JP6618279B2 - 鋳造品の製造方法、熱処理方法及び高周波焼き入れ装置 - Google Patents

鋳造品の製造方法、熱処理方法及び高周波焼き入れ装置 Download PDF

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Description

本発明は、鋳造品の製造方法に関するものである。
また本発明は、鉄系材料を誘導加熱によって熱処理する方法に関するものである。さらに本発明は、高周波焼き入れ装置に関するものである。
鋳造は、複雑な形状のものを容易に成形することができるという利点がある。また周知の鋳造材料として片状黒鉛鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄がある。
片状黒鉛鋳鉄を使用した鋳物は、球状黒鉛鋳鉄を使用した鋳物に比べて硬度や剛性が低く、対磨耗性が劣る。
そのため片状黒鉛鋳鉄は、工作機の架台や、椅子の脚等の様に、静止した状態で使用される部材を鋳造する際の材料として使用される場合が多い。
しかしながら、片状黒鉛鋳鉄は材料安価であり、且つ湯の流れがスムーズであるという利点がある。
そのため片状黒鉛鋳鉄をバルブや送風機等の機械装置の部材たる、弁体、羽根、歯車、シャフト等の様な、動きがあり、摺動、摩擦等を受ける部材を鋳造する際の材料として使用したいという市場の要求がある。即ち片状黒鉛鋳鉄を使用して機械部品を製造したいという市場の要求がある。
片状黒鉛鋳鉄を素材として摩擦等を受ける部材を鋳造する場合には、摩擦等を受ける部位の硬度を上昇させるため、鋳型に冷し金が埋め込まれる。
冷し金が埋め込まれた鋳型によって鋳造された鋳造品は、摺動面等の硬度が実用に耐える程度に高い。
また他の部位については、比較的硬度が低いので鋳造後に行う後加工が容易である。
即ち、機械部品は、鋳造後にドリル加工や、フライス加工、旋盤加工等の様な切削作業による後加工が成される場合が多いが、片状黒鉛鋳鉄を材料とする部材は、冷し金でチルされた摺動面等以外の部位の硬度が低く、ドリル等による切削作業が容易である。
また鉄系材料を使用したワークを硬化させる方法として、高周波焼き入れが知られている。
特開2004−133935号公報
高周波焼き入れは、ワークを部分的に昇温することができ、ワークを部分的に焼き入れしてワークの一部だけを部分的に硬化することができる。そのためワークの後加工が容易である。
その他、高周波焼き入れは、短時間で焼き入れ処理を終えることができるという点、焼き入れに要するエネルギーが少ないという点など、多数の特長を有している。
そこで本発明者らは、機械部品(ワーク)を鋳造で成形し、その後で、硬度が要求される部位を高周波焼き入れすることを考えた。
本発明者らが想定した効果は、次の通りであった。
(1)鋳造時に冷し金を埋め込む必要が無いので型作りが容易である。
(2)特定の部位だけを硬化することができるために鋳造後の後加工が容易である。
しかしながら、片状黒鉛鋳鉄を素材として機械部品の形状のワークを鋳造し、その特定の部位を高周波焼き入れしたところ、予期しない問題が発生した。
即ち片状黒鉛鋳鉄を素材とするワークを高周波誘導加熱した後、急冷すると割れが多発した。
特に、焼き入れを施す部位の断面形状が真円から外れた形状であったり、肉厚が不均一である場合に、割れが多発する傾向があった。即ち焼き入れを施す部位の断面形状に突出部があったり、厚さが他の部位に比べて薄い部分がある部材を高周波誘導加熱した後、急冷すると、突出部分や薄い部分に割れが生じることが多かった。
本発明は、この問題に対処するものであり、片状黒鉛鋳鉄を素材としてワークを鋳造し、その特定の部位高周波焼き入れする場合に、割れを生じさせない熱処理方法及び鋳造品の製造方法を提供するものである。
また本発明は、割れを生じさせない熱処理方法及び高周波焼き入れ装置を開発することを課題とするものである。
本発明者らは、実験のために炭素鋼を切削加工し、突出部や肉薄部を有するワークを成形し、高周波焼き入れしたが、割れの発生は少なかった。即ち炭素鋼を素材として機械部品の形状のワークを成形し、当該ワークを高周波焼き入れしたが、割れの発生は少なかった。
同様に球状黒鉛鋳鉄を素材として同じ形状のワークを鋳造し、高周波焼き入れしたが、割れの発生は少なかった。
そこで割れの発生は、片状黒鉛鋳鉄を素材とする場合に多発するものであるとの結論に至った。
