JP6621354B2 - 発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、発電システムに関する。
太陽光、風力などの再生可能エネルギーは、低炭素化等の社会的要請により普及が促進される一方、自然状況に応じて出力が変動し、系統システムの安定運用に悪影響を及ぼすことが懸念されている。数日〜年単位の出力変動への対応技術としては、得られた電力を電解などにより水素に変換する等、いわゆるPower to Fuel技術が提案されている。
再生可能エネルギーを利用する際、出力が自然状況に応じて変動するため、火力発電などの出力調整が可能な電源によりバックアップする必要がある。この場合、火力発電所の設備利用率の低下、すなわち低出力運転が長期化することによって平均発電効率が低下する問題が生じる。実際、太陽光、風力などの再生可能エネルギーの普及が進んでいる欧州では、ガス火力発電の平均設備利用率は数年前まで70%〜80%台であったが、近年では国によっては30%代まで低下している(例えば、非特許文献1参照)。
また、出力調整が可能である燃料電池システムでは、定格発電などにより動作点を高効率側とすることで、発電効率を向上させつつ、発生する余剰電力を蓄電したり、水電解に用いたりすることが検討されている。
例えば、燃料電池システムの動作点を高効率側にシフトし、この際の余剰電力を用いて水電解を行うことが開示されている(例えば、非特許文献2、3参照)。
また、負荷要求が燃料電池システムの高効率点での電力よりも小さい場合には、当該高効率点にて燃料電池システムを駆動させると共に余剰電力を蓄電装置に充電する電源装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−210100号公報
エネルギー・資源,Vol.36, No.5, P32 (2015/9) 日本機械学会年次大会講演論文集 Vol.2004 No.Vol.3 p281-282 空気調和・衛生工学会北海道支部学術講演会論文集 Vol.38 p93-94
非特許文献2、3及び特許文献1では、燃料電池システムの動作点を高効率側にシフトし、余剰電力を発生させることが記載されているが、高効率点にシフトさせる際の条件については何ら記載されていない。そのため、燃料電池システムにおける実負荷の状況にかかわらず、燃料電池システムの動作点を高効率側にシフトさせることを前提としている。
しかしながら、安価な電力を安定的に供給可能とするためには、燃料電池システムなどの発電装置の動作点を高効率側にシフトさせた際にどの程度発電効率が上昇するかを検討し、より発電効率の上昇が認められる条件で動作点を高効率側にシフトさせることが好ましい。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、安価な電力を安定的に供給可能な発電システムを提供することを目的とする。
上記課題は、例えば以下の手段により解決される。
<1> 出力調整が可能な発電装置を備え、前記発電装置は、下記の式(1)で求められる数値が予め定められた閾値以上となるとき、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行う発電システム。
(高負荷点での発電電力−実負荷に対応した発電電力)/(高負荷点での発電にて必要な供給エネルギー量−実負荷での発電にて必要な供給エネルギー量)・・・(1)
一般的に、火力発電システム、燃料電池システムなどの出力調整が可能な発電装置を備える発電システムは、低出力時に発電効率が低下する。一方、本形態に係る発電システムは、上記式(1)の数値が定められた閾値以上となるときに、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行う。これにより、仮想的に高い発電効率で余剰電力が得られ、その結果、安価な電力を安定的に得ることができる。
<2> 前記発電装置での発電電力と、前記発電電力を得るために必要な前記供給エネルギー量と、の関係を示す効率曲線を、一定時間経過後、一定発電時間経過後、一定累積発電電力量到達後、一定起動停止回数経過後及びこれらの組み合わせから選択される一つの条件を満たした場合に更新し、更新された効率曲線に基づく前記式(1)で求められる数値が予め定められた閾値以上となるとき、更新された高負荷点にて発電を行う<1>に記載の発電システム。
発電装置での発電電力と、前記発電電力を得るために必要な供給エネルギー量との関係は、発電状況に応じて経時的に変化する。本形態に係る発電システムでは、前記関係を示す効率曲線を、前述の条件を満たした場合に更新し、その更新された効率曲線に基づく式(1)で求められる数値が予め定められた閾値以上となるとき、更新された高負荷点にて発電を行う。そのため、継続的に、仮想的に高い発電効率で余剰電力が得られ、その結果、安価な電力を安定的に得ることができる。
