考慮する。衝撃の回数(速度)は、刃の構成と関係があり、1回転当たりの切れ刃長(CEL)の合計と回転速度によって与えられる。このような衝撃の強度は、繊維に伝わるエネルギー、すなわち「正味」電力消費と関係があり、総投入電力から無付加電力を減じること、すなわち(p−p)によって与えられる。すなわち、SELは、バーの単位長さ当たりにおいて、バーを横断するごとに消費される有効エネルギーと定義することができる。その数学的定義は、下記の等式に示されており、その式中、Ωは、リファイナーの回転速度であり、その他の項は、上で定義したとおりである。
SEL=(p−p)/Ω×CEL
SELは、ワット秒/メートル(Ws/m)又は等価のジュール/メートル(J/m)という単位で与えられる。
ナノサイズのセルロースフィブリルを実現するには、多段階式のホモジナイズ若しくはリファイニング、又はホモジナイズとリファイニングの両方が必要とされることが多い。例えば、鈴木らの米国特許第7,381,294号には、10回以上、及び30〜90回にも及ぶリファイニング処理を必要とする複数工程式のリファイニング方法が記載されている。それらのリファイニング処理又はリファイニング段階では、同じ条件を用いても、別々の条件を用いてもよい。鈴木らによって説明されている方法は概して、多くの回数のリファイナー処理によって、長さが0.2mm以下の繊維を製造し、その結果、圧送動作とリファイニング動作の両方において、比エネルギー消費量が非常に多くなる。鈴木の教示では、衝撃の強度が考慮されず、SELが算出されない。
第2の例は、Pandeらの米国特許出願公開第2014/0057105号によって提供されており、この例では、繊維の長さをあまり短縮させることなく、流体力学的表面積を増大させるために、繊維を1回以上の段階でリファイニングする。
セルロース系パルプを処理する改良型方法、特に、ナノフィブリルを製造するのに必要なエネルギーを削減した改良型方法を実現させることができれば、有益であろう。また、いくつかの用途では、繊維が長い方が好ましい。
ナノフィブリル化セルロースをリグノセルロース材料から工業的に有意な量で単離する新規方法を開発した。この方法では、先行技術と比べて、ナノフィブリル化セルロースを製造するのに必要なエネルギーを有意に低下させる一連の特有な機械的処理を用いる。
一態様では、本発明は、セルロースナノファイバー(セルロースナノフィブリル又はCNFとして、ナノフィブリル化セルロース(NFC)として、及びミクロフィブリル化セルロース(MFC)としても知られている)をセルロース系材料から調製する改良型方法であって、
溝によって隔てられた刃の構成を有するステータープレートとロータープレートとを有する第1の機械的リファイナーでセルロース系材料を処理して、その第1のリファイナーによって、第1の初期SELをもたらすことと、
それに続き、溝によって隔てられた刃の構成であって、第1のリファイナーの構成とは異なる構成を有するステーター及びロータープレートを有する第2の機械的リファイナーで、上記のセルロース系材料を処理して、その第2のリファイナーによって、第2の初期SELをもたらすことと、
を含み、
第1の初期SELが第2の初期SELよりも大きい方法を含む。
いくつかの実施形態では、第1のリファイナーを稼働させることによってもたらされるSELは、第2のリファイナーを稼働させることによってもたらされるSELよりも約2〜40倍大きく、例えば、約5〜30倍大きいか、又は約6〜20倍大きい。いくつかの実施形態では、第1の初期SELは、約1.5〜約8.0J/m、例えば約2.0〜約5.0J/mの範囲であり、第2のリファイナーの初期SELは概して、1.5J/m未満、例えば、1.0J/m未満、又は約0.05〜約0.95J/mである。
いくつかの実施形態では、第1のリファイナーのプレート上の溝によって隔てられた刃の構成のCELは、第2のリファイナーのプレート上の溝によって隔てられた刃の構成のCELよりも短い。これらの刃と溝は本質的に幅を有する。いくつかの実施形態では、第1のリファイナーのプレートの刃幅:溝幅の比は、第2のリファイナーのプレートの刃幅:溝幅の比よりも大きい。例えば、第1のリファイナープレートの刃幅:溝幅の比は、1.0超であってよく、第2のリファイナープレートの刃幅:溝幅の比は、1.0未満であってよい。
本発明によれば、上記の方法によって調製したセルロースナノファイバーが組み込まれた紙製品も提供する。
本発明の更なる態様は、上記の方法のいずれかによって製造したセルロースナノファイバーを用いて製造した紙製品である。このような紙製品の特性(空隙度、平滑度、及び強度など)は、改善されている。
本発明の更なる態様は、長さの中央値がいくらか長くなっている繊維、例えば0.2mm超、好ましくは約0.2mm〜約0.4mmである繊維の製造である。
その他の利点及び特徴は、下記の詳細な説明から明らかである。
本明細書に組み込まれるとともに、本明細書の一部を形成する添付の図面は、いくつかの態様において本発明を例示するものであり、また、説明文とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。図面においては、明確にする目的で、線、層、及び領域の厚みが誇張されている場合がある。
図1は、木材のようなセルロース系繊維の構成成分のいくつかを示す概略説明図である。 図2A〜図2Fは、本発明によるディスクリファイニングにおいて有用な各種ディスクプレート構成の図である。 図3A〜図3Fは、本発明によるディスクリファイニングにおいて有用な各種ディスクプレート構成の図である。 図4は、所与の微細繊維率レベル又はフィブリル化セルロース品質を実現するのに必要なエネルギーに、プレートパターンと高い第1段階比エッジ負荷が及ぼす作用を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施形態による微細繊維率(%)と繊維長との関係を示すグラフである。 図6Aは、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。 図6Bは、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。 図7Aは、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。 図7Bは、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。 図8は、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。 図9は、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。 図10は、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。 図11は、紙製品とその特性のデータ結果のグラフである。
当業者であれば、添付の図面に照らしながら読めば、好ましい実施形態の下記の詳細な説明から、本発明の各種態様が明らかになるであろう。
別段の定めのない限り、本明細書で用いられている技術用語及び科学用語はいずれも、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様又は同等のいずれかの方法及び材料を、本発明の実施又は試験において使用することができるが、本明細書では、好ましい方法及び材料が記載されている。本明細書で引用されている参照文献はいずれも、文献、学術論文、米国又はその他の国の公開特許出願、米国又はその他の国の発行済み特許、及びいずれかの他の参照文献を含め、それぞれ参照により、その引用参照文献に示されているあらゆるデータ、表、図、及びテキストを含め、その全体が組み込まれる。
本発明を特徴付けるために用いる数字の範囲、測定値、及びパラメーター、例えば、角度、成分の量、ポリマーの分子量、反応条件(pH、温度、変化レベルなど)、物理的寸法などは、可能な限り正確に報告されているが、必ず近似値であり、これらは本質的に、各測定値に由来する不正確性を含む。このため、本明細書及び特許請求の範囲で用いられているように、程度の範囲を表す全ての数は、いずれの場合も、「約」という用語で修飾されているものとして理解されたい。いずれの数字範囲にも、その範囲の上限と下限の間のあらゆる考え得る付加的な小範囲が含まれるものと理解されたい。すなわち、30〜90単位の範囲は、例えば、35〜50単位、45〜85単位、及び40〜80単位などを開示している。別段の定めのない限り、パーセントは、wt/wt%である。
セルロース系材料
「セルロース系材料」の主成分であるセルロースは、地球上で最も一般的な有機化合物である。綿のセルロース含有率は約90%であり、木材のセルロース含有率は、木材の種類に応じて、約40〜50%である。「セルロース系材料」には、天然のセルロース供給源と、部分的又は完全に脱リグニン化した供給源が含まれる。それに限らないが、木材パルプが一般的なセルロース系材料供給源である。
図1は、木材の構成成分のいくつかの説明を示しており、左上の完全な木から始まり、上の段を右に進み、図示されているように、徐々に断面が拡大されていき、右上の細胞構造図に至る。この拡大方法は、下の細胞壁構造に進み、この細胞壁構造では、S1、S2、及びS3は各種の二次膜を表しており、Pは一次膜であり、MLは中層を表している。下の段を左に進むと、左下のセルロース鎖まで拡大が続く。これらの図は、高さ10メートルであってよい木から、ミリメートル(mm)サイズの年輪、マイクロメートル(μm)サイズの細胞構造、ナノメートル(nm)単位の寸法のミクロフィブリル及びセルロース鎖まで、10桁ずつ縮尺が変動している。いくつかの木材の細胞壁のフィブリルマトリックス構造では、セルロースポリマーの長いフィブリルが、5及び6員の多糖、ヘミセルロース、並びにリグニンと結合している。