割れが突出部と肉薄部に頻発することから、高周波誘導加熱する際に、突出部及び肉薄部の温度が他の部位よりも高くなっていると予想され、これを改善することを試みたが、突出部と肉薄部は容積が小さいので、高周波誘導加熱時にその温度を他の部位と同じにすることは困難であった。
そこで次に、高周波加熱を行っている際のワークに温度ばらつきが生じることを是認したうえで、全体の温度ばらつきを所定の範囲に収めることを考えた。
即ちワークの最も高温となる部位が、急冷時に割れが発生しない程度の温度であり、且つ最も低温の部位が、焼き入れ可能な温度に達している様に制御すれば、焼き入れが可能であって且つ割れの発生を防止することができると考えた。
以下、その原理と問題点を説明する。
鉄系材料は、常温ではフェライト・パーライト組織であるが、昇温し変態点(AC1)を越えるとオーステナイト組織が生成し始め、AC3変態点を越えるとフェライト・パーライト組織が完全にオーステナイト組織に変化する。
ここでワークが仮に鋳鉄ではなく炭素綱であるならば、ワークはAC3変態点を越えても固体状態を保っている。そのためワークが仮に炭素綱であるならば、AC3変態点を越えてフェライト・パーライト組織が完全にオーステナイト組織に変化した後にワークを急冷し、緻密なマルテンサイト組織を作り、硬度を上昇させる。
実際の焼き入れは、亜共析鋼の場合では、AC3変態点を越える温度まで昇温して急冷し、過共析鋼の場合にあっては、AC1変態点とAC3変態点との間の温度に昇温して急冷する。
これに対して本発明者らが機械部品(ワーク)の素材として選定した片状黒鉛鋳鉄は、含有する炭素が多く、AC3を越えると液化が始まる。そのため片状黒鉛鋳鉄で造られたワークをAC3を越えて昇温し、これを急冷すると、割れが生じる頻度が高まる。即ち片状黒鉛鋳鉄は焼き入れ可能であって、且つ割れが生じない温度範囲が、炭素鋼等に比べて狭い。
そのため片状黒鉛鋳鉄を素材とするワークを焼き入れする際、突出部及び肉薄部の様な高温になりやすい部位の温度と、他の部分との間に許容される温度ばらつきは小さい。従ってワークを高周波誘導加熱する際に、ワークの表面温度を正確に検知し、各部の温度ばらつきを許容範囲に収めることができれば、割れは発生しない。
しかしながら、高周波誘導加熱時にワークの表面温度を正確に検知することは困難であり、温度を監視しながら高周波誘導加熱を行う方策は、断念せざるを得なかった。
本発明者らがさらに研究を重ねたところ、高周波焼き入れ装置に使用されている発振装置は、高周波誘導加熱時に興味ある挙動を示すことを知った。
即ち発振装置をカレントトランスを介して誘導加熱コイルに接続し、当該誘導加熱コイルで鉄系材料で構成されたワークを高周波誘導加熱する場合、発振装置の出力ボリュームを一定にしておくと、ワークは、図1(a)の様に昇温する。
即ち鉄系材料は、磁気変態点近傍(現実のAC1変態点とAC3変態点の間)で昇温カーブが鈍化するものの、一定時間後に再度上昇する。
一方、発振装置の発振周波数に注目すると、図1(b)の様に一定の時間、周波数が安定しており、その後に僅かに上昇し、その後に再度安定する。即ち発振装置の発振周波数は、常にわずかずつ変化しているが、それまでの変化軌跡から外れて変化する。より具体的には、周波数が安定した状態から突然に上昇傾向に変化する。
この様に発振装置の発振周波数がそれまでの変化軌跡から外れて変化するのは、ワークの透磁率が変化するためであると考えられる。即ち鉄系材料には磁気変態点があり、磁気変態点の前後でワークの透磁率が大きく変化する。そして磁気変態点は、前記したオーステナイト組織が生成し始める変態点(AC1)よりも高い温度である。
従って、発振装置の発振周波数が変化した時点は、磁気変態点を越えた時点であり、ワーク中のフェライト・パーライトがオーステナイトに組織変化しはじめる時点であると言える。また磁気変態点は、AC3の温度よりも低い温度であるから、ワークは固体状態である。
そのため高周波誘導加熱の際に、発振装置の発振周波数を監視すれば、磁気変態点の通過時期を知ることができる。そして発振装置の発振周波数がそれまでの変化軌跡から外れて上昇すれば、磁気変態点を通過していると考えてよく、ワークの温度はAC1を越えていて組織がオーステナイト化している。
そのため発振装置の発振周波数が上昇した際に、誘導加熱コイルに供給される電流又は電力を下げれば、ワークの温度は磁気変態点の近傍を維持し、オーステナイト組織の生成が進み、且つ固体状態を維持することとなる。
