JP6584274B2 - シートパッド - Google Patents

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Description

本発明は、シートに用いるシートパッドに関する。
従来技術として、例えば、特許文献1に記載されているように、全体が2層からなるウレタンフォーム製のシートパッドが知られている。シートパッドを硬さの異なる2層のウレタンフォームで構成することで、1層のウレタンフォームで構成した場合に比較して操縦安定性、及び乗り心地性を向上させることができる。
特開平9−140956号公報
自動車に用いるシートにおいては、操縦安定性、及び乗り心地性のさらなる向上が求められている。
また、シートパッドを2層構造とすると、各々のウレタンフォームの層を別々の成形型で成形した後、2つの層を一体化させる方法、または第1の成形型で成形した一方の層を第2の成形型にセットし、第2の成形型の中で一方の層に他方の層を一体成形する方法等があるが、何れも成形時の作業が煩雑となる。
本発明は、操縦安定性、及び座り心地を確保し、成形時の作業が容易になるシートパッドの提供を目的とする。なお、本発明のシートパッドは、座部に限られず背もたれ部についても適用することができる。
請求項1に記載のシートパッドは、発泡樹脂製のクッション材を含んで構成され、乗員が着座するシートパッド本体部と、前記シートパッド本体部の着座側と反対側の面に配置される補強材と、前記補強材に設けられ、前記クッション材よりも硬く、前記クッション材に埋設され着座側に向けて延在し、前記シートパッド本体部の厚さ方向の高さが異なる複数の硬度調整部材と、を有する。
請求項1に記載のシートパッドでは、シートパッド本体部に硬度調整部材を配置することで、シートパッド本体部の硬さを微妙に調整でき、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
硬度調整部材は、クッション材よりも硬く、クッション材の着座側と反対側の面に配置される補強材に設けられているため、クッション材の下側を上側に比較して相対的に硬くすることができる、即ち、乗員の着座側となるクッション材の上側を下側に比較して相対的に軟らかくすることができる。これにより、乗員が着座した際の感触が軟らかく、かつシートパッド本体部に着座した乗員の臀部を保持し易くなり、操縦安定性、及び乗り心地性を確保することができる。
さらに、請求項1に記載のシートパッドでは、複数の硬度調整部材のシートパッド厚さ方向の高さを、乗員と対向する位置に応じて異ならせることができるため、シートパッド本体部の硬さを部位毎にきめ細かく調整することができる。
また、硬度調整部材を設けた補強材と発泡する液状の樹脂を成形型に注入して成形型内で樹脂を発泡硬化させることで、クッション材中に硬度調整部材が延在したシートパッドを容易に成形することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートパッドにおいて、前記硬度調整部材が、板状である。
請求項2に記載のシートパッドでは、硬度調整部材が板状とされているため、硬度調整部材を座屈変形、または曲げ変形させ、クッション材の硬さを変えることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のシートパッドにおいて、前記硬度調整部材が、前記シートパッド本体部の幅方向に対して交差する方向に延在している。
請求項3に記載のシートパッドは、硬度調整部材がシートパッド本体部の幅方向に対して交差する方向に延在しているため、硬くなる部分を用いて乗員の臀部をシート幅方向両側から包み込む構成とすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のシートパッドにおいて、前記硬度調整部材が、前記シートパッド本体部の厚さ方向に対して傾斜している。
請求項4に記載のシートパッドでは、硬度調整部材がシートパッド本体部の厚さ方向、即ち、鉛直方向に対して傾斜しているので、硬度調整部材に対して鉛直方向から荷重が作用した際に、硬度調整部材を曲げ変形させることができる。
これにより、硬度調整部材が設けられている部分に乗員が着座したときの見掛けの硬さを低下させることができ、硬度変化による違和感を低減することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のシートパッドにおいて、前記硬度調整部材は、浸透性を有する部材に樹脂が含浸硬化されて前記クッション材よりも硬くなっている。
請求項5に記載のシートパッドでは、浸透性を有する部材に樹脂を含浸硬化させることで、硬度調整部材をクッション材よりも硬くしている。また、浸透性を有する部材に樹脂が含浸するので、シートパッドを成型する際、浸透性を有する部材の周囲に樹脂が回って空隙を生ずる事無く発泡する。これにより、シートパッド本体部のクッション材を欠肉させずに成形することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のシートパッドにおいて、前記硬度調整部材は、前記クッション材よりも硬く、発泡樹脂の樹脂部分が含浸していない部材である。
請求項6に記載のシートパッドでは、硬度調整部材がクッション材よりも硬く、発泡樹脂の樹脂部分が含浸していない部材であるため、硬度調整部材自身の硬さでシートパッド本体の硬さを容易に調整することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のシートパッドにおいて、複数の前記硬度調整部材が前記シートパッド本体部の幅方向に沿って配置され、前記シートパッド本体部の幅方向外側に配置される前記硬度調整部材が、前記シートパッド本体部の幅方向中央側に配置される前記硬度調整部材よりも高さが高い。
シートパッド本体部の幅方向外側に配置される硬度調整部材の高さを、シートパッド本体部の幅方向中央側に配置される硬度調整部材よりも高くすることで、シートパッド本体部の硬くなる部分の高さが幅方向両側で高く、幅方向中央側で低くすることができる。これにより、硬くなる部分が乗員の臀部のカーブに沿うようになり、操縦安定性、及び乗り心地性を更に向上することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載のシートパッドにおいて、前記クッション材は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームであり、前記ポリオールとして、重量平均分子量Mwが3000〜12000であり且つ官能基数が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有し、前記架橋剤として含まれる化合物の全体におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)が100以上であり、前記ポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネート当量で70以上含有する。
