JP6618789B2 - 分析方法および分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分析方法および分析装置に適用して有効な技術に関する。
特許第4686245号公報(特許文献1)には、赤外光の光源を用いて、管内壁面の清浄度を判定する技術が記載されている。
特許第4686245号公報
医療分野において、手術などに用いられた医療器具(医療機器)の中には、洗浄および滅菌をこの順で行った後に再利用されるもの(例えば、細管、鉗子など)がある。すなわち、医療器具は、安全な状態にして医療現場に払い出される。滅菌を達成させるためには洗浄行為にて如何に医療器具から汚れを取り除くことが求められる。
このように、医療器具を滅菌する滅菌装置(医療機器)の滅菌保証に際し、洗浄の重要性が広く認知されつつあるが、洗浄後の医療器具の清浄度評価方法(どの程度の汚れが残っているか否か)については未だ定まりきれていない。医療器具を再利用する際の清浄度評価方法としては、ATP(アデノシン三リン酸)法やアミドブラック法などの試薬法、目視評価法、特許文献1に記載の清浄度測定方法など種々の方法がある。
しかしながら、染料などの試薬(薬品)を利用した方法は、手間が掛かる上に、洗浄された医療器具に試薬を接触させて行うため、再汚染されてしまう。このため、評価後の医療器具が再洗浄されることとなる。また、消耗品となる試薬を用いる方法では、コストが掛かってしまう。また、特許文献1に記載のように、赤外光を用いて清浄度を判定しようとしても、単にスペクトルの強度を測定するだけでは、未知試料としての汚れの程度や量の数値的評価が困難であり、また、複雑系の汚れ成分への適用が困難である。また、赤外光の波長領域のうち2.6μmを超える領域では、未知試料での吸収が大きくなり、非破壊のままでの測定が困難となり得る。また、目視評価法は、未知試料に対して非破壊ではあるが、定量化ができず、また個人差が発生して評価にバラツキが出てしまう。医療現場にて簡易的に非破壊、非接触により清浄度が測定できれば、手間を掛けずに安心して滅菌行為をして払い出せることができることとなる。
本発明の一目的は、未知試料を非破壊および非接触にて分析することのできる技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一解決手段に係る分析方法は、血液を既知試料として前記既知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを既知スペクトルとして入手し、且つ、分量を異ならせた複数の前記既知試料に対する複数の前記既知スペクトルを入手する第1ステップと、医療器具を洗浄し、洗浄した前記医療器具に汚れが付着している場合の前記汚れを未知試料として前記未知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを未知スペクトルとして入手する第2ステップと、前記第1ステップにて入手した複数の前記既知スペクトルによって構築された前記既知試料に属しないクラスを含む複数のクラスの中から、前記第2ステップにて入手した前記未知スペクトルを最も相関の高い帰属クラスに分類する第3ステップを有する分析方法であって、前記第3ステップにおいて前記未知試料が規定値以下の場合は終了し、また、前記第3ステップにおいて前記未知試料が規定値超過の場合は前記第2ステップに戻る第4ステップをさらに有し、前記第2ステップにおいて前記医療器具を洗浄したことで前記既知試料に属しないクラスかれたときに、前記帰属クラスに分類された前記未知スペクトルに対して、複数の前記既知スペクトルによって構築された検量線から前記未知試料の分量を予測すことを特徴とする。