図1に示されているように、セルロースは、β(l−4)−グリコシド結合で縮合したD−グルコース単位に由来するポリマーである。この結合形式は、デンプン、グリコーゲン、及びその他の炭水化物に見られるα(l−4)−グリコシド結合とは異なる。したがって、セルロースは、デンプンとは異なり、直鎖ポリマーであり、らせん又は分岐は存在せず、その分子は、グルコース残基のエクアトリアルコンフォメーションの助けを借りて、長く伸びているうえに、かなり堅い棒状のコンフォメーションをとる。1本の鎖のグルコース分子における複数のヒドロキシル基が、その鎖又はその鎖に隣接する鎖の酸素原子と水素結合を形成し、それらのセルロース鎖を並べた状態でしっかりつなげて、エレメンタリーナノフィブリルを形成する。セルロースナノフィブリル(CNF)は、ミクロフィブリルとして知られる更に大きいフィブリルにおいて、同様につながっており、ミクロフィブリルは、図1に示されているように、マトリックスにおいて、束又は集合体で同様につながっている。これらのフィブリル及び集合体は、セルロース系材料に高い引張強度をもたらし、この強度は、植物細胞に剛性を付与する細胞壁において重要である。
上述のように、多くの木材は、その細胞壁にリグニンも含み、それにより、木材の色が濃くなる。したがって、多くの木材パルプは、紙及び他の多くの製品用にパルプを白くするために、漂白されている。リグニンは、セルロース繊維をつなぎ合わせる3次元ポリマー物質であり、セルロース繊維自体の中にも分布している。リグニンは主に、植物の強度と剛性を担っている。
工業用途では、セルロースは、主に木材パルプ及び綿から得られ、主に板紙及び紙で使用される。しかしながら、更に微細なセルロースナノフィブリル(CNF)又はミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、木本植物から単離すると、多種多様な製品での新たな用途が見出される。例えば、ナノセルロースファイバーは更に、従来のパルプの場合のように、紙及び板紙の産業で有用性が見出されている。しかしながら、その剛性及び強度特性は、従来のパルプの用途を越えて、無数の用途が見出されている。セルロースナノファイバーには、他の材料を上回る多くの利点がある。すなわち、セルロースナノファイバーは天然かつ生分解性のものであり、それにより、多くの既存のナノ材料及びナノ系よりも、毒性が低下し、「寿命到達」時の選択肢が広くなり、その表面の化学的性質が十分理解されているとともに、生態系を含む多くの既存の系と適合し、工業的に拡張可能である。例えば、ナノセルロースファイバーを含めることによって、コーティング、バリア、及びフィルムを強化できる。ガラス、鉱物、セラミック、又は炭素繊維を従来用いる場合がある複合材及び強化材は、代わりに、ナノセルロースファイバーを好適に用いることができる。
これらのナノファイバーは、その広い表面積によって、液体を吸収及び吸液するのに非常に適する繊維となり、これは、衛生製品、医療製品、食品パッケージ、及び油回収作業に有用な特性である。ナノセルロースファイバーは、化粧品、医療品、及び食品での用途が見出される、なめらかでクリーミーなゲルを形成することもできる。
一般的なパルプ化及び漂白方法
木材を、主に製紙に使われるパルプに変換する。パルプは、スラリー化又は懸濁してから、スクリーンに付着させて、1枚の紙を形成できる木材繊維を含む。パルプ化の技法には主に、機械パルプ化と化学パルプ化という2つのタイプがある。機械パルプ化では、木材を個々の繊維に物理的に分離する。化学パルプ化では、木材チップを薬液で消化して、リグニンの一部を可溶化し、それによって、リグニンを除去できるようにする。一般的に用いられている化学パルプ化方法としては、(a)サルフェート(別名「クラフト」)方法、(b)サルファイト方法、及び(c)ソーダ方法が挙げられる。これらの方法は、Smook, Gary A., Handbook for Pulp & Paper Technologists, Tappi Press, 1992という文献(特に第4章)、及び"Overview of the Wood Pulp Industry," Market Pulp Association, 2007という論文で十分に説明されているので、本明細書で説明する必要はない。クラフト方法は、最も一般的に用いられているものであり、木材チップを水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムの水溶液で消化することを含む。パルプ化方法で作られた木材パルプは通常、繊維塊に分離して、洗浄する。
パルプ化方法後の木材パルプの色は濃い。このパルプは、消化中に除去されなかった残留リグニンを含むからである。このパルプは、パルプ化において化学修飾されて、発色団を形成している。白い紙の製造と、ナノセルロース又はMFCへの更なる加工に適したパルプにするように、パルプの色を明るくするために、パルプに対しては、必須ではないが、典型的には漂白作業を施し、この漂白作業には、パルプの脱リグニン化と増白が含まれる。脱リグニン化工程の従来の目的は、セルロースファイバーを破壊せずに、リグニンの色を除去することである。化合物又は方法が、セルロース構造を分解せずに、リグニンを選択的に除去できることは、本文献では「選択性」という。
一般的なMFC方法
ナノセルロース又はフィブリル化セルロースを製造する一般化方法が、国際公開第2013/188,657号に開示されており、この国際公開は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
この方法は、繊維を摩砕してほぐす、いずれかのタイプのミル又は装置で、木材パルプを機械的に叩解する工程を含む。このようなミルは、当該業界において周知であり、バレービーター、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、コニカルリファイナー(広角型と狭角型の両方を含む)、円筒型リファイナー、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、及びその他の類似の粉砕又は摩砕装置が挙げられるが、これらに限らない。これらの機械的リファイナー装置は、例えば、Smook, Gary A., Handbook for Pulp & Paper Technologists, Tappi Press, 1992という文献(特に13章)で十分に説明されているので、本明細書では詳しく説明する必要はない。Tappi標準法T200(sp2010)には、ビーターを用いて、パルプを機械的に処理する手順が記載されている。機械的叩解方法は、装置のタイプにかかわらず、概して、本文献では「リファイニング」と称し、あるいは、総称的に「細砕」と称することもある。
ダブルディスクリファイナー及びコニカルリファイナーを含むディスクリファイナーは、最も一般的なリファイナー装置に入る。ディスクリファイナーは、少なくとも1つの他のプレート(「ステーター」ともいう)に対して回転可能である1つ又は2つのプレート(「ローター」ともいう)を備える。各種リファイナープレートについて記載しているいくつかの特許としては、Chaneyの米国特許第5,425,508号、Gingrasの米国特許第5,893,525号、Matthewの米国特許第7,779,525号が挙げられる。ディスクリファイナーのいくつかの例としては、Beloit DD 3000、Beloit DD 4000、又はアンドリッツ社のリファイナーが挙げられる。コニカルリファイナーのいくつかの例としては、Sunds JC01、Sunds JC02、及びSunds JC03というリファイナーが挙げられる。プレートは、図2A〜2F及び3A〜3Fに示されているように、多種多様な構成でバーと溝を有する。バーと溝は、概ね径方向に延びているが、典型的には、厳密な半径線に対して約10〜20度の角度(aとして示されることが多い)で延びている。いくつかの構成では、バーと溝は、途切れがなく(例えば図2A、2D、3D、及び3E)、別の実施形態では、「行き止まり」の流路を作るように、バーは、互い違いに配置されていて、パルプがバーの摩砕エッジの上を越えるようになっており(例えば図2B、2C、及び2E)、場合によっては、パルプを「行き止まり」から上方に導く傾斜又はテーパーエッジを有する(例えば図2E)。いくつかの実施形態では、バーと溝は、湾曲していてもよく(例えば図3D)、あるいは、ジグザグになっていてもよい(例えば図3E及び3F)。溝は、途切れがなくても、途切れていてもよい(例えば図3F)。いくつかの実施形態では、バーと溝は、ピッチ(円弧距離当たりのバー/溝の数)が変動してよく、典型的には、ピッチは次第に大きくなっていき、中心に近いほど、溝幅は広くなり、外縁に近いほど、溝が増え、幅も狭くなる(例えば図3A〜3C)。
バー(刃ともいう)の高さと幅、及び溝幅などの寸法は、図2Fに最もよく示されている。バーの高さは典型的には、2〜10mmの範囲であり、バー/刃幅は典型的には、1〜6mmである。溝幅は典型的には、1〜6mmの範囲である。刃幅の溝幅に対する比は、0.3〜約4、より典型的には約0.5〜2.0に及ぶことができる。ディスクの直径は、約18インチ(46cm)〜約42インチ(107cm)の範囲であることができるが、24インチ(61cm)ディスクが一般的なサイズである。構成にかかわらず、あらゆるリファイナーディスク又はコーンの重要な特性は、1回転のうちに示される切れ刃長(CEL)の合計であり、これは、バーの数と角度、及びバーを含む扇形の半径差から算出する。幅の狭いバーを多く有する微細な刃ほど、CELが大きくなり、逆に、幅の広いバーが少ない粗い刃ほど、CELが小さくなる。
