しかしながら、上記特許文献1に記載の先行技術であっても、山岳地まで自走していくことは困難であると考えられる。また、この先行技術では、調査地盤のN値を求めることを主な目的としており、もとより調査地盤のサンプリングは行わない。しかも、ロッドの先端部の掘削羽根で調査地盤をかき回すため、調査地盤の乱さない試料のサンプリングは不可能である。一方、標準貫入試験にも、調査地盤がボーリングに伴う掘削水を含むことで、調査地盤の性状を正確に判定することが困難になるという課題が存在する。
本発明は上記事実を考慮し、山岳地等への運搬が容易な重量まで軽量化された軽量地盤調査機及びこれを用いて地盤の性状をより正確に判定することが可能な地盤調査方法を提供することが目的である。
請求項1に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、真直棒状又は真直筒状に形成されたボーリングロッドと、前記ボーリングロッドの先端部に装着されて調査地盤に貫入されると共に当該調査地盤のサンプルを採取可能なサンプラーと、前記ボーリングロッドの頭部に装着されたノッキングブロックと、下端部が前記ノッキングブロックに連結されて当該ノッキングブロックの上方側に延びると共に真直棒状又は真直筒状に形成されたガイドロッドと、前記ガイドロッドに案内されつつ自由落下して前記ノッキングブロックを打撃するハンマー部と、前記調査地盤上に載置されると共に、作動することで駆動力を生じさせる駆動力発生部と、前記ガイドロッドの上端部の上方側に配置された滑車部と、一方側が前記ハンマー部に取り付けられ、当該ハンマー部の上方側に延びて前記滑車部を経由しつつ前記駆動力発生部に向かって延びると共に、他方側に前記駆動力発生部で発生した駆動力が伝達される駆動力伝達部と、前記サンプラーが前記調査地盤に打ち込まれて得られたN値に対する当該サンプラーの外周面と当該調査地盤との摩擦の影響を補正する補正手段と、上方側で前記滑車部が支持されると共に下方側が直接又は部材を介して前記調査地盤に支持され、当該滑車部にかかる前記ハンマー部の自重を前記駆動力発生部に作用させる反力伝達部を含んで構成された支持部と、を有している。
請求項1に記載の本発明によれば、真直棒状又は真直筒状に形成されたボーリングロッドの先端部には、調査地盤のサンプルを採取可能なサンプラーが装着されており、当該ボーリングロッドの頭部には、ノッキングブロックが装着されている。また、ノッキングブロックの上方には、真直棒状又は真直筒状に形成されたガイドロッドが配置されており、当該ガイドロッドは、その下端部が当該ノッキングブロックに連結されると共に、当該ノッキングブロックの上方側に延びている。一方、調査地盤上には、作動することで駆動力を生じさせる駆動力発生部が載置されており、ガイドロッドの上端部の上方側には、滑車部が配置されている。また、駆動力伝達部は、その一方側がハンマー部に取り付けられて当該ハンマー部の上方側に延び、滑車部を経由しつつ駆動力発生部に向かって延びると共に、他方側に駆動力発生部で発生した駆動力が伝達されるように配置されている。この状態で、駆動力発生部が作動すると当該駆動力発生部で生じた駆動力が駆動力伝達部を介してハンマー部に伝達され、当該ハンマー部はガイドロッドに沿ってノッキングブロックの上方側に持ち上げられる。そして、持ち上げられたハンマー部がガイドロッドに案内されつつ自由落下して、ノッキングブロックを打撃し、サンプラーが調査地盤に打ち込まれることで、当該調査地盤のN値を求めることができる。また、このときサンプラーで調査地盤のサンプルを採取することができる。しかも、本発明では、泥水循環型のボーリングマシンによるボーリングが行われないため、調査地盤のサンプルの堆積構造や地質構造がボーリングの掘削水によって乱されることがない。
なお、上述のように求められた調査地盤のN値は、サンプラーの外周面と当該調査地盤との摩擦の影響を受けることが考えられるため、本発明では、サンプラーの外周面と当該調査地盤との摩擦の影響が補正手段で補正される。
ところで、本発明では、上述したように、泥水循環型のボーリングマシンによるボーリングを行うことなく調査地盤のN値を求めることが可能であり、ドリル等の回転掘削機構やポンプ等の循環機構といった機材が不要となる。また、駆動力発生部もハンマー部を持ち上げるだけの駆動力を発生させることができればよいので、当該駆動力発生部を小型化し、ひいては当該駆動力発生部の重量を小さくすることが可能となる。しかしながら、駆動力発生部を軽量化すると、当該駆動力発生部により駆動力でハンマー部が持ち上げられるときに、ハンマー部を持ち上げる力の反力で駆動力発生部自身が浮き上がることが考えられる。ここで、本発明では、ハンマー部を持ち上げる力の反力を当該ハンマー部の自重を利用して抑えることで、駆動力発生部の浮き上がりを抑制している。
具体的には、ハンマー部の自重がかかる滑車部が支持部の上方側で支持されると共に、当該支持部の下方側が直接又は部材を介して調査地盤に支持されている。そして、ハンマー部が持ち上げられるときに、滑車部にかかるハンマー部の自重が、支持部を構成する反力伝達部を介して、駆動力発生部に作用する。このため、ハンマー部が持ち上げられるときには、ハンマー部を持ち上げる力の反力が当該ハンマー部の自重で相殺されることとなる。
請求項2に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、請求項1に記載の発明において、前記サンプラーは、標準貫入試験が可能な標準貫入試験用サンプラーとされると共に、前記補正手段は、前記標準貫入試験用サンプラーと交換可能でかつ当該標準貫入試験用サンプラーよりも外径が大きい拡径筒を含んで構成されている。
請求項2に記載の本発明によれば、拡径筒が調査地盤に貫入され、当該拡径筒と標準貫入試験用サンプラーとが交換される。そして、拡径筒で調査地盤に形成された孔の底部から当該調査地盤に標準貫入試験用サンプラーが貫入される。このため、標準貫入試験用サンプラーの外周面と調査地盤との摩擦を抑制することができる。
