以下の実施形態は、ロータリスイッチに関し、とくに、車体に設けられたスタンドの向きを検出するために用いられるロータリスイッチに関する。
(実施形態)
(1)概要
本実施形態に係るロータリスイッチ1は、図1及び図3に示すように、車体(本実施形態では車体に設けられたブラケット80)に対して回転可能に取り付けられたスタンド81の向きを検出するためのロータリスイッチである。
ロータリスイッチ1は、図1〜図3に示すように、ハウジング10と、ロータ20と、位置決め部材30と、を備える。ここにおいて、ロータリスイッチ1は、二輪又は三輪の自動車や原動機付き自転車などの車両に取り付けられて、車体に設けられたスタンド81の向きを検出するために用いられる。
ハウジング10には固定接点40(第1固定接点411と第2固定接点421とを含む)が設けられている(図4A参照)。ハウジング10は車体(ブラケット80)に取り付けられる。
ロータ20は、少なくとも一部に樹脂部21を有している。ロータ20は、可動接点50を保持する(図2及び図4B参照)。
位置決め部材30は、ロータ20に保持されてスタンド81の位置決め穴(位置決め孔814)に一部が挿入される。
ロータ20は、車体に対するスタンド81の回転に応じて、ハウジング10に対して回転する。
位置決め部材30は、図6A〜図6C及び図7A〜図7Bに示すように、ロータ20の樹脂部21に埋め込まれる保持部31と、ロータ20から突出して位置決め穴(位置決め孔814)に挿入される突出部32と、を有している。
保持部31は、ロータ20の回転軸A1を中心とする円C1(図7B参照)の接線L1に沿って配置されている第1片33と、第1片33において接線L1と平行な接線方向における少なくとも一方の端部(本実施形態では両方の端部)から突出する第2片34と、を有している。第2片34において第1片33と反対側の一端部は、第2片34において第1片33と連結される他端部に比べて、ロータ20の回転軸A1から遠くに位置している。
本実施形態のロータリスイッチ1では、位置決め部材30が、ロータ20の樹脂部21に埋め込まれる保持部31を有し、保持部31は第1片33と第2片34とを有している。第2片34において第1片33と反対側の一端部は、第2片34において第1片33と連結される他端部に比べて、ロータ20の回転軸A1から遠くに位置している。したがって、回転軸A1を中心にロータ20を回転させる外力がロータ20に加わった場合に第2片34は回転軸A1からより遠い位置でロータ20に加わる外力を受けることができる。よって、ロータ20の樹脂部21に加わる外力が低減され、ロータ20の強度を全体として向上させることができる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係るロータリスイッチ1について図1〜図8を参照して詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は本発明の一例に過ぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の説明では、特に断りがない限り、図3において、「上」、「下」、「左」、「右」の矢印で示す通りに上、下、左、右の各方向を規定する。ただし、これらの方向はロータリスイッチ1の使用方向を規定する趣旨ではない。また、図3中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(2.1)ロータリスイッチ1の構成
実施形態1に係るロータリスイッチ1は、車体に回転可能に取り付けられたスタンド81の向きを検出するために用いられる。
まず、スタンド81の構成を図1及び図3に基づいて説明する。
スタンド81は、車体に設けられたブラケット80に取り付けられる。スタンド81は、例えば金属材料で形成されており、棒状の脚部811と、脚部811の一端に設けられた平板状の連結部812とを備えている。連結部812には、連結部812をそれぞれ厚み方向に貫通する貫通孔813と位置決め孔814とが設けられている。貫通孔813にはピボットボルト82が挿入される。位置決め孔814は貫通孔813よりも径が小さく、位置決め孔814には位置決め部材30の突出部32が挿入される。