繊維長が短いほど、微細繊維率は向上する。図5は、このことを示している。いずれかの好適な値、例えば少なくとも80%の微細繊維率をエンドポイントとして選択してよい。代替的なエンドポイントとしては、例えば70%の微細繊維率、75%の微細繊維率、85%の微細繊維率、90%の微細繊維率などを挙げてよい。同様に、1.0mm未満、0.5mm未満、又は0.4mm未満というエンドポイント長を用いてよく、これらの値または中間値のうちのいずれかを用いた範囲であってよい。上記のいずれかの所与の長さに関しては、長さは、平均長(長さ加重平均が最も一般的である)、長さの中央値(50%の十分位数)、又はいずれかの他の十分位数の長さ(90%未満、80%未満、70%未満など)としてよい。
方法の間、いくつかの手段のうちのいずれかによって、リファイニングの程度をモニタリングしてよい。Tappi標準法T271 om−02(2002)には、偏光と、更には各種加重の長さの算出とを用いる方法が記載されている。光学機器は、繊維長分布及び微細繊維率に関する連続データを提供することができ、繊維長分布及び微細繊維率のいずれも、リファイニング段階におけるエンドポイントを定義するのに用いることができる。TechPap Morphi Fiber Length Analyzerのように、このような機器は、業界標準の試験機として用いられている。リファイニングによって、繊維長分布が得られ、上記のような機器は、典型的には、繊維長分布と、各種平均長測定値のうちの1つ以上とを記録することができる。
スラリー粘度(パルプ固有粘度とは異なる)も、セルロースファイバーのサイズを小さくする際の機械的処理の有効性をモニタリングするためのエンドポイントとして用いてよい。スラリー粘度は、ブルックフィールド型粘度計によるなど、いずれかの従来の方法で測定してよい。
エネルギー効率の良いCNFリファイニングデザイン
本明細書に開示されている方法は、商業レベルまで規模を拡大するのに十分に高いエネルギー効率を有する。エネルギー消費量は、いずれかの好適な単位で測定してよい。典型的には、電力×時間という単位を使用し、そして、重みに基づき正規化する(例えば、キロワット−時/トン(KW−h/トン)、馬力−日/トン(HP−日/トン)、又はいずれかの他の好適な単位)。細砕装置を駆動するモーターによって取り出される電流を測定する電流計は、電力測定値を得る好適な方法の1つである。相対的な比較のために、リファイニング結果のエンドポイント又はエネルギー投入量のいずれかは等しくなければならない。例えば、「エネルギー効率」は、(1)少ないエネルギー消費量で、同じエンドポイント結果(例えばスラリー粘度、繊維長、微細繊維率)を得ること、又は(2)同じエネルギー消費量で、高いエンドポイント結果(例えばスラリー粘度、繊維長、微細繊維率)を得ることのいずれかとして定義する。図4は、本発明の各種実施形態による2段階方法と3段階方法の正味エネルギー曲線を示している。
本明細書で説明しているように、エンドポイント結果は、変化率として表してよく、消費エネルギーは、絶対的尺度である。あるいは、エンドポイントが絶対的尺度であってよく、消費エネルギーを、相対基準で、変化率として表してもよい。更に別の代替形態では、エンドポイントも消費エネルギーも、絶対的尺度として表してよい。この効率概念は、図4に更に示されている。
本発明による処理は、その処理を施さない場合の同様のエンドポイント結果のエネルギー消費量と比べて、エネルギー消費量を少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくとも約25%低減するのが望ましい。換言すると、本発明の方法のエネルギー効率は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、又は少なくとも約30%改善される。
当該技術分野において知られているように、リファイナーは、無充填時でも、稼働させるのに特定量のエネルギーを要する。パルプ充填時に消費される総エネルギーの方が、関連性の高い尺度であるが、「無充填時の」消費量を差し引いて、リファイニングで消費する正味エネルギーを得ることも可能である。この正味エネルギーは、背景技術で説明したように、比エッジ負荷(SEL)の算出に重要である。さらに、リファイニング方法を続けると、時間の経過とともに、SELが多少低下していくことが知られている。これにより、初期SEL、初期SELよりも低い最終SEL、及び期間全体における平均SELが存在することになる。特に断りのない限り、出願人は、本発明の方法を説明する際に、初期SELについて言及する。
機械的リファイナーの特有の配列によって、意外なことに、方法のエネルギー必要量を低下させることができ、それにより、全体的な製造コストが低下することが分かっている。その方法は、パルプ化方法を用いてリグノセルロースマトリックスから単離したセルロース繊維、好ましくは木材繊維のスラリーを処理することを含む。このパルプ化方法は、サルフェート(クラフト)又はサルファイト方法などの化学パルプ化方法であっても、サーモメカニカル方法などの機械パルプ化方法であってもよい。このようなパルプに、本発明によるCNFを各種レベルで加える。
CNFは概して、機械的リファイニングによって製造する。本発明による方法は、繊維にせん断を加える第1及び第2の機械的リファイナーを含む。それらのリファイナーは、低濃度リファイナーであることができる。せん断力は、繊維の細胞壁を破壊するのを助け、その壁構造内に含まれるフィブリルとナノフィブリルを露出させる。繊維に加わる総累積せん断力が大きくなると、繊維壁構造から解繊したナノフィブリルの濃度が向上する。(図4を参照のこと。)元の繊維構造から所望の量のフィブリルが単離されるまで、機械的処理を続ける。
図2A〜3Fを参照すると、機械的ディスクリファイナー100は、回転プレート、すなわち「ローター」104と、固定プレート、すなわち「ステーター」106を備える。図3Fに示されているように、特に、プレート104、106は、溝110を画定する刃108を備える。セルロース系材料は、一方のディスクから、狭くて平らなディスク間空間に流入してから、もう一方のディスクから出ていく。セルロース系材料は、プレート上のバーの相対運動により、その材料に作用するせん断力によって叩解されて、微細で短い繊維となり、狭い間隔で配置された刃の表面によって、圧迫及び解繊される。
ディスクリファイナーとディスクプレートが一実施形態として示されているが、本発明は、ディスクリファイナーに限定されず、コニカルリファイナーも含むことを理解されたい。この関連において、「ディスク」又は「プレート」は、本明細書で使用する場合、ディスクリファイナーの比較的平らな面のみならず、コニカルリファイナーの円錐状の摩砕面も指す。ローターとステーターの態様は、コニカルリファイナーにおいても同様であり、CEL及びSELの概念も同様である。
ホモジナイザー及び超微細グラインダーを含め、高度にフィブリル化されたセルロース(例えばCNF)を製造するための機械的処理が数多く提案されている。しかしながら、これらの装置を用いてフィブリル化セルロースを製造するのに必要なエネルギー量は非常に高く、多くの用途用に、これらの方法を工業用に適用することの障害となっている。例えば、2つのリファイナーを順次に用いる好ましい方法においては、第1のリファイナーに、刃幅が2.5mm以下、刃幅の溝幅に対する比が1.0以下のリファイナーディスクプレートを搭載すべき旨が鈴木(背景技術で言及されている米国特許第7,381,294号)によって教示されている。これらの寸法を有するリファイナーディスクプレートは、低い比エッジ負荷によって特徴付けられるリファイニング条件をもたらす傾向があり、これは、当該技術分野においては、「ブラッシング」リファイニングとしても知られており、セルロースファイバーの水和とゲル化を促す傾向がある。そして、刃幅が2.5mm以上、刃幅の溝幅に対する比が1.0以上であるリファイナーディスクプレートを第2のリファイナーが有するべきであると鈴木は教示している。これらの寸法を有するリファイナーディスクプレートは、高いSELによって特徴付けられるリファイニング条件をもたらす傾向があり、これは、当該技術分野においては、「カッティング」リファイニングとしても知られており、セルロースファイバーの短繊維化を促す傾向がある。
鈴木の特許では、リファイニング方法に関してSELを算出していないが、本出願人は、鈴木の特許の表1から、合理的な仮説とデータを用いて、SELを算出した。その結果は、以下の表に示されている。
すなわち、刃幅を大きくする鈴木の方法によって、第2及びそれ以降の段階において、CELは低下し、SELは向上する。第1のリファイナーの段階で作られる比較的長い繊維、高膨潤繊維、又はゲル化繊維では、第2のリファイナーの段階を高効率で行うことができない。その理由の1つは、刃を越える回数が比較的少ない中で、繊維ネットワークが高い比負荷を支えることができず、プレート間隔を広くし、印加電力レベルを低くして、すなわち、低電力効率で、第2のリファイナーを稼働させなければならない点である。さらに、繊維を「ブラッシング」したり、又はフィブリル化したりするには、第2のリファイナーのリファイナーディスクの粗くて広い刃幅は効率的ではなく、その結果、稼働時間が長くなり、エネルギー効率も低くなる。このため、フィブリル化セルロースを製造するのに必要な全エネルギーが高く、製造コストが増大する。
