JP6619137B2 - 発光装置 - Google Patents

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本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。例えば、本発明は半導体装置、特に、トランジスタが各画素に設けられた発光装置に関する。
発光素子を用いたアクティブマトリクス型の発光装置は、画像信号に従って発光素子に供給する電流値を制御するトランジスタ(駆動用トランジスタ)の閾値電圧のばらつきが、発光素子の輝度に反映されやすい。上記閾値電圧のばらつきが発光素子の輝度に与える影響を防ぐために、下記の特許文献1では、駆動用トランジスタのソース電圧から閾値電圧及び移動度を検出し、検出された閾値電圧及び移動度に基づいて、表示画像に応じたプログラムデータ信号を設定する表示装置について記載されている。
2009−265459号公報
駆動用トランジスタの電気的特性を読み出す際に画素から出力される電流は、数十nA乃至数百nA程度の非常に小さい値を有する。そのため、当該電流の経路となる配線に電気的に接続されている回路内において、電源線の間をオフ電流が流れていると、駆動用トランジスタの電気的特性を正確に読み出すのが難しくなる。この場合、画素から出力される電流を用いて、画素に入力される画像信号に補正をかけても、駆動用トランジスタの電気的特性の影響が小さくなるように、発光素子に供給される電流値を補正することが難しい。
上述したような技術的背景のもと、本発明の一態様は、画素間の輝度のばらつきが抑えられる発光装置の提供を、課題の一つとする。
なお、本発明の一態様は、新規な半導体装置などの提供を、課題の一つとする。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様にかかる発光装置は、画素と、上記画素から取り出された電流の値をデータとして含む信号を生成する第1回路と、上記信号に従って、画像信号を補正する第2回路と、上記画素と上記第1回路との間において上記電流の経路に第1スイッチを介して電気的に接続された第3回路と、を有し、上記画素は、発光素子と、上記画像信号に従って、上記発光素子への上記電流の供給を制御するトランジスタと、上記電流の上記画素からの取り出しを制御する第2スイッチと、を有する。
本発明の一態様にかかる発光装置は、画素と、上記画素から取り出された電流の値をデータとして含む信号を生成する第1回路と、上記信号に従って、画像信号を補正する第2回路と、上記画素と上記第1回路との間において上記電流の経路に第1スイッチを介して電気的に接続された第3回路と、を有し、上記画素は、発光素子と、上記画像信号に従って、上記発光素子への上記電流の供給を制御するトランジスタと、上記電流の上記画素からの取り出しを制御する第2スイッチと、上記トランジスタのゲートとドレインの間の導通状態を制御する、或いは、上記トランジスタのゲートと配線との間の導通状態を制御する第3スイッチと、を有する。
さらに、本発明の一態様にかかる発光装置は、上記トランジスタが酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有していても良い。
さらに、本発明の一態様にかかる発光装置は、上記第3回路がダイオードを有していても良い。
本発明の一態様により、画素間の輝度のばらつきが抑えられる発光装置を提供することができる。
なお、本発明の一態様により、新規な半導体装置などを提供することができる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
発光装置の構成を示す図。 発光装置の構成を示す図。 画素の構成を示す図。 画素のタイミングチャート。 画素部と、電流の経路に電気的に接続された回路との接続関係を示す図。 画素部と、電流の経路に電気的に接続された回路との接続関係を示す図。 電流の経路に電気的に接続された回路の構成例。 画素の構成を示す図。 画素のタイミングチャート。 画素の構成を示す図。 画素のタイミングチャート。 モニター回路の回路図。 画素の上面図。 発光装置の断面図。 トランジスタの断面図。 発光装置の斜視図。 電子機器の図。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、トランジスタのソースとは、半導体膜として機能する半導体膜の一部であるソース領域、或いは上記半導体膜に電気的に接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレインとは、半導体膜として機能する半導体膜の一部であるドレイン領域、或いは上記半導体膜に電気的に接続されたドレイン電極を意味する。また、ゲートはゲート電極を意味する。
トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソースとドレインの呼び方が入れ替わる。
〈発光装置の構成例〉
図1に、本発明の一態様にかかる発光装置の構成を、一例として示す。図1に示す発光装置10は、画素11と、モニター回路12と、画像処理回路13と、スイッチ19と、画素11とモニター回路12間の電流の経路に、スイッチ19を介して電気的に接続される回路16とを有する。画素11とモニター回路12間の電流の経路は、画素11とモニター回路12間の信号の経路となる配線を意味する。また、画素11は、発光素子14、トランジスタ15、スイッチ17、及び容量素子18を有する。
発光素子14は、LED(Light Emitting Diode)やOLED(Organic Light Emitting Diode)などの、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、OLEDは、EL層と、アノードと、カソードとを少なくとも有している。EL層はアノードとカソードの間に設けられた単層または複数の層で構成されており、これらの層の中に、発光性の物質を含む発光層を少なくとも含んでいる。EL層は、カソードとアノード間の電位差が、発光素子14の閾値電圧以上になったときに供給される電流により、エレクトロルミネッセンスが得られる。エレクトロルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
トランジスタ15は、配線SLを介して画素11に入力された画像信号に従って、ドレイン電流の値が定められる。具体的に、トランジスタ15は、ソース及びドレインの一方が発光素子14のアノードに電気的に接続されており、ソース及びドレインの他方が配線VLに電気的に接続されている。
なお、トランジスタ15は、通常のゲート(第1ゲート)に加えて、閾値電圧を制御するためのバックゲート(第2ゲート)を有していても良い。また、図1では、トランジスタ15がnチャネル型である場合を例示しており、トランジスタ15のソース及びドレインの一方が、発光素子14のアノードに電気的に接続されている。トランジスタ15がpチャネル型である場合は、トランジスタ15のソース及びドレインの一方は、発光素子14のカソードに電気的に接続される。
また、スイッチ17は、トランジスタ15を流れるドレイン電流の、画素11からの取り出しを制御する機能と、トランジスタ15を流れるドレイン電流の、発光素子14への供給を制御する機能と、を有する。具体的に、スイッチ17は、トランジスタ15のソース及びドレインの一方と、配線MLとの導通状態を制御する機能を有する。配線MLからスイッチ17を介して取り出された、トランジスタ15のドレイン電流は、モニター回路12に供給される。
スイッチ17は、例えば、トランジスタを単数または複数用いて構成することができる。或いは、スイッチ17は、単数または複数のトランジスタに加えて、容量素子を用いていても良い。
具体的に、トランジスタ15がnチャネル型である場合、発光素子14のカソードが配線CLに電気的に接続されている。また、配線VLの電位が、配線CLの電位に発光素子14の閾値電圧Vtheと、トランジスタ15の閾値電圧Vthとを加算した電位よりも高い場合、トランジスタ15のドレイン電流が発光素子14に供給される。そして、発光素子14の輝度は、上記ドレイン電流の値によって定まる。また、配線MLの電位が、配線CLの電位に発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも低く、配線VLの電位が、配線MLの電位にトランジスタ15の閾値電圧Vthを加算した電位よりも高い場合、スイッチ17がオンになると、トランジスタ15のドレイン電流が配線MLを介して画素11から取り出される。
トランジスタ15がpチャネル型である場合、発光素子14のアノードが配線CLに電気的に接続される。また、配線CLの電位が、配線VLの電位に発光素子14の閾値電圧Vtheと、トランジスタ15の閾値電圧Vthとを加算した電位よりも高い場合、トランジスタ15のドレイン電流が発光素子14に供給される。そして、発光素子14の輝度は、ドレイン電流の値によって定まる。また、配線MLの電位が、配線CLの電位から発光素子14の閾値電圧Vtheを差し引いた電位よりも高く、配線VLの電位が、配線MLの電位からトランジスタ15の閾値電圧Vthを差し引いた電位よりも低い場合、スイッチ17がオンになると、トランジスタ15のドレイン電流が配線MLを介して画素11から取り出される。
容量素子18は、トランジスタ15のゲートと、ソース及びドレインの一方の電位差を、保持する機能を有する。ただし、容量素子18は、例えばトランジスタ15のゲートと半導体膜の間に形成されるゲート容量が十分大きい場合などは、必ずしも画素11に設ける必要はない。
画素11は、発光素子14、トランジスタ15、スイッチ17、容量素子18のみならず、トランジスタ、容量素子、抵抗、インダクタなどの他の回路素子をさらに有していても良い。
また、モニター回路12は、スイッチ17を介して画素11から取り出された、トランジスタ15のドレイン電流を用いて、当該電流の値をデータとして含む信号を生成する機能を有する。トランジスタ15のドレイン電流には、トランジスタ15の電気的特性がデータとして含まれている。モニター回路12として、例えば、積分回路などの、電流電圧変換回路を用いることができる。
画像処理回路13は、モニター回路12で生成された上記信号に従って、画素11に入力される画像信号を補正する機能を有する。具体的には、モニター回路12で生成された信号から、トランジスタ15のドレイン電流が所望の値よりも大きかったと判断された場合、トランジスタ15のドレイン電流が小さくなるように、画像信号を補正する。逆に、モニター回路12で生成された信号から、トランジスタ15のドレイン電流が所望の値よりも小さかったと判断された場合、トランジスタ15のドレイン電流が大きくなるように、画像信号を補正する。
画像信号の補正により、画素11間に存在するトランジスタ15の閾値電圧のばらつきのみならず、トランジスタ15の移動度などのその他の電気的特性のばらつきをも、補正することができる。
回路16は、スイッチ19がオンであるときに、画素11とモニター回路12間の信号の経路となる配線と、導通状態にある。信号の経路となる上記配線とは、配線MLに電気的に接続されている。或いは、配線MLが、信号の経路となる配線としての機能を有していても良い。回路16として、例えば、上記信号の経路に過電流が流れるのを防ぐ機能を有する保護回路を用いることができる。或いは、回路16として、画素11において画像信号に従って階調を表示する際に、スイッチ17を介してトランジスタ15のソース及びドレインの一方に所定の電位を供給する機能を有する回路を用いることもできる。
なお、画素11から取り出されたトランジスタ15のドレイン電流を、モニター回路12に送るための電流の経路、すなわち配線は、複数の画素11から上記ドレイン電流をモニター回路12に送るために、パネル内において引き回される。そのため、上記配線は帯電現象(チャージング)の放電経路となりやすく、上記配線を介して画素11に与えられる放電のエネルギーによって、トランジスタが劣化または破壊される現象(ESD:Electro−Static Discharge)が、引き起こされる可能性がある。回路16として保護回路を用いる場合、回路16が放電経路として機能するため、画素11に放電のエネルギーが流れ込むのを防ぎ、画素11内におけるESDの発生を防ぐことができる。
また、画素11において、EL層の劣化などにより発光素子14のアノードとカソード間の電圧が増加すると、トランジスタ15においてソース及びドレインの一方の電位が上昇し、ゲートとソース間の電位差に相当するゲート電圧が、小さくなる。この場合、発光素子14に供給されるトランジスタ15のドレイン電流が小さくなり、発光素子14の輝度が低下する。しかし、回路16として、スイッチ17を介してトランジスタ15のソース及びドレインの一方に所定の電位を供給する機能を有する回路を用いることで、トランジスタ15のソース及びドレインの一方の電位を補正することができる。よって、発光素子14に供給されるトランジスタ15のドレイン電流が、EL層の劣化などにより低下するのを防ぐことができ、発光素子14の輝度の低下を小さく抑えることができる。
nチャネル型のトランジスタ15のソース及びドレインの一方の電位を補正する場合、配線MLの電位は、配線CLの電位に発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも高くし、配線VLの電位からトランジスタ15の閾値電圧Vthを差し引いた電位よりも低くする。また、pチャネル型のトランジスタ15のソース及びドレインの一方の電位を補正する場合、配線MLの電位は、配線CLの電位から発光素子14の閾値電圧Vtheを差し引いた電位よりも低くし、配線VLの電位にトランジスタ15の閾値電圧Vthを加算した電位よりも高くする。
なお、回路16は、画素11とモニター回路12の間における電流の経路に、一つだけ電気的に接続されていても良いし、複数電気的に接続されていても良い。いずれの場合においても回路16と電流の経路との間の導通状態は、スイッチ19によって制御されているものとする。