本発明の一解決手段に係る分析装置は、洗浄した医療器具に汚れが付着している場合の前記汚れを未知試料として前記未知試料が内部にセットされるセット部と、近赤外光の光源と、前記セット部内の前記未知試料に前記光源からの近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを未知スペクトルとして検出する分光器と、前記分光器と接続され、前記未知スペクトルを分析するコンピュータを備えた分析装置であって、前記コンピュータは、血液を既知試料として前記既知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルが既知スペクトルとして予め記憶されている構成、且つ、分量を異ならせた複数の前記既知試料に対する複数の前記既知スペクトルが記憶されている構成のライブラリと、複数の前記既知スペクトルによって構築された前記既知試料に属しないクラスを含む複数のクラスの中から、前記未知スペクトルを最も相関の高い帰属クラスに分類する処理を行う第1処理部と、前記未知試料が前記医療器具を洗浄したことで前記既知試料に属しないクラスが除かれたときに、前記帰属クラスに分類された前記未知スペクトルに対して、複数の前記既知スペクトルによって構築された検量線から前記未知試料の分量を予測する処理を行う第2処理部を備えることを特徴とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一解決手段に係る分析方法によれば、未知試料を非破壊および非接触にて分析することができる。
本発明の実施形態に係る分析装置の概略構成図である。 SIMCA法の概略説明図である。 PLSR法の概略説明図である。 本発明の実施形態に係る分析方法のフローチャートである。 近赤外領域のスペクトル特性である。 SIMCA法によるクラス分類を説明するための表である。 PLSR法による検量線を説明するための構築結果の図である。 PLSR法による検量線の説明するための検証結果の図である。 比較対象としてのATP法を説明するための測定結果の図である。 清浄度評価システムのフローチャートである。
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
本発明の実施形態に係る近赤外分光法を用いる分析装置10(分析システム)について、図1を参照して説明する。図1は、分析装置10の概略構成図である。本実施形態では、未知試料(例えば、血液)が付着した器具12の清浄度(器具12の汚れ量)を分析する場合に、分析装置10を適用して説明する。なお、器具12に未知試料が付着していない場合であっても、未知試料の有無を分析する点で、器具12に未知試料が付着しているものして説明する。
まず、近赤外分光法について説明する。未知試料に近赤外光(一般的には波長範囲が780nm乃至2500nmとされる)が照射されると、未知試料の分子(例えば、官能基)によってある波長帯の光が吸収され、減衰光となって反射する。このとき、未知試料の分子の量(例えば、濃度)と、吸収される光の量との間には関係性がある。近赤外分光法は、分子とその量によって吸収波長帯と吸収量が異なる性質を利用したものである。分析装置10は、この近赤外分光法を用いて、吸光度(吸収波長帯と吸収量)の情報を有する赤外吸収スペクトル(本実施形態では、反射スペクトルとして入手する)から定量分析および定性分析を行えるよう構成されている。
分析装置10は、セット部14(受光部)と、光源16と、を備える。セット部14は、その内部に未知試料が付着している器具12がセットされるよう構成される。このセット部14は、光源16からの光を受光する受光部として、光源16以外からの光(外乱)が内部に入り込まないよう構成される。光源16は、近赤外光を発生し、セット部14にセットされた器具12(未知試料)に近赤外光を照射するよう構成される。光源16としては、例えば、ハロゲンランプを用いることができる。
また、分析装置10は、分光器18と、セット部14と分光器18との間を繋ぐ伝送部22(例えば、光ファイバ)と、を備える。分光器18は、セット部14内の器具12に付着している未知試料に光源16からの近赤外光を当てた反射による反射スペクトル(データ)を、伝送部22を介して検出するよう構成される。分析装置10は、未知試料からの反射による反射スペクトルを未知スペクトル(データ)として取り扱う。なお、分光器18としては、例えば、光学系(マウント方式)がファスティー・エバート型、測定波長範囲が900nm乃至1600nm、分解能が8nm、スリット幅100μm、露光時間が800ms、ピクセル数が256ch、積算回数が5回、検出器がInGaAsリニアイメージセンサのものを用いることができる。
