JP6622051B2 - シートパッド、及びシートパッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シートに用いるシートパッド、及びシートパッドの製造方法に関する。
車両用のシートには、クッション性を有するシートパッドが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のシートパッドには、平坦なシート状とされた弾性付与部材が埋設されており、弾性付与部材の一部がシートパッド表面に露出している。このシートパッドは、上記のように弾性付与部材を埋設することで、底突き状態に至らないようにすると共に、運転者の姿勢の保持性を高めている。
特開2005−131277号公報
特許文献1のシートパッドでは、弾性付与部材を成形型に固定し発泡成形するため、弾性付与部材の周辺の一部がシートパッドの表面から露出して見えていた。そのため、弾性付与部材に荷重が加わり変形すると同時に、弾性付与部材の表面に露出している部分周辺のクッション材の表面が弾性付与部材で引っ張られ、乗員が違和感を有することがあった。
車両用のシートのシートクッションに用いるシートパッドとしては、底突き感を更に改善すると共に、着座姿勢の安定性を更に向上することが望まれている。また、シートバックに用いるシートパッドにおいても、同様の性能向上が望まれている。
本発明は、違和感の抑制、底突き感を更に改善すると共に、着座姿勢の安定性を更に向上したシートパッド、並びにシートパッドの製造方法の提供を目的とする。
請求項1に記載のシートパッドは、乗員の荷重を支持する発泡樹脂製のクッション材と、前記クッション材に全体が囲まれて前記クッション材中に埋設され、前記乗員の幅方向中央側が乗員側の表面に向けて凸となるように湾曲形成され、前記クッション材よりも曲げ剛性が高く、前記乗員の幅方向一方側から他方側へ向けて延設される面状の弾性付与部材と、を有し、
前記クッション材は、前記弾性付与部材の前記表面側に設けられる第1の発泡樹脂と、前記弾性付与部材の前記表面側とは反対側、及び前記弾性付与部材に対し前記乗員の幅方向と交差し、かつ前記クッション材の厚み方向と交差する方向の両側に設けられ前記第1の発泡樹脂よりも高弾性とされた第2の発泡樹脂と、を含んで構成されている。
シートパッドに乗員の荷重が作用すると、シートパッドは、クッション材が圧縮されると共に、乗員側の表面に向けて凸となるように湾曲形成され、全体がクッション材で囲まれた弾性付与部材が、曲率半径が大となる方向に変形、言い換えれば、凸形状が平坦になる方向へ変形し、さらに大きな荷重が作用すれば、乗員側とは反対側へ凸となるように変形して、乗員の荷重を支持する。
弾性付与部材は、クッション材に全体が囲まれるようにクッション材中に埋設されており、クッション材表面に露出していないので、弾性付与部材の変形時にクッション材表面が引っ張られ難くなり、乗員が違和感を生じ難くなる。
そして、弾性付与部材は、乗員側の表面に向けて凸となるように湾曲形成されているので、請求項1に記載のシートパッドは、平坦な弾性付与部材を用いたシートパッドに比較して、ストローク感を確保、言い換えれば、クッション感を発揮させることが可能となり、底突き感を改善することができる。また、弾性付与部材は、荷重を支持すると、曲率半径が大となる方向に変形、言い換えれば、凸形状が平坦になる方向へ変形し、さらには、乗員側とは反対側へ凸となるように変形する、言い換えれば、乗員の尻下部に沿った形状に変形するので着座姿勢の安定性を向上することが可能となる。
さらに、請求項1に記載のシートパッドでは、相対的に低弾性とされた第1の発泡樹脂が弾性付与部材の乗員側に設けられ、相対的に高弾性とされた第2の発泡樹脂が乗員側とは反対側に設けられているため、弾性付与部材よりも乗員側の部分に、より良好な着座感を付与でき、弾性付与部材よりも裏面側の部分で乗員をより保持することができ、底突き感を抑制し、更に着座姿勢の安定性を向上することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートパッドにおいて、前記クッション材は、シートクッションパッドであり、前記弾性付与部材は、前記シートクッションパッドの前後方向中央部よりも後方寄りに配置される。
乗員が着座すると、シートクッションパッドの前後方向中央部よりも後方寄りに乗員の臀部が位置する。このため、弾性付与部材は、乗員の臀部の下側で乗員の荷重を支持することができる。また、最も荷重が掛る位置に弾性付与部材が配置されるので、確実に底突き感を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のシートパッドにおいて、前記クッション材は、シートバックパッドであり、前記弾性付与部材は、前記シートバックパッドの上下方向中央部よりも下方寄りに配置される。
請求項3に記載のシートパッドでは、乗員が着座すると、乗員の骨盤がシートバックパッドの上下方向中央部よりも下方寄りに位置する。このため、弾性付与部材は、乗員の骨盤から受けるシートバックパッド側への荷重を支持することができる。また、最も荷重が掛る位置に弾性付与部材が配置されるので、確実に底突き感を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のシートパッドにおいて、前記クッション材の厚さが40〜60mmである 。
クッション材の厚さを40〜60mmの範囲内とすることで、薄いシートパッドにおいて、底突き感を抑制しつつ、運転者の姿勢の保持性を高めることができる。
請求項5に記載の発明は、乗員の荷重を支持する発泡樹脂製のクッション材と、前記クッション材に全体が囲まれて前記クッション材中に埋設され、前記乗員の幅方向中央側が乗員側の表面に向けて凸となるように湾曲形成され、前記クッション材よりも曲げ剛性が高く、前記乗員の幅方向一方側から他方側へ向けて延設される面状の弾性付与部材と、を有するシートパッドを製造するシートパッドの製造方法であって、成形型から弾性付与部材が離間するように前記弾性付与部材を支持部材で支持する工程と、前記成形型に発泡樹脂材料を注入し、型締めして、シートパッドを発泡成形する工程と、前記成形型を型開きして発泡成形された前記シートパッドを脱型して前記支持部材を前記シートパッドから取り除く、又は前記支持部材を前記シートパッドから取り除いて前記シートパッドを脱型する工程と、を有する。
請求項5に記載のシートパッドの製造方法では、最初の工程で、成形型から弾性付与部材が離間するように弾性付与部材を支持部材で支持する。言い換えれば、成形型の中で、弾性付与部材は成形型の内面に接触しないように宙吊りとなる。
次の工程では、成形型に発泡樹脂材料を注入し、型締めして、シートパッドを発泡成形する。これにより、弾性付与部材全体が発泡樹脂で覆われ、発泡樹脂中に埋設される。
次の工程では、成形型を型開きして発泡成形されたシートパッドを脱型して支持部材をシートパッドから取り除く、又は支持部材をシートパッドから取り除いてシートパッドを脱型する。これにより、弾性付与部材全体が発泡樹脂で覆われ、発泡樹脂中に埋設されたシートパッドが得られる。したがって、シートパッドに弾性付与部材を容易に埋設することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のシートパッドを製造するシートパッドの製造方法において、前記シートパッドは、シートパッド本体部の乗員の幅方向両側にサイド部を備え、前記発泡樹脂材料は、前記弾性付与部材と前記成形型の下型との間に注入される第1発泡樹脂材料と、前記弾性付与部材と前記成形型の上型との間、及び前記サイド部を形成する成形部に注入され前記第1発泡樹脂材料で成形されるクッション材よりも硬いクッション材を成形する第2発泡樹脂材料とに分けられている。
請求項6に記載のシートパッドの製造方法では、弾性付与部材と成形型の下型との間に第1発泡樹脂材料が注入され、弾性付与部材と成形型の上型との間、及びサイド部を形成する成形部に、第1発泡樹脂材料で成形されるクッション材よりも硬いクッション材を成形する第2発泡樹脂材料が注入される。