スイッチ17を介して画素11からトランジスタ15のドレイン電流を取り出す際に、スイッチ19をオフにしておくことで、ドレイン電流の経路と回路16の間における電荷の移動を防ぐことができる。なお、トランジスタ15の電気的特性を読み出す際に画素11から取り出されるドレイン電流は、数十nA乃至数百nA程度の非常に小さい値を有する。そのため、当該ドレイン電流の経路となる配線に電気的に接続されている回路16内にオフ電流が流れていると、トランジスタ15の電気的特性を正確に読み出すのが難しい。しかし、本発明の一態様では、スイッチ19をオフにして、ドレイン電流の経路と回路16の間における電荷の移動を防ぐことができるので、画素11から取り出されるドレイン電流の値が小さくても、トランジスタ15の電気的特性を正確に読み出すことができ、トランジスタ15の電気的特性の影響が小さくなるように、発光素子14に供給される電流値を補正することができる。
スイッチ19は、例えば、トランジスタを単数または複数用いて構成することができる。或いは、スイッチ19は、単数または複数のトランジスタに加えて、容量素子を用いていても良い。
スイッチ19にオフ電流の著しく小さいトランジスタを用いることで、スイッチ19がオフであるときに、ドレイン電流の経路と回路16の間における電荷の移動をより確実に防ぐことができる。その結果、トランジスタ15の電気的特性を正確に読み出すことができ、トランジスタ15の電気的特性の影響が小さくなるように、発光素子14に供給される電流値をより正確に補正することができる。
なお、特に断りがない限り、本明細書でオフ電流とは、遮断領域においてトランジスタのソースとドレイン間に流れる電流を意味する。
シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体膜に、チャネル形成領域が形成されるトランジスタは、オフ電流を著しく小さくすることができるので、スイッチ19として用いるのに適している。このような半導体としては、例えば、シリコンの2倍以上の大きなバンドギャップを有する、酸化物半導体、窒化ガリウムなどが挙げられる。上記半導体を有するトランジスタは、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタに比べて、オフ電流を極めて小さくすることができる。
〈発光装置の具体的な構成例〉
次いで、図1に示した発光装置10の、より詳細な構成の一例について説明する。図2に、本発明の一態様に係る発光装置10の構成を、ブロック図で一例として示す。なお、ブロック図では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
図2に示す発光装置10は、画素11を画素部24に複数有するパネル25と、コントローラ26と、CPU27と、画像処理回路13と、画像メモリ28と、メモリ29と、モニター回路12と、スイッチ19と、回路16とを有する。また、図2に示す発光装置10は、パネル25に、駆動回路30及び駆動回路31を有する。
CPU27は、外部から入力された命令、またはCPU27内に設けられたメモリに記憶されている命令をデコードし、発光装置10が有する各種回路の動作を統括的に制御することで、当該命令を実行する機能を有する。
モニター回路12は、画素11から出力されたドレイン電流から、上記ドレイン電流の値をデータとして含む信号を生成する。メモリ29は、当該信号に含まれる上記データを記憶する機能を有する。
画像メモリ28は、発光装置10に入力された画像データ32を記憶する機能を有する。なお、図2では、画像メモリ28を1つだけ発光装置10に設ける場合を例示しているが、複数の画像メモリ28が発光装置10に設けられていても良い。例えば、赤、青、緑などの色相にそれぞれ対応する3つの画像データ32により、画素部24にフルカラーの画像が表示される場合、各画像データ32に対応した画像メモリ28を、それぞれ設けるようにしても良い。
画像メモリ28には、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の記憶回路を用いることができる。或いは、画像メモリ28に、VRAM(Video RAM)を用いても良い。
画像処理回路13は、CPU27からの命令に従い、画像データ32の画像メモリ28への書き込みと、画像データ32の画像メモリ28からの読み出しを行い、画像データ32から画像信号Sigを生成する機能を有する。また、画像処理回路13は、CPU27からの命令に従い、メモリ29に記憶されているデータを読み出し、当該データを用いて、画像信号の補正を行う機能を有する。
コントローラ26は、画像データ32を含む画像信号Sigが入力されると、パネル25の仕様に合わせて画像信号Sigに信号処理を施した後、パネル25に供給する機能を有する。また、コントローラ26は、CPU27からの命令に従い、スイッチ19のオンまたはオフの選択(スイッチング)を制御する機能を有する。
駆動回路31は、画素部24が有する複数の画素11を、行ごとに選択する機能を有する。また、駆動回路30は、コントローラ26から与えられた画像信号Sigを、駆動回路31によって選択された行の画素11に供給する機能を有する。
なお、コントローラ26は、駆動回路30や駆動回路31などの駆動に用いられる各種の駆動信号を、パネル25に供給する機能を有する。駆動信号には、駆動回路30の動作を制御するスタートパルス信号SSP、クロック信号SCK、ラッチ信号LP、駆動回路31の動作を制御するスタートパルス信号GSP、クロック信号GCKなどが含まれる。
なお、発光装置10は、発光装置10が有するCPU27に、データや命令を与える機能を有する入力装置を、有していても良い。入力装置として、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、センサなどを用いることができる。
〈画素の構成例1〉
次いで、図1に示す発光装置10が有する、画素11の具体的な構成例について説明する。
図3に、画素11の回路図の一例を示す。画素11は、スイッチ17として機能するトランジスタ17tと、容量素子18と、発光素子14と、トランジスタ20とを有する。
発光素子14の画素電極は、画素11に入力される画像信号Sigに従ってその電位が制御される。また、発光素子14の輝度は、画素電極と共通電極の間の電位差によって定まる。例えば、OLEDを発光素子14として用いる場合、アノードとカソードのいずれか一方が画素電極として機能し、他方が共通電極として機能する。図3では、発光素子14のアノードを画素電極として用い、発光素子14のカソードを共通電極として用いた画素11の構成を例示している。
トランジスタ20は、配線SLと、トランジスタ15のゲートとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ15は、ソース及びドレインの一方が、発光素子14のアノードに電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が配線VLに電気的に接続されている。トランジスタ17tは、配線MLと、トランジスタ15のソース及びドレインの一方の間の導通状態を制御する機能を有する。容量素子18の一対の電極のうち、一方はトランジスタ15のゲートに電気的に接続され、他方は発光素子14のアノードに電気的に接続されている。
また、トランジスタ20のスイッチングは、トランジスタ20のゲートに電気的に接続された配線GLの電位に従って行われる。トランジスタ17tのスイッチングは、トランジスタ17tのゲートに電気的に接続された配線GLの電位に従って行われる。
画素11が有するトランジスタには、酸化物半導体や、非晶質、微結晶、多結晶、又は単結晶の、シリコン、又はゲルマニウムなどの半導体を用いることができる。トランジスタ20が酸化物半導体をチャネル形成領域に含むことで、トランジスタ20のオフ電流を極めて小さくすることができる。そして、上記構成を有するトランジスタ20を画素11に用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタをトランジスタ20に用いる場合に比べて、トランジスタ15のゲートに蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
よって、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部に同じ画像情報を有する画像信号Sigが書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部への画像信号Sigの書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified Oxide Semiconductor)をトランジスタ20の半導体膜に用いることで、画像信号Sigの書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号Sigが書き込まれる間隔を長くすればするほど、消費電力をより低減することができる。
また、画像信号Sigの電位をより長い期間に渡って保持することができるため、トランジスタ15のゲートの電位を保持するための容量素子18を画素11に設けなくとも、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子18を設けないことによって、或いは容量素子18のサイズを小さくすることによって、画素11の開口率を高めることができるため、発光素子14の長寿命化を実現し、延いては、発光装置10の信頼性を高めることができる。
なお、図3において、画素11は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
また、図3において、各トランジスタは、ゲートを半導体膜の片側において少なくとも有していれば良いが、半導体膜を間に挟んで存在する一対のゲートを有していても良い。一対のゲートの一方をバックゲートとすると、通常のゲート及びバックゲートに同じ高さの電位が与えられていても良いし、バックゲートにのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。バックゲートに与える電位の高さを制御することで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。また、バックゲートを設けることで、チャネル形成領域が増え、ドレイン電流の増加を実現することができる。また、バックゲートを設けることで、半導体膜に空乏層ができやすくなるため、S値の改善を図ることができる。
また、図3では、トランジスタが全てnチャネル型である場合を例示している。画素11内のトランジスタが全て同じチャネル型である場合、トランジスタの作製工程において、半導体膜に一導電性を付与する不純物元素の添加などの工程を、一部省略することができる。ただし、本発明の一態様に係る発光装置では、必ずしも画素11内のトランジスタが全てnチャネル型である必要はない。発光素子14のカソードが配線CLに電気的に接続されている場合、少なくともトランジスタ15はnチャネル型であることが望ましく、発光素子14のアノードが配線CLに電気的に接続されている場合、少なくともトランジスタ15はpチャネル型であることが望ましい。
また、図3では、画素11内のトランジスタが、単数のゲートを有することで、単数のチャネル形成領域を有するシングルゲート構造である場合を例示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定されない。画素11内のトランジスタのいずれかまたは全てが、電気的に接続された複数のゲートを有することで、複数のチャネル形成領域を有する、マルチゲート構造であっても良い。
〈補正の動作例〉
次いで、図3に示す画素11の、補正の動作例について説明する。
図4に、図3に示す画素11に電気的に接続される配線GLの電位と、配線SLに供給される画像信号Sigの電位のタイミングチャートを例示する。なお、図4に示すタイミングチャートは、図3に示す画素11に含まれるトランジスタが全てnチャネル型である場合を例示するものである。
まず、期間t1では、配線GLにハイレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ20及びトランジスタ17tがオンとなる。そして、配線SLには、画像信号Sigの電位Vdataが与えられており、電位Vdataは、トランジスタ20を介してトランジスタ15のゲートに与えられる。
また、配線VLには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。電位Vanoは、電位Vcatに発光素子14の閾値電圧Vtheとトランジスタ15の閾値電圧Vthを加算した電位よりも高くすることが望ましい。配線VLと配線CLとの間に上記電位差が設けられることにより、電位Vdataに従って、トランジスタ15のドレイン電流の値が定められる。そして、当該ドレイン電流が発光素子14に供給されることで、発光素子14の輝度が定められる。
また、トランジスタ15がnチャネル型である場合、期間t1では、配線MLの電位が、配線CLの電位に発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも低く、配線VLの電位が、配線MLの電位にトランジスタ15の閾値電圧Vthを加算した電位よりも高いことが望ましい。上記構成により、スイッチ17がオンであっても、トランジスタ15のドレイン電流を、発光素子14ではなく配線MLの方に優先的に流すことができる。
次いで、期間t2では、配線GLにローレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ20及びトランジスタ17tがオフとなる。トランジスタ20がオフになることで、トランジスタ15のゲートにおいて、電位Vdataが保持される。また、配線VLには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。よって、発光素子14では、期間t1において定められた輝度に従って発光する。
次いで、期間t3では、配線GLにハイレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ20及びトランジスタ17tがオンとなる。また、配線SLには、トランジスタ15のゲート電圧が閾値電圧Vthよりも大きくなるような電位が与えられる。また、配線CLには電位Vcatが与えられる。そして、配線MLの電位は、配線CLの電位に発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも低くなり、配線VLの電位は、配線MLの電位にトランジスタ15の閾値電圧Vthを加算した電位よりも高くなる。上記構成により、トランジスタ15のドレイン電流を、発光素子14ではなく配線MLの方に優先的に流すことができる。