また、分析装置10は、コンピュータ20と、分光器18とコンピュータ20との間を繋ぐ伝送部24(例えば、USBインターフェースケーブル)と、を備える。コンピュータ20は、伝送部24を介して分光器18と接続され、未知スペクトルを分析することができる。コンピュータ20は、例えば、一般的なハードウエア構成のものであり、図示しないが、CPUと、メモリと、外部記憶装置と、入力装置と、表示装置と、を備える。CPUは、コンピュータ20の動作全体を制御するものであり、メモリに格納されたプログラムの起動で動作する。メモリは、例えばROMやRAMから構成され、コンピュータ20で用いられるプログラムやプログラム実行時のデータを格納する。外部記憶装置は、例えばハードディスクドライブから構成され、各種プログラムなどのデータを保存する。入力装置は、例えばキーボードから構成され、オペレータがデータ入力等する際に用いられる。また、表示装置は、例えば液晶ディスプレイから構成され、入力された文字、データ、分析結果などを表示する。分析装置10では、コンピュータ20にインストールされたプログラム(ソフトウエア)により各種の処理が実行される。
このようなコンピュータ20は、以下の機能を備える。具体的には、コンピュータ20は、入力部30と、制御部32と、出力部34と、ライブラリ36と、分類処理部38(第1処理部)と、検量処理部40(第2処理部)と、前処理部42(第3処理部)と、を備える。図1では、コンピュータ20内の各処理部のデータの流れを示している。入力部30は、例えばオペレータなど外部によるデータを受け入れる。また、制御部32は、各処理部などを制御したり、出力部34を制御したりして、未知試料を分析する。また、出力部34は、入力されたデータや制御部32の処理状況、処理結果などの表示を行う。なお、制御部32によって光源16や分光器18も制御するシステム構成とすることもできる。
前処理部42は、分光器18から伝送される反射スペクトル(データ)に対して微分処理を行う。この処理は、分類処理部38や検量処理部40での処理の前に行われる。前処理されることで、分類処理部38や検量処理部40において迅速(短時間)に精度の良い既知スペクトルや未知スペクトルを入手することができる。
ライブラリ36は、未知スペクトルを分析するにあたり、予め複数の既知スペクトルを記憶(保存)する。既知スペクトルは、器具12に付着している既知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルである。ライブラリ36には、例えば、同種類において分量を異ならせた複数の既知試料に対する複数の既知スペクトルが記憶される。また、ライブラリ36には、例えば、分量および種類を異ならせた複数の既知試料に対する複数の既知スペクトルが記憶されてもよい。
分類処理部38は、未知試料(未知スペクトル)を分類する処理を行う。本実施形態では、分類処理部38は、SIMCA(Soft Independent Modeling of Class Analogy)法がプログラミングされたプログラムがコンピュータ20にインストールされて構成される。ここで、SIMCA法について、図2を参照して説明する。図2は、SIMCA法の概略説明図である。
SIMCA法は、既知試料でクラスを構築し、未知試料をクラスに分類して判別分析する既知の方法である。まず、既知試料のデータから各クラス(Class)を主成分分析して得た主成分得点の広がりに基づいて空間領域のクラス(SIMCA box)を構築する。そして、構築したクラス(SIMCA box)と未知試料との位置関係から、未知試料がどのクラス(SIMCA box)に属するかを分類する。このとき、どこのクラス(SIMCA box)にも属さない未知試料の分類も行うことができる。
本実施形態では、分類処理部38の実行にあたり、ライブラリ36に記憶されている既知スペクトルが参照される。分類処理部38は、複数の既知スペクトルによって構築された既知試料に属しないクラスを含む複数のクラスの中から、未知試料から入手した未知スペクトルを最も相関の高い帰属クラスに分類する。このとき、分量および種類を異ならせた複数の既知試料に対する複数の既知スペクトルから構築されたクラスによって、分類された帰属クラスから未知試料の種類を予測(定性)することもできる。
検量処理部40は、未知試料の分量を予測する処理を行う。本実施形態では、検量処理部40は、PLSR(Partial Least Squares Regression)法がプログラミングされたプログラムがコンピュータ20にインストールされて構成される。ここで、PLSR法について、図3を参照して説明する。図3は、PLSR法の概略説明図である。