従って発振装置の発振周波数が上昇した際に、誘導加熱コイルに供給される電流又は電力を下げ、この状態を維持した後にワークを急冷すれば、ワークに割れを生じさせず、且つワークを硬化させることができる。
なお、発振装置の発振周波数が変化することによる副次的作用として、誘導加熱コイルに供給される電流や電力も変化する。即ちワークの温度が磁気変態点を通過すると、コイルに供給される電流や電力も変化する。
コイルに供給される電流は、発振装置の出力ボリュームが一定であるにも係わらす、図1(c)の様に次第に低下してゆく。そのため、誘導加熱コイルに供給される電流や電力を検知しても磁気変態点の通過時期を知ることができる。即ち、誘導加熱コイルに供給される電流や電力が低下傾向となれば変態点を通過していると考えてよい。
上記した知見に基づいて開発された請求項1に記載の発明は、片状黒鉛鋳鉄製のワークを成形する鋳造工程と、前記ワークを焼き入れする焼き入れ工程を有する鋳造品の製造方法において、前記焼き入れ工程は、発振装置と誘導加熱コイルを備えた誘導加熱装置を使用して前記ワークを誘導加熱する誘導加熱工程を有し、誘導加熱工程においてはワークを誘導加熱する際に前記コイルに流れる電流の周波数を監視し、それまでの変化軌跡から外れて周波数が変化した際、又は変化の傾向が現れた際に前記コイルに供給する電流又は電力を低下させてその状態を一定時間維持する抑制加熱工程を実施し、その後に誘導加熱を停止してワークを急冷する冷却工程を実施することを特徴とする鋳造品の製造方法である。
また請求項2に記載の発明は、コイルに流れる電流の周波数を監視し、前記コイルに流れる電流の周波数が変化した際、又は変化の傾向が現れた時点を基準時とし、当該基準時を基準として抑制加熱工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の鋳造品の製造方法である。
本発明では、誘導加熱を実施している間、コイルに流れる電流の周波数を監視する。そしてコイルに流れる電流の周波数が変化する時点を基準時とし、コイルに供給する電流又は電力を低下させてその状態を一定時間維持する。「コイルに供給する電流又は電力を低下させてその状態を一定時間維持する」とは、ピーク時に比べて電流又は電力が低い状態を維持するという趣旨であり、この際の電流又は電力は一定である必要はない。
「コイルに供給する電流又は電力を低下さる」ための具体的方策としては、例えば発振装置のボリュームを絞って、コイルに印加す電圧を低下させる方法がある。
前記した様に、コイルに流れる電流又は電力が低下傾向となった時点、あるいはコイルに流れる交流の周波数が上昇傾向となって時点におけるワークの温度は、磁気変態点近傍(現実のAC1変態点とAC3変態点の間)である。そのため本発明の基準時においては、ワークの温度は、変態点近傍(現実のAC1変態点とAC3変態点の間)であると言える。
本発明では、コイルに流れる電流の周波数を監視することによって、間接的に変態点の通過を知り、その後に、出力ボリュームを絞ってコイルに供給する電流又は電力を低下させる。その結果、ワークは、磁気変態点を通過した後、一定の時間、磁気変態点近傍の温度を維持し、フェライト・パーライト組織がオーステナイト組織に変態する。そしてその後に、誘導加熱を停止し、急冷すると、オーステナイト組織がマルテンサイト組織に変態する。
本発明では、ワークを過度に昇温させない。また一定の時間、磁気変態点近傍の温度を維持することによりワークの各部の温度ばらつきが小さくなる。そのため急冷後にワークが割れることは少ない。
請求項3に記載の発明は、コイルに流れる電流の周波数が上昇傾向となった後に抑制加熱工程を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造品の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、誘導加熱工程においては、ワークは特定の部位だけが誘導加熱され、誘導加熱される部位には突出部及び/又は厚さが他の部位に比べて薄い部分があることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋳造品の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、発振装置を備えた交流発生源に接続された誘導加熱コイルを使用して、鉄系材料で作られたワークを誘導加熱して行う熱処理方法において、ワークを誘導加熱する際に前記コイルに流れる電流の周波数を監視し、周波数がそれまでの変化軌跡から外れて変化した際、又は変化の傾向が現れた際に前記コイルに供給する電流又は電力を低下させてその状態を一定時間維持し、その後に誘導加熱を停止することを特徴とする熱処理方法である。
