本発明に係る経路生成システムを自律走行システムに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
この自律走行システムは、経路生成システムにて予定作業経路を生成し、その生成された予定作業経路に沿って作業車両としてのトラクタ1を自律走行可能に構成されている。
まず、図1に基づいてトラクタ1について説明する。
このトラクタ1は、後方側に作業機50を装着可能な車体部2を備え、車体部2の前部が左右一対の前輪3で支持され、車体部2の後部が左右一対の後輪4で支持されている。車体部2の前部にはボンネット5が配置され、そのボンネット5内に駆動源としてのエンジン6が収容されている。ボンネット5の後方側には、運転者が搭乗するためのキャビン7が備えられ、そのキャビン7内には、運転者が操向操作するためのステアリングハンドル8、運転者の運転座席9等が備えられている。
エンジン6は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成してもよい。また、駆動源としてエンジン6に加えて、或いはエンジン6に代えて、電気モータを採用してもよい。
本実施形態では作業車両としてトラクタ1を例に説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等、乗用型作業車両に加え、歩行型作業車両も含まれる。
車体部2の後方側には、左右一対のロアリンク10とアッパリンク11とからなる3点リンク機構が備えられ、その3点リンク機構に作業機50が装着可能に構成されている。車体部2の後方側には、図示は省略するが、昇降シリンダ等の油圧装置を有する昇降装置が備えられ、この昇降装置が、3点リンク機構を昇降させることで、作業機50を昇降させている。
作業機50について、図1では、耕耘装置を装着した場合を例示しているが、耕耘装置に限らず、プラウ、施肥装置等、各種の作業機を適用することができる。
トラクタ1には、図2に示すように、エンジン6の回転速度を調整可能なガバナ装置21、エンジン6からの回転駆動力を変速して駆動輪に伝達する変速装置22、ガバナ装置21及び変速装置22を制御可能な制御部23等が備えられている。変速装置22は、例えば、油圧式無段変速装置からなる主変速装置とギヤ式多段変速装置からなる副変速装置とを組み合わせて構成されている。
このトラクタ1は、運転者がキャビン7内に搭乗して走行できるだけでなく、キャビン7内に運転者が搭乗しなくても、無線通信端末30からの指示等に基づいて、制御部23による制御によって自律走行作業車両としてのトラクタ1を自律作業可能に構成している。
トラクタ1は、図2に示すように、操舵装置24、測位用アンテナ25、無線通信用アンテナ26等を備えており、自己の現在位置情報(車体部2の位置情報)を取得しながら、自律作業可能に構成されている。
操舵装置24は、例えば、ステアリングハンドル8の回転軸の途中部に備えられ、ステアリングハンドル8の回転角度(操舵角)を調整可能に構成されている。制御部23が操舵装置24を制御することで、直進走行だけでなく、ステアリングハンドル8の回転角度を所望の回転角度に調整して、所望の旋回半径での旋回走行も行える。なお、操舵装置24はステアリングハンドル8の回転角度を調整するものでなくトラクタ1の前輪3の操舵角を調整するものであってよく、この場合、旋回走行を行ったとしてもステアリングハンドル8は回転しない。
測位用アンテナ25は、図1に示すように、例えば、衛星測位システム(GNSS)を構成する測位衛星63からの信号を受信するように構成されている。測位用アンテナ25は、キャビン7のルーフ12の上面に配置されている。
無線通信用アンテナ26は、無線通信端末30等との間で構築される無線通信ネットワークを介して各種の信号を送受信可能に構成されている。無線通信用アンテナ26は、キャビン7のルーフ12の上面に配置されている。無線通信用アンテナ26にて受信した信号は、図2に示すように、制御部23に入力可能であり、制御部23からの信号は、無線通信用アンテナ26にて無線通信端末30の無線通信装置31等に送信可能に構成されている。
ここで、衛星測位システムを用いた測位方法として、予め定められた基準点に設置された基準局60を備え、その基準局60からの補正情報によりトラクタ1(移動局)の衛星測位情報を補正して、トラクタ1の現在位置を求める測位方法を適用可能としている。例えば、DGPS(ディファレンシャルGPS測位)、RTK測位(リアルタイムキネマティック測位)等の各種の測位方法を適用することができる。ちなみに、測位方法については、基準局60を備えずに単独測位を用いることもできる。
この実施形態では、例えば、RTK測位を適用しており、図1及び図2に示すように、移動局側となるトラクタ1に測位用アンテナ25を備えるのに加えて、基準局測位用アンテナ62を備えた基準局60が備えられている。基準局60は、例えば、圃場の周囲等、トラクタ1の走行の邪魔にならない位置(基準点)に配置されている。基準局60の設置位置となる基準点の位置情報は予め設定されている。基準局60には、トラクタ1の無線通信用アンテナ26や無線通信端末30の無線通信装置31等により構築される無線通信ネットワークを介して各種の信号を無線通信可能な基準局無線通信装置61が備えられ、基準局60とトラクタ1との間や基準局60と無線通信端末30との間で各種の情報が送受信可能に構成されている。