そして、トランジスタ15のドレイン電流は、配線MLを介してモニター回路に供給される。モニター回路は、配線MLに流れたドレイン電流を用いて、当該ドレイン電流の値を情報として含む信号を生成する。そして、本発明の一態様にかかる発光装置では、上記信号を用いて、画素11に供給される画像信号Sigの電位Vdataの値を、補正することができる。
なお、図3に示す画素11を有する発光装置では、期間t2の動作の後に期間t3の動作を常に行う必要はない。例えば、画素11において、期間t1乃至期間t2の動作を複数回繰り返した後に、期間t3の動作を行うようにしても良い。また、一行の画素11において期間t3の動作を行った後、最小の階調値0に対応する画像信号を、当該動作を行った一行の画素11に書き込むことで、発光素子14を非発光の状態にした後、次の行の画素11において、期間t3の動作を行うようにしても良い。
〈画素部と、画素から取り出された電流の経路に電気的に接続された回路との接続関係について〉
次いで、図2に示す画素部24と、スイッチ19と、回路16の、接続構成の一例について、図5を用いて説明する。
図5に示す画素部24には、複数の画素11と、GL1乃至配線GLyで示される複数の配線GLと、配線SL1乃至配線SLxで示される複数の配線SLと、配線ML1乃至配線MLxで示される複数の配線MLと、配線VL1乃至配線VLxで示される複数の配線VLとが設けられている。そして、複数の画素11は、配線GLの少なくとも一つと、配線SLの少なくとも一つと、配線MLの少なくとも一つと、配線VLの少なくとも一つとに、それぞれ電気的に接続されている。
なお、画素部24に設けられる配線の種類及びその数は、画素11の構成、数及び配置によって決めることができる。具体的に、図5に示す画素部24の場合、x列×y行の画素11がマトリクス状に配置されており、配線GL1乃至配線GLy、配線SL1乃至配線SLx、配線ML1乃至配線MLx、配線VL1乃至配線VLxが、画素部24内に配置されている場合を例示している。
そして、配線ML1乃至配線MLxを介して画素11から取り出されたドレイン電流は、配線TERを介してモニター回路(図示せず)に供給される。そして、回路16は、各配線MLに、スイッチ19を介して電気的に接続されている。
回路21は、配線PREに入力される電位に従って、配線MLに所定の電位を供給する機能を有する。例えば、図3に示す画素11を図4に示すタイミングチャートに従って動作させる際に、期間t1において、回路21から配線MLに、配線CLの電位に発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも低い電位を供給させるようにしても良い。
次いで、図6に、図5に示した画素部24と、スイッチ19と、回路16の接続構成の、より具体的な一例を示す。さらに、図6では、図2に示した駆動回路30の一部に相当するサンプリング回路35の構成例と、サンプリング回路35と画素部24との接続構成の一例を示す。
図6では、サンプリング回路35が複数のトランジスタ35tを有しており、複数のトランジスタ35tが3つごとに組を成している場合を例示している。一の組に属する3つのトランジスタ35tは、ゲートに配線SMPの電位が供給されており、当該電位に従ってそのスイッチングが制御されている。図6では、第1の組に属する3つのトランジスタ35tのゲートに、配線SMP1の電位が供給されており、第2の組に属する3つのトランジスタ35tのゲートに、配線SMP2の電位が供給されている場合を例示している。なお、第3以降の組に属するトランジスタ35tの構成は省略しているが、当該トランジスタ35tにも、それぞれ、他の組とは異なる配線SMPの電位が供給されている。
そして、一の組に属する3つのトランジスタ35tの一つは、赤に対応した画像信号SigRが入力される配線36Rと、配線SLとの間の導通状態を、ゲートに入力される配線SMPの電位に従って、制御する機能を有する。また、一の組に属する3つのトランジスタ35tの別の一つは、緑に対応した画像信号SigGが入力される配線36Gと、配線SLとの間の導通状態を、ゲートに入力される配線SMPの電位に従って、制御する機能を有する。また、一の組に属する3つのトランジスタ35tの別の一つは、青に対応した画像信号SigBが入力される配線36Bと、配線SLとの間の導通状態を、ゲートに入力される配線SMPの電位に従って、制御する機能を有する。
複数の配線SLには、複数の画素11がそれぞれ電気的に接続されている。そして、複数の画素11にそれぞれ電気的に接続されている複数の配線MLには、回路21が電気的に接続されている。図6では、回路21がトランジスタ21tを有する場合を例示している。トランジスタ21tのゲートには、配線PREに入力される電位が供給される。そして、トランジスタ21tは、配線33と、配線MLとの間の導通状態を、ゲートに入力される配線PREの電位に従って、制御する機能を有する。
また、配線MLには、スイッチ19を介して回路16が電気的に接続されている。そして、図6では、配線MSELの電位に従って配線MLと配線TERの間の導通状態を制御する機能を有する、トランジスタ34が設けられている。
〈画素から取り出された電流の経路に電気的に接続された回路と、スイッチの構成例〉
図7に、回路16とスイッチ19の具体的な構成例を示す。
図7に示す回路16は、nチャネル型のトランジスタ90乃至トランジスタ93を有し、トランジスタ90乃至トランジスタ93は、それぞれ、そのソース及びドレインの一方がゲートに電気的に接続されている。そして、トランジスタ90は、そのソース及びドレインの他方が、ハイレベルの電位VHが与えられる配線95に電気的に接続されており、ゲートが、トランジスタ91のソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。トランジスタ91は、ゲートが、トランジスタ92のソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。トランジスタ92は、ゲートが、トランジスタ93のソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。トランジスタ93は、ゲートが、ローレベルの電位VSが与えられる配線96に電気的に接続されている。
また、図7では、スイッチ19がトランジスタ94を有する場合を例示している。トランジスタ94は、ゲートに供給される配線PROの電位に従って、トランジスタ91のゲートと、配線MLとの間の導通状態を制御する機能を有する。具体的に、画素において階調の表示を行う期間では、トランジスタ91をオンの状態にする。また、画素から配線MLを介してトランジスタ15のドレイン電流を取り出す期間では、トランジスタ91をオフの状態にする。
回路16が上記構成を有することで、トランジスタ94がオンの状態にあるときに、配線MLに流れる放電のエネルギーが、回路16の配線95または配線96に流れる。よって、放電のエネルギーが画素11に流れ込むのを防ぎ、画素11内におけるESDの発生を防ぐことができる。
〈画素の構成例2〉
次いで、画素11の具体的な構成例について説明する。
図8に、画素11の回路図の一例を示す。画素11は、トランジスタ15と、スイッチ17として機能するトランジスタ17tと、容量素子18と、発光素子14と、トランジスタ40乃至トランジスタ43とを有する。
発光素子14の画素電極は、画素11に入力される画像信号Sigに従ってその電位が制御される。また、発光素子14の輝度は、画素電極と共通電極の間の電位差によって定まる。例えば、OLEDを発光素子14として用いる場合、アノードとカソードのいずれか一方が画素電極として機能し、他方が共通電極として機能する。図8では、発光素子14のアノードを画素電極として用い、発光素子14のカソードを共通電極として用いた画素11の構成を例示している。
トランジスタ43は、配線44と、トランジスタ15のゲートとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ41は、容量素子18の一対の電極のうちの一方と、トランジスタ15のゲートとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ40は、配線SLと、容量素子18の一対の電極のうちの一方との間の導通状態を制御する機能を有する。容量素子18の一対の電極のうちの他方は、トランジスタ15のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。トランジスタ42は、トランジスタ15のソース及びドレインの一方と、発光素子14の画素電極との間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ17tは、トランジスタ15のソース及びドレインの一方と、配線MLとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ15のソース及びドレインの他方は配線VLに電気的に接続されている。
また、トランジスタ40及びトランジスタ43のスイッチングは、トランジスタ40及びトランジスタ43のゲートに電気的に接続された配線GLAの電位に従って制御される。トランジスタ41及びトランジスタ42のスイッチングは、トランジスタ41及びトランジスタ42のゲートに電気的に接続された配線GLBの電位に従って制御される。トランジスタ17tのスイッチングは、トランジスタ17tのゲートに電気的に接続された配線GLCの電位に従って制御される。
画素11が有するトランジスタには、酸化物半導体や、非晶質、微結晶、多結晶、又は単結晶の、シリコン、又はゲルマニウムなどの半導体を用いることができる。トランジスタ40、トランジスタ41及びトランジスタ43が酸化物半導体をチャネル形成領域に含むことで、トランジスタ40、トランジスタ41及びトランジスタ43のオフ電流を極めて小さくすることができる。そして、上記構成を有するトランジスタ40、トランジスタ41及びトランジスタ43を画素11に用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタをトランジスタ40、トランジスタ41及びトランジスタ43に用いる場合に比べて、トランジスタ15のゲートに蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
よって、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部に同じ画像情報を有する画像信号Sigが書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部への画像信号Sigの書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、高純度化された酸化物半導体をトランジスタ40、トランジスタ41及びトランジスタ43の半導体膜に用いることで、画像信号Sigの書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号Sigが書き込まれる間隔を長くすればするほど、消費電力をより低減することができる。
また、画像信号Sigの電位をより長い期間に渡って保持することができるため、トランジスタ15のゲートの電位を保持するための容量素子18を画素11に設けなくとも、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子18を設けないことによって、或いは、容量素子18のサイズを小さくすることによって、画素11の開口率を高めることができるため、発光素子14の長寿命化を実現し、延いては、発光装置の信頼性を高めることができる。
なお、図8において、画素11は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
また、図8において、各トランジスタは、ゲートを半導体膜の片側において少なくとも有していれば良いが、半導体膜を間に挟んで存在する一対のゲートを有していても良い。一対のゲートの一方をバックゲートとすると、通常のゲート及びバックゲートに同じ高さの電位が与えられていても良いし、バックゲートにのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。バックゲートに与える電位の高さを制御することで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。また、バックゲートを設けることで、チャネル形成領域が増え、ドレイン電流の増加を実現することができる。また、バックゲートを設けることで、半導体膜に空乏層ができやすくなるため、S値の改善を図ることができる。
また、図8では、トランジスタが全てnチャネル型である場合を例示している。画素11内のトランジスタが全て同じチャネル型である場合、トランジスタの作製工程において、半導体膜に一導電性を付与する不純物元素の添加などの工程を、一部省略することができる。ただし、本発明の一態様に係る発光装置では、必ずしも画素11内のトランジスタが全てnチャネル型である必要はない。発光素子14のカソードが配線CLに電気的に接続されている場合、少なくともトランジスタ15はnチャネル型であることが望ましく、発光素子14のアノードが配線CLに電気的に接続されている場合、少なくともトランジスタ15はpチャネル型であることが望ましい。
また、図8では、画素11内のトランジスタが、単数のゲートを有することで、単数のチャネル形成領域を有するシングルゲート構造である場合を例示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定されない。画素11内のトランジスタのいずれかまたは全てが、電気的に接続された複数のゲートを有することで、複数のチャネル形成領域を有する、マルチゲート構造であっても良い。
次いで、図8に示した画素11の動作の一例について説明する。図9に、図8に示す画素11に電気的に接続される配線GLA、配線GLB、配線GLCの電位と、配線SLに供給される画像信号Sigの電位のタイミングチャートを例示する。なお、図9に示すタイミングチャートは、図8に示す画素11に含まれるトランジスタが全てnチャネル型である場合を例示するものである。