請求項6に記載の発明は、高周波発振装置と誘導加熱コイルを備えた高周波焼き入れ装置において、前記コイルに流れる電流の周波数を監視する監視手段を有し、周波数がそれまでの変化軌跡から外れて変化した際、又は変化の傾向が現れた際にコイルに供給する電流又は電力を低下させる抑制加熱制御が実行されることを特徴とする高周波焼き入れ装置である。
本発明の鋳造品の製造方法及び熱処理方法によると、焼き入れ工程における割れが少なく、歩留りが高い。また本発明の高周波焼き入れ装置を使用すると、ワークの割れが少なく、歩留りが高い。
片状黒鉛鋳鉄製のワークを高周波誘導加熱した際の温度変化と、周波数の変動と電流の変動を同一の時間軸上に並べたグラフである。 本発明の実施形態の方法に則って、片状黒鉛鋳鉄製のワークを高周波誘導加熱した際の温度変化と、周波数の変動と電流の変動を同一の時間軸上に並べたグラフである。 本発明の実施形態の熱処理方法を実施する際に使用する高周波誘導加熱装置の概念図である。 本発明の実施形態の熱処理方法の工程を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の鋳造品の製造方法によって製造されたワークを切断し、さらにエッチング処理した後の断面のスケッチであり、ワークは基準時からコイルに供給する電流を低下させてその状態を1.5秒維持し、その後に誘導加熱を停止してワークを急冷して造られたものを示す。 本発明の実施形態の鋳造品の製造方法によって製造されたワークを切断し、さらにエッチング処理した後の断面のスケッチであり、ワークは基準時からコイルに供給する電力を低下させてその状態を6.5秒維持し、その後に誘導加熱を停止してワークを急冷して造られたものを示す。
以下さらに本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、所定形状のワーク100を鋳造し、ワーク100の一部を高周波焼き入れして硬化させる工程を有する、機械部品(鋳造品)の製造方法である。
ワーク100は、前記した様に鋳造によって成形されたものである。鋳造に使用された素材は、片状黒鉛鋳鉄である。ワーク100は特定の部位が高周波焼き入れされる。
ワーク100は、断面形状が卵形のシャフトであり、その一部にネジ部101がある。 ワーク100は断面形状が卵形の部分の一定領域(以下、焼き入れ領域103 図3)だけが高周波焼き入れされる。
即ちワーク100の焼き入れされる部位(焼き入れ領域103)の断面形状は真円ではなく、卵形であり、突出部102がある。本実施形態の鋳造品の製造方法では、鋳造後に焼き入れ領域103の全周を高周波焼き入れする。
ワーク100を焼き入れするための高周波誘導加熱装置2は、誘導加熱コイル3と、カレントトランス5と、高周波発振機6及び制御装置7によって構成されている。
誘導加熱コイル3は、公知のワンターンコイルである。
高周波発振機6は、図示しない商用電源に接続されていて、高周波電流を発生させる装置である。高周波発振機6の発振周波数は、ボリューム等(バリアブルコンデンサー等を含む)によって設定することが可能であるが、発振周波数は誘導加熱コイル3の状態等に応じて変動する。即ち制御装置7のボリューム20によって周波数を上昇させたり下降させたりすることが可能であるが、高周波発振機6は、誘導加熱コイル3を含む同調回路によって発振周波数が決まるものであり、誘導加熱コイル3のインダクタンスが変化すれば、発振周波数が変わってしまう。
また高周波発振機6は、制御装置7のボリューム21によって誘導加熱コイル3に印加する電圧を変化させ、結果的に出力電流(誘導加熱コイル3に流れる電流)を変化させることができる。またその結果、誘導加熱コイル3に供給される電力が変化する。
ただし高周波発振機6の出力電流は、ボリューム21の抵抗だけでなく、誘導加熱コイル3のインダクタンス、各部のキャパシタンス、及び発振周波数によって変動する。
制御装置7は、前記したボリューム20,21を有する他、後記する制御工程を実行するプログラムが内蔵されている。