PLSR法は、説明変数から目的変数の振る舞いをよりよく表す因子を抽出し、その因子と目的変数の関係式を算出して回帰分析する既知の方法である。
本実施形態では、検量処理部40の実行にあたり、ライブラリ36に記憶されている既知スペクトルが参照される。検量処理部40は、未知スペクトルに対して複数の既知スペクトルによって構築された検量線から未知試料の分量(器具12の汚れ量)を予測(定量)する。検量線は、説明変数に既知スペクトル(赤外吸収スペクトル)、目的変数に既知試料の分量(参照値となる汚れ量)を用いて構築される。検量線の精度は、構築や検証時の誤差であるSEC(Standard Error of Calibration)、SEP(Standard Error of Prediction)で表される。
このような分析装置10によれば、未知試料(器具12の汚れ)を非破壊および非接触にて分析することができる。具体的には、分析装置10は、未知試料に対して定量分析および定性分析を行うことができる。これにより、器具12の汚れの清浄度を評価することができる。また、本実施形態では、検量処理部40で処理される未知スペクトルは、分類処理部38において属しないクラスを除いた帰属クラスのものが用いられる。すなわち、分析装置10は、未知試料が既知試料と同じ種類であるか定性し、定性された未知試料を分量することで、迅速に器具12の汚れの清浄度を評価することができる。なお、本発明によれば、例えば、使用する前の器具12の汚れや、洗浄された後の器具12の汚れの清浄度を評価することができる。
次に、本発明の実施形態に係る分析方法について、図4を参照して説明する。図4は、分析方法のフローチャートである。なお、本実施形態に係る分析方法は、前述の分析装置10を用いることができる。
本実施形態では、医療器具の血液による汚れとして、ステンレス板に付着させた擬似的な汚れについて説明する。器具12としては、1cm×5cm角のステンレス板を用いる。また、既知試料(本実施形態で検証する上で未知試料としても用いる)としては、0ppm(parts per million)乃至100ppm濃度(10ppm刻みの11段階)の馬脱繊維血液(馬繊血)を用いる。例えば、馬繊血をマイクロピペットで1mlを精秤し、蒸留水を用いてメスフラスコで100倍に希釈する。これをマイクロペピットで0.1mlを精秤し、メスフラスコで1000倍に希釈し、10ppm濃度の既知試料を作成する。各濃度の試料(分量が異なる既知試料)が、0.1mlずつマイクロピペットを用いてステンレス板(器具12)2枚に滴下、自然乾燥されて作成される。
まず、器具12に付着している既知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを既知スペクトルとして入手する(ステップS10)。
具体的には、既知試料が付着している器具12が、セット部14にセットされる。次いで、既知試料からの反射スペクトルが、分光器18で検出され、コンピュータ20へ受け渡される。次いで、反射スペクトルを入手したコンピュータ20が、既知スペクトルとして処理する。ここで、コンピュータ20は、分光器18からの反射スペクトル(既知スペクトルとなる)に対して微分処理を行う(ステップS15)。本実施形態では、濃度を異ならせた馬繊血(分量を異ならせた既知試料)に対する複数の既知スペクトルを入手する。例えば、1つの器具12(1枚のステンレス板)につき3回ずつ近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを既知スペクトルとして6つ入手する。
図5は、横軸を波長、縦軸を吸光度としたスペクトル特性(微分点数17点で2次微分処理がされたもの)であり、各濃度の馬繊血(分量を異ならせた既知試料)の既知スペクトルを示す。図5からは、低濃度(例えば、10ppm)であっても血液濃度に対応して変化するピークを確認することができる。なお、図5に示すスペクトル特性において、940nm付近がC−H基伸縮振動の第3倍音とされる。また、1300nm付近がC−H基伸縮振動の第2倍音とされる。また、1350nm付近および1390nm付近がC−H基伸縮振動の第2倍音とC−H変格変動の結合音とされる。