<3> 前記発電装置は、燃料電池システムである<1>又は<2>に記載の発電システム。
一般的に、燃料電池システムによる発電では、低負荷であるときの発電効率と、定格負荷など高負荷であるときの発電効率との差が火力発電よりも大きくなる傾向がある。そのため、発電装置が燃料電池システムである場合に、燃料電池システムの動作点を高効率側(高負荷側)にシフトさせることで発電効率が大きく上昇し、仮想的により高い発電効率で余剰電力を得ることができる。
本発明によれば、安価な電力を安定的に供給可能な発電システムを提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る発電システムを示す概略構成図である。 本発明の一例である定格100kW発電システムにおける発電電力量と供給燃料熱量との関係を示すグラフである。 電解装置の設備利用率と水素製造コストとの関係を示すグラフである。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
〔発電システム〕
以下、本発明の第一実施形態に係る発電システム10について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る発電システムを示す概略構成図であり、より詳細には、発電システムは、発電部として燃料電池を備える燃料電池システム(発電装置、図1中の点線に覆われた部分)を有している。
本実施形態に係る発電システム10は、出力調整が可能な燃料電池2を備える燃料電池システムを有し、燃料電池システムは、下記の式(1)’で求められる数値が定められた閾値以上となるとき、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行う。
(高負荷点での発電電力−実負荷に対応した発電電力)/(高負荷点での発電にて必要な燃料ガスの熱量−実負荷での発電にて必要な燃料ガスの熱量)・・・(1)’
一般的に、火力発電システム、燃料電池システムなどの出力調整が可能なシステムは、低出力時に発電効率が低下する。一方、本実施形態に係る発電システム10では、燃料電池システムが、上記式(1)’で求められる数値が定められた閾値以上となるときに、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行う。これにより、仮想的に高い発電効率で余剰電力が得られ、その結果、安価な電力を安定的に得ることができる。
(発電装置)
本実施形態に係る発電システム10は、出力調整が可能な発電装置として燃料電池システムを備えており、燃料電池システムは、燃料ガスが供給されて発電を行う燃料電池2を備えている。燃料電池2には、燃料ガスとして水素を含む改質ガスが改質ガス供給経路13を通じて供給される。
発電装置としては、出力を調整できるシステム又は装置であれば特に限定されない。発電装置としては、例えば、燃料電池システム、火力発電機、原子力発電機、水力発電機などが挙げられる。前述した発電装置を発電システムが備える場合、発電装置は、下記の式(1)で求められる数値が定められた閾値以上となるとき、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行えばよい。
(高負荷点での発電電力−実負荷に対応した発電電力)/(高負荷点での発電にて必要な供給エネルギー量−実負荷での発電にて必要な供給エネルギー量)・・・(1)
発電装置が燃料電池システムである場合、発電装置は、燃料ガスを用いて発電を行う。このとき、燃料ガスとしては、水素を含むガスが挙げられる。また、後述するように、燃料ガスは、改質器にて製造された水素を含む改質ガスであってもよい。前述の式(1)において、供給エネルギー量は、供給された燃料ガスの熱量を指す。
発電装置が火力発電機である場合、発電装置は、燃料を用いて発電を行う。このとき、燃料としては、石油、石炭、天然ガス、都市ガス、LPガス、水素を含むガス、バイオマス燃料などが挙げられる。前述の式(1)において、供給エネルギー量は、供給された燃料の熱量を指す。
発電装置が原子力発電機である場合、発電装置は、核燃料を用いて発電を行う。このとき、核燃料としては、ウラン、プルトニウムなどが挙げられる。前述の式(1)において、供給エネルギー量は、供給された核燃料の核分裂時に発生する熱エネルギー量を指す。
発電装置が水力発電機である場合、発電装置は、水の位置エネルギーを利用して発電を行う。前述の式(1)において、供給エネルギー量は、水の位置エネルギー量を指す。
中でも発電装置としては、燃料電池システムが好ましい。一般的に、燃料電池システムによる発電では、低負荷であるときの発電効率と、定格負荷など高負荷であるときの発電効率との差が火力発電よりも大きくなる傾向がある。そのため、発電装置が燃料電池システムである場合に、燃料電池システムの動作点を高効率側にシフトさせることで発電効率が大きく上昇し、仮想的により高い発電効率で余剰電力を得ることができる。本実施形態では、発電装置として燃料電池システムを用いた構成について説明している。