本明細書に開示されている概念の下では、初期段階で高いSELをもたらし、第2及びそれ以降の段階で低いSELをもたらす構成で、2つ以上のリファイナーを順次に配列する。例えば、刃幅が約2.5mm超、好ましくは約3mm超であるディスクプレートを第1のリファイナーに搭載することによって、第1のリファイナーにおいて、高いSELをもたらすことができる。さらに、いくつかの実施形態では、刃幅の溝幅に対する比は、0.75超である。第1のリファイナーにおいて、これらの寸法を有するリファイナーディスクプレートは、高い比エッジ負荷によって特徴付けられるリファイニング条件をもたらす傾向があり、これは、当該技術分野において「カッティング」リファイニングとしても知られており、セルロースファイバーの短繊維化を促す傾向がある。この処理段階に存在する繊維は、繊維長分布が小さくて狭く、低膨潤であり、降伏応力が低く、スラリーが圧送しやすくなるとともに、残りの処理方法で処理しやすくなる。この第1段階中、粘度はあまり増大しない。
一方、第2及びそれ以降のいずれかのリファイナーの段階には、例えば、刃幅が狭くなっていくディスクを用いることによって、低いSELをもたらすプレートを搭載してよい。第2段階には、刃幅が約2.5mm未満、好ましくは約2mm以下であり、刃幅の溝幅に対する比が約1.0以下であるディスクを用いてよい。第1のリファイナーから得られる短い繊維長では、それ以降のリファイナーで、第1のリファイナーよりも細かいリファイナーディスク、すなわち、狭い刃幅を用いることが可能になり、詰まる心配も小さくなり、それにより、効率が向上する。第1のリファイナーよりも細かいリファイナーディスクプレートは、第1のリファイナーよりも低い比エッジ負荷で稼働し、繊維をフィブリル化する効率も高い。その結果、高度にフィブリル化されたセルロースの製造時間が短縮する。加えて、刃幅の細かいプレートは、狭い間隔と高い負荷で稼働できるので、エネルギー効率が高くなり、衝突することもない。
方法の初期段階、すなわち、第1のリファイナーで、高いリファイニング強度(例えば高いSEL)を用いると、総消費エネルギーが少ない。
SEL=(p−p)/Ω×CEL
というSELに関する式から、初期段階においてSELを向上させる方法が数多く存在することが分かる。例えば、正味電力が一定とすると、回転速度若しくはCEL、又はそれらの両方を低下させると、上記の比の値が向上する。したがって、SELを向上させる方法の1つは、第1段階において粗いプレートパターン(CELは低い)を用いるものである。これには、無負荷エネルギー消費量を低下させることによって、リファイニング効率を高める副次的効果もある場合がある。
第1段階において、強度又はSELの高いリファイニングを用いると、広葉樹クラフトパルプスラリーの降伏応力も、未リファイニングパルプと比べて20%も低下する。これにより、流動を開始させるのに必要なエネルギーが低下し、スラリーの流動性が向上するので、圧送エネルギーコストが削減され、リファイナー効率が向上する。先行技術、特に鈴木の特許では、第1のリファイニング段階において、低強度のリファイニングを用いなければならないことが教示されている。しかし、そうすると、望ましくないことに、広葉樹クラフトスラリーの降伏応力が、未リファイニングパルプよりも23%向上する。その結果、高度にフィブリル化されたセルロースを製造するのに必要なエネルギーに加えて、繊維スラリーをリファイナーに再循環させるのに必要なエネルギーが増大する。
第1のリファイナーにおいて、広いリファイナー刃幅と高いSELを用いることは、高度にフィブリル化されたセルロースを製造するのに必要な時間とエネルギーが軽減されることを意味する。詰まり又は衝突なしに、リファイナーディスクプレートに充填することができ、それ以降のリファイナー段階において、先行技術で可能なフィブリル化プレートパターンよりも、微細かつ効率的なフィブリル化プレートパターンを実現できる。
本発明によれば、第1段階のSELは、第2及びそれ以降の段階のSELよりも高くなければならない。例えば、本出願人の方法では、第1段階のSELは、1回の操作全体において、約5.0〜約0.5J/mの範囲である。操作中にSELが低下することから、第1段階の開始時又は初期SELは、1.0超、例えば約1.5〜約8.0J/m又は約2.0〜約5.0J/mであってよく、第2又はそれ以降の段階の開始時又は初期SELは、1.0J/m未満(約0.05〜約0.95J/m又は約0.1〜約0.8J/mなど)であってよい。
前記と異なり、第1段階の初期SELは、第2及びそれ以降の段階の初期SELよりも著しく高くなければならない。いくつかの実施形態では、第1段階の初期SELは、それ以降の段階の初期SELよりも2〜40倍、例えば、それ以降の段階の初期SELよりも5〜30倍又は6〜20倍高い。
SELのこれらの相対的な差を実現する方法の1つは、ディスクプレートの刃と溝の構成を変えて、切れ刃長(CEL)を変更することによるものである。刃又はバーが多くて狭い「微細な」プレートよりも、刃が少なくて幅広の「粗い」リファイナープレートの方が、刃幅の溝幅に対する比が大きく、CELが短い。CEL以外の条件が比較的一定のままである場合、第1段階においてCELが短いプレートを、それ以降の段階においてCELが長いプレートを用いるリファイニング方法は、エネルギー効率を高める。同様に、刃幅:溝幅の比以外の条件が比較的一定のままである場合、第1段階において刃幅:溝幅の比が大きいプレートを、それ以降の段階において刃幅:溝幅の比が小さいプレートを用いるリファイニング方法は、エネルギー効率を高める。
いくつかの実施形態では、第1のリファイナーのプレートの刃幅:溝幅の比は1.0超であり、第2のリファイナーのプレートの刃幅:溝幅の比は1.0以下である。いくつかの実施形態では、第1のリファイナーの刃幅は2.5mm超であり、第2のリファイナーの刃幅は2.5mm未満である。例えば、第1のリファイナーの刃幅は3.0mm以上であり、第1のリファイナーの刃幅は、2.0以下であってよい。このような刃構成によって、所望の刃幅:溝幅の比と、第1段階における高いSELに寄与するCELとが得られる。
図4は、所与の微細繊維率レベル又はフィブリル化セルロース品質を実現するのに必要なエネルギーに、プレートパターンと比エッジ負荷が及ぼす作用を示している。一方の曲線は、高いSEL(4.8J/m)の後にSELが低くなる(0.2J/m)、本発明による2段階方法に由来する。もう一方の第2の曲線は、3段階方法の結果を示しており、この方法では、第1段階で適度なSEL(1.1J/m)のみを用いた後、SELを低下させていく。第1の曲線では、初期SELは、第2段階のSELの24倍であり、第2の曲線では、初期SELは、第2段階のSELの約1.7倍に過ぎない。微細繊維率が35%超の全てのエンドポイントでは、2段階方法は、3段階方法よりも低いエネルギーで、同等のエンドポイントに達し、3段階方法よりも効率的である。
CNFを含む紙製品と、改良されたその特性
特定の重要な実施形態では、セルロースナノファイバーは、上記のように調製するか、別の方法によって調製するかによらず、繊維長が約0.2mm〜約0.5mm、好ましくは約0.2mm〜約0.4mmであってよい。このようなセルロースナノファイバーを用いて製造した紙製品の特性は改善される。本発明の実施形態によれば、紙の製造に用いるパルプに、特定量のNFCを加える。例えば、乾燥重量基準で繊維の約2%〜約40%がNFCであってよく、又はいくつかの実施形態では、約5%〜約25%であってよい。NFCを加えることで、下記のように、紙製品にいくつかの利点をもたらす。
下記のものを含め、紙の多くの特性を測定することができ、それらを測定した。繊維をリファイニングするほど、表面積は大きくなる傾向があり、繊維長は短くなる傾向がある。これにより、紙の様々な特性が、良い方向又は悪い方向に変化する。リファイニングによって、ある特定の特性が向上する場合、それは、「良い」特性とする。「良い」特性としては、フリーネス、引張強度、空隙度、内部結合力などが挙げられる。しかし、リファイニングよって、特性が低下する場合には、それは、「悪い」特性とする。このような特性としては、収縮と破れが挙げられる。リファイニングの目的の1つは、「悪い」特性よりも「良い」特性の方に強く働きかける、すなわち、「良い」特性/「悪い」特性の比を向上させることである。
フリーネスは、製紙業界における標準的尺度であり、パルプの濾水度としても知られている。フリーネスは、繊維が水を吸液したり又は放出したりする力に関するものである。フリーネスを測定する方法は複数あるが、よく使われる手段の1つは、カナディアンスタンダードフリーネス、すなわちCSF(Tappi標準法T227 om−04(2004))であり、これは、オーブンで乾燥して、20Cの水1リットルに浸したパルプ3グラムから排出された水の体積(ml)である(CSFの値が大きいほど、吸液する水が少ないことを意味する)。フリーネスの代替的尺度は、ショッパーリーグラー(SR)法(排水速度を測定するものであり、SRの値が小さいほど、吸液する水が少ないことを意味する)と、ウィリアムズ式スローネス(WS)法(パルプが排出するまでの時間を測定するもので、WSの値が小さいほど、吸液する水が少ないことを意味する)である。これらの各方法の典型的な値の相関表は、http://www.aikawagrou.com/freeness−conversion−table.phpに見ることができる。