請求項3に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、請求項1に記載の発明において、前記サンプラーは、標準貫入試験が可能な標準貫入試験用サンプラーを構成する標準シューを含んで構成されると共に、前記サンプラーを構成するバレルの外径寸法は、前記標準貫入試験用サンプラーを構成する標準バレルの外径よりも小さくかつ前記ボーリングロッドの外径以上に設定されている。
請求項3に記載の本発明によれば、サンプラーを構成するバレルの外径が標準貫入試験用サンプラーを構成する標準バレルの外径よりも小さいため、当該バレルの外周面の表面積が標準バレルの外周面の表面積よりも小さくなる。また、サンプラーが調査地盤に貫入されるとき、当該サンプラーを構成する標準シューで形成された孔部を当該標準シューよりも外径が小さいバレルが通過していくこととなる。このため、サンプラーと調査地盤との摩擦を、標準貫入試験用サンプラーと当該調査地盤との摩擦よりも小さくすることができる。
請求項4に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、請求項1又は請求項3に記載の発明において、前記補正手段は、所定の地盤における既知の第1N値と前記サンプラーが当該所定の地盤に貫入されたときの既知の第2N値との予め求められた関係が記憶された記憶部と、当該関係と前記サンプラーが前記調査地盤に打ち込まれて得られた前記N値とに基づき当該調査地盤のN値を算出可能な計算部とを含んで構成されている。
請求項4に記載の本発明によれば、記憶部に所定の地盤における既知の第1N値とサンプラーが当該所定の地盤に貫入されたときの既知の第2N値との予め求められた関係が記憶されている。そして、計算部で記憶部に記憶された当該関係とサンプラーが調査地盤に打ち込まれて得られたN値とに基づき当該調査地盤のN値が算出される。
請求項5に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の発明において、前記支持部は、3本の脚部と、当該脚部の上方側の部分で当該脚部同士を連結する連結部とを含んで構成され、前記滑車部は、前記連結部に取り付けられると共に、前記反力伝達部は、前記3本の脚部のうち何れか2本の脚部に架け渡された第1架設部材と、当該3本の脚部のうち当該2本の脚部と異なる組み合わせの何れか2本の脚部に架け渡された第2架設部材と、上方側が当該第1架設部材に取り付けられると共に下方側が前記駆動力発生部に取り付けられた第1伝達部材と、上方側が当該第2架設部材に取り付けられると共に下方側が当該駆動力発生部に取り付けられた第2伝達部材とを含んで構成されている。
請求項5に記載の本発明によれば、支持部の3本の脚部の配置を調整することで、サンプラーの貫入位置に対して、滑車部ひいてはハンマー部の位置を容易に位置合わせすることができる。また、3本の脚部のうち何れか2本の脚部に架け渡された第1架設部材及び当該第1架設部材に取り付けられた第1伝達部材によって、当該2本の脚部からハンマー部の自重が駆動力発生部に伝達される。さらに、3本の脚部のうち当該2本の脚部と異なる組み合わせの何れか2本の脚部に架け渡された第2架設部材及び当該第2架設部材に取り付けられた第2伝達部材によって、当該2本の脚部からハンマー部の自重が駆動力発生部に伝達される。
請求項6に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の発明において、前記反力伝達部は、上方側に前記滑車部が取り付けられると共に下方側が前記駆動力伝達部に取り付けられた真直棒状又は真直筒状の支柱部を含んで構成されている。
請求項6に記載の本発明によれば、支柱部でハンマー部の支持と当該ハンマー部の自重の駆動力発生部への伝達とを行うことができる。
請求項7に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、請求項6に記載の発明において、前記支柱部に当該支柱部に沿って移動可能に取り付けられると共に所定の位置で当該支柱部に対して保持可能とされ、前記ガイドロッドの上方側を保持する保持部をさらに有している。
請求項7に記載の本発明によれば、保持部でガイドロッドの上方側を支柱部に対して所定の位置に保持することができる。
請求項8に記載の本発明に係る地盤調査方法は、駆動力発生部で発生した駆動力がハンマー部を案内するガイドロッドの上方側に配置された滑車部を経由して当該ハンマー部に伝達されることによって、上方側で当該滑車部を支持しかつ下方側で調査地盤に支持された支持部を構成する反力伝達部で当該滑車部にかかる当該ハンマー部の自重を当該駆動力発生部に作用させつつ当該ハンマー部を持ち上げ、先端部に調査地盤のサンプルを採取可能なサンプラー及び先端コーンの何れか一方が装着されたボーリングロッドの頭部に装着されたノッキングブロックをその上方から前記ガイドロッドで案内された前記ハンマー部の自由落下で打撃し、前記一方による前記調査地盤のN値を測定し、前記N値に対する前記一方の外周面と当該調査地盤との摩擦の影響を補正手段で補正している。
請求項8に記載の本発明によれば、駆動力発生部で発生した駆動力がハンマー部を案内するガイドロッドの上方側に配置された滑車部を経由して当該ハンマー部に伝達され、当該ハンマー部は滑車部側に持ち上げられる。一方、ボーリングロッドの先端部には、調査地盤のサンプルを採取可能なサンプラー及び先端コーンの何れか一方が装着されると共に、当該ボーリングロッドの頭部には、ノッキングブロックが装着される。そして、ノッキングブロックをその上方からガイドロッドで案内されたハンマー部の自由落下で打撃し、当該一方による調査地盤のN値が測定される。なお、このN値は当該一方の外周面と調査地盤との摩擦の影響を受けることが考えられるため、当該一方の外周面と当該調査地盤との摩擦の影響が補正手段で補正される。
したがって、本発明では、泥水循環型のボーリングマシンによるボーリングを行うことなく調査地盤のN値を求めることが可能であり、ドリル等の回転掘削機構やポンプ等の循環機構といった機材が不要となる。また、駆動力発生部もハンマー部を持ち上げるだけの駆動力を発生させることができればよいので、当該駆動力発生部を小型化し、ひいては当該駆動力発生部の重量を小さくすることが可能となる。しかしながら、駆動力発生部を軽量化すると、当該駆動力発生部による駆動力でハンマー部が持ち上げられるときに、ハンマー部を持ち上げる力の反力で駆動力発生部自身が浮き上がることが考えられる。