なお、本明細書において、燃料電池システムは、少なくとも燃料電池及び改質器を備え、必要に応じて補機類(燃料電池システムの起動、運転及び停止に必要な周辺機器)などを備えるシステムである。例えば、改質器及び燃料電池を含む燃料電池システムでは、低出力になると出力あたりの放熱が大きくなり、改質反応(吸熱反応)に与える熱が相対的に大きくなるため、発電効率が低下する。
また、燃料電池システムでは、改質器が燃料電池の外部に取り付けられている構成に限定されず、燃料電池の内部で原料ガスの改質(内部改質)を行い、生成された改質ガスを燃料電池での発電に用いる構成であってもよい。特に燃料電池が高温型の燃料電池である場合、内部での反応温度が600℃〜1000℃程度と高温であるため、燃料電池内で原料ガスの改質を好適に行うことが可能である。
本実施形態に係る発電システム10が備える燃料電池2は、例えば、カソード(空気極)、電解質及びアノード(燃料極)を備える燃料電池セルであってもよく、燃料電池セルを複数積層した燃料電池スタックであってもよい。また、燃料電池2としては、600℃〜1000℃程度で作動する高温型の燃料電池及び60℃〜200℃程度の温度で作動する低温型の燃料電池が挙げられる。高温型の燃料電池としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)が挙げられ、低温型の燃料電池としては、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)が挙げられる。
本実施形態に係る発電システム10では、燃料電池2のアノード側に水素を含む改質ガスが改質ガス供給経路13を通じて供給され、燃料電池2のカソード側に空気(酸素を含むガス)が空気供給経路14を通じて供給される。そして、アノード側及びカソード側での電気化学的な反応により、発電を行う。発電により生じたアノードオフガス及びカソードオフガスは、それぞれアノードオフガス経路15及びカソードオフガス経路16を通じて燃料電池2外に排出される。
前述のように、発電システム10では、発電装置である燃料電池システムが、下記の式(1)’で求められる数値が定められた閾値以上となるとき、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行う。
(高負荷点での発電電力−実負荷に対応した発電電力)/(高負荷点での発電にて必要な燃料ガスの熱量−実負荷での発電にて必要な燃料ガスの熱量)・・・(1)’
高負荷点としては、実負荷よりも高い負荷となる動作点であればよいが、好ましくは、発電システム10が備える燃料電池システムの発電効率が最も高くなる動作点である。燃料電池システムの発電効率が最も高くなる動作点としては、例えば、定格発電を行うときの動作点であってもよく、定格発電以外で最高効率での発電を行うときの動作点が挙げられる。
本実施形態に係る発電システム10は、上記式(1)’で求められる数値が定められた閾値以上となるときに、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行う。ここで、上記式(1)’の数値は、燃料ガスの熱量の増加分に対して増加した発電電力の割合(以下、「仮想発電効率」とも称する。)を指している。この仮想発電効率を高めることにより、仮想的により高い発電効率で余剰電力が得られる、すなわち、より安価な電力が得られる。
したがって、上記式(1)’で求められる数値がある閾値以上となる場合、仮想的に高い発電効率で余剰電力が得られ、その結果、安価な電力を安定的に得ることができる。
発電システム10にて、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行うか否かを判定する際の基準となる閾値としては、発電システム10の最高発電効率以上の値、同タイプの燃料(例えば、天然ガス)を用いる一般的な発電システムの最高発電効率以上の値、一般的な燃料電池システム(例えば、実際に使用されている燃料電池システム)の最高発電効率以上の値などが挙げられる。閾値が発電システム10の最高発電効率以上の値であるとき、発電システム10の仮想発電効率を、発電システム10の最高発電効率以上とすることができ、余剰電力として安価な電力を得ることができる。また、閾値が同タイプの燃料(例えば、天然ガス)を用いる一般的な発電システムの最高発電効率以上の値であるとき、発電システム10の仮想発電効率を、一般的な発電システムの最高発電効率以上とすることができ、一般的な発電システムよりも安価な電力を得ることができる。また、閾値が一般的な燃料電池システムの最高発電効率以上の値であるとき、発電システム10の仮想発電効率を、一般的な燃料電池システムの最高発電効率以上とすることができ、一般的な燃料電池システムよりも安価な電力を得ることができる。