RTK測位では、基準点に設置された基準局60と、位置情報を求める対象の移動局側となるトラクタ1の測位用アンテナ25との両方で測位衛星63からの搬送波位相(衛星測位情報)を測定している。基準局60では、測位衛星63から衛星測位情報を測定する毎に又は設定周期が経過する毎に、測定した衛星測位情報と基準点の位置情報等を含む補正情報を生成して、基準局無線通信装置61からトラクタ1の無線通信用アンテナ26に補正情報を送信している。トラクタ1の制御部23は、測位用アンテナ25にて測定した衛星測位情報を、基準局60から送信される補正情報を用いて補正して、トラクタ1の現在位置情報を求めている。制御部23は、トラクタ1の現在位置情報として、例えば、緯度情報・経度情報を求めている。
自律走行システムでは、トラクタ1及び基準局60に加えて、トラクタ1の制御部23にトラクタ1の自律作業を指示可能な無線通信端末30が備えられている。無線通信端末30は、例えば、タッチパネルを有するタブレット型のパーソナルコンピュータ等から構成され、各種情報をタッチパネルに表示可能であり、タッチパネルを操作することで、各種の情報も入力可能となっている。
無線通信端末30には、図2に示すように、トラクタ1の無線通信用アンテナ26及び基準局60の基準局無線通信装置61との間で無線通信可能な無線通信装置31と、トラクタ1が自律作業する予定作業経路K1,K2,K3(図3及び図4参照)を生成する経路生成部32とが備えられている。また、無線通信端末30には、経路生成部32にて予定作業経路K1,K2,K3を生成するために、トラクタ1による作業領域R1内(例えば、図3及び図4において圃場Hの中央側の矩形状の領域)における作業態様を設定する作業態様設定部33が備えられている。
ちなみに、図3では、1台のトラクタ1が単独で自律作業を行う単独作業の場合において、経路生成部32にて生成する予定作業経路K1の一例を示している。図4では、トラクタ1aとトラクタ1bの2台のトラクタ1が協調して自律作業を行う協調作業の場合において、経路生成部32にて生成する予定作業経路K2,K3の一例を示している。図4では、協調作業として、トラクタ1aが先行して作業を開始して、トラクタ1bが遅れて作業を開始する形態で、トラクタ1aとトラクタ1bとが異なる作業経路Kaを作業する随伴作業を示すものであり、トラクタ1aに対応する予定作業経路(図中実線にて示す経路)をK2にて示し、トラクタ1bに対応する予定作業経路(図中点線にて示す経路)をK3にて示している。図3及び図4は、あくまで一例であり、経路生成部32が、予定作業経路としてどのような経路を生成するかは適宜変更が可能である。
作業態様設定部33は、作業態様として、トラクタ情報(作業車両情報)と圃場情報と作業情報とを設定可能に構成されている。トラクタ情報は、例えば、トラクタ1の機種、トラクタ1の大きさ(全長及び横幅)、作業機50の種類や大きさ(横幅)、自律作業させる際の目標車速や目標エンジン回転速度を示す情報等である。圃場情報は、例えば、圃場の形状、作業開始位置(図3においてS1にて示す位置、図4においてS2,S3にて示す位置)、作業終了位置(図3においてG1にて示す位置、図4においてG2,G3にて示す位置)、作業方向(図3及び図4において矢印にて示す方向)、障害物の有無や障害物の位置を示す情報等である。作業情報は、1台のトラクタ1にて作業を行う単独作業とするか、又は、複数台のトラクタ1にて作業を行う協調作業とするかを示す協調作業の有無、作業領域(図3及び図4においてR1にて示す領域)の周囲に設定する外周領域(例えば枕地等、図3及び図4においてR2にて示す領域)の幅を示す情報等である。
トラクタ情報を設定する場合には、例えば、トラクタ1の機種や大きさ等、トラクタ情報として設定可能な項目が無線通信端末30の表示部に表示させる。この項目の表示は、項目毎に1つずつ表示したり、複数の項目を同時に表示することが可能である。このように項目を表示することで、作業者等がタッチパネルを操作して、複数の項目の夫々について各種の情報を入力可能となっている。また、圃場情報及び作業情報を設定する場合も、同様に、設定可能な項目を無線通信端末30の表示部に表示させ、作業者等がタッチパネルを操作することで、複数の項目の夫々について各種の情報を入力可能となっている。
作業態様設定部33は、入力された情報に基づいて、トラクタ情報、圃場情報及び作業情報の夫々を設定している。作業態様設定部33には、図2〜図4に示すように、圃場Hにおいて、作業領域R1及び作業領域R1の周囲に設定される外周領域R2を設定可能な領域設定部34が備えられている。領域設定部34は、作業情報としての外周領域R2の幅等の情報が入力されると、作業領域R1及び外周領域R2を設定している。
図2に示すように、無線通信端末30には、各種の情報を記憶する記憶部35が備えられており、この記憶部35が、作業態様設定部33にて設定されたトラクタ情報及び圃場情報を記憶している。記憶部35は、例えば、トラクタ1とそのトラクタ1について設定されたトラクタ情報とを対応付けたトラクタ個別情報を記憶しており、圃場とその圃場について設定された圃場情報とを対応付けた圃場個別情報を記憶している。これにより、トラクタ情報や圃場情報を設定する際には、記憶部35に記憶されているトラクタ個別情報や圃場個別情報を読み出して無線通信端末30の表示部に表示させ、作業者等がトラクタ個別情報や圃場個別情報を選択可能となっている。