未リファイニング広葉樹パルプのCSFは、600〜500mlの範囲であり、未リファイニング針葉樹パルプの方が、保水性が低く、そのCSFは、760〜700mlである。繊維をリファイニングすると、繊維の保水性が向上する傾向があり、CSFは低下する。例えば、非塗工上質紙(UFS)グレードの紙(典型的にはコピー紙に使われる)のCSFは、約300〜400mlである。これに対して、スーパーカレンダー処理クラフト(SCK)及びグラシングレードの紙のように、更に高度にリファイニング又は高密度化した紙は現在、剥離基紙として使用されており、CSFフリーネスが低く、約170〜100mlの範囲である。
本明細書で使用する場合、「繊維のフリーネス」及び「初期フリーネス」という用語は、いずれかのセルロースナノファイバー(CNF)を加える前のパルプ繊維の初期フリーネスを指す。典型的には、それぞれのタイプのパルプ繊維のフリーネスは、その繊維をパルプにブレンドする前に測定する。これに対して、「ヘッドボックスフリーネス」とは、CNF、及びいずれかの顔料、バインダー、クレイフィラー、デンプン、又はその他の成分を含め、一緒にブレンドされているパルプ繊維全体のフリーネスを指す。ヘッドボックスフリーネスが大きいほど、形成ウェブから水を速くかつ容易に除去できる。ひいては、これにより、製造速度を向上させたり、エネルギー使用量を軽減したり、又はこれら両方を組み合わせた成果をもたらしたりする機会が得られ、それにより、方法効率が向上する。リファイニング度が低いパルプにCNFを加えると、ヘッドボックスフリーネスをある程度低下させることができるが、リファイニング度が低く、フリーネスの高いパルプを用いることの重要な利点は、作られる紙の寸法安定性と、その他の物理的特性である。その紙は、寸法安定性の向上に加えて、良好な引張強度及び引裂強度と、高い不透明度を示す。
実施例1:
加えるCNFの量を変動させて(乾燥重量基準で約2.5%〜約30%)ハンドシートを調製し、そのCNFは、微細繊維率約50%〜微細繊維率約95%の各種リファイニング度まで、数バッチでリファイニングしたものである。広葉樹(HW)パルプの繊維のCSF初期フリーネスが340mlであるセルロースパルプの各種ハンドシート(HS)組成物に関して、初期フリーネス、ヘッドボックスフリーネス、及びフリーネスの低下推移が、図6A及び6Bに示されている。図6Aでは、HSに加えたCNFの量がx軸であり、特性(この場合にはCSF)がY軸にとられている。各種曲線は、異なるレベルのHS中CNF率(CNFが約2%〜20%の範囲)におけるCNFの微細繊維率レベル(95%、85%、77%、64%、及び50%)を表している。SWのCNFグラフには、基準曲線は2本あり、一方は、未リファイニングSW(微細繊維率27%、CSF671)をHW基材に加えたものであり、第2の基準曲線は、リファイニングSW(微細繊維率31%、CSF222)をHW基材に加えたものである。図6Aには、フリーネスの低下推移が、(1)所与のHS中CNF率における、CNFにおける微細繊維率レベルの向上(縦軸沿いの点)と、(2)所与の微細繊維率(%)における、HS中CNF率(%)のレベルの向上(曲線沿い)の両方と相関していることが示されている。
図6Bは、初期CSFが340mlのHW基材パルプと、HW源及びSW源の両方に由来するCNFであって、グラフに示されているように、濃度がその紙組成物の約25〜約30%で変動するとともに、微細繊維率レベルが約95%〜約64%と漸増していくCNFとを混合する以外は、図6Aと同様である。
実施例2:
実施例1と同様に、ハンドシートを調製する。Tappi標準法T494 om−01(2001)に従って、そのハンドシートの引張強度を試験した。図7Aでは、初期CSFが340mlのHWクラフトパルプ基材が、針葉樹繊維のみと混合されている。比較/対照サンプルを高フリーネスレベル(CSF671ml)及び低フリーネスレベル(CSF222ml)までリファイニングした。5つの試験CNFサンプルを微細繊維率50%〜微細繊維率95%の範囲でリファイニングし、約2.5%〜約25%の割合で基材に加えた。フリーネスが非常に高いパルプは、あまり結合せず、引張強度を容易には示さない。図7Bは、初期CSFが340mlのHW基材パルプと、HW源及びSW源の両方に由来するCNFであって、グラフに示されているように、濃度がその紙組成物の約2.5〜約30%で変動するとともに、微細繊維率レベルが約95%〜約64%と漸増していくCNFとを混合する以外は、図7Aと同様である。CNF濃度とCNFの微細繊維率レベル(%)が向上するのに応じて、ハンドシートの引張強度は向上する。
実施例3:
実施例1と同様に、ハンドシートを調製する。ガーレー空隙度(又はガーレー密度)は、紙の通気性の尺度であり、標準圧力条件下で、単位面積(1平方インチ=6.4cm)の1枚の紙に所与の体積の空気(100cc)を通すのに必要な時間(秒)を指す。(Tappi T460を参照のこと。)この数値が高いほど、空隙度が小さくなる。塗工とサイジングによって、空隙度に影響を及ぼすことができるが、ガーレー空隙度の値が少なくとも約300秒、少なくとも約400秒、少なくとも約500秒、少なくとも約600秒、少なくとも約800秒、又は少なくとも約1000秒となるように、剥離グレード用の未サイジング及び未塗工の紙基材が望ましい。
図8に示されているように、パルプHS基材のガーレー空隙度は、約25であり、グラフに示されているように、微細繊維率(%)が様々であり(94%、85%、77%、64%、及び50%)、濃度も様々である(約2%〜約25%)CNF含有サンプルでは、ガーレー空隙度は向上する(空隙度は低下する)。上記と同様に、2つの参照標準物が示されている。
実施例4:
平滑度は、繊維シートの表面の平坦性又は粗さの尺度である。この特性の尺度の1つは、表面変動(例えば頂点から底部まで)をマイクロメートル(μm)単位で測定するパーカープリントサーフ(PPS)である。滑らかな表面ほど、変動が小さく、PPSの値が小さい。Tappi標準法T−555(om 2010)には、この尺度が詳細に説明されている。別の粗さ尺度は、シェフィールド試験であり、この試験は、PPS試験と類似のエアリーク試験である。図9に示されているように、微細繊維率(%)が様々であり(94%、85%、77%、64%、及び50%)、濃度も様々である(約2%〜約25%)CNF含有サンプルでは、シェフィールド粗さは、チャートに示されているように、約130という初期レベル(HWパルプ基材)から低下した。上記と同様に、2つの参照標準物が示されている。
実施例5:
実施例1と同様に、ハンドシートを調製する。寸法安定性とは、紙葉が経時的に寸法を保持する力を指す。この特性は、湿度(周囲水分)に大きく依存する。繊維は、水分の吸収によって、15〜20%も膨潤する傾向があるからである。どんな紙も、水分含有量が増えると膨張し、水分含有量が減ると収縮するが、変化の速度と程度は、紙によって異なる。寸法安定性は「良い」特性であるが、典型的には、Tappi標準法T476 om−11(2011)に記載されているように、逆に「悪い」特性、すなわち、長さ又は幅の寸法の収縮率(初期値に対する割合として表す)を測定する。SCK及びグラシン剥離紙のように、リファイニングが高度なパルプから作られた紙ほど、水分を吸収しやすく、それにより、収縮及びカールしやすい傾向がある。理想的には、収縮率は約15%未満であるべきであるが、収縮率の現実的な目標は、下記の表Aの製造実行データによって示されているように、パルプのリファイニングレベルによって変動する。この表には、リファイニングレベルが高い紙の方がいかに収縮しやすいかが示されている。
寸法安定性は、図10にも示されている。上記のように、CNFの追加量が変動するのに応じて、収縮率が向上した。
実施例6:
実施例1と同様に、ハンドシートを調製する。Tappi T569 pm−00(2000)には、紙の繊維を結合した状態に保つ結合強度の尺度として、内部結合強度を試験する手順が記載されており、この手順では、衝撃により回転して、1枚の紙を裂開させるように引っ張っるヒンジ装置の使用を伴う。図11には、CNFをHW紙パルプ基材に加えると、内部結合強度が向上することが示されている。
実施例7:
広葉樹クラフト85%と針葉樹クラフトパルプ15%のブレンドとして、サッピ・ファイン・ペーパーズ・ノースアメリカ製のシナジーグレードの針葉樹晒クラフトパルプを、非塗工上質紙(UFS)の規格に適合するように、PFIラボリファイナーにて4000回転でリファイニングした。この完成紙料(SCF295)を対照としてハンドシートにした。試験サンプルには、TechPap Morphi Fiber Analyzerによって測定した場合に微細繊維率(長さ加重平均)が90%になるようにリファイニングしたCNFを100ppt(5%)加え、この完成紙料(CSF102)も、ハンドシートにした。表Bに、対照と試験シートの「良い」特性と「悪い」特性のいくつかが示されているとともに、良い特性の悪い特性に対する比率の算出値のいくつかも示されている。
上記の実施例から、「良い」特性(空隙度及び引張強度)の多くは、「悪い」特性(収縮率及び裂開力)と比べて大きな影響を受けることが分かる。良い特性の悪い特性に対する比率は、空隙度の比率については非常に高く、引張強度の比率に関しては、混沌としているが、引張強度の裂開力に対する比率は、やや向上する。
本発明の各種態様及び実施形態に関する上記の説明は、例示及び説明目的で示されている。全ての実施形態を網羅したり、又は開示した具体的な態様に本発明を限定したりすることは意図されていない。上記の教示に鑑み、明らかな修正形態又は変形形態が可能であり、そのような修正形態及び変形形態も、公正に合法的に公平に与えられる幅に従って解釈された添付の請求項によって定められた本発明の範囲内に入れることができる。