本発明に係る発電システムにて、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行うか否かを判定する際の基準となる閾値としては、発電システムの種類に応じて異なる値であってもよい。例えば、本発明に係る発電システムにて、上記閾値は、本発明に係る発電システムの最高発電効率以上の値、又は同じ方式である一般的な発電システム(例えば、実際に使用されている発電システム)の最高発電効率以上の値であってもよい。
本実施形態のように、燃料電池システムが、燃料電池を備える場合、燃料電池の種類に応じて閾値が異なっていてもよい。燃料電池が高温型の燃料電池、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である場合、閾値を、高温型の燃料電池を備える一般的な燃料電池システムの最高発電効率(例えば、0.45〜0.6(45%〜60%))以上と設定してもよい。また、燃料電池が低温型の燃料電池、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC)である場合、閾値を、低温型の燃料電池を備える一般的な燃料電池システムの最高発電効率(例えば、0.3〜0.4(30%〜40%))以上と設定してもよい。
さらに、余剰電力としてより安価な電力を得る点から、燃料電池が高温型の燃料電池である場合、閾値を、高温型の燃料電池を備える一般的な燃料電池システムの最高発電効率よりも高い値、例えば、0.6以上(60%以上)、好ましくは0.65以上(65%以上)、より好ましくは0.7以上(70%以上)としてもよい。同様に、燃料電池が低温型の燃料電池である場合、閾値を、低温型の燃料電池を備える一般的な燃料電池システムの最高発電効率よりも高い値、例えば、0.4以上(40%)、好ましくは0.45以上(45%以上)、より好ましくは0.5以上(50%)としてもよい。
また、発電システムが、火力発電機、原子力発電機又は水力発電機を備える場合、閾値を、それぞれ一般的な火力発電システム、原子力発電システム、水力発電システムの最高発電効率以上の値としてもよい。例えば、発電システムが火力発電機を備える場合、閾値を、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上と設定してもよい。
なお、閾値の上限としては、発電装置の実負荷を変動させた際に、式(1)及び式(1)’の数値がとりうる値以下であればよく、特に限定されない。
以下、本発明の発電システムの実施の一例について図2を用いて説明する。図1で示される発電システム10として、改質器1及び固体酸化物形燃料電池である燃料電池2を備える定格100kW発電システムを想定し、このシステムが図2に示す発電電力量及び供給燃料熱量を満たすときのシミュレーション結果を以下に示す。図2は、本発明の一例である定格100kW発電システムにおける発電電力量と供給燃料熱量との関係を示すグラフである。
図2に示すように、定格100kW発電システムでは、発電効率が、定格(100kW)時に55%、50%出力(50kW)時に45%、30%出力(30kW)時に32%である。また、定格100kWで発電するときの供給燃料の熱量は182kWであり、出力50kWで発電するときの供給燃料の熱量は111kWであり、出力30kWで発電するときの供給燃料の熱量は93kWである。
ここで、実負荷が50kWであるが、燃料電池システムにて出力50%で運転を行わず、定格で運転を行い、発生する余剰電力を電解装置に供給する場合、電解装置にとっては、(182−111)kWの供給燃料を用いて(100−50)kWの発電ができたことになる。そのため、仮想発電効率は、(100−50)/(182−111)=0.71(71%)となる。
同様に、実負荷が30kWであるが、燃料電池システムにて出力30%で運転を行わず、定格で運転を行い、発生する余剰電力を電解装置に供給する場合、仮想発電効率は、(100−30)/(182−93)=0.79(79%)となる。
この仮想発電効率がある閾値以上の場合、実負荷よりも高い高負荷点で発電を行うことで、余剰電力として安価な電力を得ることができる。本実施の一例では、閾値を、図2に示すような最大発電効率である約0.55(55%)としてもよく、それよりも大きい値、例えば、0.6(60%)又は0.7(70%)としてもよい。また、例えば、定格時(効率55%)の発電コストが15円/kWhとすると、見かけ上、仮想発電効率71%では12円/kWh、仮想発電効率79%では8円/kWhで電解装置用の電力が得られる。そのため、得られる余剰電力の目標コストを、閾値決定の因子としてもよい。