ブラケット80は、例えば平板状の金属板であり、車両の車体に設けられている。ブラケット80には、ピボットボルト82がねじ込まれるねじ孔801が設けられている。また、ブラケット80には、丸棒状の金属棒84が、溶接、ねじ止めなどの方法で固定されている。
ピボットボルト82は、頭部821にねじ穴822が設けられた六角ボルトである。ピボットボルト82の軸部823の先端部分には、ねじが形成されている。
ここにおいて、作業者は、スタンド81の貫通孔813にピボットボルト82の軸部823を挿入し、軸部823の先端部分のねじをブラケット80のねじ孔801にねじ込むことによって、スタンド81をブラケット80に取り付ける。ピボットボルト82がブラケット80に取り付けられた状態では、頭部821とブラケット80との間の寸法は、スタンド81の連結部812の厚み方向における寸法よりも大きくなっている。そのため、スタンド81は、ピボットボルト82を中心に回転可能な状態でブラケット80(車体)に取り付けられている。
このように、スタンド81は、車体に設けられたブラケット80に、ピボットボルト82を介して、回転可能な状態で取り付けられている。そして、スタンド81は、地面と接地する起立位置と、地面から離れた格納位置との間で回転可能である。例えば駐車時などに運転者がスタンド81を起立位置に回転させると、車両の車輪とスタンド81とで、車両が自立した状態となる。一方、運転者がスタンド81を格納位置に回転させると、スタンド81が地面と接触しない状態で走行が可能になる。
次に、実施形態1に係るロータリスイッチ1の構成を図1〜図8に基づいて説明する。
ロータリスイッチ1は、図2及び図4に示すように、ハウジング10と、ロータ20と、位置決め部材30と、固定接点40と、可動接点50と、を備えている。ロータリスイッチ1は、トップシール61と、摺動板62と、ボトムシール63と、筒体64と、コイルばね70と、を更に備えている。ロータリスイッチ1は、ブラケット80に固定されたピボットボルト82に、固定ボルト83を用いて取り付けられる。なお、固定ボルト83の頭部には、径方向に突出するフランジ部831が設けられている。
ハウジング10は、例えば合成樹脂の成形品である。ハウジング10は、図2に示すように、円筒状の収納部11と、一対の挟持部12と、ソケット部13とを有している。
収納部11は、図3及び図4Aに示すように、円筒状の筒部111と、筒部111の中心軸方向における一端部(図3における上部)に設けられた側壁112とを備えている。すなわち、筒部111は、筒部111の中心軸方向における他端側(図3の下側)が開放されている。
側壁112の中心には、側壁112を厚み方向に貫通する円形の貫通孔113が設けられている。側壁112の外側面(図3の上面)には、貫通孔113の周りに、環状の周壁114が設けられている。周壁114の一部には溝115が設けられている。
一対の挟持部12は、筒部111の外側面から径方向にそれぞれ突出している。ハウジング10がブラケット80に取り付けられた状態では、一対の挟持部12の間に、ブラケット80に固定された金属棒84が挿入されている。すなわち、一対の挟持部12の間に金属棒84が挿入されることで、ブラケット80に対してハウジング10の回転が規制されている。
ソケット部13は、筒部111の外側面から径方向に突出している。ソケット部13は筒状に形成されている。ソケット部13の内側には、第1固定接点板41の端子412と、第2固定接点板42の端子422とが並べて配置されている(図4A参照)。ソケット部13に、電線に結線されたプラグが接続されると、第1固定接点板41と第2固定接点板42とが電線を介して外部回路に電気的に接続される。