ここで、本発明では、ハンマー部を支持する滑車部は、支持部の上方側で支持されており、当該支持部の下方側は調査地盤に支持されている。そして、支持部を構成する反力伝達部で滑車部にかかるハンマー部の自重を駆動力発生部に作用させつつハンマー部が持ち上げられる。このため、ハンマー部が持ち上げられるときには、駆動力発生部にかかるハンマー部を持ち上げる力の反力を当該ハンマー部の自重で相殺することができる。
請求項9に記載の本発明に係る地盤調査方法は、請求項8に記載の発明において、標準貫入試験が可能な標準貫入試験用サンプラーよりも外径が大きい拡径筒を前記ボーリングロッドの先端部に装着すると共に前記調査地盤に試験深度まで貫入し、前記拡径筒を前記標準貫入試験用サンプラーに交換して前記調査地盤のN値を測定している。
請求項9に記載の本発明によれば、標準貫入試験が可能な標準貫入試験用サンプラーよりも外径が大きい拡径筒をボーリングロッドの先端部に装着すると共に調査地盤に試験深度まで貫入する。そして、拡径筒を標準貫入試験用サンプラーに交換して、当該拡径筒で調査地盤に形成された孔の底部から当該調査地盤に標準貫入試験用サンプラーが貫入されて、当該調査地盤のN値を測定する。このため、標準貫入試験用サンプラーが貫入されて得られた調査地盤のN値に対する当該標準貫入試験用サンプラーの外周面と当該調査地盤との摩擦の影響を抑制することができる。
請求項10に記載の本発明に係る地盤調査方法は、記憶部に記憶された所定の地盤における既知の第1N値と前記一方が当該所定の地盤に貫入されたときの既知の第2N値との予め求められた関係と当該一方が前記調査地盤に打ち込まれて得られた前記N値とに基づき、計算部で当該調査地盤のN値を算出している。
請求項10に記載の本発明によれば、記憶部に所定の地盤における既知の第1N値とサンプラー及び先端コーンの何れか一方が当該所定の地盤に貫入されたときの既知の第2N値との予め求められた関係が記憶されている。そして、計算部で記憶部に記憶された当該関係と当該一方が調査地盤に打ち込まれて得られたN値とに基づき当該調査地盤のN値が算出される。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、山岳地等への運搬が容易な重量まで地盤調査機を軽量化することができると共に、地盤の性状をより正確に判定することができるという優れた効果を有する。
請求項2に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、標準貫入試験と同様の条件下で調査地盤の性状を判定することができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、サンプラーが調査地盤に貫入されるときの抵抗を標準貫入試験用サンプラーが当該調査地盤に貫入されるときの抵抗よりも低減させることができるという優れた効果を有する。
請求項4に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、サンプラーが貫入される回数を最低限の回数としつつ標準貫入試験と同様の試験結果を得ることができるという優れた効果を有する。
請求項5に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、調査地盤が傾斜していてもハンマー部の自重を利用して、駆動力発生部の浮き上がりを抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項6に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、ハンマー部の自重の駆動力発生部への伝達経路を単純化することができるという優れた効果を有する。
請求項7に記載の本発明に係る軽量地盤調査機は、作業者がガイドロッドの上方側を保持しなくても、当該ガイドロッドが安定した状態でハンマー部を当該ガイドロッドで案内することができ、作業の安全性及び効率性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項8に記載の本発明に係る地盤調査方法は、山岳地等への運搬が容易な重量まで地盤調査機を軽量化することができると共に、地盤の性状をより正確に判定することができるという優れた効果を有する。
請求項9に記載の本発明に係る地盤調査方法は、標準貫入試験と同様の条件下で調査地盤の性状を判定することができるという優れた効果を有する。
請求項10に記載の本発明に係る地盤調査方法は、サンプラー又は先端コーンが貫入される回数を最低限の回数としつつ標準貫入試験と同様の試験結果を得ることができるという優れた効果を有する。
<第1実施形態>
以下、図1〜図6を用いて、第1実施形態に係る軽量地盤調査機及びこれを用いた地盤調査方法について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る「軽量地盤調査機」としての貫入試験機10は、「ボーリングロッド12」、「サンプラー」としての標準貫入試験用サンプラー14、「ノッキングブロック(アンビル)16」、「ガイドロッド18」、「ハンマー部20」、「駆動力発生部22」、「支持部24」、「滑車部」としての滑車26、「駆動力伝達部」としてのロープ28及び「補正手段」としての「拡径筒86」を含んで構成されている。以下、概ねこの順に説明していくが、拡径筒86の構成については、後述する地盤調査方法の説明の中で説明することとする。なお、ボーリングロッド12、標準貫入試験用サンプラー14、ノッキングブロック16、ガイドロッド18及びハンマー部20の構成は、JIS A1229に準ずるものとする。