請求項9に記載のシートパッドは、発泡樹脂製のクッション材を含んで構成され、乗員が着座して前記乗員の荷重が作用するシートパッド本体部と、前記シートパッド本体部の幅方向両側に配置され前記乗員の臀部を側部から支持するサイド部と、前記シートパッド本体部の着座側と反対側の面に配置される補強材と、前記補強材に設けられ、板状に形成され、前記クッション材よりも硬く、前記クッション材に埋設されて着座側、及びシートパッド本体部の幅方向と交差する方向に向けて延在し板面を前記シートパッド本体部の幅方向に向けた硬度調整部材と、を有する。
請求項9に記載のシートパッドでは、シートパッド本体部に硬度調整部材を配置することで、シートパッド本体部の硬さを微妙に調整でき、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
硬度調整部材は、クッション材よりも硬く、クッション材の着座側と反対側の面に配置される補強材に設けられているため、クッション材の下側を上側に比較して相対的に硬くすることができる、即ち、乗員の着座側となるクッション材の上側を下側に比較して相対的に軟らかくすることができる。これにより、乗員が着座した際の感触が軟らかく、かつシートパッド本体部に着座した乗員の臀部を保持し易くなり、操縦安定性、及び乗り心地性を確保することができる。
また、硬度調整部材を設けた補強材と発泡する液状の樹脂を成形型に注入して成形型内で樹脂を発泡硬化させることで、クッション材中に硬度調整部材が延在したシートパッドを容易に成形することができる。
以上説明したように本発明のシートパッドによれば、操縦安定性、及び座り心地性を確保し、成形時の作業が容易になる、という優れた効果を有する。
第1の実施形態に係るシートパッドを備えた車両用シートを示す斜視図である。 (A)は第1の実施形態に係るシートパッドを示す平面図であり、(B)は図2(A)に示すシートパッドをシート幅方向に切断して見た断面図である。 硬度調整部材を長手方向から見た側面図である。 (A)は第2の実施形態に係るシートパッドを示す平面図であり、(B)は図4(A)に示すシートパッドをシート幅方向に切断して見た断面図である。 (A)は第3の実施形態に係るシートパッドを示す平面図であり、(B)は図5(A)に示すシートパッドをシート幅方向に切断して見た断面図である。 (A)は第4の実施形態に係るシートパッドを示す平面図であり、(B)は図6(A)に示すシートパッドをシート幅方向に切断して見た断面図である。 第6の実施形態に係るシートパッドを示す平面図である。 第6の実施形態の他の例に係るシートパッドを示す平面図である。 第7の実施形態に係るシートパッドの硬度調整部材付近を示すシート幅方向に切断して見た断面図である。 (A)は第8の実施形態に係るシートパッドを示す平面図であり、(B)は図10(A)に示すシートパッドをシート幅方向に切断して見た断面図である。 (A)は第9の実施形態に係るシートパッドを示す平面図であり、(B)は図11(A)に示すシートパッドをシート幅方向に切断して見た断面図である。 (A)は参考例に係るシートパッドを示す平面図であり、(B)は図12(A)に示すシートパッドをシート幅方向に切断して見た断面図である。
[第1の実施形態]
図1〜図3を用いて、本発明の第1の実施形態に係るシートパッド10について説明する。
図1には、シートクッション12と、シートバック14とを備えた車両用シート16が示されている。
シートクッション12は、図2に示すシートパッド10を備えている。シートパッド10は、シートパッド本体部18と、シートパッド本体部18の幅方向両側に配置されるサイド部20とを備えている。図2(B)に示すように、サイド部20は、シートパッド本体部18よりも盛り上がるように形成されている。
シートパッド本体部18は、第1の発泡樹脂からなる第1のクッション材18Aを備えており、サイド部20は、第2の発泡樹脂からなる第2のクッション材20Aを備えている。なお、第2の発泡樹脂は、第1の発泡樹脂よりも硬さが硬い仕様となっている。
図1、及び図2(B)に示すように、シートパッド本体部18の上面、及び側面、即ち、シートパッド本体部18、及びサイド部20の上面、及び側面は、表皮24で覆われている。
図2(B)に示すように、シートクッション12の着座側とは反対側の面、即ち、シートパッド本体部18の下面、及びサイド部20の下面は、第1のクッション材18A、及び第2のクッション材20Aを保護するためにシート状の補強材26で覆われている。
なお、補強材26は、言い換えれば保護シートである。
本実施形態の補強材26には、液状の樹脂を浸み込ませることができる、即ち、浸透性を有する織布が用いられている。なお、補強材26としては、不織布等を用いることもできる。織布、及び不織布に用いる繊維は、合成繊維であっても良く、天然繊維であっても良い。
補強材26には、複数の硬度調整部材28が取り付けられている。本実施形態の硬度調整部材28は、補強材26と同じ材料で形成されており、図3に示すように、帯状の材料を幅方向中央部二つ折りにして得た本体部分28Aと、本体部分28Aの端側を折り曲げて形成した端部分28Bとを備えた、長手方向から見て略逆T字形状を呈している。これらの硬度調整部材28は、端部分28Bが補強材26に縫い付けられている。なお、硬度調整部材28は、端部分28Bを補強材26に接着剤で固定しても良い。
図2、及び図3に示すように、硬度調整部材28は、一定厚さとされた本体部分28Aが補強材26から鉛直方向上側(矢印U方向)に向けて延びていると共に、シート幅方向と交差する方向、即ち、シート前後方向(矢印A方向)に沿って延びている。即ち、本実施形態の硬度調整部材28は、本体部分28Aが板状部材となっており、本体部分28Aが第1のクッション材18Aに埋設されている。また、本実施形態では、シートクッション12を平面視して、硬度調整部材28は、主にシート前後方向の後側に配置されている。
硬度調整部材28は、シートパッド本体部18の幅方向中央を挟んでシート幅方向両側に2個ずつ離間して配置されており、シート幅方向中央側の硬度調整部材28は、シート幅方向外側の硬度調整部材28よりも高さが低く設定されている。
硬度調整部材28は、第1のクッション材18Aの樹脂部分(発泡していない固相部分)が織布に含浸して形成されており、第1のクッション材18A(気泡を有する部分)よりも硬くなっている。このため、シートパッド本体部18は、硬度調整部材28の設けられている部分が、硬度調整部材28の設けられていない部分に比較して、着座した乗員Pは硬く感じる。なお、ここでいう硬いとは、鉛直方向のバネ定数が高いこと、即ち、鉛直方向下方に荷重を掛けて圧縮した際の圧縮量が小さいことを意味する。
(シートパッドの製造方法)
シートパッド10を製造するには、樹脂含有前の硬度調整部材28の取り付けられた補強材26を成形型内にセットした後、成形型の中央側に、後にシートパッド本体部18の第1のクッション材18Aとなる発泡剤の含まれた第1の樹脂液(発泡すると第1の発泡樹脂となる発泡原液)を注入し、成形型のシート幅方向両側に後にサイド部20の第2のクッション材20Aとなる発泡剤の含まれた第2の樹脂液(発泡すると第2の発泡樹脂となる発泡原液)を注入し、成形型を閉じて成形型内で第1の樹脂液、及び第2の樹脂液を発泡成形される。