これにより、弾性付与部材の乗員側が第1発泡樹脂材料で成形されたクッション材、弾性付与部材の乗員側とは反対側、及びサイド部が第1発泡樹脂材料で成形されたクッション材よりも硬い第2発泡樹脂材料で成形されたクッション材からなるシートパッドを得られる。
以上説明したように本発明のシートクッションによれば、違和感の抑制、底突き感を更に改善すると共に、着座姿勢の安定性を更に向上することができる、という優れた効果を有する。なお、本発明のシートパッドは、座部に限られず背もたれ部についても適用することができる。
また、本発明のシートクッションの製造方法によれば、違和感の抑制、底突き感を更に改善すると共に、着座姿勢の安定性を更に向上したシートクッションを得ることができる、という優れた効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係るシートパッドを用いた車両用シートを示す側面図である。 (A)は、シートクッションを示す平面図であり、(B)は図2(A)に示すシートクッションを示す幅方向断面であり、(C)は乗員が着座したシートクッションを示す幅方向断面図である。 (A)は、シートバックを示す正面図であり、(B)は図3(A)に示すシートバックを示す幅方向断面であり、(C)は乗員が着座したシートバックを示す幅方向断面図である。 (A)はシートクッションパッドを成形する成形型を示す幅方向断面図であり、(B)は第1の樹脂液を配置した下型を示す幅方向断面図であり、(C)は第1の樹脂液、第2の樹脂液、及び弾性付与部材を配置した下型を示す幅方向断面図である。 (A)は第1の樹脂液を配置した下型を示すシート前後方向断面図であり、(B)は第1の樹脂液、第2の樹脂液、及び弾性付与部材を配置した下型を示すシート前後方向断面図であり、(C)は第1の樹脂液、第2の樹脂液、及び弾性付与部材を配置した成形型を示すシート前後方向断面図である。 (A)はシート固定治具で弾性付与部材を支持したシートクッションパッドを示す平面図であり、(B)はシート固定治具で支持された弾性付与部材を示す断面図であり、(C)はシート固定治具を引き抜いたシートクッションパッドを示す平面図であり、(D)はシート固定治具を引き抜いたシートクッションパッドを示す幅方向断面図(図6(C)の6(D)−6(D)線断面図)である。 第2の実施形態に係るシートクッションパッドの製造方法に用いる成形型の下型を示すシート前後方向断面図である。 (A)は第3の実施形態に係るシートクッションパッドの製造方法に用いる成形型の下型を示す平面図であり、(B)は図8(A)に示す下型のシート前後方向断面図である。 (A)は他の実施形態に係るシートクッションパッドを示す幅方向断面図であり、(B)は他の実施形態に係るシートバックパッドを示す幅方向断面図である。
[第1の実施形態]
図1〜図6を用いて、本発明に係るシートパッドの第1の実施形態について説明する。
図1には、シートクッション12と、シートバック14とを備えた車両用シート16が示されている。
シートクッション12は、表皮(図示省略)の内部に、シートクッションパッド18を備えている。シートクッションパッド18は、後述する発泡樹脂からなるクッション材20と、クッション材20に埋設された弾性材料からなる面状の弾性付与部材22とを含んで構成されている。
シートバック14は、表皮(図示省略)の内部に、シートバックパッド24を備えている。シートバックパッド24は、クッション材26と、クッション材26に埋設された面状の弾性付与部材28とを含んで構成されている。ここで、クッション材20、及びクッション材26は、言い換えると、弾性を有し、荷重を付与すると圧縮され、荷重を除去することで自身の弾性で元の形状に戻る弾性部材のことである。また、弾性付与部材22、及び弾性付与部材28の面状とは、言い換えると、シート状のことである。なお、弾性付与部材22、及び弾性付与部材28は、バネ板であっても良い。
(シートクッションパッド)
図2(A),(B)に示すように、シートクッションパッド18は、シート幅方向中央がシートパッド本体部29とされ、シートパッド本体部29のシート幅方向両側がシートパッド本体部29よりも盛り上がるように形成されたサイド部30とされている。
シートクッションパッド18の内部に埋設される弾性付与部材22は、本実施形態では、一定厚さのシート状で形成されている。弾性付与部材22は、シートクッションパッド18を平面視して矩形とされ、シートクッションパッド18を前後方向から見て、言い換えれば、シートクッションパッド18をシート幅方向断面で見て、乗員P側、言い換えれば、シートクッション12の表面である上側に向けて凸となるように湾曲している。
なお、弾性付与部材22は、単一の曲率で湾曲しても良く、幅方向中央側の曲率を小として幅方向両側の曲率を大とする形態、幅方向中央側の曲率を大として幅方向両側の曲率を小とする形態等、大小複数の曲率で湾曲していても良い。
弾性付与部材22は、シートクッションパッド18を横方向から見て、シート前側が後側よりも高くなるように傾斜配置しても良い。
本実施形態の弾性付与部材22に用いるシート状部材は、湾曲させる前は、一定厚さで平坦なものであるが、微小な凹凸が複数形成されていても良く、微小な孔が複数形成されていても良い。
また、弾性付与部材22の幅方向両側部は、円筒状に丸められた治具差込部32とされている。この治具差込部32は、シートクッションパッド18を成形する際に、後述するシート固定治具68が差し込まれる部位である。また、シートクッションパッド18のクッション材20には、シート固定治具68を引き抜いた痕の孔34が形成されている。
本実施形態のシートクッションパッド18のクッション材20は、第1の発泡樹脂36と第2の発泡樹脂38との2層構造とされている。クッション材20は、シートパッド本体部29における弾性付与部材22の乗員P側、言い換えれば、シート表面側が低弾性の第1の発泡樹脂36で形成され、その他の部分、言い換えれば、弾性付与部材22の乗員P側とは反対側のシート裏面側、弾性付与部材22のシート前後方向両側、及びサイド部30が高弾性の第2の発泡樹脂38で形成されている。
第2の発泡樹脂38が、相対的に第1の発泡樹脂36よりも高弾性であるとは、言い換えれば、第2の発泡樹脂38が、相対的に第1の発泡樹脂36よりも硬いことを意味する。また、硬いとは、鉛直方向のバネ定数が高いこと、言い換えれば、鉛直方向下方に荷重を掛けて圧縮した際の圧縮量が小さいことを意味する。
第1の発泡樹脂36、及び第2の発泡樹脂38には、一例として、軟質ポリウレタンフォームを用いることができる。軟質ポリウレタンフォームの好適な実施形態は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームである。
弾性付与部材22は、第1の発泡樹脂36、及び第2の発泡樹脂38よりも曲げ剛性が高い合成樹脂、ゴム等で形成することができ、用いる材料に特に制限は無いが、第1の発泡樹脂36、及び第2の発泡樹脂38に対して接着性が良い材料が好ましい。なお、曲げ剛性が高いとは、言い換えると曲げのばね定数が高いことを意味する。
図1、及び図2に示すように、弾性付与部材22は、乗員Pの荷重を支持するように、車両用シート16に着座した乗員Pの臀部の下方に位置している。言い換えると、弾性付与部材22は、シートクッションパッド18の幅方向中央側、かつシートクッションパッド18の乗員荷重支持領域の前後方向中央部、言い換えれば、乗員荷重支持領域の前後方向中央位置よりも後方寄りに配置されている。言い換えれば、弾性付与部材22は、乗員Pの荷重が集中的にかかる領域に配置されている。本実施形態では、弾性付与部材22の幅が、シートパッド本体部29の幅と略同一に設定されている。
ここで、乗員荷重支持領域とは、乗員Pの荷重を支持可能な領域のことであり、シートクッションパッド18の上面の内で、シートバック14の鉛直方向下方の領域よりも前側の領域を意味する。
本実施形態における乗員Pのサイズは、一例として、自動車室内寸法測定用三次元座位人体模型(3DM−JM 50)と同じサイズである。