即ち制御装置7には、高周波発振機6の発振周波数を監視するプログラムと、高周波発振機6の発振周波数が変化した場合に、一定時間、誘導加熱コイル3に印加する電圧を低下させ、結果的に出力電流を低下させ、その後に高周波発振機6の発振を停止するプログラムが内蔵されている。より具体的には、高周波発振機6の発振周波数がそれまでの変化軌跡から外れて上昇した場合に、一定時間、出力電流を低下させ、その後に高周波発振機6の発振を停止するプログラムが内蔵されている。
本実施形態では、制御装置7がコイルに流れる電流の周波数を監視する監視手段である。
また本実施形態では、制御装置7からの信号に基づいて抑制加熱制御が実行される。
次に本実施形態の焼き入れ方法を実際の工程に則して説明する。
高周波誘導加熱装置2は、前記した誘導加熱コイル3が、カレントトランス5を介して高周波発振機6に接続されたものである。そして高周波誘導加熱装置2の誘導加熱コイル3にワーク100の焼き入れ領域103が近接されて熱処理が開始される。以下の処理は、制御装置7に内蔵されたプログラムに則り、自動的に実行される。
即ちステップ1で高周波発振機6に通電され、誘導加熱コイル3に高周波電流が通電される。なお本実施形態では、誘導加熱時にワーク100を回転させる。また誘導加熱コイル3はワーク100の回転に追従して偏心運動させる。
誘導加熱コイル3に高周波電流が通電される結果、ワーク100の焼き入れ領域103に誘導電流が発生し、焼き入れ領域103が昇温する。誘導加熱コイル3に高周波電流が通電された直後における、焼き入れ領域103の温度、誘導加熱コイル3に対する供給電流(または電力)及び高周波発振機6の発振周波数は、図2の期間Aの様である。
即ち発振周波数は、グラフFの様に短時間(0からa)の内に上昇する。誘導加熱コイル3に対する供給電流は、グラフDの様に上昇する。焼き入れ領域103の温度は、急激に上昇する。
続く期間Bでは、発振周波数は、グラフFの様に安定した状態となる。供給電流は、グラフDの様に上昇を続ける。焼き入れ領域103の温度は、上昇カーブがやや鈍化するものの、略一様に上昇を続ける。
そして発振開始後、突然に発振周波数が上昇する。即ち図2のグラフによると、時刻aから時刻bまでの間の発振周波数の変化軌跡は平行又は少しづつ上昇する傾向の軌跡であるが、時刻bを過ぎたころからそれまでの変化軌跡から外れて発振周波数が変化する。
即ち時刻bから時刻cまでの発振周波数の近似直線は、それまで(時刻aから時刻b間)の近似直線とは明らかに相違する。言い換えれば、時刻bから時刻cまでの発振周波数の近似直線の延長線上に、時刻b以降の発振周波数の数値が乗らない状態となる。
この様に時刻bから時刻cまでの間に、発振周波数が異様に上昇する。即ち発振周波数は常に変化しているが、変化の傾向や変化勾配が明らかに変わり、発進周波数の上昇傾向が顕著となる。例えば一定の時間内に周波数が一定量以上又は一定割合以上変わる。
本実施形態では、発振周波数が一定周波数だけ変化した時点(時刻c)を基準点としている。
変化率の目安は、2から10パーセント程度であり、1秒間に3から7パーセント程度変化した場合を基準点とすることが望ましい。
ここで本実施形態が採用するプログラムでは、図4の様にステップ2,3で、発振周波数を監視しており、発振周波数が一定周波数だけ上昇すると、ステップ3からステップ4に移行し、誘導加熱コイル3に対する供給電流を強制的に低下させる。より具体的には、誘導加熱コイル3に印加する電圧を低下させ、抑制加熱制御を実行する。
誘導加熱コイル3に印加する電圧の低下率は、20%から70%が望ましい。実際には予備試験によって、ワーク100の単位時間あたりの温度上昇が摂氏50度/秒以下、より望ましくは摂氏30度/秒以下、さらに望ましくは摂氏25度/秒程度となる様に誘導加熱コイル3に印加する電圧を低下させる。
また基準点である時刻cにおいて、ステップ5で所定のタイマーをオンし、ステップ6で当該タイマーが計時を終えるのを待つ。
この時の、焼き入れ領域103の温度、誘導加熱コイル3に対する供給電流(または電力)及び高周波発振機6の発振周波数は、図2の通りであり、焼き入れ領域103の温度は、磁気変態点を通過した直後から一定の温度範囲に維持する。即ち焼き入れ領域103の温度は、磁気変態点を通過した温度に維持され、温度変化が小さい状態となる。