側壁112の内側面(図3の下面)には、固定接点40となる第1固定接点板41と第2固定接点板42とが固定されている(図4A参照)。第1固定接点板41は、円弧形状の帯板からなる第1固定接点411と、第1固定接点411の一端側に設けられた棒状の端子412とを備えている。同様に、第2固定接点板42は、円弧形状の帯板からなる第2固定接点421と、第2固定接点421の一端側に設けられた棒状の端子422とを備えている。第1固定接点411は、ロータ20の回転軸A1を中心とする第1円C11の円周上に部分的(例えば円周の約半分の範囲)に形成されている。第2固定接点421は、ロータ20の回転軸A1を中心とする第2円C12の円周上に部分的(例えば円周の約3分の2の範囲)に形成されている。第1円C11と第2円C12とは異径である。本実施形態では、第1固定接点411が第2固定接点421の内側に配置されているため、第1円C11の半径は第2円C12の半径よりも小さくなっている。そして、第1固定接点411と第2固定接点421とは、第1円C11、第2円C12の円周方向において少なくとも一部が横並びに配置されている。なお、本実施形態では、第1円C11、第2円C12の円周方向において、第1固定接点411が設けられた範囲に、第2固定接点421が設けられた範囲が収まっている。
第1固定接点板41及び第2固定接点板42は、それぞれ、第1固定接点411、第2固定接点421の下面を露出させた状態で、ハウジング10の樹脂部分に埋設されている。ここで、ハウジング10の樹脂部分において可動接点50が接触する接触部位111aと、第1固定接点411及び第2固定接点421の下面との間に段差が生じないように、第1固定接点411及び第2固定接点421はハウジング10の樹脂部分に埋設されている(図4A参照)。なお、第1固定接点411及び第2固定接点421がハウジング10の樹脂部分に埋設される際に第1固定接点411及び第2固定接点421を位置決めするための樹脂溝111bが、第1固定接点411及び第2固定接点421の周縁に設けられてもよい。第1円C11及び第2円C12の円周方向における樹脂溝111bの幅は、可動接点50が備える第1接点部51及び第2接点部52の全体が嵌まらない程度の幅である。これにより、第1接点部51及び第2接点部52が樹脂溝111bに引っ掛かりにくくなり、可動接点50はスムーズに移動することができる。
可動接点50は、2個の第1接点部51と、1個の第2接点部52とを備えている(図2及び図4B参照)。可動接点50は、ロータ20の上面に保持される。2個の第1接点部51は、第1円C11の円周上に、円周方向に間隔をあけて配置されている。1個の第2接点部52は、第2円C12の円周上に配置されている。第2接点部52は、第2円C12の円周方向において、2つの第1接点部51の中間位置に位置している。
2個の第1接点部51と1個の第2接点部52とは導電体53を介して連結されている。導電体53は、平面形状がV字形の金属板である。導電体53の厚み方向における一面(ロータ20と対向する面と反対側の面)には、2個の第1接点部51と1個の第2接点部52とが設けられている。導電体53の両端部には、導電体53の厚み方向における一方向(ロータ20側)に突出する脚片54がそれぞれ設けられている。
ロータ20は、図2、図7A及び図7Bに示すように、例えば合成樹脂で成形された樹脂部21を有している。樹脂部21は円盤形状に形成されている。ロータ20が筒部111の内部に収納された状態では、円盤形状の樹脂部21の中心軸(回転軸A1)が、筒部111の中心軸と一致している。ロータ20は、第1位置(図5B参照)と第2位置(図5A参照)との間で、スタンド81の回転に応じてハウジング10に対して回転する。第1位置は、可動接点50を介して一対の固定接点40同士(第1固定接点411と第2固定接点421)が導通する位置である。第2位置は、一対の固定接点40が非導通となる位置である。
樹脂部21の中心には、樹脂部21を厚み方向に貫通する貫通孔22が設けられている。樹脂部21の厚み方向における一面(図3の上面)には、貫通孔22の周縁部から突出する円筒状の軸受部23が設けられている。樹脂部21の厚み方向における他面(図3の下面)には、樹脂部21の中心軸を中心とする円環状の周壁24が設けられている。