経路生成部32は、図3及び図4に示すように、作業態様設定部33により設定された作業態様と、領域設定部34により設定された作業領域R1及び外周領域R2とに基づいて、トラクタ1が自律作業する予定作業経路K1,K2,K3を生成するように構成されている。例えば、図3及び図4に示す例では、経路生成部32が、圃場H内の作業領域R1において往復走行させながら、作業態様設定部33にて設定された作業開始位置S1,S2,S3から作業終了位置G1,G2,G3に至る経路を予定作業経路K1,K2,K3として生成している。
予定作業経路K1,K2,K3は、自律走行させながら耕耘等の作業を行う作業経路Kaと作業経路Kaから次の作業経路Kaに自律走行させる接続経路Kbとを含む経路として構成されている。作業経路Kaは、作業領域R1に対して生成され、接続経路Kbは、外周領域R2(枕地)に対して生成されている。作業経路Kaは、圃場H内の作業領域R1において一端側から他端側に向けて自律作業させる直線状の経路であり、この直線状の経路が作業領域R1の全体に亘って圃場Hの幅方向に隣接して複数並ぶように生成されている。接続経路Kbは、圃場Hの幅方向に並ぶ2つの作業経路Kaにおいてその端部同士を接続する旋回状の経路として生成されている。
無線通信端末30は、経路生成部32にて生成された予定作業経路K1,K2,K3や自律作業の開始指令等、トラクタ1を自律作業させるための各種の情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1の制御部23に送信可能に構成されている。トラクタ1の制御部23は、無線通信端末30から予定作業経路K1,K2,K3等の情報を取得した上で自律作業の開始指令を受けると、トラクタ1の自律作業を開始するように構成されている。そして、トラクタ1の制御部23は、経路生成部32にて生成された予定作業経路K1,K2,K3に沿ってトラクタ1が自律作業するように、測位用アンテナ25の受信信号から取得するトラクタ1の現在位置情報に基づいてガバナ装置21、変速装置22及び操舵装置24等を制御するように構成されている。
圃場H内の作業領域R1においてトラクタ1の自律作業を行う場合に、その作業途中等に、トラクタ1の台数を変更させたい場合がある。例えば、他の圃場での自律作業が終了したトラクタ1が存在する等、追加可能なトラクタ1があれば、そのトラクタ1を追加してトラクタ1の台数を増加させることができる。逆に、自律作業中のトラクタ1の内、他の圃場での自律作業を行わせたいトラクタ1が存在したり、燃料が少なくなったトラクタ1が存在する等、そのトラクタ1を離脱させてトラクタ1の台数を減少させることもできる。
そこで、トラクタ1の台数を変更させた場合に、変更後のトラクタ1の台数にて自律作業を行うための構成を備えており、以下、その点について説明する。
図2に示すように、無線通信端末30には、作業領域R1内において自律作業を行うトラクタ1の台数の変更を受け付ける作業車両台数変更受付部36が備えられている。例えば、無線通信端末30の表示部に、トラクタ1の台数の変更を受け付けるための操作部を表示させ、作業者等がその操作部を操作することで、作業車両台数変更受付部36がトラクタ1の台数の変更を受け付けることができる。
経路生成部32は、例えば、図3及び図4に示すように、既に予定作業経路K1,K2,K3を生成しているが、作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の変更を受け付けると、予定作業経路K1,K2,K3の内、まだ自律作業を行っていない作業経路Kaを、変更後の作業態様及び変更後のトラクタ1の台数に応じて、修正作業経路P(図6及び図10参照)に置き換えるようにしている。
そして、無線通信端末30は、作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の変更を受け付けたことを示す情報、経路生成部32にて置き換えられた修正作業経路Pや自律作業の開始指令等、台数の変更後のトラクタ1を自律作業させるための各種の情報を、無線通信ネットワークを介して台数の変更後に自律作業を行うトラクタ1の制御部23に送信している。台数の変更後に自律作業を行うトラクタ1の制御部23は、経路生成部32にて置き換えられた修正作業経路P(図6及び図10参照)に沿ってトラクタ1が自律作業するように、測位用アンテナ25の受信信号から取得するトラクタ1の現在位置情報に基づいてガバナ装置21、変速装置22及び操舵装置24等を制御するように構成されている。
(トラクタ1の台数の増加)
図3、図5及び図6に基づいて、トラクタ1の台数を1台から2台に増加させる場合について説明する。図5及び図6において、トラクタ1aが既に自律作業を行っている1台目のトラクタであり、トラクタ1bが追加する2台目のトラクタである。1台目のトラクタ1aも2台目のトラクタ1bも、図1及び図2に基づいて上述したトラクタ1と同様の構成を備えている。