弾性付与部材22は、クッション材20の厚さ方向の中間部に配置されており、シートクッションパッド18の外表面に露出しないように、全体が第1の発泡樹脂36、及び第2の発泡樹脂38によって完全に覆われている。
なお、シートクッションパッド18において、クッション材20のシートパッド本体部29の厚さ(平均値)は、40〜60mmの範囲内に設定することが好ましい。
また、シートクッションパッド18の表面側には、シートパッド本体部29とサイド部30との境界部分に、シート前後方向に沿って延びる溝40が形成されていると共に、シートパッド本体部29をシート前後方向に3つの部分、言い換えれば、前方部29A、中間部29B、後方部29Cに分割する溝42、及び溝44が形成されている。
(シートバックパッド)
図3(A),(B)に示すように、シートバックパッド24は、シート幅方向中央がシートパッド本体部25とされ、シートパッド本体部25の幅方向両側がシートパッド本体部25よりも盛り上がるように形成されたサイド部27とされている。
シートバックパッド24の内部に埋設される弾性付与部材28は、一定厚さのシート状とされている。弾性付与部材28は、シートバックパッド24を平面視して矩形とされ、シートバックパッド24を上下方向から見て、言い換えれば、シートバックパッド24をシート幅方向断面で見て、乗員P側、言い換えれば、前側(矢印F方向側)に向けて凸となるように湾曲している。
また、弾性付与部材28の幅方向両側部は、円筒状に丸められた治具差込部46とされている。この治具差込部46は、シートバックパッド24を成形する際に、シートクッションパッド18を成形する際に用いたシート固定治具68と同様の図示しないシート固定治具が差し込まれる部位である。また、シートバックパッド24のクッション材26には、シート固定治具を引き抜いた痕の孔48が形成されている。
シートバックパッド24のクッション材26は、第1の発泡樹脂50と第2の発泡樹脂52との2層構造とされている。シートクッションパッド18は、シートパッド本体部25の弾性付与部材28の乗員側、言い換えれば、シート表面側が低弾性の第1の発泡樹脂50とされ、その他の部分、言い換えれば、弾性付与部材28の乗員側とは反対側のシート背面側、弾性付与部材28のシート上下方向両側、及びサイド部27が第2の発泡樹脂52とされている。第1の発泡樹脂50、及び第2の発泡樹脂52は、シートクッションパッド18と同様の軟質ポリウレタンフォームを用いることができる。
弾性付与部材28は、第1の発泡樹脂50、及び第2の発泡樹脂52よりも曲げ剛性が高い合成樹脂、ゴム等で形成することができ、用いる材料に特に制限は無いが、第1の発泡樹脂50、及び第2の発泡樹脂52に対して接着性が良い材料が好ましい。
弾性付与部材28は、乗員Pが車両用シート16に着座した際に乗員Pの骨盤Ppの後方に位置し、主として乗員Pの臀部から腰にかけた部分のシート後方へ向かう荷重を支持できるように、シートバックパッド24の幅方向中央側で、かつ上下方向中央部よりも下方寄りに配置されている。本実施形態では、弾性付与部材28の幅が、シートパッド本体部25の幅と略同一に設定されている。
本実施形態の弾性付与部材28は、シートバックパッド24の厚さ方向の中間部に配置されており、全体が第1の発泡樹脂50、及び第2の発泡樹脂52によって完全に覆われている。このため、弾性付与部材28は、シートバックパッド24の外表面に露出していない。
なお、シートバックパッド24の表面側には、シートパッド本体部25とサイド部27との境界部分に、シート上下方向に沿って延びる溝54が形成されている。
また、シートバックパッド24において、クッション材26のシートパッド本体部25の厚さ(平均値)は、40〜60mmの範囲内に設定することが好ましい。
(シートクッションパッド18の製造方法)
図4には、シートクッションパッド18を成形する成形型64の幅方向縦断面が示されており、図5には、成形型64の幅方向中心線に沿った前後方向縦断面が示されている。
成形型64は、上型64A、及び下型64Bを含んで構成されており、上型64Aは、図示しない駆動装置で上下方向に移動可能とされている。上型64Aは、シートクッションパッド18の上面側、言い換えれば、表面側を成形し、下型64Bは、シートクッションパッド18の裏面側、言い換えれば、下面側を成形する。
下型64Bには、シートクッションパッド18の表面側、言い換えれば、シートパッド本体部29とサイド部30の形状に合致するキャビティ56が形成されており、キャビティ56の底面には、シートクッションパッド18の溝40、溝42、及び溝44を形成するための突条58、60、62が形成されている。したがって、キャビティ56の底面は、これら突条58、60、62により、シートクッションパッド18の前方部29Aに対応した前部領域56A、中間部29Bに対応した中間領域56B、後方部29Cに対応した後部領域56C、サイド部30に対応した側部領域30Aに区画されている。
また、下型64Bには、矢印F方向側の端部(シートクッションパッド18としてのシート前方側)に、一対のシート固定治具68が屈曲可能に取り付けられている。シート固定治具68は、ワイヤー材等で形成されており、突条62の上部に載るようにシート前後方向に沿って配置することができる。このシート固定治具68は、弾性付与部材22の幅方向両側部に設けられた治具差込部32に抜き差し可能とされている。
なお、上型64Aには、シートクッションパッド18の裏面側の形状に合致するキャビティ70が形成されている。
(シートクッションパッドの成形)
次に、シートクッションパッド18の成形手順(1)〜(6)を説明する。
(1) シート固定治具68を立て(図5(A)参照)、シート固定治具68を弾性付与部材22の治具差込部32に差し込んで(図6(B)参照)、弾性付与部材22をシート固定治具68で保持する。
(2) 図4(B)に示すように、下型64Bのキャビティ56の底部に設けられた中間領域56Bに、後に第1の発泡樹脂36となる発泡剤の含まれた第1の樹脂液(発泡すると第1の発泡樹脂36となる発泡原液)36Aを配置し、図5(A)に示すように、前部領域56A、後部領域56C、及び側部領域30A(図5(A)では図示せず)に、後に第2の発泡樹脂38となる発泡剤の含まれた第2の樹脂液(発泡すると第2の発泡樹脂38となる発泡原液)38Aを配置する。
(3) シート固定治具68を倒し、弾性付与部材22を下型64Bに接しないように宙に浮いた状態で保持する。
(4) 図4(C)に示すように、弾性付与部材22の上部に、第2の樹脂液38Aを配置する。
なお、中間領域56Bに配置された第1の樹脂液36Aは、周囲が突条58、突条60、及び突条62で囲まれ、上方が弾性付与部材22で覆われるので、後から第2の樹脂液38Aを配置した際に、第1の樹脂液36Aと第2の樹脂液38Aとが混ざることを抑制できる。
(5) 図5(C)に示すように、成形型64を閉じ、成形型64内で第1の樹脂液36A、及び第2の樹脂液38Aを発泡固化させ、シートクッションパッド18を成形する。
(6) 第1の樹脂液36A、及び第2の樹脂液38Aが発泡して固化した後、成形型64を開き、シートクッションパッド18からシート固定治具68を引き抜き(図6(A)参照)、成形型64からシートクッションパッド18を取り出す。図6(C),(D)に示すように、シートクッションパッド18のクッション材20には、シート固定治具68を引き抜いた後に孔34が形成される。なお、成形型64からシートクッションパッド18を取り出してから、シート固定治具68を引き抜いても良い。
なお、図示は省略するが、シートバックパッド24もシートクッションパッド18と同様の工程を経て成形型(図示せず)で成形することができる。
(作用、効果)
次に、本実施形態のシートクッション12の作用、効果を説明する。
乗員Pが車両用シート16に着座すると、シートクッションパッド18に乗員Pの荷重が作用し、シートクッションパッド18が荷重を受けて圧縮されて凹むと共に、乗員P側の表面に向けて凸となるように湾曲形成された弾性付与部材22が、曲率半径が大となる方向に変形、言い換えれば、凸形状が平坦になる方向へ変形し、さらには、乗員P側とは反対側へ凸となるように変形して、乗員Pの荷重を支持する。