樹脂部21の厚み方向における一面(軸受部23が設けられた面)には、可動接点50が備える一対の脚片54がそれぞれ挿入される一対の角孔25が設けられている。可動接点50は、一対の脚片54がそれぞれ角孔25に挿入された状態で、ロータ20に保持される(図4B参照)。そして、樹脂部21の厚み方向における一面(軸受部23が設けられた面)には、ロータ20に可動接点50が保持された状態で、2個の第1接点部51と1個の第2接点部52とのそれぞれに対応する位置に合計3個の丸穴26が設けられている。3個の丸穴26にはそれぞれコイルばね70が挿入されており、コイルばね70の弾性力によって可動接点50が上側(ロータ20の側壁112に近づく向き)に押されている。
樹脂部21には位置決め部材30の一部が埋め込まれている。位置決め部材30は、例えば金属板をプレス加工して形成されている。位置決め部材30は保持部31と突出部32とを有している。保持部31は樹脂部21に埋め込まれる(図7A参照)。突出部32は保持部31から下向きに突出している。ロータリスイッチ1が車体に取り付けられた状態では、突出部32は、スタンド81の位置決め孔814に挿入される。なお、突出部32の先端には、先細りとなるようなテーパ部36が形成されている。このテーパ部36は、突出部32が位置決め孔814に挿入される際にガイドの役目を果たす。
保持部31は、第1片33と2つの第2片34とを有している。第1片33は、ロータ20の回転軸A1を中心とする円C1の接線L1に沿って配置されている(図7B参照)。第1片33には、第1片33を厚み方向に貫通する貫通孔35が設けられている。第2片34は、第1片33において接線L1と平行な接線方向の両端部からそれぞれ突出している。第2片34において第1片33と反対側の一端部は、第2片34において第1片33と連結される他端部に比べて、ロータ20の回転軸A1から遠くに位置している。
この位置決め部材30は、保持部31が樹脂部21に埋め込まれることによって、樹脂部21に固定されている。本実施形態では、保持部31が、樹脂部21の周壁24に埋め込まれている(図7A参照)。保持部31において第1片33の厚み方向における一面は周壁24の内側面から露出しており、第1片33において周壁24から露出する一面は平坦に設けられている。また、2つの第2片34は全体が周壁24に埋め込まれている。なお、第1片33の貫通孔35には樹脂が入り込んでおり、位置決め部材30と樹脂部21との結合を強固にしている。
トップシール61は、合成ゴムにより円環状に形成されたリップ部に、円環状の金属部材を組み合わせたシール部材である。トップシール61は、ハウジング10の貫通孔113に上側から嵌め込まれている。トップシール61は、内周側でロータ20の軸受部23と接触し、外周側で貫通孔113の端面と接触する。トップシール61が、軸受部23の外側面と、貫通孔113の端面とにそれぞれ密着することで、ハウジング10の内部への異物(水、油、埃など)の侵入を抑制している。
摺動板62は、平面形状が円環形状の金属板である。摺動板62の内径は周壁24の外径よりも大きく、摺動板62の外径は筒部111の内径よりも小さい。摺動板62は、ロータ20とボトムシール63との間に配置される。これにより、ロータ20の下面は摺動板62と接触するから、ロータ20の下面がボトムシール63の上面と接触する場合に比べて、摩擦を低減し、ロータ20が回転しやすくなる。
ボトムシール63は、合成ゴムにより円環状に形成されたリップ部に、円環状の金属部材を組み合わせたシール部材である。ボトムシール63は、ハウジング10の筒部111に下側から嵌め込まれている。ボトムシール63は、内周側でロータ20の周壁24と接触し、外周側で筒部111の内側面に接触する。ボトムシール63が、ロータ20の周壁24と、筒部111の内側面とにそれぞれ密着することで、ハウジング10の内部への異物(水、油、埃など)の侵入を抑制している。