また、図2に示すように、燃料電池システムにおける発電効率の出力依存性を示すグラフは、直線ではなく曲線状となる。そのため、燃料電池システムにおける実負荷の状況にかかわらず、燃料電池システムの動作点を高効率側にシフトさせるのではなく、より発電効率の上昇が認められる状況で、燃料電池システムの動作点を高効率側にシフトさせることが好ましい。
さらに、火力発電システムでは、発電電力量と供給燃料熱量との関係及び発電効率の出力依存性を考慮すると、低負荷であるときの発電効率と、定格負荷など高負荷であるときの発電効率との差が燃料電池システムよりも小さくなる傾向がある。すなわち、火力発電システムにおいて、図2のようなグラフを検討すると、発電効率の出力依存性を示すグラフは曲率の小さいよりフラットな曲線となる傾向がある。そのため、仮想発電効率をより上昇させる点から、発電システムが備える発電装置としては、火力発電システムよりも燃料電池システムの方が好ましいと推測される。
(改質器)
本実施形態に係る発電システム10では、燃料電池システムは、燃料電池2に供給されて発電に用いられる改質ガスを製造する改質器1を備えている。改質器1は、例えば、バーナ又は燃焼触媒を配置した燃焼部32と、改質用触媒を備える改質部31とにより構成される。
改質部31は、燃料電池2よりも上流に配置されており、改質部31にて製造された改質ガスが改質ガス供給経路13を通じて燃料電池2のアノードに供給される構成となっている。また、改質部31は、上流側にて原料ガス供給経路11及び水蒸気供給経路12と接続しており、下流側にて改質ガス供給経路13と接続している。
改質部31は、上流側にて原料ガス供給経路11及び水蒸気供給経路12と接続しているため、原料ガス供給経路11を通じて原料ガスが供給され、水蒸気供給経路12を通じて水蒸気が供給される。そして、改質部31は、供給された原料ガスを水蒸気改質することで水素を含む改質ガスを生成する。
改質部31に供給される原料ガスとしては、改質が可能なガスを含むもの、例えば、炭化水素ガスを含むものであれば特に限定されず、具体的には、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。低級炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の炭素数4以下の低級炭化水素が挙げられ、特にメタンが好ましい。なお、炭化水素ガスとしては、上述した低級炭化水素ガスを混合したものであってもよい。
燃焼部32は、上流側にてアノードオフガス経路15及びカソードオフガス経路16と接続しており、下流側にて排ガス経路18と接続している。燃焼部32は、アノードオフガス経路15を通じて供給されたオフガスと、カソードオフガスを通じて供給された未反応の酸素を含むガスとの混合ガスを燃焼させ、改質部31内の改質用触媒を加熱する。燃焼部32からの排ガスは、排ガス経路18を通じて排出される。
改質部31で起こる水蒸気改質は大きな吸熱を伴うので、反応の進行のためには外部から熱の供給が必要である。そのため、燃焼部32で発生する燃焼熱により改質部31を加熱することが好ましい。あるいは、燃焼部32を設置せずに燃料電池2から放出される熱を用いて改質部31を加熱してもよく、燃焼部32を設置し、かつ燃料電池2から放出される熱を用いて改質部31を加熱してもよい。
また、改質器1は、水蒸気改質反応を行うことが可能な構成であれば特に限定されず、従来公知の構成であってもよい。
なお、原料ガスを改質して水素を含む改質ガスを生成する方法としては、水蒸気改質に限定されず、二酸化炭素改質又は部分酸化改質により水素を含む改質ガスを生成してもよい。二酸化炭素改質を行う場合、水蒸気の代わりに二酸化炭素が改質器(改質部)に供給され、部分酸化改質を行う場合、水蒸気の代わりに酸素が改質器(改質部)に供給される。
(電解装置)
本実施形態に係る発電システム10は、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行うことで得られた余剰電力を用いて水電解を行う電解装置3を備えている。余剰電力は送電線21を通じて電解装置3に供給される。
通常、太陽光発電、風力発電などで生じる変動電力を電解装置へ供給される電力としてもよいが、本実施形態に係る発電システム10では、燃料電池システムでの発電にて生じる余剰電力を水電解に利用している。このため、電解装置3の設備利用率の向上が可能である。また、変動電力のバックアップとすることで、燃料電池システムの負荷を高めて利用率を上げることができ、効率よく発電が可能である。
本発明に係る発電システムでは、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行うことで得られた余剰電力を電解装置に供給する構成に限定されない。余剰電力を、例えば、電力を蓄電する蓄電装置に供給してもよく、あるいは、電力を消費する消費設備、電力を用いて化学物質を生産する生産設備、又は電力を別エネルギーに変換する変換設備に供給してもよい。