そして、これら第1の樹脂液、及び第2の樹脂液が膨張する過程で、第1の樹脂液が硬度調整部材28を構成する織布に浸み込み、成形型内の空間部分で第1の樹脂液、及び第2の樹脂液が発泡し、固化することでシートパッド10を形作る。
ここで、硬度調整部材28を構成する織布は通気性を有して第1の樹脂液が含浸するので、硬度調整部材28を構成する織布の周囲に第1の樹脂液が回って空隙を生ずる事無く発泡する。したがって、シートパッド本体部18の第1のクッション材18Aを欠肉させずに発泡成形することができる。
第1の樹脂液が発泡して得られた第1の発泡樹脂、及び第2の樹脂液が発泡して得られた第2の発泡樹脂は、無数の気泡を有してクッション性、即ち、弾性を有するものとなるが、硬度調整部材28に浸み込んだ第1の樹脂液は発泡しないため、織布に第1の樹脂液が含浸硬化した硬度調整部材28は、第1の発泡樹脂よりも硬い板状となる。
(作用、効果)
次に、本実施形態のシートパッド10の作用、効果を説明する。
図2(B)に示すように、乗員Pがシートクッション12に着座すると、シートパッド本体部18に乗員Pの荷重が作用し、第1のクッション材18Aが圧縮されて凹む。
シートパッド本体部18の第1のクッション材18Aには、第1のクッション材18Aよりも硬い硬度調整部材28が複数埋設されているため、シートパッド本体部18の部位毎の硬さを調整することができる。
シートパッド本体部18においては、第1のクッション材18Aの第1の発泡樹脂よりも硬い硬度調整部材28が、第1のクッション材18Aの下面側に設けられているため、第1のクッション材18Aの下側部分を上側部分に比較して相対的に硬くすることができる、即ち、第1のクッション材18Aの上側部分を下側部分に比較して相対的に軟らかくすることができる。
硬度調整部材28は、シートパッド幅方向に対して交差する方向、即ち、シートパッド前後方向に延在しているため、第1のクッション材18Aの硬度調整部材28で硬くなった部分が、シートパッド前後方向に延在することになる。
さらに、シートパッド幅方向外側に配置される硬度調整部材28の高さが、シートパッド幅方向中央側に配置される硬度調整部材28よりも高いため、シート前後方向から見て、シートパッド本体部18は、硬度調整部材28で硬くなった部分が、乗員Pの臀部のカーブHLに沿うように設けられることとなり、乗員Pの臀部をシート幅方向両側から包み込む構成となる。このため、本実施形態のシートパッド10は、乗員Pの臀部を保持し易くなる。なお、板状とされた硬度調整部材28は、弾性変形可能な一種の板ばねとなり、乗員Pからの荷重により、座屈変形、または曲げ変形することができる。
このように本実施形態のシートパッド本体部18の硬さが複数の硬度調整部材28で調整されているため、本実施形態のシートパッド10は、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
また、シートパッド本体部18のシート幅方向両側に配置されるサイド部20は、着座した乗員Pの臀部を側部から支持することができるので、コーナリング等において、乗員Pの横方向の移動を抑え、操縦安定性を確保することができる。
なお、シートパッド10の幅が498mm、シートパッド10の前後方向寸法(奥行き)が568mm、シートパッド本体部18の厚さが84mm、シートパッド本体部18の幅が320mmの場合、シート幅方向最外側の硬度調整部材28の高さは、60mm程度とすることが好ましい。また、互いに隣り合う硬度調整部材28の間隔は、5〜50mmの範囲内が好ましく、20〜40mmの範囲内が更に好ましい。なお、本発明は、これらの寸法に限定されるものではない。
[第2の実施形態]
図4を用いて、本発明の第2の実施形態に係るシートパッド10について説明する。本実施形態は第1の実施形態の変形例であり、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態のシートパッド10では、シート幅方向中央部を挟んで両側に、各々3つの硬度調整部材28が設けられている。シート幅方向最外側の硬度調整部材28が最も高く、その内側の硬度調整部材28がシート幅方向最外側の硬度調整部材28よりも低く形成されている。
このように、シート幅方向に設置する硬度調整部材28の数を増やし、シート幅方向中央側に向けて高さを低くすることで、シートパッド10の硬度調整部材28で硬くなった部分が、乗員Pの臀部のカーブHLにより沿うように設けられることとなり、乗員Pの臀部をより保持し易くなる。これにより、操縦安定性を更に向上することができる。
[第3の実施形態]
図5を用いて、本発明の第3の実施形態に係るシートパッド10について説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
前述した第1の実施形態の硬度調整部材28は、長手方向から見て本体部分28Aが補強材26に対して直角で、補強材26から鉛直方向上側へ延びていたが、図5に示すように、本実施形態の硬度調整部材28は、本体部分28Aの上端側が下端側(補強材26側)よりもシート幅方向外側となるように本体部分28Aが傾斜しているものである。
本実施形態のシートパッド10では、第1の実施形態と同様に、シート幅方向内側に配置される硬度調整部材28が、シート幅方向外側に配置される硬度調整部材28よりも低く設定されている。
本実施形態のように本体部分28Aを鉛直方向に対して角度を有するように傾斜させることで、本体部分28Aの向きを乗員Pの臀部に対して直角から外れた方向とすることができ、乗員Pの荷重を受けた際に本体部分28Aを曲げ変形させることができる。これにより、シートパッド本体部18は、硬度調整部材28が設けられている部分に乗員Pが着座した際の見掛けの硬さを、曲げ変形しない場合に比較して低くすることができ、シートパッド本体部18の硬度変化による違和感を低減することができる。
なお、硬度調整部材28の水平方向に対する傾斜角度θは、30〜90°の範囲内が好ましく、45〜90°の範囲内が好ましい。
[第4の実施形態]
図6を用いて、本発明の第4の実施形態に係るシートパッド10について説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
前述した第1の実施形態では、硬度調整部材28が略逆T字形状を呈していたが、図6に示すように、本実施形態の硬度調整部材28は、本体部分28Aが長手方向から見て略三角形になるように折り曲げたものである。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、シートパッド本体部18の部位毎の硬さを微妙に調整することができ、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るシートパッド10について説明する。
前述した第1の実施形態の硬度調整部材28は、織布に樹脂を含浸させたものであったが、本実施形態の硬度調整部材28は、織布に代えて、租毛フェルト(図示せず)に第1の樹脂液を含浸させたものである。