筒体64は、図2に示すように、例えば金属材料により中空円筒状に形成されている。筒体64は、ロータ20の軸受部23内に圧入されている。筒体64を軸方向に貫通する貫通孔641には、固定ボルト83の軸部が挿入される。筒体64の外側面には、中心軸方向の中間部に、円周方向の全周にわたる溝642が形成されている。軸受部23の内側面には、筒体64の溝642に嵌まる突起231が設けられている。よって、筒体64が軸受部23に圧入された状態では、突起231が溝642に嵌まることによって、筒体64の上下方向における移動が規制される(図3参照)。筒体64はロータ20の軸受部23に圧入され、貫通孔641に軸部が挿入された固定ボルト83がピボットボルト82のねじ穴822にねじ込まれることによって、ロータ20がピボットボルト82に取り付けられる。ここで、上下方向における筒体64の寸法は、上下方向における軸受部23の寸法よりも若干大きい寸法に設定されているので、軸受部23は固定ボルト83に対して回転可能である。すなわち、ロータ20は、筒体64と軸受部23との摩擦によって、固定ボルト83を中心として回転可能に保持されている。
(2.2)ロータリスイッチ1の車体への取り付け
まず、ロータリスイッチ1の組み立て作業について説明する。なお、ロータリスイッチ1の組み立て手順は以下の説明に限定されず、作業性などを考慮して適宜変更が可能である。
作業者は、ハウジング10の貫通孔113に上側からトップシール61を挿入する。トップシール61が貫通孔113に挿入された状態では、トップシール61の金属部材が、貫通孔113の周縁部に接触することで、トップシール61の下側への移動が規制される。また、トップシール61の金属部材に設けられた突起611が、周壁114の溝115に挿入されることによって、トップシール61の回転が規制される(図8A参照)。
筒体64は、ロータ20を樹脂成形する際にロータ20の軸受部23に嵌め込まれており、ロータ20の軸受部23と一体化されている。作業者は、ロータ20の上面の3つの丸穴26にそれぞれコイルばね70を挿入する。作業者は、2つの脚片54をそれぞれ角孔25に挿入して、可動接点50をロータ20の上面に取り付ける。可動接点50がロータ20に取り付けられた状態では、2つの第1接点部51と1つの第2接点部52との裏側にそれぞれコイルばね70の上端部が接触している。
作業者は、筒体64とコイルばね70と可動接点50とが取り付けられたロータ20を、筒部111内に下側から挿入し、ロータ20の軸受部23をトップシール61の孔に嵌め込む。その後、作業者は、筒部111内に、摺動板62とボトムシール63とを下側から挿入し、ロータ20の周壁24をボトムシール63の孔に嵌め込む(図8B参照)。これにより、摺動板62はロータ20の下面とボトムシール63との間に配置される。
次に、作業者がロータリスイッチ1を車体に取り付ける取付作業について説明する。
作業者は、車体のブラケット80にピボットボルト82を用いてスタンド81を取り付ける。作業者は、位置決め部材30の突出部32がスタンド81の位置決め孔814に挿入され、かつ、ロータ20の周壁24内にピボットボルト82の頭部821が挿入される位置に、ロータリスイッチ1を位置決めする。そして、作業者は、筒体64の貫通孔641に固定ボルト83の軸部を通し、固定ボルト83をピボットボルト82のねじ穴822にねじ込むことによって、ロータリスイッチ1をピボットボルト82(すなわち車体)に取り付ける。この状態では、固定ボルト83のフランジ部831の裏面でトップシール61が保持され、トップシール61の上側への移動が規制される。そして、ロータ20から突出する突出部32がスタンド81の位置決め孔814に挿入されているため、ロータ20は、スタンド81の回転に伴って、スタンド81とともに回転する。なお、ハウジング10は、一対の挟持部12の間に金属棒84を挟むことで、車体に対する回転が規制された状態で車体に取り付けられている。したがって、ロータ20は、スタンド81の回転に伴って、ハウジング10に対して回転する。
(2.3)動作
図5Aは、第2接点部52が第2固定接点421と接触しなくなることで、第1固定接点411と第2固定接点421とが非導通となる状態での固定接点40と可動接点50との位置関係を示している。つまり、図5Aにおける可動接点50の位置は、一対の固定接点40同士(すなわち、第1固定接点411と第2固定接点421)が非導通となる第2位置の一例である。図5Bは、第1接点部51、第2接点部52がそれぞれ第1固定接点411、第2固定接点421と接触することによって、第1固定接点411と第2固定接点421とが導通している状態での固定接点40と可動接点50との位置関係を示している。つまり、図5Bにおける可動接点50の位置は、可動接点50を介して一対の固定接点40(すなわち、第1固定接点411と第2固定接点421)が導通する第1位置の一例である。