ボーリングロッド12は、真直棒状(円柱状)又は真直筒状(円筒状)に形成されている。このボーリングロッド12の両端部には、図示しない雌ねじ部が設けられており、当該雌ねじ部には、同じく図示しないボーリングロッドカップリング(以下、カップリングと称する)の雄ねじ部が螺合されるようになっている。また、ボーリングロッド12は、互いにカップリングで接続されると共に、複数本継ぎ足されて使用されるようになっている。そして、使用される状態において、ボーリングロッド12の頭部には、ノッキングブロック16が装着されると共に、当該ボーリングロッド12の先端部には、標準貫入試験用サンプラー14が装着されている。なお、ボーリングロッド12の外径DRは、40.5〔mm〕に設定されている。
標準貫入試験用サンプラー14は、所謂レイモンドサンプラーとされており、図5(B)及び図6に示されるように、「標準シュー30」、「標準バレル」としての標準スプリットバレル32及び標準コネクタヘッド34を含んで構成されている。この標準貫入試験用サンプラー14は、その外径D1が51±1〔mm〕に設定されると共に、その内径d1が35±1〔mm〕に設定されている。なお、標準コネクタヘッド34には、雌ねじ部が設けられている。そして、この雌ねじ部にカップリングの一方の雄ねじ部が螺合されると共に、当該カップリングの他方の雄ねじ部がボーリングロッド12の雌ねじ部に螺合されることで、標準貫入試験用サンプラー14とボーリングロッド12とが接続されている。
ノッキングブロック16は、円柱状の本体部16Aを含んで構成されており、当該本体部16Aの外径寸法は、ボーリングロッド12の外径寸法以上の寸法に設定されている。また、本体部16Aの両端部には、図示しない雄ねじ部が設けられており、一方(下方側)の雄ねじ部には、ボーリングロッド12が接続されると共に、他方(上方側)の雄ねじ部には、ガイドロッド18が連結されている。
ガイドロッド18は、真直棒状又は真直筒状に形成されると共に、その下端部に図示しない雌ねじ部が形成されている。そして、ガイドロッド18の下端部に設けられた雌ねじ部が、ノッキングブロック16の上方側の雄ねじ部に螺合されることで、当該ガイドロッド18と当該ノッキングブロック16とが接続されている。なお、ガイドロッド18は、ノッキングブロック16に接続された状態において、当該ノッキングブロック16の上方側に延びた状態となっている。
ハンマー部20は、ドライブハンマー36(以下、モンケン36と称する)とモンケンキャッチャー38とを含んで構成されている。モンケン36は、鋼製とされると共に円柱状に形成された本体部36Aと、当該本体部36Aの上面に当該本体部36Aと一体に設けられると共に下方側が開放されたU字状に形成された図示しない吊金具とを含んで構成されている。より詳しくは、本体部36Aには、平面視で、その中央部に当該本体部36Aを貫通する図示しない挿通部が形成されており、当該挿通部はガイドロッド18を挿通可能な大きさとされている。また、本体部36Aの上方側には、円錐台状の図示しない挿入部が設けられている。なお、モンケン36の重量は、63.5±0.5〔kg〕とされている。
一方、モンケンキャッチャー38は、キャッチャー本体40と吊部42とを含んで構成されると共に、モンケン36を保持可能とされている。キャッチャー本体40は、ガイドロッド18を挿通可能な図示しない挿通部が設けられると共に、モンケン36を保持するための図示しない一対のフックを備えている。また、キャッチャー本体40は、その下方側からモンケン36の本体部36Aに設けられた挿入部を挿入可能な構成とされており、キャッチャー本体40に当該挿入部が挿入されると当該挿入部の底部が一対のフックで保持されるようになっている。なお、吊部42は、シャックル44、チェーン46及び吊り輪48を含んで構成されており、モンケンキャッチャー38は、モンケン36と一体となった状態で、当該吊部42を介して後述するようにロープ28で吊るされている。
上記のように構成された構成されたハンマー部20は、ガイドロッド18に沿って上方側に所定高さ、具体的には760±10〔mm〕持ち上げられると、当該ガイドロッド18に設けられた図示しない突起部に一対のフックが押圧されるようになっている。そして、一対のフックが突起部に押圧されると、当該フックがモンケン36の挿入部から外れ、モンケンキャッチャー38によるモンケン36の保持状態が解除されて、当該モンケン36がノッキングブロック16に向かって自由落下するようになっている。
駆動力発生部22は、図2にも示されるように、小型エンジン50、減速機52、図示しない油圧ポンプ、プーリー式ウインチ54(以下、プーリー54と称する)、油圧制御装置及びこれらを支持する台座部56を含んで構成されている。なお、駆動力発生部22は、上述した構成要素毎に分解可能な構成とされると共に、これらの構成要素はそれぞれ人手で持ち運びが可能な形状及び重量となるように構成されている。つまり、駆動力発生部22は、現地での組立が可能な構成とされている。詳しくは、小型エンジン50は、駆動力発生部22の動力源とされており、図示しない駆動部と、ガソリン等の燃料が貯留される燃料タンクとを含んで構成されている。そして、駆動部に設けられた出力軸が減速機52に連結されている。
減速機52には、油圧ポンプ及びプーリー54が連結されており、小型エンジン50からの入力が当該減速機52によって所定のトルクに変換されて、当該油圧ポンプ及びプーリー54に出力されるようになっている。なお、油圧ポンプは、図示しない油圧ホースによって油圧制御装置58に接続されており、当該油圧制御装置58は、後述するようにロッド引抜機60の作動に用いられる。そして、これらの機材は、鋼製とされると共に平面視で矩形の板状に形成された台座部56の上に載置された状態で、当該台座部56に図示しないボルト等の取付手段によって取り付けられている。なお、台座部56は、調査地盤62上に載置された状態となっている。また、駆動力発生部22は、小型エンジン50をハンマー部20側とされると共に、平面視で台座部56におけるハンマー部20側の端部と当該ハンマー部20との間に所定の間隔があけられた状態で配置されている。