まず、期間t1では、配線GLAにローレベルの電位が与えられ、配線GLBにハイレベルの電位が与えられ、配線GLCにハイレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ41、トランジスタ42、トランジスタ17tがオンとなり、トランジスタ40、トランジスタ43はオフとなる。トランジスタ42およびトランジスタ17tがオンになることで、トランジスタ15のソース及びドレインの一方および容量素子18の一対の電極のうちの他方(ノードAとして図示する)に、配線MLの電位V0が与えられる。
また、配線VLには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。電位Vanoは、電位V0に発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも高くすることが望ましい。また、電位V0は、電位Vcatに発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも、低いことが望ましい。電位V0を上記値に設定することで、期間t1において発光素子14に電流が流れるのを防ぐことができる。
次いで、配線GLBにローレベルの電位が与えられることで、トランジスタ41及びトランジスタ42がオフになり、ノードAは電位V0に保持される。
次いで、期間t2では、配線GLAにハイレベルの電位が与えられ、配線GLBにローレベルの電位が与えられ、配線GLCにローレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ40およびトランジスタ43がオンとなり、トランジスタ41、トランジスタ42及びトランジスタ17tがオフとなる。
なお、期間t1から期間t2に移行する際、配線GLAに与える電位をローレベルからハイレベルに切り替えた後に、配線GLCに与える電位をハイレベルからローレベルに切り替えることが望ましい。このような動作を行うことによって、配線GLAに与えられる電位の切り替えによる、ノードAの電位の変動を防ぐことができる。
また、配線VLには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。そして、配線SLには画像信号Sigの電位Vdataが与えられ、配線GLBには電位V1が与えられる。電位V1は、電位Vcatにトランジスタ15の閾値電圧Vthを加算した電位よりも高く、電位Vanoにトランジスタ15の閾値電圧Vthを加算した電位より低いことが望ましい。
なお、図8に示す画素構成では、電位V1を、発光素子14の閾値電圧Vtheを電位Vcatに加算した値より高くしても、トランジスタ42がオフである限り、発光素子14は発光しない。そのため、電位V0として設定できる値の幅を広げることが可能となり、V1−V0として取りうる値の幅も広げることが可能となる。したがって、V1−V0の値の設定の自由度が上がるため、トランジスタ15の閾値電圧の取得に要する時間を短縮した場合、または閾値電圧の取得期間に制限がある場合においても、正確にトランジスタ15の閾値電圧の取得を行うことができる。
上記動作により、トランジスタ15のゲート(ノードBとして図示する)に、ノードAの電位に閾値電圧を加算した電位よりも、高い電位V1が入力され、トランジスタ15がオンとなる。よって、トランジスタ15を介して容量素子18の電荷が放出され、電位V0だったノードAの電位が上昇を始める。そして、最終的にはノードAの電位がV1−Vthに収束し、トランジスタ15のゲート電圧が閾値電圧Vthに収束すると、トランジスタ15がオフになる。
また、容量素子18の一対の電極のうちの一方(ノードCとして図示する)には、配線SLに与えられた画像信号Sigの電位Vdataが、トランジスタ40を介して与えられる。
次いで、期間t3では、配線GLAにローレベルの電位が与えられ、配線GLBにハイレベルの電位が与えられ、配線GLCにローレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ41及びトランジスタ42がオンとなり、トランジスタ40、トランジスタ43及びトランジスタ17tがオフとなる。
なお、期間t2から期間t3に移行する際、配線GLAに与える電位がハイレベルからローレベルに切り替えられてから、配線GLBに与える電位をローレベルからハイレベルに切り替えることが望ましい。上記構成により、配線GLAに与える電位の切り替えによるノードAにおける電位の変動を防ぐことができる。
また、配線VLには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。
上記動作により、ノードBに電位Vdataが与えられるため、トランジスタ15のゲート電圧がVdata−V1+Vthとなる。よって、トランジスタ15のゲート電圧を、閾値電圧Vthが加味された値に設定することができる。上記構成により、トランジスタ15の閾値電圧Vthのばらつきを抑制することができる。よって、発光素子14に供給する電流値のばらつきを抑えることができ、発光装置の輝度ムラを低減することができる。
なお、配線GLBに与える電位の変動を大きくしておくことで、トランジスタ42の閾値電圧のばらつきが発光素子14に供給する電流値に影響を及ぼすことを防ぐことができる。つまり、配線GLBに与えるハイレベルの電位をトランジスタ42の閾値電圧よりも十分大きく、また、配線GLBに与えるローレベルの電位をトランジスタ42の閾値電圧よりも十分小さくしてやることで、トランジスタ42のオンとオフの切り替えを確実に行い、トランジスタ42の閾値電圧のばらつきが発光素子14の電流値に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
次いで、期間t4では、配線GLAにローレベルの電位が与えられ、配線GLBにローレベルの電位が与えられ、配線GLCにハイレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ17tがオンとなり、トランジスタ40乃至トランジスタ43がオフとなる。
また、配線VLには電位Vanoが与えられ、配線MLは、モニター回路に電気的に接続される。
上記動作により、トランジスタ15のドレイン電流Idが、発光素子14ではなく、トランジスタ17tを介して配線MLに流れる。モニター回路は、配線MLに流れたドレイン電流Idを用いて、当該ドレイン電流Idの値を情報として含む信号を生成する。そして、本発明の一態様にかかる発光装置では、上記信号を用いて、画素11に供給される画像信号Vsigの電位Vdataの値を、補正することができる。
なお、図8に示す画素11を有する発光装置では、期間t3の動作の後に期間t4の動作を常に行う必要はない。例えば、発光装置において、期間t1乃至期間t3の動作を複数回繰り返した後に、期間t4の動作を行うようにしても良い。また、一行の画素11において期間t4の動作を行った後、最小の階調値0に対応する画像信号を、当該動作を行った一行の画素11に書き込むことで、発光素子14を非発光の状態にした後、次の行の画素11において、期間t4の動作を行うようにしても良い。
図8に示した画素11を有する発光装置では、トランジスタ15のソース及びドレインの他方と、トランジスタ15のゲートとが電気的に分離しているので、それぞれの電位を個別に制御することができる。よって、期間t2において、トランジスタ15のソース及びドレインの他方の電位を、トランジスタ15のゲートの電位に、閾値電圧Vthを加算した電位よりも高い値に設定することができる。そのため、トランジスタ15がノーマリオンである場合に、すなわち閾値電圧Vthがマイナスの値を有している場合に、トランジスタ15において、ソース及びドレインの他方の電位がゲートの電位V1よりも高くなるまで、容量素子18に電荷を蓄積することができる。よって、本発明の一態様に係る発光装置では、トランジスタ15がノーマリオンであっても、期間t2において閾値電圧を取得することができ、期間t3において、閾値電圧Vthを加味した値になるよう、トランジスタ15のゲート電圧を設定することができる。
したがって、図8に示す画素11では、例えばトランジスタ15の半導体膜に酸化物半導体を用いた場合などに、トランジスタ15がノーマリオンとなっても、表示ムラを低減でき、高い画質の表示を行うことができる。
なお、上述したような、図8に示す画素11の動作例では、画素11内における閾値電圧の補正(以下、内部補正と呼ぶ)と、画像処理回路13における画像信号の補正(以下、外部補正と呼ぶ)の両方を行っている。内部補正を行わずに、外部補正を行う場合でも、画素11間に存在するトランジスタ15の閾値電圧のばらつきのみならず、移動度など、閾値電圧以外のトランジスタ15の電気的特性のばらつきをも、補正することができる。ただし、外部補正に加えて内部補正も行う場合、閾値電圧のマイナスシフト或いはプラスシフトの補正は、内部補正によって行われる。よって、外部補正では、移動度などの、トランジスタ15における閾値電圧以外の電気的特性のばらつきを補正すればよい。したがって、外部補正に加えて内部補正も行う場合、外部補正だけを行う場合にくらべて、補正後における画像信号の電位の振幅を、小さく抑えることができる。よって、画像信号の電位の振幅が大きすぎるために、階調値間における画像信号の電位差が大きくなり、画像内の輝度の変化をなめらかなグラデーションで表現することが難しくなる、という事態が生じるのを防ぐことができ、画質が低下するのを防ぐことができる。
〈画素の構成例3〉
次いで、画素11の、図8とは異なる具体的な構成例について説明する。
図10に、画素11の回路図の一例を示す。画素11は、トランジスタ15と、スイッチ17として機能するトランジスタ17tと、容量素子18と、発光素子14と、トランジスタ50乃至トランジスタ53と、容量素子55と、を有する。
発光素子14の画素電極は、画素11に入力される画像信号Sigに従ってその電位が制御される。また、発光素子14の輝度は、画素電極と共通電極の間の電位差によって定まる。例えば、OLEDを発光素子14として用いる場合、アノードとカソードのいずれか一方が画素電極として機能し、他方が共通電極として機能する。図10では、発光素子14のアノードを画素電極として用い、発光素子14のカソードを共通電極として用いた画素11の構成を例示している。
トランジスタ50は、配線SLと、容量素子18の一対の電極のうちの一方との間の導通状態を制御する機能を有する。容量素子18の一対の電極のうちの他方は、トランジスタ15のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ53は、配線54と、トランジスタ15のゲートとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ51は、容量素子18の一対の電極のうちの一方と、トランジスタ15のソース及びドレインの一方との間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ52は、トランジスタ15のソース及びドレインの一方と、発光素子14のアノードとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタ17tは、トランジスタ15のソース及びドレインの一方と、配線MLとの間の導通状態を制御する機能を有する。さらに、図10では、トランジスタ15のソース及びドレインの他方は配線VLに電気的に接続されている。容量素子55が有する一対の電極は、一方が、容量素子18の一対の電極のうちの一方に電気的に接続され、他方が、トランジスタ15のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。
また、トランジスタ50のスイッチングは、トランジスタ50のゲートに電気的に接続された配線GLCの電位に従って制御される。トランジスタ51及びトランジスタ53のスイッチングは、トランジスタ51及びトランジスタ53のゲートに電気的に接続された配線GLBの電位に従って制御される。トランジスタ52のスイッチングは、トランジスタ52のゲートに電気的に接続された配線GLDの電位に従って制御される。トランジスタ17tのスイッチングは、トランジスタ17tのゲートに電気的に接続された配線GLAの電位に従って制御される。
画素11が有するトランジスタには、酸化物半導体や、非晶質、微結晶、多結晶、又は単結晶の、シリコン、又はゲルマニウムなどの半導体を用いることができる。トランジスタ53が酸化物半導体をチャネル形成領域に含むことで、トランジスタ53のオフ電流を極めて小さくすることができる。そして、上記構成を有するトランジスタ53を画素11に用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタをトランジスタ53に用いる場合に比べて、トランジスタ15のゲートに蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
よって、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部に同じ画像情報を有する画像信号Sigが書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部への画像信号Sigの書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、高純度化された酸化物半導体をトランジスタ50の半導体膜に用いることで、画像信号Sigの書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号Sigが書き込まれる間隔を長くすればするほど、消費電力をより低減することができる。
また、画像信号Sigの電位をより長い期間に渡って保持することができるため、トランジスタ15のゲートの電位を保持するための容量素子18を画素11に設けなくとも、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子18を設けないことによって、或いは容量素子18のサイズを小さくすることによって、画素11の開口率を高めることができるため、発光素子14の長寿命化を実現し、延いては、発光装置10の信頼性を高めることができる。