スタンド81が起立位置にある状態では、図5Aに示すように、第2接点部52が第2固定接点421と接触していない。このため、第1固定接点411と第2固定接点421とは非導通の状態となっている。なお、図5Aでは、2つの第1接点部51のうちの一方が第1固定接点411と接触しているが、2つの第1接点部51が両方ともに第1固定接点411と接触しない位置に可動接点50が移動してもよい。
運転者がスタンド81を起立位置から格納位置に向かって回転させると、スタンド81の回転に応じてロータ20が回転し、ロータ20の回転に伴って可動接点50が図5A中の時計回りに回転する。そして、図5Bに示すように、2つの第1接点部51が第1固定接点411に接触し、かつ、第2接点部52が第2固定接点421に接触する位置に可動接点50が移動すると、第1固定接点411と第2固定接点421とが可動接点50を介して導通する。これにより、スタンド81が格納位置に移動した状態では、第1固定接点411と第2固定接点421とが可動接点50を介して導通する状態となる。
このように、スタンド81が格納位置に移動した状態では、2つの第1接点部51が第1固定接点411に接触し、1つの第2接点部52が第2固定接点421に接触している。2つの第1接点部51と1つの第2接点部52とは直線上に並んでおらず、可動接点50が3点で固定接点40と接触しているため、可動接点50と固定接点40との接触状態が安定する。また、第2接点部52は、第2円C12の円周上において2つの第1接点部51の中間位置に配置されている。したがって、2つの第1接点部51は、第2接点部52を頂点とする二等辺三角形の他の2つの頂点に位置することになり、可動接点50と固定接点40との接触状態が安定する。
その後、運転者がスタンド81を格納位置から起立位置に向かって回転させると、スタンド81の回転に応じてロータ20が回転し、ロータ20の回転に伴って可動接点50が図5B中の反時計回りに回転する。そして、図5Aに示すように、第2接点部52が第2固定接点421と接触しない位置に可動接点50が移動すると、第1固定接点411と第2固定接点421とが非導通の状態となる。
以上のように、スタンド81が起立位置に移動している状態では、第1固定接点411と第2固定接点421とが非導通の状態となる。また、スタンド81が格納位置に移動している状態では、第1固定接点411と第2固定接点421とが導通している状態となる。よって、ロータリスイッチ1に接続された外部回路では、第1固定接点411と第2固定接点421とが導通しているか否かで、スタンド81の向きを検出することができる。
(3)効果
本実施形態のロータリスイッチ1は、車体に対して回転可能に取り付けられたスタンド81の向きを検出するためのスイッチである。ロータリスイッチ1は、ハウジング10と、ロータ20と、位置決め部材30とを備えている。ハウジング10は、固定接点40が設けられ、車体(ブラケット80)に取り付けられる。ロータ20は、少なくとも一部に樹脂部21を有し、可動接点50を保持する。位置決め部材30は、ロータ20に保持されてスタンド81の位置決め穴(位置決め孔814)に一部が挿入される。ロータ20は、車体に対するスタンド81の回転に応じて、ハウジング10に対して回転する。位置決め部材30は、ロータ20の樹脂部21に埋め込まれる保持部31と、ロータ20から突出して位置決め穴(位置決め孔814)に挿入される突出部32と、を有している。保持部31は、ロータ20の回転軸A1を中心とする円C1の接線L1に沿って配置されている第1片33と、第1片33において接線L1と平行な接線方向における少なくとも一方の端部から突出する第2片34と、を有している。第2片34において第1片33と反対側の一端部は、第2片34において第1片33と連結される他端部に比べて、ロータ20の回転軸A1から遠くに位置している。