乗員P側の表面に向けて凸となるように湾曲形成された弾性付与部材22を上記のように変形させることで、平坦な弾性付与部材を変形させる場合に比較して、ストローク感を確保、言い換えるとクッション感を確保することが可能となり、底突き感を改善することができる。また、弾性付与部材22が、乗員P側とは反対側へ凸となるように変形して乗員Pの尻下部に沿った形状に変形するので、着座姿勢の安定性を向上することが可能となる。
弾性付与部材22は、クッション材20に全体が囲まれるようにクッション材20中に埋設されており、クッション材20表面に露出していないので、弾性付与部材22の変形時にクッション材20表面が引っ張られ難くなり、言い換えれば、クッション材20が局所的に大きく変形し難くなり、着座した乗員Pが臀部にて違和感を生じ難い。
なお、弾性付与部材22の一部が仮にシートクッション12の外表面に露出して外側に配置される部材に接触していると、弾性変形しようとする弾性付与部材22の動きが拘束されることとなり、荷重を受けた弾性付与部材22全体を適正に変形させることができなくなる場合がある。しかし、本実施形態のように、弾性付与部材22全体がクッション材20に囲まれていれば、弾性付与部材22の動きがシートクッション12の外側に配置される部材で拘束されることは無く、荷重を受けた弾性付与部材22全体を適正に変形させることが可能となる。
また、シートクッションパッド18は、弾性付与部材22の上側に配置される第1の発泡樹脂36が低弾性で、下側に配置される第2の発泡樹脂38が高弾性であるので、弾性付与部材22よりも乗員P側の部分において、より良好な着座感を付与できる、言い換えれば、乗員Pが着座した際の感触が軟らかくなり、弾性付与部材22よりも裏面側の部分で乗員Pをより保持することができ、底突き感を抑制し、更に着座姿勢の安定性を向上することが可能となる。さらに、クッション材20のシートパッド本体部29の厚さを40〜60mmの範囲内とすることで、薄いシートクッションパッド18において、底突き感を抑制しつつ、乗員Pの姿勢の保持性を高めることができる。
シートパッド本体部29のシート幅方向両側に配置されるサイド部30は、着座した乗員Pの臀部を側部から支持することができるので、コーナリング等において、乗員Pの横方向の移動を抑え、操縦安定性を向上することができる。
なお、シートクッションパッド18のクッション材20には、孔34が形成されているので、クッション材20の通気性を向上させることができる。
次に、シートバックパッド24の作用、効果を説明する。
乗員Pが車両用シート16に着座し、シートバックパッド24に乗員Pの荷重が作用すると、シートバックパッド24が圧縮されて凹むと共に、乗員P側の表面に向けて凸となるように湾曲形成された弾性付与部材28が、曲率半径が大となる方向に変形、言い換えれば、凸形状が平坦になる方向へ変形し、さらには、乗員P側とは反対側へ凸となるように変形して、乗員Pの荷重を支持することができる。
乗員P側の表面に向けて凸となるように湾曲形成された弾性付与部材28を上記のように変形させることで、平坦な弾性付与部材を変形させる場合に比較して、高い反発弾性、言い換えれば、クッション感を発揮させることが可能となる。さらに、弾性付与部材28全体がクッション材26に囲まれているため、弾性付与部材28は、乗員Pの荷重に対してクッション材26と共に変位変形して、違和感無くホールド感が得られる。
また、シートバックパッド24は、弾性付与部材28の乗員P側に配置される第1の発泡樹脂50が低弾性で、乗員P側とは反対側に配置される第2の発泡樹脂52が高弾性であるので、弾性付与部材28よりも乗員P側の部分において、より良好な着座感を付与できる、言い換えれば、乗員Pが着座した際の感触が軟らかくなり、弾性付与部材28よりも裏面側の部分で乗員Pをより保持することができ、底突き感を抑制し、更に着座姿勢の安定性を向上することが可能となる。さらに、クッション材26のシートパッド本体部25の厚さを40〜60mmの範囲内とすることで、薄いシートバックパッド24において、底突き感を抑制しつつ、乗員Pの姿勢の保持性を高めることができる。
シートパッド本体部25のシート幅方向両側に配置されるサイド部27は、着座した乗員Pを側部から支持することができるので、コーナリング等において、乗員Pの横方向の移動を抑え、操縦安定性を向上することができる。
なお、シートバックパッド24のクッション材26には、孔48が形成されているので、クッション材26の通気性を向上させることができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なるシートクッションパッド18の製造方法を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態の製造方法において、成形型64の下型64Bは、矢印F方向側が上側となるように傾斜しており、第1の実施形態の下型64Bで用いられていたシート固定治具68の代わりに、キャビティ56の中間領域56Bに弾性付与部材22を宙に浮かせて支持するピン72が設けられている。なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態では、最初に、弾性付与部材22をピン72に載せて支持し、その後、弾性付与部材22の矢印F方向側の中間領域56B(平面視で弾性付与部材22で隠れていない部分)に向けて、上から第1の樹脂液36Aを注入することで、第1の樹脂液36Aを斜めになった中間領域56B上を傾斜方向下側へ注入して弾性付与部材22の下側へ配置することができる。また、本実施形態では、最初に中間領域56Bに、第1の樹脂液36Aを注入して配置し、その後、弾性付与部材22をピン72に載せて支持することもできる。
このように、本実施形態の成形型64を用いることで、弾性付与部材22の配置と第2の樹脂液38Aの配置との配置順序の制約を無くすことができる。また、本実施形態では、第1の樹脂液36Aを配置した後にシート固定治具68を倒したり、シート固定治具68を引き抜く工程が不要となる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、第1の実施形態、及び第2の実施形態とは異なるシートクッションパッド18の製造方法を説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図8(A)に示すように、本実施形態の製造方法では、弾性付与部材22の中央に孔74が形成されている。
したがって、本実施形態では、最初に、弾性付与部材22をピン72に載せて支持し、その後、孔74を介して弾性付与部材22の下側の中間領域56Bに第1の樹脂液36Aを注入することができる。また、本実施形態では、最初に中間領域56Bに第1の樹脂液36Aを注入して配置し、その後、弾性付与部材22をピン72に載せて支持することもできる。したがって、本実施形態も、弾性付与部材22の配置と、第1の樹脂液36Aの配置との配置順序の制約を無くすことが可能となる。
上記実施形態の第1の発泡樹脂、第2の発泡樹脂として、例えば、以下に記載する軟質ポリウレタンフォームを用いることができる。
以下に、軟質ポリウレタンフォーム、及びその製造方法の一例を説明する。
軟質ポリウレタンフォームの好適な実施形態は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームである。上記発泡原液を構成するより好適な材料の特徴として、下記(A)〜(C)が挙げられる。
(A) ポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3000〜12000であり、且つ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。(B) 架橋剤成分として発泡原液中に含まれる化合物の全体(架橋剤の総体)におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)は100以上である。