Claims (8)

  1. セルロース系材料から、セルロースナノファイバーを形成する方法であって、
    溝(110)によって隔てられた刃(110)の構成を有するステーター及びロータープレート(106、104)を有する第1の機械的リファイナー(100)で、前記セルロース系材料を処理して、前記第1のリファイナーによって第1のSELをもたらすことと、
    それに続き、溝によって隔てられた刃の構成であって、前記第1のリファイナーの前記構成とは異なる構成を有するステーター及びロータープレートを有する第2の機械的リファイナーで、前記セルロース系材料を処理して、前記第2のリファイナーによって第2のSELをもたらすことと、
    を含み、
    前記第1のSELが、前記第2のSELよりも大きく、
    前記第1のリファイナーの前記プレートの刃幅:溝幅の比が、前記第2のリファイナーの前記プレートの刃幅:溝幅の比よりも大きい方法。
  2. 前記第1のSELが前記第2のSELよりも2〜40倍大きい、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1のSELが約1.5〜約8.0J/mの範囲である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1のリファイナー(100)の前記プレート上の溝(110)によって隔てられた刃(108)の前記構成によって、前記第2のリファイナーの前記プレート上の溝によって隔てられた刃の前記構成のもたらすCELよりも短いCELをもたらす、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1のリファイナーの前記プレートの前記刃幅:溝幅の比が1.0以上であり、前記第2のリファイナーの前記プレートの前記刃幅:溝幅の比が1.0以下である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第1のリファイナーの前記刃の幅が3.0mm以上であり、前記第1のリファイナーの前記刃の幅が2.0以下である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記第1のリファイナーによる前記処理を、前記第2のリファイナーによる前記処理よりも遅いrpmで行う、請求項1に記載の方法。
  8. 前記セルロースナノファイバーの繊維長が、約0.2mm〜約0.5mmになるまで、前記第2のリファイナーによる前記処理を続ける、請求項1に記載の方法。
JP2016566602A 2014-05-07 2015-05-06 ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造 Active JP6622219B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201461989893P 2014-05-07 2014-05-07
US61/989,893 2014-05-07
US201462067053P 2014-10-22 2014-10-22
US62/067,053 2014-10-22
PCT/US2015/029396 WO2015171714A1 (en) 2014-05-07 2015-05-06 High efficiency production of nanofibrillated cellulose