続いて、器具12に付着している未知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを未知スペクトルとして入手する(ステップS20)。
具体的には、未知試料が付着している器具12(未知試料が付着していないものも含む)が、セット部14にセットされる。次いで、未知試料からの反射スペクトルが、分光器18で検出され、コンピュータ20へ受け渡される。次いで、反射スペクトルを入手したコンピュータ20が、未知スペクトルとして処理する。ここで、コンピュータ20は、分光器18からの反射スペクトル(未知スペクトルとなる)に対して微分処理を行う(ステップS25)。なお、本実施形態では、既知スペクトルとして6つ入手したうちの1つを未知スペクトルとして入手するものとする。
続いて、複数の既知スペクトルによって構築された既知試料に属しないクラスを含む複数のクラスの中から、未知スペクトルを最も相関の高い帰属クラスに分類する(ステップS30)。
本実施形態では、SIMCA法を用いて、各濃度6点測定した中の5点のスペクトルを既知スペクトルとして用い、0ppm(Class0)から10ppm刻みで100ppm(Class10)までの11クラスを構築する。そして、クラス構築に用いなかった残り1点のスペクトルを未知スペクトルとして用いて検証する。
分類モデルの安定確認のため、構築試料1点と検証試料1点を入れ替えた3パターンの分類モデルを構築した結果を図6に示す。図6では、各クラスに分類された数に対して、正しく分類されたものに符号T、誤って分類されたものに符号Fを添えている。図6に示す結果では、分類正答率が64%(21/33)となった。また、3パターンの分類モデルのすべてで0ppm(Class0)が正確に分類された。すなわち、汚れの有無の判別については、SIMCA法を用いて行うことができる。
続いて、分類処理によって属しないクラスを除いて帰属クラスに分類された未知スペクトルに対して、複数の既知スペクトルによって構築された検量線から未知試料の分量を予測する(ステップS40)。ここで、分類処理によって属しないクラスは、例えば、器具12が汚れていないものに分類されるクラスであり、前述においては、馬繊血の濃度が0ppm(Class0)のものが分類される。
本実施形態では、PLSR法を用いて、各濃度6点測定した中の5点のスペクトルを既知スペクトルとして用い、検量線を構築する。この構築結果を図7に示す。図7では、横軸を参照血液濃度、縦軸を参照血液濃度としている。また、検量線の構築に用いなかった残り1点のスペクトルを未知スペクトルとして用いて検証する。この検証結果を図8に示す。図8では、横軸を参照血液濃度、縦軸を予測血液濃度としている。
そして、検量線の精度確認は、検量線構築時の相関係数の算出と、次式に示すSEC(検量線構築誤差)およびSEP(検量線予測誤差)とから行う。次式において、yが参照値、y’が予測値、nが試料数、kがファクター数である。

PLSR結果としては、ファクター数が5において相関係数が0.76、SECが20ppm、SEPが20ppmとなった。
ここで、本実施形態に係る分析方法との比較対象として、ATP法による測定結果について説明する。ATP測定には、オートゼロ構成が内蔵(通常測定毎)され、測定データがRLU(Relative Light Unit)、測定範囲が0乃至999,999RLU、測定時間が10秒、使用可能温度範囲が+5℃乃至+40℃、使用可能湿度範囲が20%Rh乃至85%RhのATPテスターを用いた。前述したように、本実施形態では、器具12の代替品としてステンレス板を2枚用いている。ATP法による測定では、反射スペクトルを入手した後の2枚のステンレス板に対して、それぞれATP値を1回ずつ測定し、平均値を求めた。その結果を図9に示す。図9では、横軸を血液濃度、縦軸をATP値としている。ATP値は単位RLU(Relative Light Unit)として発光量を示すものである。
図9から、ATP法では血液濃度との相関係数が0.71であることが分かった。これに対して本実施形態に係る分析方法では、血液濃度との相関係数が0.76であり、ATP法と比較して同等またはより高精度な定量評価を行うことができる。