図3は、台数の変更前の1台のトラクタ1にて自律作業を行うときに、経路生成部32にて既に生成されている予定作業経路K1を示すものである。図5は、既に生成されている予定作業経路K1において、どの時点で作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の変更を受け付けたかを示すものである。図5に示すものでは、予定作業経路K1において図中左から2つ目の作業経路Kaの途中を自律作業中である。図6は、台数の変更後の2台のトラクタ1にて自律作業を行うときに、経路生成部32にて置き換えられる修正作業経路Pを示すものである。
トラクタ1の台数を1台から2台に増加させる場合には、まず、無線通信端末30の表示部に表示されている台数変更用の操作部を作業者等が操作することで、トラクタ1の追加を指令する。作業車両台数変更受付部36は、この追加の指令により、トラクタ1の台数を1台から2台に増加させることを受け付ける。ちなみに、追加の指令に代えて、例えば、無線通信端末30と追加するトラクタ1bとの間で無線通信ネットワークによる無線通信が確立したことを作業者等が確認した上で、無線通信端末30の表示部に表示されている台数変更用の操作部を作業者等が操作することで、トラクタ1の追加を許可することができる。この追加の許可によって、作業車両台数変更受付部36が、トラクタ1の台数を1台から2台に増加させることを受け付けることもできる。
作業車両台数変更受付部36がトラクタ1の台数の増加を受け付けると、無線通信端末30は、作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の増加を受け付けたことを示す情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1aの制御部23に送信している。トラクタ1aの制御部23は、予定作業経路K1に沿う自律作業を継続しながら、トラクタ1の台数の増加を受け付けたことを認識している。ちなみに、トラクタ1aの制御部23は、作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の増加を受け付けたことを示す情報を受信すると、予定作業経路K1に沿う自律作業を継続するだけでなく、その受信した位置でトラクタ1を停止させることもできる。
追加するトラクタ1bについては、トラクタ情報及び作業情報を作業者等が無線通信端末30に入力することで、作業態様設定部33が、その入力された情報に基づいて、追加するトラクタ1bについてのトラクタ情報、及び、作業情報を設定する。ちなみに、圃場情報は、同一の圃場であることから、既に設定されている圃場情報をそのまま用いることが可能である。
作業態様設定部33にて追加するトラクタ1のトラクタ情報や作業情報が設定されると、経路生成部32は、図3に示すように、予定作業経路K1の内、変更前の作業態様により作業が行われる作業経路K4を除く他の作業経路K5を、変更後の作業態様及び変更後のトラクタ1の台数に応じて、図6に示すように、トラクタ1が自律作業する第1修正作業経路P1を含む1以上の修正作業経路Pに置き換える。
図5に示すように、作業車両台数変更受付部36がトラクタ1の台数の増加を受け付けた時点は、トラクタ1aが図中左から2つ目の作業経路Kaの途中を自律作業している時点である。そこで、経路生成部32は、図3に示すように、1つ目の作業経路Kaと2つ目の作業経路Kaを、変更前の作業態様により作業が行われる作業経路K4(図中一点鎖線にて囲んだ作業経路Ka)として特定し、3つ目の作業経路Kaとそれ以降の作業経路Kaを他の作業経路K5(図中二点鎖線にて囲んだ作業経路Ka)として特定している。
他の作業経路K5を修正作業経路Pに置き換えるに当たり、経路生成部32は、他の作業経路K5(図3参照)を、図6に示すように、増加前のトラクタ1aが自律作業を行う第1修正作業経路P1(図中実線にて示す作業経路Ka)と増加に係るトラクタ1bが自律作業を行う第2修正作業経路P2(図中点線にて示す作業経路Ka)とに置き換えるように構成されている。この場合には、1台目のトラクタ1aが自律作業を行う経路が第1修正作業経路P1として置き換えられ、2台目のトラクタ1bが自律作業を行う経路が第2修正作業経路P2として置き換えられる。
経路生成部32は、他の作業経路K5を第1修正作業経路P1及び第2修正作業経路P2に置き換えると、第1修正作業経路P1から次の第1修正作業経路P1に接続する第1修正接続経路Q1を生成するとともに、第2修正作業経路P2から次の第2修正作業経路P2に接続する第2修正接続経路Q2を生成している。
そして、他の作業経路K5を修正作業経路Pに置き換えるに当たり、経路生成部32は、作業方向について、既に作業態様設定部33にて設定されている作業方向を維持するようにしている。
また、他の作業経路K5を修正作業経路Pに置き換えるに当たり、経路生成部32は、図3に示すように、予定作業経路K1の作業開始位置S1が位置する第1の端部(図中下端部)及び予定作業経路K1の作業終了位置G1が位置する第2の端部(図中下端部)を特定している。そして、経路生成部32は、図6に示すように、第1修正作業経路P1における作業開始位置S4を第1の端部(図中下端部)に設定し、第1修正作業経路P1における作業終了位置G4を第2の端部(図中下端部)に設定している。
図6に示すものでは、経路生成部32が、第1修正作業経路P1だけでなく、第2修正作業経路P2における作業開始位置S5を第1の端部(図中下端部)に設定し、第2修正作業経路P2における作業終了位置G5を第2の端部(図中下端部)に設定している。