固定ボルト83にてロータリスイッチ1をピボットボルト82に固定する場合や、スタンド81の回転に応じてロータ20が回転する場合には、回転軸A1を中心にロータ20を回転させる外力がロータ20に加わる可能性がある。このように、回転軸A1を中心にロータ20を回転させる外力がロータ20に加わった場合でも、第2片34は回転軸A1からより遠い位置でロータ20に加わる回転力を受けることができる。したがって、ロータ20の樹脂部21に加わる外力が低減され、ロータ20の強度を全体として向上させることができる。
(4)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
実施形態1のロータリスイッチ1では、第2片34において第1片33と反対側の一端部は、第2片34において第1片33と連結される他端部に比べて、ロータ20の回転軸A1から遠くに位置している。そして、第2片34は、第1片33の端部から、接線L1と平行な接線方向に対して斜めに交差する方向に曲げられて突出している(図7B参照)。ここにおいて、第2片34は、第1片33の端部から、接線L1と平行な接線方向に対して直交する方向に突出してもよい。なお、「直交」とは、厳密に90度の角度で交差することに限定されず、人の目で見て90度と見なせるような角度で交差している場合も含む。
また、本実施形態では、第1片33において接線L1と平行な接線方向の両端部からそれぞれ第2片34が突出しているが、第1片33において接線L1と平行な接線方向の一端部のみから第2片34が突出してもよい。
また、本実施形態では、ロータ20から突出する突出部32が、スタンド81を貫通する位置決め孔814に挿入されているが、突出部32が挿入されるスタンド81の位置決め穴は、スタンド81を貫通しない穴でもよい。
また、本実施形態では、位置決め部材30は、保持部31の一部が樹脂部21の表面に露出しているが、保持部31の全体が樹脂部21に埋め込まれていてもよい。
また、本実施形態では、位置決め部材30に貫通孔35が設けられているが、貫通孔35は必須ではなく、保持部31に貫通孔が設けられていなくてもよい。
本実施形態のロータリスイッチ1では、ロータ20はスタンド81の回転に伴って約90度の範囲で回転している。なお、ロータ20はハウジング10に対して360度回転可能であり、スタンド81の回転範囲などに応じて、ロータ20がハウジング10に対して回転する範囲が設定されればよい。
また、本実施形態では、スタンド81が起立位置にある状態で第1固定接点411と第2固定接点421とが可動接点50を介して導通し、スタンド81が格納位置にある状態で第1固定接点411と第2固定接点421とが非導通となるが、これに限定されない。スタンド81が起立位置にある状態で第1固定接点411と第2固定接点421とが非導通となり、スタンド81が格納位置にある状態で第1固定接点411と第2固定接点421とが可動接点50を介して導通してもよい。
また、ロータリスイッチ1は、位置決め部材30に代えて、図9A及び図9Bに示すように、第1片33と第2片34とに亘って貫通孔35Aが設けられた位置決め部材30Aを備えてもよい。
第2片34は、第1片33において接線L1と平行な接線方向の両端部からそれぞれ突出している。そして、長円形状の貫通孔35Aが、第1片33と、第1片33の両側にある2つの第2片34とに亘って形成されている。
貫通孔35Aは、第1片33と、この第1片33の両側にある第2片34とに亘って、設けられているので、貫通孔35Aに樹脂が充填されることで、ロータ20の樹脂部21に対して位置決め部材30が強固に結合される。また、この場合でも、第2片34において、第1片33と連結される一端部と反対側の他端部の位置に変化はない。したがって、回転軸A1を中心にロータ20を回転させる力がロータ20に加わった場合に、第2片34は回転軸A1からより遠い位置でロータ20に加わる回転力を受けることができる。よって、ロータ20の樹脂部21に加わる外力が低減され、ロータ20の強度を全体として向上させることができる。