JP6617487B2 - 救命艇 - Google Patents

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Description

本発明は、津波発生時に利用される救命艇に関する。
津波が発生した場合、高台やビル等の高所へ迅速に避難することが望まれるが、幼児、高齢者等の要介護者、高所がない地域等では、高所への迅速な避難が困難である。そこで、津波が発生した際に、直ちに乗り込み可能である津波対応型の救命艇(以下、単に「救命艇」と称する)が開発されており、病院、老人福祉施設、幼稚園や保育園等の施設近傍に、救命艇を予め設置しておくことが提案されている。
救命艇は、乗員を収容可能な収容空間が内部に形成された船体部と、船体部の外周に設けられ、外部から船体部への衝撃を吸収する衝撃吸収体とを含んで構成される(例えば、特許文献1)。救命艇は、国土交通省が発行する「津波救命艇ガイドライン」に沿って設計されており、船体部の強度は、10m/sの正面衝突、5m/sの側面衝突においても形状を維持できることが求められている。
そこで、上記特許文献1の技術では、船体部における正面(船首とみなされる箇所)の外周に設けられる衝撃吸収体の厚みを、船体部の正面以外の外周に設けられる衝撃吸収体より厚く構成している。
特開2014−73825号公報
上記「津波救命艇ガイドライン」において、船体部は、正面衝突および側面衝突に対して強度を確保するように規定されているが、追突(後面に対する衝突)に対しての規定はない。しかし、津波で漂流する際には救命艇の進行方向が不定であることから、救命艇が追突する可能性もあり、追突時に正面衝突時と同程度の衝撃が船体部にかかるおそれがある。そうすると、船体部の後面が破損し、収容空間を形成する船体部分が破損するおそれがある。
そこで、船体部の後面(船尾とみなされる箇所)の外周に設けられる衝撃吸収体の厚みを正面の外周と同程度に厚くする構成が考えられる。しかし、船体部の後面には、乗員が乗降する出入口が設けられているため、衝撃吸収体を厚くすると、乗員の乗降が困難になるおそれがある。このため、船体部の後面の衝撃吸収体を十分に厚くできないという課題がある。したがって、出入口が形成される箇所が衝突した場合であっても、収容空間を形成する船体部分の破損のおそれを低減できる救命艇の開発が希求されている。
そこで本発明は、このような課題に鑑み、出入口が形成される箇所が衝突した場合であっても、収容空間を形成する船体部分の破損のおそれを低減することが可能な救命艇を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の救命艇は、乗員が収容される収容空間を含む内部空間が形成された船体部と、船体部の外周に設けられ、外部から船体部への衝撃を吸収する衝撃吸収体と、船体部に形成され、乗員が乗降する出入口と、内部空間における収容空間と出入口との間に緩衝空間を形成する緩衝部と、を備え、船体部における出入口が形成される側面の外周に設けられる衝撃吸収体の船体部に対する垂線方向の厚みは、船体部の他の側面の少なくとも一部に設けられる衝撃吸収体の厚みよりも薄いことを特徴とする。
また、出入口は、船体部における船尾を構成する側面に形成され、出入口が形成される側面の外周に設けられる衝撃吸収体の厚みは、船体部における船首を構成する側面の外周に設けられる衝撃吸収体の厚みよりも薄くてもよい。
本発明によれば、出入口が形成される箇所が衝突した場合であっても、収容空間を形成する船体部分の破損のおそれを低減することが可能となる。
救命艇の概略的な構成を説明するための図である。 図1(b)におけるII−II線断面図である。 図2における破線で囲った部分の拡大図である。 図1(a)におけるIV−IV線断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(救命艇100)
図1は、救命艇100の概略的な構成を説明するための図であり、図1(a)は救命艇100の上面図を示し、図1(b)、(c)は救命艇100の側面図を示す。なお、理解を容易にするために、図1(c)中、衝撃吸収体120の記載を省略する。本実施形態の図1をはじめ以下の図では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。