支持部24は、3本の「脚部64、66、68」、「連結部」としてのハンガー70及び「反力伝達部72」を含んで構成されている。脚部64、66、68は、それぞれ鋼製とされた円筒状の部材(丸パイプ)で構成されると共に、その上端部がハンガー70で連結されている。また、ハンガー70は、脚部64、66、68を当該ハンガー70を中心として回動可能に保持しており、当該脚部64、66、68は、調査地盤62に対する角度及び脚部64、66、68同士の成す角度を調整可能とされている。さらに、脚部64の下端部には、固定自在ベース74が取り付けられると共に、脚部66、68の下端部には、自在ジャッキベース75が取り付けられており、固定自在ベース74及び自在ジャッキベース75によって支持部24が支持されている。なお、脚部64、66、68のうち、脚部64は、その下端部が固定自在ベース74を介して台座部56におけるハンマー部20と反対側の端部の上に載置された状態で配置されている。また、脚部66、68は、その下端部がハンマー部20を挟んで駆動力発生部22の反対側に位置されると共に自在ジャッキベース75を介して調査地盤62の上に載置された状態で配置されている。
反力伝達部72は、「第1架設部材」としての連結梁76、「第2架設部材」としての連結梁78、「第1伝達部材」としての支持柱80及び「第2伝達部材」としての支持柱82を含んで構成されている。連結梁76、78は、それぞれ鋼製とされた円筒状の部材(丸パイプ)で構成されており、連結梁76は、脚部64と脚部66とに水平方向に架け渡されると共に、連結梁78は、脚部64と脚部68とに水平方向に架け渡されている。
また、支持柱80、82は、それぞれ鋼製とされた円筒状の部材(丸パイプ)で構成されている。支持柱80は、その上端部が連結梁76に取り付けられると共に、その下端部が台座部56におけるハンマー部20側の部分に当接されている。一方、支持柱82は、その上端部が連結梁78に取り付けられると共に、その下端部が台座部56におけるハンマー部20側の部分に当接されている。なお、脚部64、66、68、連結梁76、78及び支持柱80、82の連結には、図示しないパイプクランプ(パイプジョイント)が用いられている。
上記のように構成された支持部24におけるハンガー70の下方側には、滑車26が取り付けられている。また、ロープ28は、その一方側の端部が、ハンマー部20における吊部42の吊り輪48に当該端部に取り付けられたフック等の取付部材を介して取り付けられ、当該ハンマー部20の上方側に延びて滑車26に巻き掛けられている。そして、滑車26を経由したロープ28は、駆動力発生部22に向かって延びると共に、プーリー54に巻き掛けられている。つまり、ロープ28は、その他方側に駆動力発生部22で発生した駆動力が伝達されるようになっている。なお、ロープ28の代わりにワイヤ等を用いることも可能である。
なお、詳しくは後述するが、本実施形態では、地盤調査を始めるにあたって調査地盤62中に、標準貫入試験用サンプラー14及びボーリングロッド12が挿入されるスタンドパイプ84をセットする。このスタンドパイプ84は、真直パイプ状(丸パイプ状)に形成されており、その長さがボーリングロッド12よりも短く設定されると共に、その内径dsが標準貫入試験用サンプラー14の外径D1よりも大きく設定されている。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。まず、本実施形態に係る貫入試験機10を用いた地盤調査の作業手順の概要を説明し、その説明を通して本実施形態に係る貫入試験機10の作用及び効果について説明する。その後、本実施形態に係る地盤調査方法の作用及び効果を改めて説明することとする。
まず、上述した貫入試験機10を構成する資機材一式を小型クローラに搭載し、巡視路を通って当該資機材一式を山岳地等の調査地点まで人肩にて運び込む。次いで、測定地点にスタンドパイプ84を地表面62Aに対して垂直に貫入させる。これと並行して、ボーリングロッド12、標準貫入試験用サンプラー14、ノッキングブロック16及びガイドロッド18の接続、並びに測定地点に対する所定の位置への駆動力発生部22及び支持部24の設置が行われる。そして、ロープ28がプーリー54及び滑車26に巻き掛けられると共に、ハンマー部20にガイドロッド18が挿通された状態で、当該ハンマー部20がロープ28で吊るされる。
上記準備が整ったら、小型エンジン50を駆動させる。小型エンジン50を駆動させると、その駆動力が減速機52を介してプーリー54に入力されて、当該プーリー54が回転する。プーリー54が回転すると、当該プーリー54の駆動力がロープ28でハンマー部20に伝達され、当該ハンマー部20はガイドロッド18に沿って上方側に引き上げられる。そして、ハンマー部20が所定高さ持ち上げられるとモンケンキャッチャー38によるモンケン36の保持状態が解除されて、当該モンケン36がノッキングブロック16に向かって自由落下する。
また、本実施形態では、ボーリングロッド12の先端部には、調査地盤62のサンプルを採取可能な標準貫入試験用サンプラー14が装着されており、当該ボーリングロッド12の頭部には、ノッキングブロック16が装着されている。さらに、ノッキングブロック16の上方には、ガイドロッド18が配置されており、当該ガイドロッド18は、その下端部が当該ノッキングブロック16に連結されると共に、当該ノッキングブロックの上方側に延びている。そして、上記のようにガイドロッド18に案内されつつ自由落下したモンケン36が、ノッキングブロックを打撃し、標準貫入試験用サンプラー14が調査地盤62に打ち込まれることで、当該調査地盤62のN値(以下、貫入試験機10で求められたN値をNP値と称する)を求めることができる。また、このとき標準貫入試験用サンプラー14の内部に調査地盤62のサンプルが採取される。つまり、本実施形態では、貫入試験を標準貫入試験に準じて行うことができる。
なお、本実施形態に係る貫入試験は、標準貫入試験が1〔m〕で1データを得るのに対し、後述するように、1〔m〕で2データを得るようになっている。つまり、本実施形態に係る貫入試験では、50〔cm〕貫入した時点で一旦停止されると共に、標準貫入試験用サンプラー14が取り外される。その後、新しい標準貫入試験用サンプラー14がボーリングロッド12に装着され、次の50〔cm〕分の貫入試験が開始される。