(C) ポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をイソシアネート当量で70以上含有する。
<ポリオール成分>
前記発泡原液を構成するポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3,000〜12,000であり、且つ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。上記ポリエーテルポリオールとしては、反応性が良好であることから、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好ましい。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられる。ポリエーテルポリオールの材料として使用されるアルキレンオキシドは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールとしては、原料活性の観点から、上記PO及びEOを併用して得られたポリエーテルポリオールが好適である。POとEOとの配合比(モル比)は特に限定されず、例えば、EO/PO(モル比)として、8/92〜25/75が好ましく、13/87〜20/80がより好ましい。EO/PO(モル比)が上記範囲であると、反応性が良好なポリエーテルポリオールを容易に生成することができる。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの一分子中に含まれるヒドロキシル基(官能基)の数は3〜4個であることが好ましい。これらの好適な範囲であると、発泡原液の粘度が適度となり、優れた物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。なお、任意成分として、前記(A)のポリエーテルポリオールに加えて、官能基が2個のポリエーテルポリオールを併用しても構わない。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの重量平均分子量Mwとしては、3,000〜12,000が好ましく、3,000〜8,000がより好ましく、5,000〜8,000がさらに好ましい。ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が12,000以下であると、前記発泡原液の粘度が大きくなりすぎず、撹拌効率が良好になる。一方、ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が3,000以上であると、良好な反発弾性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によってポリスチレン換算値として算出した値である。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの不飽和度は、0.03ミリ当量/g以下であることが好ましい。上記不飽和度が0.03ミリ当量/g以下であると、耐久性等の物性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、「不飽和度」とは、JIS K 1557−1970に準拠し、試料中の不飽和結合に酢酸第二水銀を作用させて遊離する酢酸を水酸化カリウムで滴定する方法にて測定した、総不飽和度(ミリ当量/g)を意味する。
前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールが1種類である場合、重量平均分子量が7000以上であり、且つ、官能基が4個(4官能)であるポリエーテルポリオールが含有されることが好ましい。当該ポリエーテルポリオールであると、発泡成形によって得られた軟質ポリウレタンフォームをシート用パッドとして使用した場合のぐらつき感を大幅に低減することができ、操縦安定性を向上することができる。
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリオール成分の総質量に対する、前記(A)のポリエーテルポリオールに該当する1種類又は2種類以上のポリエーテルポリオールの合計の含有量は、60質量%以上が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましく、85〜100質量%が最も好ましい。
前記発泡原液を構成するポリオール成分として、前記ポリエーテルポリオールに加えて、ポリマーポリオールを併用しても良い。前記ポリマーポリオールとしては、ポリウレタン発泡成形体用として汎用されるポリマーポリオールが適用可能である。例えば、ポリアルキレンオキシドからなる重量平均分子量Mwが3,000〜8,000、より好ましくは4,000〜7,000のポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオールが挙げられる。前記ポリアルキレンオキシドの原料となるアルキレンオキシドとしては、官能基(重合性基)としてプロピレンオキシド(PO)を含むアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドのみを含むアルキレンオキシド、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシド(EO)を共に含むアルキレンオキシドがより好ましい。また、上記ポリマーポリオールの総質量に対する上記ポリマー成分の含有量は、25〜50質量%であることが好ましい。
前記発泡原液を構成するポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールのみを用いてもよく、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールの混合物を用いてもよい。
ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールとの混合物を用いる場合の混合比としては、ポリエーテルポリオールが100%未満、ポリマーポリオールが0%を超えればよく、ポリエーテルポリオール/ポリマーポリオール(質量比)として、70/30〜99/1が好ましく、80/20〜99/1がより好ましく、85/15〜99/1がさらに好ましい。混合物を用いる場合に混合比が上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。
<ポリイソシアネート成分>
前記発泡原液を構成するポリイソシアネート成分として、ジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネート当量で70以上含有する。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、ポリウレタンフォームの分野で一般的に使用されるポリイソシアネート成分である。具体的なMDIとしては、一般にモノメリックMDIと称される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4-MDI)、2,
4−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4-MDI)、2,2−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(2,2-MDI)、ポリメリックMDI、粗(クルード)MDI等が挙げられる。
前記発泡原液において、1種類のMDIが単独で含有されてもよいし、2種類以上のMDIが含有されてもよい。
前記発泡原液に含まれるポリイソシアネートの総量を表す「イソシアネート当量」は、前記発泡原液中の活性水素量(モル)を100とした時の、イソシアネート基のモル比を意味する。