より具体的には、余剰電力を、前述のように水電解を行う電解装置又はアンモニアの電解合成を行う電解装置に供給してもよく、圧縮空気に変換して貯蔵する圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)に用いたり、NAS電池(「NAS」は登録商標)などへの蓄電や揚水発電に用いたりしてもよい。また、余剰電力を、他の電力需要家に送電してもよい。
以下、電解による水素製造の経済性について検討する。ここで、図3に示すように、電解による水素製造の経済性は、電力コスト及び設備利用率に大きく依存する。図3は、電解装置の設備利用率と水素製造コストとの関係を示すグラフである(非特許文献:「日本エネルギー経済研究所レポート(2015/1/27)」における図1、3電解からの水素製造コストを引用)。低価格な電力としては、余剰再生可能エネルギー電力が期待されるが、この電力のみで高い設備利用率とすることは、再生可能エネルギーでは自然状況に応じて出力変動することを考慮すると事実上困難である。
一例として、燃料電池自動車向けに70MPaで100円/Nm−Hの価格を実現しようとするケースについて検討する、2030年における70MPa水素ステーションのコストとして、圧縮機、蓄圧器、ディスペンサ、その他機器類、土木工事等で53.6円/Nm−Hのコストが掛かる(非特許文献:経済産業省、「未来開拓プロジェクト再生可能エネルギー貯蔵・輸送等技術開発」を参照)。したがって、例えば100円/Nm−Hの価格を実現しようとすると、水素製造原価を46.4円/Nm−H以下にする必要がある。水電解により水素を製造する場合、図3の右図を参照すると、0円/kWhの電力で20%強、5円/kWhの電力で40%強、7〜8円/kWhの電力で100%に近い設備利用率が必要になることが分かる。電解による水素製造の経済性を高める点では、電力コストの削減及び電解装置の設備利用率の向上が重要である。
本実施形態に係る発電システム10のように、安価な余剰電力を電解装置3に供給し、かつ、電解装置3の設備利用率を向上させることで、電解による水素製造の経済性を大きく改善することができる。
燃料電池システムでの発電電力と、その発電電力を得るために必要な供給エネルギー量との関係は、スタック効率、補機効率、インバーター効率などが経時的に変化することから、経時的に変動する。そこで、本実施形態に係る発電システム10では、この関係を示す効率曲線を、一定時間経過後、一定発電時間経過後、一定累積発電電力量到達後、一定起動停止回数経過後及びこれらの組み合わせから選択される一つの条件を満たす場合に更新し、その更新された効率曲線に基づく式(1)’で求められる数値が予め定められた閾値以上となるとき、更新された高負荷点にて発電を行うことが好ましい。これにより、継続的に、仮想的に高い発電効率で余剰電力が得られ、その結果、安価な電力を安定的に得ることができる。なお、更新された高負荷点にて発電を行うか否かを判定する際の基準となる閾値としては、更新前の基準となる閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。
効率曲線の更新は、例えば、直近の一定期間において、一定時間以上、一定出力又は一定出力範囲であった際の発電装置の発電効率をもとに行ってもよい。また、効率曲線としては、例えば、前述の図2に示すような発電装置での発電電力と、その発電電力を得るために必要な供給エネルギー量との関係、及び必要に応じて発電効率を示すグラフが挙げられる。
1 改質器
2 燃料電池(発電部)
3 電解装置
10 発電システム
11 原料ガス供給経路
12 水蒸気供給経路
13 改質ガス供給経路
14 空気供給経路
15 アノードオフガス経路
16 カソードオフガス経路
17 水素ガス流通経路
18 排ガス経路
21 送電線
31 改質部
32 燃焼部

Claims (2)

  1. 出力調整が可能な発電装置を備え、
    前記発電装置は、下記の式(1)で求められる数値が予め定められた閾値以上となるとき、実負荷よりも高い高負荷点にて発電を行い、
    前記発電装置での発電電力と、前記発電電力を得るために必要な供給エネルギー量と、の関係を示す効率曲線を、一定時間経過後、一定発電時間経過後、一定累積発電電力量到達後、一定起動停止回数経過後及びこれらの組み合わせから選択される一つの条件を満たした場合に更新し、更新された効率曲線に基づく前記式(1)で求められる数値が予め定められた閾値以上となるとき、更新された高負荷点にて発電を行う発電システム。
    (高負荷点での発電電力−実負荷に対応した発電電力)/(高負荷点での発電にて必要な供給エネルギー量−実負荷での発電にて必要な供給エネルギー量)・・・(1)
  2. 前記発電装置は、燃料電池システムである請求項1に記載の発電システム。
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