このように、本実施形態に係る分析方法によれば、定性分析として、赤外吸収スペクトル(反射スペクトル)で血液濃度に対応して変化するピークを確認することができる。例えば、洗浄後の濃度が低い(汚れが少ない)器具12に対しての清浄度を評価することができる。また、定量分析として、クラス分類を行うことで、0ppm(標準試料)とその他の濃度の試料を区別することができ、汚れの有無を正確に判別することができる。更に、定量分析として、検量線構築を行うことで、ATP法と同等以上の定量評価を行うことができる。
また、例えば、図10に示すような手順の清浄度評価システムを構築することもできる。具体的には、まず、手術などに用いられた医療器具に対して洗浄を施す(ステップS110)。洗浄された医療器具に付着している汚れをサンプル(未知試料)とする(ステップS120)。このサンプルに対して赤外吸収スペクトルを測定する(ステップS130)。次いで、例えばSIMCA法によって既知試料から予め構築されているクラスのどれにサンプルが属するか分類する(ステップS140)。具体的には、濃度0ppmに属するクラスか、その他のクラスかに分類する。濃度0ppmのクラスであれば、例えば、汚れが検出されないものとして終了する。その他のクラスであれば、そのまま洗浄する(ステップS110)か、あるいは例えばPLSR法によって検量を行う(ステップS150)。検量した濃度が、規定値以下であれば終了し、規定値超過であれば再洗浄する(ステップS110)。このように濃度0ppmのクラスに属するまで、あるいは濃度が規定値以下となるまで(すなわち、汚れが無くなるような清浄度が高まるまで)、医療器具に対して洗浄を行うことで、医療器具を安全な状態にして医療現場に払い出すことができる。
また、例えば、図4に示す既知スペクトルの入手(ステップS10)において、分量および種類を異ならせた複数の既知試料に対する複数の既知スペクトルを入手させておくこともできる。これによれば、分類処理(ステップS30)では、分類された帰属クラスから未知試料の種類を予測することもできる。
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、医療器具に付着している未知試料を分析する場合について説明した。これに限らず、例えば、医療器具の洗浄後のすすぎ液(排液)に対して、近赤外光により非接触、非破壊で定量的に測定することができる。
また、例えば、医療器具を洗浄する洗浄装置の洗浄能力を評価することができる。具体的には、本発明に係る分析装置を洗浄装置に組み込み、洗浄装置を提供することもできる。また、洗浄バリデーションを行う中で本発明に係る分析方法を活用することもできる。
例えば、前記実施形態では、未知試料(未知スペクトル)を分類(判別)するにあたり、SIMCA法を用いた場合について説明した。これに限らず、ニューラルネットワーク、線形判別、二次判別(非線形判別)、KNN(k-nearest neighborhood)法、Smart Vector Machine(スマート・ベクター・マシーン;SVM)法、クラスター分析、主成分分析などの方法、手段を用いることもできる。
例えば、前記実施形態では、未知試料の分量を予測するにあたり、PLSR法を用いた場合について説明した。これに限らず、重回帰分析、ニューラルネットワーク、主成分回帰分析(PCR)などの方法、手段を用いることもできる。
10 分析装置; 12 器具; 14 セット部;
16 光源; 18 分光器; 20 コンピュータ;
22、24 伝送部; 30 入力部; 32 制御部;
34 出力部; 36 ライブラリ;
38 分類処理部(第1処理部);
40 検量処理部(第2処理部);
42 前処理部(第3処理部)。

Claims (10)

  1. 血液を既知試料として前記既知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを既知スペクトルとして入手し、且つ、分量を異ならせた複数の前記既知試料に対する複数の前記既知スペクトルを入手する第1ステップと、
    医療器具を洗浄し、洗浄した前記医療器具に汚れが付着している場合の前記汚れを未知試料として前記未知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを未知スペクトルとして入手する第2ステップと、