前記発泡原液に含まれるMDIに由来するイソシアネート当量は、少なくとも70以上であり、70〜120が好ましく、80〜100がより好ましい。上記イソシアネート当量が70以上であると、発泡原液の撹拌不良を防ぐことができる。上記イソシアネート当量が120以下であると、フォームの崩壊の発生を防ぐことができる。
任意成分として、前記(C)のMDIに加えて、MDI以外の公知のポリイソシアネート成分を少量加えても構わない。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートの1種類又は2種類以上の合計の含有量は、70質量%以上が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、95〜100質量%が最も好ましい。
また、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートを構成するピュアMDIの含有量は、40質量%以上が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜85質量%がさらに好ましく、60〜80質量%が最も好ましい。
<架橋剤成分>
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームが所望の物性を有するために、前記発泡原液を構成する架橋剤成分として、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が水よりも高い架橋剤が、主成分として含まれることが好ましい。通常、グリセリン、エチレンオキシド基を有する架橋剤(EO系架橋剤)、水、プロピレンオキシド基を有する架橋剤(PO系架橋剤)の順で、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が低下する。これに基づいて、前記発泡原液に架橋剤として含有される1種又は2種以上の化合物の全体が有するEO基とPO基のモル比(EO基のモル数/PO基のモル数)は100以上であることが好ましく、105以上であることがより好ましく、110以上であることがさらに好ましい。このモル比は高い程好ましい。つまり、好適には、前記発泡原液において、PO基を有する架橋剤が実質的には含有されないことが好ましい。
ここで、エチレンオキシド基(EO基)は、エチレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。プロピレンオキシド基(PO基)は、プロピレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。
具体的な架橋剤成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の架橋剤が適用できる。架橋剤の分子量は、通常1000以下であることが好ましい。上記EO基/PO基のモル比を大きくする観点から、「EO(基)/PO(基)=100/0」と表示された市販の架橋剤が好ましい。
前記発泡原液に含まれる架橋剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記発泡原液に含まれる架橋剤成分の合計の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲の上限値以下であると、独泡性が高くなりすぎたり、成形が困難になったり、フォームの崩壊を防止できる。上記範囲の下限値以上であると、架橋剤の効果が十分に得られる。
<発泡剤成分>
前記発泡原液を構成する発泡剤成分としては、水を用いることが好ましい。水はポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生するため、発泡剤として機能する。
前記発泡原液中の水の含有量としては、ポリオール成分100質量部に対して、1〜7質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。また、得られた軟質ポリウレタンフォームの熱圧縮残留歪み特性が劣化することを防止できる。
<触媒成分>
前記発泡原液を構成する触媒成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の触媒が挙げられる。公知の触媒としては、アミン系触媒、スズ触媒が挙げられる。
通常、公知の触媒は大きく分けて、ポリウレタンの樹脂化を促進する樹脂化触媒と、ポリイソシアネート成分の発泡を促す泡化触媒と、に分類される。
好適な樹脂化触媒は、ポリイソシアネートとポリオールの反応を特に促進する第三級アミン触媒であり、特に限定するものではないが、例えば、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、及び1−メチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)が挙げられる。また好適な泡化触媒は、イソシアネ−トと水の反応を特に促進し、炭酸ガスを有効に発生させる第三級アミン触媒であり、一般的にフォームの流動性、寸法安定性改良に使用される。泡化触媒としては特に限定するものではないが、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、及びN,N,N′,N″,N''' ,N''' −ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等が挙げられる。
前記発泡原液には、触媒成分として、樹脂化触媒及び泡化触媒のうち、少なくとも樹脂化触媒が含有されることが好ましい。
前記発泡原液に含有される、樹脂化触媒:泡化触媒の質量比は、100:0〜100:100が好ましく、100:0〜100:50がより好ましく、100:0〜100:20がさらに好ましい。
前記アミン系触媒としては、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化(ゲル化)反応を促進し、ウレタン結合生成を促進するために、ゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1以下である樹脂化触媒を用いることが好ましい。
ここで、ゲル化触媒定数は、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体の架橋密度が高くなって発泡体の機械的物性が良好になる。具体的には、トリレンジイソシアネートとジエチレングリコールとのゲル化反応の反応定数が用いられる。一方、泡化触媒定数は、ポリイソシアネート類と水との泡化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体のセルの連通性が高められる。具体的には、トリレンジイソシアネートと水との泡化反応の反応定数が用いられる。上記2つの触媒定数の比は、両方の触媒のバランスを表す。
好適なアミン系触媒の例を、前記樹脂化触媒の具体例も含めて以下に例示する。
前記樹脂化触媒の具体例として、前述した触媒も含めて、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物、N,N,N′,N
′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミ
ン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N′,N′−テト
ラメチルグアニジン、135−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の第3級アミン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダ
ゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、その他N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N′−(2−ジメチルア
ミノエチル)ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−
メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。
前記発泡原液における前記アミン系触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜0.4質量部であることが好ましく、0.2〜0.4質量部であることがより好ましく、0.3〜0.4質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値0.1質量部以上であるとフォームの崩壊を防止できる。上記範囲の上限値0.4質量部以下であると独立気泡となってシュリンクが発生することを防止できる。
前記スズ触媒の具体例としては、スタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、オクチル酸スズ等の公知の有機スズ触媒が挙げられる。
前記発泡原液における前記スズ触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.01〜0.4質量部であることがより好ましく、0.01〜0.2質量部であることが更に好ましい。
<整泡剤成分>
前記発泡原液には、整泡剤が含まれてもよい。整泡剤としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の整泡剤が適用可能であり、例えば、シリコーン系整泡剤、アニオン系整泡剤、カチオン系整泡剤が挙げられる。これらの整泡剤には、分子鎖末端に水酸基を有する整泡剤が含まれる。
前記発泡原液における整泡剤の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましく、0.3〜0.8質量部が更に好ましい。通常、5質量部以下の含有割合で、整泡剤としての効果が充分に得られる。また、0.1質量部以上の含有割合であると、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の攪拌性が向上し、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。
<その他の任意成分>
前記発泡原液には、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。例えば、顔料等の着色剤、鎖延長剤、炭酸カルシウム等の充填材、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを配合することができる。各種添加剤の配合量は、用途や目的に応じて適宜調整される。
<発泡原液の調製方法>
前記発泡原液の調製方法は、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート成分を除いた、残りの各成分からなる混合物(以下、「ポリオール混合物」と略記することがある。)を調製し、その後、ポリイソシアネート成分と混合して、発泡原液を得る調製方法が挙げられる。
前記ポリオール混合物の調製は、発泡剤である水と触媒成分との接触を減らすために、ポリオール成分に対して、まず触媒成分を混合し、次いで、整泡剤成分、架橋剤成分、及び必要に応じて任意成分を混合し、最後に、発泡剤である水を混合することが好ましい。
その後、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する工程において、前記ポリオール混合物とポリイソシアネート成分とを混合し、発泡原液を調製することが好ましい。
調製された前記ポリオール混合物の液温25℃における粘度は、2,400mPa・s以下であることが好ましく、1,800mPa・s以下であることがより好ましい。これらの好適な粘度範囲であると、発泡原液の攪拌効率が良好となり、発泡原液の全体で均一に充分な量の発泡が得られ、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォーム(発泡成形体)が得られ易くなる。
前記発泡原液を使用して、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する方法は、特に制限されず、例えば、金型内に形成されたキャビティ内に発泡原液を注入し、発泡成形する公知の方法が適用できる。
上記の公知の方法において、発泡原液を構成する各成分の分離を防止するために、キャビティ内に発泡原液を注入する直前に、上述の各成分を混合して発泡原液を調製することが好ましい。注入する発泡原液の液温は、10〜50°Cであることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、25〜35°Cであることが更に好ましい。金型の温度は、40〜80°Cであることが好ましく、50〜70°Cであることがより好ましく、60〜65°Cであることが更に好ましい。発泡原液の液温及び金型の温度が上記の好適な範囲であると、適切な発泡が得られる。発泡に続いて、金型内において硬化させた後、脱型することによって、目的の軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで得られた軟質ポリウレタンフォームについて、公知の破泡処理を更に施してもよい。
<軟質ポリウレタンフォームの厚み方向における剛性分布について>
発泡成形の方法によらず、本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームは、発泡成形時の下層から上層へ向かう厚み方向(すなわち鉛直線に沿う上向きの方向)に向かって、徐々に剛性(硬度)が高まる傾向にある。つまり、本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームの厚み方向の剛性分布が、連続的な増加傾向又は減少傾向を示す。ここで、軟質ポリウレタンフォームの発泡成形時の下層から上層へ向かう方向に見るとその剛性分布は増加傾向を示すが、同じ軟質ポリウレタンフォームを発泡成形時の上層から下層へ向かう方向に見るとその剛性分布は減少傾向を示す。
本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームが上記の剛性分布を呈するメカニズムの詳細は不明であるが、前記発泡原液を構成する各成分の組み合わせが要因であると考えられる。特に、架橋剤成分が有する主な重合性基(反応性基)がEO基であり、架橋効果が実質的に発揮される程度のPO基が架橋剤成分に含まれないこと、及び、ポリイソシアネート成分の大部分として、MDIが含まれ、TDIが少ない又は含まれないこと、が大きな要因であると考えられる。また、架橋剤成分としてグリセリンが含有されること、触媒成分として樹脂化触媒が含有されていることも、上記の剛性分布が呈されることに少なからず寄与していると考えられる。
また、上記の剛性分布を呈する軟質ポリウレタンフォームを厚み方向に切断したとき、その断面に現れる発泡セル形状の扁平の度合が、発泡成形時の上層から下層へ向けて、徐々に大きくなる傾向が見られる。つまり、発泡成形により得られた軟質ポリウレタンフォームにおいて、発泡成形時の下層に位置する発泡セルは、重力方向に押し潰されて横に長い扁平形状(楕円形状)を呈し、中層に位置する発泡セルにおける扁平の度合は比較的緩和されて円に近づき、上層に位置する発泡セルにおける扁平の度合は更に緩和されて、より一層円に近くなる傾向が見られる。このように、軟質ポリウレタンフォームの厚み方向の断面に現れる発泡セルの形状の変化は、上記の剛性分布の傾向と相関があると考えられる。
なお、軟質ポリウレタンフォームの「軟質」は、それを手で押したり、その上に座ったりしたときに、当該軟質ポリウレタンフォームが変形して凹む程度の硬さ(剛性)であることを意味する。
上記軟質ポリウレタンフォームを形成する発泡原液は新規な組成を有する。この結果、着座時の適度な反発力、及び横方向への加速度が加わったと場合のぐらつき感の低減により、従来と異なる快適な座り心地と安定感、言い換えれば、操縦安定性が得られる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