なお、図10において、画素11は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
また、図10において、各トランジスタは、ゲートを半導体膜の片側において少なくとも有していれば良いが、半導体膜を間に挟んで存在する一対のゲートを有していても良い。一対のゲートの一方をバックゲートとすると、通常のゲート及びバックゲートに同じ高さの電位が与えられていても良いし、バックゲートにのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。バックゲートに与える電位の高さを制御することで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。また、バックゲートを設けることで、チャネル形成領域が増え、ドレイン電流の増加を実現することができる。また、バックゲートを設けることで、半導体膜に空乏層ができやすくなるため、S値の改善を図ることができる。
また、図10では、トランジスタが全てnチャネル型である場合を例示している。画素11内のトランジスタが全て同じチャネル型である場合、トランジスタの作製工程において、半導体膜に一導電性を付与する不純物元素の添加などの工程を、一部省略することができる。ただし、本発明の一態様に係る発光装置では、必ずしも画素11内のトランジスタが全てnチャネル型である必要はない。発光素子14のカソードが配線CLに電気的に接続されている場合、少なくともトランジスタ15はnチャネル型であることが望ましく、発光素子14のアノードが配線CLに電気的に接続されている場合、少なくともトランジスタ15はpチャネル型であることが望ましい。
また、図10では、画素11内のトランジスタが、単数のゲートを有することで、単数のチャネル形成領域を有するシングルゲート構造である場合を例示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定されない。画素11内のトランジスタのいずれかまたは全てが、電気的に接続された複数のゲートを有することで、複数のチャネル形成領域を有する、マルチゲート構造であっても良い。
図11に、図10に示す画素11に電気的に接続される配線GLA乃至配線GLDの電位と、配線SLに供給される画像信号Sigの電位のタイミングチャートを例示する。なお、図11に示すタイミングチャートは、図10に示す画素11に含まれるトランジスタが全てnチャネル型である場合を例示するものである。
まず、期間t1では、配線GLAにハイレベルの電位が与えられ、配線GLBにハイレベルの電位が与えられ、配線GLCにローレベルの電位が与えられ、配線GLDにローレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ51、トランジスタ53、トランジスタ17tがオンとなり、トランジスタ50、トランジスタ52はオフとなる。上記動作により、トランジスタ15のゲートには、配線54の電位Vi2が与えられ、トランジスタ15のソース及びドレインの一方には、配線MLの電位Vi1が与えられる。
なお、電位Vi1は、電位Vcatに発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した電位よりも低いことが望ましい。また、電位Vi2は、トランジスタ15の閾値電圧Vthを電位Vi1に加算した電位よりも、高いことが望ましい。よって、トランジスタ15のゲート電圧はVi2−Vi1となり、トランジスタ15はオンになる。
また、配線VLには電位Vi1が与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。
次いで、期間t2では、配線GLAにローレベルの電位が与えられ、配線GLBにハイレベルの電位が与えられ、配線GLCにローレベルの電位が与えられ、配線GLDにローレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ51、トランジスタ53がオンとなり、トランジスタ50、トランジスタ52、トランジスタ17tはオフとなる。上記動作により、トランジスタ15のゲートに、電位Vi2が保持される。また、配線VLには電位Vi2が与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。
上記動作により、オンであるトランジスタ15を介して容量素子18の電荷が放出され、電位Vi1だった、トランジスタ15のソース及びドレインの一方の電位が上昇を始める。そして、最終的には、トランジスタ15のソース及びドレインの一方の電位がVi2−Vthに収束し、トランジスタ15のゲート電圧が閾値電圧Vthに収束すると、トランジスタ15がオフになる。
なお、図10に示す画素構成では、電位Vi2を、電位Vcatに発光素子14の閾値電圧Vtheを加算した値より高くしても、トランジスタ52がオフである限り、発光素子14は発光しない。そのため、電位Vi1として設定できる値の幅を広げることが可能となり、Vi2−Vi1として取りうる値の幅も広げることが可能となる。したがって、Vi2−Vi1の値の設定の自由度が上がるため、トランジスタ15の閾値電圧の取得に要する時間を短縮した場合、または閾値電圧の取得期間に制限がある場合においても、正確にトランジスタ15の閾値電圧の取得を行うことができる。
次いで、期間t3では、配線GLAにハイレベルの電位が与えられ、配線GLBにローレベルの電位が与えられ、配線GLCにハイレベルの電位が与えられ、配線GLDにローレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ50、トランジスタ17tがオンとなり、トランジスタ51、トランジスタ52、トランジスタ53はオフとなる。そして、配線SLには画像信号Sigの電位Vdataが与えられ、上記電位Vdataは、トランジスタ50を介して、容量素子18の一対の電極のうちの一方に与えられる。
トランジスタ53がオフであるため、トランジスタ15のゲートはフローティングの状態にある。また、容量素子18には閾値電圧Vthが保持されているため、容量素子18の一対の電極のうちの一方に電位Vdataが与えられると、電荷保存の法則に従い、容量素子18の一対の電極のうちの他方に電気的に接続された、トランジスタ15のゲートの電位は、Vdata+Vthとなる。また、配線MLの電位Vi1が、トランジスタ17tを介してトランジスタ15のソース及びドレインの一方に与えられる。よって、容量素子55には電圧Vdata−Vi1が印加され、トランジスタ15のゲート電圧は、Vth+Vdata−Vi1となる。
なお、期間t2から期間t3に移行する際、配線GLBに与える電位がハイレベルからローレベルに切り替えられてから、配線GLCに与える電位をローレベルからハイレベルに切り替えることが望ましい。上記構成により、配線GLCに与える電位の切り替えによって、トランジスタ15のゲートにおける電位の変動を防ぐことができる。
次いで、期間t4では、配線GLAにローレベルの電位が与えられ、配線GLBにローレベルの電位が与えられ、配線GLCにローレベルの電位が与えられ、配線GLDにハイレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ52がオンとなり、トランジスタ50、トランジスタ51、トランジスタ53及びトランジスタ17tがオフとなる。
また、配線VLには電位Vi2が与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。
上記動作により、容量素子18に閾値電圧Vthが保持され、容量素子55に電圧Vdata−Vi1が保持され、発光素子14のアノードは電位Velとなり、トランジスタ15のゲートの電位は電位Vdata+Vth+Vel−Vi1となり、トランジスタ15のゲート電圧はVdata+Vth−Vi1となる。
なお、電位Velは、トランジスタ15を介して、発光素子14に電流を流す際に設定される電位である。具体的には、電位Vi2と電位Vcatの間の電位に設定されることとなる。
よって、トランジスタ15のゲート電圧を、閾値電圧Vthが加味された値に設定することができる。上記構成により、トランジスタ15の閾値電圧Vthのばらつきを抑制することができるので、発光素子14に供給する電流値のばらつきを抑え、発光装置の輝度ムラを低減することができる。
なお、配線GLDに与える電位の変動を大きくしておくことで、トランジスタ52の閾値電圧のばらつきが発光素子14に供給する電流値に影響を及ぼすことを防ぐことができる。つまり、配線GLDに与えるハイレベルの電位をトランジスタ52の閾値電圧よりも十分大きく、また、配線GLDに与えるローレベルの電位をトランジスタ52の閾値電圧よりも十分小さくしてやることで、トランジスタ52のオンとオフの切り替えを確実に行い、トランジスタ52の閾値電圧のばらつきが発光素子14の電流値に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
次いで、期間t5では、配線GLAにハイレベルの電位が与えられ、配線GLBにローレベルの電位が与えられ、配線GLCにローレベルの電位が与えられ、配線GLDにローレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタ17tがオンとなり、トランジスタ53、トランジスタ50、トランジスタ51及びトランジスタ52がオフとなる。
また、配線VLには電位Vi2が与えられ、配線MLは、モニター回路に電気的に接続される。
上記動作により、トランジスタ15のドレイン電流Idが、発光素子14ではなく、トランジスタ17tを介して配線MLに流れる。モニター回路は、配線MLに流れたドレイン電流Idを用いて、当該ドレイン電流Idの値を情報として含む信号を生成する。そして、本発明の一態様にかかる発光装置では、上記信号を用いて、画素11に供給される画像信号Vsigの電位Vdataの値を、補正することができる。
なお、図10に示す画素11を有する発光装置では、期間t4の動作の後に期間t5の動作を常に行う必要はない。例えば、発光装置において、期間t1乃至期間t4の動作を複数回繰り返した後に、期間t5の動作を行うようにしても良い。また、一行の画素11において期間t5の動作を行った後、最小の階調値0に対応する画像信号を、当該動作を行った一行の画素11に書き込むことで、発光素子14を非発光の状態にした後、次の行の画素11において、期間t5の動作を行うようにしても良い。
図10に示した画素11を有する発光装置では、トランジスタ15のソース及びドレインの他方と、トランジスタ15のゲートとが電気的に分離しているので、それぞれの電位を個別に制御することができる。よって、期間t2において、トランジスタ15のソース及びドレインの他方の電位を、トランジスタ15のゲートの電位に、閾値電圧Vthを加算した電位よりも高い値に設定することができる。そのため、トランジスタ15がノーマリオンである場合に、すなわち閾値電圧Vthがマイナスの値を有している場合に、トランジスタ15において、ソースの電位がゲートの電位よりも高くなるまで、容量素子18に電荷を蓄積することができる。よって、本発明の一態様に係る発光装置では、トランジスタ15がノーマリオンであっても、期間t2において閾値電圧を取得することができ、期間t4において、閾値電圧Vthを加味した値になるよう、トランジスタ15のゲート電圧を設定することができる。
したがって、本発明の一態様に係る発光装置では、例えばトランジスタ15の半導体膜に酸化物半導体を用いた場合などに、トランジスタ15がノーマリオンとなっても、表示ムラを低減でき、高い画質の表示を行うことができる。
なお、上述したような、図10に示す画素11の動作例では、内部補正と外部補正の両方を行っている。内部補正を行わずに、外部補正を行う場合でも、画素11間に存在するトランジスタ15の閾値電圧のばらつきのみならず、移動度など、閾値電圧以外のトランジスタ15の電気的特性のばらつきをも、補正することができる。ただし、外部補正に加えて内部補正も行う場合、閾値電圧のマイナスシフト或いはプラスシフトの補正は、内部補正によって行われる。よって、外部補正では、移動度などの、トランジスタ15における閾値電圧以外の電気的特性のばらつきを補正すればよい。したがって、外部補正に加えて内部補正も行う場合、外部補正だけを行う場合にくらべて、補正後における画像信号の電位の振幅を、小さく抑えることができる。よって、画像信号の電位の振幅が大きすぎるために、階調値間における画像信号の電位差が大きくなり、画像内の輝度の変化をなめらかなグラデーションで表現することが難しくなる、という事態が生じるのを防ぐことができ、画質が低下するのを防ぐことができる。
〈モニター回路の構成例〉
次いで、モニター回路12の構成例を図12に示す。図12に示すモニター回路12は、オペアンプ60と、容量素子61と、スイッチ62とを有する。
容量素子61が有する一対の電極の一方は、オペアンプ60の反転入力端子(−)に電気的に接続され、容量素子61が有する一対の電極の他方は、オペアンプ60の出力端子に電気的に接続されている。スイッチ62は、容量素子61に蓄積されている電荷を放出させる機能を有しており、具体的には、容量素子61が有する一対の電極間の導通状態を制御する機能を有する。オペアンプ60の非反転入力端子(+)は配線68に電気的に接続されており、配線68には電位Vanoが供給される。
なお、図8に示す画素11が図9に示すタイミングチャートに従って動作する場合、配線68には、電位Vanoまたは電位V0が供給される。また、図10に示す画素11が図11に示すタイミングチャートに従って動作する場合、配線68には、電位Vanoまたは電位Vi1が供給される。
外部補正を行うために、画素11から配線MLを介して電流を取り出す際には、まず、モニター回路12をボルテージフォロワとして機能させることで、配線MLに電位Vanoを供給した後、モニター回路12を積分回路として機能させることで、画素11から取り出した電流を電圧に変換する。具体的には、スイッチ62をオンにすることで、配線68に供給された電位Vanoを、モニター回路12を介して配線MLに供給した後、スイッチ62をオフにする。スイッチ62がオフの状態において、画素11から取り出されたドレイン電流が配線TERに供給されると、容量素子61に電荷が蓄積され、容量素子61が有する一対の電極間に電圧が生じる。上記電圧は、配線TERに供給されたドレイン電流の総量に比例するので、オペアンプ60の出力端子に電気的に接続された配線OUTには、所定の期間内におけるドレイン電流の総量に対応した電位が、与えられる。