そして、上述したように本実施形態では、泥水循環型のボーリングマシンによるボーリングを行うことなく貫入試験が行われるため、調査地盤62のサンプルに掘削水が含まれることがない。その結果、本実施形態では、図3(A)及び図3(B)に示されるように、地質の詳細な構造、すなわち地滑り面や小断層を容易に把握することが可能な調査地盤62のサンプルを得ることが可能となった。
ところで、本実施形態では、上述したように泥水循環型のボーリングマシンによるボーリングを行うことなく調査地盤62のNP値を求めることが可能であり、ドリル等の回転掘削機構やポンプ等の循環機構といった機材が不要となる。また、駆動力発生部22もハンマー部20を持ち上げるだけの駆動力を発生させることができればよいので、当該駆動力発生部22の動力源として小型エンジン50用いることが可能となり、その結果、駆動力発生部22の重量を小さくすることが可能となる。
しかしながら、駆動力発生部22を軽量化すると、当該駆動力発生部22による駆動力でハンマー部20が持ち上げられるときに、ハンマー部20を持ち上げる力の反力で駆動力発生部22自身が浮き上がることが考えられる。ここで、本実施形態では、ハンマー部20を持ち上げる力の反力を当該ハンマー部20の自重を利用して抑えることで、駆動力発生部22の浮き上がりを抑制している。
具体的には、ハンマー部20の自重がかかる滑車26が、支持部24の上方側に配置されたハンガー70で支持されると共に、当該支持部24を構成する脚部64、66、68の下方側が直接又は台座部56を介して調査地盤62に支持されている。そして、ハンマー部20が持ち上げられるときに、滑車26にかかるハンマー部20の自重が、支持部24を構成する反力伝達部72を介して、駆動力発生部22に作用する。このため、ハンマー部20が持ち上げられるときには、ハンマー部20を持ち上げる力の反力が当該ハンマー部20の自重で相殺されることとなる。その結果、本実施形態では、アンカー等の部材による駆動力発生部22の調査地盤62への固定が不要となる。
因みに、表1には、従来の地盤調査機と本実施形態に係る貫入試験機10との貫入方法や機械重量、性能等が比較して示されている。この表を使って従来の地盤調査機を用いた場合と本実施形態に係る貫入試験機10を用いた場合とを比較してみると、以下の点を読み取ることができる。
まず、標準貫入試験装置以外のものでは、調査地盤62のサンプリングを行うことができない。なお、標準貫入試験においても調査地盤のサンプリングは、1〔m〕の試験区間のうち30〔cm〕の区間でしか行われないため、試験区間の残りの70〔cm〕の区間の調査地盤の状態を把握することができない。つまり、連続した地質資料を得るためには、別孔でオールコアサンプリングを行う必要がある。これに対し、本実施形態では、図3に示されるような連続した地質資料を得ることが可能である。
また、標準貫入試験によって地盤調査を行う場合には、調査地盤のN値が50程度であっても対応可能であり、最大深度もドリル等の回転掘削機構やポンプ等の循環機構を備えたボーリングマシンで穿孔することによって送電鉄塔等の基礎の支持地盤に到達可能な深度とすることができるため、要求性能を満たすことが可能である。一方で、標準貫入試験による地盤調査に用いられる機材の総重量は1〔t〕にも及ぶ。このため、既に説明したように、標準貫入試験装置及びその付帯設備等を運搬するには、車両で運搬可能な位置から調査地点まで仮設モノレール等を敷設することが必要になる等、非常に大掛かりな設備の設置と重量物の運搬を強いられ、作業日程の長期化、重労働化、高コスト化といった課題を招く。
以上の説明から分かるように、本実施形態に係る貫入試験機10は、山岳地等への運搬が容易な重量まで当該貫入試験機10を軽量化することができる。
また、本実施形態では、支持部24の3本の脚部64、66、68の配置を調整することで、標準貫入試験用サンプラー14の貫入位置に対して、滑車26ひいてはハンマー部20の位置を容易に位置合わせすることができる。さらに、脚部64と脚部66とに架け渡された連結梁76及び当該連結梁76に取り付けられた支持柱80によって、脚部64、66からハンマー部20の自重が駆動力発生部22に伝達される。加えて、脚部64と脚部68とに架け渡された連結梁78及び当該連結梁78に取り付けられた支持柱82によって、脚部64、68からハンマー部20の自重が駆動力発生部22に伝達される。このため、本実施形態では、調査地盤62が傾斜していてもハンマー部20の自重を利用して、駆動力発生部22の浮き上がりを抑制することができる。
一方、図4には、標準貫入試験で得られたN値を縦軸とし、貫入試験機10で得られたNP値を横軸として複数プロットし、最小二乗法等の手法を用いて得られたグラフが示されている。なお、直線L1は、変成岩の風化地盤におけるN値とNP値との関係を示しており、直線L2は、マサ化地盤におけるN値とNP値との関係を示している。この図に示されるように、変成岩の風化地盤では、N値とNP値とがほぼ一致しており、貫入試験機10で得られたNP値を標準貫入試験で得られたN値と同等に扱ってもよいことがわかる。
しかしながら、マサ化地盤では、N値とNP値との間に開きがある。これは、上述のように求められた調査地盤62のNP値は、標準貫入試験用サンプラー14の外周面と当該調査地盤62との摩擦の影響を受けるためと考えられる。したがって、標準貫入試験用サンプラー14の外周面と調査地盤62との摩擦が及ぼすNP値への影響を補正する手段が必要となる。そして、本実施形態では、以下に示される地盤調査方法によって、貫入試験機10の軽量化と地盤の性状の正確な判定の両立を実現している。
<地盤調査方法>
以下、図5及び図6を用いて、本実施形態に係る地盤調査方法を示す。まず、図5(A)を主に用いて、本地盤調査方法に用いられる拡径筒86の構成について説明する。
拡径筒86は、図6にも一部示されるように、大径シュー88、大径バレル90及び大径コネクタヘッド92を含んで構成されている。この拡径筒86は、その外径D2が54〔mm〕に設定されると共に、その内径d2が42〔mm〕に設定されている。なお、拡径筒86は、標準貫入試験用サンプラー14と同様にカップリングを介してボーリングロッド12に接続されている。つまり、拡径筒86は、標準貫入試験用サンプラー14と交換可能な構成とされている。