租毛フェルトも、織布と同様に第1の樹脂液を含浸できる空隙を内部に有しているため、発泡時に租毛フェルトに第1の樹脂を含浸させることができ、樹脂硬化後は、第2の実施形態の硬度調整部材28も、第1の実施形態の硬度調整部材28と同様に硬くすることができる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、シートパッド本体部18の部位毎の硬さを微妙に調整することができ、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係るシートパッド10について説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
前述した第1の実施形態の硬度調整部材28は、シート平面視で、シート幅方向に対して交差する方向、即ち、シート前後方向に沿って延びるように設けられていたが、図7、及び図8に示すように、シート幅方向に対して傾斜させて配置しても良い。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、シートパッド本体部18の部位毎の硬さを微妙に調整することができ、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
[第7の実施形態]
図9を用いて、本発明の第7の実施形態に係るシートパッド10について説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第1の実施形態では、補強材26とは別体の硬度調整部材28を補強材26に取り付けていたが、図9に示すように、本実施形態では、補強材26の一部を上方に突出するように折り曲げて硬度調整部材28を形成している。
本実施形態の硬度調整部材28は、補強材26の一部を折り曲げることで形成しているため、第1の実施形態に比較して部品点数が削減される。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、シートパッド本体部18の部位毎の硬さを微妙に調整することができ、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
[第8の実施形態]
図10を用いて、本発明の第8の実施形態に係るシートパッド10について説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第1の実施形態の硬度調整部材28は、織布に樹脂を含浸させたものであったが、本実施形態の硬度調整部材32は、硬化した第1の樹脂液よりも硬く、第1の樹脂液が含浸しない(即ち、非浸透性)、または第1の樹脂液が含浸し難い部材で形成されている。
硬化した第1の樹脂液よりも硬く、第1の樹脂液が含浸しない、または第1の樹脂液が含浸し難い部材としては、例えば、プレスフェルトや、独立気泡を有する発泡樹脂等を用いることができる。
本実施形態の硬度調整部材32は、第1の樹脂液よりも硬く、第1の樹脂液が含浸しない部材であるため、硬化した第1の樹脂液に関係なく硬度調整部材32として硬さを選択できる、即ち、部材のみで硬さを調整できるため、シートパッド本体部18の硬さの調整が行い易くなる。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、シートパッド本体部18の部位毎の硬さを微妙に調整することができ、操縦安定性、及び乗り心地性を向上することができる。
[第9の実施形態]
図11を用いて、本発明の第7の実施形態に係るシートパッド10について説明する。なお、本実施形態は第8の実施形態の変形例であり、第8の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態のシートパッド10では、シート幅方向中央部を挟んで両側に、各々3つの硬度調整部材32が設けられている。シート幅方向最外側の硬度調整部材32が最も高く、その内側の硬度調整部材32がシート幅方向最外側の硬度調整部材32よりも低く形成されている。
このように、シート幅方向に設置する硬度調整部材32の数を増やし、シート幅方向中央側に向けて高さを低くすることで、シートパッド10の硬度調整部材32で硬くなった部分が、乗員Pの臀部のカーブHLにより沿うように設けられることとなり、乗員Pの臀部をより保持し易くなる。これにより、操縦安定性を更に向上することができる。
参考例
参考例に係るシートパッド10について説明する。
第1の実施形態の硬度調整部材28は、長手方向から見て板状であったが、図12に示すように、本参考例の硬度調整部材34は、シート幅方向外側の高さが、シート幅方向内側の高さよりも高い三角形である。
硬度調整部材34としては、例えば、プレスフェルト、スラブ材、独立気泡を有する発泡樹脂等を用いることができる。硬度調整部材34は、樹脂が含浸しても良く、樹脂が含浸しなくても良い。
このような硬度調整部材34を用いることで、シートパッド10の硬度調整部材28で硬くなった部分が、乗員Pの臀部のカーブにより沿うように設けられることとなり、乗員Pの臀部をより保持し易くなる。これにより、操縦安定性を更に向上することができる。
上記実施形態の第1の発泡樹脂として、例えば、以下に記載する軟質ポリウレタンフォームを用いることができる。
以下に、軟質ポリウレタンフォーム、及びその製造方法の一例を説明する。
軟質ポリウレタンフォームの好適な実施形態は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームである。上記発泡原液を構成するより好適な材料の特徴として、下記(A)〜(C)が挙げられる。
(A) ポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3000〜12000であり、且つ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。(B) 架橋剤成分として発泡原液中に含まれる化合物の全体(架橋剤の総体)におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)は100以上である。
(C) ポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をイソシアネート当量で70以上含有する。
<ポリオール成分>
前記発泡原液を構成するポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3,000〜12,000であり、且つ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。上記ポリエーテルポリオールとしては、反応性が良好であることから、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好ましい。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられる。ポリエーテルポリオールの材料として使用されるアルキレンオキシドは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールとしては、原料活性の観点から、上記PO及びEOを併用して得られたポリエーテルポリオールが好適である。POとEOとの配合比(モル比)は特に限定されず、例えば、EO/PO(モル比)として、8/92〜25/75が好ましく、13/87〜20/80がより好ましい。