また、図8に示す画素11において内部補正を行うために、画素11の配線MLに電位V0を供給する際には、モニター回路12をボルテージフォロワとして機能させる。具体的には、スイッチ62をオンにすることで、配線68に供給される電位V0を、モニター回路12を介して配線MLに供給することができる。
また、図10に示す画素11において内部補正を行うために、画素11の配線MLに電位Vi1を供給する際には、モニター回路12をボルテージフォロワとして機能させる。具体的には、スイッチ62をオンにすることで、配線68に供給される電位Vi1を、モニター回路12を介して配線MLに供給することができる。
なお、図8に示す画素11の場合、内部補正を行う際に、配線MLに電位V0を供給し、外部補正を行う際に、配線MLに電位Vanoを供給する。配線MLに供給する電位の切り替えは、モニター回路12の配線68に供給される電位を電位Vanoと電位V0とで切り替えることで行うことができる。また、図10に示す画素11の場合、内部補正を行う際に、配線MLに電位Vi1を供給し、外部補正を行う際に、配線MLに電位Vanoを供給する。配線MLに供給する電位の切り替えは、モニター回路12の配線68に供給される電位を電位Vanoと電位Vi1とで切り替えることで行うことができる。
また、図6に示す回路21を配線MLに電気的に接続させている場合、配線33に電位V0または電位Vi1を供給しておいても良い。この場合、内部補正を行う際は配線33の電位0または電位Vi1を配線MLに供給し、外部補正を行う際はモニター回路12から配線TERを介して電位Vanoを配線MLに供給することができる。そして、この場合、モニター回路12の配線68に電位Vanoを、他の電位に切り替えることなく供給しても良い。
〈画素のレイアウト〉
次いで、図3に示した画素11のレイアウトの一例について説明する。図13に、図3に示した画素11の上面図を、一例として示す。なお、図13では、画素11のレイアウトを明確にするために、各種の絶縁膜と、発光素子14とを省略している。
トランジスタ20は、ゲートとしての機能を有する導電膜501と、半導体膜502と、半導体膜502に電気的に接続され、ソースまたはドレインとしての機能を有する導電膜503及び導電膜504とを有する。導電膜501は配線GLとしての機能を有する。また、導電膜503は配線SLとしての機能を有する。
トランジスタ15は、ゲートとしての機能を有する導電膜505と、半導体膜506と、半導体膜506に電気的に接続され、ソースまたはドレインとしての機能を有する導電膜507及び導電膜508とを有する。また、導電膜507は、発光素子14の画素電極に電気的に接続される。導電膜508は、導電膜509に電気的に接続されており、導電膜509は配線VLとしての機能を有する。
トランジスタ17tは、ゲートとしての機能を有する導電膜501と、半導体膜510と、半導体膜510に電気的に接続され、ソースまたはドレインとしての機能を有する導電膜507及び導電膜511とを有する。導電膜511は配線MLとしての機能を有する。
容量素子18は、導電膜505と、導電膜507と、導電膜505と導電膜507の間に設けられた絶縁膜(図示せず)とを有する。導電膜505は導電膜504に電気的に接続されている。
なお、アノードまたはカソードとなる電極には、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、その他、グラフェン等を用いることができる。そして、上記材料を適宜選択し、その膜厚を最適な値に設定することで、トップエミッション構造、ボトムエミッション構造、またはデュアルエミッション構造を作り分けることが可能となる。
また、本発明の一態様では、発光装置が、白色などの単色の光を発する発光素子と、カラーフィルタを組み合わせることで、フルカラー画像の表示を行うカラーフィルタ方式を採用していても良い。或いは、互いに異なる色相の光を発する複数の発光素子を用いて、フルカラー画像の表示を行う方式を採用することもできる。この方式は、発光素子が有する一対の電極間に設けられるEL層を、対応する色ごとに塗り分けるため、塗り分け方式と呼ばれる。
塗り分け方式の場合、EL層の塗り分けは、通常、メタルマスクなどのマスクを用いて、蒸着法で行われる。そのため、画素のサイズは蒸着法によるEL層の塗り分け精度に依存する。一方、カラーフィルタ方式の場合、塗り分け方式とは異なり、EL層の塗り分けを行う必要がない。よって、塗り分け方式の場合よりも、画素サイズの縮小化が容易であり、高精細の画素部を実現することができる。
また、トップエミッション構造の場合、発光素子から発せられる光を、配線、トランジスタ、容量素子などの各種素子によって遮られることがないため、ボトムエミッション構造に比べて、画素からの光の取り出し効率を高めることができる。よって、トップエミッション構造は、発光素子に供給する電流値を低く抑えても、高い輝度を得ることができるため、発光素子の長寿命化に有利である。
また、本発明の一態様では、発光装置が、EL層から発せられる光を発光素子内で共振させる、マイクロキャビティ(微小光共振器)構造を有していても良い。マイクロキャビティ構造により、特定の波長の光について、発光素子からの取り出し効率を高めることができるので、画素部の輝度と色純度を向上させることができる。
〈発光装置の断面構造〉
図14に、本発明の一態様に係る発光装置の、画素部の断面構造を一例として示す。なお、図14では、図3に示す画素11が有する、トランジスタ15、容量素子18、及び発光素子14の、断面構造を例示している。
具体的に、図14に示す発光装置は、基板400上にトランジスタ15と、容量素子18とを有する。トランジスタ15は、ゲートとして機能する導電膜401と、導電膜401上の絶縁膜402と、絶縁膜402を間に挟んで導電膜401と重なる半導体膜403と、半導体膜403に電気的に接続されたソースまたはドレインとして機能する導電膜404及び導電膜405とを有する。
容量素子18は、電極として機能する導電膜401と、導電膜401上の絶縁膜402と、絶縁膜402を間に挟んで導電膜401と重なり、なおかつ電極として機能する導電膜404とを有する。
絶縁膜402としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム及び酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層させて用いればよい。なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
また、半導体膜403、導電膜404、及び導電膜405上には絶縁膜411が設けられている。半導体膜403として酸化物半導体を用いる場合、絶縁膜411は、半導体膜403に酸素を供給させることが可能な材料を用いることが望ましい。上記材料を絶縁膜411に用いることで、絶縁膜411に含まれる酸素を半導体膜403に移動させることが可能であり、半導体膜403の酸素欠損量を低減することができる。絶縁膜411に含まれる酸素の半導体膜403への移動は、絶縁膜411を形成した後に、加熱処理を行うことで効率的に行うことができる。
絶縁膜411上には絶縁膜420が設けられており、絶縁膜420上には導電膜424が設けられている。導電膜424は、絶縁膜411及び絶縁膜420に設けられた開口部において、導電膜404に電気的に接続されている。
絶縁膜420及び導電膜424上には絶縁膜425が設けられている。絶縁膜425は、導電膜424と重なる位置に開口部を有する。また、絶縁膜425上において、絶縁膜425の開口部とは異なる位置に、絶縁膜426が設けられている。そして、絶縁膜425及び絶縁膜426上には、EL層427及び導電膜428が、順に積層するように設けられている。導電膜424及び導電膜428が、EL層427を間に挟んで重なり合う部分が、発光素子14として機能する。そして、導電膜424及び導電膜428は、一方が陽極、他方が陰極として機能する。
また、発光装置は、発光素子14を間に挟んで基板400と対峙する、基板430を有する。基板430上、すなわち、基板430の発光素子14に近い側の面上には、光を遮蔽する機能を有する遮蔽膜431が設けられている。そして、遮蔽膜431は、発光素子14と重なる領域に開口部を有している。発光素子14に重なる開口部において、基板430上には特定の波長範囲の可視光を透過する着色層432が設けられている。
〈トランジスタの構造〉
次いで、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタ70の構成を、一例として示す。
図15(A)に示すトランジスタ70は、ゲートとして機能する導電膜80と、導電膜80上の絶縁膜81と、絶縁膜81を間に挟んで導電膜80と重なる酸化物半導体膜82と、酸化物半導体膜82に電気的に接続された、ソース及びドレインとして機能する導電膜83及び導電膜84とを有する。また、図15(A)に示すトランジスタ70は、酸化物半導体膜82、導電膜83及び導電膜84上に、順に積層された絶縁膜85乃至絶縁膜87を有する。
なお、図15(A)では、酸化物半導体膜82、導電膜83及び導電膜84上に、順に積層された絶縁膜85乃至絶縁膜87が設けられている場合を例示しているが、酸化物半導体膜82、導電膜83及び導電膜84上に設けられる絶縁膜は、一層であっても良いし、2以上の複数層であっても良い。
絶縁膜86は、加熱により上記酸素の一部を酸化物半導体膜82に供給する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。また、絶縁膜86は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により得られる、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001を持つスピンの密度が1×1018spins/cm以下であることが好ましい。ただし、絶縁膜86を酸化物半導体膜82上に直接設けると、絶縁膜86の形成時に酸化物半導体膜82にダメージが与えられる場合、図15(A)に示すように、絶縁膜85を酸化物半導体膜82と絶縁膜86の間に設けると良い。絶縁膜85は、その形成時に酸化物半導体膜82に与えるダメージが絶縁膜86の場合よりも小さく、なおかつ、酸素を透過する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。ただし、酸化物半導体膜82に与えられるダメージを小さく抑えつつ、酸化物半導体膜82上に絶縁膜86を直接形成することができるのであれば、絶縁膜85は必ずしも設けなくとも良い。
絶縁膜85は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により得られる、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001を持つスピンの密度が3×1017spins/cm以下であることが好ましい。これは、絶縁膜85に含まれる欠陥密度が多いと、当該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜85における酸素の透過量が減少してしまうためである。
また、絶縁膜85と酸化物半導体膜82との界面に欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、磁場の向きを膜面に対して平行に印加したESR測定により、酸化物半導体膜82に用いられる酸化物半導体中の酸素欠損に由来するg値が1.89以上1.96以下であるスピンの密度が1×1017spins/cm以下、更には検出下限以下であることが好ましい。
また、絶縁膜87は、酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、望ましい。或いは、絶縁膜87は、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、望ましい。
絶縁膜は、密度が高くて緻密である程、また未結合手が少なく化学的に安定である程、より高いブロッキング効果を示す。酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜は、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いて、形成することができる。水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜は、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いて形成することができる。
絶縁膜87が水、水素などの拡散を防ぐブロッキング効果を有する場合、パネル内の樹脂や、パネルの外部に存在する水、水素などの不純物が、酸化物半導体膜82に侵入するのを防ぐことができる。酸化物半導体膜82に酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体に侵入した水または水素の一部は電子供与体(ドナー)となるため、上記ブロッキング効果を有する絶縁膜87を用いることで、トランジスタ70の閾値電圧がドナーの生成によりシフトするのを防ぐことができる。
また、酸化物半導体膜82に酸化物半導体を用いる場合、絶縁膜87が酸素の拡散を防ぐブロッキング効果を有することで、酸化物半導体からの酸素が外部に拡散するのを防ぐことができる。よって、酸化物半導体中において、ドナーとなる酸素欠損が低減されるので、トランジスタ70の閾値電圧がドナーの生成によりシフトするのを防ぐことができる。
なお、図15(A)では、酸化物半導体膜82が、3層の積層された酸化物半導体膜で構成されている場合を、例示している。具体的に、図15(A)に示すトランジスタ70では、酸化物半導体膜82として、酸化物半導体膜82a乃至酸化物半導体膜82cが、絶縁膜81側から順に積層されている。トランジスタ70の酸化物半導体膜82は、積層された複数の酸化物半導体膜で構成されているとは限らず、単膜の酸化物半導体膜で構成されていても良い。