このように、予定作業経路K1、第1修正作業経路P1、及び、第2修正作業経路P2の夫々における作業開始位置S1,S4,S5を、圃場Hの幅方向において、同一の端部に設定することができるとともに、予定作業経路K1、第1修正作業経路P1、及び、第2修正作業経路P2の夫々における作業終了位置G1,G4,G5についても、圃場Hの幅方向において、同一の端部に設定することができる。
ここで、追加するトラクタ1bのトラクタ情報において、作業機50の大きさ(横幅)が既に設定されている1台目のトラクタ1aよりも大きい場合には、外周領域R2(枕地)における接続経路Kbを自律走行する際の旋回半径が1台目のトラクタ1aよりも大きくなる。よって、追加するトラクタ1bが接続経路Kbを自律走行する場合には、1台目のトラクタ1aよりも外周領域R2の幅を大きくする必要が生じる。
そこで、領域設定部34は、作業車両台数変更受付部36によりトラクタ1の台数の増加が受け付けられた場合に、増加に係るトラクタ1の作業幅に応じて圃場Hにおいて外周領域R2が占める割合を増加させることが可能に構成されている。そして、領域設定部34が圃場Hにおいて外周領域R2が占める割合を増加させる場合には、無線通信端末30が、圃場Hにおいて外周領域R2が占める割合を増加させることを作業者等に報知するための表示や警報を行うようにしている。
図7に示すように、領域設定部34は、1台目のトラクタ1aのトラクタ情報を設定する際に、1台目のトラクタ1aの作業幅(作業機50の横幅)に応じて、外周領域R2の幅W1を設定している。このとき、追加する2台目のトラクタ1bのトラクタ情報において、トラクタ1の作業幅(作業機50の横幅)が1台目のトラクタ1aよりも大きい場合に、領域設定部34は、2台目のトラクタ1bの作業幅(作業機50の横幅)に応じて、外周領域R2の幅W2(>幅W1)に変更設定している。
このように、領域設定部34が増加に係るトラクタ1の作業幅に応じて圃場Hにおいて外周領域R2が占める割合を増加させると、経路生成部32は、図7に示すように、外周領域R2の割合を増加させた状態(外周領域R2の幅をW2に変更した状態)で、他の作業経路K5を第1修正作業経路P1及び第2修正作業経路P2に置き換えるようにしている。
経路生成部32が他の作業経路K5を修正作業経路Pに置き換えると、無線通信端末30は、経路生成部32にて置き換えられた修正作業経路Pや自律作業の開始指令等、トラクタ1a及びトラクタ1bを自律作業させるための各種の情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1a及びトラクタ1bの夫々における制御部23に送信する。トラクタ1aの制御部23は、経路生成部32にて置き換えられた第1修正作業経路P1に沿ってトラクタ1aが自律作業するように、測位用アンテナ25の受信信号から取得するトラクタ1aの現在位置情報に基づいてガバナ装置21、変速装置22及び操舵装置24等を制御するように構成されている。また、トラクタ1bにおいても、制御部23が、経路生成部32にて置き換えられた第2修正作業経路P2に沿ってトラクタ1bが自律作業するように、測位用アンテナ25の受信信号から取得するトラクタ1bの現在位置情報に基づいてガバナ装置21、変速装置22及び操舵装置24等を制御するように構成されている。
トラクタ1aとトラクタ1bの2台にて修正作業経路Pに沿って自律作業を行う場合に、トラクタ1aは、先行して第1修正作業経路P1に沿って自律作業を行い、トラクタ1bは、トラクタ1aが第1修正作業経路P1の作業開始位置S4を通り過ぎた後に、第2修正作業経路P2に沿って自律作業を行うようにしている。
例えば、図5に示すように、トラクタ1の台数の増加を受け付けた時点は、予定作業経路K1における作業経路Kaの途中であるが、トラクタ1aはそのまま予定作業経路K1に沿って作業経路Kaの端部まで自律作業を継続することで、図8に示すように、トラクタ1aが第1修正作業経路P1における作業開始位置S4に到達する。そして、トラクタ1aの制御部23が、第1修正作業経路P1に沿う自律作業を引き続き行うことで、作業開始位置S4から第1修正作業経路P1に沿って自律作業が行われる。このとき、トラクタ1bについては、トラクタ1aが第1修正作業経路P1の作業開始位置S4に到達した後に、作業者等がトラクタ1bを第2修正作業経路P2の作業開始位置S5に移動させて、無線通信端末30にて自律作業の開始指令等を行うことで、トラクタ1bの制御部23が、第2修正作業経路P2に沿って自律作業を行う。このようにして、トラクタ1aとトラクタ1bとが衝突することなく、自律作業を行うことができる。
(トラクタ1の台数の減少)
次に、図4、図9及び図10に基づいて、トラクタ1の台数を2台から1台に減少させる場合について説明する。図4、図9及び図10において、トラクタ1aとトラクタ1bの内、離脱させるトラクタ1をトラクタ1bとしている。