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017515007A JP2017515007A (ja) 2017-06-08
JP6622219B2 true JP6622219B2 (ja) 2019-12-18

Family

ID=54392939

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016566602A Active JP6622219B2 (ja) 2014-05-07 2015-05-06 ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造

Country Status (9)

Country Link
US (1) US9988762B2 (ja)
EP (1) EP3140454B1 (ja)
JP (1) JP6622219B2 (ja)
CA (1) CA2948329C (ja)
ES (1) ES2772850T3 (ja)
MX (1) MX2016014446A (ja)
PL (1) PL3140454T3 (ja)
PT (1) PT3140454T (ja)
WO (1) WO2015171714A1 (ja)

Families Citing this family (44)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6622219B2 (ja) * 2014-05-07 2019-12-18 ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造
BR112016028230B1 (pt) * 2014-05-30 2022-05-17 Borregaard As Celulose microfibrilada e dispersão semelhante a gel da celulose microfibrilada
EP3286373B1 (en) 2015-04-23 2023-06-07 University of Maine System Board of Trustees Methods for the production of high solids nanocellulose
CA2988124C (en) * 2015-06-04 2023-01-17 Bruce Crossley Method of producing cellulose nanofibrils
US11214925B2 (en) 2015-08-21 2022-01-04 Pulmac Systems International, Inc. Method of preparing recycled cellulosic fibers to improve paper production
US10941520B2 (en) 2015-08-21 2021-03-09 Pulmac Systems International, Inc. Fractionating and refining system for engineering fibers to improve paper production
SE540016E (en) * 2015-08-27 2021-03-16 Stora Enso Oyj Method and apparatus for producing microfibrillated cellulose fiber
DE102015223027A1 (de) * 2015-11-23 2017-05-24 Voith Patent Gmbh Mahlgarnitur
US10870950B2 (en) 2016-03-21 2020-12-22 University Of Maine System Board Of Trustees Controlled porosity structural material with nanocellulose fibers
CN109071346B (zh) * 2016-04-04 2022-06-14 菲博林科技有限公司 用于在天花板、地板和建筑产品中提供增加的强度的组合物和方法
US11846072B2 (en) 2016-04-05 2023-12-19 Fiberlean Technologies Limited Process of making paper and paperboard products
ES2857512T3 (es) 2016-04-05 2021-09-29 Fiberlean Tech Ltd Productos de papel y cartón
US10570261B2 (en) 2016-07-01 2020-02-25 Mercer International Inc. Process for making tissue or towel products comprising nanofilaments
US10463205B2 (en) * 2016-07-01 2019-11-05 Mercer International Inc. Process for making tissue or towel products comprising nanofilaments
WO2018026804A1 (en) 2016-08-01 2018-02-08 Domtar Paper Company, Llc Surface enhanced pulp fibers at a substrate surface
JP6470236B2 (ja) * 2016-08-26 2019-02-13 大王製紙株式会社 水解性シート及び当該水解性シートの製造方法
JP6211160B1 (ja) * 2016-09-30 2017-10-11 大王製紙株式会社 水解性シート
JP6882873B2 (ja) * 2016-10-03 2021-06-02 大王製紙株式会社 セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法
US11499269B2 (en) 2016-10-18 2022-11-15 Domtar Paper Company Llc Method for production of filler loaded surface enhanced pulp fibers
CN110462130A (zh) * 2016-11-23 2019-11-15 苏扎诺有限公司 以降低的能耗集成生产纳米纤丝纤维素和迎合市场的高滤水性浆料的方法
US10731295B2 (en) 2017-06-29 2020-08-04 Mercer International Inc Process for making absorbent towel and soft sanitary tissue paper webs
US10865317B2 (en) 2017-08-31 2020-12-15 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Low-fluorine compositions with cellulose for generating superhydrophobic surfaces
US20200340182A1 (en) * 2017-10-06 2020-10-29 Council Of Scientific And Industrial Research A cellulose paper composite and process for preparation thereof
MX2020004225A (es) 2017-10-12 2020-07-22 Univ Maine System Metodo para producir papel y pulpa de mercado mejorada con compuesto.
US10794003B2 (en) 2018-01-02 2020-10-06 International Paper Company Apparatus and method for processing wood fibers
US11421382B2 (en) 2018-01-02 2022-08-23 International Paper Company Apparatus and method for processing wood fibers
US11001968B2 (en) 2018-01-02 2021-05-11 International Paper Company Apparatus and method for processing wood fibers
WO2019152969A1 (en) * 2018-02-05 2019-08-08 Pande Harshad Paper products and pulps with surface enhanced pulp fibers and increased absorbency, and methods of making same
SE541835C2 (en) * 2018-02-21 2019-12-27 Valmet Oy Refiner segment
US11352747B2 (en) 2018-04-12 2022-06-07 Mercer International Inc. Processes for improving high aspect ratio cellulose filament blends
EP3820934A1 (en) * 2018-07-10 2021-05-19 Cellutech AB Porous material of cellulose fibres and gluten
AT520178B1 (de) 2018-07-18 2019-02-15 Ing Michael Jarolim Dipl Vorrichtung und Verfahren zur Herstellung von Nanozellulose
AT520181B1 (de) * 2018-07-18 2019-02-15 Ing Michael Jarolim Dipl Vorrichtung und Verfahren zur Behandlung von Fasern
JP7187243B2 (ja) * 2018-10-05 2022-12-12 大王製紙株式会社 セルロース繊維の成形体及びその製造方法
CN109397120B (zh) * 2018-10-30 2020-07-28 陕西科技大学 一种等距弧形齿磨盘设计方法
DE102019104105B3 (de) * 2019-02-19 2020-06-18 Voith Patent Gmbh Mahlgarnitursegment
CA3131988A1 (en) * 2019-03-20 2020-09-24 Billerudkorsnas Ab Production method
WO2020198516A1 (en) 2019-03-26 2020-10-01 Domtar Paper Company, Llc Paper products subjected to a surface treatment comprising enzyme-treated surface enhanced pulp fibers and methods of making the same
SE543552C2 (en) 2019-07-04 2021-03-23 Stora Enso Oyj Refined cellulose fiber composition
EP3786357A1 (en) * 2019-08-28 2021-03-03 Valmet Technologies Oy Blade element pair for a refiner
US12104327B2 (en) 2019-09-23 2024-10-01 Domtar Paper Company, Llc Tissues and paper towels incorporating surface enhanced pulp fibers and methods of making the same
WO2021061747A1 (en) 2019-09-23 2021-04-01 Domtar Paper Company, Llc Paper products incorporating surface enhanced pulp fibers and having decoupled wet and dry strengths and methods of making the same
CN110695868B (zh) * 2019-10-17 2021-01-26 陕西科技大学 一种基于sel的等距直齿磨盘的设计方法
GEP20217270B (en) * 2020-09-18 2021-07-12 Gela Sulaberidze Method for wheat bran preparation for feeding purposes and equipment for implementation thereof