救命艇100は、いわゆる全閉囲型救命艇である。本実施形態において、救命艇100は、動力を発生させる装置(例えば、スクリュープロペラ等)を備えていないため、進行方向が不定であることから、厳密には、前後方向の概念は生じないが、ここでは、説明の便宜上、救命艇100の長手方向(図1中、X軸方向)を進行方向と仮定する。また、同一条件の水流下に配された場合に、最も速度が出る姿勢となった救命艇100の進行方向の前方側の端部を船首とし、後方側の端部を船尾として説明する。
図1に示すように、本実施形態において救命艇100は、船体部110と、衝撃吸収体120とを含んで構成される。
船体部110は、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:以下、「FRP」と称する)で形成され、内部に内部空間が形成される。内部空間は、乗員が収容される収容空間と、食料や飲料等を保管する倉庫空間と、後述する緩衝空間とを含んで構成される。詳しくは後述するが、船体部110は、下部構造体130と、上部構造体140と、補強材150(図2、図3参照)とを含んで構成され、船体部110の長手方向の一端側が船首となり、他端側が船尾となるように設計される。
また、船体部110の上部構造体140には、乗員の出入口140a、採光用または監視用の窓140b、ハッチ140c等が形成されている。
衝撃吸収体120は、船体部110の外周全周に亘って設けられ、外部から船体部110への衝撃を吸収する。衝撃吸収体120は、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、EVAフォーム、PETフォーム等の発泡樹脂やこれらの発泡樹脂を被覆材等によって被覆したものによって形成される。また、衝撃吸収体120の船体部110に対する垂線方向の厚みは、船首を構成する側面(以下、「正面」と称する)110aに設けられる衝撃吸収体120が他の箇所と比較して厚くなっている。例えば、正面110aに配される衝撃吸収体120の厚み(図1中、X軸方向の厚み)は、10m/sで衝突した場合であっても船体部110が破損することがないように設計され、他の箇所に配される衝撃吸収体120の厚み(船尾を構成する側面(以下、「後面」と称する)110bにおいては、図1中、X軸方向の厚み、横面110cにおいては、図1中、Y軸方向の厚み)は、5m/sで衝突した場合であっても船体部110が破損することがないように設計される。
衝撃吸収体120を船体部110の側面外周に設けることにより、救命艇100が構造物や浮遊物に衝突したとしても、船体部110に作用する衝撃を低減することができる。なお、船体部110に作用する最大加速度は、上記したように国土交通省が発行する「津波救命艇ガイドライン」により、10m/sでの正面衝突において、15G以下と定められているため、衝撃吸収体120は、この条件となるように設計される。例えば、満載時に7tとなる救命艇100の場合、10m/sで衝突すると45Gの力が作用するため、衝撃吸収体120は、最大加速度を1/3に低減できるように設計される。
なお、船体部110は、喫水線が下部構造体130に位置するように設計されるため、衝撃吸収体120は、下部構造体130における喫水線近傍に配されることとなる。ここで、喫水線近傍は、喫水線を含む鉛直方向の所定の範囲内であり、所定の範囲は救命艇100の漂流時の動揺特性等を考慮して設定される。このように、喫水線の近傍に衝撃吸収体120を配することにより、救命艇100が浮揚した状態において、水面に浮遊する瓦礫等の障害物が衝突することによって生じる衝撃を低減することが可能となる。
(船体部110)
続いて、船体部110を構成する下部構造体130および上部構造体140について具体的に説明し、その後、補強材150について説明する。図2は、図1(b)におけるII−II線断面図であり、図3は、図2における破線で囲った部分の拡大図である。なお、理解を容易にするために、図2中、仕切壁200および中扉220を省略し、図3中、シートベルト180およびシートベルト固定部材182を省略する。
図2に示すように、下部構造体130および上部構造体140は、鉛直断面が略U字型であり、下部構造体130は、鉛直下方に突出した構造体であり、上部構造体140は、鉛直上方に突出した構造体である。また、下部構造体130の上方に上部構造体140が設けられ、下部構造体130と上部構造体140とによって、内部空間Nが形成されることとなる。
具体的に説明すると、下部構造体130は、ハル132と、ハル132の内部に配されるハルインナー138とを含んで構成され、上部構造体140は、キャビントップ142と、キャビントップ142の内部に配されるデッキインナー144とを含んで構成され、ハルインナー138とデッキインナー144とによって内部空間Nが形成されることとなる。内部空間Nの具体的な構成については後に詳述する。