そして、酸化物半導体膜82a及び酸化物半導体膜82cは、酸化物半導体膜82bを構成する金属元素の少なくとも1つを、その構成要素に含み、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体膜82bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上又は0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下又は0.4eV以下、真空準位に近い酸化物膜である。さらに、酸化物半導体膜82bは、少なくともインジウムを含むと、キャリア移動度が高くなるため好ましい。
また、図15(B)に示すように、トランジスタ70は、酸化物半導体膜82cが導電膜83及び導電膜84の上層で絶縁膜85と重畳するように設けられている構成を、有していてもよい。
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近くすることができる。そのため、高純度化された酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタは、オフ電流が著しく小さく、信頼性が高い。そして、当該酸化物半導体膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、閾値電圧がプラスとなる電気的特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。
具体的に、高純度化された酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタのオフ電流が小さいことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを電気的に接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流の測定を行った。当該測定では、高純度化された酸化物半導体膜を上記トランジスタのチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに小さいオフ電流が得られることが分かった。従って、高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく小さい。
なお、半導体膜として酸化物半導体膜を用いる場合、酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気的特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を含むことが好ましい。
酸化物半導体の中でもIn−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物などは、炭化シリコン、窒化ガリウム、または酸化ガリウムとは異なり、スパッタリング法や湿式法により電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコン、窒化ガリウム、または酸化ガリウムとは異なり、上記In−Ga−Zn系酸化物は、ガラス基板上に、電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能である。また、基板の大型化にも対応が可能である。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を含んでいてもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
なお、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを含む酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでいてもよい。In−Ga−Zn系酸化物は、無電界時の抵抗が十分に高くオフ電流を十分に小さくすることが可能であり、また、移動度も高い。
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに分けられる。または、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けられる。
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
a−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnOの結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnOの結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnOの結晶のa−b面に対応する。
また、酸化物半導体膜は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a−like OS膜の密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶の密度に対し、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は92.3%以上100%未満となる。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体膜は、成膜すること自体が困難である。
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a−like OS膜の密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は5.9g/cm以上6.3g/cm未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することができる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて算出することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a−like OS膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、処理室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素、及び窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平板状又はペレット状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
ターゲットの一例として、In−Ga−Zn系酸化物ターゲットについて以下に示す。
InO粉末、GaO粉末及びZnO粉末を所定のmol数比で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn系酸化物ターゲットとする。なお、X、Y及びZは任意の正数である。ここで、所定のmol数比は、例えば、InO粉末、GaO粉末及びZnO粉末が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3、1:4:4または3:1:2である。なお、粉末の種類、及びその混合するmol数比は、作製するターゲットによって適宜変更すればよい。
なお、アルカリ金属は酸化物半導体を構成する元素ではないため、不純物である。アルカリ土類金属も、酸化物半導体を構成する元素ではない場合において、不純物となる。特に、アルカリ金属のうちNaは、酸化物半導体膜に接する絶縁膜が酸化物である場合、当該絶縁膜中に拡散してNaとなる。また、Naは、酸化物半導体膜内において、酸化物半導体を構成する金属と酸素の結合を分断する、或いは、その結合中に割り込む。その結果、例えば、閾値電圧がマイナス方向にシフトすることによるノーマリオン化、移動度の低下等の、トランジスタの電気的特性の劣化が起こり、加えて、特性のばらつきも生じる。具体的に、二次イオン質量分析法によるNa濃度の測定値は、5×1016/cm以下、好ましくは1×1016/cm以下、更に好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、Li濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、K濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。
また、インジウムを含む金属酸化物が用いられている場合に、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも大きいシリコンや炭素が、インジウムと酸素の結合を切断し、酸素欠損を形成することがある。そのため、シリコンや炭素が酸化物半導体膜に混入していると、アルカリ金属やアルカリ土類金属の場合と同様に、トランジスタの電気的特性の劣化が起こりやすい。よって、酸化物半導体膜中におけるシリコンや炭素の濃度は低いことが望ましい。具体的に、二次イオン質量分析法によるC濃度の測定値、またはSi濃度の測定値は、1×1018/cm以下とするとよい。上記構成により、トランジスタの電気的特性の劣化を防ぐことができ、半導体装置の信頼性を高めることができる。
また、ソース電極及びドレイン電極に用いられる導電性材料によっては、ソース電極及びドレイン電極中の金属が、酸化物半導体膜から酸素を引き抜くことがある。この場合、酸化物半導体膜のうち、ソース電極及びドレイン電極に接する領域が、酸素欠損の形成によりn型化される。
n型化された領域は、ソース領域またはドレイン領域として機能するため、酸化物半導体膜とソース電極及びドレイン電極との間におけるコンタクト抵抗を下げることができる。よって、n型化された領域が形成されることで、トランジスタの移動度及びオン電流を高めることができ、それにより、トランジスタを用いた半導体装置の高速動作を実現することができる。
なお、ソース電極及びドレイン電極中の金属による酸素の引き抜きは、ソース電極及びドレイン電極をスパッタリング法などにより形成する際に起こりうるし、ソース電極及びドレイン電極を形成した後に行われる加熱処理によっても起こりうる。
また、n型化される領域は、酸素と結合し易い導電性材料をソース電極及びドレイン電極に用いることで、より形成されやすくなる。上記導電性材料としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wなどが挙げられる。
また、酸化物半導体膜は、単数の金属酸化物膜で構成されているとは限らず、積層された複数の金属酸化物膜で構成されていても良い。例えば、第1乃至第3の金属酸化物膜が順に積層されている半導体膜の場合、第1の金属酸化物膜及び第3の金属酸化物膜は、第2の金属酸化物膜を構成する金属元素の少なくとも1つを、その構成要素に含み、伝導帯下端のエネルギーが第2の金属酸化物膜よりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下、真空準位に近い酸化物膜である。さらに、第2の金属酸化物膜は、少なくともインジウムを含むと、キャリア移動度が高くなるため好ましい。
上記構成の半導体膜をトランジスタが有する場合、ゲート電極に電圧を印加することで、半導体膜に電界が加わると、半導体膜のうち、伝導帯下端のエネルギーが小さい第2の金属酸化物膜にチャネル領域が形成される。即ち、第2の金属酸化物膜とゲート絶縁膜との間に第3の金属酸化物膜が設けられていることによって、ゲート絶縁膜と離隔している第2の金属酸化物膜に、チャネル領域を形成することができる。
また、第3の金属酸化物膜は、第2の金属酸化物膜を構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、第2の金属酸化物膜と第3の金属酸化物膜の界面では、界面散乱が起こりにくい。従って、当該界面においてキャリアの動きが阻害されにくいため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
また、第2の金属酸化物膜と第1の金属酸化物膜の界面に界面準位が形成されると、界面近傍の領域にもチャネル領域が形成されるために、トランジスタの閾値電圧が変動してしまう。しかし、第1の金属酸化物膜は、第2の金属酸化物膜を構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、第2の金属酸化物膜と第1の金属酸化物膜の界面には、界面準位が形成されにくい。よって、上記構成により、トランジスタの閾値電圧等の電気的特性のばらつきを、低減することができる。
また、金属酸化物膜間に不純物が存在することによって、各膜の界面にキャリアの流れを阻害する界面準位が形成されることがないよう、複数の酸化物半導体膜を積層させることが望ましい。積層された金属酸化物膜の膜間に不純物が存在していると、金属酸化物膜間における伝導帯下端のエネルギーの連続性が失われ、界面近傍において、キャリアがトラップされるか、あるいは再結合により消滅してしまうからである。膜間における不純物を低減させることで、主成分である一の金属を少なくとも共に有する複数の金属酸化物膜を、単に積層させるよりも、連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化するU字型の井戸構造を有している状態)が形成されやすくなる。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度の真性な酸化物半導体を得るためには、各チャンバー内を高真空排気するのみならず、スパッタリングに用いるガスの高純度化も重要である。上記ガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスの露点を、−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下とし、使用するガスの高純度化を図ることで、酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。具体的に、第2の金属酸化物膜がIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、第2の金属酸化物膜を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z/yを1以上6以下とすることで、第2の金属酸化物膜としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=3:1:2等がある。