供給電流は、前記した様に強制的に低下されるので、グラフDの様に低く押さえられ、且つ一定に保たれる。
発振周波数は、なりゆきであるが、やや上昇する傾向となる。
そしてステップ6でタイマーが計時を終えたことが確認されると、ステップ7に移行して誘導加熱コイル3に対する電流供給を停止し、ステップ8で焼き入れ領域103を急冷する。
なお誘導加熱コイル3に対する電流供給を停止してから、焼き入れ領域103を急冷するまでの間に、わずかな遅延時間を設け、ワーク100を空冷することが望ましい。
上記した工程によって製造されたワーク100は、割れの発生が少ない。また図5、図6の様にワーク面が均一に焼き入れされている。
本実施形態では、時刻c(基準時)に供給電流(又は電力)を低下させるが、電流(又は電力)の低下量はワーク100が基準時の温度を維持する程度であることが望ましい。しかしながら、実際上、多少の温度上昇があっても構わない。
また供給電流(又は電力)を低下した状態を維持する時間によって、焼き入れ深度を調整することができる。
供給電流(又は電力)を低下した状態を維持する時間が短い場合は、図5の様に焼き入れ深度が浅くなる。逆に供給電流を低下した状態を維持するが長い場合は、図6の様に焼き入れ深度が深くなる。
上記した実施形態では、発振周波数が一定の範囲で変化した時点(時刻c)を基準時としたが、変化の傾向が現れた時期(時刻b)を基準時としてもよい。また周波数に代えて、電流値を基準として基準時を決定してもよい。
本発明は、鋳造品の形状や構造、用途を限定するものではなく、筐体、歯車、軸、その他の鋳造品を製造する方法として有効である。
本発明の技術思想は、あらゆる形状の鉄系材料を熱処理する場合にも応用することができる。
2 高周波誘導加熱装置
3 誘導加熱コイル
5 カレントトランス
6 高周波発振機
7 制御装置
20 ボリューム
21 ボリューム
100 ワーク軸

Claims (6)

  1. 片状黒鉛鋳鉄製のワークを成形する鋳造工程と、前記ワークを焼き入れする焼き入れ工程を有する鋳造品の製造方法において、
    前記焼き入れ工程は、発振装置と誘導加熱コイルを備えた誘導加熱装置を使用して前記ワークを誘導加熱する誘導加熱工程を有し、誘導加熱工程においてはワークを誘導加熱する際に前記コイルに流れる電流の周波数を監視し、それまでの変化軌跡から外れて周波数が変化した際、又は変化の傾向が現れた際に前記コイルに供給する電流又は電力を低下させてその状態を一定時間維持する抑制加熱工程を実施し、その後に誘導加熱を停止してワークを急冷する冷却工程を実施することを特徴とする鋳造品の製造方法。
  2. コイルに流れる電流の周波数を監視し、前記コイルに流れる電流の周波数が変化した際、又は変化の傾向が現れた時点を基準時とし、当該基準時を基準として抑制加熱工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の鋳造品の製造方法。
  3. コイルに流れる電流の周波数が上昇傾向となった後に抑制加熱工程を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造品の製造方法。
  4. 誘導加熱工程においては、ワークは特定の部位だけが誘導加熱され、誘導加熱される部位には突出部及び/又は厚さが他の部位に比べて薄い部分があることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋳造品の製造方法。
  5. 発振装置を備えた交流発生源に接続された誘導加熱コイルを使用して、鉄系材料で作られたワークを誘導加熱して行う熱処理方法において、ワークを誘導加熱する際に前記コイルに流れる電流の周波数を監視し、周波数がそれまでの変化軌跡から外れて変化した際、又は変化の傾向が現れた際に前記コイルに供給する電流又は電力を低下させてその状態を一定時間維持し、その後に誘導加熱を停止することを特徴とする熱処理方法。
  6. 高周波発振装置と誘導加熱コイルを備えた高周波焼き入れ装置において、前記コイルに流れる電流の周波数を監視する監視手段を有し、周波数がそれまでの変化軌跡から外れて変化した際、又は変化の傾向が現れた際にコイルに供給する電流又は電力を低下させる抑制加熱制御が実行されることを特徴とする高周波焼き入れ装置。
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