(下部構造体130)
下部構造体130は、ハル132、ハルインナー138に加えて、防舷材134と、複数のリブ136とを含んで構成される。
ハル132は、FRP製であり、水上に浮揚可能な略船体形状に形成されている。具体的に説明すると、ハル132は、船底として機能する底部132aと、底部132aから鉛直上方に立設した下側面部132bと、下側面部132bの上端から船体部110の内部方向(内部空間Nに向かう方向)に延在した上縁部132cとが一体形成されている。
防舷材134は、FRP製であり、底部132aにおける左舷側および右舷側に配置される。防舷材134は、救命艇100が漂流初期において浮上や着底を繰り返すような不安定な挙動をする場合、漂流中に座礁する場合、引き波後に着底する場合等において、底部132aの破損を抑制する。
リブ136は、ハル132の短手方向の形状に沿った、湾曲した肋骨状の骨組み材であり、例えば、FRPで塗装された合板(コンパネ)で形成され、ハル132に複数(例えば、9個)載置される。複数のリブ136は、ハル132の長手方向(進行方向、図2中、X軸方向)に所定の間隔(例えば、座席2つごとに)離隔して配置されている。リブ136の厚み(図2中、X軸方向の厚み)は、例えば、21mm程度(15mm程度の合板の全面に3mm程度のFRP塗装を施す)であり、少なくともハル132より剛性が高くなっている。なお、ハル132とリブ136とは、接着剤(例えば、FRP)で接着されている。
また、リブ136は、ハル132の底部132a側から上縁部132c側に立設しており、ハル132の上端の一部が、後述するハルインナー138および補強材150に接触している。
ハルインナー138は、FRP製であり、リブ136に載置される部材である。ハルインナー138は、床部138aと、立設部138bと、座席部138cと、背面部138dと、折返部138eとが一体形成されている。床部138aは、水平方向(図2中、XY方向)に延在しており、ハル132(船体部110)の中央に配される。床部138aの両端には、鉛直方向に立設した立設部138bが接続されている。座席部138cは、立設部138bから船体部110の外側へ向かう方向に延在しており、座席部138cの上面には、乗員が着座するクッション(座席)160が設置される。背面部138dは、座席部138cから鉛直上方に立設しており、乗員が着座した際に背もたれとして機能する。また、背面部138dの上端には、船体部110の外側へ向かう方向(内部空間Nから離隔する方向)に延在した折返部138eが設けられている。折返部138eおよび背面部138dによって形成される段部には、ヘッドレスト170を固定するヘッドレスト固定部材172がクッション160に対応する箇所それぞれに掛止される。
また、背面部138dには、シートベルト180の一端が固定されており、シートベルト180の他端にはタングプレートが設けられている。クッション160の側面部には、タングプレートを着脱自在に固定するシートベルト固定部材182が設けられている。シートベルト固定部材182は、タングプレートを嵌合したり、嵌合を解除したりするバックルが一端に設けられており、他端側がリブ136に固定(ネジ止め)されている。
上記したように、救命艇100においては、船体部110に作用する最大加速度が15Gに想定されており、この際、シートベルト固定部材182には、700kgの力が作用することが実験で確認されている。救命艇100には、複数(例えば、20〜30人程度)の乗員が乗船することから、仮にシートベルト固定部材182をハルインナー138に固定したとすると、15Gの力が作用した際に、700kg×乗員数の力がハルインナー138にかかり、ハルインナー138が破損してしまう。そこで、本実施形態では、シートベルト固定部材182を、ハルインナー138(FRP)より剛性の高いリブ136に固定している。かかる構成により、シートベルト固定部材182専用の補強部材を備えずとも、ハルインナー138の破損を回避しつつ、シートベルト180を機能させることが可能となる。
また、ハルインナー138の床部138a、座席部138c、および、背面部138dの一部は、リブ136の上端の一部と接触しており、ハルインナー138にかかる乗員の荷重は、リブ136を通じてハル132全体に分散されることとなる。なお、ハルインナー138とリブ136とは、接着剤(例えば、FRP)で接着されている。
(上部構造体140)
上部構造体140は、キャビントップ142、デッキインナー144に加えて、浮力体146を含んで構成される。