具体的に、第1の金属酸化物膜、第3の金属酸化物膜がIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、第1の金属酸化物膜、第3の金属酸化物膜を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると/y<x/yであって、z/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z/yを1以上6以下とすることで、第1の金属酸化物膜、第3の金属酸化物膜としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8等がある。
なお、第1の金属酸化物膜及び第3の金属酸化物膜の厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、第2の金属酸化物膜の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは3nm以上50nm以下である。
3層構造の半導体膜において、第1の金属酸化物膜乃至第3の金属酸化物膜は、非晶質または結晶質の両方の形態を取りうる。ただし、チャネル領域が形成される第2の金属酸化物膜が結晶質であることにより、トランジスタに安定した電気的特性を付与することができるため、第2の金属酸化物膜は結晶質であることが好ましい。
なお、チャネル形成領域とは、トランジスタの半導体膜のうち、ゲート電極と重なり、かつソース電極とドレイン電極に挟まれる領域を意味する。また、チャネル領域とは、チャネル形成領域において、電流が主として流れる領域をいう。
例えば、第1の金属酸化物膜及び第3の金属酸化物膜として、スパッタリング法により形成したIn−Ga−Zn系酸化物膜を用いる場合、第1の金属酸化物膜及び第3の金属酸化物膜の成膜には、In−Ga−Zn系酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いることができる。成膜条件は、例えば、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力0.4Paとし、基板温度を200℃とし、DC電力0.5kWとすればよい。
また、第2の金属酸化物膜をCAAC−OS膜とする場合、第2の金属酸化物膜の成膜には、In−Ga−Zn系酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であり、多結晶のIn−Ga−Zn系酸化物を含むターゲットを用いることが好ましい。成膜条件は、例えば、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度300℃とし、DC電力0.5kWとすることができる。
なお、トランジスタは、半導体膜の端部が傾斜している構造を有していても良いし、半導体膜の端部が丸みを帯びる構造を有していても良い。
また、複数の積層された金属酸化物膜を有する半導体膜をトランジスタに用いる場合においても、ソース電極及びドレイン電極に接する領域が、n型化されていても良い。上記構成により、トランジスタの移動度及びオン電流を高め、トランジスタを用いた半導体装置の高速動作を実現することができる。さらに、複数の積層された金属酸化物膜を有する半導体膜をトランジスタに用いる場合、n型化される領域は、チャネル領域となる第2の金属酸化物膜にまで達していることが、トランジスタの移動度及びオン電流を高め、半導体装置のさらなる高速動作を実現する上で、より好ましい。
〈発光装置の外観〉
図16は、本発明の一態様に係る発光装置の外観の一例を示す、斜視図である。図16に示す発光装置は、パネル1601と、コントローラ、電源回路、画像処理回路、画像メモリ、CPUなどが設けられた回路基板1602と、接続部1603とを有している。パネル1601は、画素が複数設けられた画素部1604と、複数の画素を行ごとに選択する駆動回路1605と、選択された行内の画素への画像信号Sigの入力を制御する駆動回路1606とを有する。
回路基板1602から、接続部1603を介して、各種信号と、電源の電位とが、パネル1601に入力される。接続部1603には、FPC(Flexible Printed Circuit)などを用いることができる。また、接続部1603にCOFテープを用いる場合、回路基板1602内の一部の回路、或いはパネル1601が有する駆動回路1605や駆動回路1606の一部などを別途用意したチップに形成しておき、COF(Chip On Film)法を用いて当該チップをCOFテープに電気的に接続しておいても良い。
〈電子機器の構成例〉
本発明の一態様に係る発光装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る発光装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図17に示す。
図17(A)は表示装置であり、筐体5001、表示部5002、支持台5003等を有する。本発明の一態様に係る発光装置は、表示部5002に用いることができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図17(B)は携帯情報端末であり、筐体5101、表示部5102、操作キー5103等を有する。本発明の一態様に係る発光装置は、表示部5102に用いることができる。
図17(C)は表示装置であり、曲面を有する筐体5701、表示部5702等を有する。本発明の一態様に係る発光装置に可撓性を有する基板を用いることで、曲面を有する筐体5701に支持された表示部5702に、当該発光装置を用いることができ、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い表示装置を提供することができる。
図17(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体5301、筐体5302、表示部5303、表示部5304、マイクロホン5305、スピーカー5306、操作キー5307、スタイラス5308等を有する。本発明の一態様に係る発光装置は、表示部5303または表示部5304に用いることができる。表示部5303または表示部5304に本発明の一態様に係る発光装置を用いることで、ユーザーの使用感に優れ、品質の低下が起こりにくい携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図17(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5303と表示部5304とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図17(E)は電子書籍端末であり、筐体5601、表示部5602等を有する。本発明の一態様に係る発光装置は、表示部5602に用いることができる。そして、可撓性を有する基板を用いることで、発光装置に可撓性を持たせることができるので、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い電子書籍端末を提供することができる。
図17(F)は携帯電話であり、筐体5901に、表示部5902、マイク5907、スピーカー5904、カメラ5903、外部接続部5906、操作用のボタン5905が設けられている。表示部5902に、本発明の一態様に係る発光装置を用いることできる。また、本発明の一態様に係る発光装置を、可撓性を有する基板に形成した場合、図17(F)に示すような曲面を有する表示部5902に当該発光装置を適用することが可能である。
10 発光装置
11 画素
12 モニター回路
13 画像処理回路
14 発光素子
15 トランジスタ
16 回路
17 スイッチ
17t トランジスタ
18 容量素子
19 スイッチ
20 トランジスタ
21 回路
21t トランジスタ
24 画素部
25 パネル
26 コントローラ
27 CPU
28 画像メモリ
29 メモリ
30 駆動回路
31 駆動回路
32 画像データ
33 配線
34 トランジスタ
35 サンプリング回路
35t トランジスタ
36B 配線
36G 配線
36R 配線
40 トランジスタ
41 トランジスタ
42 トランジスタ
43 トランジスタ
50 トランジスタ
51 トランジスタ
52 トランジスタ
53 トランジスタ
54 配線
55 容量素子
60 オペアンプ
61 容量素子
62 スイッチ
68 配線
70 トランジスタ
80 導電膜
81 絶縁膜
82 酸化物半導体膜
82a 酸化物半導体膜
82b 酸化物半導体膜
82c 酸化物半導体膜
83 導電膜
84 導電膜
85 絶縁膜
86 絶縁膜
87 絶縁膜
90 トランジスタ
91 トランジスタ
92 トランジスタ
93 トランジスタ
94 トランジスタ
95 配線
96 配線
400 基板
401 導電膜
402 絶縁膜
403 半導体膜
404 導電膜
405 導電膜
411 絶縁膜
420 絶縁膜
424 導電膜
425 絶縁膜
426 絶縁膜
427 EL層
428 導電膜
430 基板
431 遮蔽膜
432 着色層
501 導電膜
502 半導体膜
503 導電膜
504 導電膜
505 導電膜
506 半導体膜
507 導電膜
508 導電膜
509 導電膜
510 半導体膜
511 導電膜
1601 パネル
1602 回路基板
1603 接続部
1604 画素部
1605 駆動回路
1606 駆動回路
5001 筐体
5002 表示部
5003 支持台
5101 筐体
5102 表示部
5103 操作キー
5301 筐体
5302 筐体
5303 表示部
5304 表示部
5305 マイクロホン
5306 スピーカー
5307 操作キー
5308 スタイラス
5601 筐体
5602 表示部
5701 筐体
5702 表示部
5901 筐体
5902 表示部
5903 カメラ
5904 スピーカー
5905 ボタン
5906 外部接続部
5907 マイク

Claims (2)

  1. 発光素子と、画像信号に従って前記発光素子への電流の供給を制御する第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタのドレイン電流を取り出す第2のトランジスタと、第3乃至第6のトランジスタと、を有する画素と、
    前記第2のトランジスタを介して取り出された前記ドレイン電流の値をデータとして含む信号を生成するモニター回路と、
    前記モニター回路が生成した前記信号に従って、前記画像信号を補正する画像処理回路と、
    前記画素と前記モニター回路との間の電流経路に、第7のトランジスタを介して電気的に接続された保護回路と、を有し、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
    前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記発光素子のアノードと電気的に接続され、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、容量素子の一方の電極と電気的に接続され、
    前記容量素子の他方の電極は、前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
    前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記画像信号を供給する第1の配線と電気的に接続され、
    前記容量素子の他方の電極は、前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
    前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
    前記第6のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2の配線と電気的に接続され、
    前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第3の配線と電気的に接続され、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4の配線と電気的に接続され、
    前記第1のトランジスタのゲートは、前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続され、
    前記第4のトランジスタのゲートと前記第6のトランジスタのゲートとは、第5の配線に電気的に接続され、
    前記第5のトランジスタのゲートと前記第3のトランジスタのゲートとは、第6の配線に電気的に接続され、
    前記第2のトランジスタのゲートは、第7の配線に電気的に接続され、
    前記保護回路は、ソース又はドレインの一方がゲートに電気的に接続されている第8のトランジスタが複数直列に接続されている、発光装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1乃至前記第8のトランジスタは、全てnチャネル型であり、
    第1の期間では、前記第5の配線にローレベルの電位が供給され、前記第6の配線にはハイレベルの電位が供給され、前記第7の配線にはハイレベルの電位が供給され、
    第2の期間では、前記第5の配線にハイレベルの電位が供給され、前記第6の配線にはローレベルの電位が供給され、前記第7の配線にはローレベルの電位が供給され、
    第3の期間では、前記第5の配線にローレベルの電位が供給され、前記第6の配線にはハイレベルの電位が供給され、前記第7の配線にはローレベルの電位が供給され、
    第4の期間では、前記第5の配線にローレベルの電位が供給され、前記第6の配線にはローレベルの電位が供給され、前記第7の配線にはハイレベルの電位が供給される、発光装置。
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