弾性付与部材を備えた実施例1,2のシートパッドと、弾性付与部材を備えていない比較例1のシートパッドを製造し、操縦安定性(横方向のGが加わったときのぐらつき感)、乗り心地性(上下方向の振動吸収性)、及び底突き感の比較を行った。
シートパッドの構造は、第1の実施形態のものとした。
表1に示す配合で樹脂の発泡原液を調整し、この原液を成形型に注入して発泡成形することにより材料AまたはBからなるシートパッド本体部を得た。
「ポリエーテルポリオールA1−2」は、EO/POモル比13/87、数平均重量平均分子量7000、官能基数3である。
「ポリマーポリオールA2−1」は、固形分33%、水酸基価23mgKOH/g、重量平均分子量5400、3.2官能のポリマーポリオール(三洋化成工業株式会社製、商品名:KC855)である。
「架橋剤C−1」は、EO/POモル比100/0、重量平均分子量400、官能基数4である。
「触媒D−1」は、市販の樹脂化触媒であり、トリエチレンジアミンである。
「触媒D−2」は、市販の泡化触媒であり、(2−ジメチルアミノエチル)エーテルである。
「整泡剤E−1」は、エボニック社製のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)である。
「発泡剤F−1」は、水である。
「ポリイソシアネート(B−1)」は、DOW社製の「NE150」と称されるMDI系のイソシアネートである。TDI系のイソシアネートは実質的に含まれない。
「ポリイソシアネート(B−2)」は、(市販のポリイソシアネートであり、TDI/MDI=80/20(質量比)で混合されたTDI系イソシアネートである。)
乗り心地性、操縦安定性、及び底突き感は、試作したシートを備えた車両をテストドライバーが試験コースを走行させ、官能評価を行った。乗り心地性、操縦安定性、及び底突き感の評価は、A,B,Cの3段階評価とし、Aが最も優れており、B、Cの順で性能が低下することを意味している。
試験の結果、弾性付与部材を備えた実施例1,2は、弾性付与部材を備えていない比較例1に比較して操縦安定性、乗り心地性、及び底突き感が向上していることが分かった。
また、材料Aを用いて成形した実施例1は、材料Bを用いて成形した実施例2よりも操縦安定性、乗り心地性、及び底突き感が更に向上していることが分かった。
さらに、実施例1の材料を用いたことにより材料そのものが着座面から裏面にかけて硬度が硬くなり、加えて弾性付与部材により硬度を調整できる為、より乗り心地性、操縦安定性、及び底突き感を向上することができる。
一方、比較例1の材料Bは、着座面から裏面の間の層に最も柔らかい部分を有する。この構成により、横方向のGが加わった場合に、着座面に近い表層よりも深い中層において軟質ポリウレタンフォームが横ヅレする感触が生じて、ぐらつき感が生じ易い。その為、乗り心地性、操縦安定性及び底突き感が不十分であることが分かった。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
第1の実施形態では、シートクッションパッド18のクッション材20、及びシートバックパッド24のクッション材26が各々硬さの異なる2種類の発泡樹脂で形成されていたが、図9(A)、(B)に示すように、シートクッションパッド18のクッション材20、及びシートバックパッド24のクッション材26を1種類の発泡樹脂で形成することもでき、各々硬さの異なる3種類以上の発泡樹脂で形成することもできる。
上記実施形態では、弾性付与部材22、弾性付与部材28が一定厚さのシート状であったが、幅方向中央部の厚さが厚く幅方向両側が薄い形態、また、幅方向中央部の厚さが薄く、幅方向両側が厚い形態等、部分的に厚さが異なっていても良い。
弾性付与部材22の両端部は、サイド部30の中まで延びていても良く、同様に、弾性付与部材28の両端部は、サイド部27の中まで延びていても良い。
上記実施形態では、弾性付与部材22がシートクッションパッド18の幅方向中央側、かつシートクッションパッド18の乗員荷重支持領域の前後方向中央部、言い換えれば、乗員荷重支持領域の前後方向中央位置よりも後方寄りに配置されていたが、該前後方向中央位置よりも前方側に延びて配置されていても良い。
上記実施形態では、弾性付与部材28がシートバックパッド24の幅方向中央側で、かつ上下方向中央部よりも下方寄りに配置されていたが、該上下方向中央部よりも上方側へ延びて配置されていても良い。
上記実施形態では、クッション材20の厚さ(平均値)を40〜60mmとしたが、40〜60mm以外の厚さとしても良い。なお、クッション材26の厚さも同様である。
18…シートクッションパッド(シートパッド)、20…クッション材、24…シートバックパッド(シートパッド)、26…クッション材、22…弾性付与部材、27…サイド部、28…弾性付与部材、30…サイド部、36…第1の発泡樹脂、36A…第1の樹脂液(第1発泡樹脂材料)、38…第2の発泡樹脂、38A…第2の樹脂液(第2発泡樹脂材料)、64…成形型、64A…上型、68…シート固定治具(支持部材)

Claims (6)

  1. 乗員の荷重を支持する発泡樹脂製のクッション材と、
    前記クッション材に全体が囲まれて前記クッション材中に埋設され、
    前記乗員の幅方向中央側が乗員側の表面に向けて凸となるように湾曲形成され、前記クッション材よりも曲げ剛性が高く、前記乗員の幅方向一方側から他方側へ向けて延設される面状の弾性付与部材と、
    有し、
    前記クッション材は、前記弾性付与部材の前記表面側に設けられる第1の発泡樹脂と、前記弾性付与部材の前記表面側とは反対側、及び前記弾性付与部材に対し前記乗員の幅方向と交差し、かつ前記クッション材の厚み方向と交差する方向の両側に設けられ前記第1の発泡樹脂よりも高弾性とされた第2の発泡樹脂と、を含んで構成されている、シートパッド。
  2. 前記クッション材は、シートクッションパッドであり、
    前記弾性付与部材は、前記シートクッションパッドの前後方向中央部よりも後方寄りに配置される、請求項1に記載のシートパッド。
  3. 前記クッション材は、シートバックパッドであり、
    前記弾性付与部材は、前記シートバックパッドの上下方向中央部よりも下方寄りに配置される、請求項1に記載のシートパッド。
  4. 前記クッション材の厚さが40〜60mmである、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のシートパッド。
  5. 乗員の荷重を支持する発泡樹脂製のクッション材と、前記クッション材に全体が囲まれて前記クッション材中に埋設され、前記乗員の幅方向中央側が乗員側の表面に向けて凸となるように湾曲形成され、前記クッション材よりも曲げ剛性が高く、前記乗員の幅方向一方側から他方側へ向けて延設される面状の弾性付与部材と、を有するシートパッドを製造するシートパッドの製造方法であって、
    成形型から弾性付与部材が離間するように前記弾性付与部材を支持部材で支持する工程と、
    前記成形型に発泡樹脂材料を注入し、型締めして、シートパッドを発泡成形する工程と、
    前記成形型を型開きして発泡成形された前記シートパッドを脱型して前記支持部材を前記シートパッドから取り除く、又は前記支持部材を前記シートパッドから取り除いて前記シートパッドを脱型する工程と、
    を有するシートパッドの製造方法。
  6. 前記シートパッドは、シートパッド本体部の乗員の幅方向両側にサイド部を備え、
    前記発泡樹脂材料は、前記弾性付与部材と前記成形型の下型との間に注入される第1発泡樹脂材料と、前記弾性付与部材と前記成形型の上型との間、及び前記サイド部を形成する成形部に注入され前記第1発泡樹脂材料で成形されるクッション材よりも硬いクッション材を成形する第2発泡樹脂材料とに分けられている、請求項5に記載のシートパッドを製造するシートパッドの製造方法。
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