キャビントップ142は、FRP製であり、天面部142aと、天面部142aから鉛直下方に延在した上側面部142bと、上側面部142bの下端から船体部110の外側へ向かう方向に延在した下縁部142cと、下縁部142cから鉛直下方に延在した鍔部142dとが一体形成されている。
船体部110が製造される際には、図2に示すように、キャビントップ142の下縁部142cが、ハル132の上縁部132cに対向するとともに、鍔部142dが下側面部132bの外面に配されるように、ハル132にキャビントップ142が載置される。なお、上縁部132cと下縁部142c、下側面部132bと鍔部142dは、それぞれ接着剤(例えば、FRP)で接着されることとなる。
デッキインナー144は、FRP製であり、キャビントップ142の内側に配される部材である。具体的に説明すると、デッキインナー144は、天井部144aと、天井部144aから上側面部142bに沿って鉛直下方に延在する内壁部144bと、内壁部144bの下端から船体部110の内部方向(内部空間Nに向かう方向)に延在した延在部144cとが一体形成されている。また、デッキインナー144は、延在部144cが、ハルインナー138の折返部138eに載置されるように配され、延在部144cと折返部138eとは、接着剤(例えば、FRP)で接着される。
また、キャビントップ142およびデッキインナー144は、ハル132およびハルインナー138よりも板厚が薄く構成されている。これにより、上部構造体140を下部構造体130より軽量にすることができ、救命艇100の復原性を確保することが可能となる。
浮力体146は、ポリスチレン等の発泡樹脂で構成され、キャビントップ142とデッキインナー144との間に形成される空間に設けられる。浮力体146を備える構成により、救命艇100の復原性を向上させることが可能となる。
(補強材150)
上記したように、衝撃吸収体120は、下部構造体130の外周に設けられる。一方で、復原性を確保するために、船体部110(ハル132)はFRPで形成される。したがって、ハル132に衝撃吸収体120を直接取り付けると、衝撃吸収体120が衝撃を受けた際に生じる力によってハル132が破損してしまう可能性がある。そこで、例えば、ハル132の外周面に金属製の補強材を設け、補強材に衝撃吸収体を取り付けることも考えられるが、そうすると、補強材によって救命艇全体の重量が大きくなってしまう。
そこで、本実施形態では、金属より極めて軽量であるFRPを用いて、衝撃吸収体120よりも剛性が高く、また、衝撃吸収体120が衝撃を受けた際に生じる力を受け止める補強構造を設け、補強構造の外面に衝撃吸収体120を取り付ける。
図3に示すように、補強構造を構成する補強材150は、FRP製であり、ハル132の下側面部132bの内周面に沿って設けられた部材である。補強材150は、上面部150aと、上面部150aに対向する下面部150bと、上面部150aと下面部150bに接続される側面部150cと、下面部150bの端部から鉛直下方に延在した接着部150dとが一体形成されている。補強材150は、側面部150cが下側面部132bの内周面と対向するように、下側面部132bの内周面側(下側面部132bとハルインナー138との間)に設けられる。つまり、下側面部132bは、側面部150cと対向する対向面として機能し、補強材150は、下側面部132bの内周面から内部空間Nに向かって突設されている。
補強材150と下側面部132bとの接着について具体的に説明すると、補強材150は、上面部150aが上縁部132cと面一となるように接着剤(例えば、FRP)によって接着され、接着部150dが下側面部132bの内面に接着剤(例えば、FRP)によって接着される。
このようにして、補強材150および下側面部132bによって中空形状の補強構造が形成されることとなる。そして、この補強構造の外面、すなわち、下側面部132bにおける補強材150が設けられる箇所の外面に、衝撃吸収体120が取り付けられることとなる。
補強構造を上記のように構成することにより、衝撃吸収体120より剛性の高い構造体とすることができ、補強構造によって衝撃吸収体120が衝撃を受けた際に生じる力(反力)を受け止めることが可能となる。
このように、FRPで補強構造(下側面部132bおよび補強材150)を形成することにより、金属製の補強材と比較して軽量化を図りつつ、衝撃吸収体120が衝撃を受けた際に生じる力による船体部110(下部構造体130)の破損を回避することができる。