Family Cites Families (34)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4529137A (en) 1983-04-18 1985-07-16 Beloit Corporation Multiple disk refiner for low consistency refining of mechanical pulp
JPH073691A (ja) * 1993-05-21 1995-01-06 Tokushu Paper Mfg Co Ltd 填料含有紙
US5425508A (en) 1994-02-17 1995-06-20 Beloit Technologies, Inc. High flow, low intensity plate for disc refiner
US5954283A (en) * 1996-04-15 1999-09-21 Norwalk Industrial Components, Llc Papermaking refiner plates
US5740972A (en) * 1996-04-15 1998-04-21 Matthew; John B. Papermaking refiner plates
US5893525A (en) 1997-07-01 1999-04-13 Durametal Corporation Refiner plate with variable pitch
US6935589B1 (en) 1998-08-17 2005-08-30 Norwalk Industrial Components, Llc Papermaking refiner plates and method of manufacture
JP4823474B2 (ja) * 2001-03-12 2011-11-24 ノーウォーク インダストリアル コンポーネンツ, リミティッド ライアビリティ カンパニー ディスク型パルプミルのディスク間ギャップを推定する方法
MXPA04012799A (es) 2002-07-18 2005-03-31 Japan Absorbent Tech Inst Metodo y aparato para producir celulosa microfibrilada.
US7300540B2 (en) * 2004-07-08 2007-11-27 Andritz Inc. Energy efficient TMP refining of destructured chips
CA2507321C (en) * 2004-07-08 2012-06-26 Andritz Inc. High intensity refiner plate with inner fiberizing zone
DE07709298T1 (de) * 2006-02-08 2014-01-30 Stfi-Packforsk Ab Verfahren zur Herstellung von mikrofibrillierter Cellulose
CA2685882C (en) 2007-07-03 2015-12-29 Newpage Wisconsin System, Inc. Biodegradable and compostable high-barrier packaging material
US8734611B2 (en) * 2008-03-12 2014-05-27 Andritz Inc. Medium consistency refining method of pulp and system
DE102008059610A1 (de) * 2008-11-28 2010-06-02 Voith Patent Gmbh Verfahren zur Mahlung von wässrig suspendierten Zellstofffasern sowie Mahlgarnituren zu seiner Durchführung
JP5747818B2 (ja) * 2009-07-31 2015-07-15 王子ホールディングス株式会社 微細繊維状セルロースコンポジットシートの製造方法および微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法
WO2011098147A1 (de) * 2010-02-15 2011-08-18 Voith Patent Gmbh Verfahren zur mahlung von wässrig suspendierten zellstofffasern sowie mahlgarnitur zu seiner durchführung
JP2012036517A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 Daicel Corp セルロース繊維で構成された不織布及び蓄電素子用セパレータ
FI122776B (fi) * 2010-11-30 2012-06-29 Upm Kymmene Corp Menetelmä ja järjestelmä nanoselluloosan valmistamiseksi sekä nanoselluloosa
CA2824191C (en) * 2011-01-21 2015-12-08 Fpinnovations High aspect ratio cellulose nanofilaments and method for their production
FI125031B (fi) 2011-01-27 2015-04-30 Valmet Technologies Inc Jauhin ja teräelementti
JP5150792B2 (ja) * 2011-03-11 2013-02-27 Dic株式会社 変性セルロースナノファイバー、その製造方法及びこれを用いた樹脂組成物
FI126457B (fi) * 2011-11-14 2016-12-15 Upm Kymmene Corp Menetelmä fibrillisellun tuottamiseksi
US9085850B2 (en) * 2012-04-13 2015-07-21 Andritz Inc. Reversible low energy refiner plates
PL2847383T3 (pl) * 2012-05-11 2017-04-28 Södra Skogsägarna Ekonomisk Förening Sposób wytwarzania kompozycji zawierającej włókna masy celulozowej i włókna termoplastyczne
PT2861799T (pt) * 2012-06-13 2019-09-26 Univ Maine System Processo energeticamente eficiente para preparar fibras de nanocelulose
US9879361B2 (en) * 2012-08-24 2018-01-30 Domtar Paper Company, Llc Surface enhanced pulp fibers, methods of making surface enhanced pulp fibers, products incorporating surface enhanced pulp fibers, and methods of making products incorporating surface enhanced pulp fibers
FI125739B (fi) * 2012-12-27 2016-01-29 Valmet Technologies Inc Teräelementti ja jauhin
FI128835B (en) * 2013-05-14 2021-01-15 Upm Kymmene Corp Method and apparatus for producing nanofibril cellulose
DK3071517T3 (en) * 2013-11-22 2019-02-04 Univ Queensland nano Cellulose
FI127716B (en) * 2014-03-31 2018-12-31 Upm Kymmene Corp Method of manufacturing fibrillated cellulose
FI126042B (en) * 2014-03-31 2016-06-15 Upm Kymmene Corp Method for producing nanofibril cellulose and nanofibril cellulose product
JP6622219B2 (ja) * 2014-05-07 2019-12-18 ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造
SE540016E (en) * 2015-08-27 2021-03-16 Stora Enso Oyj Method and apparatus for producing microfibrillated cellulose fiber

Also Published As

Publication number Publication date
CA2948329A1 (en) 2015-11-12
US9988762B2 (en) 2018-06-05
ES2772850T3 (es) 2020-07-08
US20170073893A1 (en) 2017-03-16
PT3140454T (pt) 2020-02-25
CA2948329C (en) 2022-08-30
WO2015171714A1 (en) 2015-11-12
EP3140454B1 (en) 2019-11-13
EP3140454A4 (en) 2018-03-21
PL3140454T3 (pl) 2020-06-01
JP2017515007A (ja) 2017-06-08
EP3140454A1 (en) 2017-03-15
MX2016014446A (es) 2017-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6622219B2 (ja) ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造
Eriksen et al. The use of microfibrillated cellulose produced from kraft pulp as strength enhancer in TMP paper
González Tovar et al. Nanofibrillated cellulose as paper additive in eucalyptus pulps
CA2824191C (en) High aspect ratio cellulose nanofilaments and method for their production
US10563352B2 (en) Energy efficient process for preparing nanocellulose fibers
EP2941442B1 (en) A method of producing microfibrillated cellulose
Zambrano et al. Micro-and nanofibrillated cellulose from virgin and recycled fibers: A comparative study of its effects on the properties of hygiene tissue paper
Petroudy et al. Oriented cellulose nanopaper (OCNP) based on bagasse cellulose nanofibrils
Kasmani et al. Effect of nano-cellulose on the improvement of the properties of paper newspaper produced from chemi-mechanical pulping
US20120018110A1 (en) Fiber additive made from non-woody material and method of production and use
Hai et al. Effect of PFI mill and Valley beater refining on cellulose degree of polymerization, alpha cellulose contents, and crystallinity of wood and cotton fibers
FI125948B (fi) Paperin valmistusmenetelmä
Tozluoglu et al. Effects of cellulose micro/nanofibers as paper additives in kraft and kraft-NaBH4pulps
JP2012057268A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
Lamminen Understanding the fines in BCTMP process
Bolam Stuff Preparation for Paper and Paperboard Making: Monographs on Paper and Board Making
Annergren et al. Industrial beating/refining
Bajpai Technology developments in refining
WO2023180947A1 (pt) Processo de produção de celulose microfibrilada a partir de pasta kraft de alto rendimento, celulose microfibrilada obtida a partir do processo e pasta kraft e produtos papeleiros que compreendem a referida celulose microfibrilada
Gorski et al. Improved quality of SC magazine paper through enhanced fibre development using the ATMP process
Nikula Improving cost efficiency using microfibrillated cellulose in the industrial production of three-ply board
Sajaniemi Proof of concept for manufacturing microfibrillated cellulose
BR112016025912B1 (pt) Produção de alta eficiência de celulose nanofibrilada
Johakimu Investigation of the potential to develop high pulp strength from high yield Kraft pulp made from Pinus patula.
ÇİÇEKLER et al. Critical Role of Pulp Beating in Enhancing Paper Quality, Production Efficiency, and Sustainability in the Papermaking Industry

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180406

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181009

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190611

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190909

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6622219

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250