EO/PO(モル比)が上記範囲であると、反応性が良好なポリエーテルポリオールを容易に生成することができる。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの一分子中に含まれるヒドロキシル基(官能基)の数は3〜4個であることが好ましい。これらの好適な範囲であると、発泡原液の粘度が適度となり、優れた物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。なお、任意成分として、前記(A)のポリエーテルポリオールに加えて、官能基が2個のポリエーテルポリオールを併用しても構わない。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの重量平均分子量Mwとしては、3,000〜12,000が好ましく、3,000〜8,000がより好ましく、5,000〜8,000がさらに好ましい。ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が12,000以下であると、前記発泡原液の粘度が大きくなりすぎず、撹拌効率が良好になる。一方、ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が3,000以上であると、良好な反発弾性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によってポリスチレン換算値として算出した値である。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの不飽和度は、0.03ミリ当量/g以下であることが好ましい。上記不飽和度が0.03ミリ当量/g以下であると、耐久性等の物性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、「不飽和度」とは、JIS K 1557−1970に準拠し、試料中の不飽和結合に酢酸第二水銀を作用させて遊離する酢酸を水酸化カリウムで滴定する方法にて測定した、総不飽和度(ミリ当量/g)を意味する。
前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールが1種類である場合、重量平均分子量が7000以上であり、且つ、官能基が4個(4官能)であるポリエーテルポリオールが含有されることが好ましい。当該ポリエーテルポリオールであると、発泡成形によって得られた軟質ポリウレタンフォームをシート用パッドとして使用した場合のぐらつき感を大幅に低減することができ、操縦安定性を向上することができる。
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリオール成分の総質量に対する、前記(A)のポリエーテルポリオールに該当する1種類又は2種類以上のポリエーテルポリオールの合計の含有量は、60質量%以上が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましく、85〜100質量%が最も好ましい。
前記発泡原液を構成するポリオール成分として、前記ポリエーテルポリオールに加えて、ポリマーポリオールを併用しても良い。前記ポリマーポリオールとしては、ポリウレタン発泡成形体用として汎用されるポリマーポリオールが適用可能である。例えば、ポリアルキレンオキシドからなる重量平均分子量Mwが3,000〜8,000、より好ましくは4,000〜7,000のポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオールが挙げられる。前記ポリアルキレンオキシドの原料となるアルキレンオキシドとしては、官能基(重合性基)としてプロピレンオキシド(PO)を含むアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドのみを含むアルキレンオキシド、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシド(EO)を共に含むアルキレンオキシドがより好ましい。また、上記ポリマーポリオールの総質量に対する上記ポリマー成分の含有量は、25〜50質量%であることが好ましい。
前記発泡原液を構成するポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールのみを用いてもよく、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールの混合物を用いてもよい。
ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールとの混合物を用いる場合の混合比としては、ポリエーテルポリオールが100%未満、ポリマーポリオールが0%を超えればよく、ポリエーテルポリオール/ポリマーポリオール(質量比)として、70/30〜99/1が好ましく、80/20〜99/1がより好ましく、85/15〜99/1がさらに好ましい。混合物を用いる場合に混合比が上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。
<ポリイソシアネート成分>
前記発泡原液を構成するポリイソシアネート成分として、ジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネート当量で70以上含有する。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、ポリウレタンフォームの分野で一般的に使用されるポリイソシアネート成分である。具体的なMDIとしては、一般にモノメリックMDIと称される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4-MDI)、2,
4−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4-MDI)、2,2−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(2,2-MDI)、ポリメリックMDI、粗(クルード)MDI等が挙げられる。
前記発泡原液において、1種類のMDIが単独で含有されてもよいし、2種類以上のMDIが含有されてもよい。
前記発泡原液に含まれるポリイソシアネートの総量を表す「イソシアネート当量」は、前記発泡原液中の活性水素量(モル)を100とした時の、イソシアネート基のモル比を意味する。
前記発泡原液に含まれるMDIに由来するイソシアネート当量は、少なくとも70以上であり、70〜120が好ましく、80〜100がより好ましい。上記イソシアネート当量が70以上であると、発泡原液の撹拌不良を防ぐことができる。上記イソシアネート当量が120以下であると、フォームの崩壊の発生を防ぐことができる。
任意成分として、前記(C)のMDIに加えて、MDI以外の公知のポリイソシアネート成分を少量加えても構わない。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートの1種類又は2種類以上の合計の含有量は、70質量%以上が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、95〜100質量%が最も好ましい。