次に、図6を用いて本地盤調査方法の作業手順の一例を示すこととする。なお、この作業手順に限らず、貫入試験機10を用いて他の手順により行われてもよい。
まず、上述したように測定地点に貫入試験機10を設置し、ボーリングロッド12の先端部に拡径筒86を取り付ける。そして、図6(A)に示されるように、拡径筒86を調査地盤62にNP値の測定深度まで貫入する。
次に、図6(B)に示されるように、拡径筒86を引き抜く。これにより、調査地盤62が標準貫入試験用サンプラー14の外径D1よりも大きい径で穿孔されることとなる。
次に、図6(C)に示されるように、拡径筒86を標準貫入試験用サンプラー14と交換し、当該標準貫入試験用サンプラー14を拡径筒86で形成された調査地盤62の孔部の孔底に静かに下ろす。そして、標準貫入試験に準じて、標準貫入試験用サンプラー14を30〔cm〕調査地盤62に貫入し、NP値を測定する。
次に、図6(D)に示されるように、標準貫入試験用サンプラー14を引き抜き、当該標準貫入試験用サンプラー14で採取された調査地盤62のサンプルを回収する。なお、詳しくは、第3実施形態で説明するが、拡径筒86及び標準貫入試験用サンプラー14の引き抜きには、ロッド引抜機60が用いられる。
次に、図6(E)に示されるように、標準貫入試験用サンプラー14と拡径筒86とを交換する。そして、拡径筒86を30〔cm〕打ち込んで調査地盤62に上記の過程で形成された孔部を拡径すると共に、当該拡径筒86を当該孔部の孔底から20〔cm〕貫入する。本実施形態では、上記手順を繰り返すことで、調査地盤62の50〔cm〕毎のNP値の測定及び当該調査地盤62のサンプルの採取が行われる。
このように、本実施形態では、標準貫入試験用サンプラー14の外周面と調査地盤62との摩擦を抑制し、標準貫入試験と同様の条件下で調査地盤62の性状を判定することができる。しかも、上述したように、本実施形態では、泥水循環型のボーリングマシンによるボーリングを行うことなく貫入試験が行われるため、調査地盤62に掘削水が含まれることがない。このため、本実施形態では、一般的な標準貫入試験と比し、地盤の性状をより正確に判定することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る貫入試験機100について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、一種類のサンプラーすなわち、「小径サンプラー102」のみを用いて貫入試験が行われる点に第1の特徴がある。また、本実施形態に係る貫入試験機100は、「記憶部」としてのハードディスク及び「計算部」としてのCPUを備えた図示しないパソコンを含んで構成されている点に第2の特徴がある。つまり、本実施形態に係る貫入試験機100は、地盤調査システムとして捉えることもできる。
まず、図7を用いて、小径サンプラー102の構成について説明する。この小径サンプラー102は、標準シュー30、「小径スプリットバレル104」及び図7に図示はしていないが、標準コネクタヘッド34を含んで構成されている。また、小径スプリットバレル104の外径寸法D3は、標準スプリットバレル32の外径D1よりも小さくかつボーリングロッド12の外径DR以上に設定されている。具体的には、小径スプリットバレル104の外径寸法D3は、49〔mm〕に設定されている。
ハードディスクには、砂質土や真砂土等の所定の地盤で標準貫入試験を行って得られたN値(以下、「既知の第1N値」と称する)と、当該地盤で貫入試験機100による貫入試験を行って得られたNP値(以下、「既知の第2N値」と称する)との関係(例えば、図4に示されるグラフ)が記憶されている。
そして、CPUでは、調査地盤62で貫入試験機100による貫入試験を行って得られたNP値並びにハードディスクに記憶された既知の第1N値と既知の第2N値との関係から、調査地盤62のN値を算出することが可能となっている。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、小径サンプラー102を構成する小径スプリットバレル104の外径D3が標準スプリットバレル32の外径D1よりも小さいため、当該小径スプリットバレル104の外周面の表面積が標準スプリットバレル32の外周面の表面積よりも小さくなる。また、小径サンプラー102が調査地盤62に貫入されるとき、当該小径サンプラー102を構成する標準シュー30で調査地盤62に形成された孔部を当該標準シュー30よりも外径が小さい小径スプリットバレル104が通過していくこととなる。このため、小径サンプラー102と調査地盤62との摩擦を、標準貫入試験用サンプラー14と当該調査地盤62との摩擦よりも小さくすることができる。したがって、本実施形態では、小径サンプラー102が調査地盤62に貫入されるときの抵抗を標準貫入試験用サンプラー14が当該調査地盤62に貫入されるときの抵抗よりも低減させることができる。
また、本実施形態では、パソコンのハードディスクに所定の地盤における既知の第1N値と小径サンプラー102が当該所定の地盤に貫入されたときの既知の第2N値との予め求められた関係が記憶されている。そして、CPUでハードディスクに記憶された当該関係と小径サンプラー102が調査地盤62に打ち込まれて得られたNP値とに基づき当該調査地盤62のN値が算出される。このため、本実施形態では、小径サンプラー102が貫入される回数を最低限の回数としつつ標準貫入試験と同様の試験結果を得ることができる。なお、本実施形態では、小径サンプラー102を用いたが、標準貫入試験用サンプラー14や先端コーンを用いることも可能である。具体的には、ハードディスクに所定の地盤で標準貫入試験を行って得られたN値と当該地盤で標準貫入試験用サンプラー14や先端コーンを含んで構成された貫入試験機100による貫入試験を行って得られたNP値との関係を記憶しておけばよい。
<第3実施形態>
次に、図8〜図10を用いて、本発明の第3実施形態に係る貫入試験機110について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、「支持部112」が「支柱部114」及び滑車梁116を含んで構成されている点に特徴がある。具体的には、支持部112は、支柱部114、滑車梁116、二つの滑車26、「保持部118」、4本の「脚部120」及びハンガー122を含んで構成されている。