また、補強材150の下面部150bは、リブ136の上端の一部に接触するように設けられ、下面部150bとリブ136とは、接着剤(例えば、FRP)で接着されている。かかる構成により、衝撃吸収体120が衝撃を受けた際に補強材150に生じる力を、リブ136を通じてハル132(船体部110)全体に分散させることができ、補強構造の耐衝撃性をさらに向上させることが可能となる。
(内部空間N)
図4は、図1(a)におけるIV−IV線断面図である。なお、図4中、理解を容易にするために、シートベルト180の記載を省略する。船体部110(救命艇100)は、進行方向の幅(正面110aと後面110bとの距離)が、進行方向と直交する方向の幅(横面110c間の距離)より長い形状となっているため、横面110cに対する垂線方向に移動する場合の移動速度は、正面110aに対する垂線方向に移動する場合の移動速度より小さい。したがって、上記したように、「津波救命艇ガイドライン」において、救命艇100は、10m/sの正面衝突、5m/sの側面衝突においても形状を維持できるようにすることが規定されている。しかし、「津波救命艇ガイドライン」においては、追突(後面110b(船尾を構成する側面)に対する衝突)に対しての規定はない。津波で漂流する際には救命艇100の進行方向が不定であることから、救命艇100が追突すれる可能性もあり、正面衝突時と同程度の衝撃が後面110bにかかるおそれがある。そうすると、後面110bから横面110cにかけて船体部110が破損して、後面110b側の内部空間Nに衝突物が侵入するおそれがある。
そこで、後面110bの外周に設けられる衝撃吸収体120の厚みを正面110aの外周と同程度に厚くする構成が考えられる。しかし、図4に示すように、後面110bには、乗員が乗降する出入口140aが設けられているため、衝撃吸収体120を厚くすると、乗員の乗降が困難になるおそれがある。このため、後面110bの外周の衝撃吸収体120を十分に厚くすることができない。また、外扉148の開閉を容易とするために、後面110bの外周に設けられる衝撃吸収体120は、外扉148(出入口140a)の下方に配される。したがって、後面110bの外周の衝撃吸収体120を厚くしてしまうと、船体部110への乗員の乗降が困難となったり、乗降を補助するためのタラップ(不図示)が大きくなったりしてしまう。
そこで、本実施形態では、内部空間Nを、乗客を収容する収容空間Sと、緩衝空間Kとに区画して、収容空間Sを形成する船体部110の破損のおそれを低減する。
図4に示すように、船体部110には、ハルインナー138とデッキインナー144とに接続され、内部空間Nを収容空間Sと緩衝空間Kとに分割する仕切壁200(緩衝部)が設けられている。
そして、内部空間Nのうち、下部構造体130(ハルインナー138)と、上部構造体140(デッキインナー144)と、仕切壁200とにより囲まれた正面110a側の空間が収容空間Sとして形成され、収容空間Sにヘッドレスト170等を配置して乗員を収容する。
一方、内部空間Nのうち、下部構造体130(ハルインナー138)と、上部構造体140(デッキインナー144)と、仕切壁200とにより囲まれた後面110b側の空間が緩衝空間Kとして形成され、緩衝空間Kには、ヘッドレスト170や座席部138cを設けず、漂流時に乗員が収容されない空間とする。
かかる構成により、救命艇100が10m/sで追突した場合であっても、5m/s分の衝撃については衝撃吸収体120で吸収することができ、残りの5m/s分の衝撃については、緩衝空間Kを形成する下部構造体130、上部構造体140の破損によって衝撃を吸収することが可能となる。したがって、乗員が収容される収容空間Sを形成する下部構造体130(ハルインナー138)、上部構造体140(デッキインナー144)、仕切壁200が破損してしまう事態を回避することができ、乗員の安全を確保することが可能となる。
また、仕切壁200には、収容空間Sと緩衝空間Kとを連通させる通過口210と、通過口210を開閉する中扉220が設けられている。したがって、乗員は、通過口210、出入口140aを通じて、収容空間Sと救命艇100の外部とを容易に行き来することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態では、出入口140aと収容空間Sとの間に緩衝空間Kを設ける構成により、正面110aと同様の厚い衝撃吸収体120を設けることなく、追突した(出入口140aが設けられる箇所が衝突した)場合であっても、収容空間Sを形成する下部構造体130(ハルインナー138)、上部構造体140(デッキインナー144)、仕切壁200の破損のおそれを低減することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態において、救命艇100が、動力を発生させる装置を備えない構成を例に挙げて説明した。しかし、救命艇100は、動力を発生させる装置を備えていてもよい。