また、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートを構成するピュアMDIの含有量は、40質量%以上が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜85質量%がさらに好ましく、60〜80質量%が最も好ましい。
<架橋剤成分>
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームが所望の物性を有するために、前記発泡原液を構成する架橋剤成分として、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が水よりも高い架橋剤が、主成分として含まれることが好ましい。通常、グリセリン、エチレンオキシド基を有する架橋剤(EO系架橋剤)、水、プロピレンオキシド基を有する架橋剤(PO系架橋剤)の順で、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が低下する。これに基づいて、前記発泡原液に架橋剤として含有される1種又は2種以上の化合物の全体が有するEO基とPO基のモル比(EO基のモル数/PO基のモル数)は100以上であることが好ましく、105以上であることがより好ましく、110以上であることがさらに好ましい。このモル比は高い程好ましい。つまり、好適には、前記発泡原液において、PO基を有する架橋剤が実質的には含有されないことが好ましい。
ここで、エチレンオキシド基(EO基)は、エチレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。プロピレンオキシド基(PO基)は、プロピレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。
具体的な架橋剤成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の架橋剤が適用できる。架橋剤の分子量は、通常1000以下であることが好ましい。上記EO基/PO基のモル比を大きくする観点から、「EO(基)/PO(基)=100/0」と表示された市販の架橋剤が好ましい。
前記発泡原液に含まれる架橋剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記発泡原液に含まれる架橋剤成分の合計の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲の上限値以下であると、独泡性が高くなりすぎたり、成形が困難になったり、フォームの崩壊を防止できる。上記範囲の下限値以上であると、架橋剤の効果が十分に得られる。
<発泡剤成分>
前記発泡原液を構成する発泡剤成分としては、水を用いることが好ましい。水はポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生するため、発泡剤として機能する。
前記発泡原液中の水の含有量としては、ポリオール成分100質量部に対して、1〜7質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。また、得られた軟質ポリウレタンフォームの熱圧縮残留歪み特性が劣化することを防止できる。
<触媒成分>
前記発泡原液を構成する触媒成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の触媒が挙げられる。公知の触媒としては、アミン系触媒、スズ触媒が挙げられる。
通常、公知の触媒は大きく分けて、ポリウレタンの樹脂化を促進する樹脂化触媒と、ポリイソシアネート成分の発泡を促す泡化触媒と、に分類される。
好適な樹脂化触媒は、ポリイソシアネートとポリオールの反応を特に促進する第三級アミン触媒であり、特に限定するものではないが、例えば、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、及び1−メチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)が挙げられる。また好適な泡化触媒は、イソシアネ−トと水の反応を特に促進し、炭酸ガスを有効に発生させる第三級アミン触媒であり、一般的にフォームの流動性、寸法安定性改良に使用される。泡化触媒としては特に限定するものではないが、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、及びN,N,N′,N″,N''' ,N''' −ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等が挙げられる。
前記発泡原液には、触媒成分として、樹脂化触媒及び泡化触媒のうち、少なくとも樹脂化触媒が含有されることが好ましい。
前記発泡原液に含有される、樹脂化触媒:泡化触媒の質量比は、100:0〜100:100が好ましく、100:0〜100:50がより好ましく、100:0〜100:20がさらに好ましい。
前記アミン系触媒としては、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化(ゲル化)反応を促進し、ウレタン結合生成を促進するために、ゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1以下である樹脂化触媒を用いることが好ましい。
ここで、ゲル化触媒定数は、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体の架橋密度が高くなって発泡体の機械的物性が良好になる。具体的には、トリレンジイソシアネートとジエチレングリコールとのゲル化反応の反応定数が用いられる。一方、泡化触媒定数は、ポリイソシアネート類と水との泡化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体のセルの連通性が高められる。具体的には、トリレンジイソシアネートと水との泡化反応の反応定数が用いられる。上記2つの触媒定数の比は、両方の触媒のバランスを表す。
好適なアミン系触媒の例を、前記樹脂化触媒の具体例も含めて以下に例示する。
前記樹脂化触媒の具体例として、前述した触媒も含めて、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物、N,N,N′,N
′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミ
ン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N′,N′−テト
ラメチルグアニジン、135−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の第3級アミン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダ
ゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、その他N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N′−(2−ジメチルア