支柱部114は、真直パイプ状(丸パイプ状)に形成されており、その上端部に水平方向に延在する滑車梁116が図示しない取付部材で取り付けられると共に、その下端部が台座部56に同じく図示しない取付部材で取り付けられている。つまり、本実施形態では、支柱部114が反力伝達部として機能している。また、支持部112における支柱部114と滑車梁116とで構成された部分は、側面視でT字状に構成されている。なお、支柱部114の下端部は、台座部56におけるハンマー部20側の端部の近傍に配置されている。
滑車梁116の長手方向の両端部には、それぞれ滑車26が取り付けられており、ロープ28は、ハンマー部20からこれらの滑車26を経由して、プーリー54に巻き付けられている。つまり、本実施形態では、滑車梁116及び二つの滑車26を含んで構成された部分が滑車部として機能している。また、本実施形態では、駆動力発生部22が油圧制御装置58をハンマー部20側とされて配置されている。そして、滑車梁116の一方側の端部は、プーリー54の直上に位置しており、滑車梁116の他方側の端部は、スタンドパイプ84の直上に位置している。
一方、支柱部114の長手方向中央部には、ハンガー122が取り付けられており、当該ハンガー122には、脚部64等と同様の構成とされた脚部120の一方側の端部が当該ハンガー122を中心として回動可能に取り付けられている。また、脚部120の他方側の端部は、アンカー124によって調査地盤62に固定されている。なお、本実施形態では、台座部56もアンカー124で調査地盤62に固定されている。
保持部118は、支柱部114を挿通可能に構成されたパイプ状のスライド部126と、ガイドロッド18を挿通可能に構成されたパイプ状の取付部128と、スライド部126と取付部128とを連結すると共に水平方向に延びる角柱状の連結部130とを含んで構成されている。また、スライド部126及び取付部128には、それぞれ径方向に貫通する図示しない雌ねじ部が設けられている。
そして、スライド部126に支柱部114が挿通された状態で、当該スライド部126の径方向外側から図示しない締結部材が螺合されると共に、当該締結部材が支柱部114に当接されることで、保持部118が支柱部114に対して保持されている。つまり、保持部118は、支柱部114に対して所定の位置で保持可能な構成とされている。また、取付部128にガイドロッド18の上方側の端部が挿通された状態で、当該取付部128の径方向外側から図示しない締結部材が螺合されると共に、当該締結部材が当該端部に当接されることで、当該ガイドロッド18が当該取付部128に保持されている。
なお、上述した第1実施形態及び第2実施形態でも同様であるが、図10に示されるように、ボーリングロッド12の引き抜きには、ロッド引抜機60が用いられる。詳しくは、油圧制御装置58とロッド引抜機60とを油圧ホース132、134によって接続する。これと並行して、ボーリングロッド12とガイドロッド18との接続状態を解除すると共に、ハンマー部20の調査地盤62上に降ろす。そして、ロッド引抜機60の把持部136でボーリングロッド12が把持された状態で、油圧制御装置58により当該ロッド引抜機60を作動させると、把持部136がジャッキ部138で押し上げられて、ボーリングロッド12が引抜かれる。そして、ボーリングロッド12が完全に調査地盤62から引き抜かれるまでこの作業が繰り返される。なお、第1実施形態及び第2実施形態に係る貫入試験機で、ロッド引抜機60を用いる場合には、駆動力発生部22を油圧制御装置58がハンマー部20側となるように配置し直す必要がある。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、支柱部114でハンマー部20の支持と当該ハンマー部20の自重の駆動力発生部22への伝達とを行うことができるため、ハンマー部20の自重の駆動力発生部22への伝達経路を単純化することができる。
また、本実施形態では、保持部118でガイドロッド18の上方側を支柱部114に対して所定の位置に保持することができるため、作業者がガイドロッド18の上方側を保持しなくても、当該ガイドロッド18が安定した状態でハンマー部20を当該ガイドロッド18で案内することができる。
さらに、本実施形態では、駆動力発生部22が油圧制御装置58をハンマー部20側とされて配置されている。また、支持部112が側面視でT字状に構成されると共に、滑車梁116の一方側の端部は、プーリー54の直上に位置しており、滑車梁116の他方側の端部は、スタンドパイプ84の直上に位置している。このため、駆動力発生部22を配置し直すことなく、油圧制御装置58とロッド引抜機60とを油圧ホース132、134によって接続し、ボーリングロッド12の引抜作業に速やかに移ることができる。
〔上記実施形態の補足説明〕
上述した第2実施形態では、パソコンを用いて、調査地盤62で貫入試験機100によるNP値並びにハードディスクに記憶された既知の第1N値と既知の第2N値との関係から、調査地盤62のN値を算出していたが、これに限らない。例えば、既知の第1N値と既知の第2N値とをデータロガー等のディスプレイに表示して、作業者が貫入試験機100によるNP値から調査地盤62のN値を判定してもよい。
また、上述した第1実施形態では、支持部24が3本の脚部64、66、68を含んで構成とされていたが、これに限らず、4本の脚部を有する構成等種々の構成を取り得る。さらに、上述した第3実施形態における支持部112の構成も、4本の脚部を有する構成に限らず、3本の脚部を有する構成等に変更してもよいし、脚部を設けない構成としてもよい。
加えて、第3実施形態における支持部112等の構成は、第1実施形態及び第2実施形態にも適用可能である。また、支持部112の支柱部114も丸パイプ状に限らず、角パイプ状やH型鋼状に構成してもよい。なお、支柱部114をこのような構成にする場合には、保持部118の構成も支柱部114の構成に対応したものとなる。