図4は、台数の変更前の2台のトラクタ1にて自律作業を行うときに、経路生成部32にて既に生成されている予定作業経路K2,K3を示すものである。予定作業経路K2は、トラクタ1aに対応するものであり、予定作業経路K3は、トラクタ1bに対応するものである。図9は、既に生成されている予定作業経路K2,K3において、どの時点で作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の変更を受け付けたかを示すものである。図9に示すものでは、トラクタ1aが予定作業経路K2において図中左から1つ目の作業経路Kaの途中を自律作業中であり、且つ、トラクタ1bが予定作業経路K3において図中左から2つ目の作業経路Kaの途中を自律作業中である。図10は、台数の変更後の1台のトラクタ1にて自律作業を行うときに、経路生成部32にて置き換えられる修正作業経路Pを示すものである。
トラクタ1の台数を2台から1台に減少させる場合には、まず、無線通信端末30の表示部に表示されている台数変更用の操作部を作業者等が操作することで、トラクタ1の離脱を指令する。作業車両台数変更受付部36は、この離脱の指令により、トラクタ1の台数を2台から1台に減少させることを受け付ける。ちなみに、上述のような離脱の指令に代えて、例えば、無線通信端末30と離脱するトラクタ1bとの間で無線通信ネットワークによる無線通信が遮断されたことを作業者等が確認した上で、無線通信端末30の表示部に表示されている台数変更用の操作部を作業者等が操作することで、トラクタ1の離脱を許可することができる。この離脱の許可によって、作業車両台数変更受付部36が、トラクタ1の台数を2台から1台に減少させることを受け付けることもできる。
作業車両台数変更受付部36がトラクタ1の台数の減少を受け付けると、無線通信端末30は、作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の減少を受け付けたことを示す情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1a及びトラクタ1bの制御部23に送信している。トラクタ1aの制御部23は、予定作業経路K2に沿う自律作業を継続しながら、トラクタ1の台数の減少を受け付けたことを認識しており、トラクタ1bの制御部23は、予定作業経路K3に沿う自律作業を継続しながら、トラクタ1の台数の減少を受け付けたことを認識している。
経路生成部32は、図4に示すように、予定作業経路K2,K3の内、変更前の作業態様により作業が行われる作業経路K4を除く他の作業経路K5を、変更後の作業態様及び変更後のトラクタ1の台数に応じて、図10に示すように、自律走行作業車両が自律作業する第1修正作業経路P1を含む1以上の修正作業経路Pに置き換える。
図9に示すように、作業車両台数変更受付部36がトラクタ1の台数の減少を受け付けた時点は、トラクタ1aが図中左から1つ目の作業経路Kaの途中を自律作業しており、且つ、トラクタ1bが図中左から2つ目の作業経路Kaの途中を自律作業している時点である。そこで、経路生成部32は、図4に示すように、1つ目から4つ目までの作業経路Kaを、変更前の作業態様により作業が行われる作業経路K4(図中一点鎖線にて囲む作業経路Ka)として特定し、5つ目の作業経路Kaとそれ以降の作業経路Kaを他の作業経路K5(図中二点鎖線にて囲む作業経路Ka)として特定している。
他の作業経路K5を修正作業経路Pに置き換えるに当たり、経路生成部32は、他の作業経路K5(図4参照)を、図10に示すように、トラクタ1aが自律作業を行う第1修正作業経路P1に置き換えるように構成されている。経路生成部32は、他の作業経路K5を第1修正作業経路P1に置き換えると、第1修正作業経路P1から次の第1修正作業経路P1に接続する第1修正接続経路Q1を生成している。
そして、他の作業経路K5を第1修正作業経路P1に置き換えるに当たり、経路生成部32は、作業方向について、既に作業態様設定部33にて設定されている作業方向を維持するようにしている。
また、他の作業経路K5を修正作業経路Pに置き換えるに当たり、経路生成部32は、作業領域R1において、図4に示すように、予定作業経路K2の作業開始位置S2が位置する第1の端部(図中下端部)及び予定作業経路K2の作業終了位置G2が位置する第2の端部(図中下端部)を特定している。そして、経路生成部32は、図10に示すように、第1修正作業経路P1における作業開始位置S4を第1の端部(図中下端部)に設定し、第1修正作業経路P1における作業終了位置G4を第2の端部(図中下端部)に設定している。
このように、予定作業経路K2、及び、第1修正作業経路P1の夫々における作業開始位置S2,S4を、圃場Hの幅方向において、同一の端部に設定することができるとともに、予定作業経路K2、及び、第1修正作業経路P1の夫々における作業終了位置G2,G4についても、圃場Hの幅方向において、同一の端部に設定することができる。
ここで、離脱しないトラクタ1aのトラクタ情報において、作業機50の大きさ(横幅)が離脱するトラクタ1bよりも小さい場合には、外周領域R2(枕地)における接続経路Kbを自律走行する際の旋回半径が離脱しないトラクタ1aの方が離脱するトラクタ1bよりも小さくなる。よって、トラクタ1bが離脱した後には、外周領域R2の幅を小さくすることができる。
しかしながら、領域設定部34は、作業車両台数変更受付部36によりトラクタ1の台数の減少が受け付けられた場合に、圃場Hにおいて外周領域R2が占める割合を維持している。これにより、作業車両台数変更受付部36によりトラクタ1の台数の減少が受け付けられた場合に、図4及び図10に示すように、トラクタ1bが離脱する前後で外周領域R2の幅W3は変更されない。そして、経路生成部32は、外周領域R2の割合を維持した状態(外周領域R2の幅をW3に維持した状態)で、他の作業経路K5を第1修正作業経路P1に置き換えるようにしている。