ミノエチル)ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−
メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。
前記発泡原液における前記アミン系触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜0.4質量部であることが好ましく、0.2〜0.4質量部であることがより好ましく、0.3〜0.4質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値0.1質量部以上であるとフォームの崩壊を防止できる。上記範囲の上限値0.4質量部以下であると独立気泡となってシュリンクが発生することを防止できる。
前記スズ触媒の具体例としては、スタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、オクチル酸スズ等の公知の有機スズ触媒が挙げられる。
前記発泡原液における前記スズ触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.01〜0.4質量部であることがより好ましく、0.01〜0.2質量部であることが更に好ましい。
<整泡剤成分>
前記発泡原液には、整泡剤が含まれてもよい。整泡剤としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の整泡剤が適用可能であり、例えば、シリコーン系整泡剤、アニオン系整泡剤、カチオン系整泡剤が挙げられる。これらの整泡剤には、分子鎖末端に水酸基を有する整泡剤が含まれる。
前記発泡原液における整泡剤の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましく、0.3〜0.8質量部が更に好ましい。通常、5質量部以下の含有割合で、整泡剤としての効果が充分に得られる。また、0.1質量部以上の含有割合であると、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の攪拌性が向上し、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。
<その他の任意成分>
前記発泡原液には、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。例えば、顔料等の着色剤、鎖延長剤、炭酸カルシウム等の充填材、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを配合することができる。各種添加剤の配合量は、用途や目的に応じて適宜調整される。
<発泡原液の調製方法>
前記発泡原液の調製方法は、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート成分を除いた、残りの各成分からなる混合物(以下、「ポリオール混合物」と略記することがある。)を調製し、その後、ポリイソシアネート成分と混合して、発泡原液を得る調製方法が挙げられる。
前記ポリオール混合物の調製は、発泡剤である水と触媒成分との接触を減らすために、ポリオール成分に対して、まず触媒成分を混合し、次いで、整泡剤成分、架橋剤成分、及び必要に応じて任意成分を混合し、最後に、発泡剤である水を混合することが好ましい。
その後、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する工程において、前記ポリオール混合物とポリイソシアネート成分とを混合し、発泡原液を調製することが好ましい。
調製された前記ポリオール混合物の液温25℃における粘度は、2,400mPa・s以下であることが好ましく、1,800mPa・s以下であることがより好ましい。これらの好適な粘度範囲であると、発泡原液の攪拌効率が良好となり、発泡原液の全体で均一に充分な量の発泡が得られ、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォーム(発泡成形体)が得られ易くなる。
前記発泡原液を使用して、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する方法は、特に制限されず、例えば、金型内に形成されたキャビティ内に発泡原液を注入し、発泡成形する公知の方法が適用できる。
上記の公知の方法において、発泡原液を構成する各成分の分離を防止するために、キャビティ内に発泡原液を注入する直前に、上述の各成分を混合して発泡原液を調製することが好ましい。注入する発泡原液の液温は、10〜50°Cであることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、25〜35°Cであることが更に好ましい。金型の温度は、40〜80°Cであることが好ましく、50〜70°Cであることがより好ましく、60〜65°Cであることが更に好ましい。発泡原液の液温及び金型の温度が上記の好適な範囲であると、適切な発泡が得られる。発泡に続いて、金型内において硬化させた後、脱型することによって、目的の軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで得られた軟質ポリウレタンフォームについて、公知の破泡処理を更に施してもよい。
<軟質ポリウレタンフォームの厚み方向における剛性分布について>
発泡成形の方法によらず、本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームは、発泡成形時の下層から上層へ向かう厚み方向(すなわち鉛直線に沿う上向きの方向)に向かって、徐々に剛性(硬度)が高まる傾向にある。つまり、本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームの厚み方向の剛性分布が、連続的な増加傾向又は減少傾向を示す。ここで、軟質ポリウレタンフォームの発泡成形時の下層から上層へ向かう方向に見るとその剛性分布は増加傾向を示すが、同じ軟質ポリウレタンフォームを発泡成形時の上層から下層へ向かう方向に見るとその剛性分布は減少傾向を示す。
本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームが上記の剛性分布を呈するメカニズムの詳細は不明であるが、前記発泡原液を構成する各成分の組み合わせが要因であると考えられる。特に、架橋剤成分が有する主な重合性基(反応性基)がEO基であり、架橋効果が実質的に発揮される程度のPO基が架橋剤成分に含まれないこと、及び、ポリイソシアネート成分の大部分として、MDIが含まれ、TDIが少ない又は含まれないこと、が大きな要因であると考えられる。また、架橋剤成分としてグリセリンが含有されること、触媒成分として樹脂化触媒が含有されていることも、上記の剛性分布が呈されることに少なからず寄与していると考えられる。