    前記第1ステップにて入手した複数の前記既知スペクトルによって構築された前記既知試料に属しないクラスを含む複数のクラスの中から、前記第2ステップにて入手した前記未知スペクトルを最も相関の高い帰属クラスに分類する第3ステップを有する分析方法であって、
    前記第3ステップにおいて前記未知試料が規定値以下の場合は終了し、また、前記第3ステップにおいて前記未知試料が規定値超過の場合は前記第2ステップに戻る第4ステップをさらに有し、
    前記第2ステップにおいて前記医療器具を洗浄したことで前記既知試料に属しないクラスかれたときに、前記帰属クラスに分類された前記未知スペクトルに対して、複数の前記既知スペクトルによって構築された検量線から前記未知試料の分量を予測すこと
    を特徴とする分析方法。
  2. 請求項1記載の分析方法において、前記第1ステップでは、入手した前記既知スペクトルに対し微分処理を行い、且つ、前記第2ステップでは、入手した前記未知スペクトルに対して微分処理を行うことを特徴とする分析方法。
  3. 請求項1または2記載の分析方法において、
    前記第1ステップでは、分量および種類を異ならせた複数の前記既知試料に対する複数の前記既知スペクトルを入手し、
    前記第3ステップでは、分類された前記帰属クラスから前記未知試料の種類を予測することを特徴とする分析方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の分析方法において、
    前記第3ステップでは、SIMCA法を用いて前記未知スペクトルを分類することを特徴とする分析方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の分析方法において、
    前記第4ステップでは、PLSR法を用いて前記未知試料の分量を予測することを特徴とする分析方法。
  6. 洗浄した医療器具に汚れが付着している場合の前記汚れを未知試料として前記未知試料が内部にセットされるセット部と、近赤外光の光源と、前記セット部内の前記未知試料に前記光源からの近赤外光を当てた反射による反射スペクトルを未知スペクトルとして検出する分光器と、前記分光器と接続され、前記未知スペクトルを分析するコンピュータ備えた分析装置であって
    前記コンピュータは、
    血液を既知試料として前記既知試料に近赤外光を当てた反射による反射スペクトル既知スペクトルとして予め記憶されている構成、且つ、分量を異ならせた複数の前記既知試料に対する複数の前記既知スペクトルが記憶されている構成のライブラリと、
    複数の前記既知スペクトルによって構築された前記既知試料に属しないクラスを含む複数のクラスの中から、前記未知スペクトルを最も相関の高い帰属クラスに分類する処理を行う第1処理部と、
    前記未知試料が前記医療器具を洗浄したことで前記既知試料に属しないクラスかれたときに、前記帰属クラスに分類された前記未知スペクトルに対して、複数の前記既知スペクトルによって構築された検量線から前記未知試料の分量を予測する処理を行う第2処理部備えること
    を特徴とする分析装置
  7. 請求項6記載の分析装置において、
    前記コンピュータは、前記既知スペクトルに対し微分処理を行い、且つ、前記未知スペクトルに対して微分処理を行う第3処理部を更に備えることを特徴とする分析装置。
  8. 請求項6または7記載の分析装置において、
    前記ライブラリ、分量および種類を異ならせた複数の前記既知試料に対する複数の前記既知スペクトルが記憶されている構成であり
    前記第1処理部、分類された前記帰属クラスから前記未知試料の種類を予測する処理を行う構成であること
    を特徴とする分析装置。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の分析装置において、
    前記第1処理部、SIMCA法がプログラミングされたプログラムが前記コンピュータにインストールされている構成であることを特徴とする分析装置。
  10. 請求項6〜9のいずれか一項に記載の分析装置において、
    前記第2処理部、PLSR法がプログラミングされたプログラムが前記コンピュータにインストールされている構成であることを特徴とする分析装置。
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