また、上記実施形態において、下部構造体130の外周全周に亘って衝撃吸収体120が取り付けられる構成を例に挙げて説明した。しかし、衝撃吸収体120は、船体部110の外周の少なくとも一部に設けられていればよい。
また、上記実施形態において、出入口140aが形成される側面の外周に設けられる衝撃吸収体120の厚みが、船体部110の他の側面の少なくとも一部に設けられる衝撃吸収体120の厚みよりも薄くすることで、出入口140aからの乗降を容易にすることができる構成を例に挙げて説明した。しかし、出入口140aが形成される側面の外周に設けられる衝撃吸収体120の厚みは、船体部110の他の側面に設けられる衝撃吸収体120の厚みよりも厚くてもよいし、実質的に等しくてもよい。
また、上記実施形態において、出入口140aが、船体部110における船尾を構成する側面に形成されることで、収容空間Sを効率的に利用できる構成を例に挙げて説明した。しかし、出入口140aは船尾以外の船体部110の側面に形成されてもよい。
また、上記実施形態において、補強構造が、中空形状であり、さらなる軽量化を図ることができる構成を例に挙げて説明した。しかし、補強構造は、中空形状でなくてもよく、補強材150と下側面部132bとの間に充填材が充填されていてもよい。
また、上記実施形態において、補強構造が、下側面部132b(船体部110)の内面における衝撃吸収体120と対向する箇所に設けられ、内面から内部空間Nに向かって突出させていることで、船体部110の外周面を略平面とすることができ、衝撃吸収体120を容易に設置可能な構成を例に挙げて説明した。しかし、補強構造は、下側面部132b(船体部110)の外周面から突出していてもよい。この場合、ヘッドレスト固定部材172は、船体部110と補強構造とによって形成される段部に掛止されずともよい。
また、上記実施形態において、補強構造の少なくとも一部を、下側面部132b(船体部110)により形成することで、部品点数を低減してコストを削減できる構成を例に挙げて説明した。しかし、補強構造は、船体部110とは別体であってもよい。
また、上記実施形態において、補強材150が、上面部150aと、下面部150bと、側面部150cと、接着部150dとを含んで形成される場合を例に挙げて説明した。しかし、補強材150の形状に限定はない。
また、上記実施形態において、衝撃吸収体120を取り付ける補強構造がFRPで構成される場合を例に挙げて説明した。しかし、補強構造は、少なくとも衝撃吸収体120より剛性が高ければよく、材質に限定はない。例えば、補強構造を金属で構成してもよい。
また、上記実施形態において、緩衝空間Kには、何らの部材も設けず、乗降する際以外乗員が立ち入らないように構成する例について説明した。しかし、緩衝空間Kには、常時乗員が配されていなければよく、例えば、緩衝空間Kにトイレ、倉庫等を設置してもよい。
本発明は、津波発生時に利用される救命艇に利用することができる。
K 緩衝空間
N 内部空間
S 収容空間
100 救命艇
110 船体部
110a 正面
110b 後面
120 衝撃吸収体
140a 出入口
200 仕切壁(緩衝部)

Claims (2)

  1. 乗員が収容される収容空間を含む内部空間が形成された船体部と、
    前記船体部の外周に設けられ、外部から該船体部への衝撃を吸収する衝撃吸収体と、
    前記船体部に形成され、前記乗員が乗降する出入口と、
    前記内部空間における前記収容空間と前記出入口との間に緩衝空間を形成する緩衝部と、
    を備え
    前記船体部における前記出入口が形成される側面の外周に設けられる前記衝撃吸収体の該船体部に対する垂線方向の厚みは、該船体部の他の側面の少なくとも一部に設けられる該衝撃吸収体の厚みよりも薄いことを特徴とする救命艇。
  2. 前記出入口は、前記船体部における船尾を構成する側面に形成され、
    前記出入口が形成される側面の外周に設けられる前記衝撃吸収体の厚みは、前記船体部における船首を構成する側面の外周に設けられる該衝撃吸収体の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項に記載の救命艇。
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