また、上記の剛性分布を呈する軟質ポリウレタンフォームを厚み方向に切断したとき、その断面に現れる発泡セル形状の扁平の度合が、発泡成形時の上層から下層へ向けて、徐々に大きくなる傾向が見られる。つまり、発泡成形により得られた軟質ポリウレタンフォームにおいて、発泡成形時の下層に位置する発泡セルは、重力方向に押し潰されて横に長い扁平形状(楕円形状)を呈し、中層に位置する発泡セルにおける扁平の度合は比較的緩和されて円に近づき、上層に位置する発泡セルにおける扁平の度合は更に緩和されて、より一層円に近くなる傾向が見られる。このように、軟質ポリウレタンフォームの厚み方向の断面に現れる発泡セルの形状の変化は、上記の剛性分布の傾向と相関があると考えられる。
なお、軟質ポリウレタンフォームの「軟質」は、それを手で押したり、その上に座ったりしたときに、当該軟質ポリウレタンフォームが変形して凹む程度の硬さ(剛性)であることを意味する。
上記軟質ポリウレタンフォームを形成する発泡原液は新規な組成を有する。この結果、着座時の適度な反発力、及び横方向への加速度が加わったと場合のぐらつき感の低減により、従来と異なる快適な座り心地と安定感、即ち操縦安定性が得られる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
硬度調整部材を備えた実施例1,2のシートパッドと、硬度調整部材を備えていない比較例1のシートパッドを製造し、操縦安定性(横方向のGが加わったときのぐらつき感)、乗り心地性(上下方向の振動吸収性)の比較を行った。
シートパッドの構造は、第1の実施形態のものとした。
表1に示す配合で樹脂の発泡原液を調整し、この原液を成形型に注入して発泡成形することにより材料AまたはBからなるシートパッド本体部を得た。
「ポリエーテルポリオールA1−2」は、EO/POモル比13/87、数平均重量平均分子量7000、官能基数3である。
「ポリマーポリオールA2−1」は、固形分33%、水酸基価23mgKOH/g、重量平均分子量5400、3.2官能のポリマーポリオール(三洋化成工業株式会社製、商品名:KC855)である。
「架橋剤C−1」は、EO/POモル比100/0、重量平均分子量400、官能基数4である。
「触媒D−1」は、市販の樹脂化触媒であり、トリエチレンジアミンである。
「触媒D−2」は、市販の泡化触媒であり、(2−ジメチルアミノエチル)エーテルである。
「整泡剤E−1」は、エボニック社製のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)である。
「発泡剤F−1」は、水である。
「ポリイソシアネート(B−1)」は、DOW社製の「NE150」と称されるMDI系のイソシアネートである。TDI系のイソシアネートは実質的に含まれない。
「ポリイソシアネート(B−2)」は、(市販のポリイソシアネートであり、TDI/MDI=80/20(質量比)で混合されたTDI系イソシアネートである。)
乗り心地性、及び操縦安定性は、試作したシートを備えた車両をテストドライバーが試験コースを走行させ、官能評価を行った。乗り心地性、及び操縦安定性の評価は、A,B,Cの3段階評価とし、Aが最も優れており、B、Cの順で性能が低下することを意味している。
試験の結果、硬度調整部材を備えた実施例1,2は、硬度調整部材を備えていない比較例1に比較して操縦安定性、及び乗り心地性が向上していることが分かった。
また、材料Aを用いて成形した実施例1は、材料Bを用いて成形した実施例2よりも操縦安定性、及び乗り心地性が向上していることが分かった。
さらに、実施例1の材料を用いたことにより材料そのものが着座面から裏面にかけて硬度が硬くなり、加えて硬度調整部材により硬度を調整できる為、より乗り心地性と操縦安定性を向上することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
なお、硬度統制部材28、硬度調整部材32、及び硬度調整部材34は、上記実施形態の断面形状に限らず、矩形、台形等、他の形状とすることもできる。
10…シートパッド、18…シートパッド本体部、18A…クッション材、26…補強材、28…硬度調整部材、32…硬度調整部材、34…硬度調整部材

Claims (9)

  1. 発泡樹脂製のクッション材を含んで構成され、乗員が着座するシートパッド本体部と、
    前記シートパッド本体部の着座側と反対側の面に配置される補強材と、
    前記補強材に設けられ、前記クッション材よりも硬く、前記クッション材に埋設され着座側に向けて延在し、前記シートパッド本体部の厚さ方向の高さが異なる複数の硬度調整部材と、
    を有するシートパッド。
  2. 前記硬度調整部材は、板状である、請求項1に記載のシートパッド。
  3. 前記硬度調整部材は、前記シートパッド本体部の幅方向に対して交差する方向に延在している、請求項1または請求項2に記載のシートパッド。
  4. 前記硬度調整部材は、前記シートパッド本体部の厚さ方向に対して傾斜している、
    請求項1〜3の何れか1項に記載のシートパッド。
  5. 前記硬度調整部材は、浸透性を有する部材に樹脂が含浸硬化されて前記クッション材よりも硬くなっている、請求項1〜4の何れか1項に記載のシートパッド。
  6. 前記硬度調整部材は、前記クッション材よりも硬く、発泡樹脂の樹脂部分が含浸していない部材である、請求項1〜4の何れか1項に記載のシートパッド。
  7. 複数の前記硬度調整部材が前記シートパッド本体部の幅方向に沿って配置され、前記シートパッド本体部の幅方向外側に配置される前記硬度調整部材が、前記シートパッド本体部の幅方向中央側に配置される前記硬度調整部材よりも高さが高い、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のシートパッド。
  8. 前記クッション材は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームであり、
    前記ポリオールとして、重量平均分子量Mwが3000〜12000であり且つ官能基数が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有し、
    前記架橋剤として含まれる化合物の全体におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)が100以上であり、
    前記ポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネート当量で70以上含有する、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載のシートパッド。
  9. 発泡樹脂製のクッション材を含んで構成され、乗員が着座して前記乗員の荷重が作用するシートパッド本体部と、
    前記シートパッド本体部の幅方向両側に配置され前記乗員の臀部を側部から支持するサイド部と、
    前記シートパッド本体部の着座側と反対側の面に配置される補強材と、
    前記補強材に設けられ、板状に形成され、前記クッション材よりも硬く、前記クッション材に埋設されて着座側、及びシートパッド本体部の幅方向と交差する方向に向けて延在して板面を前記シートパッド本体部の幅方向に向けた硬度調整部材と、
    を有するシートパッド。
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