経路生成部32が他の作業経路K5を第1修正作業経路P1に置き換えると、無線通信端末30は、経路生成部32にて置き換えられた第1修正作業経路P1や自律作業の開始指令等、台数の減少後のトラクタ1aを自律作業させるための各種の情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1a及びトラクタ1bの制御部23に送信する。そして、離脱するトラクタ1bは作業領域R1での自律作業終了後、外周領域R2の所定位置V(図11参照)まで移動し、トラクタ1aは離脱するトラクタ1bが所定位置Vに至った後に第1修正作業経路P1にて自律作業を行うようにしている。
例えば、図9に示すように、台数の減少を受け付けた時点は、予定作業経路K2における作業経路Kaの途中であるが、トラクタ1bは作業経路Kaの途中で離脱するのではなく、トラクタ1bの制御部23は、予定作業経路K3における作業経路Kaの端部(作業開始位置S3が位置する側の端部)まで自律作業を継続する。例えば、図11に示すように、離脱するトラクタ1bの制御部23は、図中左から2つ目の作業経路Ka及び3つ目の作業経路Kaまで自律作業を継続して、外周領域R2において予定作業経路K3の作業開始位置S3が位置する側の端部に到達する。その後、トラクタ1bの制御部23は、外周領域R2において作業開始位置S3に接近する側(離脱しないトラクタ1aが自律走行する方向とは反対側)に設定距離だけ離れた所定位置Vまで自律走行させ、所定位置Vにトラクタ1を停止させる。そして、トラクタ1bの制御部23は、所定位置Vに停止したことを示す情報を、無線通信ネットワークを介して無線通信端末30に送信しており、無線通信端末30は、トラクタ1bが所定位置Vに停止したことを示す情報を、無線通信ネットワークを介して離脱しないトラクタ1aの制御部23に送信している。
一方、離脱しないトラクタ1aの制御部23は、予定作業経路K1に沿う自律作業を継続して、第1修正作業経路P1の作業開始位置S4に移動する。トラクタ1aの制御部23は、無線通信端末30からの送信情報に基づいて、トラクタ1bが所定位置Vに停止していないと判定すると、トラクタ1aを作業開始位置S4に停止させ、第1修正作業経路P1による自律作業の開始を待機している。そして、トラクタ1aの制御部23は、無線通信端末30からの送信情報に基づいて、トラクタ1bが所定位置Vに停止したと判定すると、第1修正作業経路P1に沿って自律作業を開始する。このようにして、トラクタ1aとトラクタ1bとが衝突することなく、自律作業を行うことができる。
ちなみに、トラクタ1bが予定作業経路K2に沿う自律作業を終了する前に、トラクタ1aが第1修正作業経路P1の作業開始位置S4に到達する場合には、トラクタ1aの制御部23が、第1修正作業経路P1の作業開始位置S4に到達すると、そのまま継続して第1修正作業経路P1による自律作業を行うこともできる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、トラクタ1の台数を1台から2台に増加させる場合に、経路生成部32が他の作業経路K5(図3参照)を図6に示す修正作業経路Pに置き換えているが、例えば、図12に示す修正作業経路Pに置き換えることもでき、どのような修正作業経路Pに置き換えるかは適宜変更が可能である。
図12(a)では、修正作業経路Pが、トラクタ1aが自律作業する第1修正作業経路P1(作業経路Ka)とトラクタ1bが自律作業する第2修正作業経路P2(作業経路Ka)とからなり、第1修正作業経路P1と第2修正作業経路P2とが隣接して交互配置されるようにしている。
図12(b)では、修正作業経路Pが、トラクタ1aが自律作業する第1修正作業経路P1(作業経路Ka)とトラクタ1bが自律作業する第2修正作業経路P2(作業経路Ka)とからなる。そして、第1修正作業経路P1の作業終了位置G4を作業経路Kaに直交する方向で圃場Hの中央部に設定し、第2修正作業経路P2の作業終了位置G5を作業経路Kaに直交する方向で圃場Hの端部に設定することで、トラクタ1aが作業経路Kaに直交する方向で圃場Hの中央部にて自律作業を終了し、トラクタ1bが作業経路Kaに直交する方向で圃場Hの端部まで自律作業を行うようにしている。
例えば、トラクタ1aの燃料が少ない場合には、図12(b)に示す修正作業経路Pに置き換えるのが有効である。ちなみに、図12(b)では、第1修正作業経路P1を作業経路Kaの2つ分としているが、残りの燃料の量に応じて、第1修正作業経路P1を作業経路Kaのいくつ分とするかを変更することができる。
図12(c)では、修正作業経路Pが、トラクタ1aが自律作業する第1修正作業経路P1(作業経路Ka)とトラクタ1bが自律作業する第2修正作業経路P2(作業経路Ka)とからなり、他の作業経路K5(図3参照)を2つの領域に区画し、区画された領域を第1修正作業経路P1と第2修正作業経路P2とに分担するようにしている。図12(c)では、他の作業経路K5(図3参照)を、図中左側の領域と右側の領域とに区画しており、左側の領域における作業経路Kaを第1修正作業経路P1に置き換え、右側の領域における作業経路Kaを第2修正作業経路P2に置き換えるようにしている。
(2)上記実施形態では、経路生成部32が図3に示す予定作業経路K1を生成した場合について説明したが、例えば、経路生成部32が図13(a)に示す予定作業経路K1を生成することもでき、どのような予定作業経路K1を生成するかは適宜変更が可能である。
図13(a)では、スキップ数=1とする予定作業経路K1を生成している。スキップ数とは、作業経路Kaとその作業経路Kaの次に作業が行われる次の作業経路Kaとの間に他の作業経路Kaが何本配置されるかを示すものである。この場合、トラクタ1は、作業経路Kaを1つ飛ばす形態(図中実線にて示す作業経路Ka)で順次自律作業を行い、作業経路Kaに直交する方向で作業終了位置G1が位置する側の圃場Hの端部に至ると、作業経路Kaに直交する方向で作業開始位置S1が位置する側の圃場Hの端部まで戻る。そして、トラクタ1は、1つ飛ばした残りの作業経路Ka(図中点線にて示す作業経路Ka)を順次自律作業を行うようにしている。
このとき、例えば、図13(a)の点線で示すように、トラクタ1が、作業経路Kaに直交する方向で作業終了位置G1が位置する側の圃場Hの端部に至る前に、作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の1台から2台への増加を受け付けると、経路生成部32は、図13(b)に示すように、まだ自律作業が終了していない作業経路Kaを、第1修正作業経路P1と第2修正作業経路P2に置き換えることができる。
図13(b)では、図中左から4つ目の実線にて示す作業経路Kaにて自律作業の途中に、作業車両台数変更受付部36にてトラクタ1の台数の1台から2台への増加を受け付けているので、経路生成部32は、図中実線にて示す作業経路Kaの内、左から1つ目から4つ目までの作業経路Kaを変更前の作業態様により作業が行われる作業経路とし、図中実線にて示す作業経路Kaの内、左から5つ目と6つ目の作業経路Ka及び図中点線にて示す作業経路Kaを他の作業経路として特定している。そして、経路生成部32は、図中実線にて示す作業経路Kaの内、左から5つ目と6つ目の作業経路Kaを第1修正作業経路P1に置き換え、図中点線にて示す作業経路Kaを第2修正作業経路P2に置き換えている。
(3)上記実施形態では、トラクタ1の台数を2台から1台に減少させる場合に、経路生成部32が他の作業経路K5(図3参照)を図10に示す修正作業経路Pに置き換えているが、例えば、図14に示す修正作業経路Pに置き換えることもでき、どのような修正作業経路Pに置き換えるかは適宜変更が可能である。
図10では、スキップ数=0とした修正作業経路P(第1修正作業経路P1)を示しており、図14では、スキップ数=1とした修正作業経路P(第1修正作業経路P1)を示している。スキップ数については、上述の如く、作業経路Kaとその作業経路Kaの次に作業が行われる次の作業経路Kaとの間に他の作業経路Kaが何本配置されるかを示すものである。
図14では、離脱しないトラクタ1aは、第1修正作業経路P1の作業開始位置S4から、作業経路Kaを1つ飛ばす形態で順次自律作業を行い、作業経路Kaに直交する方向で作業終了位置G1が位置する側の圃場Hの端部に至ると、図中矢印にて示すように、作業経路Kaに直交する方向で1つ飛ばした残りの作業経路Kaの内、予定作業経路K2の作業開始位置S2に一番近い作業経路Kaまで戻る。そして、トラクタ1aは、1つ飛ばした残りの作業経路Kaを順次自律作業を行うようにしている。
(4)上記実施形態では、トラクタ1の台数を増加させる場合として、1台から2台に増加させる場合について説明したが、例えば、1台から3台に増加させたり、2台から3台に増加させることもでき、トラクタ1を何台から何台に増加させるかは適宜変更が可能である。
また、トラクタ1の台数を減少させる場合についても、2台から1台に減少させる場合に限らず、例えば、3台から1台に減少させたり、3台から2台に減少させることもでき、トラクタ1を何台から何台に減少させるかは適宜変更が可能である。そして、トラクタ1の台数を減少させる場合には、例えば、燃料が少ないものから順に優先して離脱させることで、燃料の量に応じて離脱させるトラクタ1を選択することもできる。
(5)上記実施形態では、作業車両として、自律走行作業車両としてのトラクタ1のみが備えられた例を示しているが、作業車両として、自律走行作業車両としてのトラクタ1に加えて、作業者等が運転する有人のトラクタ1を備えることもでき、無人の作業車両と有人の作業車両とを混在させることも可能である。
(6)上記実施形態では、トラクタ1の台数の変更が受付けられたときに、トラクタ1の台数の増加又は減少を受付けたことを示す情報を、無線通信ネットワークを介してトラクタ1aの制御部23に送信することとしたが、当該情報をトラクタ1aの制御部23に送信しないこととしてもよい。即ち、トラクタ1aは自身が所有する作業経路に沿ってトラクタ1aの自律作業を制御するものであり、トラクタ1aの制御部23は、第1修正作業経路P1を無線通信端末30から取得するまでは、予定作業経路K1に沿う自律作業を継続し、第1修正作業経路P1を無線通信端末30から取得して以後は、第1修正作業経路P1に沿う自律作業を実行するものであればよい。この場合、増加に係るトラクタ1の存在、或いは、減少に係るトラクタ1の存在を認識することなく、自律作業を継続することが可能である。